JP2007134401A - 光ゲート・フィルタ、光集積回路、及びパルス・レーザ装置 - Google Patents

光ゲート・フィルタ、光集積回路、及びパルス・レーザ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 光アイソレータを用いることなしに反射の影響を低減することができ、パルス動作する能動光デバイス及びこれらを利用した光制御素子等の安定動作に寄与する。
【解決手段】 光を導波する光導波路部33と、光導波路部33の長さ方向に沿って少なくとも3箇所に挿入され、所定範囲の波長,光パルス幅,光パルスエネルギー,及び光パルススロット周期を有する信号光パルスにより吸収が飽和する可飽和吸収領域32とを具備し、信号光を透過させ、弱い雑音光の透過を抑制する光導波構造の光ゲート・フィルタ31であって、隣接する二つの可飽和吸収領域32間のパルス通過時間が、一つの可飽和吸収領域32の吸収が一つの信号光パルスの通過により飽和している時間よりも長く設定され、且つ順に並ぶ三つの可飽和吸収領域32を信号光パルスが伝搬する時間が、光パルススロット周期よりも短くなるよう設定されている。
【選択図】 図7

Description

本発明は、可飽和吸収を利用した光ゲート・フィルタと、この光ゲート・フィルタを応用した光集積回路及びパルス・レーザ装置に関する。
高性能の半導体レーザや進行波型半導体光増幅器(SOA)においては、反射の影響を減らすために光アイソレータが用いられている。この光アイソレータは、一般に磁気光学効果を利用したもので、光集積回路に集積化するのは極めて困難であり、しかも高価である。このため、光アイソレータの必要性が、高性能の半導体レーザやSOAを含む光回路を小型化・低価格化する上での大きな障害となっていた。
半導体レーザ以外のパルス・レーザ装置においても、リング型の構成のモード同期ファイバレーザのように、動作の安定化に光アイソレータが必須なものが多い。半導体レーザと比べて光アイソレータが占める容積やコストの割合が小さいとは言え、光アイソレータの使用は、デバイスの小型化及び低価格化を阻む一要因となっていた。
また、最近では、フォトニック結晶を利用した光導波路や、大きな屈折率差による強い光閉じ込めを利用した光細線導波路の研究開発が、急速に進んでいる(以下、これらをフォトニック・ナノ構造と総称する)。このフォトニック・ナノ構造を用いることにより、光集積回路の超小型化(高密度化)や低消費パワー化(低消費エネルギー化)が可能になる。さらに、フォトニック結晶においては、フォトニック・バンド・ギャップ、負の屈折、光パルスの捕獲(光バッファメモリ)など、従来の光素子にはない特性を発現させることができ、様々な新機能の実現も期待されている。しかし、フォトニック・ナノ構造の特性は構造に非常に敏感であり、また光透過特性や反射特性には強い波長依存性がある。
例えば、(非特許文献1)のFig.4に、2次元六方格子フォトニック結晶による60度曲がり導波路の光透過特性と反射特性が示されている。曲がり部の構造を最適化することにより,c/a=0.2685〜0.2745の範囲で高い透過率が実現できるものの、この帯域内においても波長によっては最大3%程度の反射を生じている。この例のような曲がり部に限らず、フォトニック・ナノ構造においては、使用波長帯域内の反射光や戻り光をある程度(多くの場合、数%以下に)低減することはできるが、完全に抑制することは極めて困難であった。
3次元のフォトニック・ナノ構造は作製が大変なので、殆どの場合、2次元のフォトニック・ナノ構造が使われる。その集積規模の拡大を図るためには、多数の交差部が必要になるが、交差部においては、反射光だけでなく交差する光導波路からのクロストーク光も発生する。(非特許文献2)には、2次元フォトニック・ナノ構造において、交差部の導波路軸に対するモードの偶奇性の違いを利用してクロストークを大幅に減らせることが示されている。しかし、交差角が90度でない六方格子2次元フォトニック結晶の交差部には適用できない。
(非特許文献3)には、交差する光細線導波路の幅を変えることで、幅の広い方の光導波路の損失(幅の狭い方の光導波路へのクロストークも含む)を大幅に減らせることが示されている。しかし、一方の幅を広げただけでは狭い方の光導波路から広い方の光導波路へのクロストークを減らせないし、両方の幅を広げた場合は両方の光導波路ともクロストークの低減効果が減じてしまう。交差部以外にも、光共振器,マルチモード干渉計,方向性結合器,アレイ導波路回折格子(AWG)などにおいて、クロストーク光が発生する。
反射光やクロストーク光などの雑音光は、半導体レーザや半導体光増幅器などのアクティブ素子に限らず、信号光のS/N比を悪化させ、誤動作の原因となる。微細なフォトニック・ナノ構造においては、寸法の大きな従来型デバイスと同程度に構造の不完全性を抑圧することは困難であり、反射やクロストークが従来型光デバイスに比べて大きめになることは避けがたい。また、フォトニック・ナノ構造の光集積回路の場合、従来型光集積回路以上に光アイソレータの集積化が困難である。
A.Chutinan and S.Noda,Phys.Rev.B,Vol.62,No.7,pp.4488-4492(2000年) S.G.Johnson et al.,Opt.Lett.,Vol.23,No.23,pp.1855-1857(1998年) 馬場俊彦ほか、電子情報通信学会論文誌、Vol.J88、No.6、pp.363-373(2005年)
上述したように、パルス・レーザ装置、進行波型半導体光増幅器、進行波型半導体光増幅器を応用した各種光制御素子などのアクティブな光素子は、高価で集積化が困難な光アイソレータがないと安定に動作しないという課題があった。また、フォトニック・ナノ構造には、従来型の光回路と比べて反射・戻り光やクロストーク光などの雑音光の抑制が困難であるという課題があった。
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、光アイソレータを用いることなしに反射の影響を低減することができ、パルス動作する能動光デバイス及びこれらを利用した光制御素子等の安定動作に寄与し得る光ゲート・フィルタを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、フォトニック・ナノ構造を有する光集積回路内における反射・戻り光やクロストーク光の影響を低減することができる、光集積回路を提供することにある。
また、本発明の更に他の目的は、パルス動作するアクティブ光デバイスにおいて、高価で集積化の困難な光アイソレータを用いることなしに安定な動作を実現する、パルス・レーザ装置を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、次のような構成を採用している。
即ち、本発明の一態様は、光を導波する光導波路部と、前記光導波路部の長さ方向に沿って複数箇所に挿入され、所定範囲の波長,光パルス幅,光パルスエネルギー,及び光パルススロット周期を有する信号光パルスにより吸収が飽和する可飽和吸収領域とを具備し、信号光を透過させ、雑音光の透過を抑制する光導波構造の光ゲート・フィルタであって、隣接する二つの可飽和吸収領域間のパルス通過時間が、一つの可飽和吸収領域の吸収が一つの信号光パルスの通過により飽和している時間よりも長く設定され、且つ順に並ぶ複数の可飽和吸収領域を信号光パルスが伝搬する時間が、光パルススロット周期よりも短くなるよう設定されていることを特徴とする。
