JP2967955B2 - ガラスランチャンネル - Google Patents

ガラスランチャンネル

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JP2967955B2
JP2967955B2 JP3243287A JP24328791A JP2967955B2 JP 2967955 B2 JP2967955 B2 JP 2967955B2 JP 3243287 A JP3243287 A JP 3243287A JP 24328791 A JP24328791 A JP 24328791A JP 2967955 B2 JP2967955 B2 JP 2967955B2
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田 和 彦 村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、ガラスランチャンネルに
関し、さらに詳しくは、熱可塑性エラストマー製基体層
と滑性樹脂表面層とからなる積層体により構成される窓
ガラス摺動部を備えたガラスランチャンネルに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】一般に自動車の車輌における窓ガ
ラスでは、通風換気のために、あるいは車輌外部との通
話などのために、昇降による開閉操作が必要である。窓
ガラスの昇降開閉操作を容易にしながら、しかも窓ガラ
スと窓枠との緊密的(液密的)な密閉操作を可能とする
ために、窓ガラスと窓枠との間にガラスランチャンネル
と呼ばれる案内部材を設けている。
【0003】従来のガラスランチャンネルは、軟質塩化
ビニル樹脂のような軟質合成樹脂や、エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合ゴム等の加硫ゴムで形成された、横
断面において溝状の本体と、その側壁頂部付近から中心
側へ向かって張出した舌片状の水切り部とからなってい
る。
【0004】従来のガラスランチャンネルでは、水切り
部の窓ガラスとの摺動部からの離れを良好にし、また窓
ガラスが汚れるのを防止するために、窓ガラス摺動部と
して表面にナイロンフィルム等を接着により貼合わせ、
また窓ガラスとの接触面積を少なくするために、上記ナ
イロンフィルム等の積層の前または後に、エンボス加工
を施している。
【0005】従来のガラスランチャンネルでは、上述し
た軟質合成樹脂または加硫ゴムとナイロン類の表面素材
との間に接着性がないため、軟質合成樹脂または加硫ゴ
ムでガラスランチャンネルの本体を成形し、得られた成
形物に接着剤を塗布してナイロンなどのフィルムを貼合
わせるという工程が必要であり、さらに、この接着の前
または後にエンボス加工を行なわなければならない等、
工程数が多く、しかも手間を要するという不都合があ
る。
【0006】また、従来のガラスランチャンネルでは、
接着剤による積層工程があることから、耐久性にも問題
があり、経時および屋外曝露等により表面フィルム層と
基体との間で剥離を生じやすいという欠点もある。さら
に、エンボス加工で形成させ得る凹凸模様は未だ微細さ
と均一さとの組合せにおいて十分満足のいくものではな
く、閉鎖時における窓ガラス摺動部と窓ガラスとの間の
緊密接触性、および開放時における窓ガラス摺動部と窓
ガラスとの間の軽快摺動性についても未だ改善すべき余
地が残されている。
【0007】そこで、本発明者らは、ガラスランチャン
ネルの上記のような問題を解決すべく鋭意研究し、ガラ
スランチャンネルの少なくとも窓ガラス摺動部を構成す
るエラストマーとしてポリオレフィン系熱可塑性エラス
トマーを選択し、そのポリオレフィン系熱可塑性エラス
トマー層上に超高分子量ポリオレフィン組成物および滑
性樹脂を熱融着させて積層すれば、製造作業が容易であ
り、しかも、耐久性、閉鎖時における窓ガラスとの緊密
接触性、および開放時における窓ガラスとの軽快摺動性
に優れたガラスランチャンネルを得ることができること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、製造工程を簡
略化して製造することができ、耐久性、閉鎖時における
窓ガラスとの緊密接触性、および開放時における窓ガラ
スとの軽快摺動性に優れたガラスランチャンネルを提供
することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係るガラスランチャンネルは、
横断面において溝状の本体と、その側壁頂部付近から中
心側に向かって張出した舌片状の水切り部とから構成さ
れるポリオレフィン系熱可塑性エラストマー製のガラス
ランチャンネルであって、その水切り部の表面で少なく
とも窓ガラスに接触し得る部分が、ポリオレフィン系熱
可塑性エラストマー層に積層された、超高分子量ポリオ
レフィン組成物および滑性樹脂からなる層からなり、該
超高分子量ポリオレフィン組成物が、(A)極限粘度
[η]が6dl/g以上の超高分子量ポリオレフィン9
0〜10重量部と、(B)極限粘度[η]が0.1〜5
dl/gのポリオレフィン10〜90重量部とを含む組
成物からなり、かつ、該超高分子量ポリオレフィン
(A)および/またはポリオレフィン(B)が不飽和カ
ルボン酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1種
の変性用単量体(C)で変性されている超高分子量ポリ
オレフィン組成物であり、該滑性樹脂が、ポリアミド樹
脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂および熱可塑性ポリエス
テル樹脂からなる群から選ばれる滑性樹脂であることを
特徴としている。
【0010】本明細書中において、「ポリオレフィン系
熱可塑性エラストマー」なる語は、非グラフト変性のポ
リオレフィン系熱可塑性エラストマーを指すだけでな
く、グラフト変性されたポリオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーをも、指す場合がある。
【0011】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るガラスランチ
ャンネルの一例を図に基づいて具体的に説明する。
【0012】本発明のガラスランチャンネルの一例の断
面構造を示す図1において、このガラスランチャンネル
1は、横断面において溝状(コの字型)の本体2と、そ
の側壁部頂部付近から中心側へ向かって張出した舌片状
の水切り部3とからなっている。この一対の水切り部
3,3は、本体2の溝の内方へ向けて傾斜して延びてお
り、その外面側が窓ガラス接触部4となっており、その
先端5,5は、互いに開閉可能な位置関係にある。本体
2は、その外側壁に窓枠への取付け用フック6が設けら
れている。
【0013】この本体2および水切り部3はエラストマ
ーで一体に成形されているが、本発明によれば、少なく
とも窓ガラス接触部4を、ポリオレフィン系熱可塑性エ
ラストマーからなる基体層と超高分子量ポリオレフィン
組成物および滑性樹脂からなる滑性樹脂層とで構成す
る。この窓ガラス接触部4を拡大して示す図2のよう
に、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる基
体層7の表面8は、微細な凹凸の繰返し模様が施されて
いることが好ましい。このようなシャークスキン状の微
小凹凸模様を有する表面8に対して、超高分子量ポリオ
レフィン組成物および滑性樹脂からなる滑性樹脂層9が
熱融着により積層され、その外表面10には同様の微細
な凹凸の繰返し模様が施されていることが好ましい。
【0014】このガラスランチャンネルの自動車への取
付けを説明するための図3、図4および図5において、
自動車のドア11には昇降動により開閉可能に窓ガラス
12が設けられており、一方、窓枠13に対してガラス
ランチャンネル1が固定されている。すなわち、図4お
よび図5において、窓枠13は、全体として断面がコの
