JP2979140B2 - 含水油エマルジョンの油水分離方法 - Google Patents

含水油エマルジョンの油水分離方法

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JP2979140B2
JP2979140B2 JP10110073A JP11007398A JP2979140B2 JP 2979140 B2 JP2979140 B2 JP 2979140B2 JP 10110073 A JP10110073 A JP 10110073A JP 11007398 A JP11007398 A JP 11007398A JP 2979140 B2 JP2979140 B2 JP 2979140B2
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    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
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    • C10G33/00Dewatering or demulsification of hydrocarbon oils
    • C10G33/04Dewatering or demulsification of hydrocarbon oils with chemical means

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含水油エマルジョ
ンの油水分離方法に関する。特に本発明は、ラムノリピ
ッドを含む含水油エマルジョンを簡便かつ効果的に油水
分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
重油をはじめとする油類の流出事故が相次いでいる。海
に流出した重油等は回収され、回収できなかった部分
は、人為的または自然の力(波の力)により海水中に分
散して自然の浄化力により分解されるのを待つ。回収さ
れた重油は、焼却等により処分されている。しかるに、
回収される油は、油中水滴型エマルジョンまたは水中油
滴型エマルジョンを形成しており、嵩が大きく取り扱い
が容易でない。さらに、焼却するにしても、混在する水
分のために燃料を付加する必要がある場合もあり、余分
なエネルギーを要する。さらに、海水中に含まれる塩分
が、焼却装置を傷める場合もある。しかるに、これま
で、上記のような海水等の水分を含む回収廃油を、積極
的に水分と油分に分離した後に処理することは行われて
いない。
【0003】ところで、自噴できなくなった油田から原
油を取り出すために、多くの油田において水圧による強
制的噴出が行われている。このような場合、水と原油と
が混合乳化したエマルジョンが得られる。このようなエ
マルジョンから油分を回収すことを目的として、エマル
ジョンブレーカー(乳化破壊剤)が使用されている。例
えば、特開平7−310077号公報には、一般的な原
油エマルジョン及び特に各種攻法により生産され、処理
が難しくなった原油エマルジョンを有効に破壊して、分
離された残留油分を大幅に減少させる処理剤として、ポ
リエチレンイミン及びポリエチレンイミンの中和塩が記
載されている。しかしながら、これら処理剤は、既存の
乳化破壊剤と併用することによりはじめて効果を奏する
ことができるものである。さらに、これらの技術は原油
を回収することを目的としてるものであり、乳化破壊後
に残された廃水の処理については全く配慮されていな
い。その他のエマルジョンブレーカーとしてプロピレン
オキサイド系消泡剤が知られている。プロピレンオキサ
イド系消泡剤は、生物に対する害が比較的少ない物質で
ある。しかるに、所望の効果を得るためには、比較的多
量のプロピレンオキサイド系消泡剤を使用する必要があ
り、環境に対する負担を軽減するには至っていない。
【0004】また原油には塩類が含まれる場合が多く、
原油を水で洗浄することも行われている(例えば、特公
昭61−59358号、特公平6−33361号公
報)。この場合にも、水と原油とが混合乳化したエマル
ジョンが得られる。特に、後者の方法では界面活性剤を
使用して、エマルジョンの形成が行われている。しかる
にこのような原油の脱塩の技術においても、主な目的は
脱塩された油の回収である。従って、残された廃水の処
