JP2974426B2 - ソフトシャーベットミックス及びその製造方法 - Google Patents

ソフトシャーベットミックス及びその製造方法

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JP2974426B2 JP3031727A JP3172791A JP2974426B2 JP 2974426 B2 JP2974426 B2 JP 2974426B2 JP 3031727 A JP3031727 A JP 3031727A JP 3172791 A JP3172791 A JP 3172791A JP 2974426 B2 JP2974426 B2 JP 2974426B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フリーザーで凍らせオ
ーバーランを出しソフトクリーム様に絞り出しが可能な
いわゆるソフトシャーベットミックス及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にシャーベットとは、果汁を主体と
し、これに砂糖、安定剤などを加えアイスクリーム様に
凍らせたものをいい、その中でも特にソフトクリーム様
にオーバーランを出し絞り出したものをソフトシャーベ
ットという。ソフトシャーベットは、ソフトクリーム用
のソフトフリーザーにて同様に製造することができ、
又、嗜好の多様化にも応え得るものとして、今後の需要
が期待される。
【0003】ところで、従来より、製造及び管理の便
宜、品質の一定化等を鑑み、事前に原料を配合し調製し
た各種ミックスが上市されている。しかし、従来のシャ
ーベットミックスは冷却して貯蔵する場合、静置中にミ
ックスの成分が分離を起すため、流通過程等でミックス
の品質が劣下し、安定的に一定品質のシャーベットを製
造することが困難であった。従って、それらミックスは
ソフトシャーベット、シャーベットセーキ、シェイク等
へ利用されることはほとんどなく、用途としては、単に
凍結硬化させたハードシャーベットとしての利用に限ら
れていた。例えば、ソフトシャーベットでは、フリーザ
ーから絞り出し可能でかつ保形性がなくてはならず、更
に、食感上、シャーベット特有のザラついたさわやかな
特性が要求される等、単に凍結硬化させたハードシャー
ベットとは全く異なる品質特性が求められるためであ
る。
【0004】このようにソフトシャーベットをハードシ
ャーベットと同一視することはできず、ハードシャーベ
ット用ミックスを用いても良好なソフトシャーベットは
製造できない。
【0005】一方、ソフトシャーベットミックスについ
てはほとんど研究がされていないのが現状で、前述した
問題点もあり上市されたものはほとんどない。
【0006】従来技術としては、特開昭48−4446
5号公報に、冷却貯蔵において分離を生じないシャーベ
ットミックスとして、主原料配合物を混合、乳化する
際、植物ガム質、乳化剤及び低メトキシルペクチンを添
加することによって、ミックスの分離現象を防止する技
術が開示されている程度である。
【0007】本願発明者らの追試によれば、上記技術に
より冷蔵貯蔵下におけるミックスの分離現象は防止し得
るが、温度に対し不安定で、ミックス製造工程における
滅菌処理に耐えられず、又、常温流通には不適であるこ
とが判った。更に、これを用いて製造したソフトシャー
ベットは口当りが滑らかで、後味が重く、オーバーラン
が出てあまり冷たさを感じさせないというもので、ソフ
トクリームと共通する特性を有しており、シャーベット
に要求されるべき特性を具備しないものであった。従っ
て、ハードシャーベットに利用されても、ソフトシャー
ベットへの利用は期待できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の現状に鑑み、シャーベット特有の特性を有し、かつ
長期保存しても分離等の品質劣下を起さず、ソフトフリ
ーザーで容易に製造できる、ソフトシャーベットミック
ス及びその製造方法を提供する。
【0009】即ち、前記従来技術では冷蔵貯蔵中のミッ
クスの分離現象を防止するため、粘性物質を添加し固形
分量を増加させているが、この結果として、ソフトシャ
ーベットとした場合の保形性は付随的に向上しても、シ
ャーベット特有の食感を損ね、商品価値を減殺していた
点を解決する。
【0010】更に、本発明は、従来技術では言及されて
いないフリージングに伴う種々問題点、特にフリーザー
出口から締り出す際の氷結晶によるブロッキング現象を
有効に防止し得るミックスを提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、果汁、糖類及
び安定剤から少なくとも成る液状シャーベットミックス
であって、主要安定剤として、増粘性及びゲル化能が弱
く乳化安定性に優れた水溶性多糖類高分子、不溶性多糖
類高分子、および高アミロペクチン澱粉を含有している
ことを特徴とするフリージング可能なシャーベットミッ
クスである。又、該シャーベットミックスを製造する方
法であって、果汁及び必要により添加される酸味料を除
く原料を混合、加熱し、高アミロペクチン澱粉を糊化さ
せあるいは糊化させないまま、つづいて前記果汁及び酸
味料を添加し、均質、滅菌する工程を包含するシャーベ