字型に成形され、その凹部14の入口部分には内方への
突起部15が形成されている。この凹部14にガラスラ
ンチャンネル1を挿入し、その係合用フック6と上記突
起部15とを係合させることにより、窓枠13へのガラ
スランチャンネル1の固定が行なわれる。図4に示すよ
うに、窓ガラス12を降下させた状態では、ガラス摺動
部の先端5,5は互いに対面して閉じており、また、図
5に示すように、窓ガラス12の上昇状態では、窓ガラ
ス摺動部の先端5,5は、これらの間に嵌挿された窓ガ
ラス12により分離されているが、窓ガラス面とは接触
した状態となっている。
【0015】本発明によれば、ガラスランチャンネル1
の内、少なくとも窓ガラスと接触する部分にポリオレフ
ィン系熱可塑性エラストマーの基体層7と、この基体層
7の表面に熱融着された超高分子量ポリオレフィン組成
物および滑性樹脂からなる滑性樹脂層9とを設ける。
【0016】すなわち、本発明で用いられるポリオレフ
ィン系熱可塑性エラストマーは、任意の形状および寸法
に熱成形することが可能であるとともに、ガラスランチ
ャンネルの窓ガラス摺動部に要求される弾性、柔軟性、
可圧縮性などの特性に優れており、しかも、耐久性、耐
候性、耐水性などの性質にも優れている。このポリオレ
フィン系熱可塑性エラストマーは、無水マレイン酸等の
極性基含有モノマーのグラフト共重合により変性されて
いてもよい。ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
は、表面材層となる超高分子量ポリオレフィン組成物お
よび滑性樹脂からなる滑性樹脂層9に対し、強い接着性
を示し、この滑性樹脂層9との熱融着により、接着直後
および経時の層間接着強度、さらには、耐候試験後の層
間接着強度に優れた積層構造を形成させることができ
る。しかも、本発明で基体層7として用いられるポリオ
レフィン系熱可塑性エラストマーは、シャークスキン状
の成形外観を呈するように成形することも可能であり、
この成形工程と、表面材層としての超高分子量ポリオレ
フィン組成物および滑性樹脂からなる滑性樹脂層9と基
体層7との熱融着工程とを組合わせることにより、滑性
樹脂層9の外表面にシャークスキン状の微小凹凸模様を
忠実に再現することもできる。このようなシャークスキ
ン状の微小凹凸模様表面の写し出しは、従来の接着剤塗
布方式では極めて困難であり、上記成形工程と熱融着工
程との組合せによりはじめて可能となった。
【0017】本発明によれば、上述した構成を採用する
ことにより、接着剤の塗布工程、接着剤の硬化ないし焼
付工程、その前あるいは後におけるエンボス加工工程が
すべて省略され、少ない工程数と少ない手間とでガラス
ランチャンネルを能率よく製造することができる。ま
た、超高分子量ポリオレフィン組成物および滑性樹脂か
らなる滑性樹脂層9を表面材層としてを設けることによ
り、窓ガラスとの摩擦係数を低減させることができるだ
けでなく、従来のエンボス加工による凹凸模様に比し
て、ピッチが均一で、しかもシャークスキン状の微細な
凹凸を表面に形成させることが可能となった。したがっ
て、本発明に係るガラスランチャンネルにおいては、窓
ガラスの閉鎖時には窓ガラスとの緊密(液密)な接触が
可能となるとともに、窓ガラスの開放時にはその摺動抵
抗を低減させて、円滑軽快な開閉操作が可能となる。
【0018】ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー 本発明で用いられるポリオレフィン系熱可塑性エラスト
マーは、結晶性ポリオレフィンとゴムとから構成されて
いる。
【0019】本発明で用いられる結晶性ポリオレフィン
としては、炭素原子数2〜20のα- オレフィンの単独
重合体または共重合体が挙げられる。上記結晶性ポリオ
レフィンの具体的な例としては、以下のような(共)重
合体が挙げられる。 (1)エチレン単独重合体 (製法は、低圧法、高圧法のいずれでも良い) (2)エチレンと、10モル%以下の他のα- オレフィ
ンまたは酢酸ビニル、エチルアクリレートなどのビニル
モノマーとの共重合体 (3)プロピレン単独重合体 (4)プロピレンと10モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのランダム共重合体 (5)プロピレンと30モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのブロック共重合体 (6)1-ブテン単独重合体 (7)1-ブテンと10モル%以下の他のα- オレフィン
とのランダム共重合体 (8)4-メチル-1- ペンテン単独重合体 (9)4-メチル-1- ペンテンと20モル%以下の他のα
- オレフィンとのランダム共重合体 上記のα- オレフィンとしては、具体的には、エチレ
ン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-
ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。
【0020】本発明で用いられるゴムとしては、特に制
限はないが、オレフィン系共重合体ゴムが好ましい。上
記のオレフィン系共重合体ゴムは、炭素原子数2〜20
のα- オレフィンを主成分とする無定形ランダムな弾性
共重合体であって、2種以上のα- オレフィンからなる
非晶性α- オレフィン共重合体、2種以上のα- オレフ
ィンと非共役ジエンとからなるα- オレフィン・非共役
ジエン共重合体などがある。
【0021】このようなオレフィン系共重合体ゴムの具
体的な例としては、以下のようなゴムが挙げられる。 (1)エチレン・α- オレフィン共重合体ゴム[エチレ
ン/α- オレフィン(モル比)=約90/10〜50/
50] (2)エチレン・α- オレフィン・非共役ジエン共重合
体ゴム[エチレン/α- オレフィン(モル比)=約90
/10〜50/50] (3)プロピレン・α- オレフィン共重合体ゴム[プロ
ピレン/α- オレフィン(モル比)=約90/10〜5
0/50] (4)ブテン・α- オレフィン共重合体ゴム[ブテン/
α- オレフィン(モル比)=約90/10〜50/5
0] 上記α- オレフィンとしては、具体的には、上記した結
晶性ポリオレフィン成分を構成するα- オレフィンの具
体的な例と同様のα- オレフィンが挙げられる。
【0022】上記非共役ジエンとしては、具体的には、
ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオク
タジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボル
ネンなどが挙げられる。
【0023】これらの共重合体ゴムのムーニー粘度ML
1+4 (100℃)は、10〜250、特に40〜150
が好ましい。また、上記非共役ジエンが共重合している
場合のヨウ素価は、25以下が好ましい。
【0024】上記のオレフィン系共重合体ゴムは、ポリ
オレフィン系熱可塑性エラストマー中において、未架
橋、部分架橋、全体架橋など、すべての架橋状態で存在
することができるが、本発明においては、部分架橋状態
で存在していることが好ましい。
【0025】本発明において用いられるゴムとしては、
上記のオレフィン系共重合体ゴムのほかに、他のゴム、
たとえばスチレン- ブタジエンゴム(SBR)、ニトリ
ルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(I
IR)等のジエン系ゴム、SEBS、ポリイソブチレン
などが挙げられる。
【0026】本発明で用いられるポリオレフィン系熱可
塑性エラストマーにおいて、結晶性ポリオレフィンとゴ
ムとの重量配合比(結晶性ポリオレフィン/ゴム)は、
90/10〜10/90、好ましくは、70/30〜2
0/80の範囲である。
【0027】また、ゴムとして、オレフィン系共重合体
ゴムとその他のゴムを組合わせて用いる場合には、その
他のゴムは、結晶性ポリオレフィンとゴムとの合計量1
00重量部に対して、40重量部以下、好ましくは5〜
20重量部の割合で配合する。
