JP2978469B2 - ウイスカ複合セラミックス粉末の製法およびその焼結体の製法 - Google Patents

ウイスカ複合セラミックス粉末の製法およびその焼結体の製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械的特性に優れ
たウイスカ複合セラミックスの原材料となるセラミック
ス粉末中にウイスカが均一に分散形成されたしたウイス
カ複合セラミックス粉末の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、セラミックス材料の機能性、強
度、靭性等の特性の著しい向上に伴い、セラミックスを
より多面的に利用する傾向がみられる。このような需要
に従い、信頼性の高い高強度、高機能、高靭性セラミッ
クスを安全、かつ、安価に製造する技術が望まれてい
る。
【0003】セラミックスの破壊靭性値を高めるための
一つの手段としては、ウイスカをマトリックス中に分散
することが行われている。例えば、窒化ケイ素は100
0℃を超す高温においても高い強度を示し軽量で、耐食
性、耐摩耗性および熱衝撃性に優れた材料として知られ
ている。このような窒化ケイ素マトリックス中にウイス
カを分散させたウイスカ分散セラミックスは、モノリシ
ックセラミックスに比べ、靭性、硬度、摩耗特性に優れ
ていることが知られている〔窯業協会誌、94、第55
〜59頁(1986)〕。
【0004】ウイスカ分散セラミックスは、通常、セラ
ミックス粉末とウイスカを機械的に均一に混合し、その
成形体を焼結する方法(特開平3−205378号公
報、特開平1−203260号公報)、セラミックス粉
末とウイスカを含むスラリーをドクターブレードにより
シート化したグリーンシートを複数枚積層して焼結する
方法(特開平3−290368)等がある。
【0005】また、セラミックス粉末にカーボン粉末、
金属触媒、および、塩化物またはフッ化物を添加した混
合粉末を、熱処理することで形成されるウイスカが分散
されたセラミックス粉末(金属触媒等を除去した粉末)
の成形体を焼結する方法(山田ら、ジャーナルオブ・マ
テリアル・リサーチ、1988年、第3巻、第3号、第
538〜544頁)等がある。
【0006】さらにまた、窒化ケイ素粉末にウイスカ生
成材として、SiまたはSiを含む無機化合物、Siを
含む有機化合物、非晶質の窒化ケイ素粉末、SiO2
カーボン等と金属触媒を添加し、窒素含有雰囲気中,1
400〜1650℃で熱処理することにより、窒化ケイ
素ウイスカが分散された窒化ケイ素の製法が特開昭59
−54678号公報および特開昭59−54679号公
報に記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ウイスカは一般に高価
なものであり、また、ウイスカとセラミックス粉末は大
きさも形状も異なるため、両者を均一に混合することは
一般に困難である。また、機械的混合はウイスカに欠陥
が生じたり破損する場合があり、実際に機械的混合法に
よるウイスカ複合セラミックスは、その靭性が向上しな
かったと云う報告も多数見られる。従って、ウイスカに
損傷を与えず均一にマトリックス中に分散させる方法が
望まれていた。
【0008】上記課題を解決すべく、セラミックスプロ
セッシングにてウイスカを生成させる方法については様
々な公知例があるが、未だ完全な方法は確立されていな
い。
【0009】例えば、セラミックス粉末にカーボン粉
末、金属触媒、および、塩化物またはフッ化物を添加し
た混合粉末により得られるウイスカ分散セラミックス粉
末を使用する際には、粉末中に残留した金属触媒等を除
去する工程が必要であり、その除去工程で約半分のウイ
スカが分解、消失してしまう。
【0010】また窒化ケイ素にウイスカ生成材を添加し
て熱処理する方法は、マトリックス材料である窒化ケイ
素とウイスカ生成材は反応せず、ウイスカ生成材がそれ
自身でウイスカに変態することにより、ウイスカ複合セ
ラミックスを得るものである。しかし、この方法ではウ
イスカ生成材からのウイスカの生成率が低く、また、ウ
イスカ生成材と窒化ケイ素との反応による溶融Siが局
所的に残留したり、Si22OやSiCの粒子が生成す
る場合があり、これらはいずれも焼結体の欠陥となる可
能性がある。
【0011】上記のように、従来方法で作製されたウイ
スカ複合セラミックスは、高強度と高靭性を両立したも
のは得られなかった。
【0012】本発明の目的は、高強度、かつ、高靭性の
ウイスカ複合セラミックスを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ウイスカ
