JP2972858B2 - 含硫黄有機分子自己組織化膜の動的接触角の測定方法 - Google Patents

含硫黄有機分子自己組織化膜の動的接触角の測定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属チオラートなど
の自己組織化膜の接触角の測定方法に関する。さらに詳
しくは、マイカ基板の片面に蒸着した金属又は半導体薄
膜上の含硫黄有機分子の単分子膜表面の接触角をウィル
ヘルミ・プレート法で測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金をはじめとする金属表面に含硫黄有機
分子を化学吸着させて作製する単分子膜は、自己組織化
膜(Self-Assembled Monolayers、以下SAM膜という)
と呼ばれ、近年注目されている。特に金基板とチオール
化合物を用いる金チオラートSAM膜は、金表面を含硫
黄有機分子雰囲気下又は希薄溶液中に一定時間放置する
だけで、高度に分子配列した単分子膜が得られること、
及び金原子とチオール基間の化学反応による吸着によ
り、できた膜の安定性が非常によいことを理由に、現在
幅広く研究が進められている。類似する単分子膜技術に
ラングミュア・ブロジェット法(以下、LB法という)
があるが、LB法では水面に形成された単分子膜を機械
的な手法でガラス固体基板に移し取る(累積操作)のに
対し、SAM膜では自発的な吸着及び自己組織化プロセ
スによる固体表面への直接の膜形成のため、膜を移し取
るための装置は不要である。また、LB法では主として
分子間の相互作用に基づく分子配列制御が行われるのに
対し、SAM膜では分子−基板間の相互作用が膜形成プ
ロセスに影響し、例えば基板が金属単結晶の場合、チオ
ール分子が基板の結晶構造に合わせてエピタキシャル成
長することが実験的に確認されている(例えば Langmui
r 誌、10巻、2853又は3383(1994
年))。SAM膜は、接着、耐食、濡れ、トライポロジ
ー(摩擦・潤滑)など、固体表面の処理技術としての利
用が期待されるとともに、蛋白質の吸着の際の電極修飾
膜、絶縁膜、フォト・電子線・X線等リソグラフィー技
術によるパターニング基板としての利用が検討されてい
る。
【0003】このような固体表面に吸着した単分子膜の
状態を知るための評価法には、接触角法、X線光電子分
光法(XPS)、赤外反射吸収法(FTIR−RA
S)、走査型プローブ顕微鏡での観察などがあるが、中
でも接触角法は測定が簡便であり、「濡れ」という実用
性に関連の深い情報が得られることから、中心的評価技
術として用いられてきている。接触角の測定には、平衡
状態で測定する(系を十分に放置し、安定状態に至った
状態で測定する)静的測定と、非平衡状態で測定する
(系の状態を変えた直後に、あるいは変えながら測定す
る)動的測定があり、静的測定では表面密度、動的測定
では表面の均一性や分子ダイナミクスなどに関する評価
が行える。
【0004】固体平面基板の接触角の測定方法には、大
きく分けて、液滴法とつり下げ平板法の2つがある。液
滴法は、図2に示したように、水平に置いた固体平面基
板5の表面に適当量の液滴6を落とし、基板5と液滴6
のなす角度θを直接測定する。一方、つり下げ平板法で
は、図3に示したように、ビーカー等に入れた液体7中
に固体平面基板5を垂直に浸漬し、基板5と液体7のな
す角度θを直接測定するか、または基板5に垂直方向に
働く力Fをミクロ天秤で測定し、この力Fと液体の表面
張力γLV及び基板の幅Lの関係式(F=2L・γLV・c
osθ)から接触角θを算出する。つり下げ平板法のう
ち、後者の接触角を算出する方法はウィルヘルミ・プレ
ート法(Wilhelmy Plate法)と呼ばれている。ウィルヘ
ルミ・プレート法の場合、基板にかかる力を機械的に測
定し、その値から接触角を算出するため、目視による読
み取り誤差(人的誤差)の生じる他の方法に比べて測定
結果の信頼性が高く、誤差も少ない。また、たとえば基
板に気−液界面に移動しやすい界面活性物質が含まれて
いる場合、液滴法では基板と液滴の接触面積(液−固界
面)に対して液滴の表面積(気−液界面)が同程度であ
るため、界面活性物質の気−液界面への移動の影響を受
けやすいが、つり下げ平板法は液体と基板の接触面積
(液−固界面)に比べ液体表面積(気−液界面)がはる
かに大きいため、このような影響を受けにくい。さら
に、動的測定を行う場合、液滴法では液滴のサイズを変
えたり基板を傾けたりしたときの界面移動速度を制御す
るのが非常に難しいのに対し、つり下げ平板法ではモー
ター駆動などで基板を引き上げ又は引き下げることによ
り容易に界面移動速度を制御できる。
【0005】ところで、従来、例えばガラス上に金薄膜
を蒸着する場合、アモルファス金薄膜が形成できるが、
両面に均一な膜形成を施すのは難しい。前記の金チオラ
ートSAM膜形成に用いる金単分子膜の場合は、さらに
温度や速度などを制御して行わなければならないため両
面に同じ性状の薄膜を形成するのが難しく、また、接触
により破壊や汚染も非常に起こりやすいため、表裏を交
換して両面に被覆を行うことはさらに困難である。した
がって、金チオラートSAM膜を有する固体基板は、片
面だけにSAM膜を有する非対称基板であり、チオール
吸着のプロセス(溶液浸漬やガス雰囲気下での放置な
ど)においてもう片面は汚染が避けられない。しかし、
このような固体基板の接触角は、市販のウィルヘルミ・
プレート法を利用した接触角測定装置及び解析ソフトで
は測定できなかった。このため従来、金チオラートSA
M膜をはじめとする含硫黄有機分子SAM膜の表面性状
の接触角による評価は、液滴法による静的測定でのみ行
われていた。しかし、前記したように、ウィルヘルミ・
プレート法のほうが精度が高いこと、静的測定では表面
の不均一性等の評価ができないことなどから、含硫黄有
機分子SAM膜の接触角をウィルヘルミ・プレート法に
よって測定する方法の開発が要請されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、
片面だけに含硫黄有機分子SAM膜を有する固体平面基
板の接触角をウィルヘルミ・プレート法によって精度良
く測定しうる方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意検討した結果、固体平面基板にマイカ基板を用
い、SAM膜形成後、接触角測定を行う直前にSAM膜
を有さないマイカ面をへき開することにより、ウィルヘ
ルミ・プレート法で一定の関係式から接触角を導き出す
ことができることを見出し、この知見に基づき本発明を
なすに至った。すなわち本発明は、 (1)マイカ基板の片面に金属又は半導体の薄膜を形成
し、その上に含硫黄有機分子の自己組織化単分子膜を浸
漬法又は気化吸着法により被覆し、次いでマイカ基板の
マイカ露出面をへき開して、片面が自己組織化単分子膜
被覆のマイカ基板を調製し、このマイカ基板の自己組織
化単分子膜の動的接触角をウィルヘルミ・プレート法で
測定することを特徴とする動的接触角の測定方法、及び (2)片面に自己組織化単分子膜被覆を有する前記マイ
カ基板に、基板が傾かないだけの荷重を付加して測定を
行う(1)項記載の動的接触角の測定方法を提供するも
のである。
【0008】
【発明の実施の形態】まず、本発明方法において用いら
れる測定用マイカ基板の作製法を述べる。本発明で用い
るマイカ基板は、接触角測定直前にそのマイカ露出面を
へき開して、清浄面にすることができる平面基板である
こと以外は特に制限はないが、接触角測定時に基板の厚
みが基板にかかる力に影響しないよう、厚みが幅の3%
以下のものを用いるのが好ましい。また、基板の非対称
性のため、測定時に基板に水平方向の力がはたらき、基
板を傾斜させて誤差を生むことが考えられるので、この
誤差を最小限にする配慮が必要な場合があるが、SAM
膜作製の基板として通常用いられるサイズ、重量では、
このような基板の傾斜、横流しは見られない。また、基
板に荷重を付加して基板の傾斜をなくすことにより、こ
の問題は容易に解消することができる。このマイカ基板
の片面に、まず金属又は半導体の薄膜を形成する。例え
ば、マイカ基板上に金単結晶膜を形成する場合、まずマ
イカへき開面を超高真空チャンバー内(10-7〜10-9
Torr)でプレベイク(マイカへき開面を清浄化する
ため500〜600℃の高温で一定時間加熱)した後、
温度及び蒸着速度制御下で金を蒸着し、その後再び高温
でアニール処理した後、室温に冷却して作製される。蒸
着時の基板の最適温度は、通常は300〜400℃の範
囲内であり、蒸着速度及び真空度により多少変動する
が、最適温度範囲が狭いので、±5℃程度の微妙な温度
制御が必要になる。このため、通常、マイカ基板は基板
用ヒーターに背面から均一に接触するようにセットさ
れ、片面のみに金が蒸着される。金単結晶面は接触によ
り破壊や表面汚染がされやすいので、表裏を交換しても
う片面にも蒸着するということは通常は行われない。
【0009】本発明方法における基板上の金属の例とし
ては、前記の金単結晶膜のほかに、銀、銅、白金、水
銀、鉄、酸化鉄などがあげられ、特に金が好ましい。ま
た、半導体の例としては、GaAs、InPなどがあげ
られる。いずれも通常行われる蒸着等の方法によってマ
イカ基板上に薄膜を形成することができ、膜厚は通常数
100Å〜数100μmである。このようにして作製し
た金属又は半導体薄膜を片面に有するマイカ基板を、含
硫黄有機分子雰囲気下に一定時間放置する気化吸着法
(蒸着も含む)、含硫黄有機分子希薄溶液中に一定時間
浸漬する浸漬法など、通常の自己組織化膜形成の方法、
条件で接触角の測定対象であるSAM膜を形成する。S
AM膜形成の時間は1mmolの溶液に浸漬した場合、
通常数分〜24時間であり、分子鎖長相当の膜厚の単分
子膜が得られる。
【0010】本発明における含硫黄有機分子とは、チオ
ール(−SH)基、ジスルフィド(−S−S−)基、モ
ノスルフィド(−S−)基、チオフェンなどの含硫黄官
能基を有する有機分子であり、チオール基又はジスルフ
ィド基を有する有機分子が好ましく、特にチオール基を
有する有機分子が好ましい。有機分子としては例えば、
置換基を有してもよい炭素数1〜22、好ましくは4〜
18の直鎖又は分岐の脂肪族飽和アルキル、脂肪族不飽
和アルキルなどがあげられ、置換基としてはさらに置換
されていてもよいフェノキシ基、炭素数1〜22のフル
オロアルキル基、カルボン酸基、アミノ基、シアノ基、
アミド基、エステル基、スルホン酸基、ハロゲン原子
(ブロモ基、クロロ基、ヨード基等)、ピリジン基、ペ
プチド基、フェロセン基、各種ポリマー鎖、蛋白質や核
酸塩基等の生体関連物質などがあげられる。本発明にお
ける含硫黄有機分子の具体例としては、例えばオクタデ
カンチオール、アゾフェノキシドデカンチオール、ペル
フルオロオクチルペンタンチオール、ブタンチオール、
ヘキサンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオー
ル、ジオクタデシルジスルフィド、システイン、シスタ
ミン、チオフェン、メルカプトオクタデシルアミン、メ
ルカプトオクタデカノール、メルカプトオクタデカン酸
などがあげられる。
【0011】次に、本発明方法について図1を参照して
説明する。図1は本発明方法の測定原理の説明図であ
り、従来のつり下げ平板法と同様に、ビーカー等に入れ
た液体4に片面に含硫黄有機分子SAM膜2を有するマ
イカ基板1を浸漬し、基板1に垂直にかかる力の総和F
total をミクロ天秤等の機械的手段で測定する。この力
の総和は、下記式(1)で表わされるように、表面張力
によって基板1にかかる力(F)、基板1の重量(m
g)及び浮力(ΔρgV)の和である。 Ftotal = F + mg + ΔρgV (1) ここで、液体4の表面張力によって基板1に垂直方法に
かかる力は、含硫黄有機分子SAM膜2の表面では下記
式(2)で表わされる。 FSAM = L・γLV・cosθ1 (2) (Lは基板1の幅、γLVは液体4の表面張力、θ1 は金
属チオラートSAM膜2の接触角を表わす。) また、液体4の表面張力によってSAM膜を有さないマ
イカ露出面3に垂直方法にかかる力は下記式(3)で表
わされる。 Fmica = L・γLV・cosθ2 (3) (θ2 はマイカ露出面3の接触角を表わす。)よって液
体4の表面張力によって基板1に垂直方向にはたらく力
Fは、下記式(4)で表わされる。 F = FSAM + Fmica = L・γLV・(cosθ1 + cosθ2 ) (4) なお、基板の厚みの影響が実質的に無視でき、上記式
(4)が近似的に成立するよう、本発明においては前記
したとおりマイカ基板の厚みを幅Lの3%以下とするの
が好ましい。よって、上記式(1)と式(4)より、へ
き開したマイカ面の接触角θ2 、液体4の表面張力
γLV、基板1の幅Lをあらかじめ測定しておけば、含硫
黄有機分子SAM膜2の接触角θ1 を算出できる。
【0012】上記のような基板の液体への浸漬、基板に
かかる力の測定のための方法や装置は、従来のウィルヘ
ルミ・プレート法について用いることができるものを同
様に用いることができる。また、従来のウィルヘルミ・
プレート法と同様に、基板をモーター駆動等によって速
度制御下で移動することにより、動的接触角の測定がで
きる。
【0013】本発明方法において用いることのできる液
体は、水、有機溶媒(例えば低級アルコール、ヘキサデ
カン、デカン、ビシクロヘキシル−1−ブロモナフタレ
ン)などであるが、特に純水を用いた場合はθ2 が実質
的に0であり、上記式(4)は下記の式(5)で表わさ
れる。 F = L・γLV・(cosθ1 + 1) (5)
【0014】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明する。
【0015】実施例1 幅1cm×高さ2cm×厚さ50μmのマイカ基板の片
面に、厚さ1000Åで金を蒸着し、n−オクタデカン
チオール(C1837SH)の1mmolエタノール溶液
に1時間浸漬して、金オクタデカンチオラートSAM膜
を形成した。このマイカ基板を、マイカ露出面をへき開
し清浄面とした直後に純水(イオン交換後、蒸留)に浸
漬して一定速度で変位させ、基板に垂直方向にかかる力
をミクロ天秤で測定して、前記式(1)及び(5)より
SAM膜面の接触角を算出した。得られたヒステレシス
曲線を図4に示す。図4は横軸を基板の変位(mm)、
縦軸を接触角(°)として測定結果をプロットしたグラ
フで、グラフ上部が前進方向に変位させたとき、下部が
後退方向に変位させたときの結果を示している。測定は
前進、後退とも2回行った。この結果、上記の金チオラ
ートSAM膜の動的接触角として、前進角112±1.
5°、後退角100.5±1.5°という値が得られ
た。前進角は静的測定による接触角とほぼ一致するとさ
れているが、前記の値は静的測定の報告例(例えば Ang
ew. Chem. Int. Ed. Engl.誌、28巻、506(198
9年)など)の値とほぼ一致した。また、有機シラン系
化合物で確認されている多数の測定例において均一かつ
高密度に基板に化学吸着したアルキル鎖表面の一般的接
触角は、前進角が110°前後、後退角が90〜100
°程度という値と比較しても、本実施例の結果は矛盾し
ない値となっている。また、液滴法で動的接触角を測定
した唯一の報告例(Langmuir誌、10巻、1825(1
994年))において、前進角は115°、後退角は1
05°となっており、これと比較しても信頼できる値と
考えられる。
【0016】実施例2 実施例1と同じマイカ基板に実施例1と同様に金を蒸着
し、(4−ヘキシルフェニル)アゾフェノキシドデカン
チオールの1mmolエタノール溶液に1時間浸漬し
て、金アゾベンゼンチオラートSAM膜を形成した。こ
のマイカ基板を、マイカ露出面をへき開し清浄面とした
直後に純水に浸漬し、実施例1と同様にして動的接触角
を測定した。測定は前進、後退とも3回行い、実施例1
と同様に横軸を変位、縦軸を接触角としてプロットし
て、図5のヒステレシス曲線を得た。前進角が107.
5±1°、後退角が97±1°であった。
【0017】実施例3 実施例1と同じマイカ基板に実施例1と同様に金を蒸着
し、ペルフルオロオクチルヘキサンチオールの1mmo
lエタノール溶液に1時間浸漬して、金フルオロアルキ
ルチオラートSAM膜を形成した。このマイカ基板を、
マイカ露出面をへき開し清浄面とした直後に純水に浸漬
し、実施例1と同様にして動的接触角を測定した。測定
は前進、後退とも3回行い、実施例1と同様に横軸を変
位、縦軸を接触角としてプロットして、図6のヒステレ
シス曲線を得た。前進角が120±1°、後退角が11
3±1°であった。この結果は、金フルオロアルキルチ
オラートSAM膜の前進角は118°との過去の報告
(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 誌、28巻、506
(1989年))ともほぼ一致している。また、ヒステ
レシスについても、前進角と後退角の差が7°と極めて
小さく、化学構造から予想される高密度で安定な化学吸
着膜構造と矛盾しない結果が得られた。
【0018】
【発明の効果】本発明方法によれば、片面のみに含硫黄
有機分子SAM膜を有するマイカ基板を用いて、含硫黄
有機分子SAM膜表面の動的接触角の測定を高い精度で
行うことができる。本発明では基板にマイカを用いるこ
とにより、測定直前のへき開で簡便にマイカ露出面を清
浄面とすることができ、金属又は半導体薄膜形成時や含
硫黄有機分子SAM膜形成時の裏面への汚染の影響を受
けることなく接触角の測定が行える。また、マイカへき
開面は平滑性が高く、化学的に不活性なので、どのよう
な液体に対しても安定した接触角が得られ、正確な測定
が行える。特に基板を純水に浸漬して測定する場合には
マイカ露出面の接触角をゼロとしてSAM膜の接触角を
算出できるため、簡便に精度の高い接触角を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法による接触角測定の原理の説明図で
ある。
【図2】液滴法による接触角測定の原理の説明図であ
る。
【図3】つり下げ平板法による接触角測定の原理の説明
図である。
【図4】実施例1で測定した動的接触角を、横軸を変
位、縦軸を接触角としてプロットしたグラフである。
【図5】実施例2で測定した動的接触角を、横軸を変
位、縦軸を接触角としてプロットしたグラフである。
【図6】実施例3で測定した動的接触角を、横軸を変
位、縦軸を接触角としてプロットしたグラフである。
【符号の説明】
1 マイカ基板 2 含硫黄有機分子SAM膜 3 マイカ露出面 4 液体 5 基板 6 液滴 7 液体

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイカ基板の片面に金属又は半導体の薄
    膜を形成し、その上に含硫黄有機分子の自己組織化単分
    子膜を浸漬法又は気化吸着法により被覆し、次いでマイ
    カ基板のマイカ露出面をへき開して、片面が自己組織化
    単分子膜被覆のマイカ基板を調製し、このマイカ基板の
    自己組織化単分子膜の動的接触角をウィルヘルミ・プレ
    ート法で測定することを特徴とする動的接触角の測定方
    法。
  2. 【請求項2】 片面に自己組織化単分子膜被覆を有する
    前記マイカ基板に、基板が傾かないだけの荷重を付加し
    て測定を行う請求項1記載の動的接触角の測定方法。
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