【0028】本発明で好ましく用いられるポリオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーは、結晶性ポリプロピレン
と、エチレン・α- オレフィン共重合体ゴムもしくはエ
チレン・α- オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと
からなり、熱可塑性エラストマー中において、これらが
部分架橋した状態で存在し、かつ、結晶性ポリプロピレ
ンとゴムとの重量配合比(結晶性ポリプロピレン/ゴ
ム)が70/30〜20/80の範囲内にある熱可塑性
エラストマーである。
【0029】上記および後述するポリオレフィン系熱可
塑性エラストマーには、必要に応じて、鉱物油系軟化
剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止
剤、充填剤、着色剤、滑剤などの添加物を、本発明の目
的を損なわない範囲で配合することができる。
【0030】本発明で好ましく用いられるポリオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーのより具体的な例としては、
結晶性ポリプロピレン(a)60〜10重量部と、エチ
レン・プロピレン共重合体ゴムまたはエチレン・プロピ
レン・ジエン共重合体ゴムからなるゴム(b)40〜9
0重量部[成分(a)および(b)の合計量は、100
重量部とする]と、このゴム(b)以外のゴム(c)お
よび/または鉱物油系軟化剤(d)5〜100重量部と
からなる混合物を、有機ペルオキシドの存在下で動的に
熱処理して得られる、上記ゴム(b)が部分的に架橋さ
れたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられ
る。
【0031】上記有機ペルオキシドとしては、具体的に
は、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシ
ド、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)
ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオ
キシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシ
イソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチルペル
オキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル
-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート、ベ
ンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシ
ド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert- ブチ
ルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルベンゾエ
ート、tert- ブチルペルオキシイソプロピルカーボネー
ト、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシ
ド、tert-ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられ
る。
【0032】これらの内では、臭気性、スコーチ安定性
の点で、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキ
シ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペ
ルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオ
キシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチル
ペルオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブ
チル-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート
が好ましく、なかでも、1,3-ビス(tert- ブチルペルオ
キシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
【0033】本発明においては、有機ペルオキシドは、
結晶性ポリオレフィンとゴムとの合計量100重量%に
対して、0.05〜3重量%、好ましくは0.1〜1重
量%の割合で用いられる。
【0034】本発明においては、上記有機ペルオキシド
による部分架橋処理に際し、硫黄、p-キノンジオキシ
ム、p,p'- ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N
-4- ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニ
ルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニ
レンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、ある
いはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコー
ルジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタク
リレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレ
ートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレート
のような多官能性ビニルモノマーを配合することができ
る。
【0035】上記のような化合物を用いることにより、
均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明に
おいては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニル
ベンゼンは、取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分
である結晶性ポリオレフィンおよびゴムとの相溶性が良
好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を
有し、有機ペルオキシドの分散剤として働くため、熱処
理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランス
のとれた熱可塑性エラストマーが得られる。
【0036】本発明においては、上記のような架橋助剤
もしくは多官能性ビニルモノマーは、上記の被架橋処理
物全体に対して、0.1〜2重量%、特に0.3〜1重
量%の割合で用いるのが好ましい。架橋助剤もしくは多
官能性ビニルモノマーの配合割合が2重量%を超える
と、有機ペルオキシドの配合量が多い場合には、架橋反
応が速く進行し過ぎるため、得られるポリオレフィン系
熱可塑性エラストマーは、流動性に劣り、一方、有機ペ
ルオキシドの配合量が少ない場合には、架橋助剤および
多官能性ビニルモノマーが、ポリオレフィン系熱可塑性
エラストマー中に未反応のモノマーとして残存し、ポリ
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、加工成形の際に
熱履歴による物性の変化が生じたりする。したがって、
架橋助剤および多官能性ビニルモノマーは、過剰に配合
すべきではない。
【0037】上記の「動的に熱処理する」とは、上記の
ような各成分を融解状態で混練することをいう。混練装
置としては、従来公知の混練装置、たとえば開放型のミ
キシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出
機、ニーダー、連続ミキサーなどが用いられる。これら
の内では、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒
素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガスの雰囲気下で行なう
ことが好ましい。
【0038】また、混練は、使用する有機ペルオキシド
の半減期が1分未満となる温度で行なうのが望ましい。
混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは170
〜240℃であり、混練時間は、1〜20分間、好まし
くは3〜10分間である。また、加えられる剪断力は、
剪断力で通常、10〜104 sec-1、好ましくは10
2〜103sec-1の範囲内で決定される。
【0039】本発明で用いられる好ましいポリオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーは、部分的に架橋されている
が、この「部分的に架橋された」とは、下記の方法で測
定したゲル含量が20〜98%の範囲内にある場合をい
い、本発明においては、ゲル含量が45〜98%の範囲
内にあることが好ましい。
【0040】[ゲル含量の測定法]試料としてポリオレ
フィン系熱可塑性エラストマーのペレットを約100m
g精秤し、密閉容器中にてこのペレットに対して充分な
量である30mlのシクロヘキサンに、23℃で48時
間浸漬する。
【0041】次に、この試料を濾紙上に取り出し、室温
にて72時間以上恒量になるまで乾燥する。ゲル含量
は、次式で表わされる。 ゲル含量[%]=(シクロヘキサン浸漬後の乾燥重量)
÷(シクロヘキサン浸漬前の重量)×100 また、本発明においては、上記基体層7を構成する好ま
しいポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとして、以
下のような変性ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
(MTPE)を用いることができる。 (i)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム9
5〜10重量部と、(ii)オレフィン系プラスチック5
〜90重量部[成分(i)および(ii)の合計量は、1
00重量部とする]と、(iii)α,β- 不飽和カルボン
酸もしくはその誘導体、または不飽和エポキシ単量体の
ような極性基含有モノマー0.01〜10重量部 とを含有するブレンド物が、有機ペルオキシドの存在下
に動的に熱処理されて、部分的に架橋されている変性ポ
リオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
【0042】本発明で用いられるペルオキシド架橋型オ
レフィン系共重合体ゴム(i)は、たとえばエチレン・
プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン・ブ
タジエン共重合体ゴムのように、オレフィンを主成分と
する無定形の弾性共重合体であって、有機ペルオキシド
と混合して加熱下に混練することにより、架橋して流動
性が低下するか、あるいは流動しなくなるようなゴムを
いう。
【0043】上記の非共役ジエンとしては、具体的に
は、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシク
ロオクタジエン、メチレン-ノルボルネン、エチリデン-
ノルボルネンなどが挙げられる。
【0044】本発明では、上記のようなペルオキシド架
橋型オレフィン系共重合体ゴムの内でも、エチレン成分
単位とプロピレン成分単位とのモル比(エチレン成分単
位/プロピレン成分単位)が、50/50〜90/1
0、特に55/45〜85/15の範囲内にある、エチ
レン・プロピレン共重合体ゴムおよびエチレン・プロピ
レン・非共役ジエン共重合体ゴムが、好適に用いられ
る。中でも、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重
合体ゴム、特にエチレン・プロピレン・エチリデンノル
ボルネン共重合体ゴムは、耐熱性、引張強度特性および
反発弾性に優れた熱可塑性エラストマーを提供し得る点
で好ましい。
【0045】またペルオキシド架橋型オレフィン系共重
合体ゴムは、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が、1
0〜250、特に40〜150の範囲内にあることが好
ましくい。ムーニー粘度ML1+4 (100℃)が10未
満のペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムを用
いると、得られる熱可塑性エラストマー組成物は、引張
強度特性が低下する傾向がある。一方、ムーニー粘度M
1+4 (100℃)が250を超えるペルオキシド架橋
型オレフィン系共重合体ゴムを用いると、得られる熱可
塑性エラストマー組成物は、流動性が低下する傾向があ
る。
【0046】さらに、ペルオキシド架橋型オレフィン系
共重合体ゴムは、ヨウ素価が25以下であることが好ま
しい。ヨウ素価が上記のような範囲内にあるペルオキシ
ド架橋型オレフィン系共重合体ゴムを用いると、流動性
とゴム的性質とのバランスのとれた熱可塑性エラストマ
ーが得られる。
【0047】本発明においては、ペルオキシド架橋型オ
レフィン系共重合体ゴム(i)は、ペルオキシド架橋型
オレフィン系共重合体ゴム(i)およびオレフィン系プ
ラスチック(ii)の合計量100重量部に対して、9
5〜10重量部、好ましくは95〜60重量部の割合で
用いられる。
【0048】ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体
ゴム(i)を上記のような割合で用いると、得られるグ
ラフト変性ポリオレフィン系エラストマーは、成形性に
優れ、しかも、ゴム弾性などのゴム的特性に優れてい
る。
【0049】本発明で用いられるオレフィン系プラスチ
ック(ii)は、高圧法または低圧法のいずれかによる
1種以上のモノオレフィンを重合して得られる結晶性の
高分子量固体生成物からなる。このような樹脂の例とし
ては、アイソタクチックまたはシンジオタクチックのモ
ノオレフィン重合体樹脂が挙げられる。これらの代表的
な樹脂は、商業的に入手できる。
【0050】適当な原料オレフィンの具体的な例として
は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-
ヘキセン、2-メチル-1- プロペン、3-メチル-1- ペンテ
ン、4-メチル-1- ペンテン、5-メチル-1- ヘキセン、1-
オクテン、1-デセンおよびこれらの2種以上の混合系オ
レフィンが挙げられる。本発明においては、これらの単
独重合でも、共重合でも、樹脂状物が得られれば、いず
れの重合様式を採用してもよい。
【0051】本発明において、中でも好ましいオレフィ
ン系プラスチックは、ペルオキシド分解型オレフィン系
プラスチックである。本発明において、ペルオキシド分
解型オレフィン系プラスチックとは、ペルオキシドと混
合し、加熱下で混練することにより熱分解して分子量を
減じ、樹脂の流動性が増加するオレフィン系のプラスチ
ックをいい、たとえば、アイソタクチックポリプロピレ
ン;プロピレンと他の少量のα- オレフィンとの共重合
体、たとえばプロピレン-エチレン共重合体、プロピレ
ン-1- ブテン共重合体、プロピレン-1- ヘキセン共重合
体、プロピレン-4- メチル-1- ペンテン共重合体などが
挙げられる。
【0052】本発明で用いられるオレフィン系プラスチ
ックは、メルトインデックス(ASTM−D−1238
−65T、230℃)が0.1〜50、特に5〜20の
範囲内にあることが好ましい。
【0053】本発明においては、オレフィン系プラスチ
ックは、エラストマー組成物の流動性の向上、および耐