複合化による機械的強度の低下を避け、また、金属触媒
等を用いずにウイスカ複合セラミックスを得る方法につ
いて検討し、本発明に至った。本発明の要旨は次のとお
りである。
【0014】(1) セラミックス粉末とカーボン質物
質とを用いたウイスカ複合セラミックスの原料であるウ
イスカ複合セラミックス粉末の製法であって、 前記セラ
ミックス粉末としてSi 3 4 ,Al 2 3 またはTiO 2
を用い、これと金属等の触媒を含まないカーボン質物質
とを混合し、 前記セラミックス粉末がSi 3 4 の場合に
は、窒素を含まない不活性ガス雰囲気中で熱処理して炭
化物ウイスカを形成し、 前記セラミックス粉末がAl 2
3 の場合には、窒素含有不活性ガス雰囲気中で熱処理
して窒化物ウイスカを形成し、 前記セラミックス粉末が
TiO 2 の場合には、窒素を含まない不活性ガス雰囲気
中または窒素含有不活性ガス雰囲気中で熱処理して炭化
物ウイスカまたは窒化物ウイスカをそれぞれ形成するこ
とを特徴とするウイスカ複合セラミックス粉末の製法
ある。
【0015】(2) 前記熱処理時の不活性ガス雰囲気
圧力が0.1〜198MPaであり、前記熱処理時の
温度が前記セラミックス粉末がSi 3 4 では1500〜
2000℃、Al 2 3 では1800〜2200℃、Ti
2 では1400〜1800℃である前記のウイスカ複
合セラミックス粉末の製法にある。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】() 前記ウイスカの含有量が5〜30
体積%となるよう前記カーボン質物質の添加量、不活性
ガス雰囲気の圧力、および、熱処理時の温度,時間を調
節する前記のウイスカ複合セラミックス粉末の製法にあ
る。
【0020】() 前記ウイスカ複合セラミックス粉
末を加圧焼結することを特徴とするウイスカ複合セラミ
ックス焼結体の製法にある。
【0021】
【発明の実施の形態】機械的混合法を用いないウイスカ
複合セラミックス粉末(以下、ウイスカ複合粉末と云
う)としては、カーボン質物質を添加したセラミックス
粉末を熱処理し、熱処理中にセラミックス粉末の一部ま
たは全部が反応することによって得られる。セラミック
ス粉末中の生成ウイスカは5〜30体積%が望ましい。
【0022】なお、上記原料とするセラミックス粉末に
は金属等の触媒を含まず、カーボン質物質の添加量も3
0重量%以下が望ましい。また、本発明のウイスカ複合
粉末を用いることにより、セラミックス粉末とウイスカ
の機械的な混合工程や、ウイスカ分散セラミックス粉末
からの触媒の除去工程を必要としないので、原料粉末の
製造コストを下げることができる。
【0023】前記セラミックス粉末を、窒素を含まない
不活性ガス雰囲気中0.1〜198MPaの圧力で熱処
理することにより、セラミックス粉末中に炭化物ウイス
カを均一に分散生成させることができる。
【0024】上記炭化物ウイスカは、セラミックス粉末
がSi34の場合は1500〜1800℃で、また、T
iO2の場合は1400〜1700℃の温度条件で熱処
理することが望ましい。
【0025】また、前記セラミックス粉末を、窒素含有
雰囲気中0.1〜198MPaの圧力で熱処理すること
により、セラミックス粉末中に窒化物ウイスカを均一に
分散生成させることができる。
【0026】上記窒化物ウイスカは、セラミックス粉末
がA23の場合は1800〜2200℃で、TiO2
の場合は1400〜1700℃の温度条件で熱処理する
ことが望ましい。
【0027】上記の温度よりも低温度で熱処理した場
合、ウイスカの原料となるウイスカ構成元素含有ガスの
平衡蒸気圧が低いためにウイスカが生成せず、また、上
記温度よりも高温度で熱処理した場合は、ウイスカ構成
元素含有ガスの平衡蒸気圧が高くなりすぎ、セラミック
ス粉末が融解する場合もあって、ウイスカが生成しな
い。
【0028】なお、本発明におけるウイスカ複合粉末中
のウイスカ生成量は、カーボン質物質の添加量を調節す
ることにより制御が可能であるが、高強度と高靭性を満
足するためには、ウイスカの生成量は5〜30体積%に
することが望ましい。
【0029】また、生成ウイスカの直径および長さは、
雰囲気圧力、熱処理温度および時間を調節することによ
り制御が可能である。
【0030】図1は本発明の製法により製造したウイス
カ複合粉末の模式図である。セラミックス粉末とカーボ
ン質物質の混合粉末を熱処理することにより、セラミッ
クス粉末1中にウイスカ2がin−situ生成してい
る様子を示す。機械的な混合工程を経ていないため、生
