JP2968359B2 - 補強炭素繊維織物およびその製造方法 - Google Patents

補強炭素繊維織物およびその製造方法

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JP2968359B2 JP3037563A JP3756391A JP2968359B2 JP 2968359 B2 JP2968359 B2 JP 2968359B2 JP 3037563 A JP3037563 A JP 3037563A JP 3756391 A JP3756391 A JP 3756391A JP 2968359 B2 JP2968359 B2 JP 2968359B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、炭素繊維強化プラス
チック(CFRP)を成形するときに樹脂の補強材とし
て使用する織物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】CFRPを成形するときに、炭素繊維
を、マルチフィラメント糸を織糸とする織物の形態で使
用することがよくある。そして、織物としても、いろい
ろな種類のものが提供されている。
【0003】ところで、よく知られているように、炭素
繊維糸は、ポリアクリルニトリル繊維などのプリカーサ
ー繊維糸(マルチフィラメント糸)を不活性雰囲気中で
焼成し、炭素化することによって製造される。そして、
炭素繊維糸の製造コストの多くがこの焼成工程によって
占められ、焼成工程における生産性の良否が、炭素繊維
糸、ひいては織物のコストに大きな影響を与えている。
【0004】焼成工程における生産性は、太いプリカー
サー繊維糸を用いるほど向上する。一気に焼成できるか
らで、細いものほど生産性は悪くなり、織物のコストは
上昇する。しかるに、織物のコストが上昇すると、CF
RPに占める材料費の割合が大きくなってコストパーフ
ォーマンスが低下し、用途の制限が大きくなるので、プ
リカーサー繊維糸としては、通常、単糸数が、数千本、
ときには1万本を超えるような太いものを使用してい
る。そのため、そのように太いプリカーサー繊維糸から
得られる炭素繊維糸もまた、当然のことながらやはり太
く、それから織成される織物にいろいろな不都合をもた
らしている。
【0005】すなわち、織物は、織糸の太さが太ければ
太いほど、交錯による織糸の曲がりが大きくなる。しか
るに、力学上明らかなように、曲がりがあるとその部分
に応力が集中するようになるので、炭素繊維が本来有す
る特性を十分に利用しきれなくなる。炭素繊維の特性が
発現される前に、曲がり部分から織物の破壊が起こるよ
うになるからである。
【0006】また、織糸の曲がりが大きくなると、織目
が大きくなり、表面の凹凸も大きくなる。織目や凹凸
は、炭素繊維は剛性が高く、織糸に交錯による収束力が
作用することによっても大きくなる。しかるに、織目が
大きくなったり、凹凸が大きくなったりすると、CFR
Pにしたとき、炭素繊維の偏在による、炭素繊維が全く
存在しない部分ができたり、樹脂過多な部分ができたり
するので、物性はもちろん、信頼性に優れたCFRPを
得ることはなかなか難しい。
【0007】ところで、CFRPの成形にあたっては、
織物をあらかじめプリプレグ化しておくことが多い。す
なわち、織物にBステージの熱硬化性樹脂を加熱下に加
圧含浸してプリプレグ化しておくのであるが、含浸工程
では、加熱されて熱硬化性樹脂の粘度が下がった状態の
下で加圧するために、織糸が拡幅されて織目がほとんど
閉塞され、また、表面の凹凸もほとんどなくなる。これ
は、一見、好ましいことのように思えるが、これは、剛
性の高い炭素繊維の単糸が加圧によって無理に移動させ
られた結果であり、加圧を解くと、全く元の状態とまで
はいかないまでも、それに近い状態まで回復してしま
う。そのようなプリプレグを、たとえば、ハニカムコア
の各面に複数枚積層し、加熱、加圧して熱硬化性樹脂を
硬化させてスキンを形成するとともに、ハニカムコアと
の接着を行ってハニカムサンドイッチパネルを製造する
ようなときに使用すると、セル壁部分では織物が加圧さ
れて単糸の移動が起こるが、セル孔の部分では加圧され
ないために上述した回復状態がほとんどそのまま維持さ
れることになり、炭素繊維が偏在して、炭素繊維が全く
存在しない部分ができたり、樹脂過多な部分ができた
り、層間にボイドができたりするようになる。しかる
に、そのようなハニカムサンドイッチパネルで、たとえ
ば航空機のスポイラーを構成すると、ボイドに水分が溜
り、その水分が高高度を飛行中に凍結してスキンにひび
割れを誘発し、また、これを繰り返しているすちにハニ
カムコアにも水分が侵入するようになり、パネルの物性