理については全く配慮されていない。
【0005】上記エマルジョンブレーカーを使用する油
水分離、及び原油の脱塩において生じる油分を含む廃液
は、環境への負担を軽減するため、自然界に放流可能な
程度の水質にまで処理する必要がある。廃液中に油が多
量に含まれる場合には、廃液溜めで2層分離し油層を除
去することができる。しかし、分離は不完全であり、水
層にはかなりの油がミセル、油滴、または油層として残
ることは避けられない。界面活性剤を用いて、油を水中
油滴型にした場合においても、同様に、水層には、界面
活性剤、溶剤及び消泡剤などの処理剤や油が残存する。
廃液の一般的処理方法として、自然分解、樹脂操作をは
じめとする物理的除去方法や微生物分解法が知られてい
る。特に、微生物分解法は、簡便かつ効率的な方法であ
る。そこで、上記油分や界面活性剤等を含む廃液を微生
物分解法で処理できれば好ましい。
【0006】そこで、本発明の目的は、含水油エマルジ
ョンを簡便かつ効果的に乳化破壊して、エマルジョンを
水相と油相とに分離できる方法であって、分離後の水層
は微生物分解法により処理可能である、油水分離方法を
提供することにある。特に本発明の目的は、再利用可能
であるか、またはそのまま焼却処分できる程度に油中水
分を低下させた油を回収でき、かつ処理剤の使用量が比
較的少量で、回収された分離後の廃水は生分解により処
理可能である、油水分離方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ラムノリピッ
ドを含有する含水油エマルジョンのpHを、エマルジョ
ン中の油相と水相とが各相に分離し易い値に調整して、
油層と水層とを含む液を得ることを特徴とする含水油エ
マルジョンの油水分離方法に関する。さらに本発明は、
ラムノリピッドを含有する含水油エマルジョンに鉄塩を
添加して、油層と水層とを含む液を得ることを特徴とす
る含水油エマルジョンの油水分離方法に関する。また、
本発明は、上記本発明の油水分離方法により得られた水
層に微生物分解処理を施す、水処理方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の油水分離方法で、分離の
対象となる含水油エマルジョンは、油分と水分とを含
み、互いに混ざり合わない2液相間で、一方が他方の相
に微粒子状に分散しているコロイド分散系のものを含ん
でいれば良い。本発明において、含水油エマルジョン
は、水相と油相とからなる含水油エマルジョンであり、
例えば、油中水滴型エマルジョンであっても、水中油滴
型エマルジョンであってもよい。より具体的には、含水
油エマルジョンは、例えば、油田において原油を強制的
噴出させた際に形成される水と原油とが混合乳化したエ
マルジョン、原油の脱塩において生じる水と原油とが混
合乳化したエマルジョン、油類の流出事故において生じ
る廃油(海水と油類とが混合乳化したエマルジョン)など
が挙げられる。但し、これらに限定される意図ではな
い。
【0009】ラムノリピッドは、ラムノースとβ−ヒド
ロキシデカン酸から構成される糖脂質で、糖と脂肪酸の
組み合わせにより4種類ある。ラムノリピッドは、グリ
セリン、グルコース、エタノールなどの炭素源を発酵原
料として生産可能である。しかし、高い生産性を得るた
めには、n−アルカンや油脂のような水不溶性物質が必
須となる。また、窒素源としては硝酸ナトリウムなど無
機塩が有効であるが、低い濃度であることが必要で、リ
ン、K+、Ca++、Mg++、Fe+++量を制限するなどの工夫し
た培地組成が必要である。
【0010】ラムノリピッドは、シュードモナス・エル
ギノーザ(Pseudomonasaeruginos
a)菌の培養により生産することができ、例えば、本出
願の出願人による特許出願(例えば、特願平8−248
485号)に記載された、エタノールによる方法を用い
ても良い。この製造方法によれば、生産物の分離精製が
容易にできる水溶性炭素源を用いて、高い生産効率、特
に高い蓄積濃度でラムノリピッドを発酵生産により製造
できる。また、精製物のみではなく、培養液や酸沈殿粗
精製物でも同様な効果が得られる。
【0011】この方法は、ラムノリピッド生産菌をエタ
ノールを含有する培地中で培養する。この際、培地中の
エタノール濃度が3%以下に維持される。培地中のエタ
ノール濃度が3%を超えると、ラムノリピッド生産菌の
発酵能が低下して、培地中のラムノリピッド蓄積濃度が
