JP2654531B2 - 光制御光スイッチ - Google Patents
光制御光スイッチInfo
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- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02F—OPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
- G02F1/00—Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
- G02F1/35—Non-linear optics
- G02F1/3515—All-optical modulation, gating, switching, e.g. control of a light beam by another light beam
- G02F1/3517—All-optical modulation, gating, switching, e.g. control of a light beam by another light beam using an interferometer
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02F—OPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
- G02F1/00—Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
- G02F1/01—Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour
- G02F1/21—Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour by interference
- G02F1/212—Mach-Zehnder type
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- Physics & Mathematics (AREA)
- Nonlinear Science (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Optics & Photonics (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超高速光伝送や超高速
光信号処理において用いられる、光によって光路切り換
えを制御する光スイッチに関する。
光信号処理において用いられる、光によって光路切り換
えを制御する光スイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】電気信号の情報処理速度は、用いられる
電子デバイスの電子走行時間やCR時定数などにより制
限され、現状では高々10Gbit/sec程度であ
る。一方電気信号を介さず光信号のみを用いて、変復
調、伝送、その他信号処理を行うと、光周波数(1015
GHz)におよび極めて高速の情報処理が可能であると
期待されている。特に半導体媒質を用いて光によって制
御される光スイッチ(以下光−光スイッチと呼ぶ)は、
現在の半導体デバイス製造技術でもモノリシック化によ
る小型化が可能であり、実用化の点で極めて有望であ
る。
電子デバイスの電子走行時間やCR時定数などにより制
限され、現状では高々10Gbit/sec程度であ
る。一方電気信号を介さず光信号のみを用いて、変復
調、伝送、その他信号処理を行うと、光周波数(1015
GHz)におよび極めて高速の情報処理が可能であると
期待されている。特に半導体媒質を用いて光によって制
御される光スイッチ(以下光−光スイッチと呼ぶ)は、
現在の半導体デバイス製造技術でもモノリシック化によ
る小型化が可能であり、実用化の点で極めて有望であ
る。
【0003】これら光スイッチとしては、光スイッチが
オン状態のときのみ信号光が取り出されオフ状態のとき
は信号光が破壊されてしまういわゆる光ゲート型光スイ
ッチと、光スイッチがオン状態のときとオフ状態のとき
で信号光の取り出し光路が変化するいわゆる光路切り換
え型光スイッチがある。光変復調動作を行う光マルチ・
プレクサや光デマルチ・プレクサなどにおいては、後者
の光路切り換え型の光スイッチが必要とされる。本発明
は、この光路切り換え型光−光スイッチに関すものであ
る。
オン状態のときのみ信号光が取り出されオフ状態のとき
は信号光が破壊されてしまういわゆる光ゲート型光スイ
ッチと、光スイッチがオン状態のときとオフ状態のとき
で信号光の取り出し光路が変化するいわゆる光路切り換
え型光スイッチがある。光変復調動作を行う光マルチ・
プレクサや光デマルチ・プレクサなどにおいては、後者
の光路切り換え型の光スイッチが必要とされる。本発明
は、この光路切り換え型光−光スイッチに関すものであ
る。
【0004】光路切り換え型光−光スイッチに利用され
ている技術としては、次の2つがよく知られている。第
一は非線形マッハツェンダー干渉計型光スイッチであ
る。図5にその構造を示す。これは光合分波器1,2と
光路a,bで成るよく知られているマッハツェンダー干
渉計において、図5のように干渉計を構成する2つの分
波されたの光路a,bの内の一方の光路中に光入射に対
して屈折率変化を生じるような光非線形媒質5を配置
し、2つの光路中の光波間に位相差を生じさせ、合波す
る際に生じる干渉を利用して光路を切り換える。光路の
切り換えは、別に用意した制御光をこの媒質に入射する
ことによって行う。第二は非線形光方向性結合器型の光
スイッチである。図6にその構成を示す。これは図6の
ように接近して配置された2つの導波路中を導波する光
波の導波路からの漏れ波の干渉によって生じる、2つの
導波路間の光エネルギー交換を利用するものである。2
つの導波路a,bを光入射に対して屈折率変化を生じる
ような光非線形媒質5で作製し、この媒質に生じる屈折
率変化を利用して2つの導波路導波する光波間の結合定
数に相違を生じさせ、干渉状態を変化させることによっ
て出力導波路を切り換える。出力路の切り換えは、別に
用意した制御光を両導波路に入射することによって行
う。
ている技術としては、次の2つがよく知られている。第
一は非線形マッハツェンダー干渉計型光スイッチであ
る。図5にその構造を示す。これは光合分波器1,2と
光路a,bで成るよく知られているマッハツェンダー干
渉計において、図5のように干渉計を構成する2つの分
波されたの光路a,bの内の一方の光路中に光入射に対
して屈折率変化を生じるような光非線形媒質5を配置
し、2つの光路中の光波間に位相差を生じさせ、合波す
る際に生じる干渉を利用して光路を切り換える。光路の
切り換えは、別に用意した制御光をこの媒質に入射する
ことによって行う。第二は非線形光方向性結合器型の光
スイッチである。図6にその構成を示す。これは図6の
ように接近して配置された2つの導波路中を導波する光
波の導波路からの漏れ波の干渉によって生じる、2つの
導波路間の光エネルギー交換を利用するものである。2
つの導波路a,bを光入射に対して屈折率変化を生じる
ような光非線形媒質5で作製し、この媒質に生じる屈折
率変化を利用して2つの導波路導波する光波間の結合定
数に相違を生じさせ、干渉状態を変化させることによっ
て出力導波路を切り換える。出力路の切り換えは、別に
用意した制御光を両導波路に入射することによって行
う。
【0005】これらの光スイッチに用いられる非線形媒
質には、できるだけ制御光変化に対する屈折変化が大き
く、その応答速度が高速で、かつ信号光の吸収が小さく
て変動しないことが求められる。これらは、光−光スイ
ッチができるだけ高効率、高速で、信号光のオン・オフ
比が大きくとれるために必要とされる条件である。一般
に非線形媒質としては、光ファイバーや半導体媒質が考
えられているが、装置の小型化や取り扱いの容易さから
いって、半導体媒質を用いることが望ましい。上記のよ
うな、制御光の入射により信号光の感ずる屈折率を変化
させるために利用できる半導体の光非線形性のメカニズ
ムとしては、現在次の2つの方法がある。第一は、半導
体のバンドギャップ波長より短波長の光波長をもつ制御
光を半導体中に入射し、このとき半導体中に生じるキャ
リア密度変化にともなって生じる、バンドギャップ波長
より長波長の光波長領域にある信号光の感ずる屈折率変
化を利用するものである。第二は半導体のバンドギャッ
プ波長より長波長の光波長をもつ制御光を半導体中に入
射し、このとき半導体中に生じるコヒーレント過渡現像
に伴って生じる、同じくバンドギャップ波長より長波長
の光波長領域にある信号光の感ずる屈折率変化を利用す
るものである。通常後者の現象を生じさせるためには相
当光パワーの制御光が必要とされるため、実用上問題が
ある。一方前者の方法では、制御光に必要とされる光パ
ワーは半導体レーザ程度の光パワーの大きさで十分とさ
れるが、その応答速度が制御光を切った後のキャリア密
度の復帰時間であるキャリア寿命に制限されてしまう。
キャリア寿命は、性質のよい半導体結晶では自然放出寿
命(ほぼns程度)であるので、これを利用した光−光
スイッチの動作可能速度はGbit/sec程度に制限
されてしまう。この原理を用いた光−光スイッチの例と
しては、チェン(Z.Y.Cheng)、ツァイ(C.