ットミックスの製造方法である。
【0012】本発明によれば、熱安定性に優れ常温貯蔵
においても長期間保存可能で、ソフトフリーザーを用い
ブロッキングを起すことなく容易にシャーベットを製造
でき、かつ得られるシャーベットは保形性に優れるのみ
ならず、後味が良く、シャーベット特有のザラザラした
冷たい食感を保持するという特性を実現し得る。
【0013】ソフトシャーベットは、ソフトフリーザー
によりソフトクリーム様に絞り出し、例えばコーン上に
巻き落としながら成形する。
【0014】ここで、ソフトクリームのように口当りが
滑らかで、冷たさをあまり感じさせず、重い後味を有す
るような均質な組織であれば、オーバーランを適当に出
し、粘度を調整すれば安定した巻きで絞り出すことは比
較的容易である。
【0015】このような均質組織に寄与する成分は、第
一に乳脂肪、乳蛋白質等の乳成分であり、これに乳化剤
が加わり全体として均一な乳化系を形成している。
【0016】ところが、シャーベットは特有の食感を付
与するため果汁、糖類、安定剤等を中心として構成さ
れ、糖類等の固形分量は多いが全体として酸性の希薄な
水分散系であり、流通過程におけるミックスの分離現象
も防止しずらい。一方、組織を安定化し分離を防止する
ため増粘剤等を増量すればフリージングした際に氷の結
晶が微細化し、食感はスムーズとなってシャーベット特
有の食感が損われ、シャーベットとしての商品価値は大
幅に低減する。このようにソフトシャーベットではソフ
トクリームとはまったく異なる技術的課題があり、新し
い観点から検討を加えなければならない。本願発明者ら
は、ソフトシャーベットミックスの品質を改良すべく鋭
意研究を重ねた結果、次に示す知見を得た。
【0017】1.ミックスの粘度を上げると、一般傾向
として、流通過程におけるミックスの分離現象を抑制し
かつ得られるシャーベットの保形性(30℃環境温度で
の保形性)を改善し得る反面、得られるシャーベットは
アイスクリーム様の食感に近くなり、後味が重くなる。
組織が微細となり、氷の結晶も小さく、かつオーバーラ
ンが比較的高くなるためである。
【0018】2.冷蔵貯蔵における安定性は耐熱性と関
連がない。従来技術において用いられているローカスト
ビンガムは優れた冷蔵安定性を示すが、滅菌工程におけ
るミックスの分離、凝固の原因となり、かつ常温貯蔵で
は効果が乏しい。
【0019】3.ミックスの粘度を下げると、貯蔵中の
分離現象は促進されかつ得られるシャーベットの保形性
が劣化し解け易くなる反面、フリーザー中で氷の比較的
大きな結晶が生成されるため清涼感のあるシャーベット
特有の食感が得られる。又、氷の結晶が大きくなれば、
フリーザー出口でブロッキングを起し易くなる。
【0020】4.ミックスのpHは酸性であり、かつ各
種の果汁が用いられるため、その影響を考慮する必要が
ある。現にオレンジとピーチのそれぞれの果汁におい
て、適正な安定剤の量が相違することが判っている。こ
れは果汁ペクチン,pHや金属イオン濃度等の相違に関
連していると考えられる。
【0021】5.全固形分量を増加すると、ミックスの
分離防止に有効となり得る一方、不溶性のものが多けれ
ば安定性が損われる場合があり、又可溶性のものを増量
すれば、味覚に影響を与えるかあるいは増粘する。
【0022】このように、優れたソフトシャーベットミ
ックスを実現するには相反する効果を生ずる多数の要因
を検討していく必要がある。対立概念を整理すれば、ミ
ックスの冷蔵貯蔵保存性〜耐熱性,常温貯蔵保存性、シ
ャーベットの保形性〜清涼感、フリーザーのブロッキン
グ防止〜シャーベットのザラつく食感(粗い組織)、ミ
ックスの安定性(粘度増加)〜シャーベットの口当り,
後味,オーバーラン等である。又、時系列でいえば、ミ
ックスの製造段階→ミックスの流通段階(保存)→シャ
ーベットの製造段階→得られたシャーベット自体の4段
階においてそれぞれの問題が顕在化する。従来技術で
は、全工程において総合的に課題を解決する手段がな
く、専ら、部分的解決にとどまるものであった。本発明
者らは、従来相反する概念と考えられていた上記対立概
念の両者を同時に実現するべく鋭意研究の結果、特定の
安定剤の組み合せにより前述した課題をすべて解決する
ことができることを見い出し、本発明に至った。以下、
本発明を詳述する。
【0023】本発明の対象は、前述したように、果汁、
糖類及び安定剤から少なくとも成る液状シャーベットミ
ックスであり、その特徴は、主要安定剤に、増粘性、ゲ
ル化性が弱く乳化安定性に優れた水溶性多糖類高分子、
不溶性多糖類高分子、および高アミロペクチン澱粉の組
み合せを用いることにある。
【0024】まず、本発明のシャーベットミックスは、
果汁、糖類及び安定剤から少なくとも成るが、必要によ
り油脂、乳化剤、酸味料、香料、着色料、及び果肉等を
含有してもよい。シャーベットには明確な規格等はな
く、通常シャーベットとして認識され得るものは、本発
明にいうシャーベットに該当する。米国では乳固形分2
%以上、5%以下、乳酸酸度が0.35%以上と規定されて
いるが、本発明においては、シャーベットは果汁を含有
しpHは酸性であり、通常は4.30以下のものをいう。
【0025】又、液状シャーベットミックスであるから
粉末状、顆粒状等の形態のものは含まれない。濃縮タイ
プの場合は、最終段階で希釈され所定の液状シャーベッ