が低下して航空機の安全な運行にも支障をきたすように
なる。
【0008】このように、CFRPは、もともと金属材
料のように等方性材料ではなく、異方性材料であるがた
めに設計そのものが難しいうえに、補強材にもさまざま
な微妙な問題があってこれが設計をさらに困難にしてお
り、その困難さが信頼性をいま一歩確実性のないものに
している。CFRPが、比強度や比弾性率などの特性に
優れた先端材料として航空機に使用されながらも、その
使用が二次構造材に止まり、破壊が飛行の安全に影響を
及ぼす一次構造材としての使用が躊躇されている理由も
ここにある。そのため、補強材としての炭素繊維織物に
ついて、さまざまな工夫が行われている。
【0009】たとえば、特公平2−32383号発明
は、補強炭素繊維織物を連続的に走行させながらその表
面に30〜1,000kg/cm2 の高圧のウォータジェッ
トを当てて織糸を開繊し、拡幅・偏平化して、交錯部で
の織糸の曲がりを小さくし、表面の凹凸を小さくすると
ともに織目を完全に閉塞することを提案している。補強
炭素繊維織物への言及はないが、同様のことは、特開昭
50−126979号公報にも記載されている。そし
て、このように処理された織物は、交錯部での織糸の曲
がりが小さく、上述した応力集中の問題は軽減される。
また、表面の凹凸が小さく、織目も完全に閉塞されてい
るから、CFRPを成形するときの、炭素繊維の偏在に
よる不都合も防止できよう。しかしながら、一方で、炭
素繊維織物に30〜1,000kg/cm2 もの高圧のウォ
ータジェットを当てると、織糸を構成している単糸の折
損が激しくなるという問題がある。炭素繊維は、脆いか
らである。しかるに、単糸の折損が起こると、当然、C
FRPにおける樹脂の補強効果は低下する。また、ウォ
ータジェットは、織物の緯方向に列状に配置した複数個
のノズル孔から指向するが、ノズル孔のピッチが適当で
ないと、ウォータジェットが指向されない織糸がでてき
たり、織糸に複雑な方向の力が作用したりして織糸間で
開繊、拡幅・偏平化の程度に差がでたり、単糸が蛇行し
たりする。この場合も、やはり補強効果は低下する。さ
らに、織目を完全に閉塞してしまうと、織糸の移動の自
由度が小さくなってCFRPにおける補強材として重要
な特性であるドレープ性(形に沿う性質)が急激に低下
するようになり、平板のように単純な形状のものはとも
かく、曲面をもつような複雑な形状のCFRPの成形に
は適さなくなる。
【0010】このように、炭素繊維織物にウォータジェ
ットを指向して織糸を開繊し、拡幅・偏平化処理するに
あたっては、ウォータジェットの運動量に関連する、ノ
ズル孔径、織物表面におけるウォータジェットの打力
や、ノズル孔のピッチが極めて重要であり、これらを適
切な範囲に選定しないと、物性や信頼性に優れたCFR
Pを成形することができるような織物を得ることができ
ない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、従
来の補強炭素繊維織物およびその製造方法における上述
した問題点を解決し、織糸の開繊、拡幅・偏平化の均一
性に優れ、交錯部における織糸の曲がりが小さくて応力
集中による破壊の問題をほとんど心配する必要がないば
かりか、表面平滑性に優れていてCFRPを成形すると
きの炭素繊維の偏在による不都合をほとんど回避するこ
とができ、また、ドレープ性に優れていて、物性が高
く、しかも、信頼性に優れたCFRPを成形することが
できる補強炭素繊維織物およびその製造方法を提供する
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した目的を解決する
ために、この発明は、撚り数が5回/m以下である炭素
繊維のマルチフィラメント糸を経糸および緯糸として平
組織され、経糸および緯糸は単糸数が3,000本以上
であり、経糸および緯糸は、それぞれ、幅と繊度との関
係が、式、 W=k・(D/ρ)5/9 ただし、 W:経糸または緯糸の幅(mm) k:係数で、3.5×10-2〜10.0×10-2(mm・d-5/9) D:経糸または緯糸の繊度(d:デニール) ρ:炭素繊維の比重 を満足しており、かつ、経糸と緯糸とは繊度および織密
度が等しく、織物における炭素繊維による平面被覆率
90〜99.8%の範囲にあることを特徴とする補強炭
素繊維織物を提供する。上式におけるkの値は、少なく
とも経糸の単糸数が3,000本未満である場合には、
4.5×10-2〜10.0×10-2mm・d-5/9とな
る。
【0013】また、この発明は、撚り数が5回/m以下
である炭素繊維のマルチフィラメント糸を経糸および緯
糸とし、かつ、織目の大きさが経糸の幅の少なくとも1
/5である織物を、経方向において走行させながら、そ
の織物に、その織物の緯方向に列状に配置した複数個の