熱性の向上に寄与する。本発明においては、オレフィン
系プラスチック(ii)は、ペルオキシド架橋型オレフ
ィン系共重合体ゴム(i)およびオレフィン系プラスチ
ック(ii)の合計量100重量部に対して、5〜90
重量部、好ましくは5〜40重量部の割合で用いられ
る。
【0054】オレフィン系プラスチック(ii)を上記
のような割合で用いると、得られるグラフト変性ポリオ
レフィン系エラストマーは、ゴム弾性などのゴム的特性
に優れ、しかも、流動性に優れるため、その結果として
成形性に優れている。
【0055】本発明において、ポリオレフィン系熱可塑
性エラストマーをグラフト変性するために用いられる変
性剤(iii)としては、α,β-不飽和脂肪酸もしくは
その誘導体、不飽和エポキシ単量体等のモノマーが挙げ
られる。
【0056】α,β-不飽和脂肪酸もしくはその誘導体の
具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン
酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ノルボルネ
ンカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸等の酸無水
物;2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエ
チルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、ヒドロキシエトキシメタクリレート等のヒドロキシ
アルキルエステルまたはヒドロキシアルコキシアルキル
エステルなどが挙げられる。本発明では、無水マレイン
酸、ヒドロキシエチルアクリレートが好ましく用いられ
る。
【0057】また、不飽和エポキシ単量体の具体的な例
としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレート、グリシジルイタコネート、グリシジルクロト
ネート等のグリシジルエステルが挙げられる。本発明で
は、グリシジルメタクリレートが好ましく用いられる。
【0058】また、上記の「動的熱処理」、混練装置、
混練条件および「部分的架橋」については、上述した非
グラフト変性のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
の場合と同様である。
【0059】本発明で用いられるポリオレフィン系熱可
塑性エラストマーは、結晶性ポリオレフィンとゴムとか
らなるため、流動性に優れている。また、上記のポリオ
レフィン系熱可塑性エラストマーからなるガラスランチ
ャンネルの本体2および水切り部3の基体層7は、耐熱
性、引張特性、柔軟性および反弾性等のゴム的性質に優
れている。本発明においては、上記のような部分架橋し
ている非グラフト変性のポリオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー、および部分架橋しているグラフト変性ポリオ
レフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0060】上記のようなポリオレフィン系熱可塑性エ
ラストマーは、圧縮成形、トランスファー成形、射出成
形等の従来使用されている成形装置を用いて成形するこ
とができる。
【0061】超高分子量ポリオレフィン組成物 本発明で用いられる超高分子量ポリオレフィン組成物
は、極限粘度[η]が6dl/g以上の超高分子量ポリ
オレフィン(A)90〜10重量部と、極限粘度[η]
が0.1〜5dl/gのポリオレフィン(B)10〜9
0重量部とを含む組成物からなり、かつ、上記超高分子
量ポリオレフィン(A)および/またはポリオレフィン
(B)が不飽和カルボン酸およびその誘導体から選ばれ
る少なくとも1種の変性用単量体(C)で変性されてい
る。
【0062】上記の超高分子量ポリオレフィン(A)
は、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブ
テン、1-ペンテン、2-メチル-1- ブテン、3-メチル-1-
ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチル
-1- ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-
ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタ
デセン、1-イコセンなどのα- オレフィンの単独重合体
または共重合体からなる。本発明においては、エチレン
単独重合体、およびエチレンと他のα- オレフィンとか
らなる、エチレンを主成分とする共重合体が望ましい。
【0063】この超高分子量ポリオレフィン(A)のデ
カリン溶媒中135℃で測定した極限粘度[η]は、6
dl/g以上、好ましくは6〜40dl/g、さらに好
ましくは10〜30dl/gである。本発明では、特に
密度(D:ASTM D1505)が0.920g/c
3 以上、融点(Tm:ASTM D 3417)が11
5℃以上の超高分子量ポリオレフィンが好ましい。
【0064】本発明においては、上記超高分子量ポリオ
レフィン(A)は、超高分子量ポリオレフィン(A)お
よびポリオレフィン(B)の合計量100重量部に対し
て、90〜10重量部、好ましくは80〜10重量部、
さらに好ましくは50〜10重量部の割合で用いられ
る。
【0065】また、超高分子量ポリオレフィン組成物の
構成成分であるポリオレフィン(B)は、上記超高分子
量ポリオレフィン(A)と同様に、上記のようなα- オ
レフィンの単独重合体または共重合体からなる。本発明
においては、エチレン単独重合体、およびエチレンと他
のα- オレフィンとからなる、エチレンを主成分とする
共重合体が好ましい。
【0066】このポリオレフィン(B)のデカリン溶媒
中135℃で測定した極限粘度[η]は、0.1〜5d
l/g、好ましくは0.3〜4dl/gである。本発明
では、特に密度が0.92〜0.97g/cm3 、融点
が115〜145℃のポリオレフィンが好ましい。
【0067】本発明においては、上記ポリオレフィン
(B)は、超高分子量ポリオレフィン(A)およびポリ
オレフィン(B)の合計量100重量部に対して、10
〜90重量部、好ましくは20〜90重量部、さらに好
ましくは50〜90重量部の割合で用いられる。
【0068】本発明においては、上記のような範囲内
で、成形方法に応じて超高分子量ポリオレフィン(A)
およびポリオレフィン(B)の含有割合を調整すること
ができる。たとえば、上記超高分子量ポリオレフィン組
成物を射出成形に用いる場合には、超高分子量ポリオレ
フィン(A)およびポリオレフィン(B)の合計量10
0重量部に対して、超高分子量ポリオレフィン(A)が
25〜10重量部、ポリオレフィン(B)が75〜90
重量部の割合で存在する超高分子量ポリオレフィン組成
物を用いると、成形性や良好な外観を得ることができる
ため好ましい。また、上記超高分子量ポリオレフィン組
成物を押出成形に用いる場合には、超高分子量ポリオレ
フィン(A)およびポリオレフィン(B)の合計量10
0重量部に対して、超高分子量ポリオレフィン(A)が
80〜15重量部、ポリオレフィン(B)が20〜85
重量部の割合で存在する超高分子量ポリオレフィン組成
物を用いると、成形性や良好な外観を得ることができる
ため好ましい。
【0069】本発明で用いられる超高分子量ポリオレフ
ィン組成物において、超高分子量ポリオレフィン(A)
および/またはポリオレフィン(B)を変性するための
変性用単量体(C)である不飽和カルボン酸としては、
具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、エ
ンドシス- ビシクロ[2,2,1 ]ヘプト-5- エン-2,3- ジ
カルボン酸(ナジック酸TM)などが挙げられる。
【0070】また、その誘導体としては、酸ハライド、
エステル、アミド、イミド、無水物などが挙げられ、具
