JP2971419B2 - 光スイッチ - Google Patents

光スイッチ

Info

Publication number
JP2971419B2
JP2971419B2 JP20583897A JP20583897A JP2971419B2 JP 2971419 B2 JP2971419 B2 JP 2971419B2 JP 20583897 A JP20583897 A JP 20583897A JP 20583897 A JP20583897 A JP 20583897A JP 2971419 B2 JP2971419 B2 JP 2971419B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical waveguide
optical
light
signal light
absorption
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP20583897A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1152439A (ja
Inventor
信夫 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP20583897A priority Critical patent/JP2971419B2/ja
Publication of JPH1152439A publication Critical patent/JPH1152439A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2971419B2 publication Critical patent/JP2971419B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光制御型の光スイ
ッチに係わり、特に半導体量子井戸中のサブバンド間遷
移を利用した超高速のデジタル光スイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】来るべきマルチメディア時代の光時分割
多重(OTDM)技術や光周波数分割多重(OFDM)
技術を駆使したテラビット光ネットワークにおいては、
信号光のルーティングのようなノード処理が技術のボト
ルネックになるものと予想される。従来の電気的な処理
では不可能な大容量のデータ処理を光ノードにより実現
するためには、超高速で高効率の光制御型光ルーティン
グスイッチの開発が急務である。
【0003】現在研究開発が進められている超高速の光
スイッチとしては、非線形ループミラー(NOLM)に
代表されるような光ファイバの非線形性を用いた光スイ
ッチや、図16に示したマッハツエンダー干渉計型の半
導体光スイッチがある。これらは基本的に干渉計であ
り、2つに分岐された信号光のうち一方の位相を強い制
御光パルスによる非線形光学効果でπシフトさせること
で、出力カプラから出力される信号光の分岐を切り替え
るというものである。
【0004】図17は、このような干渉計型の光スイッ
チの制御光入力パワーと信号光出力を模式的に説明する
図である。干渉計型であるから、光入出力特性は基本的
に周期性を有しており、制御光パワーは信号光の位相を
πシフトさせるのに適当な動作点に合わせる必要があ
る。しかしながら、環境温度、制御光パワー、結合係数
などの変動により動作点は敏感に変動するので、複雑な
安定化回路等を付加しない限り、望ましい光スイッチン
グ動作を維持することは困難である。
【0005】一方、電気制御型の光スイッチではこのよ
うな高速動作は不可能であるが、動作点の変動に強いデ
ジタル光スイッチ(DOS)が実現されている。図18
はその構成を模式的に示す図である。徐々に2つに分か
れる分岐光導波路に複数の電極を形成しておき、逆バイ
アスないし電流注入で分岐光導波路の屈折率分布を不均
等にすることで、信号光が相対的に屈折率が高い分岐に
スイッチされるようにしたものである。
【0006】しかしながら、超高速の光制御型では、以
下に述べるような問題により良好なDOSは実現できて
いなかった。即ち、制御光で屈折率を低下させる場合
は、制御光ビームが光導波路断面の中で分散してしまう
ので、良好なスイッチングが行えない。制御光で屈折率
が増大する場合は、自己収束効果で安定な光導波が可能
である。ところが、信号光に対しても屈折率が上昇する
ので、パワーの大きな制御光とパワーの小さな制御光の
分離が困難である。さらに、信号光の伝搬特性が制御光
パルス波形(パワー変動や温度変動により変化)により
大きく変化するため、安定な出力信号光が得られない。
また、相互位相変調により信号光に大きな波長チャーピ