トミックスとなるのであるから間接的に包含される。
【0026】シャーベットミックスの基本的配合例を示
せば以下の通りである。但し、これに限定されるもので
はない。
【0027】 果汁は濃縮果汁でよいが、その場合は果汁の配合量は濃
縮程度により調整する。糖類は砂糖が一般的であるが、
各種糖類を用いることもできる。水あめ、はちみつ等も
適宜用いてよい。これら糖類は任意に選択し得る。果汁
の種類はオレンジ、ピーチ、アップル、レモン、グレー
プ等、制限なく用い得る。但し、配合量は果汁の種類に
より適宜調整する。これは風味等の強さが個々で異なる
からである。又、果汁によってはミックスの安定性に影
響を及ぼすものがあることを考慮する。果汁及び糖類は
シャーベットの商品特性を決定する主要成分であり、こ
の意味で、配合量は目的とするシャーベットの特性に応
じて適宜設定すればよく、技術上の本質的制限はない。
【0028】本発明において安定剤とは、シャーベット
ミックスの貯蔵、シャーベットの製造、及びシャーベッ
ト自体における劣化の防止及びシャーベットの品質改良
等をするための必須の添加剤である。増粘剤、ゲル化
剤、分散剤、品質改良剤等があるが、乳化剤、pH調整
剤等も包含される広い概念である。但し、以下におい
て、明確に乳化剤として分類されているものは安定剤と
はいわず、乳化剤という。本発明においては安定剤に特
徴があるが、これについては後述する。
【0029】油脂はフリーザーの内壁面損傷予防のため
に用いられるが、必須成分ではない。用い得る油脂とし
てはヤシ油、パーム油の他、食用油で、安定性の高いも
のが好適であるが、特に制限はない。油脂の配合を多く
すればソフトな口当りとなる。
【0030】乳化剤は、特に脂肪成分の分離を防ぐのに
有効であり、特に油脂を添加した場合には添加される。
従って、モノグリセライド系のものが好ましいが、場合
によりショ糖脂肪酸エステル系のものも用い得る。乳化
剤の添加量は必要以上に多くしても効果は向上しない。
【0031】起泡剤は、シャーベットのオーバーランを
出し易くする。必須成分ではないが、ソフトシャーベッ
トではオーバーランはある程度出ていないと硬くなり口
どけも悪くなることから、有効な成分である。起泡剤と
しては、一般に乳化剤に分類されるものも用い得るが、
シャーベットでは起泡のボディーとなるべき成分が少な
いので、一般の乳化剤はそれほど有効ではない。好まし
いものとしてカゼインナトリウムやアルブミン、ゼラチ
ン等の蛋白質を挙げ得る。起泡剤は必要以上に添加して
も効果は向上しない。
【0032】酸味料はシャーベットの風味に関与する。
標準的なシャーベットのpHは4.30以下であるので、用
いる果汁との関係で適宜添加する。又、酸味料には、例
えばポリヘプタイド、アミノ酸等増粘性、乳化性を示す
ものもあり、ミックスの安定性を向上させる効果を有す
るので、必要により添加するのは有効である。但し、添
加量が多くなれば苦味等を呈する場合がある。酸味料と
しては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等を例示し得る。
【0033】シャーベットミックス中の全固形分は、ミ
ックスの安定性及びシャーベットの物性に影響を及ぼ
す。全固形分は糖類、果汁の他、安定剤等に由来する溶
解成分及び不溶成分である。全固形分が少なければミッ
クスの安定性が低下し、分離現象が生じ易くなり、又シ
ャーベットの氷の結晶が大きくなり、巻いたときの保形
性が低下する。又、全固形分が多くなれば、ミックスの
安定性、保存性が向上するが、シャーベット特有の粗い
口当りが低減し、後味が重くなる。但し、不溶の固形分
が多い場合はそれが分離し易いので、逆にミックスの安
定性、保存性は劣下する。一般的全固形分量としては2
5.0〜28.0%程度でよい。但し、全固形分量はミ
ックスの粘度や糖類の質とも関連があるため、用いる安
定剤等との関係で適正量が変わる。又、ミックスの比重
(15℃)は1.115 〜1.130 程度が通常である。
【0034】次に、本発明に係る安定剤について説明す
る。本発明において、安定剤は、増粘性、ゲル化性が弱
く乳化安定性に優れた水溶性多糖類高分子、不溶性多糖
類高分子、および高アミロペクチン澱粉を含有してい
る。この3成分の組合せが、ソフトフリージングによる
ソフトシャーベットにおいて極めて有効であって、これ
らの成分なくしては良好なソフトシャーベットを製造し
がたいという作用効果は、従来技術においては全く予測
し得なかったことである。単純に個々の成分を用いても
全体的な品質向上が図れないことは前述した通りであ
る。
【0035】水溶性多糖類高分子とは、1種類以上の糖
又はその誘導体から成る水溶性の高分子をいう。従って
温水可溶性も含む。通常、海藻抽出物、植物種子粘質
物、植物樹液粘質物、植物果実粘質物、微生物産生粘質
物等として得られる。但し、本発明においては、特に、
増粘性、ゲル化性が弱く、乳化安定性に優れたものであ
ることを要す。ここに増粘性、ゲル化性、乳化安定性と
は、通常当業界で用いられる概念で、一般的に安定剤、
増粘剤、ゲル化剤、乳化剤等の添加剤を分類する際に用
いられる性質である。例えば前述従来技術で用いられて
いたローカストビンガムは、特に増粘性及び分散性に優
れているが、乳化安定性は良好でなくゲル化性はなく、