成されたウイスカ2には欠陥等がほとんど無い。
【0031】このようなウイスカ複合粉末を用いること
により高強度、高靭性のウイスカ複合セラミックスを得
ることができる。
【0032】本発明の製法は以下に述べる現象に基づい
たものであり、従来の方法とは区別される。即ち、従来
方法は、マトリックス粉末は未反応の状態で、ウイスカ
生成材のみがウイスカに変態するものである。しかし、
一般に反応してウイスカとなる原料を熱処理しても、そ
の全てがウイスカにはならず、ウイスカと微粒子の混合
物となる。これはウイスカ生成反応が一般に気相反応で
あるため、ウイスカと同組成の微粒子の生成が必ず伴
う。このため純粋なウイスカの製造プロセスでは、ウイ
スカのみを選別するための様々な工夫がなされており、
また、原料からのウイスカの収率を高めるために金属触
媒等を添加する方法もある。
【0033】ところがウイスカ生成過程の副産物として
生成するウイスカと同組成の微粒子は、セラミックス焼
結体のマトリックスを構成する材料に適している場合が
多い。
【0034】本発明では、マトリックス粉末の一部また
は全部を積極的に反応させることにより、ウイスカ複合
セラミックスを得るものである。また、一方、雰囲気の
圧力を高めることにより、ウイスカの原料となるガスの
平衡分圧も高くなり、ウイスカ生成温度を従来よりも高
めることができる。その結果、ウイスカ生成反応時間は
短縮され、ウイスカをより長く成長させることができ
る。本発明はこうした物理現象を巧みに利用したもので
ある。
【0035】本発明のウイスカ複合セラミックス粉末を
焼結することで得られるウイスカ複合セラミックスは、
例えば、火力発電用バーナディフューザ、金属工業用溶
融金属輸送パイプ、切削工具、耐摩耗工具等の材料とし
て好である。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0037】〔実施例 1〕純度99.99%のSi3
4粉末と純度99.99%のカーボンブラックをモル比で
1:1の割合で混合し、これをグラファイト製のボート
に入れ、グラファイトヒータを用いた焼結炉に入れた。
炉内を0.1MPaのアルゴンで充填し、昇温速度10
℃/minで1600℃まで昇温し、1600℃で2h
保持後、炉冷した。
【0038】冷却後の混合粉末を分析した結果、組成は
Si34+SiCであり、Si34粉末中に直径0.3
〜0.6μmφ×長さ20〜30μm程度のSiCウイ
スカが均一に生成していた。なお、上記と同様の方法で
温度のみ1400℃で熱処理した試料中には、ウイスカ
の生成は確認されなかった。
【0039】その他の圧力条件に関しても同様の方法で
検討し、その結果を表1の試料番号1,2,3で示し
【0040】本発明の有効性を確認するため、試料番号
1のSi34+10vol%SiCウイスカ、および、
これと同じ比率でSi34+10vol%SiCウイス
カをポットミルにて24時間機械的に混合した試料のホ
ットプレス焼結体(0.1MPa,N2中,1750℃,
50MPa加圧条件で1時間保持)の4点曲げ強度およ
び破壊靭性値を比較した。
【0041】Si34+10vol%SiCウイスカを
機械的混合により得られた後者の試料の4点曲げ強度、
破壊靭性値はそれぞれ660MPa、5.5MPa√m
であるのに対し、本実施例により得られた前者の試料で
は、それぞれ680MPa、7.0MPa√mであっ
た。
【0042】上記の各試料の研磨面のSEM像を観察し
た結果、機械的混合による試料に分散されているウイス
カは、端部が破損しているものが多く、破損部分にボイ
ドの存在するものが多かった。
【0043】このボイド部分が破壊起点の一つと考えら
れるが、本発明のウイスカ形成方法は、こうした破壊起
点の生ずるのを防ぐ効果的な方法であることが分かっ
た。
【0044】また、純度99.99%のSi34粉末と
純度99.99%のカーボンブラックをモル比で1:3
の割合で混合し、上記と同様の条件で焼結炉に入れた。
炉内を0.1MPaのアルゴンで充填し、昇温速度10
℃/minで1750℃まで昇温し、1750℃で2h
保持後、炉冷した。
【0045】冷却後の混合粉末を分析した結果、組成は
すべてSiCであり、SiC粉末中に直径1〜1.5μ
mφ×長さ80〜120μm程度のSiCウイスカが均
一に生成していた。
【0046】前記と同様に表1の試料番号3に記載のS
iC+30vol%SiCウイスカのホットプレス焼結
体と、同組成で機械的混合によるSiC+30vol%
SiCのホットプレス焼結体の4点曲げ強度および破壊
靭性値を比較した。
【0047】その結果、前者の本発明品の強度および靭
性はそれぞれ550MPa、6.5MPa√mであり、
後者の機械的混合によるものはそれぞれ550MPa、
5.8MPa√mであった。
【0048】上記試料の研磨面をSEM観察した結果は
前記と同様に、機械的混合した試料のウイスカ端部には
破損が観察され、同時にボイドも確認された。
【0049】このようにして、Si34+C混合粉末を
様々な温度、窒素分圧条件で熱処理した場合の試料中に
SiCウイスカが生成する条件をまとめ図2に示す。
【0050】図2において、縦軸はウイスカ生成反応に
関する過飽和度(logΣ)、横軸に熱処理温度(T/
℃)をとり、曲線は雰囲気の窒素分圧で、ウイスカが生
成した条件には黒○印を、生成しなかった条件には×印
を示す。
【0051】ここで過飽和度とは、ウイスカ原料ガスの
実際の分圧と平衡分圧の比であり、その値が1より大き
い場合は、系に存在するウイスカ原料ガスが非平衡に過
剰に存在することを意味する。この考え方は、SiC以
外のウイスカに関しても適用ができ、以下の実施例にそ
の結果を示す。
【0052】〔実施例 2〕純度99.99%のAl2
3粉末およびカーボンブラックをモル比1:2で混合
し、グラファイト製るつぼに入れ、グラファイトヒータ
を用いた熱間等方加圧装置に入れた。炉内を9.8MP
aの窒素で充填し、昇温速度10℃/minで1800
℃まで昇温し、1800℃で2h保持後、炉冷した。
【0053】冷却後の粉末を分析した結果、組成はAl
Nであり、AlN粉末中に直径0.3〜0.5μmφ×長
さ30〜50μm程度のAlNウイスカが均一に生成し
ていた。
【0054】同様の方法で、1600℃で熱処理した試
料中には、ウイスカの生成は確認されなかった。その他
の圧力条件に関しても同様の方法で検討し、その結果を
表1に試料番号6,7に示した。
【0055】〔実施例 3〕実施例2と同様に、純度9
9.99%のTiO2およびカーボンブラックをモル比
1:1で混合し、熱間等方加圧装置に入れた。炉内を窒
素で充填し、昇温速度10℃/minで1600℃まで
昇温し、窒素圧力78MPa下、1600℃で2h保持
後、炉冷した。
【0056】冷却後の粉末を分析した結果、組成はTi
Nであり、TiN粉末中に直径0.3〜0.5μmφ×長
さ10〜20μm程度のTiNウイスカが均一に生成し
ていた。
【0057】熱処理温度を1800℃まで上昇した場
合、試料中にウイスカの生成は確認されなかった。ま
た、同混合粉末に対して、同様の熱処理を0.1MPa
のAr雰囲気中、1600℃で行った場合には、試料中
に直径0.1〜0.5μmφ×長さ20〜30μmのTi
Cウイスカが均一に生成していた。その他の圧力条件に
関しても同様の方法で検討した結果を表1の試料番号
8,9,10に示した。
【0058】
【表1】
【0059】〔実施例 4〕実施例1と同様に、純度9
9.99%のSi34粉末と純度99.99%のカーボン
ブラックをモル比で1:3、3:1および3:2の割合
でそれぞれ混合した混合粉末を、グラファイト製ボート
に入れ、グラファイトヒータを用いた焼結炉に入れ、ア
ルゴン雰囲気中で熱処理を行った。熱処理温度、圧力お
よび保持時間を調節することにより生成するウイスカの
量、直径、長さを比較した。
【0060】熱処理後の混合粉末をSEMにより観察
し、生成ウイスカの直径、長さを測定し、その平均値を
表2に示す。
【0061】本実施例により、カーボンブラックの添加
量と生成ウイスカ量が対応することが分かった。また、
系の圧力を高めることによりウイスカ原料ガスの平衡分
圧が高くでき、それに伴い従来よりも高温でウイスカ生
成反応を進行させることができた。その結果、粉末中に
おいてもウイスカを太く、長く成長させることができる
ことが分かった。
【0062】
【表2】
【0063】〔実施例 5〕実施例1で得られた試料番
号1に記載のSiCウイスカ分散Si34粉末に、5重
量%のAl23および5重量%のY23を添加し、らい
かい機にて混合しながらPVB(ポリビニルブチラー
ル)のエタノール溶液を添加(PVB添加量1重量%)
して、混合粉末の成形性を高めた後、混合粉末を直径6
0mm×厚さ10mmに成形し、1MPaの窒素中17
50℃、圧力条件50MPaにてホットプレスを行っ
た。
【0064】得られた焼結体の相対密度は97%、抗折
強度980MPa、破壊靭性10.5MPa/√m、ビ
ッカース硬度16.5GPaであり、耐熱部材や切削工
具に適する特性を有することが分かった。
【0065】得られた焼結体をJISB4121に記載
の四角形G級穴なしネガティブチップSNGN432の
形状に加工し、次の条件で切削テストを行い、フレーキ