ングが発生してしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、超高
速動作可能な光制御型の光スイッチでは、温度変動や制
御光パワー変動により信号光の伝搬特性が大きく変化す
るため、安定な出力信号光が得られないという問題があ
った。
【0008】本発明は、上記の事情を考慮して成された
もので、その目的とするところは、超高速で高速繰り返
しの光スイッチングを行うことができ、かつ温度変動や
制御光パワー変動に対して安定なデジタル光スイッチを
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(構成)本発明の骨子は、スイッチング原理として量子
井戸中のサブバンド間吸収の飽和を用い、かつ制御光と
信号光の波長を吸収飽和による屈折率変動が逆になるよ
うに設定することにある。
【0010】即ち本発明は、光制御型の光スイッチにお
いて、伝導帯に複数のサブバンドが存在する半導体量子
井戸層を内部に有し、モード結合している入力部から出
力部に向けて徐々に2つに分岐するように構成され、強
い光の入射によりサブバンド間の吸収の飽和を生じる非
線形光導波路と、前記サブバンド間の吸収の飽和により
屈折率が低下する波長の信号光を、前記非線形光導波路
の入力部に入力する手段と、前記サブバンド間吸収の飽
和により屈折率が増大する波長の制御光を、前記非線形
光導波路に片側に偏るように入射する手段と、前記非線
形光導波路の出力部の2つの分岐の一方から信号光を出
力する手段とを具備してなることを特徴とする。
【0011】ここで、本発明の望ましい実施態様として
は次のものがあげられる。 (1)半導体量子井戸層は、窒素を含むIII-V族半導体
からなること。 (1a)半導体量子井戸層は、GaN井戸層とAlx Ga
1-x N障壁層(1≧x≧0.7)からなること。 (1b)移動層に3×1018cm-3以上の電子が溜まるよ
うに、半導体量子井戸層を構成する層の全部ないしその
一部にn型不純物がドープされていること。
【0012】(2)非線形光導波路は、信号光に対する
利得を有すること。 (2a)非線形光導波路の一部に少なくともインジウムと
ガリウムと砒素とを構成元素として含む活性層が形成さ
れており、この活性層に電流を注入する手段が設けられ
ていること。 (2b)(2a)の構成において、量子井戸層は窒素を含む
III-V族半導体からなり、活性層と近接して形成されて
いること。 (2c)(2a)の構成において、活性層に流れる電流は量
子井戸層を流れないこと。
【0013】(3) 非線形光導波路は、2本の光導波路で
形成され、各々の入力部は近接してモード結合している
が、各々の出力部は分離していること。 (4) 非線形光導波路は、入力側が1本で出力側が2本の
Y分岐導波路で形成され、信号光は入力側から入力さ
れ、制御光は出力側から入力されること。
【0014】(作用)本発明において、非線形光導波路
の制御光が伝搬する部位は、制御光に対しては屈折率が
増大するのに対して信号光に対しては屈折率が低下する
ので、信号光のみが制御光が伝搬しない分岐の方にスイ
ッチされる。このスイッチングは所定パワー以上の制御
光入力に対して安定なので、温度変動や制御光パワー変
動に強いデジタルな光スイッチングが実現される。
【0015】しかも、信号光と制御光のパワー分布の重
なりが小さいので、信号光の伝搬特性は制御光のパワー
変化の影響を受けにくい。また、信号光と制御光が異な
る分岐を伝搬するうえ波長も異なるので、信号光と制御
光の分離も容易である。さら、サブバンド間遷移をスイ
ッチング原理としているので、非常に高速、高繰り返し
のスイッチ動作が可能である。
【0016】また、半導体量子井戸層が、伝導帯不連続
の大きな窒素を含むIII-V族半導体で構成されている
と、短波長のサブバンド間吸収が可能になるので、光フ
ァイバ通信などで重要な近赤外波長帯で動作する光スイ
ッチが可能となる。
【0017】また、窒化物半導体量子井戸はサブバンド
間緩和時間も短いので、高速応答(≧1Tb/s)が可
能となる。さらに、窒化物半導体量子井戸ではキャリア
密度を高く(1019cm-3)することができる。キャリ
ア密度を3×1018以上にすることで、大きな非線形光
吸収を実現することができる。
【0018】また、非線形光導波路が信号光に対する利
得を有していれば、サブバンド間吸収等による信号光の
減衰を補償することができ、入力光を下回らない出力を
得ることが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図示の実施
形態によって説明する。 (第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態に
