JP2971907B2 - 振動体から放射される音の低減方法および装置 - Google Patents

振動体から放射される音の低減方法および装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、振動体から発生する音を効率的に低減させ
る方法および装置に関する。
(従来の技術) 一般に、物体が振動すると、振動面がその近傍の空気
分子を振動させ、音を発生することは周知である。
(発明が解決しようとする課題) ところで、この振動体の振動と、この振動体から発生
する音とについての因果関係および相関関係について
は、ほとんど解明されていなかった。従って、振動体か
ら発生する音を効率的に低減させる方法については、ほ
とんど何等の有効な手段も考慮されていないのが現状で
あって、その騒音対策を確立するために、その解明は重
要な課題であった。
本発明の目的は、上記問題点を改善するために、振動
と振動から発生する音との因果関係および相関関係が解
明されて、騒音が確実で効率的に低減される振動体から
放射される音の低減方法および装置を提供することにあ
る。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために、本発明は、振動体の振動
を計測し、前記振動体から放射される音を計測し、前記
振動と音とを実時間周波数分析して、前記振動と音との
夫々の特徴周波数を比較し、前記振動のどの周波数成分
を低減させるかによって、騒音を低減させ得るかを判断
することを特徴とする振動体から放射される音の低減方
法である。
また、本発明は、振動体の振動を計測する振動センサ
と、前記振動体から放射される音を計測する騒音計と、
前記振動と音とを実時間周波数分析する高速フーリエ変
換器と、前記振動と音との夫々の特徴周波数を比較し、
前記振動のどの周波数成分を低減させるかによって、騒
音を低減させ得るかを判断する演算装置および前記演算
装置の必要事項を出力するプロッタとを備えたことを特
徴とする振動体から放射される音の低減装置である。
(作用) 本発明の振動体から放射される音の低減方法を採用す
ることにより、振動体の振動を計測し、前記振動体から
放射される音を計測し、前記振動と音とを実時間周波数
分析して、前記振動と音との夫々の特徴周波数を比較
し、前記振動のどの周波数成分を低減させるかによっ
て、騒音を低減させ得るかを判断し、振動と振動から発
生する音との因果関係および相関関係が解明されて、騒
音が確実で、効率的に低減される。
また、本発明の振動体から放射される音の低減装置
は、振動体の振動を振動センサで計測し、前記振動体か
ら放射される音を騒音計で計測し、前記振動と音とを高
速フーリエ変換装置で実時間周波数分析し、前記振動と
音との夫々の特徴周波数を比較し、前記振動のどの周波
数成分を低減させるかによって、騒音を減少させ得るか
を演算装置で判断し、前記演算装置の必要事項を出力す
るプロッタを設けるように構成される。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明す
る。
第1図は本発明の音低減装置の一実施例のブロック図
を示す。音低減装置1は、主として振動センサ5と、騒
音計7と、チャージアンプ9と、高速フーリエ変換装置
11と、演算装置、本実施例ではパーソナルコンピュータ
(パソコン)13およびプロッタ15とから構成されてい
る。
振動センサ5は、振動体、例えば鉄板3に固着され、
鉄板3の振動を計測する。騒音計7は鉄板3から発生す
る音を測定し、チャージアンプ9は振動センサ5の出力
を増幅する。なお、17はスプリングで、Fは鉄板3に振
動を与える加振方向である。
また、高速フーリエ変換装置11は、チヤージアンプ9
にて増幅された振動出力と、騒音計7の音出力とを高速
でフーリエ変換して実時間周波数分析を行い、パーソナ
ルコンピュータ13に出力する。
パーソナルコンピュータ13は、振動体3の各モードに
より理論周波数を計算するソフトウェアが内臓され、そ
の理論周波数の計算結果と、高速フーリエ変換装置11に
て実時間周波数分析された結果とが比較され、振動のど
の周波数成分を低減させれば、効果的に騒音を減少可能
であるかを判断する。プロッタ15は、これらの計算結果
を入力し、パーソナルコンピュータ13の必要な事項を出
力する。
第2図は高速フーリエ変換装置による振動と騒音との
実時間周波数分析結果の比較図である。高速フーリエ変
換装置11による振動と、この振動による騒音とを比較す
ると、奇数モードである周波数f0,f3では音が強く発生
しているが、偶数モードである周波数f1,f2,f4ではキャ
ンセレーションにより音が発生しない。
第3図はパーソナルコンピュータによる振動体の各モ
ードにおける理論周波数の計算結果を示す。
第4図は第2図に示す偶数モードの例、第5図は同じ
く奇数モードの例を示す。振動モードには、偶数モード
と奇数モードとの2種類がある。偶数モード(2,1),
(2,2),(3,2)では、変位量が零の位置である振動の
節が振動体3の中心にあるから、振動の山と谷の数が同
数になる。すなわち、音の放射(振動の山)と、吸音
(谷の数)との効果が同一になり、振動体3から音が放
射されないことになる。これを偶数モードにおけるキャ
ンセレーションという。これに対して、奇数モード(1,
1),(3,1)では、振動の山と谷との数が一致しないの
で、振動体3から音が放射されたことになる。
従って、パーソナルコンピュータ13は、奇数モードの
振動周波数を探し出し、その周波数における音の大きさ
を調査する。すなわち、音を大きく出している奇数モー
ドでの振動周波数を探し出し、音を大きく出している振
動体3の振動周波数の順に、その振動を低減させること
により、第2図に示すように、周波数f0とf3とに注目し
て、この音を低下させるか、またはこの周波数f0,f3を
小さくするかあるいは大きくするとき、人の耳には静か
に聞え、振動体3から生じる音を効率的に低減させるこ
とができる。
次に、第6図は第1図における音低減装置のフローチ
ャートを示す。図において振動体3の振動および音を、
高フーリエ変換装置11にて実時間周波数分析し(ステッ
プS1)、分析結果をパーソナルコンピュータ13に入力す
る(ステップ2)。この際、パーソナルコンピュータ13
にて振動体3の各モードにおける理論周波数を計算する
(ステップ3)。
パーソナルコンピュータ13にて振動を実時間周波数分
析して得られた特徴周波数と、各モードにおける理論周
波数とが大体一致すれば(ステップ4)、振動が大きく
なっている周波数と、音が大きくなっている周波数とを
比較し、振動の奇数モードで発生している音の周波数を
ピックアップし(ステップ5)、音が強く発生している
奇数モードの振動を低減させることを検討し、例えば音
源の剛性および質量を変化させる(ステップ6)。な
お、(ステップ4)の特徴周波数と理論周波数とが一致
しなければ、実験方法および理論解析について再検討す
る(ステップ7)。上記における振動における特徴周波
数とは、固有振動数をさすものである。
このように、振動体3の奇数モードにおける振動数
が、実験および理論解析の照合により、正確に得られる
から、効率的に音の低減が可能である。また、振動体か
らの音の低減方法についての理論的手段を採用したこと
により、設計ないし試作の段階にて、効率的な低音化を
検討することが可能となった。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではな
く、適宜の設計的変更、例えば振動体3の特徴周波数を
抽出するために実時間周波数分析の代りに、伝達関数を
求め、この伝達関数により特徴周波数を抽出してもよ
い。
[発明の効果] 上記説明ですでに明らかなように、本発明の振動体か
ら放射される音の低減方法および装置は、振動体の振動
を計測し、前記振動体から放射される音を計測し、前記
振動と音とを実時間周波数分析して、前記振動と音との
夫々の特徴周波数を比較し、前記振動のどの周波数成分
を低減させることにより、従来技術の問題点が有効に解
決され、振動と振動から発生する音との因果関係および
相関関係が解明されて、設計または試作の段階で騒音の
確実で効率的な低減化を検討することが可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の音低減装置の一実施例のブロック図、
第2図は高速フーリエ変換装置による振動と騒音との実
時間周波数分析結果の比較図、第3図はパーソナルコン
ピュータによる振動体の各モードにおける理論周波数の
計算結果、第4図は第2図に示す偶数モードの例、第5
図は奇数モードの例、第6図は第1図における音低減装
置のフローシートである。 1……音低減装置 3……振動体 5……振動センサ 7……騒音計、9……チャージアンプ 11……高速フーリエ変換装置 13……パーソナルコンピュータ 15……プロッタ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】振動体の振動を計測し、前記振動体から放
    射される音を計測し、前記振動と音とを実時間周波数分
    析して、前記振動と音との夫々の特徴周波数を比較し、
    前記振動のどの周波数成分を低減させるかによって、騒
    音を低減させ得るかを判断することを特徴とする振動体
    から放射される音の低減方法。
  2. 【請求項2】振動体の振動を計測する振動センサと、前
    記振動体から放射される音を計測する騒音計と、前記振
    動と音とを実時間周波数分析する高速フーリエ変換装置
    と、前記振動と音との夫々の特徴周波数を比較して前記
    振動のどの周波数成分を低減させるかによって、騒音を
    減少させ得るかを判断する演算装置および前記演算装置
    の必要事項を出力するプロッタと、を備えたことを特徴
    とする振動体から放射される音の低減装置。
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