JP2971729B2 - ウラン、プルトニウム及びネプツニウムの共抽出方法 - Google Patents
ウラン、プルトニウム及びネプツニウムの共抽出方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、使用済核燃料の再処
理方法であるピューレックス湿式再処理法において、使
用済核燃料中に存在する超ウラン元素の一つであるネプ
ツニウムを、ウラン及びプルトニウムと共に抽出・回収
する方法に関するものである。
理方法であるピューレックス湿式再処理法において、使
用済核燃料中に存在する超ウラン元素の一つであるネプ
ツニウムを、ウラン及びプルトニウムと共に抽出・回収
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ピューレックス湿式再処理法の主要な目
的は、使用済核燃料中に含まれるウラン及びプルトニウ
ムを核分裂生成物から分離回収することにある。この場
合に、使用済核燃料に同様に含まれている超ウラン元素
の一つであるネプツニウムは、回収対象物とはされてお
らず、その一部はウラン及びプルトニウムと共に核分裂
生成物から分離されるか、あるいは核分裂生成物と共に
ウラン及びプルトニウムから分離されて高レベル廃液側
に排出されている。
的は、使用済核燃料中に含まれるウラン及びプルトニウ
ムを核分裂生成物から分離回収することにある。この場
合に、使用済核燃料に同様に含まれている超ウラン元素
の一つであるネプツニウムは、回収対象物とはされてお
らず、その一部はウラン及びプルトニウムと共に核分裂
生成物から分離されるか、あるいは核分裂生成物と共に
ウラン及びプルトニウムから分離されて高レベル廃液側
に排出されている。
【0003】ピューレックス湿式再処理法を実施するに
際しては、先ず使用済核燃料を硝酸に溶解し、溶液組成
を調整したのち、ミキサー・セトラー、遠心抽出器ある
いはパルスコラムのごとき多段抽出器内で30%TBP
(リン酸トリブチル)抽出剤と接触させる。これにより
使用済核燃料の硝酸溶解液中のウラン及びプルトニウム
は抽出剤相(有機相)に抽出され、核分裂生成物は硝酸
溶液相(水相)に残り高レベル廃液として除去される。
この工程はピューレックス湿式再処理法における共除染
工程という。しかしながらネプツニウムは長半減期核種
であるため、これを核分裂生成物と共に高レベル廃液側
に排出させることは廃棄物管理上問題となる。
際しては、先ず使用済核燃料を硝酸に溶解し、溶液組成
を調整したのち、ミキサー・セトラー、遠心抽出器ある
いはパルスコラムのごとき多段抽出器内で30%TBP
(リン酸トリブチル)抽出剤と接触させる。これにより
使用済核燃料の硝酸溶解液中のウラン及びプルトニウム
は抽出剤相(有機相)に抽出され、核分裂生成物は硝酸
溶液相(水相)に残り高レベル廃液として除去される。
この工程はピューレックス湿式再処理法における共除染
工程という。しかしながらネプツニウムは長半減期核種
であるため、これを核分裂生成物と共に高レベル廃液側
に排出させることは廃棄物管理上問題となる。
【0004】上記の共除染工程を図1を参照してさらに
説明する。多段抽出器は一般に抽出段群すなわち抽出部
と、洗浄段群すなわち洗浄部とから構成されている。使
用済核燃料の硝酸溶液からなる給液(ウラン、プルトニ
ウム、ネプツニウム、核分裂生成物を含む)を抽出器中
間部の供給段に導入すると、抽出部においてTBP抽出
剤と向流接触して給液中のウラン(抽出されやすい6価
に調整されている)およびプルトニウム(抽出されやす
い4価に調整されている)は抽出剤に抽出され、核分裂
生成物は硝酸溶液に残留して高レベル廃液として排出さ
れる。ウランとプルトニウムを装荷した抽出剤はさらに
洗浄部へ送られ洗浄液(硝酸)と向流接触して核分裂生
成物等の不純物がさらに除去される。
説明する。多段抽出器は一般に抽出段群すなわち抽出部
と、洗浄段群すなわち洗浄部とから構成されている。使
用済核燃料の硝酸溶液からなる給液(ウラン、プルトニ