係わる光スイッチの主要部を上面からみた構成を模式的
に示す図である。また、図2、3、4は、それぞれ図1
の光スイッチのX−X´断面、Y−Y´断面、Z−Z´
断面を模式的に示す図である。なお、信号入出力部を含
むモジュールの構成は従来技術と同様であるので、その
説明を省略する。
【0020】本実施形態の光スイッチは、サファイヤ基
板1上に形成されたサブバンド間吸収領域2の非線形光
学応答をスイッチ原理として用いている。信号光は光導
波路3を介して基板1の端面からサブバンド間吸収領域
2に導かれる。一方、制御光パルスは光導波路41 又は
2 を介してサブバンド間吸収領域2に導かれる。サブ
バンド間吸収領域2には、2本の非線形光導波路51
2 が、入力部では近接してモード結合するが出力部で
は分離するように、入射面に対して垂直方向から若干ず
らして形成されている。非線形光導波路51 ,52 の出
力は、それぞれ出力光導波路61 ,62 を介して外部に
出力される。
【0021】サブバンド間吸収領域2以外の部分は、ア
ンドープAlN下部クラッド層7、アンドーブAlGa
Nコア層8、アンドープAlN上部クラッド層9からな
る光導波構造を有している。なお、サファイヤ基板1上
に良好な窒化物半導体層を形成するために必要な低温成
長バッファ層等、本発明の作用原理に直接関係しない層
はその記載を省略した。
【0022】上部クラッド層9にリッジを作製すること
で光導波路3,41 ,42 ,61 ,62 が形成されてい
る。一方、サブバンド間吸収領域2では、コア層8の代
わりに多重量子井戸からなる非線形光導波路層10が形
成されており、同様に上部クラッドに形成されたリッジ
により非線形光導波路51 ,52 が規定されている。光
電界は、上下方向ではコア層8や多重量子井戸層10を
中心に一部がクラッド層7,9にしみ出すように導波さ
れ、左右方向ではリッジで等価屈折率が高くなっている
部分を中心に導波される。
【0023】入力光導波路3,41 ,42 と非線形光導
波路51 ,52 の突き合わせ結合部は、光導波路3を介
して導入された信号光が2つの非線形光導波路51 ,5
2 にほぼ等しく結合するように、また、光導波路41
2 を介して導入される制御光の殆どはそれぞれ対応す
る非線形光導波路51 ,52 に結合するように構成され
ている。
【0024】この実施形態では、信号光が2つの非線形
導波路51 ,52 に効率良く結合するように、光導波路
3の先端はテーパ状に細くなっており、信号光パワーは
結合部において隣接する2本の光導波路41 ,42 にほ
ぼ同程度しみ出して導波されるように構成されている。
非線形導波路51 ,52 と出力導波路61 ,62 の間の
結合係数は、どちらの分岐も同じように構成されている
ので、制御光が入力されていない状態では、信号光は2
つの出力光導波路61 ,62 からほぼ均等に出力され
る。
【0025】図5は、サブバンド間吸収領域2の基板法
線方向の光導波構造を示す伝導帯バンド図である。サブ
バンド間吸収領域2の下部クラッド層7と上部クラッド
層9に挟まれた非線形光導波路層10は、下から順に、
アンドープAl0.7 Ga0.3N光ガイド層111 、アン
ドープAlN層121 、厚さ1.56nm(6モノレー
ヤ)のn型(キャリア密度3×1018cm-3)GaN井
戸層13と厚さ約2nm(8モノレーヤ)のアンドープ
AlN障壁層14からなる多重量子井戸層(20井
戸)、アンドープAlN層122 、及びアンドープAl
0.7 Ga0.3 N光ガイド層112 から構成されている。
量子井戸の伝導帯には、2つのサブバンド15,16が
形成されており、その遷移波長は1.49μm(エネル
ギー差0.83eV)である。
【0026】図6は、サブバンド間吸収領域2以外の領
域の基板法線方向の光導波構造を示す伝導帯バンド図で
ある。サブバンド間吸収領域2以外の部分のコア層8
は、非線形光導波路層10におけるアンドープAlN層
121 、GaN井戸層13、AlN障壁層14、及びア
ンドープAlN層122 を全て、アンドープAl0.5
0.5 N層17で置き換えた構成になっている。
【0027】図7は、サブバンド間吸収とその緩和過程
を説明するための図(井戸に平行な面内のサブバンドの
分散曲線)である。GaNとAlNの伝導帯不連続は2
eV近くあるので、サブバンド間吸収で第2のサブバン
ド16に励起された電子が、量子井戸外部に漏れ出す心
配はない。光が入射していない状態では、電子の大部分
は第1のサブバンド15の底の方に分布している。井戸
法線方向に偏波成分を持ち、サブバンド間遷移に共鳴す
る波長の短パルス光が入射すると、サブバンド間吸収に
より電子の一部は瞬間的に第2のサブバンド16に励起