また、本発明の別の一態様は、フォトニック・ナノ構造の光導波路により複数の光素子が接続された光集積回路であって、所定範囲の波長,光パルス幅,光パルスエネルギー,及び光パルススロット周期を有する信号光パルスを透過させ、雑音光の透過を抑制するフォトニック・ナノ構造の可飽和吸収光ゲート・フィルタが前記光導波路の一部に集積化されており、前記光ゲート・フィルタから出力された信号光パルスが最初の不連続点まで伝搬する時間が、前記光ゲート・フィルタの吸収が一つの信号光パルスの通過により飽和している時間の1/2よりも長くなるように設定されていることを特徴とする。
また、本発明の更に別の一態様は、所定範囲の波長,光パルス幅,光パルスエネルギー,及び光パルススロット周期を有する信号光パルスを発生するレーザ共振器と、前記レーザ共振器で発生した光パルスにより吸収が飽和する光導波構造の光ゲート・フィルタとを具備したパルス・レーザ装置であって、前記光ゲート・フィルタ内の可飽和吸収特性を有する任意の光導波構造断面内において吸収が前記光パルスの通過により飽和している時間が、前記光ゲート・フィルタを前記光パルスが伝搬しきる時間より短くなるように設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、光アイソレータを使うことなしに反射の影響を低減でき、パルス・レーザ装置や、パルス動作する半導体光増幅器を集積化した光集積回路などを安定に動作させることが可能となる。また、フォトニック・ナノ構造の光集積回路で問題となる反射戻り光、クロストーク光などの雑音光を有効に低減することができる。
発明の実施形態を説明する前に、本発明の基本構成について説明しておく。
本発明の光ゲート・フィルタは、光を導波する光導波路部と、前記光導波路部の長さ方向に沿って少なくとも3箇所に挿入され、所定範囲の波長,光パルス幅,光パルスエネルギー,及び光パルススロット周期(1/データレート)を有する信号光パルスにより吸収が飽和する可飽和吸収領域とを具備し、信号光を透過させ、弱い雑音光の透過を抑制する光導波構造の光ゲート・フィルタであって、隣接する二つの可飽和吸収領域間のパルス通過時間が、一つの可飽和吸収領域の吸収が一つの信号光パルスの通過により飽和している時間(吸収係数が吸収飽和前の半分以下になっている時間)よりも長く設定され、且つ順に並ぶ三つの可飽和吸収領域を信号光パルスが伝搬する時間が、光パルススロット周期よりも短くなるよう設定されていることを特徴とするものである。
本発明の目的を達成するためには、前記光ゲート・フィルタが以下の条件を満たしている必要がある。
(a)一般的には、信号光の透過率と雑音光の透過率に20dB程度の差があれば、顕著な効果が得られる。そのためには、信号光入力レベルの変化に対する透過率の変化が大きな可飽和吸収現象が必要である。また、外部条件として、可飽和吸収光ゲート・フィルタに入射する雑音光のレベルが、この光ゲート・フィルタの外側での工夫により、信号光と比べて十分に抑えられている必要がある。
(b)信号光の透過時間窓は光パルススロット周期(1/データレート)より十分に狭いことが必要である。信号光がデューティの低い短パルスであることが前提となる。また、可飽和吸収の回復時間が非常に短い(光パルス幅とコンパラブルかそれ以下である)ことが要求される。
このような要請を満たす超高速の可飽和吸収現象として、半導体量子井戸中のサブバンド間遷移、半導体量子細線中のサブバンド間遷移、或いは半導体量子ドット中のサブレベル間遷移が利用できる。特に、InGaAs系結合量子井戸,窒化物半導体量子井戸,窒化物半導体量子ドット,或いはII−VI族半導体量子井戸中においては、光ファイバ通信に利用される波長1.55μm帯のサブバンド間遷移(量子ドット中ではサブレベル間遷移)が実現されている。吸収回復時定数はInGaAs系結合量子井戸の場合で約600fs、窒化物半導体量子井戸で約100fs、CdS/ZnSe/BeTe量子井戸中で約200fsである。
サブバンド間遷移以外では、大量に欠陥を導入してキャリア再結合寿命を短縮した化合物半導体で高速(数ps以下)の可飽和吸収を実現できることが知られている。低温MBE成長高濃度BeドープInGaAsでは、Beのドーピングレベルを高めればサブピコ秒の応答が可能である。この方法によれば、偏波依存性も小さくできる。その他、例えばSbを含む半導体中のスピン緩和などでもサブピコ秒の応答が可能であることが知られている。また、過剰に強い光の入射で焼けるという欠点はあるが、カーボンナノチューブ(CNT)や有機材料でも、数ピコ秒以下の応答を実現できるものが知られている。何れの場合も、他の要因による遅い時定数成分が影響しないような条件で使用する必要がある。
また、本発明の第1の光集積回路は、フォトニック・ナノ構造の光導波路により複数の光素子が接続された光集積回路であって、所定範囲の波長,光パルス幅,光パルスエネルギー,及び光パルススロット周期(1/データレート)を有する信号光パルスを透過させ、弱い雑音光の透過を抑制するフォトニック・ナノ構造の可飽和吸収光ゲート・フィルタが前記光導波路の一部に集積化されており、前記光ゲート・フィルタから出力された信号光パルスが最初の不連続点まで伝搬する時間が、前記光ゲート・フィルタの吸収が一つの信号光パルスの通過により飽和している時間(吸収係数が吸収飽和前の半分以下になっている時間)の1/2よりも長くなるように設定されていることを特徴とするものである。
本発明の第2の光集積回路は、フォトニック・ナノ構造の光導波路(光細線導波路、乃至はフォトニック結晶内の欠陥光導波路)により複数の光素子が接続された光集積回路であって、所定範囲の波長,光パルス幅,光パルスエネルギー,及び光パルススロット周期(1/データレート)を有する信号光パルスを透過させ、弱い雑音光の透過を抑制するフォトニック・ナノ構造の可飽和吸収光ゲート・フィルタが前記光導波路の一部に集積化されており、前記光ゲート・フィルタの光伝搬方向に垂直な任意の断面内において、前記信号光パルスの通過により前記光ゲート・フィルタの吸収が飽和している時間(吸収係数が吸収飽和前の半分以下になっている時間)が、前記光ゲート・フィルタを前記信号光パルスが伝搬する時間よりも短くなるように設定されていることを特徴とするものである。
勿論、第1の光集積回路の「ゲート・フィルタ」と第2の光集積回路の「光ゲート・フィルタ」が同一のものであっても構わない。但し、何れの場合においても、光導波路の不連続点(急角度の曲がり,分岐,交差,構造の異なる光導波構造との接続部など、反射の原因となる点)で生じる反射光やクロストーク光などの雑音光のレベルが信号光レベルより十分小さく抑えられるように作製されている必要がある。
上記のような条件を満たす高速の可飽和吸収は、前述のサブバンド間吸収、キャリア再結合寿命を短縮した化合物半導体、スピン緩和、CNT、有機材料などにより実現することができる。
一般に、高速の現象の発現には大きなエネルギーが必要であるが、フォトニック・ナノ構造の中では、半導体パルス光源から供給可能な光パルスエネルギーで十分な吸収飽和を実現することができる。また、フォトニック・ナノ構造中では、信号光入力レベルの変化に対する透過率の変化率も大きくすることができる。フォトニック・ナノ構造中では、反射やクロストークを完全に抑制することが困難であり、光アイソレータの集積化も困難なので、本発明の利用価値は高い。