ウム、ネプツニウム、核分裂生成物を含む)を抽出器中
間部の供給段に導入すると、抽出部においてTBP抽出
剤と向流接触して給液中のウラン(抽出されやすい6価
に調整されている)およびプルトニウム(抽出されやす
い4価に調整されている)は抽出剤に抽出され、核分裂
生成物は硝酸溶液に残留して高レベル廃液として排出さ
れる。ウランとプルトニウムを装荷した抽出剤はさらに
洗浄部へ送られ洗浄液(硝酸)と向流接触して核分裂生
成物等の不純物がさらに除去される。
【0005】この共除染工程におけるネプツニウムの挙
動は安定しておらず、高レベル廃液側に排出されたり、
ウラン・プルトニウム装荷抽出剤側に混入する。装荷抽
出剤側に混入したネプツニウムは不純物となり、その取
扱も面倒となる。この原因は、硝酸溶液中ではネプツニ
ウムの原子価が5価と6価の平衡関係を保ち、条件によ
っては5価が多くなったり6価が多くなったりするため
である。つまり、ネプツニウム5価は抽出剤に抽出され
ないため高レベル廃液側へ排出され、ネプツニウム6価
はウランやプルトニウムと共に抽出剤に抽出されること
になる。
動は安定しておらず、高レベル廃液側に排出されたり、
ウラン・プルトニウム装荷抽出剤側に混入する。装荷抽
出剤側に混入したネプツニウムは不純物となり、その取
扱も面倒となる。この原因は、硝酸溶液中ではネプツニ
ウムの原子価が5価と6価の平衡関係を保ち、条件によ
っては5価が多くなったり6価が多くなったりするため
である。つまり、ネプツニウム5価は抽出剤に抽出され
ないため高レベル廃液側へ排出され、ネプツニウム6価
はウランやプルトニウムと共に抽出剤に抽出されること
になる。
【0006】抽出器の抽出部におけるネプツニウム5価
と6価の平衡関係は次式で表わすことができる。 抽出剤にはネプツニウム6価(NpO2 2+)が抽出され
るため、式(1) は右側に進行し、従って抽出部ではネプ
ツニウム5価の6価への酸化が生じる。
と6価の平衡関係は次式で表わすことができる。 抽出剤にはネプツニウム6価(NpO2 2+)が抽出され
るため、式(1) は右側に進行し、従って抽出部ではネプ
ツニウム5価の6価への酸化が生じる。
【0007】図1の抽出部で抽出剤に抽出されたネプツ
ニウム6価は次いで洗浄部へ運ばれるが、抽出部で硝酸
等の分解により生じた亜硝酸(NO2 )も抽出剤に抽出
されて洗浄部へ運ばれる。そのため洗浄部ではネプツニ
ウム6価と亜硝酸とがある濃度で共存することになり、
亜硝酸によるネプツニウム6価の5価への還元反応が生
じて式(1) は左側に進行し、ネプツニウム5価は高レベ
ル廃液側に排出されてしまう。
ニウム6価は次いで洗浄部へ運ばれるが、抽出部で硝酸
等の分解により生じた亜硝酸(NO2 )も抽出剤に抽出
されて洗浄部へ運ばれる。そのため洗浄部ではネプツニ
ウム6価と亜硝酸とがある濃度で共存することになり、
亜硝酸によるネプツニウム6価の5価への還元反応が生
じて式(1) は左側に進行し、ネプツニウム5価は高レベ
ル廃液側に排出されてしまう。
【0008】洗浄部でのネプツニウム6価の5価への還
元を防止するためには、洗浄部に運ばれる亜硝酸を極力
少なくすればよい。そこで特公昭52−26318号公
報で提案されている方法においては、洗浄部での亜硝酸
濃度を低下させるために例えば亜硝酸分解剤としてヒド
ラジンを給液供給段から抽出器洗浄部へ導入する方法を
採用している。これによって、洗浄部での亜硝酸濃度を
低下させて亜硝酸によるネプツニウム5価への還元を抑
え、給液中に存在していたネプツニウムの抽出剤への回
収率を約90%まで上昇させている。
元を防止するためには、洗浄部に運ばれる亜硝酸を極力
少なくすればよい。そこで特公昭52−26318号公
報で提案されている方法においては、洗浄部での亜硝酸
濃度を低下させるために例えば亜硝酸分解剤としてヒド
ラジンを給液供給段から抽出器洗浄部へ導入する方法を
採用している。これによって、洗浄部での亜硝酸濃度を
低下させて亜硝酸によるネプツニウム5価への還元を抑
え、給液中に存在していたネプツニウムの抽出剤への回