される。なお、以下の説明では、光は全て井戸に垂直方
向に偏波したTMモードであることを仮定する。
【0028】入射光の強度が強い場台には、第1のサブ
バンド15に分布する電子数の減少により、瞬間的な吸
収飽和を生じる。この動作は室温でも、室温より高温で
も発現する。
【0029】第2のサブバンド16に励起された電子
は、LOフォノン(約90meV)との相互作用によっ
て、第1のサブバンド15の高エネルギー状態に緩和さ
れる。この波長帯にサブバンド間吸収を持つGaN井戸
層の場合、その緩和時間は概ね100fsのオーダーで
ある。この結果、第1のサブバンド15内には大きなエ
ネルギーを持つ非平衡電子が発生するが、電子間の相互
作用により20fs前後の時定数で熱平衡フェルミ分布
(初期状態よりフェルミレベルとキャリア温度が高い)
に緩和する。また、高エネルギーの電子は、LOフォノ
ン(約90meV)を吐き出しながら、元の低エネルギ
ーの状態へと緩和していく。
【0030】この過程で非平衡のLOフォノンが大量に
発生した場合は、一部の電子がLOフォノンを再吸収す
ることによりサブバンド内のエネルギー緩和にピコ秒オ
ーダーの裾引きが発生する。しかし、一旦第1のサブバ
ンド15に緩和した電子は20fs程度の短い間に熱平
衡分布に緩和してしまうので、LOフォノンの再吸収に
より第2のサブバンド16に戻る確率は低い。また、2
つのサブバンド15,16の分散曲線はほぼ平行なの
で、吸収の飽和は概ね第1のサブバンド15にいる電子
数で決まり、電子がサブバンド内で取る波数(運動エネ
ルギー)には殆ど依存しない。
【0031】また、GaNの禁制帯幅は約3.5eVと
広く、波長1.55μmの光に対して、多光子吸収も含
めてバンド間吸収は起こらない。従って、強い光パルス
によるサブバンド間吸収飽和の時定数は、ほぼサブバン
ド間緩和時間のみによって決まる。即ち、パルス光がな
くなってから100fsオーダーの時定数で吸収は元の
状態に復帰することになる。
【0032】図8はサブバンド間吸収スペクトルと等価
屈折率の分散スペクトルを説明するための図であり、図
中の実線は、井戸に垂直な電界成分を持つTMモードの
光に対する、サブバンド間吸収スペクトルとそれに基づ
く等価屈折率の分散スペクトルを表す。図中の破線は、
強い光が入射した場合の吸収と屈折率の波長依存性を表
す。サブバンド間吸収の飽和があると、吸収ピーク波長
の長波長側では屈折率の低下が起こり、短波長側では屈
折率の増大が起こることになる。このような短い時間
(〜100fs)の間では、電子の移動は無視できるの
で、光の通過する部分のみの屈折率が変化する。
【0033】ここで、制御光の波長はサブバンド間吸収
ピーク波長の短波長側である1.45μmに設定され、
信号光の波長はサブバンド間吸収ピークの長波長側であ
る1.55μmに設定されているものとする。いずれの
波長も、サブバンド間吸収とその飽和の影響を受ける周
波数帯域内部にある。
【0034】いま、信号光が光導波路3から入射され、
同時に強い制御光パルス(パルス幅100fs)が光導
波路41 を介して非線形光導波路51 に入射された場合
を考える。強い制御光により非線形光導波路51 の制御
光に対する屈折率が上昇するので、制御光パルスは他方
の非線形光導波路52 に殆ど結合することなく、非線形
光導波路51 を伝搬し、出力光導波路61 から出射され
る。この制御光は、外部に設けられた波長フィルタによ
り容易に遮断することができる。
【0035】一方、制御光が伝搬している非線形光導波
路51 の信号光に対する屈折率は低下するので、信号光
のパワーは相対的に屈折率の高い非線形光導波路52
方へと押しやられることになる。従って、十分な長さを
伝搬後には、殆どの信号光パワーは非線形光導波路52
に移動し、信号光は出力光導波路62 のみから出力され
る。
【0036】図9に、制御光強度と出力信号光強度の関
係を示す。実線が制御光の伝搬する分岐の出力、破線が
制御光の伝搬しない分岐の出力を示す。非線形光導波路
1,52 の長さを150μm、入力部の非線形光導波
路51 ,52 の間隔を0.5μm、出力部の非線形光導
波路51 ,52 の間隔を1.5μmとすると、屈折率変
化は約0.3%で十分であり、スイッチングに必要な制
御光パルスのエネルギーは10pJ程度で十分である。
制御光がこれより十分に強ければ、相対的に屈折率が高
い非線形光導波路52 へ信号光が押しやられる状況が維
持されるので、出力光導波路62 のみから信号光が出力
される。また、信号光と制御光の重なりが小さいので、
制御光パルス波形に依存した信号光伝搬特性(強度、パ
ワー分布、位相など)の変動は小さい。
【0037】従って、干渉計型や非線形方向性結合器型
では実現できなかった、制御光パルスエネルギー変動や