ペクチンはゲル化性に優れるが、増粘性、乳化安定性は
副次的であり、又グアガムは増粘性に特に優れている
が、乳化安定性に劣り、ゲル化性はないといえる。従っ
て、従来技術で採用された植物質ガムはいずれも本発明
においては適当でない。
【0036】即ち、本発明者らは、ミックスの保存性
(耐分離性)、シャーベットの官能的特性等と、ミック
スの粘度等物性との関係を研究、検討した結果、ミック
スの必要以上の粘度上昇を抑えながら多糖類高分子を溶
解、分散させれば、シャーベットの特性を損うことなう
ミックスの分離現象を抑え得る可能性があるという知見
を得た。更に研究を進めたところ、それら多糖類は乳化
安定性があるがゲル化性、増粘性は少ないものであるこ
とも判明した。この知見は分離現象の防止手段として粘
度を上昇させる従来の考え方と対照をなす。粘度上昇は
前述したように安定性を向上させ、シャーベットの保形
性を向上させるが、シャーベット特有の口当りを損わせ
アイスクリーム様の滑らかで重みのあるものにする原因
となり、ソフトシャーベットにおいては適正手段とはい
えない。一方、粘度を増大させなければ安定性、保形性
という基本的問題を解決し得ない。水溶性多糖類高分子
であって、増粘性、ゲル化性が弱く、乳化安定性に優れ
たものは、上記の問題を解決し得る有効な一手段とな
る。
【0037】ゲル化性の影響については明確ではない
が、ゲル化能があり乳化安定性のある高分子は一般に強
い増粘性を有するという点から、適当ではないものと考
えられる。例えばキサンタンガム、ゼラチン等はその例
である。乳化安定性はミックスの安定性に効果があると
考えられるが、乳化安定性があれば充分というわけでは
なく、増粘性を有するものは適当でない。又、加熱によ
り沈澱を生ずるものも適さない。ミックスの滅菌処理に
支障をきたし常温貯蔵にも問題があるからである。
【0038】増粘性、ゲル化性、乳化安定性がどのよう
に発揮されるかそのメカニズムは明らかではないが、多
糖類高分子の化学構造、立体構造、及び反応基等が関与
しているものと考えられる。但し、構成単糖類の種類に
はあまり関係がなく、グルカン系、ガラクタン系、ポリ
ウロン酸系のいずれでもよい。
【0039】これら多糖類高分子としては、例えばカラ
ギナン、アルギン酸等の海藻抽出物、アラビアガム、ト
ラガントガム等の植物樹液粘質物、及びこれらの誘導
体、塩類等を好ましい例としてあげることができるが、
これらに限らず、上述性質を有するものであれば用い得
る。多糖類高分子は1種又は2種以上用いてもよい。但
し、例えば同じアルギン酸類であるアルギン酸ナトリウ
ムとアルギン酸プロピレングリコールエステルでは性質
が相違し、前者はゲル化性を有し、増粘性も比較的強い
のに比べ、後者はゲル化性が弱く、増粘性も比較的弱い
が、乳化性が強い。従って、後者は好適であるが、前者
はそうではない。これはプロピレングリコール基が乳化
性を示すためである。このように誘導体は、もとの多糖
類の性質と異なる性質を持ち得るので、多糖類を適当に
エステル化等をすることで所望の多糖類高分子を調製し
得る。
【0040】アルギン酸プロピレングリコールエステル
(通常エステル化率は75%以上)は、酸性で安定でシ
ャーベットに好適であり、又、乳化性も強いことから特
に好ましいといえる。但し、これを用いるとミックスの
安定性が向上し全体的に良好であるが、シャーベットの
口当りが滑らかになる傾向が認められる。この場合、そ
の不充分な点のみ補完し得る多糖類高分子を併用するこ
とは有効である。例えば、アラビアガムが好適である。
アラビアガムは増粘性はほとんどなく、ゲル化性もない
反面、強い乳化安定性を示す。両者を併用するとシャー
ベットの口溶けは充分改良される。
【0041】次に、不溶性多糖類高分子について説明す
る。このものは主にシャーベットを巻いたときの保形性
に効果を発揮する。但し、本質的に不溶性であるので量
を入れすぎればシャーベットの口どけが悪くなり、もた
ついた食感となる。シャーベットは氷の結晶が含まれて
おりザラつき清涼感のある食感であり、滑らかではない
ので、不溶性多糖類高分子の添加はあまり問題とならな
い。但し、粒度は細かい方が好ましく、例えば、一次粒
子が1ミクロン以下が好ましい。又、この他にも不溶性
多糖類高分子は、ソフトフリーザー出口でのブロッキン
グ防止にも有効である。シャーベットでは氷の結晶が存
在しており全体として粗い組織となっており、ソフトフ
リーザー出口でブロッキングを起し易い。ところが、こ
のものを用いればブロッキングを抑制できる。おそら
く、不溶性多糖類の存在が一定の分散をしていて氷晶と
氷晶の間に入り込み、氷晶の増大を阻害するためと考え
られる。
【0042】不溶性多糖類高分子としては、セルロース
及びその誘導体を代表例として挙げることができる。特
に、粒度の観点から微結晶セルロースが好適である。但
し、誘導体であるメチルセルロースは置換度により異な
るが水可溶性であり、又加熱されると沈澱を生ずるので
適当でない。
【0043】次に、高アミロペクチン澱粉であるが、こ
のものはミックスの安定性、分離現象防止、特にミック
ス製造後の粘度低下等を防止する効果がある。更に、ソ
フトフリーザー出口でのブロッキング防止に効果的であ
る。この効果は、従来ほとんど知られていなかったもの
である。又、その他の影響、例えばシャーベットの口当