S.Tsai)らによって「アプライド・フィジックス
・レター誌」(AppliedPhysicsLett
er)の1991年第59巻2222〜2224ページ
に報告されたものをあげることができる。彼らはGaA
s基板上に形成したマッハツェンダー干渉計型光スイッ
チのGaAs導波路に波長1.15μmの信号光を入射
し、干渉計を構成する一方の導波路にGaAsのバンド
ギャップエネルギー以上の光子エネルギーをもつ制御光
を照射することによって信号光のオン−オフを制御し、
1.3kHzの繰り返しスイッチング動作を実証してい
る。動作速度の向上は、非線形媒質中にドーピングやイ
オン注入などによって非発光再結合中心を作り、非発光
再結合レートを増加させキャリア寿命を減少させること
により可能であると述べられているが、一般的にこの方
式による光非線形性の大きさはキャリア系の振動子強度
とキャリア寿命の積に比例しているため、キャリア寿命
を小さくすることは非線形性の減少を招き、制御光の所
要パワーを増加させてしまう欠点や信号光の吸収が増加
してしまう欠点を持っている。上述の光スイッチとは異
り、マッハツェンダー干渉計を構成する一方の導波路内
に、あるいは導波形光方向性結合器を構成する一方の導
波路内に半導体光増幅媒質を配置し、この半導体光増幅
媒質の誘導吸収と誘導放出を利用して高速のスイッチン
グ動作を示す光スイッチが高田、猿渡らによって発明さ
れ、特開平3−154031号公報に記載されている。
この光スイッチは、半導体光増幅媒質のバンドギャップ
波長λgよりも短波長の光波長λp (≦λg )をもつ励
起光が半導体光増幅媒質に入射すると誘導吸収により半
導体光増幅媒質中に光キャリアが生成し、バンドギャッ
プ波長λg より短波長でかつ励起光光波長λp より長波
長の光波長λc をもつ制御光(λp ≦λc ≦λg )が入
射すると誘導放出により半導体光増幅媒質中の光キャリ
アが消滅する。このとき制御光光波長λc よりも短波長
でかつ励起光光波長λp よりも長波長の光波長領域に信
号光の光波長λs を設定する(λp ≦λs≦λc)こと
により、光キャリア数変化により生ずる大きな屈折率変
化を利用することができる。また誘導吸収および誘導放
出レートは入射光強度を大きくすればいくらでも大きく
できるので、高速度の光−光スイッチングが可能とな
る。この光スイッチは、光実遷移によるキャリア数変化
にともなう半導体光増幅媒質の大きな光非線形性を利用
するために信号光の光波長を半導体光増幅媒質のバンド
ギャップ波長より短波長に設定しているところが前述の
光−光スイッチと異なるが、本質的にキャリア密度ある
いはキャリア数変化による屈折率変化を利用する点で同
一の原理を用いている。ところが、この光スイッチは信
号光の光波長を半導体光増幅媒質のバンドギャップ波長
より短波長である利得波長領域に設定し、誘導吸収や誘
導放出過程を利用することによって、高速でかつ大きな
光非線形性を得ることができる反面、キャリア数変化に
より半導体光増幅媒質による信号光の透過状態も大きく
変化してしまう。このことは、同じく高田、猿渡らによ
って発明された光スイッチの特許出願明細書(特開昭6
4−88436号)に明確に説明されている。従ってこ
の光スイッチは信号光に対して屈折率変化のみならず透
過率変化(吸収変化)を生じてしまうので、上述した光
路切り換え型光−光スイッチに適用することは不適当で
ある。
質には、できるだけ制御光変化に対する屈折変化が大き
く、その応答速度が高速で、かつ信号光の吸収が小さく
て変動しないことが求められる。これらは、光−光スイ
ッチができるだけ高効率、高速で、信号光のオン・オフ
比が大きくとれるために必要とされる条件である。一般
に非線形媒質としては、光ファイバーや半導体媒質が考
えられているが、装置の小型化や取り扱いの容易さから
いって、半導体媒質を用いることが望ましい。上記のよ
うな、制御光の入射により信号光の感ずる屈折率を変化
させるために利用できる半導体の光非線形性のメカニズ
ムとしては、現在次の2つの方法がある。第一は、半導
体のバンドギャップ波長より短波長の光波長をもつ制御
光を半導体中に入射し、このとき半導体中に生じるキャ
リア密度変化にともなって生じる、バンドギャップ波長
より長波長の光波長領域にある信号光の感ずる屈折率変
化を利用するものである。第二は半導体のバンドギャッ
プ波長より長波長の光波長をもつ制御光を半導体中に入
射し、このとき半導体中に生じるコヒーレント過渡現像
に伴って生じる、同じくバンドギャップ波長より長波長
の光波長領域にある信号光の感ずる屈折率変化を利用す
るものである。通常後者の現象を生じさせるためには相
当光パワーの制御光が必要とされるため、実用上問題が
ある。一方前者の方法では、制御光に必要とされる光パ
ワーは半導体レーザ程度の光パワーの大きさで十分とさ
れるが、その応答速度が制御光を切った後のキャリア密
度の復帰時間であるキャリア寿命に制限されてしまう。
キャリア寿命は、性質のよい半導体結晶では自然放出寿
命(ほぼns程度)であるので、これを利用した光−光
スイッチの動作可能速度はGbit/sec程度に制限
されてしまう。この原理を用いた光−光スイッチの例と
しては、チェン(Z.Y.Cheng)、ツァイ(C.
S.Tsai)らによって「アプライド・フィジックス
・レター誌」(AppliedPhysicsLett
er)の1991年第59巻2222〜2224ページ
に報告されたものをあげることができる。彼らはGaA
s基板上に形成したマッハツェンダー干渉計型光スイッ
チのGaAs導波路に波長1.15μmの信号光を入射
し、干渉計を構成する一方の導波路にGaAsのバンド
ギャップエネルギー以上の光子エネルギーをもつ制御光
を照射することによって信号光のオン−オフを制御し、
1.3kHzの繰り返しスイッチング動作を実証してい
る。動作速度の向上は、非線形媒質中にドーピングやイ
オン注入などによって非発光再結合中心を作り、非発光
再結合レートを増加させキャリア寿命を減少させること
により可能であると述べられているが、一般的にこの方
式による光非線形性の大きさはキャリア系の振動子強度
とキャリア寿命の積に比例しているため、キャリア寿命
を小さくすることは非線形性の減少を招き、制御光の所
要パワーを増加させてしまう欠点や信号光の吸収が増加
してしまう欠点を持っている。上述の光スイッチとは異
り、マッハツェンダー干渉計を構成する一方の導波路内
に、あるいは導波形光方向性結合器を構成する一方の導
波路内に半導体光増幅媒質を配置し、この半導体光増幅
媒質の誘導吸収と誘導放出を利用して高速のスイッチン
グ動作を示す光スイッチが高田、猿渡らによって発明さ
れ、特開平3−154031号公報に記載されている。
この光スイッチは、半導体光増幅媒質のバンドギャップ
波長λgよりも短波長の光波長λp (≦λg )をもつ励
起光が半導体光増幅媒質に入射すると誘導吸収により半
導体光増幅媒質中に光キャリアが生成し、バンドギャッ
プ波長λg より短波長でかつ励起光光波長λp より長波
長の光波長λc をもつ制御光(λp ≦λc ≦λg )が入
射すると誘導放出により半導体光増幅媒質中の光キャリ
アが消滅する。このとき制御光光波長λc よりも短波長
でかつ励起光光波長λp よりも長波長の光波長領域に信
号光の光波長λs を設定する(λp ≦λs≦λc)こと
により、光キャリア数変化により生ずる大きな屈折率変
化を利用することができる。また誘導吸収および誘導放
出レートは入射光強度を大きくすればいくらでも大きく
できるので、高速度の光−光スイッチングが可能とな
る。この光スイッチは、光実遷移によるキャリア数変化
にともなう半導体光増幅媒質の大きな光非線形性を利用
するために信号光の光波長を半導体光増幅媒質のバンド
ギャップ波長より短波長に設定しているところが前述の
光−光スイッチと異なるが、本質的にキャリア密度ある
いはキャリア数変化による屈折率変化を利用する点で同
一の原理を用いている。ところが、この光スイッチは信
号光の光波長を半導体光増幅媒質のバンドギャップ波長
より短波長である利得波長領域に設定し、誘導吸収や誘
導放出過程を利用することによって、高速でかつ大きな
光非線形性を得ることができる反面、キャリア数変化に
より半導体光増幅媒質による信号光の透過状態も大きく
変化してしまう。このことは、同じく高田、猿渡らによ
って発明された光スイッチの特許出願明細書(特開昭6
4−88436号)に明確に説明されている。従ってこ
の光スイッチは信号光に対して屈折率変化のみならず透
過率変化(吸収変化)を生じてしまうので、上述した光
路切り換え型光−光スイッチに適用することは不適当で
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上に示したように、
上述のキャリア密度変化によって生じる屈折率変化を利
用する光−光スイッチは、これに必要とされる高光非線
形性、高速応答性および低くかつ変動の少ない信号光吸
収率の全部の条件を満たすことは困難であった。
上述のキャリア密度変化によって生じる屈折率変化を利
用する光−光スイッチは、これに必要とされる高光非線
形性、高速応答性および低くかつ変動の少ない信号光吸
収率の全部の条件を満たすことは困難であった。
【0007】本発明は上述の問題点に鑑みてなされたも
のであり、光−光スイッチに必要とされる高光非線形
性、高速応答性および低くかつ少ない信号光吸収率の全
部の条件を満たす光路切り換え型の光制御光スイッチを
提供することにある。
のであり、光−光スイッチに必要とされる高光非線形
性、高速応答性および低くかつ少ない信号光吸収率の全
部の条件を満たす光路切り換え型の光制御光スイッチを
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】第一の発明の光路切り換
え型光制御光スイッチの基本構成を図1に示す。この光
路切り換え型光制御光スイッチは一対の光合分波器1、
2と分岐された2つの光路a,bから構成されるマッハ
ツェンダー干渉計において、そのマッハツェンダー干渉
計を構成する2つの分波された光路a,bのうちの少く
とも一方の光路中に半導体光増幅媒質3を配置し、この
干渉計に入力する信号光波長λs を半導体光増幅媒質3
の透明波長に等しい波長に設定し、かつ半導体光増幅媒
質3に電流注入を行う手段、および半導体光増幅媒質3
の利得波長領域内の波長λc を有する制御光パルス列を
半導体光増幅媒質3に入射させる手段を有することを特
徴とする。
え型光制御光スイッチの基本構成を図1に示す。この光