環境温度変動等の影響を殆ど受けないデジタル光スイッ
チングが実現される。
【0038】同様に、制御光パルスが光導波路42 から
のみ入力された場合には、信号光は出力光導波路61
ら出力される。同時に2つの導波路41 ,42 に制御光
パルスが入力された場合は、2つの分岐51 ,52 の屈
折率変化が同じなので、両方の出力光導波路61 ,62
からほぼ同じパワーの信号光が出力される。
【0039】前述のように吸収飽和の時定数はサブバン
ド間緩和の時定数である100fsのオーダーであり、
2つのサブバンド15,16のキャリア分布は1ps以
内には元の状態に復帰しているから、毎秒1テラビット
の超高速繰り返し動作においてもパターン効果(過去の
履歴依存)を生じることがない。制御光パルス・エネル
ギーも10pJ程度で十分である。従って、超高速繰り
返し、低スイッチングエネルギーの光デジタルスイッチ
ングが実現される。勿論この光スイッチは室温以上の温
度でも動作する。
【0040】(第2の実施形態)図10は、本発明の第
2の実施形態に係わる光スイッチの構成を示す模式的に
示す図である。本実施形態に係わる光スイッチは、Si
基板上に作製された2枚の平面光回路(PLC)21
1 ,212 とサファイヤ基板上に形成された窒化物半導
体光集積回路22を主要部としてなる。第1の実施形態
の説明同様、入出力ファイバやモジュールの構成は説明
を省略する。
【0041】窒化物半導体光集積回路22は、第1の実
施形態におけるサブバンド間吸収領域2と同様に、Ga
N/Al(Ga)N多重量子井戸層をアンドープAl
(Ga)Nクラッド層で挟んだ層構造を有する。GaN
/Al(Ga)N多重量子井戸層はn型にドープされて
おり、そのサブバンド間吸収波長は1.5μm付近にあ
る。
【0042】PLC211 には、窒化物半導体光集積回
路22に信号光を導入するための光導波路23と制御光
を導入するための光導波路24が形成されている。窒化
物半導体光集積回路22には、非対称の2本の非線形光
導波路251 ,252 が形成されている。光導波路23
の出力は主として非線形光導波路251 に結合するが一
部は非線形光導波路252 にも結合するように、光導波
路24の出力は殆ど非線形光導波路251 のみに結合す
るように、突き合わせ接続されている。
【0043】非線形光導波路251 ,252 は、入射部
では平行近接して形成され、相互に結合しているが、途
中から小さな角度で分岐し、出射部では独立な光導波路
となっている。非線形光導波路251 の方が非線形光導
波路252 より広めに形成されており、強い制御光パル
スが入射されない場合、信号光は伝搬に伴って相対的に
等価屈折率の大きな非線形光導波路251 の方に移動
し、非線形光導波路251 から出力される。
【0044】制御光PLC212 には、それぞれ非線形
光導波路251 ,252 と突き合わせ接続された出力光
導波路261 ,262 が形成されている。図11は、図
10に示すPLC211 のW−W´切断面を模式的に説
明する図である。各光導波路のコア部分23,24はG
eが添加されたSiO2 からなり、SiO2 クラッド2
7で周囲を囲まれている。光は一部がクラッド27にし
み出した形で導波される。
【0045】動作の原理は第1の実施形態の場合とほぼ
同じであるが、本実施形態では光導波路構造が非対称で
あり、制御光が片入力である点が異なっている。信号光
は、サブバンド間吸収波長よりやや長い波長のTM光で
あり、強い制御光がない場合には、前述のように非線形
導波路251 ,252 の非対称性により、非線形光導波
路251 から出力される。サブバンド間吸収波長よりや
や短い波長でTMモードの強い制御光パルスが光導波路
24を介して非線形光導波路251 に入射されると、非
線形導波路251 の信号光に対する等価屈折率が相対的
に低下し、信号光は伝搬するに従って非線形光導波路2
2 の方に押しやられる。
【0046】この結果、あるパワー以上の制御光パルス
が光導波路24から入力されると、信号光は非線形光導
波路252 の方にデジタルにスイッチされる。従って、
本実施形態においても、繰り返しが非常に速くてスイッ
チングに要するエネルギーも小さな、光デジタルスイッ
チングが実現される。
【0047】(第3の実施形態)図12は、本発明の第
3の実施形態に係わる光スイッチの概略構成を示す模式
図である。この光スイッチは、PLC31、サブバンド
間吸収波長約1.5μmのn型AlN/GaN量子井戸
を光導波層として有する半導体光集積回路32、光ファ
イバ33、光サーキュレータ371 ,372 ,373
主たる構成要素としてなる。窒化物半導体光集積回路3
2には非線形光導波路からなるY分岐35が、PLC3