第2の光集積回路においては、可飽和吸収特性を有する光導波路(可飽和吸収光ゲート・フィルタ)の光路長を長くする必要があるが、フォトニック・ナノ構造の光導波路中では低群速度の導波路を実現できるので、実際の光導波路長を短くすることができる。また、急角度の曲がり導波路、乃至は半径の小さな曲がり導波路を実現できるので、長い光導波路を高密度に折りたたんで比較的狭い面積に集積化することが可能である。勿論、急角度の曲がり導波路のような不連続点が可飽和吸収特性を有する光導波路の一部をなしていてもよい。
量子井戸中のサブバンド間遷移は、井戸層に垂直な電界成分を有するTMモードに対してのみ生じる。偏波が変動する光ファイバを伝送されてきた光を処理するデバイスでは偏波無依存化が必須と考えられている。しかし、光集積回路の場合、信号光パルスと偏波が適合していれば、偏波依存性があっても支障はない。特に、元々偏波依存性の強いフォトニック・ナノ構造は、一方の偏波モードに対してのみ使用されるのが一般的である。正方格子ピラー型のフォトニック結晶などで、TMモード光に対して広帯域のバンドギャップが開くことが知られている。3次元フォトニック結晶では、偏波モードは自由に変換できる。
本発明の第3の光集積回路は、所定範囲の波長,光パルス幅,光パルスエネルギー,及び光パルススロット周期(1/データレート)を有する信号光パルスを出力する半導体光増幅器(SOA)と、前記半導体光増幅器の後段に設けられ、該半導体光増幅器の出力光パルスにより吸収が飽和する光導波構造の光ゲート・フィルタとを集積した光集積回路であって、前記光ゲート・フィルタ内の可飽和吸収特性を有する任意の光導波構造断面内において吸収が前記出力光パルスの通過により飽和している時間(吸収係数が吸収飽和前の半分以下になっている時間)が、前記光ゲート・フィルタを前記出力光パルスが伝搬しきる時間よりも短くなるように設定されていることを特徴とするものである。
この構成においては、半導体光増幅器からの強いパルス光を利用することができるので、フォトニック・ナノ構造の光導波路を用いなくても、光ゲート・フィルタの吸収を飽和させることが可能である。本発明の可飽和吸収光ゲート・フィルタを用いれば、信号光パルス以外の雑音光や反射戻り光を遮断できるので、高価で集積化が困難な光アイソレータを用いなくても安定な動作を実現できる。
また、本発明の第1のパルス・レーザ装置は、レーザ共振器から出力された出力光パルスにより吸収が飽和する光導波構造の光ゲート・フィルタがレーザ共振器の後段に設けられており、前記光ゲート・フィルタ内の可飽和吸収特性を有する任意の光導波構造断面内において吸収が前記出力光パルスの通過により飽和している時間(吸収係数が吸収飽和前の半分以下になっている時間)が、前記光ゲート・フィルタを前記出力光パルスが伝搬しきる時間より短くなるように設定されていることを特徴とするものである。
本発明の第2のパルス・レーザ装置は、ループ光路内に設けられた利得領域と、前記ループ光路内に設けられた請求項1記載の光ゲート・フィルタと、前記ループ光路から一部の光を外部に取り出す手段とを具備したパルス・レーザ装置であって、前記ループ光路内の利得領域と光ゲート・フィルタ及びその他の損失要因の配置の非対称性により、該ループ光路を時計回りに伝搬する光パルスと反時計周りに伝搬する光パルスに利得差を与えたことを特徴とするものである。
何れの構成においても、能動光素子からの強いレーザ光を利用することができるので、フォトニック・ナノ構造の光導波路を用いなくても光ゲート・フィルタの吸収を飽和させることが可能である。従って、高価でかさばる光アイソレータを用いなくても逆方向に伝搬する光を遮断できるので、安定なパルス・レーザ発振を維持することができる。
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる光集積回路の一部を構成する可飽和吸収光ゲート・フィルタ(以下、光ゲート・フィルタと略記)の構造を模式的に示す斜視図である。分かり易くするために断面方向に寸法を拡大して描いているため、図の寸法・形状は実際の素子の寸法・形状とは異なる(他の図についても同様)。
光集積回路は、c面サファイア基板10上に作製されており、長さ300μmの窒化物半導体光細線導波路2からなる光ゲート・フィルタ1は、窒化物半導体光細線導波路2の前後に直列に接続されたSiNx光細線導波路3により他の素子に接続されている。
光細線導波路は、周囲との強い屈折率差により、コア層に光を強く閉じ込める導波路である。窒化物半導体光細線導波路2もSiNx光細線導波路3も、高さは約1μm、幅は約0.6μmであり、波長1.55μm帯のTMモードの信号光に対して単一モードの光導波路となる。光細線導波路2の波長1.55μmのTMモードに対する実効モード断面積は約0.13μm2 、群屈折率は1.9〜2である。このような光細線導波路2を用いると、半径5μmの曲がり導波路においても、放射損失を0.5dB以下に抑えることができるので、非常にコンパクトな光集積回路を実現することができる。側壁が平坦で垂直であれば、散乱損失や偏波クロストークも無視できる。AlNとSiNxの屈折率が近い(2.05〜2.15)ため、窒化物半導体光細線導波路2とSiNx光細線導波路3の接続部における反射も無視できる。
窒化物半導体光細線導波路2は、厚さ約0.5μmの下部AlN層11と上部AlN層12の間に厚さ約2.5nmのGaN量子井戸層13が挟まれた構造をしている。GaN井戸層13には、ドナー不純物であるSiが添加されており、その密度はおよそ1×1018cm-3である。
図2は、GaN井戸層13が上下のAlN層11,12に挟まれた構造からなる量子井戸の伝導帯バンド構造を概略的に示す図である。GaN井戸層13には、ピエゾ電気効果と自然分極による大きな電界(〜9MV/cm)を生じている。図2中の破線は、各サブバンドのエネルギー(右端のレベル)を基準として、電子の空間的な存在確率を示す。主としてGaN井戸層13に電子が閉じ込められているサブバンドはE1,E2の二つであり、そのバンド端におけるエネルギー差は約0.75eVである。E2より上には、電界で傾斜した上部AlN層12の伝導帯端と下部AlN層11により閉じ込められた多数の高次のサブバンド(図では、E3,E4,E5の3つのみ示した)も形成されるが、E1からE3以上のサブバンドへの吸収係数は小さいので、無視して考えることができる。
光のない状態では、ドナー(Si)のイオン化により生成した電子は殆ど全て、下のサブバンドE1のバンド端付近に分布している。サブバンドE1とサブバンドE2のエネルギー差に相当する波長帯のTMモード光(電界成分が基板に垂直)が入射すると、電子は光を吸収し、E1からE2に励起される。通常、GaN系のサブバンド間吸収の均一スペクトル幅は80〜120meVと広く、不均一拡がりも含めた吸収スペクトル幅は100〜200meVあるので、少なくとも1.55〜1.75μmの波長範囲でサブバンド間吸収を生じる。なお、サブバンド間吸収が起こらないTEモード光(基板に垂直な電界成分がない)を入射した場合は、光は殆どそのまま透過する。
強い光が入射し、E2に励起された電子の数がE1の電子の数に近づくと、サブバンド間吸収は飽和する。図3は、サブバンド間吸収により励起された電子の緩和過程を模式的に示す図である。横軸は井戸に平行な波数、縦軸は電子のエネルギーである。励起された電子は、横光学モード(LO)フォノン(約90meV)を幾つか吐き出して、下のサブバンドのバンド端付近に戻ってくる。GaN系は、LOフォノンと電子の相互作用が強い半導体であり、光が通り過ぎた後の吸収回復時間が短いのが特徴である。波長1.55μm付近における吸収回復時定数は110fsである。