路切り換え型光制御光スイッチは一対の光合分波器1、
2と分岐された2つの光路a,bから構成されるマッハ
ツェンダー干渉計において、そのマッハツェンダー干渉
計を構成する2つの分波された光路a,bのうちの少く
とも一方の光路中に半導体光増幅媒質3を配置し、この
干渉計に入力する信号光波長λs を半導体光増幅媒質3
の透明波長に等しい波長に設定し、かつ半導体光増幅媒
質3に電流注入を行う手段、および半導体光増幅媒質3
の利得波長領域内の波長λc を有する制御光パルス列を
半導体光増幅媒質3に入射させる手段を有することを特
徴とする。
【0009】第二の発明の光路切り換え型光制御光スイ
ッチの基本構成を図2に示す。この光路切り換え型光制
御光スイッチは一対の光合分波器1、2と分岐された2
つの光路a,bとから構成されるマッハツェンダー干渉
計において、その干渉計を構成する2つの分波された光
路a,bのうちの少くとも一方の光路中に半導体光増幅
媒質3を配置し、この干渉計に入力する信号光波長λs
を該半導体光増幅媒質の透明波長に等しい波長に設定
し、かつ半導体光増幅媒質3に電流注入を行う手段、お
よび半導体光増幅媒質3の利得波長領域内の波長λc1を
有する第一の制御パルス列と、半導体光増幅媒質3の利
得波長領域より短い波長λc2を有し第一の制御光パルス
列に同期して時間変化する第二の制御光パルス列とを半
導体光増幅媒質3に入射させる手段を有することを特徴
とする。
ッチの基本構成を図2に示す。この光路切り換え型光制
御光スイッチは一対の光合分波器1、2と分岐された2
つの光路a,bとから構成されるマッハツェンダー干渉
計において、その干渉計を構成する2つの分波された光
路a,bのうちの少くとも一方の光路中に半導体光増幅
媒質3を配置し、この干渉計に入力する信号光波長λs
を該半導体光増幅媒質の透明波長に等しい波長に設定
し、かつ半導体光増幅媒質3に電流注入を行う手段、お
よび半導体光増幅媒質3の利得波長領域内の波長λc1を
有する第一の制御パルス列と、半導体光増幅媒質3の利
得波長領域より短い波長λc2を有し第一の制御光パルス
列に同期して時間変化する第二の制御光パルス列とを半
導体光増幅媒質3に入射させる手段を有することを特徴
とする。
【0010】第三の発明の光路切り換え型光制御スイッ
チの基本構成を図3に示す。この光路切り換え型光制御
光スイッチは、導波形光方向性結合器4においてこれを
構成する2つの導波路a,bが半導体光増幅媒質3によ
り形成され、導波形光方向性結合器4に入力する信号光
波長λs を半導体光増幅媒質3の透明波長に等しい波長
とし、かつ半導体光増幅媒質3に電流注入を行う手段お
よび該半導体光増幅媒質の利得波長領域内の波長λc を
有する制御光パルス列を該半導体光増幅媒質に入射させ
る手段を有することを特徴とする。
チの基本構成を図3に示す。この光路切り換え型光制御
光スイッチは、導波形光方向性結合器4においてこれを
構成する2つの導波路a,bが半導体光増幅媒質3によ
り形成され、導波形光方向性結合器4に入力する信号光
波長λs を半導体光増幅媒質3の透明波長に等しい波長
とし、かつ半導体光増幅媒質3に電流注入を行う手段お
よび該半導体光増幅媒質の利得波長領域内の波長λc を
有する制御光パルス列を該半導体光増幅媒質に入射させ
る手段を有することを特徴とする。
【0011】第四の発明の光路切り換え型光制御光スイ
ッチの基本構成を図4に示す。この光路切り換え型光制
御光スイッチは導波形光方向性結合器4において、導波
形光方向性結合器4を構成する2つの導波路a,bが半
導体光増幅媒質3により形成され、導波形光方向性結合
器4に入力する信号光波長λs を半導体光増幅媒質3の
透明波長に等しい波長とし、かつ半導体光増幅媒質3に
電流注入を行う手段および該半導体光増幅媒質の利得波
長領域内の波長λc1を有する第一の制御光パルス列と、
半導体光増幅媒質3の利得波長領域より短い波長λc2を
有し第一の制御光パルス列に同期して時間変化する第二
の制御光パルス列とを半導体光増幅媒質3に入射させる
手段を有することを特徴とする。
ッチの基本構成を図4に示す。この光路切り換え型光制
御光スイッチは導波形光方向性結合器4において、導波
形光方向性結合器4を構成する2つの導波路a,bが半
導体光増幅媒質3により形成され、導波形光方向性結合
器4に入力する信号光波長λs を半導体光増幅媒質3の
透明波長に等しい波長とし、かつ半導体光増幅媒質3に
電流注入を行う手段および該半導体光増幅媒質の利得波
長領域内の波長λc1を有する第一の制御光パルス列と、
半導体光増幅媒質3の利得波長領域より短い波長λc2を
有し第一の制御光パルス列に同期して時間変化する第二
の制御光パルス列とを半導体光増幅媒質3に入射させる
手段を有することを特徴とする。
【0012】
【作用】次に、本発明の基本的な作用を説明する。
【0013】本発明の光路切り換え型光制御光スイッチ
の基本原理は、第一、第二、第三および第四の発明の光
路切り換え光制御光スイッチとも共通している。すなわ
ち信号光波長(λs )における半導体光増幅媒質の屈折
率の変化を、制御光パルス(波長記号λc 、λc1、
λc2)照射による半導体光増幅媒質中の少数キャリア系
の分布温度変化制御によって生じせしめ、この屈折率変
化によりマッハツェンダー干渉計型光スイッチ、導波形
光方向性結合器型光スイッチの出力における信号光出力
光路を制御することを主要な特徴としている。
の基本原理は、第一、第二、第三および第四の発明の光
路切り換え光制御光スイッチとも共通している。すなわ
ち信号光波長(λs )における半導体光増幅媒質の屈折
率の変化を、制御光パルス(波長記号λc 、λc1、
λc2)照射による半導体光増幅媒質中の少数キャリア系
の分布温度変化制御によって生じせしめ、この屈折率変
化によりマッハツェンダー干渉計型光スイッチ、導波形
光方向性結合器型光スイッチの出力における信号光出力
光路を制御することを主要な特徴としている。
【0014】まず、図1および図2に示した第一および
第二の発明の光路切り換え型光制御光スイッチの作用か
ら説明する。入力ポートから入射した信号光はマッハ
ツェンダー干渉計を構成するビームスプリッターや光方
向性結合器などの第一の光合分波器1により2分岐され
た後、一方の光波は、電流源6により定常電流注入され
光利得をもった半導体光増幅媒質3に入射され、半導体
光増幅媒質3を通過した光波は後段のビームスプリッタ
ーや光方向性結合器などの第二の光合分波器2によりも
う一方の光路を通過してきた光波と合波される。この
時、後段の第二の光合分波器2に入射する2つの光波の
位相差が0またはπ(180度)ならば、出力光は位相
差に応じて2つの出力ポート、のうちの互いに異な
る一つのポートのみから出力される。従って、後に説明
するように半導体増幅媒質3の信号光(波長:λs )に
対する屈折率を、制御光パルス(波長:λc 、λc1、λ
c2)照射により制御し、これにより半導体光増幅媒質3
を通過した後の信号光の位相をもう一方の光路を通過し
てくる光波の位相に対して0からπまでの変化させるこ
とができれば、このマッハツェンダー干渉計型光スイッ
チから出力される信号光の出力ポートを切り換えること
ができる。
第二の発明の光路切り換え型光制御光スイッチの作用か
ら説明する。入力ポートから入射した信号光はマッハ
ツェンダー干渉計を構成するビームスプリッターや光方
向性結合器などの第一の光合分波器1により2分岐され
た後、一方の光波は、電流源6により定常電流注入され
光利得をもった半導体光増幅媒質3に入射され、半導体
光増幅媒質3を通過した光波は後段のビームスプリッタ
ーや光方向性結合器などの第二の光合分波器2によりも
う一方の光路を通過してきた光波と合波される。この
時、後段の第二の光合分波器2に入射する2つの光波の
位相差が0またはπ(180度)ならば、出力光は位相
差に応じて2つの出力ポート、のうちの互いに異な
る一つのポートのみから出力される。従って、後に説明
するように半導体増幅媒質3の信号光(波長:λs )に
対する屈折率を、制御光パルス(波長:λc 、λc1、λ
c2)照射により制御し、これにより半導体光増幅媒質3
を通過した後の信号光の位相をもう一方の光路を通過し
てくる光波の位相に対して0からπまでの変化させるこ
とができれば、このマッハツェンダー干渉計型光スイッ
チから出力される信号光の出力ポートを切り換えること
ができる。
【0015】次に、図3および図4に示した、第三およ
び第四の発明の光路切り換え型光制御光スイッチの作用
を説明する。導波形光方向性結合器4は2つの光導波路
a,bを互いに接近させることにより、これらの光導波
路間で光エネルギーの交換を可能にする。この導波形光
方向性結合器4の2つの入力ポート、の一つから入
射した信号光(波長:λs )は、上記の両導波路間の光
学的結合係数、および光伝搬定数の差と導波路の長さ
(相互作用長)により決定される比の値に応じて、この
導波形光方向性結合器4の二つの出力ポートい、に
光出力パワーが振り分けられる。両導波路間の光伝搬定
数の差が0の場合には、結合係数と相互作用長の積の値
がπ/2の奇数倍に等しいときには入力された導波路と
同一の導波路のみに信号光は出力され、結合係数と相互
作用長の積の値がπ/2の偶数倍に等しいときには入力
された導波路と異なる他方の導波路のみに信号光は出力
される。従って導波形方向性結合器4の相互作用長を一
定に決めて導波路間の結合係数を制御すると、信号光を
導波形方向性結合器4のどちらかの出力ポートに出力さ
せるかを制御することができる。ここで導波路間の結合
係数は両導波路a,bの屈折率または両導波路の間隙の
空間領域の屈折率を変化させることにより変化させるこ
とができるので、半導体光増幅媒質3で形成された2つ
の光導波路a,bの信号光(波長:λs )に対する屈折
率を制御光パルス(波長:λc 、λc1、λc2)照射によ
り制御すれば、半導体光増幅媒質3からなる導波路a,
bの結合係数を変化させることができ、これにより信号
光の光出力ポートを切り換えることができる。
び第四の発明の光路切り換え型光制御光スイッチの作用
を説明する。導波形光方向性結合器4は2つの光導波路
a,bを互いに接近させることにより、これらの光導波
路間で光エネルギーの交換を可能にする。この導波形光
方向性結合器4の2つの入力ポート、の一つから入
射した信号光(波長:λs )は、上記の両導波路間の光
学的結合係数、および光伝搬定数の差と導波路の長さ
(相互作用長)により決定される比の値に応じて、この
導波形光方向性結合器4の二つの出力ポートい、に
光出力パワーが振り分けられる。両導波路間の光伝搬定
数の差が0の場合には、結合係数と相互作用長の積の値
がπ/2の奇数倍に等しいときには入力された導波路と
同一の導波路のみに信号光は出力され、結合係数と相互
作用長の積の値がπ/2の偶数倍に等しいときには入力
された導波路と異なる他方の導波路のみに信号光は出力
される。従って導波形方向性結合器4の相互作用長を一
定に決めて導波路間の結合係数を制御すると、信号光を
導波形方向性結合器4のどちらかの出力ポートに出力さ
せるかを制御することができる。ここで導波路間の結合
係数は両導波路a,bの屈折率または両導波路の間隙の
空間領域の屈折率を変化させることにより変化させるこ
とができるので、半導体光増幅媒質3で形成された2つ
の光導波路a,bの信号光(波長:λs )に対する屈折
率を制御光パルス(波長:λc 、λc1、λc2)照射によ
り制御すれば、半導体光増幅媒質3からなる導波路a,
bの結合係数を変化させることができ、これにより信号
光の光出力ポートを切り換えることができる。
【0016】以上をまとめれば、信号光に対する半導体
光増幅媒質の屈折率変化を信号光の空間的な光路切り換
えに変換するために、第一および第二の発明ではマッハ
ツェンダー干渉計を用い、第三および第四の発明では導
波形光方向性結合器を用いている。
光増幅媒質の屈折率変化を信号光の空間的な光路切り換
えに変換するために、第一および第二の発明ではマッハ
ツェンダー干渉計を用い、第三および第四の発明では導
波形光方向性結合器を用いている。
【0017】次に、半導体光増幅媒質の信号光に対する
屈折率が制御される原理について簡単に説明する。図7
に電流注入時における半導体光増幅媒質の擬熱平衡状態
における利得スペクトルを示す。同図の横軸はバンドギ
ャップエネルギーを基準とした遷移エネルギー(E)、
縦軸はそのエネルギーを有する光子に対する利得であ
る。
屈折率が制御される原理について簡単に説明する。図7
に電流注入時における半導体光増幅媒質の擬熱平衡状態
における利得スペクトルを示す。同図の横軸はバンドギ
ャップエネルギーを基準とした遷移エネルギー(E)、
縦軸はそのエネルギーを有する光子に対する利得であ
る。
【0018】半導体光増幅媒質が利得を有する波長領域
λ1 〈λ〈λ2 (以下利得波長領域と呼ぶ)に制御光パ
ルス(波長:λc )を入射すると媒質による制御光の誘
導放出過程により制御光波長に対応するエネルギーをも
つキャリアの数のみが減少して、利得スペクトル上にい
わゆるホールバーニングが生じる。このホールバーニン
グは、種々のキャリア散乱過程によりバンド内緩和して
最終的に擬フェルミ分布に落ち着く。この際、このバン
ド内緩和過程をもう少し詳しく言えば、以下のように記
述できる。まず、バンド内緩和過程のうち最も速く進行
するのはキャリア−キャリア散乱による緩和であり、こ
れはおよそ100フェムト秒の時間オーダで平衡状態に
到達する。このバンド内緩和によってホールバーニング
は消失するが、到達した擬フェルミ分布は一般的に制御
光入射前の擬フェルミ分布に比べて高温度状態である。
これは、一般に擬フェルミ分布をしているキャリア系の
数密度、キャリア系のエネルギー密度とキャリア系の温
度の間には一意的な関係が存在しているためである。こ
の場合、誘導放出によってキャリア数密度およびキャリ
アエネルギー密度は減少する。半導体光増幅媒質は光学
利得を有しているから、少なくとも伝導帯電子系のキャ
リア分布は縮退している。制御光の光波長は利得波長領
域にあるので、光と結合する伝導帯電子のエネルギーは
擬フェルミエネルギーより小さい。縮退した伝導帯電子
系の電子の平均エネルギーは擬フェルミエネルギーの程
度であるから、誘導放出によるキャリア減少は電子系の
平均エネルギーより小さなエネルギーをもつ(すなわち
冷たい)キャリアを取り去ることに相当する。この結果
電子系の平均エネルギーは上昇する。電子系の平均エネ
ルギーと電子系の温度の間にはやはり一意的な関係があ
り、電子系の平均エネルギーが高いほど電子系の温度は
高い。従って電子系の温度は上昇する。詳しい熱力学的
解析の結果によると、光学利得をもつ半導体光増幅媒質
の利得波長領域に光入射して誘導放出によりキャリア数
を減少させた場合、少くとも伝導帯電子系の電子温度が
上昇することが示される。このような現象は誘導放出に
よるキャリア・ヒーティング、あるいはホット・エレク
トロン生成などと呼ばれている。
λ1 〈λ〈λ2 (以下利得波長領域と呼ぶ)に制御光パ
ルス(波長:λc )を入射すると媒質による制御光の誘
導放出過程により制御光波長に対応するエネルギーをも
つキャリアの数のみが減少して、利得スペクトル上にい
わゆるホールバーニングが生じる。このホールバーニン
グは、種々のキャリア散乱過程によりバンド内緩和して
最終的に擬フェルミ分布に落ち着く。この際、このバン
ド内緩和過程をもう少し詳しく言えば、以下のように記
述できる。まず、バンド内緩和過程のうち最も速く進行
するのはキャリア−キャリア散乱による緩和であり、こ
れはおよそ100フェムト秒の時間オーダで平衡状態に
到達する。このバンド内緩和によってホールバーニング
は消失するが、到達した擬フェルミ分布は一般的に制御
光入射前の擬フェルミ分布に比べて高温度状態である。
これは、一般に擬フェルミ分布をしているキャリア系の
数密度、キャリア系のエネルギー密度とキャリア系の温
度の間には一意的な関係が存在しているためである。こ
の場合、誘導放出によってキャリア数密度およびキャリ
アエネルギー密度は減少する。半導体光増幅媒質は光学
利得を有しているから、少なくとも伝導帯電子系のキャ
リア分布は縮退している。制御光の光波長は利得波長領
域にあるので、光と結合する伝導帯電子のエネルギーは
擬フェルミエネルギーより小さい。縮退した伝導帯電子
系の電子の平均エネルギーは擬フェルミエネルギーの程
度であるから、誘導放出によるキャリア減少は電子系の
平均エネルギーより小さなエネルギーをもつ(すなわち
冷たい)キャリアを取り去ることに相当する。この結果
電子系の平均エネルギーは上昇する。電子系の平均エネ
ルギーと電子系の温度の間にはやはり一意的な関係があ
り、電子系の平均エネルギーが高いほど電子系の温度は
高い。従って電子系の温度は上昇する。詳しい熱力学的
解析の結果によると、光学利得をもつ半導体光増幅媒質
の利得波長領域に光入射して誘導放出によりキャリア数
を減少させた場合、少くとも伝導帯電子系の電子温度が
上昇することが示される。このような現象は誘導放出に
よるキャリア・ヒーティング、あるいはホット・エレク
トロン生成などと呼ばれている。
【0019】このように、光入射前に比べて高温度なキ
ャリア分布をしたキャリア系は、次に格子系と相互作用
し、キャリア−フォノン散乱による緩和によって格子系
の温度にまで冷却する。この速さはキャリア−フォノン
相互作用の大きさによって決まり、一般にピコ秒のオー
ダであると言われている。その後キャリア密度はナノ秒
程度のバンド間緩和時間かかって光入射前の状態に回復
する。
ャリア分布をしたキャリア系は、次に格子系と相互作用
し、キャリア−フォノン散乱による緩和によって格子系
の温度にまで冷却する。この速さはキャリア−フォノン
相互作用の大きさによって決まり、一般にピコ秒のオー
ダであると言われている。その後キャリア密度はナノ秒
程度のバンド間緩和時間かかって光入射前の状態に回復
する。
【0020】次に、キャリア系の温度が上昇したとき
に、半導体光増幅媒質の屈折率がどのように変化するか
について説明する。図8は縮退したキャリア系の温度が
上昇したときのキャリアエネルギー分布確率の変化を表
している。破線は初期の縮退したキャリア擬フェルミ分
布を、点線は温度上昇時のキャリア擬フェルミ分布を表
し、実線はこれらの差分である。図から明らかな通り、
温度変化があった場合の縮退したキャリア系の擬フェル
ミ分布の変化は、擬フェルミエネルギーを中心として
(キャリアエネルギーに対して)反対称的な形状で現わ
れる。半導体光増幅媒質の利得スペクトルは縮退した伝
導帯電子系のエネルギー分布スペクトルと価電子帯電子
系のエネルギー分布スペクトルの差に近似的に比例して
いるため、図8に示したキャリア系分布確率変化は半導
体光増幅媒質のゲイン変化に反映さえて現れる。擬フェ
ルミエネルギーは、利得スペクトル上ではほぼ利得がゼ
ロとなる波長、すわはち透明波長に対応する。従って、
キャリア系の温度のみが上昇した場合の利得変化スペク
トルは図9(A)に表したとおり、透明波長を中心とし
てほぼ反対称的なスペクトルとなる。このとき半導体光
増幅媒質の屈折率変化スペクトルは利得変化スペクトル
のクラマース・クロニッヒ積分で与えられ、図9(B)
のように透明波長にピークをもちほぼ対称的なスペクト
ルとなる。以上の説明から、仮にキャリア系の温度のみ
を制御して上昇させることができれば、透明波長におい
ては光の吸収および吸収変化なしに屈折率変化のみを誘
起できることがわかる。
に、半導体光増幅媒質の屈折率がどのように変化するか
について説明する。図8は縮退したキャリア系の温度が
上昇したときのキャリアエネルギー分布確率の変化を表
している。破線は初期の縮退したキャリア擬フェルミ分
布を、点線は温度上昇時のキャリア擬フェルミ分布を表
し、実線はこれらの差分である。図から明らかな通り、
温度変化があった場合の縮退したキャリア系の擬フェル
ミ分布の変化は、擬フェルミエネルギーを中心として
(キャリアエネルギーに対して)反対称的な形状で現わ
れる。半導体光増幅媒質の利得スペクトルは縮退した伝
導帯電子系のエネルギー分布スペクトルと価電子帯電子
系のエネルギー分布スペクトルの差に近似的に比例して
いるため、図8に示したキャリア系分布確率変化は半導
体光増幅媒質のゲイン変化に反映さえて現れる。擬フェ
ルミエネルギーは、利得スペクトル上ではほぼ利得がゼ
ロとなる波長、すわはち透明波長に対応する。従って、
キャリア系の温度のみが上昇した場合の利得変化スペク
トルは図9(A)に表したとおり、透明波長を中心とし
てほぼ反対称的なスペクトルとなる。このとき半導体光
増幅媒質の屈折率変化スペクトルは利得変化スペクトル
のクラマース・クロニッヒ積分で与えられ、図9(B)
のように透明波長にピークをもちほぼ対称的なスペクト
ルとなる。以上の説明から、仮にキャリア系の温度のみ
を制御して上昇させることができれば、透明波長におい
ては光の吸収および吸収変化なしに屈折率変化のみを誘
起できることがわかる。
【0021】先にも述べたように、誘導放出によってキ
ャリア系の温度を上昇させることが可能である。このと
きキャリア系の温度上昇が生じて屈折率変化が立ち上が
るのに要する時間はキャリア−キャリア散乱による緩和
時間によって決まり、100フェムト秒の時間オーダで
ある。一方、キャリア系の温度が冷却して屈折率変化が
回復するのに要する時間はピコ秒の時間オーダである。
従って、誘導放出によるキャリア分布温度上昇を制御す
ることによって立ち上がり100フェムト秒、立ち下が
りピコ秒オーダの光スイッチを構成することが可能であ
り、100Gbit/sec程度のスイッチング速度を
有する光スイッチが期待できる。
ャリア系の温度を上昇させることが可能である。このと
きキャリア系の温度上昇が生じて屈折率変化が立ち上が
るのに要する時間はキャリア−キャリア散乱による緩和
時間によって決まり、100フェムト秒の時間オーダで
ある。一方、キャリア系の温度が冷却して屈折率変化が
回復するのに要する時間はピコ秒の時間オーダである。
従って、誘導放出によるキャリア分布温度上昇を制御す
ることによって立ち上がり100フェムト秒、立ち下が
りピコ秒オーダの光スイッチを構成することが可能であ
り、100Gbit/sec程度のスイッチング速度を
有する光スイッチが期待できる。
【0022】キャリア温度を上昇させるのに制御光照射
による誘導放出を利用する場合、キャリア温度変化のみ
ならずキャリア数密度の変化も同時に生じるため現象は
上に述べたものよりはやや複雑であり、透明波長におい
ても有限の光吸収率の変化が生じてしまう。このキャリ
ア数密度変化による有限の吸収率変化の回復時間はキャ
リア寿命程度であると考えられるが、制御光波長を透明
波長からバンド端波長側へ近付けることにより小さなキ
ャリア数密度変化で大きな温度変化を生じさせることが
可能であり、キャリア数密度変化による低速の吸収率変
化の影響を避けることができる。また、制御光パルス列
の繰り返し周波数がバンド間緩和時間の逆数である1G
bit/sec程度より十分に大きければ、キャリア密
度の変動はこれに追従することができずほぼ定常状態の
一定値に落ち着くと考えられるため、キャリア数密度変
化による吸収変化や屈折率変化は光−光スイッチ動作に
影響を与えない。このときキャリア系の分布は、図10
に示したように誘導放出によってキャリアエネルギー上
で状態選択的な脱励起によりホールバーニングが生じた
キャリア分布と高温度状態の擬フェルミキャリア分布の
間で交互に変化する、すなわちキャリアが波数(エネル
ギー)空間内でやり取りされるような状態になると考え
られる。
による誘導放出を利用する場合、キャリア温度変化のみ
ならずキャリア数密度の変化も同時に生じるため現象は
上に述べたものよりはやや複雑であり、透明波長におい
ても有限の光吸収率の変化が生じてしまう。このキャリ
ア数密度変化による有限の吸収率変化の回復時間はキャ
リア寿命程度であると考えられるが、制御光波長を透明
波長からバンド端波長側へ近付けることにより小さなキ
ャリア数密度変化で大きな温度変化を生じさせることが
可能であり、キャリア数密度変化による低速の吸収率変
化の影響を避けることができる。また、制御光パルス列
の繰り返し周波数がバンド間緩和時間の逆数である1G
bit/sec程度より十分に大きければ、キャリア密
度の変動はこれに追従することができずほぼ定常状態の
一定値に落ち着くと考えられるため、キャリア数密度変
化による吸収変化や屈折率変化は光−光スイッチ動作に
影響を与えない。このときキャリア系の分布は、図10
に示したように誘導放出によってキャリアエネルギー上
で状態選択的な脱励起によりホールバーニングが生じた
キャリア分布と高温度状態の擬フェルミキャリア分布の
間で交互に変化する、すなわちキャリアが波数(エネル
ギー)空間内でやり取りされるような状態になると考え
られる。
【0023】以上により、バンドギャップエネルギー近
傍の光波長をもち、かつその繰り返し周波数として10
Gbit/sec程度以上の繰り返し周波数をもつ制御
光を用いることによって、10Gbit/sec程度か
ら数百Gbit/sec程度までの高速スイッチング動
作可能で、信号光の吸収および吸収変化の少なくオン・
オフ比の優れた光路切り換え型光制御光スイッチを得る
ことが可能になる。本発明の第一および第三の発明はこ
の原理を利用したものである。
傍の光波長をもち、かつその繰り返し周波数として10
Gbit/sec程度以上の繰り返し周波数をもつ制御
光を用いることによって、10Gbit/sec程度か
ら数百Gbit/sec程度までの高速スイッチング動
作可能で、信号光の吸収および吸収変化の少なくオン・
オフ比の優れた光路切り換え型光制御光スイッチを得る
ことが可能になる。本発明の第一および第三の発明はこ
の原理を利用したものである。
【0024】しかしながら上述の、制御光として利得波
長領域内の光波長を持つ一種類の制御光を用いる方法で
は、誘導放出時のキャリア温度変化のみならずキャリア
密度変化も生じてしまい信号光の吸収率変化やスイッチ
ング動作速度の制限をもたらす。これを避けるため、キ
ャリア密度変化の生じない準定常状態で動作させること
が有効であることを述べたが、一方この方法では利用で
きる光非線形性の大きさが小さくなり振動子強度がある
程度大きい媒質しか利用できない。この問題は第二およ
び第四の本発明による、制御光として利得波長領域内に
光波長を有する第一の制御光パルス列と利得波長領域よ
り短い波長を有し第一の制御光パルス列に同期して時間
変化する第二の制御光パルス列の2系統の制御光を用い
る方法によって避けることができる。利得波長領域内の
光波長を有する制御光を半導体増幅媒質に入射した場
合、先に述べたように誘導放出によって少なくとも伝導
帯電子系の温度が上昇するが、利得波長領域より短波長
の制御光を半導体光増幅媒質に入射すると誘導吸収が生
じる。この時、キャリア系の擬フェルミエネルギーより
大きなエネルギーを持つキャリア数が増加しキャリア系
の平均エネルギーを上昇させるため、やはりキャリア系
の温度上昇が起こる。従って、利得波長領域内の光波長
を有する制御光と利得波長領域より短波長の制御光の強
度を調節して同時に半導体光増幅媒質に入射してやれ
ば、利得波長領域内の光波長を有する制御光入射によっ
て起こる誘導放出によるキャリア数減少を利得波長領域
より短波長の制御光入射によって起こる誘導吸収による
キャリア数増加により補償し、キャリア数密度変化なし
にキャリア温度変化を生じさせることが可能になる。こ
のときキャリア系は、図11に示したように誘導放出に
よってキャリアエネルギー上で状態選択的に脱励起して
減少したキャリア数を誘導吸収によってキャリアエネル
ギー上で状態選択的に励起して補うことによってキャリ
ア数密度が変化することなしに分布温度が変化してお
り、キャリアが波数(エネルギー)空間内で低エネルギ
ー領域から高エネルギー領域へポンプされることにより
キャリア分布が変化してキャリア系の分布温度上昇が生
じていると考えられる。この方法によれば、バンド間実
遷移による大きな光非線形性を利用して高効率で、高速
かつオン・オフ比の優れた光路切り換え型光制御光スイ
ッチを得ることが可能になる。本発明の第二および第四
の発明はこの原理を利用したものである。
長領域内の光波長を持つ一種類の制御光を用いる方法で
は、誘導放出時のキャリア温度変化のみならずキャリア
密度変化も生じてしまい信号光の吸収率変化やスイッチ
ング動作速度の制限をもたらす。これを避けるため、キ
ャリア密度変化の生じない準定常状態で動作させること
が有効であることを述べたが、一方この方法では利用で
きる光非線形性の大きさが小さくなり振動子強度がある
程度大きい媒質しか利用できない。この問題は第二およ
び第四の本発明による、制御光として利得波長領域内に
光波長を有する第一の制御光パルス列と利得波長領域よ
り短い波長を有し第一の制御光パルス列に同期して時間
変化する第二の制御光パルス列の2系統の制御光を用い
る方法によって避けることができる。利得波長領域内の
光波長を有する制御光を半導体増幅媒質に入射した場
合、先に述べたように誘導放出によって少なくとも伝導
帯電子系の温度が上昇するが、利得波長領域より短波長
の制御光を半導体光増幅媒質に入射すると誘導吸収が生
じる。この時、キャリア系の擬フェルミエネルギーより
大きなエネルギーを持つキャリア数が増加しキャリア系
の平均エネルギーを上昇させるため、やはりキャリア系
の温度上昇が起こる。従って、利得波長領域内の光波長
を有する制御光と利得波長領域より短波長の制御光の強
度を調節して同時に半導体光増幅媒質に入射してやれ
ば、利得波長領域内の光波長を有する制御光入射によっ
て起こる誘導放出によるキャリア数減少を利得波長領域
より短波長の制御光入射によって起こる誘導吸収による
キャリア数増加により補償し、キャリア数密度変化なし
にキャリア温度変化を生じさせることが可能になる。こ
のときキャリア系は、図11に示したように誘導放出に
よってキャリアエネルギー上で状態選択的に脱励起して
減少したキャリア数を誘導吸収によってキャリアエネル
ギー上で状態選択的に励起して補うことによってキャリ
ア数密度が変化することなしに分布温度が変化してお
り、キャリアが波数(エネルギー)空間内で低エネルギ
ー領域から高エネルギー領域へポンプされることにより
キャリア分布が変化してキャリア系の分布温度上昇が生
じていると考えられる。この方法によれば、バンド間実
遷移による大きな光非線形性を利用して高効率で、高速
かつオン・オフ比の優れた光路切り換え型光制御光スイ
ッチを得ることが可能になる。本発明の第二および第四
の発明はこの原理を利用したものである。
【0025】以上の作用は以下のようにまとめることが
できる。すなわち本発明の光路切り換え型光制御光スイ
ッチでは、マッハツェンダー干渉計や導波型光方向性結
合器において光波の伝搬光路中の屈折率変化を利用して
光路切り換えを行い、またこの屈折率変化は制御光入射
による誘導放出や誘導吸収にともなう半導体光増幅媒質
中のキャリア系エネルギー分布変化(キャリア系の温度
上昇)の結果透明波長に生じる、高速の屈折率変化によ
り実現している。この方法を用いることによって本発明
による光路切り換え型光制御光スイッチにおいては、実
光遷移にともなう大きな光非線形性により光効率で、ま
たバンド内緩和時間(ピコ秒程度)の逆数(100Gb
it/sec)程度に高速で、かつ透明波長に生じる屈
折率変化を利用するため信号光の吸収ロスや吸収率変化
のないオン・オフに優れた光路切り換え型光制御光スイ
ッチを実現できるなど、従来の技術にない書な顕著な特
長がある。
できる。すなわち本発明の光路切り換え型光制御光スイ
ッチでは、マッハツェンダー干渉計や導波型光方向性結
合器において光波の伝搬光路中の屈折率変化を利用して
光路切り換えを行い、またこの屈折率変化は制御光入射
による誘導放出や誘導吸収にともなう半導体光増幅媒質
中のキャリア系エネルギー分布変化(キャリア系の温度
上昇)の結果透明波長に生じる、高速の屈折率変化によ
り実現している。この方法を用いることによって本発明
による光路切り換え型光制御光スイッチにおいては、実
光遷移にともなう大きな光非線形性により光効率で、ま
たバンド内緩和時間(ピコ秒程度)の逆数(100Gb
it/sec)程度に高速で、かつ透明波長に生じる屈
折率変化を利用するため信号光の吸収ロスや吸収率変化
のないオン・オフに優れた光路切り換え型光制御光スイ
ッチを実現できるなど、従来の技術にない書な顕著な特
長がある。
【0026】なお、本発明による光路切り換え型光制御
光スイッチと前述の高田、猿渡らによる光スイッチ(特
開平3−154031号公報記載)との相違点について
説明しておく。相違点は2つあって、第一は半導体光増
幅媒質の電流注入励起に関するものである。高田らの光
スイッチにおいては半導体光増幅媒質をあらかじめ電流
注入などの方法で光学利得をもつ状態まで励起しておく
必要がなく、従って半導体光増幅媒質に電流注入する手
段を有していない。これに対して本発明においてはあら
かじめ半導体光増幅媒質を光利得をもつ状態まで励起し
ておく必要があり、このため半導体光増幅媒質に定常的
に電流注入する手段を有している。第二は制御光、信号
光の波長領域の選択に関するものである。高田らの光ス
イッチにおいては励起光と呼ぶ第一の制御光(波長:λ
c1)を半導体光増幅媒質の利得波長領域よりも短い波長
領域に照射し、つぎにこの第一の制御光によって光学利
得の生じた半導体光増幅媒質の利得波長領域に第二の制
御光(波長:λc2)を照射し、これら二つの制御光波長
の間の波長に信号光波長(波長:λs )を設定して、こ
の波長において生じる屈折率変化を利用する。半導体光
増幅媒質の透明波長をλ0 とすれば、上に示した3つの
光波長にはλ0 〈λc1〈λs 〈λc2なる制限が課せられ
ている。一方本発明の光制御光スイッチでは、最初に電
流注入によって半導体光増幅媒質が定常的な光学利得を
もつ状態にしておき、この媒質の透明波長λ0 に信号光
(波長:λs )を入射する。第一および第三の本発明で
は媒質の利得波長領域に制御光(波長:λc )を入射
し、第二および第四の本発明では媒質の利得波長領域に
第一の制御光(波長:λc1)を利得波長領域よりも短い
波長領域に第二の制御光(波長:λc2)を入射し、透明
波長に屈折率変化を誘起する。従って上に示した2つな
いし3つの光波長にはλc 〈λs =λ0 またはλc1〈λ
s =λ0 〈λc2なる制限が課せされる。このように高田
らの光スイッチと本発明とでは透明波長λ0 に対して制
御光や信号光の波長の選び方が異なっている。
光スイッチと前述の高田、猿渡らによる光スイッチ(特
開平3−154031号公報記載)との相違点について
説明しておく。相違点は2つあって、第一は半導体光増
幅媒質の電流注入励起に関するものである。高田らの光
スイッチにおいては半導体光増幅媒質をあらかじめ電流
注入などの方法で光学利得をもつ状態まで励起しておく
必要がなく、従って半導体光増幅媒質に電流注入する手
段を有していない。これに対して本発明においてはあら
かじめ半導体光増幅媒質を光利得をもつ状態まで励起し
ておく必要があり、このため半導体光増幅媒質に定常的
に電流注入する手段を有している。第二は制御光、信号
光の波長領域の選択に関するものである。高田らの光ス
イッチにおいては励起光と呼ぶ第一の制御光(波長:λ
c1)を半導体光増幅媒質の利得波長領域よりも短い波長
領域に照射し、つぎにこの第一の制御光によって光学利
得の生じた半導体光増幅媒質の利得波長領域に第二の制
御光(波長:λc2)を照射し、これら二つの制御光波長
の間の波長に信号光波長(波長:λs )を設定して、こ
の波長において生じる屈折率変化を利用する。半導体光
増幅媒質の透明波長をλ0 とすれば、上に示した3つの
光波長にはλ0 〈λc1〈λs 〈λc2なる制限が課せられ
ている。一方本発明の光制御光スイッチでは、最初に電
流注入によって半導体光増幅媒質が定常的な光学利得を
もつ状態にしておき、この媒質の透明波長λ0 に信号光
(波長:λs )を入射する。第一および第三の本発明で
は媒質の利得波長領域に制御光(波長:λc )を入射
し、第二および第四の本発明では媒質の利得波長領域に
第一の制御光(波長:λc1)を利得波長領域よりも短い
波長領域に第二の制御光(波長:λc2)を入射し、透明
波長に屈折率変化を誘起する。従って上に示した2つな
いし3つの光波長にはλc 〈λs =λ0 またはλc1〈λ
s =λ0 〈λc2なる制限が課せされる。このように高田
らの光スイッチと本発明とでは透明波長λ0 に対して制
御光や信号光の波長の選び方が異なっている。
【0027】
【実施例】以下図面を参照しながら本発明の実施例を詳
細に説明する。
細に説明する。
【0028】図12(A)は図1に示した第一の発明の
実施例(以下、実施例1と称する)および図2に示した
第二の発明の実施例(以下、実施例2と称する)を示す
ものである。この実施例のマッハツェンダー干渉計型光
スイッチは半導体基板上に形成した例である。構造は次
の通りである(図12(B)参照)。n型のドープされ
た半導体基板7上に下部クラッド層8、活性層9、上部
クラッド層10およびp型にドープされた半導体層11
がエピキシャル成長され、活性層9より上部の各層はウ
ェットエッチングにより図12(B)に示した様なリッ
ジ形状に加工され、活性層9部分が導波路として動作す
る。リッジ形状に加工された各層部分のチャンネル幅は
光波長程度である。
実施例(以下、実施例1と称する)および図2に示した
第二の発明の実施例(以下、実施例2と称する)を示す
ものである。この実施例のマッハツェンダー干渉計型光
スイッチは半導体基板上に形成した例である。構造は次
の通りである(図12(B)参照)。n型のドープされ
た半導体基板7上に下部クラッド層8、活性層9、上部
クラッド層10およびp型にドープされた半導体層11
がエピキシャル成長され、活性層9より上部の各層はウ
ェットエッチングにより図12(B)に示した様なリッ
ジ形状に加工され、活性層9部分が導波路として動作す
る。リッジ形状に加工された各層部分のチャンネル幅は
光波長程度である。
【0029】リッジ(導波路)の形状は、図12(A)
に示すように、1つの入力ポートがY分岐(第1の光
合分波器)により2つの導波路a,bに分岐している。
2つの導波路a,bの出力側、すなわち、図中の右側は
X分岐(第2の光合分波器)により一度合流した後、再
び分かれて出力ポート,になっている。さらに、導
波路aには制御光入力用の入力ポートが接続されてい
る。導波路a,bは導波路幅が異なり、導波路aの方が
太い。このように2つの導波路の幅を変えたのは、各導
波路を伝播した信号光の位相差によって信号光が出射す
る出力ポートを切り換えるためである。位相差が0のと
きは出力ポートから出力し、πのときは出力ポート
から出力する。出力ポート,の前方には波長選択素
子14を設置し、制御光をカットし、信号光のみを取り
出す構成になっている。
に示すように、1つの入力ポートがY分岐(第1の光
合分波器)により2つの導波路a,bに分岐している。
2つの導波路a,bの出力側、すなわち、図中の右側は
X分岐(第2の光合分波器)により一度合流した後、再
び分かれて出力ポート,になっている。さらに、導
波路aには制御光入力用の入力ポートが接続されてい
る。導波路a,bは導波路幅が異なり、導波路aの方が
太い。このように2つの導波路の幅を変えたのは、各導
波路を伝播した信号光の位相差によって信号光が出射す
る出力ポートを切り換えるためである。位相差が0のと
きは出力ポートから出力し、πのときは出力ポート
から出力する。出力ポート,の前方には波長選択素
子14を設置し、制御光をカットし、信号光のみを取り
出す構成になっている。
【0030】導波路の入力ポートから波長λs の信号
光を入射したとき、導波路a,b部分がマッハツェンダ
ー干渉計を構成する2つの光路となり、出力ポートお
よびより光路切り換えされてた信号光出力が得られ
る。導波路a,b部分を構成するリッジ部分上部および
GaAs基板下部には金電極12が形成され、これを通
じて電流源13から導波路a,b部分の活性層領域に数
ミリアンペアの電流注入がなされ、光学利得をもちかつ
信号光波長が媒質の透明波長になるように調整される。
第一の発明の場合は波長λc の制御光が、また、第二の
発明の場合は波長λc1の第一の制御光および波長λc2の
第二の制御光が入力ポートから入射され、導波路a部
分の半導体活性層領域にのみ制御光が導入される。出力
ポートおよびからの出力光には信号光のみならず制
御光が混入するが、波長選択素子14を用いることによ
り信号光成分のみを取り出すことが可能である。
光を入射したとき、導波路a,b部分がマッハツェンダ
ー干渉計を構成する2つの光路となり、出力ポートお
よびより光路切り換えされてた信号光出力が得られ
る。導波路a,b部分を構成するリッジ部分上部および
GaAs基板下部には金電極12が形成され、これを通
じて電流源13から導波路a,b部分の活性層領域に数
ミリアンペアの電流注入がなされ、光学利得をもちかつ
信号光波長が媒質の透明波長になるように調整される。
第一の発明の場合は波長λc の制御光が、また、第二の
発明の場合は波長λc1の第一の制御光および波長λc2の
第二の制御光が入力ポートから入射され、導波路a部
分の半導体活性層領域にのみ制御光が導入される。出力
ポートおよびからの出力光には信号光のみならず制
御光が混入するが、波長選択素子14を用いることによ
り信号光成分のみを取り出すことが可能である。
【0031】以下GaAs系材料で作製した光スイッチ
を用いて実験をおこなった結果について述べる。光スイ
ッチの活性層はGaAs、クラッド層はAl0.05Ga
0.95Asで作製し、素子長は約500μmである。リッ
ジ部分のチャネル幅は3μm、太い部分は4μmとし、
活性層の利得波長である850nm付近の光に対して単
一モード導波路になるようにした。導波路の端面は無反
射コートすることによって、信号光および制御光の素子
への光結合を高め、同時に素子に電流注したときにレー
ザ発振しないようにした。素子には50mAの定常電流
注入を行った。入力ポートへ波長840nm、光パワ
ー1mW程度の半導体レーザからの連続信号光を結合入
射し、入力ポートから波長880nm、光エネルギー
1.2nJ、パルス幅5ps、繰り返し20Gbit/
secの同じく半導体レーザからの制御パルス光列を結
合入射し、出力ポートおよびからの信号光をストリ
ーク・カメラで観測したところ、ストリーク・カメラの
観測制度(1ps)内で信号光が制御パルス光に完全に
追従して光路切り換えされるのが観測された。この時、
出力信号光の光ピークパワーは0.95mWとほとんど
吸収ロスが生じず、またオン・オフ比はほぼ1に近い結
果が得られた。また、入力ポートからパルス幅5p
s、繰り返し20Gbit/secで波長880nmお
よび波長820nmの同期した2つの半導体レーザから
の制御パルス光を結合入射した場合は、両制御光の光エ
ネルギーが20pJと単一の制御光の場合に比べて約6
0分の1の光エネルギーで、出力ポートおよびから
の信号光が制御パルス光に完全に追従して光路切り換え
されるのが観測された。この時、出力信号光の光ピーク
パワーやオン・オフ比は単一の制御光を用いる場合と同
一であった。
を用いて実験をおこなった結果について述べる。光スイ
ッチの活性層はGaAs、クラッド層はAl0.05Ga
0.95Asで作製し、素子長は約500μmである。リッ
ジ部分のチャネル幅は3μm、太い部分は4μmとし、
活性層の利得波長である850nm付近の光に対して単
一モード導波路になるようにした。導波路の端面は無反
射コートすることによって、信号光および制御光の素子
への光結合を高め、同時に素子に電流注したときにレー
ザ発振しないようにした。素子には50mAの定常電流
注入を行った。入力ポートへ波長840nm、光パワ
ー1mW程度の半導体レーザからの連続信号光を結合入
射し、入力ポートから波長880nm、光エネルギー
1.2nJ、パルス幅5ps、繰り返し20Gbit/
secの同じく半導体レーザからの制御パルス光列を結
合入射し、出力ポートおよびからの信号光をストリ
ーク・カメラで観測したところ、ストリーク・カメラの
観測制度(1ps)内で信号光が制御パルス光に完全に
追従して光路切り換えされるのが観測された。この時、
出力信号光の光ピークパワーは0.95mWとほとんど
吸収ロスが生じず、またオン・オフ比はほぼ1に近い結
果が得られた。また、入力ポートからパルス幅5p
s、繰り返し20Gbit/secで波長880nmお
よび波長820nmの同期した2つの半導体レーザから
の制御パルス光を結合入射した場合は、両制御光の光エ
ネルギーが20pJと単一の制御光の場合に比べて約6
0分の1の光エネルギーで、出力ポートおよびから
の信号光が制御パルス光に完全に追従して光路切り換え
されるのが観測された。この時、出力信号光の光ピーク
パワーやオン・オフ比は単一の制御光を用いる場合と同
一であった。
【0032】なお、この実施例は半導体基板上にリッジ
型に形成した半導体導波路でマッハツェンダー干渉計を
構成した例について述べたが、同様の動作をする光路切
り換え型光制御光スイッチを屈折率閉じ込め形埋め込み
構造により形成することや、光ファイバー、ファイバー
カップラーおよび進行波型半導体レーザアンプで構成す
ることも可能である。
型に形成した半導体導波路でマッハツェンダー干渉計を
構成した例について述べたが、同様の動作をする光路切
り換え型光制御光スイッチを屈折率閉じ込め形埋め込み
構造により形成することや、光ファイバー、ファイバー
カップラーおよび進行波型半導体レーザアンプで構成す
ることも可能である。
【0033】上記実施例では、光合分波器はY分岐、X
分岐で構成し、入力ポートは導波路aに直接接続した
Y分岐構造としたが合波・分岐機能を有する他の構成、
例えば方向性結合器等で構成してもよい。また、入力側
の光合分波器をX分岐で構成し、入力ポート側の一方の
分岐導波路を入力ポートとし、他方の分岐導波路は使
用しない構成としてもよい。
分岐で構成し、入力ポートは導波路aに直接接続した
Y分岐構造としたが合波・分岐機能を有する他の構成、
例えば方向性結合器等で構成してもよい。また、入力側
の光合分波器をX分岐で構成し、入力ポート側の一方の
分岐導波路を入力ポートとし、他方の分岐導波路は使
用しない構成としてもよい。
【0034】また、上記実施例では両方の導波路a,b
を半導体光増幅媒質で構成したが、制御光が入射される
導波路aのみを半導体光増幅媒質で構成してもよい。こ
の場合の具体的構成例としては、図12(A)の構成
で、導波路aのみに電極を設ける構造とするのが手取り
早い。
を半導体光増幅媒質で構成したが、制御光が入射される
導波路aのみを半導体光増幅媒質で構成してもよい。こ
の場合の具体的構成例としては、図12(A)の構成
で、導波路aのみに電極を設ける構造とするのが手取り
早い。
【0035】また、導波路a,bの幅を互いに異ならせ
たが、導波路a,bの幅は同じとし、X分岐の出力ポー
トの導波路幅を互いに異なる幅とした非対称X分岐とし
てもよい。あるいは出力ポートのX分岐を対称なY分岐
と非対称なY分岐とが背中合わせに接続された構造とし
てもよい。
たが、導波路a,bの幅は同じとし、X分岐の出力ポー
トの導波路幅を互いに異なる幅とした非対称X分岐とし
てもよい。あるいは出力ポートのX分岐を対称なY分岐
と非対称なY分岐とが背中合わせに接続された構造とし
てもよい。
【0036】図13は図3に示した第三の発明の具体的
な実施例(以下、実施例3と称する)および図4に示し
た第四の本発明の具体的な実施例(以下、実施例4と称
する)を示すものである。
な実施例(以下、実施例3と称する)および図4に示し
た第四の本発明の具体的な実施例(以下、実施例4と称
する)を示すものである。
【0037】この実施例3および実施例4の導波形光方
向性結合器型光スイッチは半導体基板上に導波路を屈折
率閉じ込め形埋め込み構造により形成した例である。導
波形光方向性結合器を構成する2つの導波路は通常の端
面発光型の半導体レーザと全く同様の構造で作製されて
いる。電極は半導体基板裏面全体および表面全体に蒸着
されおり、2つの導波路には共に同じ大きさの電流が注
入される。波長λs の信号光は入力ポートから結合入
射し、第三の発明の場合は波長λc の制御光が、また、
第四の発明の場合は波長λc1の第一の制御光および波長
λc2の第二の制御光が入力ポートおよびの両方から
結合入射する。前述の実施例1および実施例2の場合と
同様に、導波路a,bは電流注入によりあらかじめ光学
利得を持つ状態に励起されており、信号光は吸収も増幅
もなくこの導波路を導波する。本実施例では制御光によ
って導波路aおよびbの屈折率が共に変調されることに
より導波路間の結合定数が制御される。出力ポートお
よびからの出力光には信号光のみならず制御光が混入
するが、波長選択素子14を用いることにより信号光成
分のみを取り出すことが同じく可能である。
向性結合器型光スイッチは半導体基板上に導波路を屈折
率閉じ込め形埋め込み構造により形成した例である。導
波形光方向性結合器を構成する2つの導波路は通常の端
面発光型の半導体レーザと全く同様の構造で作製されて
いる。電極は半導体基板裏面全体および表面全体に蒸着
されおり、2つの導波路には共に同じ大きさの電流が注
入される。波長λs の信号光は入力ポートから結合入
射し、第三の発明の場合は波長λc の制御光が、また、
第四の発明の場合は波長λc1の第一の制御光および波長
λc2の第二の制御光が入力ポートおよびの両方から
結合入射する。前述の実施例1および実施例2の場合と
同様に、導波路a,bは電流注入によりあらかじめ光学
利得を持つ状態に励起されており、信号光は吸収も増幅
もなくこの導波路を導波する。本実施例では制御光によ
って導波路aおよびbの屈折率が共に変調されることに
より導波路間の結合定数が制御される。出力ポートお
よびからの出力光には信号光のみならず制御光が混入
するが、波長選択素子14を用いることにより信号光成
分のみを取り出すことが同じく可能である。
【0038】以下GaAs系材料で作製した素子を用い
て実験を行った結果について述べる。素子の活性層はG
sAs、クラッド層はAl0.05Ga0.95Asで作製し、
素子長は約5mmである。導波路のチャネル幅は3μm
とし、活性層の利得波長である850nm付近の光に対
して単一モード導波路になるようにした。導波路の端面
は無反射コートすることによって、信号光および制御光
の素子への光結合を高め、同時に素子に電流注入したと
きにレーザ発振しないようにした。素子には500mA
の定常電流注入を行った。入力ポートへ波長840n
m、光パワー1mW程度の半導体レーザからの連続信号
光を結合入射し、入力ポート、から波長880n
m、光エネルギー1.5nJ、パルス幅5ps、繰り返
し20Gbit/secの同じく半導体レーザからの制
御パルス光列を結合入射し、出力ポートおよびから
の信号光をストリーク・カメラで観測したところ、スト
リーク・カメラの観測制度(1ps)内で信号光が制御
パルス光に完全に追従して光路切り換えされるのが観測
された。この時、出力信号光の光ピークパワーは0.9
2mWとほとんど吸収ロスが生じず、またオン・オフ比
はほぼ1に近い結果が得られた。また、入力ポート、
からパルス幅5ps、繰り返し20Gbit/sec
で波長880nmおよび波長820nmの同期した2つ
の半導体レーザからの制御パルス光を結合入射した場合
は、両制御光の光エネルギーが30pJと単一の制御光
の場合に比べて約50分の1の光エネルギーで、出力ポ
ートおよびからの信号光が制御パルス光に完全に追
従して光路切り換えされるのが観測された。この時、出
力信号光の光ピークパワーやオン・オフは単一の制御光
を用いる場合と同一であった。
て実験を行った結果について述べる。素子の活性層はG
sAs、クラッド層はAl0.05Ga0.95Asで作製し、
素子長は約5mmである。導波路のチャネル幅は3μm
とし、活性層の利得波長である850nm付近の光に対
して単一モード導波路になるようにした。導波路の端面
は無反射コートすることによって、信号光および制御光
の素子への光結合を高め、同時に素子に電流注入したと
きにレーザ発振しないようにした。素子には500mA
の定常電流注入を行った。入力ポートへ波長840n
m、光パワー1mW程度の半導体レーザからの連続信号
光を結合入射し、入力ポート、から波長880n
m、光エネルギー1.5nJ、パルス幅5ps、繰り返
し20Gbit/secの同じく半導体レーザからの制
御パルス光列を結合入射し、出力ポートおよびから
の信号光をストリーク・カメラで観測したところ、スト
リーク・カメラの観測制度(1ps)内で信号光が制御
パルス光に完全に追従して光路切り換えされるのが観測
された。この時、出力信号光の光ピークパワーは0.9
2mWとほとんど吸収ロスが生じず、またオン・オフ比
はほぼ1に近い結果が得られた。また、入力ポート、
からパルス幅5ps、繰り返し20Gbit/sec
で波長880nmおよび波長820nmの同期した2つ
の半導体レーザからの制御パルス光を結合入射した場合
は、両制御光の光エネルギーが30pJと単一の制御光
の場合に比べて約50分の1の光エネルギーで、出力ポ
ートおよびからの信号光が制御パルス光に完全に追
従して光路切り換えされるのが観測された。この時、出
力信号光の光ピークパワーやオン・オフは単一の制御光
を用いる場合と同一であった。
【0039】なおこの実施例は半導体基板上に屈折率閉
じ込め形埋め込み構造により形成した半導体導波路で光
方向性結合器を構成した例について述べたが、同様の動
作をする光路切り換え形光制御光スイッチをリッジ構造
の屈折率閉じ込め形導波路により形成することも可能で
ある。
じ込め形埋め込み構造により形成した半導体導波路で光
方向性結合器を構成した例について述べたが、同様の動
作をする光路切り換え形光制御光スイッチをリッジ構造
の屈折率閉じ込め形導波路により形成することも可能で
ある。
【0040】上述のように、本発明の光路切り換え型光
制御光スイッチによれば、非常に低エネルギーの光パル
スを用いて、光制御光スイッチを実現することができ
る。従って、本発明の光制御光スイッチ、マルチプレク
サ、デマルチプレクタ、光サンプリング回路等を代表例
とする高速光伝送、光情報処理などへの適用が期待でき
る。
制御光スイッチによれば、非常に低エネルギーの光パル
スを用いて、光制御光スイッチを実現することができ
る。従って、本発明の光制御光スイッチ、マルチプレク
サ、デマルチプレクタ、光サンプリング回路等を代表例
とする高速光伝送、光情報処理などへの適用が期待でき
る。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光路切り
換え型光制御光スイッチによれば、実光遷移にともなう
大きな光非線形性を利用して高効率で、またバンド内緩
和時間(ピコ秒程度)の逆数(100Gbit/se
c)程度に高速で、かつ透明波長に生じる屈折率変化を
利用するため信号光の吸収ロスや吸収率変化のないオン
・オフ比に優れた光路切り換え型光制御光スイッチを実
現できる。
換え型光制御光スイッチによれば、実光遷移にともなう
大きな光非線形性を利用して高効率で、またバンド内緩
和時間(ピコ秒程度)の逆数(100Gbit/se
c)程度に高速で、かつ透明波長に生じる屈折率変化を
利用するため信号光の吸収ロスや吸収率変化のないオン
・オフ比に優れた光路切り換え型光制御光スイッチを実
現できる。
【図1】第一の発明の基本構成を示す構成図である。
【図2】第二の発明の基本構成を示す構成図である。
【図3】第三の発明の基本構成を示す構成図である。
【図4】第四の発明の基本構成を示す構成図である。
【図5】非線形マッハツェンダー干渉計を説明する構成
図である。
図である。
【図6】非線形光方向性結合器を説明する構成図であ
る。
る。
【図7】電流注入時における半導体光増幅媒質の擬熱平
衡状態における利得スペクトルを示す特性図である。
衡状態における利得スペクトルを示す特性図である。
【図8】縮退したキャリア系の温度が縮小したときのキ
ャリアエネルギー分布確立の変化を表わす図である。
ャリアエネルギー分布確立の変化を表わす図である。
【図9】キャリア系の温度のみが上昇した場合の半導体
光増幅媒質の利得変化スペクトルおよび屈折率変化スペ
クトルを表わす図である。
光増幅媒質の利得変化スペクトルおよび屈折率変化スペ
クトルを表わす図である。
【図10】第一および第三の発明における、半導体光増
幅媒質の屈折率変化制御の原理を説明する図である。
幅媒質の屈折率変化制御の原理を説明する図である。
【図11】第二および第四の発明における、半導体光増
幅媒質の屈折率変化制御の原理を説明する図である。
幅媒質の屈折率変化制御の原理を説明する図である。
【図12】本発明の実施例を示す構成図である。
【図13】本発明の実施例を示す構成図である。
1 光合分波器 2 光合分波器 3 半導体光増幅媒質 5 光非線形媒質 6 電流源 7 n型半導体基板 8 下部クラッド層 9 活性層 10 上部クラッド層 11 p型半導体層 12 金電極 13 電流源 14 波長選択素子
Claims (4)
- 【請求項1】 マッハツェンダー干渉計型光制御光スイ
ッチであって、マッハツェンダー干渉計を構成する2つ
の分波された光路のうちの少くとも一方の光路に、少く
とも電流注入による励起状態時に信号光波長域が透明波
長域となる半導体光増幅媒質を配置し、該半導体光増幅
媒質に電流注入を行う手段および該半導体光増幅媒質の
利得波長領域内の波長を有する制御光パルス列を該半導
体光増幅媒質に入射させる手段を有することを特徴とす
る光制御光スイッチ。 - 【請求項2】 マッハツェンダー干渉計型光制御光スイ
ッチであって、該マッハツェンダー干渉計を構成する2
つの分波された光路のうちの少くとも一方の光路に、少
くとも電流注入による励起状態時に信号波長域が透明波
長域となる半導体光増幅媒質を配置し、該半導体光増幅
媒質に電流注入を行う手段および該半導体光増幅媒質の
利得波長領域内の波長を有する第一の制御光パルス列
と、該半導体光増幅媒質の利得波長領域より短い波長を
有し第一の制御光パルス列に同期して時間変化する第二
の制御光パルス列とを該半導体光増幅媒質に入射させる
手段を有することを特徴とする光制御スイッチ。 - 【請求項3】 導波型光方向性結合器を用いた光制御光
スイッチであって、該導波型光方向性結合器を構成する
2つの導波路が、少くとも電流注入による励起状態時に
信号光波長域が透明波長域となる半導体光増幅媒質によ
り形成され、該半導体光増幅媒質に電流注入を行う手段
および該半導体光増幅媒質の利得波長領域内の波長を有
する制御光パルス列を該半導体光増幅媒質に入射させる
手段を有することを特徴とする光制御光スイッチ。 - 【請求項4】 導波型光方向性結合器を用いた光制御光
スイッチであって、該導波型光方向性結合器を構成する
2つの導波路が、少くとも電流注入による励起状態時に
信号光波長域が透明波長域となる半導体光増幅媒質によ
り形成され、該半導体光増幅媒質に電流注入を行う手段
および該半導体光増幅媒質の利得波長領域内の波長を有
する第一の制御光パルス列と、該半導体光増幅媒質の利
得波長領域より短い波長を有し第一の制御パルス列に同
期して時間変化する第二の制御光パルス列とを該半導体
光増幅媒質に入射させる手段を有することを特徴とする
光制御光スイッチ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5077219A JP2654531B2 (ja) | 1993-04-02 | 1993-04-02 | 光制御光スイッチ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5077219A JP2654531B2 (ja) | 1993-04-02 | 1993-04-02 | 光制御光スイッチ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06289441A JPH06289441A (ja) | 1994-10-18 |
JP2654531B2 true JP2654531B2 (ja) | 1997-09-17 |
Family
ID=13627746
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5077219A Expired - Fee Related JP2654531B2 (ja) | 1993-04-02 | 1993-04-02 | 光制御光スイッチ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2654531B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
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---|---|---|---|---|
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JP5435544B2 (ja) * | 2009-02-24 | 2014-03-05 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 全光信号処理デバイス |
JP6099144B2 (ja) * | 2013-07-23 | 2017-03-22 | 日本電信電話株式会社 | 光スイッチ及び光スイッチシステム |
Family Cites Families (2)
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---|---|---|---|---|
JPH07111528B2 (ja) * | 1987-09-29 | 1995-11-29 | 日本電信電話株式会社 | 光スイッチ |
JPH03154031A (ja) * | 1989-11-13 | 1991-07-02 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 光スイッチ |
-
1993
- 1993-04-02 JP JP5077219A patent/JP2654531B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
1992年(平成4年)春季第39回応用物理学関係連合講演会予稿集第3分冊29p−C−10 P.878 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06289441A (ja) | 1994-10-18 |
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