体的には、塩化マレニル、マレイミド、アクリル酸アミ
ド、メタクリル酸アミド、グリシジルメタクリレート、
無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメ
チル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなど
が挙げられる。これらの変性用単量体(C)は、1種単
独でも2種以上を組み合わせても用いられる。これらの
中でも、無水マレイン酸が、反応性が高く、強度および
外観の良好な成形品を得ることができるため好ましい。
【0071】本発明で用いられる超高分子量ポリオレフ
ィン組成物は、上記超高分子量ポリオレフィン(A)と
ポリオレフィン(B)とを含む組成物からなり、この組
成物において、超高分子量ポリオレフィン(A)および
/またはポリオレフィン(B)が、不飽和カルボン酸お
よびその誘導体から選ばれる少なくとも1種の変性用単
量体(C)で変性されてなるものである。
【0072】このような超高分子量ポリオレフィン組成
物の調製方法としては、次のような方法が挙げられる。 (1)超高分子量ポリオレフィン(A)とポリオレフィ
ン(B)のいずれか一方または両方を変性用単量体
(C)で変性した後、両者を上記含有割合で混合する方
法。
【0073】(2)超高分子量ポリオレフィン(A)と
ポリオレフィン(B)とを混合した後この混合物を変性
用単量体(C)で変性する方法。 (3)オレフィンの重合時に、特定のチーグラー型触媒
を用いる多段階重合を行なって超高分子量ポリオレフィ
ン(A)とポリオレフィン(B)とを上記含有割合で含
む混合物を製造した後、この混合物を変性用単量体
(C)で変性する方法。
【0074】上記多段階重合により、超高分子量ポリオ
レフィン(A)とポリオレフィン(B)とを含む混合物
を調製する方法は、マグネシウム、チタンおよびハロゲ
ンを必須成分とする高活性固体状チタン触媒成分(a)
および有機アルミニウム化合物触媒成分(b)から形成
されるチーグラー型触媒の存在下にオレフィンを多段階
重合させる方法である。たとえば、まず、1段の重合工
程において、オレフィンを重合させて上記超高分子量ポ
リオレフィン(A)を生成させ、その他の段の重合工程
において、水素の存在下にオレフィンを重合させてポリ
オレフィン(B)を生成させることにより、上記超高分
子量ポリオレフィン(A)とポリオレフィン(B)とを
含む混合物を得ることができる。
【0075】この多段階重合において使用されるチーグ
ラー型触媒は、基本的に固体状チタン触媒成分と有機ア
ルミニウム化合物触媒成分とから構成される特定の性状
の触媒である。この固体状チタン触媒成分としては、た
とえば、粒度分布が狭く、平均粒径0.01〜5μm程
度のものであり、微小球体が数個固着したような形態の
高活性微粉末状触媒成分を用いるのが好ましい。このよ
うな性状を有する高活性微粉末状チタン触媒成分は、た
とえば、特開昭56−811号公報に記載された固体状
チタン触媒成分において、液体状態のマグネシウム化合
物と液体状態のチタン化合物を接触させて固体生成物を
析出させる際に析出条件を厳密に調整することによって
製造することができる。たとえば、特開昭56−811
号公報に開示された方法において、塩化マグネシウムと
高級アルコールとを溶解した炭化水素溶液と、四塩化チ
タンとを低温で混合し、次いで50〜100℃程度に昇
温して固体生成物を析出させる際に、塩化マグネシウム
1モルに対し、0.01〜0.2モル程度の微量のモノ
カルボン酸エステルを共存させるとともに強力な攪拌条
件下に該析出を行なうものである。さらに必要ならば四
塩化チタンで洗浄してもよい。このようにして、活性、
粒子状態共に満足すべき固体触媒成分を得ることができ
る。この触媒成分は、たとえば、チタンを約1〜6重量
%程度含有し、ハロゲン/チタン(原子比)が約5〜9
0、マグネシウム/チタン(原子比)が約4〜50の範
囲にあるものである。
【0076】また、上記のようにして得られる固体状チ
タン触媒成分のスラリーを高速で剪断処理することによ
り得られる、粒度分布が狭く、平均粒径が通常、0.0
1〜5μm、好ましくは0.05〜3μmの範囲にある
微小球体からなるものも、高活性微粉末状チタン触媒成
分として好適に用いられる。高速剪断処理の方法として
は、たとえば、不活性ガス雰囲気中で固体状チタン触媒
成分のスラリーを市販のホモミキサーを用いて適当な時
間処理する方法が採用される。その際、触媒性能の低下
を防止するために、予めチタンと等モル量の有機アルミ
ニウム化合物を添加しておく方法を採用することもでき
る。さらに、処理後のスラリーを篩で粗粒を除去する方
法を採用することもできる。これらの方法によって、上
記微小粒径の高活性微小粉末状チタン触媒成分を得るこ
とができる。
【0077】この高活性微粉末状チタン触媒成分と有機
アルミニウム化合物触媒成分とを用い、必要に応じて電
子供与体を併用して、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、
灯油等の炭化水素溶媒中で、通常、0〜100℃の範囲
の温度条件下、少なくとも2段以上の多段階重合工程で
たとえばエチレン単独、またはエチレンを主成分とする
単量体混合物をスラリー重合することによって、超高分
子量ポリエチレンとポリエチレンとの混合物を製造する
ことができる。
【0078】用いられる有機アルミニウム化合物触媒成
分としては、具体的には、トリエチルアルミニウム、ト
リイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウ
ム;ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアル
ミニウムクロリド等のジアルミニウムクロリド;エチル
アルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウム
セスキクロリドなどが挙げられ、これらは1種単独また
は2種以上を組合わせて用いられる。
【0079】この多段階重合工程においては、少なくと
も2槽以上の重合槽が、通常、直列に連結された多段階
重合装置が採用され、たとえば、2段重合法、3段重合
法、・・・・・・n段重合法が行なわれる。また、1個の重合
槽で回分式重合法により多段階重合法を実施することも
可能である。この多段階重合工程のうちの少なくとも1
個の重合槽においては特定量の超高分子量ポリオレフィ
ンを生成させることが必要である。この超高分子量ポリ
オレフィンを生成させるための重合工程は、第一段の重
合工程であってもよいし、中間の重合工程であってもよ
いし、また2段以上の複数段であってもよい。第一段重
合工程において超高分子量ポリオレフィン(A)を生成
させるのが、重合処理操作および生成ポリオレフィンの
物性の制御の点から好適である。この重合工程において
は、全工程で重合されるオレフィンの15〜40重量%
を重合させることにより、所定の極限粘度[η]の超高
分子量ポリオレフィン(A)を生成させる。さらには全
重合工程で重合されるモノマーの18〜37重量%、特
に21〜35重量%を重合させることにより、所定の極
限粘度の超高分子量ポリオレフィン(A)を生成させる
ことが好ましい。
【0080】この多段階重合工程において、超高分子量
ポリオレフィン(A)を生成させる重合工程では、前記
高活性チタン触媒成分と有機アルミニウム触媒成分から
なる特定のチーグラー型触媒の存在下に重合が行われ
る。この重合は、気相重合法で実施することもできる
し、液相重合法で実施することもできる。いずれの重合
法においても、超高分子量ポリオレフィン(A)を生成
させる重合工程では、重合反応は必要に応じて不活性媒
体の存在下に実施される。たとえば、気相重合法では、
必要に応じて不活性媒体からなる希釈剤の存在下に実施
され、液相重合法では、必要に応じて不活性媒体からな
る溶媒の存在下に実施される。
【0081】この超高分子量ポリオレフィン(A)を生
成させる重合工程では、触媒として高活性チタン触媒成