ここでは、本実施形態の動作例として、窒化物半導体光細線導波路2に入射する信号光が、中心波長1.55μm、TMモード、パルス幅500fs、パルスエネルギー1pJ、データレート40Gb/s(光パルススロット周期25ps)のRZ(Return to Zero)光である場合について記す。マーク率0.5を仮定すると、信号光平均入力光パワーは20mW(13dBm)である。
反射率やクロストークは完全に0にはできないものの、殆どの場合、構造上の工夫等により信号光の数%程度に減らすことが可能である。ここでは、雑音光のパルスエネルギーは信号光パルスエネルギーの3%の30fJ以下に抑えられているものと仮定する。
図4は、この信号光パルスに対する、窒化物半導体光細線導波路2の透過率の入射光パルスエネルギー依存性を示す図である。実効モード断面積の小さな光細線導波路2中では、従来のモード断面積が1μm2 以上の光導波路と比べて、1桁以上小さな光パルスエネルギーで吸収飽和を起こすことができる。また、入力レベルの変化に対する吸収変化率も大きい。1pJの信号光パルスに対する吸収損失は約1dBであり、入射エネルギーの約79%が透過する。一方、パルスエネルギー30fJの雑音光に対する吸収損失は20dB以上あり、順方向に伝搬する雑音光のパルスエネルギーは、信号光とほぼ同期して入射しない限り、0.30fJ以下(出射信号光の0.038%以下)に低減される。
図5(a)(b)は、信号光入力端付近の光パルス波形と吸収飽和の応答の様子を示す図である。信号光により透過状態になる時間窓の半値幅は1.3psである。従って、長さ300μmの窒化物半導体光細線導波路2(群屈折率2)のうち、信号光パルスによりほぼ透明になる領域の長さは195μm以下となる。逆方向に伝搬する雑音光(反射光やクロストーク光)がたまたま信号光の出射タイミングと重なって入射したとしても、信号光と逆方向に伝搬していることを考慮すれば、透明領域とオーバーラップのある時間は0.65ps以下である。言い換えれば、信号光と逆方向に伝搬する雑音光が感じる透明領域長は、最長でも97.5μmである。その場合でも雑音光が30fJ以下であれば伝搬損失は13.5dB以上あるので、最悪のケースでも雑音光は1.34fJ以下(入射信号光の0.17%以下)に低減されることになる。
長さ300μm、群屈折率2の窒化物半導体光細線導波路2を光パルスが通過するのに要する時間は2psである。40Gb/sの1ビット分の光パルススロット25psのうち、信号光による透過窓が存在している時間は3.3psに過ぎないから、この時間帯に雑音光が来ないように配置しておけば、常に光ゲート・フィルタを透過する雑音光を0.3fJ以下に保つことができる。
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係わる光集積回路における可飽和吸収光ゲート・フィルタと光導波路交差部の位置関係と動作を説明する平面図である。二つの直角に交差するSiNx光細線導波路23a,23bに、上述の窒化物半導体光細線導波路からなる光ゲート・フィルタ21a,21b,21c,21dが設けられている。
図6(a)〜(f)は、SiNx光細線導波路23aを交差部24に向かう信号光パルスの先端が光ゲート・フィルタ21aの入口に差し掛かった時点を基準として、それぞれ0ps後,2ps後,4ps後,6ps後,8ps後,12.5ps後の状態を示している。交差部24を通過する信号光パルスのタイミングは、SiNx光細線導波路23aと23bで、12.5psずれるように設定されている。交差部24と入力側の光ゲート・フィルタ21a,21bの間のSiNx光細線導波路23a,23bの長さは300μmに設定されている。一方、出力側の光ゲート・フィルタ21c,21dは、交差部24のすぐ後ろに設置されている。
図6(b)に示すように、光ゲート・フィルタ21aは、信号光パルス自身による吸収飽和により、一部の領域のみが透明領域25aとなり、この透明領域は信号光パルスと共に進行する。図6(c)に示すように、光パルスが通り過ぎてから2ps経過した後には吸収は完全に回復し、透明領域25aは消滅している。信号光パルスが交差部24を通過する際に、一部は反射されたり、交差する導波路へのクロストーク光になったりするが、95%以上の光はそのまま直進する。
図6(d)に示すように、直進した信号光パルスは光ゲート・フィルタ21cに透明領域25cを作りながら進み、殆ど減衰を受けることなく出力される。図面上側に散乱されたクロストーク光は、光ゲート・フィルタ21dにより吸収される。図6(e)に示すように、反射光と図面下側に散乱されたクロストーク光は、その2ps後には光ゲート・フィルタ21a,21bにより吸収される。この時点では、光ゲート・フィルタ21cの透明領域25cも完全に消滅している。
最初から12.5ps後に図面下部から入射してくる信号光パルスに対しても、動作は全く同様である。即ち、交差部24を直進する信号光は光ゲート・フィルタ21b,21dを殆ど減衰せずに透過するのに対し、交差部24で発生した反射光やクロストーク光は光ゲート・フィルタ21b,21a,21cでほぼ完全に吸収される。左側から入射する光パルスとは12.5psタイミングをずらしてあるため、相互に干渉することはない。
図6の例では、ゲートが開いている間に反射光が光ゲート・フィルタに戻って来ないよう、光ゲート・フィルタ21aと交差部24との距離を300μm離した。つまり、光ゲート・フィルタ21aから出力された信号光パルスが最初の不連続点である交差部24まで伝搬する時間が、光ゲート・フィルタ21aの吸収が一つの信号光パルスの通過により飽和している時間の1/2よりも長くなるように、光ゲート・フィルタ21aと交差部24との距離を設定した。
別のアプローチとして、可飽和吸収光ゲート・フィルタを長くして、信号光とタイミング重なる戻り光に対しても十分な損失が得られるようにすれば、交差部と光ゲート・フィルタの間を離す必要がなくなる。そのためには、トータルの吸収量を増やすと共に、可飽和吸収光ゲート・フィルタの全長を透明領域長より十分に長くすればよい。極端な場合、素子間を接続する殆どの光導波路を可飽和吸収光ゲート・フィルタで構成することも可能である。
可飽和吸収光ゲート・フィルタを長くするには、長さ当たりの吸収を減らす必要がある。しかし、井戸層のキャリア密度が低すぎると、バックグラウンドレベルの変動の影響を受けやすくなるなど、制御が困難になることもある。この問題を避けるためには、吸収のない光導波路の中に複数の可飽和吸収部を分散させた構成としてもよい。なお、窒化物半導体光導波路では、作製方法によっては大きなバックグラウンド損失(結晶欠陥や側面形状のアンジュレーションによる散乱損失など)を生じることがある。この方法は、窒化物半導体光細線導波路の長さを短くして、上記バックグラウンド損失の影響を減じるのにも有効である。
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係わる可飽和光吸収ゲート・フィルタを模式的に示す図である。
本実施形態の可飽和吸収光ゲート・フィルタ31は、長さ10μmの窒化物半導体光細線導波路32a,32b,32cと長さ300μmのSiNx光細線導波路33b,33cを組み合わせたもので、全長は630μmである。窒化物半導体光細線導波路32a,32b,32cは前記図1に示した導波路2とほぼ同じ構造をしているが、キャリア密度は2×1019cm-3である。三つの領域トータルの飽和前のサブバンド間吸収量は第1の実施形態の2倍の約50dB(1段当たり約16.7dB)であるが、長さが短いのでバックグラウンド損失は無視できる。入出力のSiNx光細線導波路33a,33dと可飽和吸収光ゲート・フィルタ31内のSiNx光細線導波路33b,33cは、前記図1に示した導波路3とほぼ同じ構造であるが、半径10μmの曲がり導波路によりコンパクトに折りたたまれた構成になっている。