収率を約90%まで上昇させている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
従来技術においては、条件によって複雑に変化する亜硝
酸濃度を微妙に調整しながら、亜硝酸分解剤であるヒド
ラジンを洗浄部に供給しなければならず、実用上必ずし
も満足すべき方法とはいえない。例えば、ヒドラジンを
大過剰に供給した場合には、ヒドラジンの還元作用によ
ってプルトニウムが3価に還元されてしまい、プルトニ
ウムが効率よく回収できず、ピューレックス湿式再処理
法の本来の目的であるプルトニウムの回収に悪影響を及
ぼすことにもなる。
従来技術においては、条件によって複雑に変化する亜硝
酸濃度を微妙に調整しながら、亜硝酸分解剤であるヒド
ラジンを洗浄部に供給しなければならず、実用上必ずし
も満足すべき方法とはいえない。例えば、ヒドラジンを
大過剰に供給した場合には、ヒドラジンの還元作用によ
ってプルトニウムが3価に還元されてしまい、プルトニ
ウムが効率よく回収できず、ピューレックス湿式再処理
法の本来の目的であるプルトニウムの回収に悪影響を及
ぼすことにもなる。
【0010】そこでこの発明は、ピューレックス湿式再
処理法の共除染工程において、従来技術におけるように
亜硝酸分解剤を使用する亜硝酸濃度の微妙な調整を必要
とすることなく、使用済核燃料の硝酸溶液中に共存する
ネプツニウムをウラン及びネプツニウムと共に効率よく
抽出・回収することができる改良された方法を提供する
ことを目的としてなされたものである。
処理法の共除染工程において、従来技術におけるように
亜硝酸分解剤を使用する亜硝酸濃度の微妙な調整を必要
とすることなく、使用済核燃料の硝酸溶液中に共存する
ネプツニウムをウラン及びネプツニウムと共に効率よく
抽出・回収することができる改良された方法を提供する
ことを目的としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明による
ウラン、プルトニウム及びネプツニウムの共抽出方法
は、使用済核燃料の硝酸溶液をTBP抽出剤と接触させ
て硝酸溶液中のネプツニウムをウラン及びプルトニウム
と共に抽出剤相に抽出する方法において、使用済核燃料
の硝酸溶液中に含有するプルトニウム全量の少なくとも
10重量%以上がプルトニウム6価として存在している
硝酸溶液をTBP抽出剤と接触させることを特徴とする
ものである。
ウラン、プルトニウム及びネプツニウムの共抽出方法
は、使用済核燃料の硝酸溶液をTBP抽出剤と接触させ
て硝酸溶液中のネプツニウムをウラン及びプルトニウム
と共に抽出剤相に抽出する方法において、使用済核燃料
の硝酸溶液中に含有するプルトニウム全量の少なくとも
10重量%以上がプルトニウム6価として存在している
硝酸溶液をTBP抽出剤と接触させることを特徴とする
ものである。
【0012】使用済核燃料の硝酸溶液中のプルトニウム
は、ネプツニウムに比べて大過剰に存在する。例えば代
表的な液体金属高速増殖炉の場合にはPu/Np=約4
00、代表的な加圧水型原子炉の場合にはPu/Np=
約12である。また、ネプツニウムの酸化還元電位とプ
ルトニウムの酸化還元電位はきわめて類似した値を有す
る。従って、硝酸溶液中のプルトニウム全量の少なくと
も10重量%以上が6価に酸化されている条件では、共
存するネプツニウムは実質的に全量が6価に酸化されて
いることになる。
は、ネプツニウムに比べて大過剰に存在する。例えば代
表的な液体金属高速増殖炉の場合にはPu/Np=約4
00、代表的な加圧水型原子炉の場合にはPu/Np=
約12である。また、ネプツニウムの酸化還元電位とプ
ルトニウムの酸化還元電位はきわめて類似した値を有す
る。従って、硝酸溶液中のプルトニウム全量の少なくと
も10重量%以上が6価に酸化されている条件では、共
存するネプツニウムは実質的に全量が6価に酸化されて
いることになる。
【0013】一方、硝酸溶液中のプルトニウム6価はプ
ルトニウム4価と次式(2) のような平衡関係を有してい
る。 この式(2) から、プルトニウム6価は亜硝酸によって4
価に還元されることがわかる。従って、大過剰のプルト
ニウム6価が存在する系では、プルトニウム6価が亜硝
酸の分解剤として作用することになる。本発明者らは種
々の実験によって、硝酸溶液中のプルトニウム全量の少
なくとも10重量%以上がプルトニウム6価として存在
していれば、式(2) のように亜硝酸の分解剤として作用
するのに十分なプルトニウム6価の量となること、従っ
て亜硝酸によるネプツニウム6価の5価への還元反応を
確実に阻止できることを見出し、この発明を完成させた
ものである。
ルトニウム4価と次式(2) のような平衡関係を有してい
る。 この式(2) から、プルトニウム6価は亜硝酸によって4
価に還元されることがわかる。従って、大過剰のプルト
ニウム6価が存在する系では、プルトニウム6価が亜硝
酸の分解剤として作用することになる。本発明者らは種
々の実験によって、硝酸溶液中のプルトニウム全量の少
なくとも10重量%以上がプルトニウム6価として存在
していれば、式(2) のように亜硝酸の分解剤として作用
するのに十分なプルトニウム6価の量となること、従っ
て亜硝酸によるネプツニウム6価の5価への還元反応を
確実に阻止できることを見出し、この発明を完成させた
ものである。
【0014】従来から、硝酸溶液中のプルトニウムは亜
硝酸ナトリウム等の原子価調整剤を用いて4価に調整し
た後に抽出剤と接触させているが、この発明においては
硝酸溶液中のプルトニウムの大部分を6価の状態で抽出
剤と接触させる。プルトニウム6価はプルトニウム4価
に比べて抽出性は低いが、この発明によれば、式(2)に
従って亜硝酸によりプルトニウム6価は4価に還元され
ることになるため、プルトニウムの高抽出効率を維持す
ることができる。
硝酸ナトリウム等の原子価調整剤を用いて4価に調整し
た後に抽出剤と接触させているが、この発明においては
硝酸溶液中のプルトニウムの大部分を6価の状態で抽出
剤と接触させる。プルトニウム6価はプルトニウム4価
に比べて抽出性は低いが、この発明によれば、式(2)に
従って亜硝酸によりプルトニウム6価は4価に還元され
ることになるため、プルトニウムの高抽出効率を維持す
ることができる。
【0015】使用済核燃料の硝酸溶液中にプルトニウム
6価が所定量以上含まれている場合には、プルトニウム
の原子価調整等を施すことなくこの硝酸溶液を抽出器へ
の給液として用いることができる。一方、使用済核燃料
の硝酸溶液中のプルトニウム6価がプルトニウム全量の
10%に満たない場合には、この硝酸溶液を70℃以上
で加熱することによって容易にプルトニウム6価に酸化
することができる。70℃より低い温度では殆ど酸化は
起こらない。加熱温度が高くなるにつれて、酸化速度が
早くなり、処理能力の面からは有利になるが、加熱温度
が硝酸溶液の沸点より高くなると、加熱容器の材料腐食
速度が増加し加熱容器の寿命短縮につながる。かような
観点から加熱温度は70℃から硝酸溶液の沸点までの温
度範囲内とすることが好ましい。加熱によってプルトニ
ウムの全量を6価とした硝酸溶液を常温で放置すると、
図2のグラフに示したように、硝酸の分解で生成した亜
硝酸の影響により、時間と共に硝酸溶液中のプルトニウ
ム6価は自然還元されてその割合が低下していく。従っ
て、硝酸溶液中のプルトニウム6価の割合が10%より
低くならないうちに、TBP抽出剤による抽出操作を施
す必要がある。
6価が所定量以上含まれている場合には、プルトニウム
の原子価調整等を施すことなくこの硝酸溶液を抽出器へ
の給液として用いることができる。一方、使用済核燃料
の硝酸溶液中のプルトニウム6価がプルトニウム全量の
10%に満たない場合には、この硝酸溶液を70℃以上
で加熱することによって容易にプルトニウム6価に酸化
することができる。70℃より低い温度では殆ど酸化は
起こらない。加熱温度が高くなるにつれて、酸化速度が
早くなり、処理能力の面からは有利になるが、加熱温度
が硝酸溶液の沸点より高くなると、加熱容器の材料腐食