高くならない。また、エタノールは、炭素源となるた
め、培養の進行とともに上記生産菌により消費される。
そこで、培養中、培地にエタノールを断続的又は連続的
に添加することでエタノール濃度を3%以下となるよう
に維持する。エタノール濃度は、低すぎてもラムノリピ
ッドの生産速度が低下するので、例えば、1%以上とす
ることが適当である。
【0012】培地には、上記エタノール以外の栄養源を
適宜添加することができる。例えば、炭素源として、グ
ルコース、グリセリン、菜種油等を添加できる。また、
窒素源として、酵母エキス、大豆粉、ポリペプトン、コ
ーンスティープリカー(CSL)等を含有することがで
きる。培地に窒素源として酵母エキスを添加すると、ラ
ムノリピッド生産能が高まるという観点から好ましく、
例えば、0.5〜1.0%の酵母エキスを用いることができ
る。
【0013】さらに、酵母エキスに加えて大豆粉(エス
サンミート、味の素(株)製)を添加すると、ラムノリ
ピッド生産能の点で好ましく、0.5〜1%の大豆粉を用
いることが好ましい。
【0014】なお、2種以上の窒素源を用いる場合、そ
の合計が0.4〜1.2%の範囲であることが適当である。窒
素源の量が多すぎるとラムノリピッドの生産能が低下す
るので好ましくない。
【0015】培養温度及び時間等の培養条件は、使用す
るラムノリピッド生産菌の種類に応じて適宜決定でき
る。例えば、前述のラムノリピッド生産菌としてシュー
ドモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)IF
O 3924株を用いる場合、室温(例えば、20〜30℃)で、
例えば、100〜250時間培養することにより、ラムノリピ
ッドが培地に蓄積される。
【0016】ラムノリピッドが蓄積した培養物から、常
法によりラムノリピッドを採取することができる。培養
物からのラムノリピッドの採取及び精製には、例えば吸
着クロマトグラフィーが有効である。また、ラムノリピ
ッドはカルボキシル基を有することから、陰イオン交換
樹脂を使用して採取及び精製をすることもできる。
【0017】本発明の方法で処理対象となる含水油エマ
ルジョンには、自然に乳化を受けたものや、人為的に界
面活性剤などにより乳化されたもの、ラムノリピッド以
外の界面活性剤を使用して、乳化を試みたが、乳化でき
なかったものも含まれる。含水油エマルジョンは、予め
ラムノリピッドを含んでいるものでもよい。含水油エマ
ルジョンがラムノリピッドを含まないものの場合には、
含水油エマルジョンにラムノリピッドを添加する。
【0018】本発明では、このような含水油エマルジョ
ンにラムノリピッドを添加し、得られるエマルジョンの
pHを、エマルジョン中の油相と水相とが各相に分離し
易い値に調整するか、あるいは鉄塩を添加することによ
り、エマルジョンを油層と水層とに油水分離することが
できる。エマルジョン中の油相と水相とが各相に分離し
易いpH値は、エマルジョンに含まれる成分により変化
するので、処理対象となるエマルジョンの組成に応じて
適宜決定できる。通常は、含水油エマルジョンのpHを
5未満に調整することが適当である。含水油エマルジョ
ンのpHは、乳化破壊という観点からは、5未満の酸性
側であればよく、乳化破壊の程度に大きな差はない。従
って、乳化破壊後の処理のし易さを考慮すると、含水油
エマルジョンのpHは2〜4の範囲に調整することが好
ましい。
【0019】また鉄塩としては、FeSO4・7H2Oなどの2
ないし3価の鉄塩を挙げることができる。FeSO4・7H2O
以外の鉄塩としては、例えば、Fe2(SO43・nH2O、Fe
Cl2・nH2O、FeCl3・6H2O等を挙げることができる。鉄
塩の添加量は、処理対象となるエマルジョンの組成に応
じて適宜決定できる。例えば、処理対象となるエマルジ
ョン1リットル当たり、FeSO4・7H2Oの場合には1mg〜1g
の範囲とすることができる。他の鉄塩の場合も同等とで
きる。
【0020】ラムノリピッドを含まない、例えば、回収
した油廃液や他の界面活性剤などにより乳化された乳化
廃液のような含水油エマルジョンの処理は以下のように
行うことができる。回収した油廃液ないし乳化廃液1リ
ットルに対し、数倍の水とラムノリピッド1〜10gを添
加し、攪拌すると乳化され、ラムノリピッドを含むエマ
ルジョンが得られる。ラムノリピッドは粉末でも、水溶
液でも、攪拌により容易に混合することができる。但