り、食感等に対する影響は小さいが、組成を硬くし口溶
けに影響を与え得る点は考慮する。ミックスの全固形分
を増加する場合は、このものの添加量を増やせばよい。
その他の影響が極めて小さいからである。
【0044】高アミロペクチン澱粉の例としてはワキシ
ーコーンスターチ、もち米でんぷん等が代表的である。
特にワキシーコーンスターチは伸展性に優れ好適であ
る。
【0045】以上説明したように3成分は安定剤として
必須であるが、3成分に悪影響を与えない限り、必要に
よりこの他の成分を安定剤として併用してもよい。
【0046】例えば、ゼラチン、ペクチン、グアガム等
通常用いられる安定剤を副次的安定剤として併用し得
る。
【0047】3成分の各々の適正配合量は、それぞれ果
汁、糖類の種類により大きく相違するので一義的に規定
することはできない。目的とするシャーベットが得られ
るよう適宜調整すればよい。フリージングによるソフト
シャーベットという観点からすれば、ミックスの粘度は
400cP以下(B型粘度計、 No.1又は No.2ローター
使用、30rpm において)が好ましい。但し、本発明に
おいては、上記3成分が安定剤として含有されているた
め、従来考えられていた適正フリージング可能な粘度範
囲を越えて実施しても良好なシャーベットを製造するこ
とができる。従って、3成分の添加量は目的とするシャ
ーベットに応じて任意に設定できる。尚、粘度は剪断力
(ずり速度)により異なる値を示すのが普通であるの
で、使用実態を考慮し、30rpm における値を示してい
る。因に、60rpm では300cP以下程度といえる。こ
れらをずり速度に換算するには、B型粘度計ローターN
o. 2を使用の場合(定数0.259 ×回転数)=すり速度
(sec-1)とすればよい。通常、粘度の測定は8〜10
℃で行う。
【0048】なお、ミックス製造過程における滅菌処理
工程を経るとミックスの粘度は著しく低減するので、こ
の点を考慮し、最終ミックスの粘度を設計するとよい。
【0049】従って、3成分は、上記適正粘度となるよ
うな範囲で添加されるべきである。粘度が高すぎれば、
オーバーランが高く出すぎ口当りが滑らかで軽くなり、
冷たさを感じなくなる。又、ソフトフリーザーで絞り出
すときフリーザー出口で物性が変動し易く安定に巻くこ
とが困難となる。一方、小さすぎれば、ミックスの分離
現象を生ずる等安定性を損うこととなり、又オーバーラ
ンも出なくなる。適正なオーバーランの範囲としては概
ね35〜45%程度である。これはアイスクリームのも
のと比べ相当低い値である。この程度のオーバーランで
あれば口当りがややザラつく感じでソフトであるにもか
かわらず、シャーベットらしさがでる。従って、ミック
スの粘度の下限はミックスの分離防止、適正なオーバー
ランという観点から概ね60cP以上、更に100cP(3
0rpm )以上程度がよい。3成分がなくてはこの程度ま
で粘度が下がると分離現象が著しく、ミックスとするこ
とはほとんど不可能である。粘度とオーバーランは相関
はあるが、この他、例えば起泡剤(カゼインナトリウム
等)を添加すれば同粘度においてオーバーランが出やす
くなる。
【0050】上記の様な粘度の要件を具備し、かつ、官
能上シャーベットらしさをだすべく3成分の好ましい具
体的配合例を示せば以下である。
【0051】・ワキシーコーンスターチ 1〜2% ・アラビアガム 0.2 〜0.8 % ・アルギン酸プロピレングリコールエステル 0.3 〜
0.7 % ・微結晶セルロース 0.8 〜1.6 % この例は、水溶性多糖類高分子としてアラビアガムとア
ルギン酸プロピレングリコールエステルの2種を用いた
例である。
【0052】上記例でいえば、ワキシーコーンスターチ
が1%未満ではミックス製造において均質化後、ミック
スの粘度が低下することがあり、又、ブロッキング防止
効果も小さく、2%を越えれば逆に粘度が増加すること
がある。アラビアガム、アルギン酸プロピレングリコー
ルエステルともに、少なければ効果が充分でなく、多け
れば粘度が上がり、口溶けが悪くなる原因となる。特
に、アラビアガムはアルギン酸プロピレングリコールエ
ステルによる効果を補完する作用効果がある。又、アル
ギン酸プロピレングリコールエステルの添加量は果汁の
種類によっても相違するので、この点を考慮する。微結
晶セルロースは少なければ効果が充分でなく、多ければ
シャーベットの口どけが悪くなり、もたつく食感とな
る。
【0053】次に、ミックス中の水は普通のものでよい
が、金属イオン等を多く含む硬水等ではミックスの粘度
に影響を与えることがある。従って、好ましくは、金属
イオンの少ない水、脱イオン水等を適宜用いるとよい。
【0054】以上の構成によるシャーベットミックス
は、通常のソフトフリーザーによりソフトクリームと同
様の操作でソフトシャーベットとすることができる。好
ましい態様によれば、ソフトシャーベットは巻きに安定
性があり、保形性がある。又、フリーザー出口でブロッ
キングを起すこともない。ミックスの貯蔵中に分離現象
を生ずることもほとんどなく、常温での貯蔵も可能であ
る。通常、冷蔵保存で6ケ月、常温保存で2ケ月程度は
品質が安定している。
【0055】尚、このミックスは、フリージング前にジ
ュースや乳酸菌飲料を加えることにより粘度を下げ、シ
ェイクとしても利用できる他、殺菌加糖冷却水を加えて
