JP2979983B2 - 低温化成処理性に優れた冷延鋼板 - Google Patents
低温化成処理性に優れた冷延鋼板Info
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Description
れた冷延鋼板に係り、取り分け常温に近い温度条件でリ
ン酸鉄系の化成処理あるいはリン酸亜鉛処理を施す“低
温化成処理”において特に良好な化成処理性を示す冷延
鋼板に関するものである。
電製品,建材等の広い分野において様々な用途に使用さ
れており、それらの用途に応じた特性(加工性等)を付
与するためにこれまで多くの検討がなされてきた。
あれ防錆上の問題からそのまま裸で使用されることは殆
どなく、従って塗装用の下地を形成する必要があるため
良好な化成処理性(リン酸塩処理性)を有することが必
須である。即ち、鋼板の化成処理性に関しては化成処理
液や化成処理方法の影響もさることながら、鋼板自体の
性質が化成処理性に大きな影響を及ぼすことが多く、従
来から鋼板側の対応として種々の対策が提案されてい
る。例えば、特開昭62−116723号公報には、冷
延鋼板に調質圧延を施して鋼板中に転位を導入し、これ
によってリン酸塩処理性の改善を目指す方法が開示され
ており、また特公平2−29729号公報には、鋼板中
に微量のBを添加した上で調質圧延を施すことによって
連続焼鈍材でのリン酸塩処理性の改善を目指す方法が開
示されている。更に、特公昭58−37391号公報や
特公平1−58276号公報には、鋼板の表面にNi等の
ようなFeよりも貴な金属又は合金を薄く析出させ、これ
を化成結晶の成長サイトとすることによりリン酸塩処理
性の改善を図る手段が開示されている。
車向け車体鋼板の処理を前提としたものであり、従って
処理性の改善をもくろむ化成処理も車体用鋼板の化成処
理ラインで適用されるものを前提としていて、処理温度
が50〜60℃という高い場合を想定した提案である。
ところが、家電製品や建材のメ−カ−では冷延鋼板を用
いた各種の部材が製造されており、従って種々の部材を
処理する必要上、設備的な制約,エネルギ−コストの節
約,廃液(スマッジ等)処理作業の簡素化等のためにリ
ン酸塩処理温度を下げることが強く望まれており、40
℃以下の比較的常温近傍でリン酸塩処理する“低温化成
処理”が行われる場合も増えている(例えば特開昭63−
118078号公報を参照)。ただ、このような低温化成処理
では処理性が必ずしも良くなく、同一材料(同一冷延鋼
板)であっても化成結晶が全く形成されないという現象
が起きることがあり、自動車向け車体鋼板の化成処理ラ
インで適用されている化成処理液をそのまま適用しても
良好な結果を得るのは困難であった。
成されない化成不良の発生状況を詳細に調査したとこ
ろ、化成不良の発生率は処理鋼板の成分によって大きく
異なる傾向があるものの、同一成分の鋼板であっても板
厚や加工形状等の違いで化成不良発生率に大きな差が認
められる場合のあることが分かった。しかも、低温化成
処理では、前記特公昭58−37391号公報や特公平
1−58276号公報等に示されているような“化成処
理性の向上を狙いとしたNiフラッシュめっき”の効果が
全く認められない場合のあることも明らかとなった。
塩処理性)は、従来から注目され検討されてきた自動車
の車体処理ライン向け化成処理における場合とは大きく
違っており、両者では化成処理反応(特に化成結晶成長
時の律速反応)そのものが異なっているのではないかと
推察された。そのため、従来の化成処理性を改善する手
法とは異なった、低温化成処理においても良好な結果が
得られる新しい化成処理性改善手段の開発が急務である
と考えられた。
のは、低温化成処理においても優れた化成処理性が安定
して確保される新規な化成処理性(リン酸塩処理性)の
改善手段を確立することである。
を達成すべく、特に被処理鋼板側からの的確な化成処理
性改善策を求めて鋭意研究を重ねた。そして、その過程
で、各種の冷延鋼板を対象として“通常の高温処理での
化成処理性”と“処理温度が室温に近い低温化成処理
性”とにつき比較,調査を行ったところ、まず次のこと
が判明した。 a) 低温化成処理では、その処理温度が低いが故に化成
処理液浸漬初期の“鋼板表面からのFeのエッチング量”
が少なく、そのため化成結晶が全く析出しない現象が起
きる, b) 一方、通常の化成処理では、処理温度が比較的高い