ングの有無およびフランク摩耗幅を評価した。
【0066】 被削材 :インコネル718 切削速度:250m/min 送り :0.35mm/rev 切込み :1.0mm その結果フレーキングは認められず、またフランク摩耗
幅は0.33mmであり、該焼結体が切削工具に適して
いることが分かった。
【0067】〔実施例 6〕実施例5に記載のホットプ
レス焼結体をJISの曲げ試験片に準じ、断面形状が3
mm×4mmの長方形で、長さ60mmの角柱に加圧成
形した。試験片の両端を試料ホルダで固定した後、高温
耐久性試験装置に組み込んだ。
【0068】試験装置上流部から供給されるLPG燃料
を燃焼空気と共に燃焼させ、平均ガス温度1500℃、
最高ガス温度1530℃、絶対圧力0.16〜0.17M
Pa、酸素濃度約8%、平均ガス流速150m/sの条
件で試験片に燃焼ガスを導く曝露試験を行った。
【0069】上記の曝露試験を最高1000時間まで行
った結果、試料の側面方向幅は約30μm増加、重量は
約120mg減少、抗折強度は750MPaにまで低下
したものの、実用上さしつかえのない程度で、本発明品
は耐熱部材に適していることが分かった。
【0070】
【発明の効果】本発明のウイスカ複合セラミックス粉末
は、含まれるウイスカに欠陥が無く、従って、該粉末を
用いたウイスカ複合セラミックスは高強度、高靭性の両
特性を満足できるものであった。これにより、優れた特
性の切削工具や耐熱部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウイスカ複合粉末の模式図である。
【図2】熱処理条件とSiCウイスカの生成の関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
1…セラミックス粉末、2…ウイスカ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安富 義幸 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所 日立研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−107861(JP,A) 特開 昭63−190752(JP,A) 特開 昭63−182254(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/80

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス粉末とカーボン質物質とを
    用いたウイスカ複合セラミックスの原料であるウイスカ
    複合セラミックス粉末の製法であって、 前記セラミックス粉末としてSi 3 4 ,Al 2 3 または
    TiO 2 を用い、これと 金属等の触媒を含まないカーボ
    ン質物質とを混合し、 前記セラミックス粉末がSi 3 4 の場合には、窒素を含
    まない不活性ガス雰囲気中で熱処理して炭化物ウイスカ
    を形成し、 前記セラミックス粉末がAl 2 3 の場合には、窒素含有
    不活性ガス雰囲気中で熱処理して窒化物ウイスカを形成
    し、 前記セラミックス粉末がTiO 2 の場合には、 窒素を含
    まない不活性ガス雰囲気中または窒素含有不活性ガス
    囲気中で熱処理して炭化物ウイスカまたは窒化物ウイス
    カをそれぞれ形成することを特徴とするウイスカ複合セ
    ラミックス粉末の製法
  2. 【請求項2】 前記熱処理時の不活性ガス雰囲気の圧力
    が0.1〜198MPaであり、前記熱処理時の温度が
    前記セラミックス粉末がSi 3 4 では1500〜200
    0℃、Al 2 3 では1800〜2200℃、TiO 2
    は1400〜1800℃である請求項1に記載のウイス
    カ複合セラミックス粉末の製法
  3. 【請求項3】 前記ウイスカの含有量が5〜30体積%
    となるよう前記カーボン質物質の添加量、不活性ガス雰
    囲気の圧力、および、熱処理時の温度,時間を調節する
    請求項1または2に記載のウイスカ複合セラミックス粉
    の製法
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3に記載のウイスカ
    複合セラミックス粉末を加圧焼結することを特徴とする
    ウイスカ複合セラミックス焼結体の製法
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