JP2974379B2 - スケール防止剤 - Google Patents

スケール防止剤

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は水系のスケール防止剤に関する。
<従来の技術> 近年、水資源の有効利用の観点より工場などで使用水
量の低減を目的とした冷却水などの循環利用が進んでい
る。これに従い水の高濃縮化が進行し、その結果、この
ような水系ではカルシウム、マグネシウム、シリカなど
のいわゆるスケール成分の濃縮が起こり熱交換器などの
伝熱面へのスケール付着のトラブルが発生する。スケー
ルが付着すると熱交換率の低下をきたすだけでなく管の
閉塞、腐食などの障害が発生し最悪の場合は運転の中断
につながる。このようなスケール障害は冷却水系に限ら
ずボイラ水系、地熱発電水系でも発生する。特にシリカ
系スケールは硬質で熱伝導率が低く問題が大きい。
従来、この様なスケールを防止する薬剤としてはりん
化合物、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸あるいはそれ
らの水溶性塩が使用されているが単独ではシリカ系スケ
ールに対して殆ど効果を発揮しない。また、シリカ系ス
ケールの防止剤として第4級アンモニウム化合物(特開
昭57−110398号公報)、ポリアクリルアミド(特開昭61
−107997号公報)、グリオキサール(特開昭61−293597
号公報)、ポリアルキレンオキサイド系化合物(特公昭
62−43758号公報、特開昭59−29357号公報)などが提案
されているがその効果は十分ではない。
<発明が解決しようとする問題点> 本発明はこれら従来技術の有する問題点を解決するも
ので、従来のものよりも優れたスケール防止効果を有
し、特にシリカ系スケールに対して優れた効果を発揮す
るスケール防止剤を提供することを目的とする。
<問題点を解決するための手段> 上記目的を達成するためになされた本発明よりなるス
ケール防止剤はビスフェノール型エポキシ化合物を骨格
とし、アルキレンオキサイド鎖を有する一般式(I) (式中、R1は−CH2−CH2−O−で表される基、R2で表される基、Xは nは0〜12の整数、m1、m2はそれぞれ2≦m1+m2≦1,00
0の範囲にある1以上の任意の整数、はそれ
ぞれ50≦
1,000の範囲にある1以上の任意の整数である) で表される化合物を含有することを特徴とするものであ
る。
上記化合物は単独でも従来にない優れたスケール防止
効果を発揮するが、当該化合物とアクリル酸系重合体お
よび共重合体、マレイン酸系重合体および共重合体、並
びにスルホン酸系重合体および共重合体からなる群から
選ばれる少なくとも一つを含有するスケール防止剤を併
用するとさらに優れた効果が得られる。
本発明の化合物はエポキシオリゴマーとポリエチレン
オキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合
体をカセイアルカリの触媒存在下、温度130ないし170℃
で反応させ、次いでこの反応物にエチレンオキサイドを
同じくアルカリ触媒存在下、温度120ないし180℃で反応
させて得ることができる。使用するエポキシオリゴマー
としてはビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビ
スフェノールAF型のいずれも使用できるがなかでもA型
が一般的である。ビスフェノールA型はエピコート#82
8、#1001、#1004、#1007、#1008(昭和シェル化学
製)、エピトートYD−128、YD−011、YD−014、YD−01
7、YD−019(東都化成製)などの商品名で市販されてお
り、これらのいずれもが利用できるが中でも前記式
(I)におけるnの値がn=0ないし4となるようなも
のが特に好ましい。また、使用するポリエチレンオキサ
イド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体はプ
ロロニックL−43、L−63、L−103(旭電化製)ニュ
ーポールPE−63、PE−73、PE−83(三洋化成製)などの
商品名で市販されており、これらのいずれもが利用でき
る。
また、併用するアクリル酸系重合体および共重合体、
マレイン酸系重合体および共重合体、スルホン酸系重合
体および共重合体にはポリアクリル酸、ポリマレイン
酸、スチレンスルホン酸(以上単独重合体)、アクリル
酸−アクリルアミド共重合体、メタクリル酸−アクリル
アミド共重合体、マレイン酸−イソブチレン共重体、マ
レイン酸−スチレンスルホン酸共重合体およびそれらの
ナトリウム塩、カリウム塩などのような水溶性塩があ
り、これらの一種または二種以上を併用する。これらの
重合体は公知の方法で容易に重合することができる。な
お、これらの重合体の分子量は200ないし100000好まし
くは500ないし30000のものが適当である。
上記重合体あるいは共重合体を、前記式(I)の化合
物と併用する場合は、各々を別々に用水中に添加しても
よいが、各薬剤をあらかじめ所定の割合で混合して一剤
となしておいた方が、取り扱いおよび添加操作が容易と
なるので便利である。
各薬剤を混合して一剤とする場合の混合比率は、式
(I)の化合物:重合体およびまたは共重合体=9:1な
いし4:6(重量比、以下同じ)、好ましくは8:2ないし5:
5が適当である。
また、本発明のスケール防止剤の添加量は、式(I)
の化合物を単独で使用する場合、および式(I)の化合
物に加えて前記重合体およびまたは共重合体を含有する
スケール防止剤の場合のいずれにおいても水中の濃度で
1ないし500mg/、好ましくは5ないし200mg/となる
ような量とするとよい。添加は液状で行っても固体状で
行ってもいずれでもよいが、添加量の正確を期すために
は液状で添加する方がよい。
なお、本発明のスケール防止剤は水酸化ナトリウム、
炭酸ナトリウムのようなpH調整剤、りん酸化合物、ヘキ
サメタりん酸化合物、ホスホン酸化合物のようなりん酸
またはそれらの塩、亜鉛化合物、モリブデン化合物のよ
うな通常防食剤として使用される金属化合物、ベンゾト
リアゾール、トリルトリアゾールのようなアゾール化合
物、塩素系化合物、4級アンモニウム系化合物、有機窒
素硫黄系化合物、アルデヒド系化合物のような殺菌剤な
どと併用したり、配合して使用することは何ら差し支え
ない。
<作用> ビスフェノール型エポキシ化合物を骨格としてアルキ
レンオキサイド鎖を有する一般式(I)で表される化合
物は前記した特公昭62−43758号公報、特開昭59−29357
号公報で提案されているようなポリアルキレンオキサイ
ド系化合物と比較すると疎水基と親水基の配列が大きく
異なっており、この特異な構造により水中のカルシウム
系、マグネシウム系析出物だけでなく特にシリカ系析出
物の表面に物理的に強く吸着して結晶の成長を抑制する
ことができ、よってスケールの生成を防止すると考えら
れる。
また、上記化合物と併用するアクリル酸系重合体およ
び共重合体、マレイン酸系重合体および共重合体、並び
にスルホン酸系重合体および共重合体は、特にカルシウ
ム系、マグネシウム系析出物の表面に強く吸着するため
両化合物を併用することによりカルシウム系、マグネシ
ウム系析出物だけでなくカルシウムとシリカ、マグネシ
ウムとシリカの反応析出物の結晶成長を抑制することが
でき、相乗的にさらに優れた効果を発揮すると考えられ
る。
<実施例> 以下に本発明の実施例を説明する。
実施例1 伝熱面積0.3m2の熱交換器を有し、保有水量0.8m3の実
験用開放循環式冷却装置を使用し、所定の薬剤を所定量
維持しながら循環水の濃縮倍数が7倍になるように下記
の条件で運転を行った。
運転条件 熱交換器入口温度 30℃ 熱交換器出口温度 45℃ 流速 1.0m/s 補給水水質 pH 6.8 電気伝導率 180μs/cm2 シリカ 61mg SiO2/ カルシウム 35mg CaCO3/ マグネシウム 9.0mg CaCO3/ 運転終了後、循環水のシリカ濃度およびカルシウム濃
度の分布を行った。
使用した薬剤の種類を表1−(1)、(2)に、また
実験結果を表2に示す。
表2に見られるごとく、本発明のスケール防止剤を添
加した循環水の場合は、特にそのシリカ濃度において比
較例の場合より著しく高くなっている。このことは、使
用した熱交換器の伝熱面等へのシリカスケールの析出、
付着が少ないことを意味しており、本発明のスケール防
止剤が優れた効果を発揮することがわかる。
実施例2 伝熱面積100cm2のヒーターを有し保有水量100の循
環装置に、あらかじめ工業用水を濃縮して作成した下記
の水質の水を入れ、その中に所定の薬品を所定量添加し
14日間運転した。
循環水水質 pH 7.8 電気伝導率 1150μs/cm2 シリカ 185mg SiO2/ カルシウム 410mg CaCO3/ マグネシウム 91mg CaCO3/ 運転終了後、ヒーターに付着したスケールの付着速度
を測定した。
その結果を比較例とともに表3に示す。なお、表3に
おいて前記表1と同じ薬剤記号は同一の薬剤を示してい
る。
表3より本発明のスケール防止剤が優れた効果を発揮
することがわかる。
<効果> 以上説明したごとく本発明のスケール防止剤はカルシ
ウム系、マグネシウム系のみならず特にシリカ系スケー
ルに対して優れた防止力を発揮し、伝熱面の熱交換率の
低下を防止するだけでなく種々の障害の発生を防止し産
業に与える影響は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松崎 威毅 神奈川県横浜市栄区小菅ケ谷町1695 (72)発明者 二本木 時洋 神奈川県横浜市戸塚区平戸1―2―3― 305 (72)発明者 田中 祥雄 神奈川県横浜市金沢区柳町19―21 (56)参考文献 特公 昭62−43758(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C02F 5/10 - 5/14 C08G 65/48 B01F 17/00 - 17/56 F28F 19/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビスフェノール型エポキシ化合物を骨格と
    し、アルキレンオキサイド鎖を有する次の一般式(I)
    で表される化合物を含有するスケール防止剤。 (式中、R1は−CH2−CH2−O−で表される基、R2で表される基、Xは nは0〜12の整数、m1、m2はそれぞれ2≦m1+m2≦1,00
    0の範囲にある1以上の任意の整数、はそれ
    ぞれ50≦
    1,000の範囲にある1以上の任意の整数である)
  2. 【請求項2】一般式(I)で表される化合物と、アクリ
    ル酸系重合体および共重合体、マレイン酸系重合体およ
    び共重合体、並びにスルホン酸系重合体および共重合体
    からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する特許
    請求の範囲第1項記載のスケール防止剤。
  3. 【請求項3】スケールがシリカ系スケールである特許請
    求の範囲第1項または第2項記載のスケール防止剤。
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