本実施形態の動作例として、信号光は、中心波長1.55μm、TMモード、パルス幅500fs、パルスエネルギー1pJ、データレート40Gb/s(光パルススロット周期25ps)のRZ(Return to Zero)光とした。マーク率0.5を仮定すると、信号光平均入力光パワーは20mW(13dBm)である。
光パルスがSiNx光細線導波路33b,33cを透過するのに要する時間はそれぞれ2psなのに対し、窒化物半導体光細線導波路32a,32b,32cが信号光パルスにより透明になっている時間は1.3psである。即ち、隣接する二つの可飽和吸収領域間のパルス通過時間が、一つの可飽和吸収領域の吸収が一つの信号光パルスの通過により飽和している時間よりも長く設定されている。また、三つの可飽和吸収領域を信号光パルスが伝搬する時間は、光パルススロット周期よりも短くなるよう設定されている。従って、窒化物半導体光細線導波路32a,32b,32cのうち一つが透明になっている間、他の二つは必ず不透明な状態を保っている。交差部34からの反射光は窒化物半導体光細線導波路32cを透過できるものの、窒化物半導体光細線導波路32bと32aで合計約33dB減衰する。
ここでは、交差部の反射光とクロストーク光を例として挙げたが、本実施形態は、曲がり、光分岐・合流器、方向性結合器、光共振器(波長フィルタ)、異種光導波路の接続部、チャープ光導波路、光変調部、作製プロセス上生じた微小欠陥など、様々な原因で発生する反射光やクロストーク光の低減に有効である。
なお、本実施形態では窒化物半導体光細線導波路として32a,32b,32cの3つを設けた例を説明したが、窒化物半導体光細線導波路の設置数は2つでも良いし、4つ以上でも良い。
(第4の実施形態)
サファイア基板よりシリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板を用いた方が、光集積回路としての汎用性は高い。図8に、Si基板41上に厚さ2μmのSiO2 クラッド層42と厚さ0.3μmのSiスラブ層43が設けられたSOI基板40上集積化された、受動導波路50と窒化物半導体中のサブバンド間遷移を利用した可飽和吸収光ゲート・フィルタ51の接続部付近の構造の例を示す。
なお、図8中の(a)は受動導波路50と光ゲート・フィルタ51の接続部52付近の光伝搬方向に沿った切断面、(b)は受動導波路部50の光伝搬方向と垂直な切断面、(c)は光ゲート・フィルタ51の光伝搬方向と垂直な切断面を示している。
受動導波路50は、Siスラブ層43の上に厚さ0.4μm、幅0.6μmのSiNx膜44が装荷されたリブ光導波路からなる。可飽和吸収光ゲート・フィルタ部51は、Siスラブ層43にGaN(2.5nm)/AlN(5nm)多重量子井戸層(2井戸)45とAlN層46からなる厚さ約0.4μm、幅0.6μmの窒化物半導体装荷層47が積層されたリブ光導波路からなる。接続部52は、窒化物半導体装荷層47の上にSiNx膜44がかぶった構造になっている。
これらの光導波路には、主としてSiスラブ層43の装荷層44の下の部分に光が閉じ込められる基本TMモードと、主として装荷層44,47に光が閉じ込められる高次TMモードが存在する。しかし、光入力部において基本TMモードを選択的に励振することで、擬似単一モード動作させることができる。基本TMモードの等価屈折率は、受動導波路50が2.77、可飽和吸収光ゲート・フィルタ部51が2.80、接続部52の窒化物半導体装荷層47の上にSiNx膜44(0.7<Y<1.1)がかぶった領域が2.80である。従って、上部装荷層の厚さや材料の変化にも拘わらず、光は接続部で散乱、反射を受けずに透過することができる。この例では光導波路の上は空気としたが、窒化物半導体やSiNxより屈折率が小さい材料(SiO2 など)で埋めてもよい。
図9(a)(b)(c)はそれぞれ、受動導波路50,可飽和吸収光ゲート・フィルタ部51,接続部52における、導波路中心線に沿った高さ方向の基本TMモードの電界モードプロファイルである。Y=0がSiO2 クラッド層42とSiスラブ層43の境界面の位置であり、Y=0.3がSiスラブ層43とSiNx膜44(a)や、窒化物半導体装荷層47(b)(c)との界面になる。
基本TMモードの光は主として装荷層下部のSiスラブ層(屈折率3.4)43に閉じ込められるが、一部は装荷層43,47のSiスラブ層やSiO2 クラッド層42に入り込んでいる。可飽和吸収光ゲート・フィルタ部51では、多重量子井戸層45に比較的強い電界分布があるため、可飽和吸収を生じる。量子井戸の位置が光電界ピークから外れているため、吸収飽和に必要な入力光パルスエネルギーは最初の例より若干大きくなるが、この実施形態でも第1の実施形態とほぼ同様の効果が得られる。但し、Si中の光電界が大きくなり過ぎると二光子吸収による吸収損失が増大するので、許容入力光パワー、導波路断面形状などには留意が必要である。
半導体レーザや進行波型半導体光増幅器などのアクティブな光素子を集積化する場合は、GaAs基板やInP基板などの化合物半導体を用いると都合がよい。GaAs基板を用いる場合には、例えばGaAs上にほぼ格子整合するCdS/ZnSe/BeTe系量子井戸のサブバンド間吸収を使って、吸収回復時定数〜200fsの可飽和吸収光ゲート・フィルタを構成することができる。InP基板を使う場合には、InGaAs/AlAs/AlAsSb系結合量子井戸中のサブバンド間吸収を用いて吸収回復時定数〜600fsの可飽和吸収光ゲート・フィルタを構成することができる。また、不純物や格子欠陥によりキャリア寿命を短縮した半導体によっても、超高速の可飽和吸収を実現できることが知られている。例えば、低温MBE成長した高濃度BeドープInGaAsでサブピコ秒の吸収回復を実現できることが知られている。このような構成であれば、信号光パルスの通過により光ゲート・フィルタの吸収が飽和している時間を、光ゲート・フィルタを信号光パルスが伝搬する時間よりも十分に短くすることができる。
(第5の実施形態)
図10は、本発明の可飽和吸収光ゲート・フィルタを応用したモード同期半導体レーザの構成を示す図(光導波路に沿った断面図)である。
本実施形態のモード同期半導体レーザは、可飽和吸収領域101、利得領域102、光変調領域103、DBR(分布ブラッグ反射器)領域104、及び可飽和吸収光ゲート・フィルタ105からなる。
各領域共に、n型InP基板110上に積層されたn型InPクラッド層111を共通に有するが、可飽和吸収領域101と可飽和吸収光ゲート・フィルタ105にはn型InPクラッド層111の上に低温MBE成長したBeドープInGaAsからなる可飽和吸収層112(112a,112b)が、利得領域102には歪InGaAs/InGaAsP量子井戸活性層113が、光変調領域103には歪InGaAsP/InGaAsP量子井戸層114が、それぞれ積層されている。そして、これらの上には各領域共通のInGaAsP光導波層115とp型InPクラッド層116が積層されている。
但し、DBR領域104のInGaAsP光導波層115とp型InPクラッド層116の界面には回折格子117が形成されている。さらに、p型InPクラッド層116の上には、領域毎に独立したp型InGaAsPコンタクト層118とオーミック電極119が形成されている。また、InP基板110の裏面にも全面にオーミック電極120が形成されている。可飽和吸収領域101側の端面には高反射コーティング膜121が、反対側の端面には無反射コーティング膜122が形成されている。
DBR領域104と高反射コーティング膜121により共振器が構成されており、利得領域102に順方向に電流を流すことでTEモードのレーザ発振が得られる。光変調領域103に正弦波電圧、或いはパルス電圧を印加して共振器内の利得と損失を周期的に変調することで、安定な能動モード同期をかけることができる。ここでは、モード同期の繰り返し周波数は40GHzであると仮定する。発振波長は約1.55μmであるが、DBR領域104に電流を流すか、或いは逆バイアスをかけることにより、発振波長をある程度制御することができる。モード同期発振出力光パルスは、可飽和吸収光ゲート・フィルタ105を通って外部に出力される。
モード同期レーザの共振器長(領域101〜104の全長)は約1mm(ターンラウンド時間=25ps)であり、可飽和吸収光ゲート・フィルタ105の長さは約800μm(通過時間10ps)である。レーザ共振器内の導波路幅は約2μmである。一方、可飽和吸収光ゲート・フィルタ105には、光閉じ込めの強い幅0.8μmのハイメサ光導波路が使われている。図にはないが、可飽和吸収光ゲート・フィルタ105の両端それぞれ長さ100μmの領域はテーパになっており、反射なしにモード断面積が変換される。最初の実施形態と比べるとモード断面積が大きく、吸収飽和エネルギーも大きいが、レーザと直結しているので強いパルス光で吸収を飽和させることができる。
可飽和吸収領域101にも可飽和吸収光ゲート・フィルタ105と同じ可飽和吸収体が用いられている。可飽和吸収体の吸収回復時間が1psと高速なので、発振光パルス幅は約1psと狭い。
可飽和吸収光ゲート・フィルタ105は、発振光パルス自身による吸収飽和でゲートが開く。しかし、出射パルスエネルギーの3%以下の反射戻り光に対しては、40dB以上の大きな減衰がある。また、信号光パルスの通過により光ゲート・フィルタ105の吸収が飽和している時間が、光ゲート・フィルタ105を信号光パルスが伝搬する時間よりも十分に短いため、パルス光の通過に伴って透明になっている領域の長さは可飽和吸収光ゲート・フィルタ105の全長の20%程度となる。このため、ゲートが開いている瞬間に戻ってきた反射光に対しても30dB以上の減衰が得られる。従って、高価でかさばる光アイソレータを用いることなしに、低ジッタで安定な動作を実現することができる。
本実施形態の特徴は、モード同期半導体レーザの出射側に可飽和吸収光ゲート・フィルタ105が設けられていることにあり、モード同期半導体レーザの構造、構成は上記の例に限定されるものではない。例えば、各領域の順序が入れ替わっていたり、DBR領域からの反射位相を制御するための位相調整領域が設けてあったり、高反射コーティング膜121の側からシンクロナスモード同期のための光を入射する手段が設けてあったり、n型基板の代わりに半絶縁性基板を用い、光導波路に隣接して領域毎に独立したn側電極が設けられていたりしてもよい。光導波路の構成も、埋め込み構造、メサ構造など様々なバリエーションがあり、領域毎に異なる断面構造であってもよい。
TMモードの利得が大きい伸張歪量子井戸活性層を用いたり、TEモードに対して損失が大きい量子井戸吸収層を加えたりしてTMモード発振するようにすれば、可飽和吸収体としてInGaAs/AlAs/AlAsSb系結合量子井戸のサブバンド間吸収を利用することもできる。
本発明は、モード同期半導体レーザに限らず、パルス発振する他のレーザ装置、連続発振する半導体レーザと光変調器を組み合わせたパルス光源などに応用することができる。また、進行波型半導体光増幅器(SOA)や、SOAを応用した各種の光制御素子(波長変換素子、光スイッチ等)の前後に配置することで、高利得動作時に発生しやすいリップルなどの不安定性を抑制したり、素子間の相互干渉を防いだりすることができる。比較的デューティの低い光パルス動作が前提となるが、光アイソレータを使わずに安定な動作を得ることができる。勿論、光アイソレータと組み合わせて、アイソレーションを強くするという使い方も可能である。
(第6の実施形態)
図11は、2次元正方格子ピラー型フォトニック結晶の線欠陥導波路130に可飽和吸収特性を持たせた光集積回路の一部を示す平面図である。フォトニック結晶は、空気中に円柱状のSiピラーが周期的に2次元配置された構造からなり、波長1.55μm帯のTMモードに対してフォトニック・バンド・ギャップ(禁制帯)が形成されている。
線欠陥導波路130内のピラーは窒化物半導体からなり、半径も周囲のSiピラーより小さい。このため、フォトニック結晶のフォトニック・バンド・ギャップ内にTM伝搬モードを持つ線欠陥導波路となる。この線欠陥導波路130は、群速度が真空中の約1/10(30μm/ps)になるように設計されている。この窒化物半導体ピラー中には、サブバンド間吸収のある量子井戸層が形成されており、可飽和吸収光ゲート・フィルタとしての機能を併せ持っている。パルス幅1psの信号光パルスに対する透過時間窓幅は約1.5psである。
入力Aは分岐部131で二つに分岐され、直角曲がり部132(132a,132b)を通って、可飽和吸収のないSiNxピラーを有する線欠陥導波路133からなる方向性結合器135a,135bに接続されている。入力B,Cも、可飽和吸収ゲート・フィルタである線欠陥導波路130から、可飽和吸収のない線欠陥導波路133からなる方向性結合器135a,135bに接続されている。(図では、方向性結合器の入力部のみ示した。)
分岐部131、曲がり部132、ヘテロ接合部134などは、できるだけ反射を起こさないよう設計されているが、それでもパルス帯域の一部の波長に対しては若干の反射戻り光を生じる。また、方向性結合器135a,135bの出力側(図にはない)からも、弱いながら、反射光やクロストーク光が反射されて入力側に戻ってくる。
図にはないが、この分岐部131の前段の光素子までの線欠陥導波路130の長さは100μmであり、その信号光パルス伝搬時間は約3.3psである。一方、信号光パルスにより吸収が飽和している時間窓幅は1.5psである。従って、線欠陥導波路130を信号光パルスが伝搬している最中でも、線欠陥導波路130の全長の半分以上は吸収が飽和していない。信号光パルスと逆方向に進むクロストーク光や反射光は、前段の光素子に到達する前に吸収されるので、干渉による誤動作を抑えることができる。
変形例として、ピラー以外の部分を空気でなく、SiO2 やBPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)などで埋めた構成も考えられる。フォトニック・バンド・ギャップは狭くなるが、機械的に安定な構造になる。
光導波路上のみに異種の材料のピラーを配置する代わりに、導波路を含む領域全体のピラーを同一の材料で作製することも可能である。例えば、図11において、ヘテロ接合134の左側のピラーは所定波長にサブバンド間吸収のあるInGaAs系結合量子井戸が内部に積層されたInP/InGaAsP系材料で構成し、ヘテロ接合134の右側のピラーはサブバンド間吸収層のないInP/InGaAsP系材料で構成するなどの設計も可能である。この場合、ピラー径や形状を変えることで線欠陥導波路を構成することができる。
結晶欠陥によりキャリア寿命を短縮した可飽和吸収体を用いるのであれば、TEモードに適した六方格子誘電体スラブ型フォトニック結晶にも応用できる。また、透過できる光パルスのスペクトル帯域幅との兼ね合いにはなるが、光導波路を結合点欠陥導波路にすれば群速度を更に遅くすることができる。また、点欠陥中ではピーク電界も高められるので、吸収飽和エネルギーを下げたり、入力に対する吸収変化率を大きくしたりすることもできる。
(第7の実施形態)
本発明は、半導体以外の光デバイスにも適用可能である。図12は、本発明をリング型構成のモード同期ファイバレーザに適用した実施形態の概略構成を示す図である。図12では、太線は光ファイバを、矢印の付いた細線は電気信号の流れを示すものとする。
このモード同期レーザは、主として偏波保持光ファイバ150からなるループ151内に、偏波保持エルビウムドープファイバ(EDF)152、EDF励起用半導体レーザ153からの励起光をEDFに結合するための光合波器154、インライン型可飽和吸収光ゲート・フィルタ155、ファイバループ151の光路長をピエゾ素子や温度で微調整する光遅延調整器156、25:75出力光カプラ157、LiNbO3 光強度変調器158などからなる。
この実施形態では、出力光カプラ157の分岐比25:75と出力側で大きくなるように設定されているため、大きな光出力を外部に取り出すことができる。出力光カプラ157でループ151から分岐された光パルスの大部分は出力ファイバ159を介して外部に出力されるが、一部は95:5光カプラ160で分岐され、UTCフォトダイオードとパルス処理用高速電子回路からなるクロック抽出器161に導かれる。クロック抽出器161からの制御信号は、シンセサイザ162からの約40GHzの同期信号とミキシングされ、制御回路163と光遅延調整器156を介してループ151の光路長にフィードバックされる。このフィードバックループにより、光パルス出力がシンセサイザ162からの同期信号の位相にロックされる。
一方、パルス制御・駆動回路164は、クロック抽出器161からの制御信号に同期して40GHzの大振幅の電圧を出力し、周回してくる光パルスのタイミングに合わせて数psの間のみゲートが開くように光強度変調器158を制御する。この結果、40GHzの再生モード同期がかかり、タイミングジッタやスーパーモード雑音の発生が抑制される。
図13は、本実施形態のモード同期ファイバレーザに使われているインライン型可飽和吸収光ゲート・フィルタ155の構成を模式的に示す図である。なお、小さな部分を拡大して描いているため、各要素の寸法や形状は実際と異なっている。
この光ゲート・フィルタ155は、入出力ファイバ芯線の先端部150aを中心に挿入した入出力ファイバ用フェルール170a、ファイバ芯線150bを挿入した内部の4個のフェルール170bと、各フェルールの間に挿入された可飽和吸収体171と、これらを挿入、固定するためのスリーブ172から構成されている。可飽和吸収体171は、波長1.55μm帯に吸収があり、吸収回復時定数が約2psの単一壁カーボンナノチューブ(SWNT)を分散させた、厚さ約30μmの有機膜からなる。内部の4個のフェルール170bの長さは1mmである。
可飽和吸収光ゲート・フィルタ155の透過率は、光パルスのピーク付近に対して高くなるため、スイッチを入れた後、周回を重ねる毎にパルス幅は狭くなり、定常状態ではパルス半値幅は1ps程度になる。EDF152は、可飽和吸収光ゲート・フィルタ155における光パルスの裾の部分の吸収損失、出力分岐損失、光強度変調器158の挿入損失等を補うと共に、利得飽和によりパルスの発生にも寄与する。
本実施形態で使われている可飽和吸収光ゲート・フィルタ155の特徴は、吸収回復時定数が約2psの可飽和吸収膜171が、1mm間隔で5枚挿入されていることである。可飽和吸収膜171を含む光ファイバ(群屈折率〜1.5)170bの合計長は約4mmであり、光パルスが透過するのに要する時間は約20psである。一方、幅約1psの光パルスにより各可飽和吸収膜171の透過率が高くなっている時間は高々4psであり、これは光パルス透過時間の1/5である。従って、図の左から右に進む信号光パルスにより可飽和吸収膜171も左から順番にON状態になるが、同時にはON状態にならないので、光強度変調器158や出力からの反射光など、右から左に進む雑音光に対して十分な遮断効果を持つ。なお、パルス間隔は約25psなので、その間に各可飽和吸収膜171の吸収は完全に元の状態に戻る。
また、本実施形態のモード同期ファイバレーザの構成の特徴は、上記の特徴を有する可飽和吸収光ゲート・フィルタ155を用いていることと、この可飽和吸収光ゲート・フィルタ155がEDF152の直後に配置されていることである。図12において時計回りに回る光パルスは、可飽和吸収光ゲート・フィルタ155に入射する前に増幅されているので、可飽和吸収光ゲート・フィルタ155の吸収を強く飽和させることができる。一方、反時計回りに回る光は、光強度変調器158や25:75光カプラ157で損失を受けているため、可飽和吸収光ゲート・フィルタ155で時計回りの光パルスより大きな減衰を受ける。即ち、ループ151内に光アイソレータを挿入しなくても、ループ利得の大きな時計回りの光に対してのみパルス発振を生じることになる。
なお、この効果は、光強度変調器158を二つ用意して、そのONになるタイミングを時計回り周回パルスに合わせることでも得られるが、この場合、高価な光変調器158と駆動回路164が二ついることになり、光アイソレータを用いるよりも高くついてしまう。本実施形態によれば、安価で小さなパッシブ素子の挿入だけで、同様の効果を得ることができるので、コストやサイズの低減を図ることができる。
本実施形態のモード同期ファイバレーザは、光ファイバの非線形性を利用したモード同期ファイバレーザ(例えば、光ファイバ中の自己位相変調と光フィルタの組み合わせによる可飽和吸収効果を利用したものなどがある)と比べて、構成が簡単である。ループ長も短くでき、高速化に適し、温度変化等に対する安定性にも優れている。
また、光ファイバにドープした遷移金属の準位間の吸収飽和を利用したモード同期ファイバレーザと比較しても、高繰り返し動作が可能である。その理由は、遷移金属の吸収飽和とその緩和過程には通常複数の準位が関わっており、その中に時定数の長い準位があることが多いからである。また、遷移金属ドープファイバを使用する場合と比べてループ長を短くできることも、高速動作や安定性の観点で有利である。
また、可飽和吸収膜171を複数枚用いることの利点として、十分な吸収飽和特性を維持したまま、1枚当たりの吸収量を減らすことができることも挙げられる。特に、有機膜やCNTのような焼き付を起こしやすい材料を用いて、高出力、高繰り返し動作を実現する上で重要な利点である。この観点では、可飽和吸収膜の枚数を更に増やすことで、より大きな効果を挙げることができる。
なお、光カプラ157の後にも同様の可飽和吸収光ゲート・フィルタを挿入して、出力ポートの光アイソレータの代わりとしてもよい。この可飽和吸収光ゲート・フィルタは、出力光パルスのパルス圧縮器としての効果も有する。
SWNTはサイズにより吸収波長帯を変えられるので、利得媒質としてPr,Ndなど他の遷移金属をドープしたファイバを用いた、別の波長帯のモード同期ファイバレーザにも適用可能である。
この実施形態の可飽和吸収光ゲート・フィルタは、複数の可飽和吸収膜を短尺の光ファイバ芯線を介して直列に接続した構成となっているが、例えば、GRINレンズを利用して複数の可飽和吸収膜を直列に接続するとか、或いはホーリーファイバーの孔の一部に高速の可飽和吸収体を挿入するなどの構成も可能である。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