速度が増加し加熱容器の寿命短縮につながる。かような
観点から加熱温度は70℃から硝酸溶液の沸点までの温
度範囲内とすることが好ましい。加熱によってプルトニ
ウムの全量を6価とした硝酸溶液を常温で放置すると、
図2のグラフに示したように、硝酸の分解で生成した亜
硝酸の影響により、時間と共に硝酸溶液中のプルトニウ
ム6価は自然還元されてその割合が低下していく。従っ
て、硝酸溶液中のプルトニウム6価の割合が10%より
低くならないうちに、TBP抽出剤による抽出操作を施
す必要がある。
【0016】
【実施例】8段の抽出部とそれに続く8段の洗浄部から
構成された合計16段を有するミキサー・セトラー型多
段抽出器の8段目から、表1記載の組成を有する硝酸溶
液A〜D(使用済核燃料硝酸溶液の模擬溶液)を給液と
して供給し、1段目の抽出部から供給したTBP抽出剤
(n−ドデカンで30%に希釈したTBP)と向流接触
させた。一方、16段目の洗浄部から洗浄液(3M硝
酸)を供給し、抽出部から洗浄部へ送られてくる装荷抽
出剤と向流接触させた。
構成された合計16段を有するミキサー・セトラー型多
段抽出器の8段目から、表1記載の組成を有する硝酸溶
液A〜D(使用済核燃料硝酸溶液の模擬溶液)を給液と
して供給し、1段目の抽出部から供給したTBP抽出剤
(n−ドデカンで30%に希釈したTBP)と向流接触
させた。一方、16段目の洗浄部から洗浄液(3M硝
酸)を供給し、抽出部から洗浄部へ送られてくる装荷抽
出剤と向流接触させた。
【0017】表1中の給液A、B、Cは、硝酸溶液を約
80℃に加熱することによって含有するプルトニウムの
全量を6価に酸化した後、そのまま放置してプルトニウ
ム6価を自然還元させることによって、プルトニウム6
価の残存率が40%または20%となるようにして調製
したものである。
80℃に加熱することによって含有するプルトニウムの
全量を6価に酸化した後、そのまま放置してプルトニウ
ム6価を自然還元させることによって、プルトニウム6
価の残存率が40%または20%となるようにして調製
したものである。
【0018】給液Dは、硝酸溶液を約80℃に加熱して
含有するプルトニウムの全量を6価に酸化した後、原子
価調整剤として亜硝酸ナトリウム(NaNO2 )を添加
してプルトニウム6価の全量を4価に還元することによ
って調製したものである。
含有するプルトニウムの全量を6価に酸化した後、原子
価調整剤として亜硝酸ナトリウム(NaNO2 )を添加
してプルトニウム6価の全量を4価に還元することによ
って調製したものである。
【0019】
【表1】 給液組成 A B C D Pu (g/l) 39 39 45 20 Pu6+/T−Pu 40% 20% 20% 0% U (g/l) 140 140 110 81 HNO3 (M) 5.00 5.00 5.61 2.92 Np (mg/l) 35 35 63 28 Np (%) 100 100 100 100 流量 (ml/h) 100 100 100 150
【0020】多段抽出器内での上記操作によって16段
目の洗浄部から得られる装荷抽出剤の組成の分析結果を
表2に、1段目の抽出部から排出される高レベル廃液の
組成の分析結果を表3に、それぞれ示す。
目の洗浄部から得られる装荷抽出剤の組成の分析結果を
表2に、1段目の抽出部から排出される高レベル廃液の
組成の分析結果を表3に、それぞれ示す。
【0021】
【表2】 装荷抽出剤組成 A B C D Pu (g/l) 12 12 20 21 U (g/l) 43 44 28 67 HNO3 (M) − − − − Np (mg/l) 12 12 25 3.4 Np (%) 100 100 100 14.1a) 流量 (ml/h) 300 300 250 170
【0022】
【表3】 高レベル廃液組成 A B C D Pu (g/l) NDb) ND ND ND U (g/l) ND ND ND ND HNO3 (M) 4.95 5.09 4.55 3.26 Np (mg/l) ND ND ND 9.6 Np (%) 0 0 0 46.7a) 流量 (ml/h) 196 196 200 205 註 a)抽出器内でのアキュムレーションにより物質収支
とれず。 b)ND:検出されず。
とれず。 b)ND:検出されず。
【0023】表1、表2および表3からわかるように、
プルトニウム6価をネプツニウムと共存させた給液A,
B,Cにおいては、ネプツニウムの抽出器内でのアキュ
ムレーションも見られず、ネプツニウムの全量がウラン
及びプルトニウムと共に抽出剤に抽出されており、高レ
ベル廃液側に排出されていないことがわかる。これに対
して給液Dにおいては、給液中にプルトニウム6価が存
在しない条件で抽出剤と接触させたため、抽出器内で硝
酸の分解により生成した亜硝酸によってネプツニウムが
5価に還元されてしまう。その結果、ネプツニウムの1
4.1%のみが抽出剤に抽出され、46.7%が高レベ
ル廃液側に排出され、残りは抽出器内にアキュムレーシ
ョンしてしまう。
プルトニウム6価をネプツニウムと共存させた給液A,
B,Cにおいては、ネプツニウムの抽出器内でのアキュ
ムレーションも見られず、ネプツニウムの全量がウラン
及びプルトニウムと共に抽出剤に抽出されており、高レ
ベル廃液側に排出されていないことがわかる。これに対
して給液Dにおいては、給液中にプルトニウム6価が存
在しない条件で抽出剤と接触させたため、抽出器内で硝
酸の分解により生成した亜硝酸によってネプツニウムが
5価に還元されてしまう。その結果、ネプツニウムの1
4.1%のみが抽出剤に抽出され、46.7%が高レベ
ル廃液側に排出され、残りは抽出器内にアキュムレーシ
ョンしてしまう。
【0024】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
使用済核燃料の硝酸溶液中に存在するプルトニウムの所
定量以上をプルトニウム6価の状態としてネプツニウム
と共存させることによって、硝酸溶液とTBP抽出剤と
の向流接触に際して、ウラン及びプルトニウムと共にネ
プツニウムも効果的かつ安定に抽出剤に抽出され、高回
収率で回収することができる。
使用済核燃料の硝酸溶液中に存在するプルトニウムの所
定量以上をプルトニウム6価の状態としてネプツニウム
と共存させることによって、硝酸溶液とTBP抽出剤と
の向流接触に際して、ウラン及びプルトニウムと共にネ
プツニウムも効果的かつ安定に抽出剤に抽出され、高回
収率で回収することができる。
【0025】その結果、ネプツニウムは高レベル廃液側
には実質的に排出されないため、ネプツニウムの60〜
70%以上が高レベル廃液側に排出されていた従来のピ
ューレックス湿式再処理法の共除染工程で提起されてい
た廃棄物管理上の問題を低減することができる。
には実質的に排出されないため、ネプツニウムの60〜
70%以上が高レベル廃液側に排出されていた従来のピ
ューレックス湿式再処理法の共除染工程で提起されてい
た廃棄物管理上の問題を低減することができる。
【0026】また、硝酸溶液中のプルトニウム6価の量
を調整するためには、単に硝酸溶液を加熱するだけでよ
いから、プルトニウム原子価調整に従来から慣用されて
いた原子価調整剤等を使用する必要がない。
を調整するためには、単に硝酸溶液を加熱するだけでよ
いから、プルトニウム原子価調整に従来から慣用されて
いた原子価調整剤等を使用する必要がない。
【図1】ピューレックス湿式再処理法の共除染工程の概
念を示す説明図。
念を示す説明図。
【図2】硝酸溶液中のプルトニウム6価の時間の経過に
よる自然還元を示すグラフ。
よる自然還元を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 友広 淳也 茨城県那珂郡東海村大字村松4番地33 動力炉・核燃料開発事業団東海事業所内 (72)発明者 富樫 昭夫 茨城県那珂郡東海村大字村松4番地33 動力炉・核燃料開発事業団東海事業所内 (56)参考文献 特開 平5−66290(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21C 19/46
Claims (3)
- 【請求項1】 使用済核燃料の硝酸溶液をTBP抽出剤
と接触させて硝酸溶液中のネプツニウムをウラン及びプ
ルトニウムと共に抽出剤相に抽出する方法において、使
用済核燃料の硝酸溶液中に含有するプルトニウム全量の
少なくとも10重量%以上がプルトニウム6価として存
在している硝酸溶液をTBP抽出剤と接触させることを
特徴とするウラン、プルトニウム及びネプツニウムの共
抽出方法。 - 【請求項2】 使用済核燃料の硝酸溶液をTBP抽出剤
と接触させて硝酸溶液中のネプツニウムをウラン及びプ
ルトニウムと共に抽出剤相に抽出する方法において、使
用済核燃料の硝酸溶液を加熱することによって硝酸溶液
中に含有するプルトニウム重量の少なくとも10%以上
をプルトニウム6価とし、この硝酸溶液をTBP抽出剤
と接触させることを特徴とするウラン、プルトニウム及
びネプツニウムの共抽出方法。 - 【請求項3】 硝酸溶液を70℃から硝酸溶液の沸点ま
での温度範囲内で加熱する請求項2記載の共抽出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6620694A JP2971729B2 (ja) | 1994-04-04 | 1994-04-04 | ウラン、プルトニウム及びネプツニウムの共抽出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6620694A JP2971729B2 (ja) | 1994-04-04 | 1994-04-04 | ウラン、プルトニウム及びネプツニウムの共抽出方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07280985A JPH07280985A (ja) | 1995-10-27 |
JP2971729B2 true JP2971729B2 (ja) | 1999-11-08 |
Family
ID=13309138
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP6620694A Expired - Fee Related JP2971729B2 (ja) | 1994-04-04 | 1994-04-04 | ウラン、プルトニウム及びネプツニウムの共抽出方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2971729B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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FR2960690B1 (fr) * | 2010-05-27 | 2012-06-29 | Commissariat Energie Atomique | Procede de traitement de combustibles nucleaires uses ne necessitant pas d'operation de desextraction reductrice du plutonium |
CN112853128B (zh) * | 2020-12-30 | 2022-07-01 | 中国原子能科学研究院 | 连续调节Purex流程1CU料液中镎价态和酸度的方法和装置 |
CN114774720B (zh) * | 2022-03-11 | 2023-12-08 | 清华大学 | 制备五价钚离子的方法及萃取分离钚离子的方法 |
-
1994
- 1994-04-04 JP JP6620694A patent/JP2971729B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07280985A (ja) | 1995-10-27 |
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