し、粉末状ラムノラピッドを用いる場合、好ましくは、
数倍の水に粉末状ラムノリピッドを溶かした後に使用す
る。
【0021】得られたラムノリピッドを含むエマルジョ
ンのpHを5未満、好ましくは2〜4に調整することによ
り、乳化破壊が起こり、短時間にかつ完全に油層と水層
の2相に別れる。油層と水層とは、デカンテーションな
どの公知の操作により分離することができる。ラムノリ
ピッドを含むエマルジョンのpHの調整は、調整前のエマ
ルジョンのpHに応じて、酸またはアルカリを添加するこ
とにより行うことができる。酸またはアルカリは、固
体、液体(水溶液を含む)または気体のいずれであっても
よい。
【0022】また、鉄塩を使用する場合、ラムノリピッ
ドを含むエマルジョン1リットルに対して例えば、100mg
程度のFeSO4・7H2Oなどの2ないし3価の鉄塩を添加す
ることで乳化破壊が起こる。乳化破壊により、短時間に
かつ完全に油層と水層の2相に別れる。油層と水層と
は、デカンテーションなどの公知の操作により分離する
ことができる。エマルジョンのpHを調整する方法は、可
逆的な反復操作が容易であり、閉鎖系での処理の場合に
有効である。また、鉄塩を使用する方法は、特に液量が
多い系での乳化破壊に有効な手段である。
【0023】本発明の上記油水分離方法で油層から分離
した水層(廃水)は、乳化破壊により、油分の含有量は低
下しているが、少量の油分及びラムノリピッドのような
界面活性剤を含有する。この廃水は、例えば、微生物分
解処理に付すことにより、油分等を減少させることがで
きる。さらに、微生物分解処理後は、自然放置すること
により、不溶性塩類、固形物、微生物などを沈降除去
し、自然界に放流することも可能である。
【0024】本発明の上記油水分離方法においてラムノ
リピッドの使用量が多い場合であっても、微生物分解法
により処理すれば、環境に対する負担を軽減することも
できる。例えば、油を含む廃水液とラムノリピッドとの
混合液のpHを調整し、混合液を油相と水相とに分離し、
分離して得た水層の処理法について説明する。尚、油水
分離により得た水層と油層とからなる溶液は、好ましく
は、水層と油層とを分離し、分離して得た水溶液(廃水)
を以下の方法で処理することが良い。
【0025】例えば、廃水液1リットルあたり10g/
Lの魚粉(ないしは大豆粉)及び廃水液1リットルあた
り1g/Lの土を添加し、pHを5−7に調整後、室温
なしは外気温で攪拌ないしは通気し、菌を増殖させる。
土は、微生物が多く含まれるものであれば使用できる。
菌増殖後油分は消滅し、遠心、濾過、凝集剤による沈殿
などの操作により、焼却可能な不消化の窒素源を含む菌
体と、放流可能な水廃液が得られる。上記菌体として
は、ラムノリピッド及び油の分解性に優れるという観点
から、例えば、アルカリゲネス・フェカリス(Alca
ligenesfaecalis)、バシラス・マセラ
ンス(Bacillus macerans)、ボルデ
テラ・ブロンキセプティカ(Bordetella b
ronchiseptica)、フラボバクテリウム・
アロボレセンス(Flavobacterium ar
oborescens)などの菌体から選択される少な
くとも一種の菌液を使用することが好ましい。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに説明す
る。 実施例1 A型重油10mlと水10mlの液にA型重油あたり10から1g/Lの
ラムノリピッド濃度の範囲でラムノリピッドを添加し攪
拌乳化して、乳化液を得た。乳化液に水あたり1mg/lか
ら1g/Lの濃度範囲でFeSO4・7H2Oを添加後静置した。乳
化液に水あたり100mg/l以上のFeSO4を添加した場合に
は、短時間に2相分離した。この際のpHは8以下が適当で
ある。この乳化分離した液の水層は、後述する微生物処
理するとそのまま放流可能であり、油層は、デカンテー
ションなどの操作によりきれいな油分を上層として回収
することができる。対照として用いたTween80では、濃
度によらず1日静置しても分離することはなかった。結
果を表1に示す。また、A型重油10mlと水10mlの液にA型
重油あたり1から10g/Lのラムノリピッド濃度の範囲でラ
ムノリピッドを添加して、攪拌乳化して、水中油滴型乳
化液を得た。この水中油滴型乳化液のpHを例えば塩酸で
2から4に設定し、静置することによっても同様に分離し
た。5以上のpHでは分離しなかった。水のかわりに人工
海水(ハイマリン、ハイペット社製)を使用しても同様
に分離した。対照として用いたTween80では、分離する
ことはなかった。結果を表2に示す。
【0027】
【表1】 ◎:完全分離、○:部分的分離、×:分離せず
【0028】
【表2】 ◎:完全分離、×:分離せず
【0029】重油と水の混合比率を変えて検討した。
1)油1ml、水9ml、2)油2ml、水8ml、3)油3ml、水7
ml、4)油4ml、水6ml、5)油5ml、水5mlのどの条件で
も、重油あたり1g/L以上のラムノリピッド添加で完全な
乳化液を得た。水あたり100mg/L以上となる範囲でFeSO4
・7H2Oを添加後静置することにより短時間に2相分離
した。この際のpHは8以下が適当である。この乳化分離
された液の水層は、後述する微生物処理するとそのまま
放流可能であり、油層は、デカンテーションなどの操作
によりきれいな油分を上層として回収することができ
る。結果を表3に示す。対照として用いたTween80では濃
度によらず1日静置しても分離することはない。また、
得られた乳化液のpHを例えば塩酸で2から4に設定し、静
置することによっても同様に分離された。5以上のpHで
は分離しなかった。
【0030】実施例2 A型重油10mlと水10mlの液にA型重油あたり10g/LのTween
80を添加し1時間スターラーで激しく攪拌し、完全な水
中油滴型乳化液を得た。さらにA重油あたり1g/l〜10g/L
のラムノリピッドを添加後スターラー攪拌した。水あた
り100mg/L以上の濃度でFeSO4・7H2Oを添加、静置する
ことによって2相分離した。水中油滴型乳化液のpHを例
えば塩酸で3から5に設定し、静置することによっても
同様に分離された。この乳化分離された液の水層は、後
述する微生物処理するとそのまま放流可能であり、油層
は、デカンテーションなどの操作によりきれいな油分を
上層として回収することができる。5以上のpHでは分離
しなかった。水のかわりに人工海水を使用しても同様に
分離した。A型重油あたり1mg/L以下の濃度となるような
ラムノリピッドの添加では効果はなかった。
【0031】A型重油10mlと水10mlの液にA型重油あたり
100g/LのTween80を添加し1時間スターラーで激しく攪拌
し、完全な水中油滴型乳化液を得た。さらにA型重油あ
たり10mg/L、100mg/L、1g/L、10g/L濃度のラムノリピッ
ドを得られた乳化液に添加後スターラー攪拌した。水あ
たり100mg/LのFeSO4・7H2Oの添加、または乳化液のpH
を塩酸で4.0に設定し、静置することによっては2相分離
することはなかった。結果を表4及び5に示す。他の乳
化界面活性剤が多すぎる場合、乳化及び破壊するには、
多量のラムノリピッドを必要とする。
【0032】
【表3】 ◎:完全分離、×:分離せず
【0033】
【表4】 ◎:完全分離、○:部分的分離、×:分離せず
【0034】
【表5】 ◎:完全分離、×:分離せず
【0035】実施例3 A型重油とグリス(アポロイル、Autolex A、出光石油社
製)を2:1で攪拌し、粘度のある油を得た。このA型
重油とグリスの混合油10mlと、水10mlの液に、混合油あ
たり1〜10g/Lのラムノリピッドを添加し、スターラー攪
拌することにより完全な水中油滴型乳化液を得た。水あ
たり100mg/L以上となるようにFeSO4・7H2Oを添加後静
置することにより短時間に2相分離した。Tween80では濃
度によらず1日置いても分離することはない。結果を表6
に示す。水中油滴型乳化液のpHを例えば塩酸で2から4
に設定し、静置することによっても同様に分離した。こ
の乳化分離した液の水層は、後述する微生物処理すると
そのまま放流可能であり、油層は、デカンテーションな
どの操作によりきれいな油分を上層として回収すること
ができる。5以上のpHでは分離しなかった。水のかわり
に人工海水を使用しても同様に分離した。結果を表7に
示す。
【0036】つぎに、混合油と水の混合比率を変えて検
討した。1)油1ml、水9ml、2)油2ml、水8ml、3)油
3ml、水7ml、4)油4ml、水6ml、5)油5ml、水5mlのど
の条件でも、混合油あたり1g/L濃度以上のラムノリピッ
ド添加で完全な乳化液を得た。水あたり100mg/L以上のF
eSO4・7H2Oを添加後静置することにより短時間に2相分
離した。この乳化分離した液の水層は、後述する微生物
処理するとそのまま放流可能であり、油層は、デカンテ
ーションなどの操作によりきれいな油分を上層として回
収することができる。対照として用いたTween80では濃
度によらず1日静置しても分離することはない。乳化液
のpHを例えば塩酸で2から4に設定し、静置することに
よっても同様に分離された。結果を表8に示す。
【0037】
【表6】 ◎:完全分離、○:部分的分離、×:分離せず
【0038】
【表7】 ◎:完全分離、×:分離せず
【0039】
【表8】 ◎:完全分離、×:分離せず
【0040】実施例4 粘性のあるグリス5mlをビーカーの底にできるだけひろ
げ、グリス5mlと水10mlとを薬匙で激しく混合し、グリ
スあたり1〜10g/Lのラムノリピッドを添加して乳化液を
得た。水あたり100mg/L以上のFeSO4・7H2Oの添加後静
置することにより短時間に2相分離した。結果を表9に示
す。この乳化分離した液の水層は、後述する微生物処理
するとそのまま放流可能であり、油層は、デカンテーシ
ョンなどの操作によりきれいな油分を上層として回収す
ることができる。乳化液のpHを例えば塩酸で2から4に
設定し、静置することによっても同様に分離した。5以
上のpHでは分離しなかった。対照として用いたTween80
では濃度によらず1日静置しても分離することはない。
結果を表10に示す。
【0041】
【表9】 ◎:完全分離、○:部分的分離、×:分離せず
【0042】
【表10】 ◎:完全分離、×:分離せず
【0043】実施例5 窒素源0.5%、重油1%からなる培地を30ml含む250mlフラ
スコ、培地あたり1から10g/Lのラムノリピッドと、土壌
をミクロスパーテル1杯入れ、室温において振とう培養
した。窒素源として大豆粉、魚粉、乾燥酵母、肉エキ
ス、硫安、トウモロコシ粉を検討したところ、4日で大
豆粉と魚粉の場合に最も旺盛な菌生育を示した。シリカ
ゲル薄層クロマトグラフィーによる分離後、硫酸発色に
よる検出の結果、重油スポットは検出されず、100mg/L
以下であった。6個所の肥沃な土壌を試験したが、どの
場合も微生物の生育は良好であった。培養液の顕微鏡観
察の結果、原虫、細菌、酵母など土壌により様々な生物
が生育していた。シリカゲル薄層クロマトグラフィーに
よる分離後、硫酸オルシノール発色によるラムノリピッ
ドの測定をしたところ、添加量の1/2から1/4であった。
ラムノリピッドの代わりにTween80を検討したが菌の生
育はみられなかった。
【0044】なお、重油及びラムノリピッドの測定条件
は以下のようであった。 重油の測定条件 シリカゲルTLC(メルク社製、Art5715) 展開溶媒 クロロホルム:メタノール:水=80:1
5:1 ラムノリピッドのRf値 0.9付近 定量:硫酸を用いて発色させた後、クロマトスキャナー
(島津製作所製:CS9000)を用い、500nmの反
射光を測定し定量した。 ラムノリピッドの測定条件 シリカゲルTLC(メルク社製、Art5715) 展開溶媒 クロロホルム:メタノール:水=80:1
5:1 ラムノリピッドのRf値 0.2〜0.5 定量:硫酸オルシノールを用いて発色させた後、クロマ
トスキャナー(島津製作所製:CS9000)を用い、5
00nmの反射光を測定し定量した。
【0045】実施例6 殺菌されたニュートリエントブロス培地(Difco社
製)2mlを含む試験管に、所有する細菌100株を植
え、28℃で1日培養後、培地あたり1g/Lのラムノ
リピッドを添加し、さらに2日培養したあとのラムノリ
ピッド量を計測した。5株のラムノリピッドは10mg
/L以下とほぼ消失し、代わって脂肪酸と糖が検出され
た。その菌名はアルカリゲネス・フェカリス(Alca
ligenes faecalis)、バシラス・マセ
ランス(Bacillus macerans)、ボル
デテラ・ブロンキセプティカ(Bordetella
bronchiseptica)、フラボバクテリウム
・アロボレセンス(Flavobacterium a
rborescens)、シュードモナス・リボフラビ
ナ(Pseudomonsa riboflavin
a)である。分解産物が認められたものはこれらを含め
て18株である。
【0046】実施例7 大豆粉0.5%、重油1%、KHPO0.1%、N
aCl0.2%、MgSO・7HO0.05%から
なる培地を30ml含む250mlフラスコに、培地あ
たり1g/Lのラムノリピッドを添加し、土壌をミクロ
スパーテル1杯入れ、室温において振とう培養した。2
日目にシュードモナス・リボフラビナ(Pseudom
onas riboflavina)のニュートリエン
トブロス培地での一夜培養液を1ml添加し、さらに1
日培養した。シリカゲル薄層クロマトグラフィーによる
分離後、硫酸発色による検出の結果、重油スポットは検
出されず、重油の濃度は100mg/L以下であった。
シリカゲル薄層クロマトグラフィーによる分離後、硫酸
オルシノール発色によるラムノリピッドの測定をしたと
ころ、ラムノリピッドは検出されず、ラムノリピッドの
濃度は、10mg/mL以下であった。なお、重油及び
ラムノリピッドの測定は、実施例5に記載の測定条件と
同様に行った。ラムノリピッドの代わりにTween8
0を検討したが菌の生育はみられなかった。
【0047】
【発明の効果】本発明の油水分離方法によれば、含水油
エマルジョンを簡便かつ効果的に乳化破壊して、エマル
ジョンを水相と油相とに分離でき、かつ、油水分離後の
水層は微生物分解法による処理が可能である。さらに、
本発明の油水分離方法によれば、再利用可能であるか、
又はそのまま焼却処分できる程度に油中水分を低下させ
た油を回収でき、かつ処理剤の使用量が比較的少量で、
回収された分離後の廃水は生分解により処理可能であ
る。特に本発明の油水分離方法によれば、多量の含水油
エマルジョンであっても、短時間に油相と水相に分離す
ることができる。また、含水油エマルジョンを分離する
ための処理剤自体の量が軽減化されることにより、環境
への負担は少なくなる。また、含水油エマルジョンを分
離するための処理剤自体の量が軽減化されることによ
り、環境への負担は少なくなる。
【0048】また、本発明によればエマルジョンから分
離して得た水層(廃水)は、微生物にとって分解の容易な
ラムノリピッドを含むので、前述した微生物処理をする
とそのまま放流可能となり環境への負担は少なくなる。
一方、分離して得た油層は、再利用可能であるか、また
は、水分含有量も少なく焼却処分が容易である。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラムノリピッドを含有し、かつ水相と油相
    とからなるエマルジョン(以下、含水油エマルジョンと
    いう)のpHを、エマルジョン中の油相と水相とが各相
    に分離し易い値に調整して、油層と水層とを含む液を得
    ることを特徴とする含水油エマルジョンの油水分離方
    法。
  2. 【請求項2】含水油エマルジョンのpHを5未満に調整
    する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】ラムノリピッドを含有する含水油エマルジ
    ョンに鉄塩を添加して、油層と水層とを含む液を得るこ
    とを特徴とする含水油エマルジョンの油水分離方法。
  4. 【請求項4】含水油エマルジョンが油中水滴型エマルジ
    ョンまたは水中油滴型エマルジョンである請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】含水油エマルジョンが、ラムノリピッド以
    外の界面活性剤を含む請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載された
    油水分離方法により得られた水層に微生物分解処理を施
    す、水処理方法。
  7. 【請求項7】水層が、少なくともラムノリピッド及び油
    を含む請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 微生物としてアルカリゲネス・フェカリ
    ス(Alcaligenes faecalis)、バ
    シラス・マセランス(Bacillus macera
    ns)、ボルデテラ・ブロンキセプティカ(Borde
    tella bronchiseptica)、フラボ
    バクテリウム・アロボレセンス(Flavobacte
    rium arborescens)、シュードモナス
    ・リボフラビナ(Pseudomonsa ribof
    lavina)からなる群から選ばれる少なくとも一種
    の菌体を用いる請求項6または7に記載の方法。
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