ミルクセーキマシンによって半凍結させるとシャーベッ
トセーキを得ることができる。
【0056】次に、本発明のシャーベットミックスを製
造する方法について説明する。この特徴は、果汁及び必
要により添加される酸味料を除く原料を混合、加熱し、
高アミロペクチン澱粉を糊化させた後に、前記果汁及び
酸味料を添加し、均質、滅菌する工程、あるいは高アミ
ロペクチン澱粉を糊化させることなく前記果汁及び酸味
料を添加し、均質後、滅菌する際に高アミロペクチン澱
粉を糊化させる工程を包含することである。後者の工程
の場合は、滅菌処理を行うまえにミックスを加熱してお
き滅菌処理時に充分な糊化が起るようにすると良い。
【0057】即ち、製造工程において、酸味剤と果汁を
最初に添加した後で、安定剤、澱粉(高アミロペクチ
ン)、糖類等を添加混合すると、安定剤がままこ(均一
に分散されない)になることから、安定剤が分散、溶解
してから、酸味剤と果汁を添加しなければならないので
ある。安定剤がままことなる結果、ミックスの粘度は低
くなりすぎ、ミックスの分離現象を招くこととなる。前
述したようにミックスの粘度は低すぎてもよくない。
又、安定剤で耐熱性の弱いものを用いる場合は澱粉の糊
化の温度条件を考慮する必要がある。例えば、アルギン
酸プロピレングリコールエステル、アラビアガム等は耐
熱性が弱く、高温で粘度の低下を生ずる。従って、好ま
しくは、アミロペクチンミセルの完全崩壊温度以上であ
って、粘度が最大となる温度程度まででよい。これより
低いと澱粉の糊化が充分でないことがあり、又、これよ
り高いと安定剤の安定性が損われ得る。
【0058】好ましい態様を示せば、まず水系として安
定剤、乳化剤等を水に40℃程度で溶解させ均一化さ
せ、これにお湯で溶解状態とした澱粉を加える。別に油
系として油脂、水あめ、液糖等を混合し加温し均一化さ
せる。水系と油系を合せ混合し、澱粉を糊化させる。こ
れに、必要により水を添加し調温後、果汁、フレーバ
ー、酸味料等を添加し、メスアップ後、ろ過、均質、滅
菌、均質、冷却の処理を行なう。あるいは、澱粉を糊化
しない場合は滅菌工程で糊化することができる。この後
は適当に充填、包装される。
【0059】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。
【0060】ミックスの品質判定は以下の方法によって
実施した。 実験方法 (1)粘度…B型粘度計、 No.1 および No.2 のロータ
ーを使用。品温10℃で測定。 (2)分離(ヒートショック法)テスト…各サンプルを
50ml試験管に分注し、栓をした後テストを実施。分離
した%で表す。
【0061】 高温(H):115℃、10分(オートクレーブ) 低温(L):80℃、120分(ウォーターバス) (3)フリージングテスト ミックスをフリーザー(日世:1−248A3型)で、
連続して120分攪拌したままフリージングをおこな
い、15分おきに保形性テストを行った。
【0062】保形性(ドリップテスト)…ミックスをフ
リーザーから取り出し、実際にソフトクリームを3巻半
コーンに盛り、30℃の室温で最初のドリップがコーン
の側面を伝わり落ち始める時間を測定した。
【0063】尚、判定基準は好ましい範囲として次の通
りに設定した。 粘度…30rpm において400(cP)以下。 分離…ヒートショックによる分離が、高温(115
℃)で10%以下、低温(80℃)で0%以下。 pH…4.30以下。 フリージングテスト 保形性…優。
【0064】ドリップ時…300秒以上。
【0065】その他…シャーベットらしいザラつきがあ
り、口溶けが良いこと、OR(オーバーラン)が適度に
出ていること。
【0066】ここで、保形性は巻き方の安定性のことで
あり、巻きをつくった際の(絞り長さ/巻き径)の値が
2.5 倍以上を秀、2倍以上を優、1〜2倍を良とする。 実施例1 次に示す配合に基づいてミックスを調製した(重量
部)。
【0067】 ──────────────────────────────── kg % ──────────────────────────────── オレンジ濃縮果汁(5倍) 240 8.00 植物油脂 30 1.00 液糖 480 16.00 水あめ 390 13.00 乳化剤 3.0 0.10 起泡剤(カセ゛インナトリウム) 3.0 0.10 酸味剤(クエン 酸( 無水)) 3.0 0.10 安定剤 ・ワキシーコーンスターチ 51.0 1.70 ・微結晶セルロース 24.0 0.80 ・アラビアガム 12.0 0.40 ・アルキ゛ン酸フ゜ロヒ゜レンク゛リコールエステル 9.0 0.30 水 1755.0 58.50 ──────────────────────────────── 合 計 3000.0 100.00 安定剤、乳化剤、起泡剤を水に溶解、分散、混合し、別
に調製した植物油脂、水あめ、液糖の混合物を更に加え
混合し、60〜85℃に加温してワキシーコーンスター
チを糊化させた(10分間)。不純物等をろ過(20メ
ッシュ)し、これをTKホモミキサーにて攪拌後前均質
(2段式、10MPa +5MPa=15MPa )後、プレート
滅菌(150℃、2秒)、後均質(2段式、15MPa +
5MPa =20MPa )を経て、20℃に冷却した。これを
テトラブリック(1000ml)に分注、包装し、ソフト
シャーベットミックスを得(比重 1.115(15℃))、
