JP2971238B2 - 熱間加工性が優れた高力銅合金及びその製造方法 - Google Patents
熱間加工性が優れた高力銅合金及びその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高強度及び高耐熱性合金
として知られているCu−Ni−Si系合金の熱間加工
性を向上させた熱間加工性が優れた高力銅合金及びその
製造方法に関する。
として知られているCu−Ni−Si系合金の熱間加工
性を向上させた熱間加工性が優れた高力銅合金及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりCu−Ni−Si系合金は導電
性が良好であると共に、高強度及び高耐熱性の合金とし
て知られている。このため、この合金を板、条、管、棒
及び線材等に加工して電気及び電子機器部品又は金型等
用材料として利用することが期待されている。
性が良好であると共に、高強度及び高耐熱性の合金とし
て知られている。このため、この合金を板、条、管、棒
及び線材等に加工して電気及び電子機器部品又は金型等
用材料として利用することが期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Cu−
Ni−Si系合金は、中・高温における伸び及び衝撃値
が小さく、脆性が大きいため、熱間加工性が劣るという
難点がある。従って、Cu−Ni−Si系合金は量産実
用化が困難であり、特に、薄板製品に関しては実用化が
遅れている。
Ni−Si系合金は、中・高温における伸び及び衝撃値
が小さく、脆性が大きいため、熱間加工性が劣るという
難点がある。従って、Cu−Ni−Si系合金は量産実
用化が困難であり、特に、薄板製品に関しては実用化が
遅れている。
【0004】従って、導電性、強度及び耐熱性等におい
て優れた特性を有しているものの、熱間加工性が劣るた
め、量産実用化が難しいCu−Ni−Si系合金を、そ
の熱間加工性を向上させて、熱間加工、冷間加工及び焼
鈍の組み合わせにより種々の形状に容易に加工すること
を可能にし、量産実用化により広範囲な用途に利用する
ことを可能にする高力銅合金の開発が要望されている。
て優れた特性を有しているものの、熱間加工性が劣るた
め、量産実用化が難しいCu−Ni−Si系合金を、そ
の熱間加工性を向上させて、熱間加工、冷間加工及び焼
鈍の組み合わせにより種々の形状に容易に加工すること
を可能にし、量産実用化により広範囲な用途に利用する
ことを可能にする高力銅合金の開発が要望されている。
【0005】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、板、条、管、棒及び線材等に容易に加工す
ることができ、電気、電子機器部品用又は金型材料等の
広範囲の用途に使用することが可能な熱間加工性が優れ
た高力銅合金及びその製造方法を提供することを目的と
する。
のであって、板、条、管、棒及び線材等に容易に加工す
ることができ、電気、電子機器部品用又は金型材料等の
広範囲の用途に使用することが可能な熱間加工性が優れ
た高力銅合金及びその製造方法を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る熱間加工性
が優れた高力銅合金は、Ni;0.4〜4.0重量%、Si;
0.1〜1.0重量%、Zn;0.05〜1.0重量%、Al;0.001
〜0.05重量%、S;0.001重量%未満及びMg0.0001〜
0.01重量%を含有し、残部がCu及び不可避的不純物か
らなることを特徴とする。
が優れた高力銅合金は、Ni;0.4〜4.0重量%、Si;
0.1〜1.0重量%、Zn;0.05〜1.0重量%、Al;0.001
〜0.05重量%、S;0.001重量%未満及びMg0.0001〜
0.01重量%を含有し、残部がCu及び不可避的不純物か
らなることを特徴とする。
【0007】また、本発明に係る他の熱間加工性が優れ
た高力銅合金は、上記組成において、Al量を0.03
重量%未満にすると共に、Sn;0.1〜2.0重量%
を添加したものである。
た高力銅合金は、上記組成において、Al量を0.03
重量%未満にすると共に、Sn;0.1〜2.0重量%
を添加したものである。
【0008】一方、本発明に係る熱間加工性が優れた高
力銅合金の製造方法は、Ni;0.4〜4.0重量%、Si;
0.1〜1.0重量%、Zn;0.05〜1.0重量%及びMg;0.0
001〜0.01重量%を含有し、又は必要に応じて、これら
の組成にSn;0.1〜2.0重量%を含有し、残部がCu及
び不可避的不純物からなる組成に原料を溶解し、溶湯温
度を1200℃以上に保持した後、Alを0.001〜0.05重量
%添加して攪拌し、溶湯中のSをAl硫化物のAl2S3
として溶湯表面に浮上させ、溶湯湯面上のスラグを除去
することにより、溶湯中のS及びAlの残存量を夫々0.
001重量%以下及び0.05重量%以下にすることを特徴と
する。
力銅合金の製造方法は、Ni;0.4〜4.0重量%、Si;
0.1〜1.0重量%、Zn;0.05〜1.0重量%及びMg;0.0
001〜0.01重量%を含有し、又は必要に応じて、これら
の組成にSn;0.1〜2.0重量%を含有し、残部がCu及
び不可避的不純物からなる組成に原料を溶解し、溶湯温
度を1200℃以上に保持した後、Alを0.001〜0.05重量
%添加して攪拌し、溶湯中のSをAl硫化物のAl2S3
として溶湯表面に浮上させ、溶湯湯面上のスラグを除去
することにより、溶湯中のS及びAlの残存量を夫々0.
001重量%以下及び0.05重量%以下にすることを特徴と
する。
【0009】
【作用】次に、本発明に係る熱間加工性が優れた高力銅
合金の成分添加理由及び組成限定理由について詳細に説
明する。
合金の成分添加理由及び組成限定理由について詳細に説
明する。
【0010】Ni Niは強度を向上させる元素であり、Siとの共存下で
その効果を発揮する。Ni含有量が0.4重量%未満の場
合は、Siが0.1〜1.0重量%含有されていても強度の向
上は期待できない。また、Niを4.0重量%を超えて含
有すると加工性が悪くなり、更に強度の向上効果が飽和
する。従って、Ni含有量は0.4〜4.0重量%とする。
その効果を発揮する。Ni含有量が0.4重量%未満の場
合は、Siが0.1〜1.0重量%含有されていても強度の向
上は期待できない。また、Niを4.0重量%を超えて含
有すると加工性が悪くなり、更に強度の向上効果が飽和
する。従って、Ni含有量は0.4〜4.0重量%とする。
【0011】Si SiはNiと同じく強度を向上させる元素であり、Ni
との共存下で、その効果を発揮する。Si含有量が0.1
重量%未満の場合は、Niが0.4〜4.0重量%含有されて
いても強度の向上は期待でない。また、Siを1.0重量
%を超えて含有すると、加工性及び導電率が低下し、且
つはんだ付け性も低下する。従って、Si含有量は0.1
〜1.0重量%とする。
との共存下で、その効果を発揮する。Si含有量が0.1
重量%未満の場合は、Niが0.4〜4.0重量%含有されて
いても強度の向上は期待でない。また、Siを1.0重量
%を超えて含有すると、加工性及び導電率が低下し、且
つはんだ付け性も低下する。従って、Si含有量は0.1
〜1.0重量%とする。
【0012】Zn Znは錫及びはんだの剥離を抑制するために必須の元素
である。Zn含有量が0.05重量%未満の場合はこのよう
な効果は少なく、また、Znを1.0重量%を超えて含有
すると、銅合金のはんだ付け性が低下する。従って、Z
n含有量は0.05〜1.0重量%とする。
である。Zn含有量が0.05重量%未満の場合はこのよう
な効果は少なく、また、Znを1.0重量%を超えて含有
すると、銅合金のはんだ付け性が低下する。従って、Z
n含有量は0.05〜1.0重量%とする。
【0013】Al Alは原料中に含まれるか又は炉材及び雰囲気から混入
するSを安定したAl硫化物Al2S3の形で溶解時にス
ラグ中に固着させ、Sを溶湯から分離除去する作用があ
る。このように、AlはSを除去して、鋳塊の熱間加工
性を向上させるために必須の元素である。Al含有量が
0.001重量%未満ではSの分離効果は十分でなく、
Sが鋳塊中に残留し、熱間加工に際して、その加熱中、
又は熱間加工中にSが粒界を移動して粒界割れを生じ
る。また、Alが0.05重量%を超えて含有される
と、はんだ濡れ性の劣化及び導電率の低下が大きくな
る。従って、Al含有量は0.001〜0,05重量%
とする。
するSを安定したAl硫化物Al2S3の形で溶解時にス
ラグ中に固着させ、Sを溶湯から分離除去する作用があ
る。このように、AlはSを除去して、鋳塊の熱間加工
性を向上させるために必須の元素である。Al含有量が
0.001重量%未満ではSの分離効果は十分でなく、
Sが鋳塊中に残留し、熱間加工に際して、その加熱中、
又は熱間加工中にSが粒界を移動して粒界割れを生じ
る。また、Alが0.05重量%を超えて含有される
と、はんだ濡れ性の劣化及び導電率の低下が大きくな
る。従って、Al含有量は0.001〜0,05重量%
とする。
【0014】Mg Mgは、Alと同様に、熱間加工性を向上させるために
必須の元素である。即ち、MgはAlの添加によっても
完全に分離除去できずに溶湯中に残留するSを、安定し
たMgとの化合物の形で母相中に固定し、これにより熱
間加工性を向上させる。Mg含有量が0.001重量%未満
では、Sはそのままの状態で存在する。このため、Sは
熱間加工に際して、その加熱中又は加工中に粒界を移動
して粒界割れを生じさせるようになる。また、Mgを0.