1にはY分岐35の出力部と突き合わせ結合している光
導波路361 ,362 が、それぞれ形成されている。Y
分岐35の分岐角は、3ミリラジアンである。光ファイ
バ33は各導波路35,361 ,362 突き合わせ結合
している。
【0048】本実施形態では、前の実施形態とは異な
り、制御光パルスと信号光は逆方向に伝搬する。即ち、
入力信号光は光サーキュレータ373 と光ファイバ33
を介して図の左側からY分岐35に入力されるのに対し
て、制御光は光サーキュレータ371 又は372 、光フ
ァイバ33、光導波路361 又は362 を介して、図の
右側からY分岐35に入力される。制御光と信号光の出
力は、光サーキュレータ371 ,372 ,373 により
分離される。信号光は1.6μm、制御光パルスの波長
は1.4μmである。
【0049】例えば、光サーキュレータ372 から制御
光パルスが入力された場合、Y分岐35の光導波路36
2 に接続された分岐の信号光に対する等価屈折率が低下
し、信号光は相対的に屈折率が高い光導波路361 に接
続された分岐に集中する。逆に、光サーキュレータ37
1 から制御光パルスが入力された場合は、光導波路36
2 の分岐から信号光が出力される。サブバンド間吸収の
飽和による屈折率変化の原理や動作は、前の2つの実施
形態と同様である。従って、本実施形態においても、超
高速の繰り返しでスイッチングエネルギーの低い光デジ
タルスイッチが実現される。
【0050】(第4の実施形態)図13は、本発明の第
4の実施形態に係わる光スイッチの概略構成を示す模式
図である。また、図14、15は、それぞれ図13のU
−U´断面とV−V´断面を模式的に示す図である。
【0051】この光スイッチは、p型InP基板41上
に形成されたInGaAsP活性層47をコア層とする
リッジ型光導波路43,441 ,442 ,461 ,46
2 と、サファイヤ基板42上に形成されたGaN/Al
N多重量子井戸層55及びAl(Ga)Nクラッド層5
6からなるメサ構造をInGaAsP活性層47の一部
の上部に直接接着して一体化した非線形光導波路45
1 ,452 とを主要構成要素としてなる。この例では、
接着面は量子井戸層55のAlN層とn型InPクラッ
ド層56であるが、他の層を間に介在させても良い。
【0052】非線形光導波路451 ,452 では、活性
層47からしみ出した光電界の一部がGaN/AlN多
重量子井戸層55に重なることによりサブバンド間吸収
が生じる。活性層47に電流を注入するために、厚さ
0.18μmのn型InPクラッド層50、n型InP
51とp型InP52からなる電流ブロック領域48、
電極49,54が設けられている。近接するリッジ4
3,441 ,442 の間には、ポリイミド53が埋め込
まれている。接着面を構成するAlN層とn型InPク
ラッド層56のバンド不連続のため、GaN/AlN多
重量子井戸層55には電流は注入されない。
【0053】この光スイッチの動作は前述の実施形態の
光スイッチの動作と類似であるが、光導波路43,44
1 ,442 ,461 ,462 が電流注入による利得を有
している点が異なる。前の実施形態のように光導波路が
利得を持たない場合、サブバンド間吸収損失のため信号
光出力は入力よりもかなり小さくなってしまい、外部で
何らかの補償が必要になる。これに対して、本実施形態
のように利得があれば、入力と同程度ないしそれ以上の
信号光出力を得ることが可能となる。その他の点は前の
実施形態と同様であり、超高速の繰り返しでスイッチン
グエネルギーの低い光デジタルスイッチが実現される。
【0054】(変形例)本発明は、上記の実施形態に限
られるものではなく、様々な組み合わせ、変形が可能で
ある。例えば、入出力部のPLCに波長フィルタを集積
化したり、複数の光スイッチを同一基板上に集積化した
りしてもよい。また、第4の実施形態のように半導体基
板を用いた場合には、制御光パルス光源を集積化しても
よい。
【0055】サブバンド間吸収を生じる材料もAl(G
a)N/GaN量子井戸に限定されるものではなく、サ
ブバンド間吸収波長も1.5μm付近に限定されるもの
ではない。量子井戸層に対称結合量子井戸や非対称量子
井戸を用いて複数のサブバンド間吸収ピークを持つよう
にしてもよい。或いは、障壁層を薄くして超格子構造と
し、サブバンド間吸収というよりミニバンド間吸収の形
で用いてもよい。これらの場合も、制御光波長は吸収飽
和により屈折率が増大する波長に、信号光波長は吸収飽
和により屈折率が低下する波長に設定するものとする。
第1の実施形態では、井戸層のみに不純物ドーピングを
行ったが、量子井戸層全体にドーピングをしても、障壁
層の全部ないし一部に変調ドーピングを行っても構わな
い。光導波路の具体的な構造、形態も上記の実施形態に