品質判定を実施した。結果を表1に示す。
【0068】
【表1】 表1に示すように本ミックスはヒートショックに対して
耐性が充分にあり、製造工程における滅菌処理による品
質劣下が認められず、粘度も適正であった。このことか
ら、このミックスは常温で2ケ月、冷蔵(10℃)で6
ケ月間品質保持可能であると推定された。
【0069】フリージングテストでは、シャーベットの
組織は比較的粗いにもかかわらずブロッキングがほとん
ど起らず、得られたシャーベットは充分な巻き数を確保
し、保形性に優れ、かつ、シャーベット特有のザラつい
た食感をもち、口溶けが良い清涼感のあるものであっ
た。なお、シャーベットのオーバーランは35〜45%
であった。 実施例2 実施例1で用いた安定剤を次の配合とした以外は同様に
してミックスを調製し、テストに供した。結果を表2に
示す。
【0070】 配合% ・ワキシーコーンスターチ 1.70 ・微結晶セルロース 0.80 ・アラビアガム 0.40 ・タマリンドガム 0.05 ・グアガム 0.05
【0071】
【表2】 ミックスの安定性に優れており、実施例1に比べドリッ
プ時間がやや短くなったが、同様に良好で美味なソフト
シャーベットが得られた。 実施例3及び比較例 次に示す配合に基づいて実施例1と同様にしてミックス
を調製し、品質判定を実施した。結果を表3に示す。
【0072】 ─────────────────────────────── 実施例3 比較例 ─────────────────────────────── レモン濃縮果汁(5倍) 2.00 2.00 植物油脂(精製ヤシ油) 1.00 1.00 液糖 22.00 22.00 水あめ 13.00 13.00 乳化剤 0.10 0.10 起泡剤(カセ゛インナトリウム) 0.10 0.20 pH緩衝液(クエン 酸ナトリウム ) 0.10 0.10 安定剤 ・ワキシーコーンスターチ 1.70 − ・微結晶セルロース 0.80 0.8 ・アラビアガム 0.40 − ・アルキ゛ン酸フ゜ロヒ゜レンク゛リコールエステル 0.30 − ・CMC − 0.15 ・タマリンドガム − 0.05 ・グアガム − 0.05 ・水 58.50 60.55 ─────────────────────────────── 合 計 100.00% 100.00%
【0073】
【表3】 実施例3では実施例1と同様ミックスの保存性、フリー
ジングの際のブロッキング及びシャーベットの官能評価
のいずれにおいても良好であり、美味なソフトシャーベ
ットが得られた。一方、比較例ではミックスの安定性に
欠き、常温貯蔵がほとんど不可と推定され、更にフリー
ジングテストではブロッキングが発生し、得られたシャ
ーベットの保形性も充分でなく、充分な巻きが得られな
かった。 実施例4 実施例1の配合において、ワキシーコーンスターチを
1.90%、アラビアガムを0.20%とした以外は、
実施例1と同様にしてミックスを調製し、テストに供し
た。結果を表4に示す。尚、比較例としてワキシーコー
ンスターチの代りに粉末水あめを用いたミックスについ
てもテストを行い表4に示した。
【0074】
【表4】 実施例4のミックスはすべての項目において基準を満し
ており、得られたシャーベットの口溶けが若干重くなっ
た以外は実施例1と同様の美味なシャーベットが得られ
た。一方、比較例ではワキシーコーンスターチが含有さ
れていないため、ミックスの粘度が低く、分離の懸念が
あると共に、得られたシャーベットの溶けが速かった。 実施例5 次に示す配合に基づいて実施例1と同様にしてミックス
を調製し、品質判定を実施した。結果を表5に示す。
尚、比較例としてワキシーコーンスターチの代りに粉末
水あめを用いたミックスについてもテストを行い表5に
示した。 ──────────────────────── 実施例3 ──────────────────────── ピーチ濃縮果汁(5倍) 4.00 リンゴ濃縮果汁(5倍) 2.00 植物油脂(精製ヤシ油) 1.00 液糖 17.50 水あめ 13.00 乳化剤(ク゛リセリン 脂肪酸エステル) 0.10 起泡剤(カセ゛インナトリウム) 0.10 pH緩衝液(クエン 酸(無水)) 0.08 安定剤 ・ワキシーコーンスターチ 1.70 ・微結晶セルロース 0.80 ・アラビアガム 0.40 ・アルキ゛ン酸フ゜ロヒ゜レンク゛リコールエステル 0.30 ・水 59.02 ──────────────────────── 合 計 100.00%
【0075】
【表5】 実施例5では実施例1と同様ミックス及びシャーベッ
ト(ピーチ)と共に良好であった。一方、比較例ではワ
キシーコーンスターチが含有されていなかったため粘度
が低く、分離現象が著しかった。 実施例6,7及び8 次に示す配合に基づいて実施例1と同様にしてミックス