01重量%を超えて含有すると、鋳塊内部にCu+MgC
u2という融点が722℃の共晶を生じ、熱間加工温度であ
る800〜950℃に加熱することが不可能となる。また、溶
解中に溶湯が酸化し易くなって、湯流れ性の低下が著し
くなり、鋳塊の表面の酸化物の巻き込みが多くなり、健
全な鋳塊が得られなくなる。従って、Mg含有量は0.00
1〜0.01重量%とする。
必須の元素である。即ち、MgはAlの添加によっても
完全に分離除去できずに溶湯中に残留するSを、安定し
たMgとの化合物の形で母相中に固定し、これにより熱
間加工性を向上させる。Mg含有量が0.001重量%未満
では、Sはそのままの状態で存在する。このため、Sは
熱間加工に際して、その加熱中又は加工中に粒界を移動
して粒界割れを生じさせるようになる。また、Mgを0.
01重量%を超えて含有すると、鋳塊内部にCu+MgC
u2という融点が722℃の共晶を生じ、熱間加工温度であ
る800〜950℃に加熱することが不可能となる。また、溶
解中に溶湯が酸化し易くなって、湯流れ性の低下が著し
くなり、鋳塊の表面の酸化物の巻き込みが多くなり、健
全な鋳塊が得られなくなる。従って、Mg含有量は0.00
1〜0.01重量%とする。
【0015】S Sは原料、炉及び樋等の耐火材、燃料又は雰囲気等から
合金中に混入し、金属との化合物又はS単独で存在し、
熱間加工における加熱中又は加工中に割れを生じさせる
主原因となる。S含有量が0.001重量%を超えると、S
がそのまま残留し、加熱のみでも粒界割れが生じ易くな
る。従って、S含有量は0.001重量%以下とする必要が
ある。
合金中に混入し、金属との化合物又はS単独で存在し、
熱間加工における加熱中又は加工中に割れを生じさせる
主原因となる。S含有量が0.001重量%を超えると、S
がそのまま残留し、加熱のみでも粒界割れが生じ易くな
る。従って、S含有量は0.001重量%以下とする必要が
ある。
【0016】Sn Snは銅合金中に固溶し、強度を向上させる効果があ
る。Sn含有量が0.1重量%未満の場合はその効果は小
さい。また、Snが2.0重量%を超えて含有されると、
導電率の低下が大きくなる。従って、Snの含有量は0.
1〜2.0重量%とする。
る。Sn含有量が0.1重量%未満の場合はその効果は小
さい。また、Snが2.0重量%を超えて含有されると、
導電率の低下が大きくなる。従って、Snの含有量は0.