限定されるものではない。その他、本発明の要旨を逸脱
しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、ス
イッチング原理として量子井戸中のサブバンド間吸収の
飽和を用い、かつ制御光と信号光の波長を吸収飽和によ
る屈折率変動が逆になるように設定することにより、超
高速で高繰り返しの光スイッチングが実現される。しか
も、所定入力以上の制御光入力に対して出力ポートが変
化しないので、温度変動や制御光パワー変動に対して安
定な光デジタルスイッチングが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係わる光スイッチ主要部の上
面から見た構成を模式的に示す図。
【図2】第1の実施形態に係わる光スイッチのX−X´
断面を模式的に示す図。
【図3】第1の実施形態に係わる光スイッチのY−Y´
断面を模式的に示す図。
【図4】第1の実施形態に係わる光スイッチのZ−Z´
断面を模式的に示す図。
【図5】第1の実施形態に係わる光スイッチの、サブバ
ンド間吸収領域2の伝導帯バンド構造を模式的に示す
図。
【図6】第1の実施形態に係わる光スイッチの、サブバ
ンド間吸収領域2以外の領域の光導波層の伝導帯バンド
構造を模式的に示す図。
【図7】サブバンド間吸収とその緩和過程を説明する模
式図。
【図8】強い光が入射してないとき(実線)と強い光が
入力されたとき(破線)のサブバンド間吸収スペクトル
と等価屈折率の分散スペクトルを説明する図。
【図9】本発明の光スイッチにおける制御光パルス強度
と出力信号光強度の関係を示す。
【図10】第2の実施形態に係わる光スイッチの構成を
示す模式的に示す図。
【図11】第2の実施形態に係わる光スイッチのW−W
´断面を模式的に示す図。
【図12】第3の実施形態に係わる光スイッチの概略構
成を示す模式図。
【図13】第4の実施形態に係わる光スイッチの概略構
成を示す模式図。
【図14】第4の実施形態に係わる光スイッチのU−U
´断面を模式的に示す図。
【図15】第4の実施形態に係わる光スイッチのV−V
´断面を模式的に示す図。
【図16】従来技術のマッハツエンダー干渉計型非線形
光スイッチの構成図。
【図17】従来技術の干渉計型非線形光スイッチにおけ
る制御光入力と信号光出力の関係を説明する図。
【図18】従来技術のデジタルオプティカルスイッチの
構成図。
【符号の説明】
1,42…サファイヤ基板 2,22,32…サブバンド間吸収領域 3,23,43…信号光入力光導波路 41 ,42 ,24,441 ,442 …制御光入力光導波
路 51 ,52 ,251 ,252 ,451 ,452 …非線形
光導波路 61 ,62 ,261 ,262 ,361 ,362 ,46
1 ,462 …出力光導波路 7,9,27…クラッド層 8,23,24…コア 10…量子井戸導波層 13…井戸層 14…障壁層 15…第1のサブバンド 16…第2のサブバンド 211 ,212 ,31…PLC 33…光ファイバ 35…非線形光Y分岐 371 ,372 ,373 …光サーキュレータ 41…p型InP基板 47…活性光導波路 48…電流ブロック領域 49,54…電極 50…n型InP層

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】伝導帯に複数のサブバンドが存在する半導
    体量子井戸層を内部に有し、モード結合している入力部
    から出力部に向けて徐々に2つに分岐するように構成さ
    れ、強い光の入射によりサブバンド間の吸収の飽和を生
    じる非線形光導波路と、 前記サブバンド間の吸収の飽和により屈折率が低下する
    波長の信号光を、前記非線形光導波路の入力部に入力す
    る手段と、 前記サブバンド間吸収の飽和により屈折率が増大する波
    長の制御光を、前記非線形光導波路に片側に偏るように
    入射する手段と、 前記非線形光導波路の出力部の2つの分岐の一方から信
    号光を出力する手段とを具備してなることを特徴とする
    光スイッチ。
  2. 【請求項2】前記半導体量子井戸層は、窒素を含むIII-
    V族半導体からなることを特徴とする請求項1記載の光
    スイッチ。
  3. 【請求項3】前記非線形光導波路は、信号光に対する利
    得を有することを特徴とする請求項1記載の光スイッ
    チ。