ノズル孔からウォータジェットを指向して経糸および緯
糸を開繊し、拡幅・偏平化して、前記の補強炭素繊維織
物を得るに際し、 a. 前記ノズル孔の孔径を0.05〜0.5mmの範
囲とし、 b. 前記ノズル孔の孔ピッチを経糸ピッチの1/3以
下とし、 c. 前記ウォータジェットの打力を、織物の表面にお
けるウオータジェット1本当たり0.1〜3gfの範囲
にする、 ことを特徴とする、補強炭素繊維織物の製造方法を提供
する。
【0014】この発明においては、通常の織成操作によ
り、炭素繊維のマルチィラメント糸を、織糸、すなわ
ち経糸および緯糸とする織物を得る。
【0015】マルチフィラメント糸の単糸数は、織成操
作の容易性や、単糸数が多ければ多いほど後の開繊、拡
幅・偏平化処理における織糸内での単糸の分散の均一性
が向上することを考えると、1,000〜30,000
本程度、デニールにして400〜40,000デニール
程度であるのが好ましい。単糸径は、5〜10μm程度
である。
【0016】上述したマルチフィラメント糸は、後の開
繊、拡幅・偏平化処理を容易かつ均一性に優れるものと
するために、撚り数が5回/m以下であるものを使用す
る。開繊、拡幅・偏平化という点では無撚りであるのが
最も好ましいが、撚りが全くないものは、織成操作を行
いにくい。
【0017】そのようなマルチフィラメント糸は、炭素
繊維の有撚マルチフィラメント糸に0.2〜1.8重量
%の範囲でサイジング剤を付着させ、乾燥し、ボビンに
巻き取り、撚り数が5回/m以下になるように解撚する
ことによって得るのが好ましい。すなわち、プリカーサ
ー繊維の有撚マルチフィラメント糸を焼成し、炭素化し
た後、サイジング剤を付着、乾燥させてボビンに巻き取
り、撚り数が5回/m以下になるようにボビンを回転さ
せながら解撚すると、マルチフィラメント糸が空気抵抗
を受けてバルーンを形成する。このとき、サイジング剤
の付着量が0.2〜1.8重量%の範囲にあると、空気
との摩擦でサイジング剤が剥がれ、単糸間の拘束が解け
て開繊状態となる。このようなマルチフィラメント糸を
織糸とする織物は、ウォータジェットの打力が低くて
も、織糸の十分かつ均一な開繊、拡幅・偏平化処理が可
能になる。すなわち、緩やかな条件での開繊、拡幅・偏
平化処理が可能になる。なお、サイジング剤としてエポ
キシ系のものを使用すると、脱サイジングの必要がなく
なり、ウォータージェットによる開繊、拡幅・偏平化処
理を終えた織物をそのままプリプレグ化工程やCFRP
の成形工程に供することができるようになる。このと
き、エポキシ系サイジング剤が水溶性成分や界面活性剤
などを含んでいる場合には、処理に先立って水や温水で
濡らしておくとよい。
【0018】上述した炭素繊維のマルチフィラメント糸
を織糸とする織物の織成にあたっては、後の開繊、拡幅
・偏平化処理を容易かつ均一に行えるよう、また、カバ
ーファクターが特定の範囲になるよう、経糸間および緯
糸間に形成される隙間、すなわち織目を拡げておく。ど
の程度拡げておくかは、織糸の太さなどにもよるが、経
糸の幅の少なくとも1/5とする。例示すれば、経糸の
幅が1.5mmのときは0.5mm前後、4〜5mmのときは
10〜20mm程度にしておく。織目の大きさが10〜2
0mmもあるような織物は、メッシュ織物と呼ばれてい
る。
【0019】織物の組織は、平組織であるのが最も好ま
しい。そして、通常は、経糸および緯糸に、同じ単糸数
で、繊度の等しい織糸を使用し、かつ、経方向と緯方向
とで織密度を等しくする。しかしながら、一方向織物と
呼ばれる、経方向に一方向組織とすることも可能であ
る。
【0020】一方、目付は任意に選び得るが、織糸の単
糸数が少ない場合には、開繊、拡幅・偏平化処理の容易
性、均一性や、得られる織物の形態保持性、織物におけ
る炭素繊維による平面被覆率などを考えると、好ましく
は120〜200g/m2 、より好ましくは140〜1
95g/m2 の範囲にしておく。この目付の範囲は、単
糸数が3,000本である場合、特に好ましい。なお、
目付は、開繊、拡幅・偏平化処理の後においても変わる
ことはない。
【0021】さて、この発明においては、上述した、撚
り数が5回/m以下である炭素繊維のマルチフィラメン
ト糸を経糸および緯糸とし、織目の大きさが経糸の幅の
少なくとも1/5である織物を、経方向において連続的
に走行させながら、ウォータジェットによる開繊、拡幅
・偏平化処理に供する。
【0022】この処理の様子を図面を用いて説明する
に、図1に示すように、巻芯1に巻かれた織物2を、回
転ガイド3を経て、ダンサローラ4で張力を調整しなが
ら、金網5a を搬送ベルトとするコンベヤベルト5上に
導き、さらに、一対のローラからなる脱水ローラ6、乾
燥機7、ニップローラ8を経て巻芯9へと導く。そし