1〜2.0重量%とする。
【0017】なお、上述の各元素以外に、Mn、Fe、
Co、B、Cr、Ti、Zrの各元素の1種又は2種以
上を総量で0.2重量%以下含有させても、熱間加工性は
もとより、製品に必要な特性、即ち高導電性、強度、耐
熱性、はんだ付け性及びはんだの耐熱剥離性等が実用上
問題なく維持される。このため、これらの元素の含有は
許容される。
Co、B、Cr、Ti、Zrの各元素の1種又は2種以
上を総量で0.2重量%以下含有させても、熱間加工性は
もとより、製品に必要な特性、即ち高導電性、強度、耐
熱性、はんだ付け性及びはんだの耐熱剥離性等が実用上
問題なく維持される。このため、これらの元素の含有は
許容される。
【0018】次に、本発明に係る熱間加工性が優れた高
力銅合金の製造方法について説明する。先ず、Ni、S
i、Zn、Sn及びMgが所定の組成範囲になるよう
に、銅合金の溶湯を溶製し、1200℃に昇温させて保持す
る。このように、溶湯温度を1200℃以上に保持するの
は、以下の理由による。Cu−0.4〜4.0重量%Ni−0.
1〜1.0重量%Si−0.1〜2.0重量%Sn合金の溶融温度
は1100〜1150℃であり、鋳造時の溶湯温度は溶融温度よ
りも80〜120℃高くするのが好ましい。また、原料中の
Sと反応し、生成したAl2S3の溶融温度は1118℃であ
る。Al2S3は溶融状態で溶湯表面のフラックスに吸着
され易くなる。従って、溶解作業時の溶湯温度を1200℃
以上にすることにより、Al2S3を溶融状態にしてフラ
ックスへの吸着除去を促進すると共に、溶融の安定を図
る。
力銅合金の製造方法について説明する。先ず、Ni、S
i、Zn、Sn及びMgが所定の組成範囲になるよう
に、銅合金の溶湯を溶製し、1200℃に昇温させて保持す
る。このように、溶湯温度を1200℃以上に保持するの
は、以下の理由による。Cu−0.4〜4.0重量%Ni−0.
1〜1.0重量%Si−0.1〜2.0重量%Sn合金の溶融温度
は1100〜1150℃であり、鋳造時の溶湯温度は溶融温度よ
りも80〜120℃高くするのが好ましい。また、原料中の
Sと反応し、生成したAl2S3の溶融温度は1118℃であ
る。Al2S3は溶融状態で溶湯表面のフラックスに吸着
され易くなる。従って、溶解作業時の溶湯温度を1200℃
以上にすることにより、Al2S3を溶融状態にしてフラ
ックスへの吸着除去を促進すると共に、溶融の安定を図
る。
【0019】次いで、Alを0.001〜0.05重量%添加し
て溶湯中のSと反応させ、溶湯中のSをAl硫化物の溶
湯中にAl2S3として溶湯表面に浮上させ、スラグ中に
吸収させる。次に、このスラグを除去することにより、
溶湯中に残存するS及びAlの含有量を夫々0.001重量
%以下及び0.05重量%以下にする。なお、各成分の規制
理由は前述の通りである。その後、溶湯中の各成分を目
標組成に調整した後、鋳型に鋳造する。
て溶湯中のSと反応させ、溶湯中のSをAl硫化物の溶
湯中にAl2S3として溶湯表面に浮上させ、スラグ中に
吸収させる。次に、このスラグを除去することにより、
溶湯中に残存するS及びAlの含有量を夫々0.001重量
%以下及び0.05重量%以下にする。なお、各成分の規制
理由は前述の通りである。その後、溶湯中の各成分を目
標組成に調整した後、鋳型に鋳造する。
【0020】
【実施例】次に、本発明に係る熱間加工性に優れる高力
銅合金の実施例について、その比較例と比較して説明す
る。
銅合金の実施例について、その比較例と比較して説明す
る。
【0021】下記表1に示す組成の銅合金を小型電気炉
を用いて大気中及び木炭被覆下で溶解し、厚さが50mm、
幅が50mm、長さが180mmの鋳塊を鋳造した。
を用いて大気中及び木炭被覆下で溶解し、厚さが50mm、
幅が50mm、長さが180mmの鋳塊を鋳造した。
【0022】
【表1】
【0023】No.2〜6の合金については、本発明方法
に基づいて鋳造した。即ち、原料の配合、溶解後、溶湯
温度を1200℃以上に昇温し、Alを0.005〜0.05重量%
添加して攪拌し、溶湯中のSをAl硫化物のAl2S3と
して、溶湯表面に浮上させた。これにより、溶湯表面に
浮上したAl2S3と、湯面上に存在していたフラックス
とからスラグが形成された。そして、このスラグを除去
した後、化学成分を目標組成に調整し、鋳型に鋳造し
た。No.1,No.7及びNo.8の合金の溶解及び鋳造は、
原料を配合し、溶解した後、溶湯を1200℃に昇温し、化
学成分を目標組成に調整した後、鋳造した。これらの合
金については、前述のAl添加、攪拌、スラグ除去の一
連の作業による脱硫は行っていない。
に基づいて鋳造した。即ち、原料の配合、溶解後、溶湯
温度を1200℃以上に昇温し、Alを0.005〜0.05重量%
添加して攪拌し、溶湯中のSをAl硫化物のAl2S3と
して、溶湯表面に浮上させた。これにより、溶湯表面に
浮上したAl2S3と、湯面上に存在していたフラックス
とからスラグが形成された。そして、このスラグを除去
した後、化学成分を目標組成に調整し、鋳型に鋳造し
た。No.1,No.7及びNo.8の合金の溶解及び鋳造は、
原料を配合し、溶解した後、溶湯を1200℃に昇温し、化
学成分を目標組成に調整した後、鋳造した。これらの合
金については、前述のAl添加、攪拌、スラグ除去の一
連の作業による脱硫は行っていない。
【0024】そして、得られた鋳塊の一部を高温シャル
ピー試験に供し、残部は熱間圧延、冷間圧延及び焼鈍の
組み合わせで板材を調整した。高温シャルピー試験はJ
ISZ2242に準じて室温と400℃〜900℃の100℃毎に測
定し、熱間加工性を評価した。残部の鋳塊は表面を2mm
の深さで面削した後、熱間圧延に供試した。No.7及びN
o.8の鋳塊は、熱間圧延中、圧下率15%/1パスで1〜
3パス実施した時点で表面割れが発生し、板材に調整す
ることができなかった。
ピー試験に供し、残部は熱間圧延、冷間圧延及び焼鈍の
組み合わせで板材を調整した。高温シャルピー試験はJ
ISZ2242に準じて室温と400℃〜900℃の100℃毎に測
定し、熱間加工性を評価した。残部の鋳塊は表面を2mm
の深さで面削した後、熱間圧延に供試した。No.7及びN
o.8の鋳塊は、熱間圧延中、圧下率15%/1パスで1〜
3パス実施した時点で表面割れが発生し、板材に調整す
ることができなかった。
【0025】下記表2に鋳塊の脆化域と900℃における
シャルピー衝撃値及び熱間圧延結果を示す。
シャルピー衝撃値及び熱間圧延結果を示す。
【0026】
【表2】
【0027】シャルピー衝撃値から鋳塊の脆化域はいず
れの鋳塊も600℃の前後にある。No.1〜6の試料は熱間
圧延温度(900℃)にてシャルピー衝撃値は8kg・f・m/
cm2以上を示し、その破面は延性破面である。一方、No.
7及び8のシャルピー衝撃値は1.6kg・f・m/cm2以下で
脆性破面を呈している。また、900℃からの熱間圧延で
はNo.1〜6の鋳塊は厚さが45mmから15mmまでの圧延性
は良好であり、表面割れ等は認められなかった。これに
対し、No.7及び8の鋳塊は1〜3パスで表面から激し
い粒界割れが発生し、板材の調整ができなかった。鋳塊
中の残留SはNo.1〜6の鋳塊は7ppm以下と比較例合金
よりも少なくなり、Al添加によるSの除去効果が認め
られた。一方、No.7及び8の鋳塊中のSは原料中の含
有量が鋳塊中にそのまま残存している。
れの鋳塊も600℃の前後にある。No.1〜6の試料は熱間
圧延温度(900℃)にてシャルピー衝撃値は8kg・f・m/
cm2以上を示し、その破面は延性破面である。一方、No.