第1の実施形態に係わる光集積回路の一部をなす可飽和吸収光ゲート・フィルタ付近の構造を模式的に示す斜視図。 第1の実施形態の光ゲート・フィルタを構成するGaN/AlN量子井戸の伝導帯の構造を示す図。 第1の実施形態の光ゲート・フィルタを構成するGaN/AlN量子井戸において、サブバンド間吸収により励起された電子の緩和過程を模式的に示す図。 第1の実施形態の光ゲート・フィルタの透過率の入力光パルスエネルギー依存性を示す図。 第1の実施形態の光ゲート・フィルタの信号入力端付近の一点における、信号光パルス波形と信号光パルスに対応した透過率の時間変化を示す図。 第2の実施形態に係わる光集積回路における可飽和吸収光ゲート・フィルタと光導波路交差部の位置関係と動作を説明する平面図。 第3の実施形態に係わる光ゲート・フィルタの構成例を概略的に示す平面図。 第4の実施形態に係わる光集積回路における光ゲート・フィルタと受動光導波路の接続部付近の光導波構造を概略的に示す図。 第4の実施形態において、受動光導波路、光ゲート・フィルタ、接続部における、基本TMモードの導波路中心線に沿った高さ方向の電界分布を示す図。 第5の実施形態に係わるモード同期半導体レーザの構成を概略的に示す図。 第6の実施形態に係わる2次元正方格子ピラー型フォトニック結晶からなる光集積回路の一部を示す平面図。 第7の実施形態に係わるモード同期ファイバレーザの構成を概略的に示す図。 第7の実施形態のモード同期ファイバレーザで使っている可飽和吸収光ゲート・フィルタの概略構成を示す図。
符号の説明
1,21a,〜,21d,31,51,155…可飽和吸収光ゲート・フィルタ
2,32a,〜,32c…窒化物半導体光細線導波路
3,23a,23b,33a,〜,33e…SiNx光細線導波路
10…サファイア基板
11,12…AlN層
13…GaN井戸層
24,34…交差部
25a,25c…可飽和吸収光ゲート・フィルタの透明領域
40…SOI基板
41…Si
42…SiO2
43…Siスラブ層
44…SiNx膜
45…GaN/AlN多重量子井戸層
46…AlN層
47…窒化物半導体装荷層
50…受動光導波路
52…接続部
101…可飽和吸収領域
102…利得領域
103…位相調整領域
104…DBR領域
105…可飽和吸収光ゲート・フィルタ
110…n型InP基板
111…n型InPクラッド層
112a,112b…低温MBE成長BeドープInGaAs可飽和吸収層
113…歪InGaAs/InGaAsP量子井戸活性層
114…歪InGaAsP/InGaAsP量子井戸層
115…InGaAsP光導波層
116…p型InPクラッド層
117…回折格子
118…p型InGaAsPコンタクト層
119,120…電極
121…高反射コーティング膜
122…無反射コーティング膜
130…可飽和吸収特性を有する線欠陥導波路
131…分岐部
132a,132b…曲がり部
133…線欠陥導波路
134…フォトニック結晶ヘテロ接合
135a,135b…方向性結合器
150,159…偏波保持ファイバ
150a,150b…偏波保持ファイバの芯線
151…光ファイバループ
152…偏波保持エルビウムドープファイバ
153…励起用半導体レーザ
154…光合波器
156…光遅延調整器
157,160…光カプラ
158…光強度変調器
161…光クロック抽出器
162…シンセサイザ
163…制御回路
164…パルス制御・駆動回路
170a,170b…フェルール
171…可飽和吸収膜
172…スリーブ

Claims (6)

  1. 光を導波する光導波路部と、前記光導波路部の長さ方向に沿って複数箇所に挿入され、所定範囲の波長,光パルス幅,光パルスエネルギー,及び光パルススロット周期を有する信号光パルスにより吸収が飽和する可飽和吸収領域とを具備し、信号光を透過させ、雑音光の透過を抑制する光導波構造の光ゲート・フィルタであって、
    隣接する二つの可飽和吸収領域間のパルス通過時間が、一つの可飽和吸収領域の吸収が一つの信号光パルスの通過により飽和している時間よりも長く設定され、且つ順に並ぶ複数の可飽和吸収領域を信号光パルスが伝搬する時間が、光パルススロット周期よりも短くなるよう設定されていることを特徴とする、光ゲート・フィルタ。
  2. フォトニック・ナノ構造の光導波路により複数の光素子が接続された光集積回路であって、
    所定範囲の波長,光パルス幅,光パルスエネルギー,及び光パルススロット周期を有する信号光パルスを透過させ、雑音光の透過を抑制するフォトニック・ナノ構造の可飽和吸収光ゲート・フィルタが前記光導波路の一部に集積化されており、
    前記光ゲート・フィルタから出力された信号光パルスが最初の不連続点まで伝搬する時間が、前記光ゲート・フィルタの吸収が一つの信号光パルスの通過により飽和している時間の1/2よりも長くなるように設定されていることを特徴とする、光集積回路。
  3. フォトニック・ナノ構造の光導波路により複数の光素子が接続された光集積回路であって、
    所定範囲の波長,光パルス幅,光パルスエネルギー,及び光パルススロット周期を有する信号光パルスを透過させ、雑音光の透過を抑制するフォトニック・ナノ構造の可飽和吸収光ゲート・フィルタが前記光導波路の一部に集積化されており、
    前記光ゲート・フィルタの光伝搬方向に垂直な任意の断面内において、前記信号光パルスの通過により前記光ゲート・フィルタの吸収が飽和している時間が、前記光ゲート・フィルタを前記信号光パルスが伝搬する時間よりも短くなるように設定されていることを特徴とする、光集積回路。
  4. 所定範囲の波長,光パルス幅,光パルスエネルギー,及び光パルススロット周期を有する信号光パルスを出力する半導体光増幅器と、前記半導体光増幅器の後段に設けられ、該半導体光増幅器の出力光パルスにより吸収が飽和する光導波構造の光ゲート・フィルタとを集積した光集積回路であって、
    前記光ゲート・フィルタ内の可飽和吸収特性を有する任意の光導波構造断面内において吸収が前記出力光パルスの通過により飽和している時間が、前記光ゲート・フィルタを前記出力光パルスが伝搬しきる時間よりも短くなるように設定されていることを特徴とする、光集積回路。
  5. 所定範囲の波長,光パルス幅,光パルスエネルギー,及び光パルススロット周期を有する信号光パルスを発生するレーザ共振器と、前記レーザ共振器で発生した光パルスにより吸収が飽和する光導波構造の光ゲート・フィルタとを具備したパルス・レーザ装置であって、
    前記光ゲート・フィルタ内の可飽和吸収特性を有する任意の光導波構造断面内において吸収が前記光パルスの通過により飽和している時間が、前記光ゲート・フィルタを前記光パルスが伝搬しきる時間より短くなるように設定されていることを特徴とする、パルス・レーザ装置。
  6. ループ光路内に設けられた利得領域と、前記ループ光路内に設けられた請求項1記載の光ゲート・フィルタと、前記ループ光路から一部の光を外部に取り出す手段とを具備したパルス・レーザ装置であって、
    前記ループ光路内の利得領域と光ゲート・フィルタ及びその他の損失要因の配置の非対称性により、該ループ光路を時計回りに伝搬する光パルスと反時計周りに伝搬する光パルスに利得差を与えたことを特徴とする、パルス・レーザ装置。
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