ので化成結晶が析出する反応を起こせるだけの“鋼板表
面からのFeのエッチング量”を十分に確保でき、従って
低温化成処理で起きるような“全く化成結晶が析出しな
いような現象”は起こらない, c) このように、良好な低温化成処理性を得るために
は、何らかの方法で鋼板表面からのFeのエッチングを促
進させる必要がある。
の処理を施したりした各種の冷延鋼板をサンプルとして
低温化成処理試験を繰り返しつつ、低温化成処理時に表
面からのFeのエッチングを促進させることができる手段
を探った結果、イ ) 被処理鋼板表面に特定値以上の残留歪を付与する,ロ ) 被処理鋼板の結晶粒内にセメンタイトを析出させ
る, という手立てを講じると、化成処理時の鋼板のエッチン
グが顕著に促進されると共に、母材結晶粒内に化成結晶
成長時の結晶サイトが生じて低温化成処理性が著しく向
上することを見出した。また、この場合、微量のB(ホ
ウ素)が被処理鋼板の成分として含まれているとその低
温化成処理性が一層向上し、また被処理鋼板の表面に極
薄のNi析出層を形成すると得られる化成処理皮膜の特性
が向上することも明らかとなった。
されたものであり、「冷延鋼板を、 X線回折法による残
留応力測定値で−80N/mm2以上の残留歪を表面に有す
ると共に、 結晶粒内に結晶粒子当り5〜50個のセメン
タイトが析出して成る構成とするか、 あるいはX線回折
法による残留応力測定値で−80N/mm2以上の残留歪を
表面に有すると共に、 結晶粒内に結晶粒子当り1〜4個
のセメンタイトが析出しており、 かつ鋼板中にB(ホウ
素)を0.0001〜0.0030%(以降、 成分割合を表す%は重
量%とする)含有して成る構成とするか、 更には、 これ
らの表面に金属Ni量換算で 0.002〜 0.1g/m2 の付着量
でNi析出層を有して成る構成とすることによって、 低温
化成処理にて優れた化成処理性(リン酸塩処理性)を安
定して示すようにした点」に大きな特徴を有している。
は、“−”が圧縮方向の応力を、そして“+”が引張方
向の応力を表していることは言うまでもない。なお、冷
延鋼板の鋼種に関しては格別に制限されるものではな
く、既知の冷延鋼板、あるいはこれに微量のBを含有す
るものの何れをも対象とすることができる。
より詳細に説明する。まず、表面残留歪量に関しては、
X線回折による残留応力測定方法で測定した残留応力値
として−80N/mm2未満であると低温化成処理時のFeの
エッチング量が不十分となり、化成不良が発生する場合
が多くなる。これに対して、表面残留歪量が残留応力測
定値として−80N/mm2以上になると低温化成処理時に
十分なFeのエッチング量が得られ、良好な化成結晶が安
定して得られるようになる。従って、鋼板表面に残留応
力測定値で−80N/mm2以上の残留歪量を有することと
定めたが、できればこの残留歪量は残留応力測定値で−
40N/mm2以上とするのが望ましい。なお、表面残留歪
量の上限値は特に制限されないが、残留歪量が多くなる
と鋼板の表面から内部に至るまで硬化してしまって加工
上の問題が出てくるため、実際的には残留応力測定値で
+100N/mm2未満に抑えることが好ましい。
る方法として、例えば“冷間にてロ−ル圧延する方法",
"表面を研削ブラシ等にて機械的に研磨する方法”ある
いは“ショットブラスト処理”等を採用することができ
る。
ンタイトが母材結晶粒内にある場合においてのみ低温化
成処理性が良好となり、母材粒界にセメンタイトが析出
した場合には低温化成処理性の改善効果は殆ど現れな
い。この理由については明確でないが、母材結晶粒内に
セメンタイトが析出すると表面残留歪を付与させやすく
なると共に、それに伴い化成処理時にセメンタイトとFe
のエッチングが進行しやすくなって化成結晶析出反応の
起点を与えるためと推測される。
した上で、セメンタイト粒子が母材結晶粒内に結晶粒子
当り5個以上存在する場合に低温化成処理性の改善効果
が顕著化するが、過剰に粒内セメンタイトが析出する
と、化成結晶が成長する速度以上に鋼板からのFeのエッ
チング速度の方が著しく大きくなり、化成処理性が逆に
劣化するようになる。また、セメンタイト粒子が多くな
るということはC含有量の増大を意味し、C量の増大は
鋼板の硬化につながるので加工性の劣化をもたらす。従
って、母材結晶粒内に析出させるセメンタイトは結晶粒
子当り5〜50個と定めたが、好ましくは5〜30個に
調整するのが良い。
イトの量は、鋼板中に含有させるC量の調整で制御する
ことができる。例えば、熱延段階での巻取り温度を低温
側へ変化させることによってCを結晶粒内に過飽和の状
態で固溶させたり、焼鈍時の加熱,冷却のヒ−トパタ−
ンを調整したり(特に焼鈍時の冷却速度を上げる)する
ことによって、母材結晶粒内に析出させるセメンタイト
量を増加させることが可能である。
ンタイト量が結晶粒子当り1〜4個の場合であっても、
鋼板中にB(ホウ素)を含有させると、これが結晶粒内
に析出するセメンタイトの役割を補って良好な化成処理
性を示すようになるとの知見を得ている。この鋼中Bの
役割は十分に解明されていないが、セメンタイトと同等
に残留歪を付与させる効果があることも化成処理性の改
善に大きく係わっているものと考えられる。即ち、Bを
添加することにより特に加工時における歪の加わり方が
変化して、少ない加工量でも残留歪量が大きくなって化
成処理初期のFeのエッチング量が増大し、良好な低温化
成処理性の確保に大きく貢献するものと推察することが
できる。
01〜0.0030%が良好である。なぜなら、B含有量が0.00
01%未満では低温化成処理性を向上させるだけのFeのエ
ッチング量を確保するには不十分であり、一方、0.0030
%よりも多く含有させると、化成処理時のFeのエッチン
グ量が増大し過ぎて化成結晶の成長速度が追いつかなく
なり、化成処理性、特に高温(通常の50〜60℃程
度)処理時における化成処理性の劣化が著しくなるから
である。また、加工性の要求が厳しくて機械的性質とし
て軟質で伸びが要求される鋼板の場合にはどうしても粒
内セメンタイト量が少なくなるが、このような鋼板への
Bの過剰添加は硬化を招いて加工時に問題となることか
らもB含有量の過度の増加は控えねばならない。そこ
で、これらの点に十分留意し、機械的性質を変化させず
に良好な化成処理性を得るためには、B含有量は0.0020
%以下に調整するのが好ましいと言える。勿論、Bを含
有させる場合でも、母材結晶粒内のセメンタイトが0の
場合には低温化成処理性の向上効果は殆ど見られない。
鋼板の表面に極薄のNi析出層を設けることは、得られる
化成処理皮膜の特性を向上させる上で非常に好ましいこ
とである。もっとも、鋼板表面にNi析出層を設けた場合
でも低温化成時における鋼板表面からのFeのエッチング
反応自体には変化は認められず、低温化成処理皮膜が成
長するか否かに対しては何ら影響を及ぼさないように思
われる。従って、通常要求される塗装のままの状態での
塗装密着性、即ち“1次密着性”についてはNi析出層の
影響が論議されるようなことはない。しかしながら、よ
り厳しい環境で使用される場合には、湿潤雰囲気にさら
された場合の塗装密着性である“耐水2次密着性”が問
題にされることがあるが、このような場合、Ni析出層の
存在が大きな便益をもたらすことになる。即ち、Ni析出
層が存在すると、低温化成処理でも生成される化成結晶
は非常に微細化され、耐水2次密着性等の塗装密着性が
一段と向上する。この理由は、化成結晶が析出する段階
で、Niの存在が化成皮膜の析出反応に好結果を及ぼして
化成結晶を変質させるためと推測される。
0.002〜 0.1g/m2 の付着量に調整するのが良い。なぜ
なら、Ni析出層の付着量が金属Ni量換算で 0.002g/m2
未満であると十分な塗装密着性向上効果が認められず、
一方、 0.1g/m2 よりも多ければ鋼板表面が完全にNi層
に覆われてしまって鋼板表面からのFeのエッチングが行
われなくなり、化成結晶の析出が阻害されるからであ
る。なお、化成処理時における鋼板表面のFeのエッチン
グを阻害することなく、しかも一段と塗装密着性の良好
な化成結晶皮膜をより安定に形成させようとの観点から
すれば、Ni析出層の付着量は金属Ni量換算で 0.005〜
0.060g/m2 とするのが更に望ましいと言える。
の形成は、例えば電気メッキ法で強制的にNiを析出させ
る方法(フラッシュメッキ法)によっても、Niイオン含
有溶液に浸漬処理してNiを析出させる方法(置換メッキ
法)によっても行うことができ、所定のNi量が確保でき
れば何れの方法によっても差し支えはない。
る。
タイト数を有した冷延鋼板の連続焼鈍材を準備した。
験材につき、一旦、化学研磨によって表面の歪を除去し
た後、各種圧下量でのスキンパス圧延,バフ研磨あるい
は引張加工を施して表面に残留応力(歪)を付与し、そ
れらの低温化成処理性を調査した。なお、“粒内セメン
タイト数", "表面の残留応力(歪)”並びに“低温化成
処理性”の調査はそれぞれ次の要領で行った。
反応は厳密には鋼板表面の反応であるため、鋼板最表面
の母材結晶粒内のセメンタイトを測定することが本来で
あるが、実際には表面のセメンタイト量をカウントする
ことは困難なため、ここでは母材板厚方向に 1/2tの断
面部分での測定値を表面状態と同一と仮定し、これを代
表値として採用した。その際の粒内セメンタイトの測定
方法は、 0.002mm×0.002mm の視野にて、観察倍率:5
00倍でランダムに10個の母材結晶につきその結晶粒
内にあるセメンタイト量を測定する作業を5回繰り返
し、測定した母材結晶粒1個当りの粒内セメンタイト数
の全平均値を“測定サンプルの母材結晶粒内セメンタイ
ト数の代表値”と見なした。
線回折を行い、その結果を基に下記条件を前提とした応
力計算によって表面残留応力を決定した。 〔X線回折の測定条件〕 特性X線 :Co−Kα線, 回折面 :Fe(220)面, 走査方法 :ψ一定法,並傾法, 管電流・管電圧 :50 kV,25 mA, タイムコンスタント :1秒, ピ−ク位置決定法 :半価幅中点法, ψ角変化 :0°,10°,20°,30°,40°,50°。 〔応力計算に用いた諸特性値定数値〕 弾性率 :21000kgf/mm2 , ポアソン比 :0.28 。
液として日本パ−カライジング社製のリン酸亜鉛処理剤
たるエナレス−20(商品名)を用い、全酸度:15.0,
遊離酸度:0.5 に調整すると共に、液温を30〜35℃
に管理し、これをサンプルの表面に90秒間スプレ−処
理した。そして、化成処理性の評価は、鋼板カットサン
プルを20枚連続して化成処理した際、外観から見て完
全に化成皮膜が形成された枚数を調べ、その割合によっ
て行った。その際の判定基準としては、化成皮膜が形成
された枚数が18枚以上であれば実際の処理ラインにお
いても実用上問題とならないレベルであるため、これを
合格とした。
査結果を、「表面残留応力値と低温化成処理良好枚数と
の関係」で整理して図1に示した。図1からも明らかな
ように、表面残留応力値が−80N/mm2以上の範囲で化
成処理性が良好であり、また、粒内セメンタイトが存在
しない場合には低温化成処理性が悪く、粒内セメンタイ
トが存在する場合には低温処理性が良好であることが分
かる。更に、粒内セメンタイト数が少ない場合でも、鋼
板中にBを含有させた場合には低温化成処理性が良好と
なることも確認できる。
熱延鋼板を用意した後、これらに圧下率:70%の冷間
圧延を施し焼鈍処理して得た冷延鋼板からサンプルを採
取し、これらについて実施例1の場合と同様に“結晶粒
内セメンタイト数", "表面残留応力”及び“低温化成処
理正常(良好)枚数”を調査した。これらの調査結果を
表2に併せて示す。
することができる。即ち、試験番号3,8及び13を対比
することにより、母材結晶粒内セメンタイト数が5個よ
り少ない場合には低温化成不良の発生することが分か
る。また、試験番号11と12を対比することにより、母材
結晶粒内セメンタイト数が50個よりも多い場合にも低
温化成不良が発生することが分かる。
り、母材結晶粒内セメンタイトが存在しない場合には、
Bを添加しても低温化成処理ではその添加効果が認めら
れないことが分かる。一方、試験番号3と4を対比する
ことにより、母材結晶粒内セメンタイト数が5個未満で
あっても、鋼板に 0.001%のBが含有されていると良好
な低温化成処理性を確保できることが分かる。そして、
試験番号6と7を対比することにより、鋼板中のB含有
量が0.0030%よりも多いと良好な低温化成処理性を確保
できないことが分かる。
された冷延板の連続焼鈍材を用意し、これにNi析出層を
付着させた場合の鋼板性能(リン酸亜鉛処理後の塗装密
着性)に及ぼす影響を調査した。
をアルカリ脱脂(温度:50℃,濃度:20%のNaOH
水溶液に5秒浸漬)した後、直ちに酸洗(温度:50
℃,濃度:10%の硫酸溶液に10秒浸漬)し、その
後、下記条件でNiの電気メッキを施すことにより実施し
た。 メッキ浴組成… NiSO4 ・ 6H2 O2 :15g/L ,
(NH4)2 SO4 :20g/L , pH … 5.0 , 浴 温 … 40℃, 電流密度 … 3A/dm2 。 ここで、Ni付着量は、通電時間を変化させることにより
コントロ−ルした。
密着性)については、前記連続焼鈍材にNi析出層を形成
したものとNi析出層のないものを準備し、これらについ
て実施例1の「化成処理性の測定方法」に適用したのと
同様の条件で化成処理(リン酸亜鉛処理)を施した各サ
ンプルにつき、関西ペイント製の塗料であるアミラック
1000(商品名)を膜厚が40μmとなるようにスプ
レ−塗装し、焼付温度:150℃,焼付時間:25分間
で焼付処理して得た塗装鋼板の塗装密着性を評価するこ
とにより調査した。塗装密着性の評価方法としては、塗
装のままの状態で表面に1mm×1mmの枡目で100枡の
ケガキを入れてテ−プ剥離をしたときの“塗膜が残った
枡目”の割合(塗膜残存率)を求めた「1次密着性」
と、塗装後に80℃の温水に4時間浸漬した後直ちに取
り出し、1mm×1mmの枡目で100枡のケガキを入れて
テ−プ剥離をしたときの“塗膜が残った枡目”の割合
(塗膜残存率)を求めた「耐水2次密着性」を調べて行
った。なお、判定基準としては、95%以上の塗膜残存
率であれば特に実用上問題がないために合格とした。
着量で整理し、図2に示した。図2からも明らかなよう
に、表層の析出Ni付着量が 0.1g/m2(100mg/m2)よりも
多くなると低温化成処理性が劣化し、1次密着性及び耐
水2次密着性が劣化する傾向となることが分かる。一
方、表層の析出Ni付着量が 0.002g/m2(2mg/m2)よりも
少ないと、低温化成処理時における化成皮膜は形成され
るので1次密着性は確保できるものの、耐水2次密着性
に劣る傾向となることが分かる。
ば、低温化成処理によって十分に満足できる化成結晶皮
膜を安定して形成させることができる冷延鋼板を提供す
ることができ、化成処理の設備的な簡素化やスマッジ量
の低減による廃物処理負担の低減等が可能になるなど、
産業上極めて有用な効果がもたらされる。
性との関係の調査結果を示したグラフである。
及び耐水2次密着性との関係の調査結果を示したグラフ
である。
Claims (3)
- 【請求項1】 X線回折法による残留応力測定値で−8
0N/mm2以上の残留歪を表面に有すると共に、結晶粒内
に結晶粒子当り5〜50個のセメンタイトが析出して成
ることを特徴とする、低温化成処理性に優れた冷延鋼
板。 - 【請求項2】 X線回折法による残留応力測定値で−8
0N/mm2以上の残留歪を表面に有すると共に、結晶粒内
に結晶粒子当り1〜4個のセメンタイトが析出してお
り、かつ鋼板中にBを0.0001〜0.0030重量%含有して成
ることを特徴とする、低温化成処理性に優れた冷延鋼
板。 - 【請求項3】 表面に金属Ni量換算で 0.002〜 0.1g/m
2 の付着量でNi析出層を有して成ることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の低温化成処理性に優れた冷延鋼
板。
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---|---|---|---|
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Publication Number | Publication Date |
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JPH08134536A JPH08134536A (ja) | 1996-05-28 |
JP2979983B2 true JP2979983B2 (ja) | 1999-11-22 |
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-
1994
- 1994-11-02 JP JP6293873A patent/JP2979983B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Title |
---|
松田茂樹、白銀嘉二"常温リン酸化成処理システム"塗装技術 平成元年5月 VoL.28 No.5 P86−91 |
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JPH08134536A (ja) | 1996-05-28 |
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