7及び8のシャルピー衝撃値は1.6kg・f・m/cm2以下で
脆性破面を呈している。また、900℃からの熱間圧延で
はNo.1〜6の鋳塊は厚さが45mmから15mmまでの圧延性
は良好であり、表面割れ等は認められなかった。これに
対し、No.7及び8の鋳塊は1〜3パスで表面から激し
い粒界割れが発生し、板材の調整ができなかった。鋳塊
中の残留SはNo.1〜6の鋳塊は7ppm以下と比較例合金
よりも少なくなり、Al添加によるSの除去効果が認め
られた。一方、No.7及び8の鋳塊中のSは原料中の含
有量が鋳塊中にそのまま残存している。
【0028】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明に係る熱
間加工性が優れた銅合金は、製品中のSを低減すること
により、従来熱間加工が難しかったCu−Ni−Si系
合金の熱間加工を可能にし、その量産実用化が可能とな
り、電気電子機器部品及び金型用の材料としてその品質
及び歩留まりを向上させることができ、更にこれらの製
品のコストを低減することができる。
間加工性が優れた銅合金は、製品中のSを低減すること
により、従来熱間加工が難しかったCu−Ni−Si系
合金の熱間加工を可能にし、その量産実用化が可能とな
り、電気電子機器部品及び金型用の材料としてその品質
及び歩留まりを向上させることができ、更にこれらの製
品のコストを低減することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−99647(JP,A) 特開 昭63−274729(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 9/00 - 9/10 C22F 1/08
Claims (4)
- 【請求項1】 Ni;0.4〜4.0重量%、Si;
0.1〜1.0重量%、Zn;0.05〜1.0重量
%、Al;0.001〜0.05重量%、S;0.00
1重量%未満及びMg;0.0001〜0.01重量%
を含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなること
を特徴とする熱間加工性が優れた高力銅合金。 - 【請求項2】 Ni;0.4〜4.0重量%、Si;
0.1〜1.0重量%、Zn;0.05〜1.0重量
%、Sn;0.1〜2.0重量%、Al;0.001〜
0.03重量%(但し、0.03重量%を除く)、S;
0.001重量%未満及びMg;0.0001〜0.0
1重量%を含有し、残部がCu及び不可避的不純物から
なることを特徴とする熱間加工性が優れた高力銅合金。 - 【請求項3】 Ni;0.4〜4.0重量%、Si;
0.1〜1.0重量%、Zn;0.05〜1.0重量%
及びMg;0.0001〜0.01重量%を含有し、残
部がCu及び不可避的不純物からなる組成に原料を溶解
し、溶湯温度を1200℃以上に保持した後、Alを
0.001〜0.05重量%添加して攪拌し、溶湯中の
SをAl硫化物のAl2S3として溶湯表面に浮上させ、
溶湯湯面上のスラグを除去することにより、溶湯中のS
及びAlの残存量を夫々0.001重量%以下及び0.
05重量%以下にすることを特徴とする熱間加工性が優
れた高力銅合金の製造方法。 - 【請求項4】 Ni;0.4〜4.0重量%、Si;
0.1〜1.0重量%、Zn;0.05〜1.0重量
%、Sn;0.1〜2.0重量%及びMg;0.000
1〜0.01重量%を含有し、残部がCu及び不可避的
不純物からなる組成に原料を溶解し、溶湯温度を120
0℃以上に保持した後、Alを0.001〜0.05重
量%添加して攪拌し、溶湯中のSをAl硫化物のAl2
S3として溶湯表面に浮上させ、溶湯湯面上のスラグを
除去することにより、溶湯中のS及びAlの残存量を夫
々0.001重量%以下及び0.05重量%以下にする
ことを特徴とする熱間加工性が優れた高力銅合金の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8864992A JP2971238B2 (ja) | 1992-04-09 | 1992-04-09 | 熱間加工性が優れた高力銅合金及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8864992A JP2971238B2 (ja) | 1992-04-09 | 1992-04-09 | 熱間加工性が優れた高力銅合金及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH05287419A JPH05287419A (ja) | 1993-11-02 |
JP2971238B2 true JP2971238B2 (ja) | 1999-11-02 |
Family
ID=13948670
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP8864992A Expired - Lifetime JP2971238B2 (ja) | 1992-04-09 | 1992-04-09 | 熱間加工性が優れた高力銅合金及びその製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2971238B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5950499B2 (ja) * | 2011-02-11 | 2016-07-13 | 株式会社神戸製鋼所 | 電気・電子部品用銅合金及びSnめっき付き銅合金材 |
-
1992
- 1992-04-09 JP JP8864992A patent/JP2971238B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05287419A (ja) | 1993-11-02 |
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