を調製し、品質判定を実施した。結果を表6に示す。 ──────────────────────────────────── 実施例6 実施例7 実施例8 ──────────────────────────────────── オレンジ濃縮果汁(5倍) 8.10 ← ← 植物油脂 1.00 ← ← グラニュー糖 10.60 ← ← 粉末水あめ 8.00 ← ← 乳化剤 0.10 ← ← 起泡剤(カセ゛インナトリウム) 0.10 ← ← pH緩衝液(クエン 酸(無水)) 0.08 ← ← 安定剤 ・ワキシーコーンスターチ 1.70 ← ← ・微結晶セルロース 0.80 1.20 1.60 ・アラビアガム 0.40 0.60 0.80 ・アルキ゛ン酸フ゜ロヒ゜レンク゛リコールエステル 0.30 0.45 0.60 ・水 68.82 68.07 67.32 ──────────────────────────────────── 合 計(%) 100.00 100.00 100.00
【0076】
【表6】 実施例6,7ではミックス、シャーベット共に良好であ
った。実施例8では粘度が基準の400cP(30rpm)を越
え、その結果得られたシャーベットの口溶けが若干悪く
なったが、フリージング可能であって、許容されるもの
と認められた。尚、従来技術においては粘度が500cP を
越えればフリージング問題が生ずるため困難とされてい
たことを鑑みれば、実施例8も充分に商品価値のあるも
のと判断された。 実施例9,10及び11 次に示す配合に基づいて実施例1と同様にしてミックス
を調製し、品質判定を実施した。結果を表7に示す。 ──────────────────────────────────── 実施例9 実施例10 実施例11 ──────────────────────────────────── ピーチ濃縮果汁(5倍) 4.20 ← ← アップル濃縮果汁(5倍) 2.00 植物油脂 1.00 ← ← グラニュー糖 11.80 ← ← 粉末水あめ 8.00 ← ← 乳化剤 0.10 ← ← 起泡剤(カセ゛インナトリウム) 0.10 ← ← 酸味剤(クエン 酸(無水)) 0.03 ← ← 安定剤 ・ワキシーコーンスターチ 1.70 ← ← ・微結晶セルロース 0.80 1.20 1.60 ・アラビアガム 0.40 0.60 0.80 ・アルキ゛ン酸フ゜ロヒ゜レンク゛リコールエステル 0.35 0.525 0.70 ・水 69.52 68.745 67.97 ──────────────────────────────────── 合 計(%) 100.00 100.00 100.00
【0077】
【表7】 ピーチシャーベットではオレンジシャーベットに比べミ
ックスの粘度が増加しない傾向にある。しかし、分離は
生じておらず、安定剤の量が多くなると口溶けは若干悪
くなる傾向はあるもののフリージングテストにおいて良
好であった。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、安定剤として特定
の組合せを用いることにより、冷蔵だけでなく常温流通
に付してもミックスの分離等品質の劣下が生じないミッ
クスを提供できる。
【0079】このミックスは、従来達成されなかったソ
フトフリージングによるシャーベットを実現するもので
あり、シャーベット特有の清涼感ある冷たい食感を有し
ながら、ソフトであり、巻きを形成できるという画期的
なものである。又、ソフトフリージング時のブロッキン
グ等を生ずることもない。
【0080】更に、このミックスはソフトシャーベット
の他にもシェイクやセーキとしても用いることができる
汎用性のあるものであり、新規な氷菓製品として実用価
値の高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−42850(JP,A) 特開 昭62−296851(JP,A) 特開 昭60−27344(JP,A) 半澤 啓二編,アイスクリームハンド ブック,株式会社光琳書院,昭和47年4 月25日発行,p51〜54 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23G 9/02 A23G 9/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 果汁、糖類及び安定剤から少なくとも成
    る液状シャーベットミックスであって、主要安定剤とし
    て、増粘性及びゲル化性が弱く乳化安定性に優れた水溶
    性多糖類高分子、不溶性多糖類高分子、および高アミロ
    ペクチン澱粉を含有していることを特徴とするフリージ
    ング可能なシャーベットミックス。
  2. 【請求項2】 不溶性多糖類高分子がセルロース又はそ
    の誘導体である請求項1に記載のシャーベットミック
    ス。
  3. 【請求項3】 水溶性多糖類高分子が海藻抽出物、植物
    樹液粘質物又はそれらの誘導体である請求項1に記載の
    シャーベットミックス。
  4. 【請求項4】 水溶性多糖類高分子がアラビアガム及び
    アルギン酸プロピレングリコールエステルの組み合せで
    ある請求項3に記載のシャーベットミックス。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のシャーベットミックス
    を製造する方法であって、果汁及び必要により添加され
    る酸味料を除く原料を混合、加熱し、高アミロペクチン
    澱粉を糊化させあるいは糊化させないまま、つづいて前
    記果汁及び酸味料を添加し、均質、滅菌する工程を包含
    するシャーベットミックスの製造方法。
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