JP20583897A 1997-07-31 1997-07-31 光スイッチ Expired - Fee Related JP2971419B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20583897A JP2971419B2 (ja) 1997-07-31 1997-07-31 光スイッチ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20583897A JP2971419B2 (ja) 1997-07-31 1997-07-31 光スイッチ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1152439A JPH1152439A (ja) 1999-02-26
JP2971419B2 true JP2971419B2 (ja) 1999-11-08

Family

ID=16513559

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20583897A Expired - Fee Related JP2971419B2 (ja) 1997-07-31 1997-07-31 光スイッチ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2971419B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2948816B1 (fr) * 2009-07-30 2011-08-12 Univ Paris Sud Dispositifs electro-optiques bases sur la variation d'indice ou d'absorption dans des transitions isb.

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1152439A (ja) 1999-02-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5754714A (en) Semiconductor optical waveguide device, optical control type optical switch, and wavelength conversion device
JP2809124B2 (ja) 光半導体集積素子およびその製造方法
US20040017960A1 (en) Integrated optical switches using nonlinear optical media
JP2002303836A (ja) フォトニック結晶構造を有する光スイッチ
JPH06160655A (ja) 同調可能な光フアイバ
US6882758B2 (en) Current tuned Mach-Zehnder optical attenuator
JP4436451B2 (ja) 光信号増幅3端子装置
Liu et al. A wavelength tunable optical buffer based on self-pulsation in an active microring resonator
JP3378376B2 (ja) 光制御型半導体光スイッチ
JP2971419B2 (ja) 光スイッチ
US5490226A (en) Zero holding power digital optical switches
JP2011181789A (ja) 半導体光源
JP2007134401A (ja) 光ゲート・フィルタ、光集積回路、及びパルス・レーザ装置
US5537497A (en) Optimized electrode geometries for digital optical switches
JP3689038B2 (ja) 半導体光機能デバイス
JPS60260017A (ja) 光変調素子
JP3505509B2 (ja) 半導体発光素子と半導体発光装置及び半導体発光素子の変調方法
US6498885B1 (en) Semiconductor nonlinear waveguide and optical switch
JP2654531B2 (ja) 光制御光スイッチ
JP3023357B1 (ja) 非線形光導波素子
JPH02127623A (ja) 光素子
JP2809216B2 (ja) 非線形光導波路
JP4961732B2 (ja) 光変調器集積光源
JPH0728104A (ja) 光変調素子
JPH09222619A (ja) 導波型光半導体装置

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070827

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080827

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees