JP2974480B2 - スペクトル拡散通信方法およびスペクトル拡散通信における相関信号観測装置 - Google Patents

スペクトル拡散通信方法およびスペクトル拡散通信における相関信号観測装置

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電灯線等を伝送路とす
るスペクトル拡散(Spread Spectrum、以下SSという)
通信方式に関し、特にその相関信号の観測に関するもの
である。
【0002】
【関連技術】電灯線はすべての家庭に入っているので、
これを家庭内の情報伝送媒体として見た場合、経済性,
拡張性に富んだ非常に有効な情報伝送媒体といえる。し
かし電灯線には、照明器具,空調機器,TVなど多種多
様な電気機器が接続されているので、これら電気機器の
使用・不使用(電源のON・OFF等)によって、電灯
線の伝送特性が時々刻々と変化し、例えば、TVやスイ
ッチング電源を使用している場合には電源周波数に同期
して位相特性が急激に変化する。このように、電灯線の
伝送特性は平坦ではなく、不安定であるので良質なデー
タ伝送が難しい。
【0003】その対策として、伝送路の特性変動に強い
とされているSS通信方式の導入が検討されている。こ
のような状況のもとで、本発明者は、電灯線伝送に好適
な“スペクトル拡散通信方式および装置”を特願平3−
143153号として提案している。本発明は、この提
案の方式,装置等に用いられるものである。この提案は
公知ではないので以下“関連技術例”として説明する。
【0004】図5は関連技術例の受信部のブロック図で
ある。この受信部は、不図示の送信部から、送信データ
の論理“0”、論理“1”に応じて、それぞれ第1のP
N(Pseudo Nois) 系列(以下PN0という)、このPN
0に対して所定位相ずらせた第2のPN系列(以下PN
1という)を割当てた信号を受信するものである。
【0005】図5において、10はPN0用相関器(P
N0.CORR,整合フィルタ)であって、受信信号S
1とPN0との相関値S2を出力する。11はPN1用
相関器(PN1.CORR,整合フィルタ)であって、
受信信号S1とPN1との相関値S3を出力する。PN
0用相関器10,PN1用相関器11は、A/D変換さ
れた受信信号S1を入力されるシフトレジスタの各段の
値とPNコードパターン発生器の各段の値を乗算して、
その乗算値を加算器で加算する構成となっている。
【0006】12は比較器であって、PN0用相関器1
0の出力S2とPN1用相関器11の出力S3との大小
を比較して、その出力S4をD形フリップフロップ13
のD入力端に供給する。14はオア回路、15はセレク
タである。このセレクタ15は、同期捕捉完了後は比較
器12の出力S4を選択指令信号S5として、PN0用
相関器10の出力S2とPN1用相関器11の出力S3
のうち大なる方を選択してピーク検出器16に供給す
る。このピーク検出器16はPN系列1周期の間のピー
ク値VP (VP0,VP1)とピーク位置(同期点)TP
(TP0,TP1)を検出して同期制御部17へ送出する。
同期制御部17は、同期捕捉完了前は、選択指令信号S
7を送出し、ピーク値VP0とピーク位置TP0とを観測し
て同期捕捉を行い、同期捕捉完了後はピーク位置TP0
P1に同期したクロックckをフリップフロップ13の
クロック入力端ckに供給するとともに、このピーク位
置TP0,TP1を見失わないように(ピーク位置がPN系
列1周期の中心になるように、PN0用相関器10,P
N1用相関器11に与えるクロックCS を制御して前記
ピーク位置TP を追跡する。
【0007】このように、関連技術例では、受信したP
N系列1周期毎に現れるピークを検出して同期動作を行
い、このピークがPN0用相関器10の出力S2に現れ
たときは、論理“0”に復調し、PN1用相関器11の
出力S3に現れたときは、論理“1”に復調するもの
で、ピークがどちらの相関器に現れたかを判定できれ
ば、データの復調ができる。本例では、相関出力S2,
S3の大小を比較する比較器12,セレクタ15,ピー
ク検出器16で前記判定を行っており、2つの相関出力
のピーク値とピーク位置さえ検出できればよい。この判
定は比較的正確・確実に行うことができ、相関出力とし
きい値との大小関係に基づき復調するものではないか
ら、伝送特性が急激に変化して相関出力の波形が急激に
変わっても、同期捕捉,同期保持を行うことができ、安
定した通信を行うことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで前記関連技術
例では、相関器10,11の出力S2,S3に、検出し
なければならない正しいピークの他に、ピークとピーク
の間に2次的ピークが現れる。そして、この2次的ピー
クをピーク検出器16が検出して誤動作するおそれがあ
る。
【0009】本発明は、このような事情にかんがみてな
されたもので、同期捕捉完了後に、2次的ピークを正し
いピークとして同期追跡したり、データ復調したりする
ことがないようにする相関信号観測方法,装置を提供す
ることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明では、スペクトル拡散通信における相関信号
観測方法,装置を次の(1),(2)のとおりに構成す
る。
【0011】(1)同期捕捉完了前は、所定のデータ期
間において相関信号を観測し、同期捕捉完了後は、相関
信号のピークが現れる時点を含む、前記データ期間の長
さを短く変更した前記データ期間より短い期間において
相関信号を観測するスペクトル拡散通信方法。
【0012】(2)所定のデータ期間に対応する信号を
生成する第1の信号生成回路と、相関信号のピークが現
れる時点を含む前記データ期間より短い期間に対応する
信号を生成する第2の信号生成回路と、同期捕捉完了前
は前記第1の信号生成回路の出力を選択して出力し、同
期捕捉完了後は前記第2の信号生成回路の出力を選択し
て出力する信号選択回路とを備えたスペクトル拡散通信
における相関信号観測装置。
【0013】
【作用】前記(1),(2)の構成により、同期捕捉完
了前は、所定のデータ期間の全てにわたって相関信号を
観測し、同期捕捉完了後は、相関信号のピークが現れる
時点を含む前記データ期間より短い期間にわたって相関
信号を観測してピークを検出する。
【0014】
【実施例】以下本発明を実施例により詳しく説明する。
図2の一点鎖線で囲まれた部分が本実施例の“スペクト
ル拡散通信における相関信号観測装置”である。その一
部分である同期制御部の一部17bは、図1に示す構成
を備え、ピーク検出器16にイネーブル信号Enを供給
し、ピークを観測するタイミングを制御している。図3
は本実施例の説明図であり、図4は本実施例の要部のタ
イムチャートである。図2の他の部分は関連技術例と同
様に構成され同様に動作する。
【0015】いまPN系列を符号長31チップとし、ク
ロックを1チップの8倍にすると、データ1ビットに1
つのPN系列を割り当てるので、248クロックでデー
タ1周期期間となる。カウンタ1をダウンカウンタとす
ると図4に示すようにカウンタ値247からデータの1
周期期間が始まり、0でデータの1周期期間が終わる。
同期追跡の操作をしないときダウンカウンタ1には、0
のあと247がロードされ、再びカウントを始める。同
期追跡の操作では、データ期間終了時、相関ピークが現
れる位置が常にカウント値124になるようにカウンタ
1のロード値を設定する。ここではロード信号発生回
路,ロード値設定回路などは省略してある。
【0016】また、同期捕捉完了後は観測期間を短くし
て観測窓とし、これをカウンタ値124を中心に±32
の幅で設定する。すなわち、カウンタ値156以下92
以上が観測窓の期間である。これはPN系列では±4チ
ップ分に相当する。
【0017】カウンタ値が247〜0のとき、ナンドゲ
ート6の出力信号aがアクティブ(ここでは“L”)に
なり、カウンタ値が156以下92以上のときナンドゲ
ート7の出力信号bがアクティブになる。セレクタ8
は、外部からの制御信号dが“H”のとき信号aを、d
が“L”のとき信号bを出力信号cとして出力する。キ
ャリア検出・同期捕捉時すなわち同期捕捉完了前には、
dに“H”を、同期捕捉完了後の同期追跡時(データ復
調時)にはdには“L”を設定する。そしてセレクタ8
の出力信号cは図2に示すようにピーク検出器16のイ
ネーブル信号Enとして用いる。すなわち信号cが
“L”のときピーク検出器16はアクティブとなりピー
クの観測を行う。
【0018】こうすることによりキャリア検出・同期捕
捉時には、データ期間全体にわたって相関信号を観測
し、捕捉完了後の同期追跡時(データ復調時)には観測
窓の中だけで相関信号を観測しピークを検出することと
なる。キャリア検出・同期捕捉時には同期信号としてた
とえば“0”が連続して送信されるので2次的なピーク
は発生せず、データ期間全体にわたって相関ピークを検
出し、図示しない同期捕捉回路がピーク位置を観測窓の
中心に引き込む(ピーク位置がカウンタ値124になる
ようにカウンタ1のロード値を設定する)。同期捕捉完
了後、同期追跡,データ復調中は2次的なピークが発生
するが、観測窓の中でのみ相関値の観測を行うから、2
次ピークの発生位置を誤って同期点とすることはない。
【0019】観測窓としては、電灯線の特性の急激な変
動等により正しい相関ピーク位置がずれても、観測窓か
ら相関ピークが出ないように、しかも2次的なピーク位
置がずれても観測窓の中に入らないように、観測窓の幅
を決めなければならない。このように観測窓の幅を決め
ると正しく同期追跡の動作が行える。図3においては、
データ“0”に対するPN系列PN0に対して、データ
“1”に対するPN系列PN1は17チップ遅れている
(14チップ進んでいる)場合であり、この程度両系統
列に位相差をもたせると前記条件を満たすように観測窓
の幅を決めることは可能である。
【0020】なお、実施例では信号cをピーク検出器1
6のイネーブル信号としているが、本発明はこれに限定
されるものではなく、例えば相関器10,11またはセ
レクタ15のイネーブル信号として実施することもでき
る。
【0021】また、所要のPN系列としては、PN0,
PN1に限定されるものではなく、適宜の、2つの異な
るPN系列を用いることができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
同期捕捉完了後は、相関信号の観測期間を短くしている
ので、2次的な相関ピークを正しい相関ピークと間違え
て同期追跡したり、データ復調したりすることがない。
【0023】また、すべてディジタル回路で構成できる
ので、低コスト,小型化でき信頼性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の要部のブロック図
【図2】 実施例およびその周辺の回路を示すブロック
【図3】 実施例の説明図
【図4】 図1の回路のタイムチャート
【図5】 関連技術例の受信部のブロック図
【符号の説明】
1 ダウンカウンタ 2〜5 コンパレータ 6,7 ナンドゲート 8 セレクタ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信側では、送信データの複数の論理に
    応じて、それぞれPN系列を割当てていずれか一つのP
    N系列を送信し、受信側では、前記送信データを受信
    し、受信データと送信側で用いたのと同じ複数のPN系
    列との相関を取り複数の相関信号を求め、前記相関信号
    のピーク値とピーク位置から同期捕捉を行うとともに前
    記ピーク値の大小に応じて送信データを復調するスペク
    トル拡散通信方法であって、 同期捕捉完了前は、所定のデータ期間において相関信号
    を観測し、同期捕捉完了後は、相関信号のピークが現れ
    る時点を含む、前記データ期間の長さを短く変更した
    記データ期間より短い期間において相関信号を観測する
    ことを特徴とするスペクトル拡散通信方法。
  2. 【請求項2】 所定のデータ期間に対応する信号を生成
    する第1の信号生成回路と、相関信号のピークが現れる
    時点を含む前記データ期間より短い期間に対応する信号
    を生成する第2の信号生成回路と、同期捕捉完了前は前
    記第1の信号生成回路の出力を選択して出力し、同期捕
    捉完了後は前記第2の信号生成回路の出力を選択して出
    力する信号選択回路とを備えたことを特徴とするスペク
    トル拡散通信における相関信号観測装置。
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