て、織物2を連続的に走行させながら、コンベヤベルト
5上で、織物2に、コンベヤベルト5の5〜30cmほど
上方に配置したノズル装置10から、ウォータジェット
を、織物表面に対して90±20゜の方向から指向し、
その打力によって織糸の開繊、拡幅・偏平化の処理を行
う。処理を終えた織物は、脱水ローラ6で水分を絞り取
り、さらに乾燥機7で乾燥した後、ニップローラ8を経
て巻芯9に巻き取る。織物2の走行速度、すなわち処理
速度は、ウォータジェットの打力にもよるが、0.5〜
20m/分の範囲にするのが好ましい。打力が小さいと
きには低速で、大きいときには高速で処理できる。より
好ましい範囲は、0.5〜15m/分である。なお、織
成操作上、当然であるが、織物はその経方向が長さ方向
になる。だから、図1における織物の走行方向は経方向
である。
【0023】ノズル装置10は、図2に示すように、本
体10a に設けた高圧水導入孔10b と、この高圧水導
入孔10b に連通する上部流路10c と、多孔板10d
によって上下2室に分割された下部流路10e と、上部
流路10c と下部流路10eとを連絡する連通孔10f
を有する整流板10m と、多数のノズル孔10g が一定
のピッチPで列状に配されたノズル板10h とを備えて
いる。ノズル板10hは、開孔10i を有する耐圧板1
0j によって本体10a に取り付けられている。10k
は、シール用のO−リングである。なお、図2において
は、ノズル装置は半部のみ示してあるが、残りの半部も
対称形に構成されている。また、図2に示すものは、ノ
ズル孔は一列に配しているが、千鳥状に配してもよい。
【0024】このようなノズル装置10は、使用に際し
ては、そのノズル孔10g の列が織物2の緯方向(幅方
向)になるように配置する。そうして、加圧された高圧
水を高圧水導入孔10b から上部流路10c 内に導き、
連通孔10f を通して整流しながら下部流路10e に導
き、多孔板10d でさらに整流して均圧にした後、ノズ
ル板10h のノズル孔10g から吐出し、ウォータジェ
ットを形成する。好ましくは、処理中、織物の緯方向に
揺動させる。揺動のピッチおよび周期は、それぞれ、経
糸ピッチの1〜5倍、0.03〜1秒程度の範囲がよ
い。
【0025】上述したノズル装置のノズル孔径(ノズル
孔の直径)は、0.05〜0.5mmの範囲にある。0.
05未満では水量が少なく、織物の表面における打力を
たとえ高くしても、織糸を開繊し、拡幅・偏平化するの
に十分なエネルギーが得られない。また、ノズル孔が詰
まりやすくなり、安定した処理が困難になる。一方、
0.5mmを超えると、逆に水量が多すぎ、打力にもよる
が、織物の表面上で隣接するウォータジェット同士が干
渉し合うようになり、織糸を構成している単糸が不規則
に曲がったり、織糸の開繊、拡幅・偏平化の均一性が大
きく低下したりするようになる。
【0026】また、ノズル孔のピッチは、織物の経糸ピ
ッチの1/3以下にしておく。1/3を超えるような大
きなピッチでは、織物の表面におけるウォータジェット
のエネルギー分布のむらが大きくなりすぎ、極端な場合
にはウォータジェットが指向されない織糸がでてきたり
して、織糸の開繊、拡幅・偏平化の均一性が大きく低下
してくる。
【0027】さらに、ウォータジェットは、織物の表面
における1本当たりの打力が、0.1〜3gfの範囲にな
るようにする。0.1gf未満では、打力が小さすぎて、
織糸の開繊、拡幅・偏平化に必要な十分なエネルギーが
得られない。また、3gfを超えると、打力が大きすぎ
て、単糸切れが多発したり、切れた単糸が毛羽立った
り、織糸の開繊、拡幅・偏平化の均一性が大きく低下し
たりするようになる。好ましくは0.1〜1.5gf、さ
らに好ましくは0.3〜1gfの範囲にする。ここで、打
力は、次のようにして求める。
【0028】すなわち、歪ゲージを貼り付けた、厚み
0.96mm、幅40mmのステンレス板の一端を固定支持
し、支持部から150mmで、他端から10mmの部分をウ
ォータジェットが指向される織物の表面位置に合わせ、
ウォータジェットを当てる。すると、ステンレス板がウ
ォータジェットの打力で歪むので、その歪量を歪ゲージ
で取り出してステンレス板に作用する力を求め、その力
の値を指向したウォータジェットの本数で除す。この値
が、ウォータジェット1本当りの打力になる。
【0029】以上においては、便宜上、ノズル孔径、ノ
ズル孔ピッチ、織物の表面におけるウォータジェットの
打力のそれぞれについて範囲の特定理由を説明したが、
これらは、しかしながら、相互に関連し合っており、上
述したこの発明の目的を達成するうえで有機的、一体不
可分のものである。
【0030】さて、上述した方法によれば、経糸および
緯糸が、それぞれ、幅と繊度との関係において、式、 W=k・(D/ρ)5/9 ただし、 W:経糸または緯糸の幅(mm) k:係数で、経糸の単糸数が3,000本以上であるときは3.5× 10-2〜10.0×10-2(mm・ -5/9)、3,000本未満で あるときは4.5×10-2〜10.0×10-2(mm・ -5/9) D:経糸または緯糸の繊度(d:デニール) ρ:炭素繊維の比重 を満足する織物が得られる。この条件を満足する織物
は、織糸が極めて均一に開繊、拡幅・偏平化されていて
交錯による曲がりが大変小さく、表面平滑性に優れてい
る。ここで、kは、織糸の開繊、拡幅・偏平化の程度や
均一性に関連し、kが、上式における下限値を下回って
いるときは、拡幅・偏平化が十分に進んでいない。した
がって、織糸の交錯による曲がりは大きく、表面の凹凸
も大きい。また、上限値を上回っているときは、単糸の
開繊状態のむらが大きい。
【0031】また、上述した方法による織物は、織物に
おける炭素繊維による平面被覆率が90〜99.8%の
範囲にある。ここで、織物における炭素繊維による平面
被覆率は、織目の詰りの程度、換言すれば、織目の大き
さに関連する。織物における炭素繊維による平面被覆率
が大きいほど、織糸の開繊、拡幅・偏平化が進んでい
て、織目が小さい。CFRPを成形するとき、炭素繊維
が全く存在しない部分ができたり、樹脂過多な部分がで
きたりするのを避けるという意味では、織物における炭
素繊維による平面被覆率は、100%、すなわち、織目
が完全に閉塞されているのが好ましいように思える。し
かしながら、そのような織物は織糸同士の拘束力が強す
ぎ、織糸の移動の自由度が小さすぎるために、ドレープ
性に著しく劣り、成形時に皺などを発生しやすい。極め
てわずかではあるが、織糸間に隙間を作り、変形の自由
度をもたせておくことは、CFRPにおける補強材とし
て極めて重要なことである。そして、この発明において
は、上述した、織糸の開繊、拡幅・偏平化の程度と、ド
レープ性とのバランスを考え、織物における炭素繊維に
よる平面被覆率の上限を99.8%とする。一方、90
%未満では、ドレープ性には優れるものの、織目が大き
すぎる。もっとも、上述したように、この織目は、プリ
プレグ化するときは加圧によって一時的に消滅する。し
かしながら、加圧を解くと、回復する。ここで、織物に
おける炭素繊維による平面被覆率は、次のようにして求
める。
【0032】すなわち、まず、実体顕微鏡、たとえば株
式会社ニコン社製実体顕微鏡SMZ−10−1を使用し
て、織物の裏面側から光を当てながら、織物の表面を撮
影する。これにより、織糸部分は黒く、織目部分は白
い、織物の透過光パターンが撮影される。光量は、ハレ
ーションを起こさない範囲に設定する。この発明におい
ては、株式会社ニコン社製ダブルアームファイバーの光
をアクリル板で反射させて使用した。撮影倍率は、後の
画像解析において、解析範囲に経糸および緯糸がそれぞ
れ2〜20本入るよう、10倍以内に設定する。次に、
得られた写真をCCD(charge coupled device)カメラ
で撮影し、撮影画像を白黒の明暗を表わすデジタルデー
タに変換してメモリに記憶し、それを画像処理装置で解
析して、全体の面積S1 と、白い部分の面積の総和S2
とから、織物における炭素繊維による平面被覆率Cf
を、式、 Cf =[(S1 −S2 )/S1 ]×100 から計算する。同様のことを、同じ織物について10か
所行い、その単純平均値をもってこの発明にいう織物に
おける炭素繊維による平面被覆率とする。この発明にお
いては、CCDカメラおよび画像処理装置として、株式
会社ピアス社製パーソナル画像解析システムLA−52
5を使用した。画像の解析範囲は、横方向は、最も左に
写っている経糸の左端から最も右に写っている経糸の左
端までとし、縦方向は、最も上に写っている緯糸の上端
から最も下に写っている緯糸の上端までとし、この範囲
に経糸および緯糸がそれぞれ2〜20本入るようにし
た。なお、デジタルデータには、織糸部分(黒い部分)
と織目部分(白い部分)との境界に黒と白との中間部分
が含まれる。この中間部分を織糸部分と織目部分とに区
別するため、モデル的に、透明な紙に幅6mmの黒色テー
プを6mm間隔で縦横に格子状に貼り付け、織物における
炭素繊維による平面被覆率が75%になるように規格化
した。すなわち、CCDカメラの絞りを2.8に設定
し、画像解析システムLA−525のメモリ値が128
以下の部分を織糸部分として規格化した(このシステム
では、白黒の明暗が0〜255段階のメモリ値として記
憶される)。
【0033】このように、この発明の織物は、織糸の幅
と繊度との関係が一定の関係にあり、また、織物におけ
る炭素繊維による平面被覆率が特定の範囲にある。換言
すれば、製造方法において説明したノズル孔径、ノズル
孔ピッチ、織物の表面におけるウォータジェットの打力
などの条件は、そのような織物を得るための必要条件で
ある。
【0034】さて、この発明の織物のなかでも、撚り数
が5回/m以下で、単糸数が3,000本で、かつ、繊
度が等しい炭素繊維のマルチフィラメント糸を経糸およ
び緯糸として平組織され、経糸および緯糸は、幅と繊度
との関係が、式、 W=k・(D/ρ)5/9 ただし、 W:経糸または緯糸の幅(mm) k:係数で、3.5×10-2〜10.0×10-2(mm・d-5/9) D:経糸または緯糸の繊度(d:デニール) ρ:炭素繊維の比重 を満足しており、経糸と緯糸の織密度が等しく、目付が
120〜200g/m2の範囲にあり、かつ、織物にお
ける炭素繊維による平面被覆率が90〜99.8%の範
囲にあるものは、CFRPにおける補強材として特に好
適である。
【0035】すなわち、織物は、特殊な組織のものを除
き、織糸が互いに直交する2方向に延在していて異方性
が大きいが、経糸と緯糸の単糸数、繊度が等しく、ま
た、経方向と緯方向とで織密度が等しい織物は、互いに
直交する方向の特性が同じであるので、経糸または緯糸
が、特定の角度、たとえば45゜づつずれるように積層
して使用することにより、容易に疑似等方性が得られ
る。また、製造方法的にみても、経糸と緯糸の単糸数、
繊度が等しく、かつ、経方向と緯方向とで織密度が等し
いと、織目の大きさが経方向と緯方向とで同じになり、
織糸を両方向に同程度に拡げることで、容易に拡幅・偏
平化できる。
【0036】また、平組織によれば、より薄く、しか
も、織目のずれが少ない、組織の安定した織物が得られ
る。
【0037】さらに、織糸の繊度、織密度が等しく、目
付が120〜200g/m2 の範囲にある織物は、交錯
部における織糸の曲がりがより小さく、応力集中による
破壊の問題をより確実に回避できる。また、表面の凹凸
も小さくなる。単糸数が3,000本のとき、目付が1
20g/m2 未満では織物における炭素繊維による平面
被覆率が小さくなりすぎるし、200g/m2 を超える
と織糸の曲がりが大きくなりすぎる。製造方法的にみて
も、そのような範囲の目付をもつ織物は、単糸数が3,
000本であることから、平組織されているにもかかわ
らず交錯による織糸同士の拘束力が小さく、また、織目
の大きさも小さくて、ウォータジェットで容易に開繊、
拡幅・偏平化できる。より好ましい目付の範囲は、14
0〜195g/m2 である。
【0038】さて、この発明の織物は、通常の方法によ
って、Bステージの、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステ
ル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイ
ミド樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸することによってプ
リプレグとすることができる。プリプレグ中における熱
硬化性樹脂の割合は、好ましくは30〜50重量%、よ
り好ましくは35〜45重量%である。
【0039】CFRPの成形は、上述したプリプレグを
使用するオートクレーブ法や金型成形法によることがで
きる。また、よく知られたインジェクション成形法によ
ることができる。インジェクション成形法によるとき
は、上述した熱硬化性樹脂のほかに、ポリアミド樹脂、
PBT樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などの熱
可塑性樹脂を使用することもできる。
【0040】
【実施例および比較例】実施例1:有撚炭素繊維糸に
0.8重量%のエポキシ系サイジング剤を付着させ、乾
燥し、撚り数が0.8回/mになるように解撚して得た
東レ株式会社製炭素繊維“トレカ”T300糸(平均単
糸径:7μm、単糸数:3,000本、繊度:1,80
0デニール、比重:1.76)を経糸および緯糸とし、
経糸および緯糸の幅がそれぞれ1.47mm、1.49m
m、経方向および緯方向の織目の大きさがそれぞれ0.
57mm、0.59mm、経方向および緯方向の織密度がと
もに4.85本/cm(経糸ピッチ:約2.06mm)、目
付が194g/m2 、厚みが0.31mmの平組織された
織物を得た。
【0041】次に、上記織物を、図1に示すように、経
方向に1.5m/分の速度で走行させながら開繊、拡幅
・偏平化処理をした。このとき、ノズル装置としては、
ノズル孔径が0.13mm、ノズル孔ピッチが0.6mmで
あるものを使用し、ウォータジェット1本当たりの打力
は0.6gfとした。
【0042】かくして得られた織物は、単糸がよく開繊
され、経糸および緯糸の幅がそれぞれ1.71mm、1.
91mmに拡幅・偏平化されていた。また、厚みは0.2
8mm、織物における炭素繊維による平面被覆率は約99
%で、薄く、しかも、表面の凹凸が極めて小さかった。
さらに、単糸切れや毛羽の発生は認められなかった。
【0043】比較例1:実施例1において、ウォータジ
ェットの打力を4.5gfに上げた。得られた織物を観察
したところ、著しい単糸切れが発生しており、あたかも
短繊維の不織布のような形態を呈していた。
【0044】実施例2:実施例1で使用した炭素繊維糸
を経糸および緯糸として、経糸および緯糸の幅がそれぞ
れ1.60mm、1.49mm、経方向および緯方向の織目
の大きさがそれぞれ1.37mm、1.26mm、経方向お
よび緯方向の織密度がともに3.5本/cm(経糸ピッ
チ:約2.86mm)、目付が140g/m2 、厚みが
0.29mmの平組織された織物を得た。
【0045】次に、上記織物を、実施例1と同様に開
繊、拡幅・偏平化処理した。得られた織物は、経糸およ
び緯糸の幅がそれぞれ2.17mm、2.09mmに拡幅・
偏平化されていた。また、厚みは0.23mm、織物にお
ける炭素繊維による平面被覆率は約96%で、薄く、か
つ、表面の凹凸が極めて小さかった。さらに、単糸切れ
や毛羽の発生は認められなかった。
【0046】実施例3:実施例2で得られた織物に、B
ステージのフェノール樹脂を44重量%になるように含
浸し、プリプレグを得た。
【0047】次に、上記プリプレグを、織物の経方向を
揃えて6枚積層し、170℃、7kg/cm2 で1時間加
熱、加圧成形して、厚みが1.03mmのCFRP板を得
た。このCFRP板における炭素繊維の体積含有率は、
46.5%であった。
【0048】次に、上記CFRP板を観察したところ、
炭素繊維の単糸がよく分散しており、樹脂過多な部分や
ボイドは認められなかった。
【0049】また、上記CFRP板から、幅25mm、長
さ230mmの試験片を切り出し、JIS K7073 に準拠して
引張試験をした。試験結果を次に示す。
【0050】 引張強度 :48.5kg/mm2 引張弾性率 :5480kg/mm2 引張破断歪 :0.94% 引張比例限歪:0.94% 比較例2:実施例2における開繊、拡幅・偏平化処理前
における織物を使用し、実施例3と同様にしてプリプレ
グを作り、さらにCFRP板を成形した。このCFRP
板は、厚みが1.06mmで、炭素繊維の体積含有率は、
45.1%であった。
【0051】次に、上記CFRP板を観察したところ、
織目の部分に大きな樹脂過多の部分が認められ、また、
その部分に目視し得るほどのボイドが発生していた。
【0052】次に、上記CFRP板について、実施例3
と同様に引張試験をした。試験結果を次に示す。
【0053】 引張強度 :47.5kg/mm2 引張弾性率 :5460kg/mm2 引張破断歪 :0.95% 引張比例限歪:0.60% このCFRP板を実施例3によるものと比較してみる
に、プリプレグにおけるフェノール樹脂の含有率が同じ
であるにもかかわらず、厚みが厚く、しかも、炭素繊維
体積含有率が低くなっている。また、引張強度、引張弾
性率、引張破断歪に大きな差異は認められないが、引張
比例限歪は0.60%で、最終破断に至る前に応力−歪
線図の直線性がなくなっている。この点、前者の、実施
例3によるものは、引張比例限歪が0.94%で、最終
破断に至る寸前まで応力−歪線図の直線性が保たれてい
る。
【0054】実施例4:実施例2で得られた織物に、B
ステージのエポキシ樹脂を38重量%になるように含浸
し、プリプレグを得た。
【0055】次に、上記プリプレグを、織物の経方向を
揃えて、カップ状のキャビティを有する金型に沿って6
枚積層し、オートクレーブ中にて120℃、7kg/cm2
で2時間加熱、加圧成形し、肉厚が0.87mmのカップ
を得た。このカップにおける炭素繊維の体積含有率は、
55%であった。
【0056】次に、上記カップを観察したところ、炭素
繊維の単糸がよく分散していて、皺による配列の乱れも
認められず、樹脂過多の部分やボイドも認められなかっ
た。また、表面は極めて平滑であった。
【0057】比較例3:実施例2における開繊、拡幅・
偏平化処理前における織物を使用し、実施例4と同様に
してプリプレグを作り、さらにカップを成形した。この
カップは、肉厚が0.89mmで、炭素繊維の体積含有率
は、54%であった。
【0058】次に、上記カップを観察したところ、織糸
が十分に拡がっていないために表面の凹凸が大きく、ま
た、織目の部分に樹脂過多な部分が形成され、その部分
にボイドも発生していた。
【0059】比較例4:撚り数が15回/mである炭素
繊維糸を経糸および緯糸として使用したほかは実施例1
と同様にして、同様の織物を得た。
【0060】次に、上記織物を実施例1と同様に処理し
たが、経糸および緯糸の幅はいずれも1.50mmと、ほ
とんど拡幅・偏平化されていなかった。
【0061】
【発明の効果】この発明の方法は、撚り数が5回/m以
下である炭素繊維のマルチフィラメント糸を経糸および
緯糸とし、かつ、織目の大きさが経糸の幅の少なくとも
1/5である織物を、経糸方向において走行させなが
ら、その織物に、その緯糸方向に列状に配置した複数個
のノズル孔からウォータジェットを指向して経糸および
緯糸を開繊し、拡幅・偏平化するに際し、 a. ノズル孔径を0.05〜0.5mmの範囲とし、 b. ノズル孔ピッチを経糸ピッチの1/3以下とし、 c. 織物の表面におけるウォータジェット1本当たり
の打力を0.1〜3gfの範囲にする、 ものであり、特に、ノズル孔径と、ノズル孔ピッチと、
織物の表面におけるウォータジェットの圧力とを上記特
定の範囲とすることによって、織糸を構成している単糸
の折損を防止しつつ、織糸の開繊、拡幅・偏平化を高い
均一性で行うことができる。
【0062】また、この発明の織物は、撚り数が5回/
m以下である炭素繊維のマルチフィラメント糸を経糸お
よび緯糸とし、少なくとも経糸は単糸数が3,000本
以上であり、経糸および緯糸は、それぞれ、幅と繊度と
の関係が、式、 W=k・(D/ρ)5/9 ただし、 W:経糸または緯糸の幅(mm) k:係数で、3.5×10-2〜10.0×10-2(mm・d-5/9) D:経糸または緯糸の繊度(d:デニール) ρ:炭素繊維の比重 を満足しており、かつ、織物における炭素繊維による平
面被覆率が90〜99.8%の範囲にあるか、上記にお
いて少なくとも経糸が単糸数3,000本未満であり、
式におけるkの値が4.5×10-2〜10.0×10-2
(mm・d-5/9)の範囲にあるものであるから、織糸の開
繊、拡幅・偏平化に関して均一性に優れ、表面平滑性に
優れていて、CFRPを成形するときの炭素繊維の偏
在、ひいては、炭素繊維が全く存在しない部分ができた
り、樹脂過多な部分ができたり、ボイドが発生するなど
の不都合をほとんど回避することができ、また、交錯部
における織糸の曲がりが小さくて応力集中の問題をほと
んど心配する必要がないばかりか、ドレープ性にも優れ
ていて、高物性で、しかも、信頼性に優れたCFRPを
成形することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を実施している様子を示す概略
斜視図である。
【図2】この発明の方法で使用するノズル装置の概略縦
断面図である。
【符号の説明】
1:巻芯 2:織物 3:回転ガイド 4:ダンサローラ 5:コンベヤベルト 5a :金網 6:脱水ローラ 7:乾燥機 8:ニップローラ 9:巻芯 10:ノズル装置 10a :本体 10b :高圧水導入孔 10c :上部流路 10d :多孔板 10e :下部流路 10f :連通孔 10g :ノズル孔 10h :ノズル板 10i :開孔 10j :耐圧板 10k :O−リング 10m :整流板
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−231073(JP,A) 特開 昭54−160860(JP,A) 実開 平2−38442(JP,U) 特公 平2−32383(JP,B2)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】撚り数が5回/m以下である炭素繊維のマ
    ルチフィラメント糸を経糸および緯糸として平組織さ
    れ、経糸および緯糸は単糸数が3,000本以上であ
    り、経糸および緯糸は、それぞれ、幅と繊度との関係
    が、式、 W=k・(D/ρ)5/9 ただし、 W:経糸または緯糸の幅(mm) k:係数で、3.5×10-2〜10.0×10-2(mm・d-5/9) D:経糸または緯糸の繊度(d:デニール) ρ:炭素繊維の比重 を満足しており、かつ、経糸と緯糸とは繊度および織密
    度が等しく、織物における炭素繊維による平面被覆率が
    90〜99.8%の範囲にあることを特徴とする補強炭
    素繊維織物。
  2. 【請求項2】撚り数が5回/m以下で、単糸数が3,0
    00本以上で、かつ、繊度が等しい炭素繊維のマルチフ
    ィラメント糸を経糸および緯糸として平組織され、経糸
    および緯糸は、幅と繊度との関係が、式、 W=k・(D/ρ)5/9 ただし、 W:経糸または緯糸の幅(mm) k:係数で、3.5×10-2〜10.0×10-2(mm・d-5/9) D:経糸または緯糸の繊度(d:デニール) ρ:炭素繊維の比重 を満足しており、経糸と緯糸の織密度が等しく、目付が
    120〜200g/m2の範囲にあり、かつ、織物にお
    ける炭素繊維による平面被覆率が90〜99.8%の範
    囲にあることを特徴とする補強炭素繊維織物。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の織物を有するプ
    リプレグ。
  4. 【請求項4】請求項1または2のいずれかに記載の織物
    を有する炭素繊維強化プラスチック。
  5. 【請求項5】撚り数が5回/m以下である炭素繊維のマ
    ルチフィラメント糸を経糸および緯糸とし、かつ、織目
    の大きさが経糸の幅の少なくとも1/5である織物を、
    経方向において走行させながら、その織物に、その織物
    の緯方向に列状に配置した複数個のノズル孔からウォー
    タジェットを指向して経糸および緯糸を開繊し、拡幅・
    偏平化して、請求項1または2のいずれかに記載の補強
    炭素繊維織物を得るに際し、 a. 前記ノズル孔の孔径を0.05〜0.5mmの範
    囲とし、 b. 前記ノズル孔の孔ピッチを経糸ピッチの1/3以
    下とし、 c. 前記ウォータジェットの打力を、織物の表面にお
    けるウォータジェット1本当たり0.1〜3gfの範囲に
    する、 ことを特徴とする、補強炭素繊維織物の製造方法。
  6. 【請求項6】経糸および緯糸として、炭素繊維の有撚マ
    ルチフィラメント糸に0.2〜1.8重量%の範囲でサ
    イジング剤を付着させ、乾燥し、撚り数が5回/m以下
    になるように解撚してなるマルチフィラメント糸を使用
    する、請求項6の、補強炭素繊維織物の製造方法。
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