分、たとえば、媒体1リットル当りのチタン原子として
約0.001〜20ミリグラム原子、特に約0.005
〜10ミリグラム原子、有機アルミニウム化合物触媒成
分を、Al/Ti(原子比)が約0.1〜1000、特
に約1〜500となるような割合で使用するのがよい。
上記超高分子量ポリオレフィン(A)を生成させる重合
工程における温度は、通常、約−20〜120℃、好ま
しくは約0〜100℃、特に好ましく約5〜95℃の範
囲である。また、重合反応の圧力は、上記温度で液相重
合または気相重合が可能な圧力範囲であればよく、たと
えば、大気圧〜約100Kg/cm2 、好ましくは大気圧〜
約50Kg/cm2 の範囲である。また、重合時間は、全重
合ポリオレフィンの生成量が高活性チタン触媒成分中の
チタン1ミリグラム原子当り約1000g以上、好まし
くは約2000g以上となるように設定すればよい。ま
た、重合工程において、上記超高分子量ポリオレフィン
(A)を生成させるためには、重合反応を水素の不存在
下に行なうのが好ましい。さらに、重合反応を実施後、
重合体を不活性媒体雰囲気下で一旦単離し、保存してお
くことも可能である。
【0082】上記超高分子量ポリオレフィン(A)を生
成させる重合工程において用いられる不活性媒体として
は、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、デカン、灯油等の脂肪族炭化
水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化
水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素;ジクロルエタン、メチレンクロリド、クロルベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられ、これらは1
種単独または2種以上を組合わせて用いられる。特に脂
肪族炭化水素が好ましい。
【0083】また、本発明の方法において、上記超高分
子量ポリオレフィン(A)を生成させる重合工程以外の
他の重合工程においては、水素の存在下に残余のモノマ
ーを重合反応させて低分子量のポリオレフィン(B)が
生成される。超高分子量ポリオレフィン(A)を生成さ
せる重合工程が第一段の重合工程であれば、第二段以降
の重合工程がこの水素の存在下に行なわれる低分子量の
ポリオレフィン(B)の生成工程である。この低分子量
のポリオレフィン(B)の重合工程が超高分子量ポリオ
レフィン(A)の生成工程の後に位置している場合に
は、その低分子量のポリオレフィン(B)の重合工程に
は、超高分子量ポリオレフィン(A)を含む反応混合物
が供給され、この低分子量のポリオレフィン(B)の重
合工程が超高分子量ポリオレフィン(A)が生成される
重合工程の前に位置する場合には、前段階で生成した低
分子量のポリオレフィン(B)および超高分子量ポリオ
レフィン(A)が供給され、いずれの場合にも連続して
重合が実施される。その際、当該重合工程には、通常、
原料単量体混合物および水素が供給される。当該重合工
程が第一段階の重合工程である場合には、上記高活性チ
タン触媒成分および有機アルミニウム化合物触媒成分か
らなる触媒が供給され、当該重合工程が第二段階以降の
重合工程である場合には、前段階で生成した重合反応混
合物中に含まれている触媒をそのまま使用することもで
きるし、必要に応じて上記高活性チタン触媒成分および
/または有機アルミニウム化合物触媒成分を追加補充し
てもよい。
【0084】上記超高分子量ポリオレフィン(A)生成
の重合工程以外の重合工程における水素の供給割合は、
当該重合工程に供給されるモノマー1モルに対して通
常、0.01〜50モル、好ましくは0.05〜30モ
ルの範囲である。
【0085】上記超高分子量ポリオレフィン(A)生成
の重合工程以外の重合工程における重合槽内の重合反応
混合物中の各触媒成分の濃度は、重合容積1リットル当
り、前記処理された触媒をチタン原子に換算して約0.
001〜0.1ミリグラム原子、好ましくは約0.00
5〜0.1ミリグラム原子とし、重合系のAl/Ti
(原子比)が約1〜1000、好ましくは約2〜500
となるように調整するのが好ましい。また、必要に応じ
て、有機アルミニウム化合物触媒成分を追加使用しても
よい。重合系中には、他に分子量、分子量分布等を調節
するために、水素・電子供与体、ハロゲン化炭化水素な
どを共存させてもよい。
【0086】重合温度は、スラリー重合、気相重合が可
能な温度範囲で、かつ約40℃以上、より好ましくは約
50〜100℃の範囲である。また、重合の圧力は、た
とえば、大気圧〜約100Kg/cm2 、特に大気圧〜約5
0Kg/cm2 の範囲が推奨される。そして重合体の生成量
が、チタン触媒成分中のチタン1ミリグラム原子当り約
1000g以上、特に好ましくは約5000g以上とな
るような重合時間を設定するのがよい。
【0087】超高分子量ポリオレフィン(A)生成の重
合工程以外の重合工程は、同様に気相重合法で行なうこ
ともできるし、また液相重合法で行なうこともできる。
もちろん、各重合工程で異なる重合法を採用してもよ
い。液相重合法の中ではスラリー懸濁重合法が好適に採
用される。いずれの場合にも、重合工程では重合反応
は、通常、不活性媒体の存在下に実施される。たとえ
ば、気相重合法では、不活性媒体希釈剤の存在下に実施
され、液相スラリー懸濁重合法では不活性媒体溶媒の存
在下に実施される。不活性媒体としては、上記超高分子
量ポリオレフィン(A)の生成の重合工程において例示
した不活性媒体と同じものを例示することができる。
【0088】最終段階の重合工程で得られる超高分子量
ポリオレフィン(A)と、ポリオレフィン(B)の混合
物の極限粘度[η]cは、通常、3.5〜15dl/
g、好ましくは4.0〜10dl/g、溶融トルクは、
通常、4.5Kg・cm以下である。
【0089】また、前記多段階重合は、回分式、半連続
式または連続式のいずれの形式でも行うことができる。
超高分子量ポリオレフィン(A)および/またはポリオ
レフィン(B)、または両成分を含む組成物を上記変性
用単量体(C)で変性する方法としては、従来公知の種
々の方法が採用できる。たとえば、超高分子量ポリオレ
フィン(A)および/またはポリオレフィン(B)、も
しくは両成分を含む組成物を溶媒に懸濁させ、あるいは
溶解させて、通常、80〜200℃の温度で、変性用単
量体とラジカル重合開始剤等を添加混合してグラフト共
重合させる方法、あるいは融点以上、たとえば、180
〜300℃の温度で溶融混練下に変性用単量体(C)と
ラジカル重合開始剤とを接触させる方法などが挙げられ
る。
【0090】用いられる溶媒としては、具体的には、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系
溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環
族炭化水素系溶媒;トリクロロエチレン、パークロロエ
チレン、ジクロロエチレン、ジクロロエタン、クロロベ
ンゼン等の塩素化炭化水素系溶媒;エタノール、イソプ
ロパノール等の脂肪族アルコール系溶媒;アセトン、メ
チルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン
系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエス
テル系溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は、1種単
独でも2種以上を組み合わせても用いられる。
【0091】また、ラジカル重合開始剤としては、有機
過酸化物、アゾ化合物等のラジカル開始剤が挙げられ
る。有機過酸化物としては、具体的には、ベンゾイルパ
ーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイ
ド、m-トリオイルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオ
キサイド、ジクミルパーオキサイド、(2,5-ジメチル-
2,5- ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメ
チル-2,5- ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ラ
ウロイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシアセテー
ト、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘ
キサン、t-ブチルパ−オキシベンゾエート、t-ブチルパ
ーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシフェニル
アセテート、t-ブチルパーオキシ-s- オクテート、t-ブ
チルパーオキシピバレート、クミルパーオキシピバレー
ト、t-ブチルパーオキシエチルアセテートなどが挙げら
れる。
【0092】アゾ化合物としては、具体的には、アゾイ
ソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどが
挙げられる。これらのラジカル開始剤は、1種単独また
は2種以上を組合わせて用いられる。
【0093】本発明で用いられる超高分子量ポリオレフ
ィン組成物において、上記変性用単量体(C)のグラフ
ト量は、超高分子量ポリオレフィン(A)およびポリオ
レフィン(B)の合計量100重量%に対して0.2〜
2.0重量%の割合であるのが好ましく、特に0.7〜
1.3重量%の割合であるのが好ましい。
【0094】なお、本発明においては、超高分子量ポリ
オレフィン組成物中に、上述したポリオレフィン系熱可
塑性エラストマーの場合と同様に、充填剤、着色剤を、
本発明の目的を損なわない範囲で含めることができる。
【0095】また、本発明においては、超高分子量ポリ
オレフィン組成物中に、上述したポリオレフィン系熱可
塑性エラストマーの場合と同様に、フェノール系、サル
ファイト系、フェニルアルカン系、フォスファイト系、
アミン系安定剤などの公知の耐熱安定剤;老化防止剤;
耐候安定剤;帯電防止剤;金属セッケン、ワックス等の
滑剤などの添加剤を、オレフィン系プラスチックあるい
はオレフィン系共重合体ゴムの製造の際に通常使用され
る割合で含めることができる。
【0096】本発明においては、超高分子量ポリオレフ
ィン組成物は、超高分子量ポリオレフィン組成物および
滑性樹脂からなる層を構成するこれらの成分の合計量1
00重量部に対して、2〜90重量部、好ましくは3〜
70重量部、さらに好ましくは5〜50重量部の割合で
用いられる。
【0097】滑性樹脂に超高分子量ポリオレフィン組成
物を上記のような割合で配合することにより、滑性樹脂
の摺動特性を向上させることができる。滑性樹脂 本発明で用いられる滑性樹脂としては、ポリアミド樹
脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂および熱可塑性ポリエス
テル樹脂が挙げられる。
【0098】上記ポリアミド樹脂としては、具体的に
は、6−ナイロン、6,6−ナイロンなどの各種ナイロ
ンが挙げられる。また、上記熱可塑性ポリウレタン樹脂
としては、耐水性、耐油性および耐傷付性に優れた樹脂
が好ましい。熱可塑性であって、上記の特性に優れたポ
リウレタン樹脂であれば、本発明の滑性樹脂として使用
可能である。
【0099】上記熱可塑性ポリエステル樹脂としては、
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン
イソフタレート(PEI)などが挙げられる。
【0100】本発明においては、滑性樹脂は、超高分子
量ポリオレフィン組成物および滑性樹脂からなる層を構
成するこれらの成分の合計量100重量部に対して、9
8〜10重量部、好ましくは97〜30重量部、さらに
好ましくは95〜50重量部の割合で用いられる。
【0101】また、上記の超高分子量ポリオレフィン組
成物には、必要に応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安定
剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着
色剤、滑剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合す
ることができる。
【0102】本発明に係るガラスランチャンネルにおい
て、水切り部3は本体2と同一材質からなることが好ま
しい。本体2がポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
からなっている場合には、水切り部3も同一材質で成形
すれば、耐久性の点でも、滑性樹脂層9との接合強度の
点でも十分に実用に耐える。
【0103】本発明に係るガラスランチャンネルにおい
て用いることのできるシャークスキン(サメ肌)は、原
料ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの性状を適当
に選ぶことにより、成形時に発現させ得る。
【0104】得られたシャークスキンの外観は樹脂やエ
ラストマーの押出成形時に見られることのあるメルトフ
ラクチャーとは異なり、成形品の肌が周期的に荒れて微
細な凹凸を生じている。
【0105】また、このシャークスキンの上に施された
滑性樹脂層9表面にも、シャークスキンが現出している
ことが必要で、滑性樹脂層9の厚さは、通常3〜50μ
mとなるように積層する。また、本発明においては、必
要に応じて、滑性樹脂層9の厚さをさらに厚くすること
もできるし、また薄くすることもできる。
【0106】なお、水切り部3が窓ガラス12と接触す
る部位は、窓ガラス12の進入時と退出時とでは一般に
異なるから、超高分子量ポリオレフィン組成物および滑
性樹脂による被覆および必要に応じて施されるシャーク
スキンの形成は、水切り部3の比較的広い範囲に施して
おくことが好ましい。
【0107】また、図1に示す具体例では、本体2の内
部には、窓ガラス端部と当接する部分16があるが、こ
の部分16にも、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーからなる本体2表面に、超高分子量ポリオレフィン組
成物および滑性樹脂からなる滑性樹脂層9を設けること
ができる。
【0108】さらに、本発明においては、上記滑性樹脂
層9の表面に起毛が存在していてもよい。上記起毛の加
飾方法としては、(a)エメリーペーパーによるバフ掛
けをして滑性樹脂層表面を起毛加飾する方法、(b)針
布ロール通しをして滑性樹脂層表面を起毛加飾する方
法、(c)ベルトサンダーもしくはドラムサンダーなど
によるサンディングをして滑性樹脂層表面を起毛加飾す
る方法、(d)特開昭62−275,732号公報に記
載されている熱微小体を衝突させて滑性樹脂層表面を起
毛加飾する方法など、従来公知の起毛加飾方法が用いら
れる。
【0109】
【発明の効果】本発明によれば、接着剤の塗布工程、接
着剤の硬化ないし焼付工程、およびその前後のエンボス
加工工程をすべて省略することができ、その結果、工程
数が少なくて済み、また、作業時間を短縮することがで
きるため、経済性に優れたガラスランチャンネルを製造
することができるとともに、耐久性、閉鎖時における窓
ガラスとの緊密接触性、および開閉操作時における軽快
摺動性に優れたガラスランチャンネルを提供することが
できる。
【0110】以下、本発明を実施例により説明するが、
本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0111】
【実施例1】エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-
ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含有量70モル
%、ヨウ素価12、ムーニー粘度ML1+4(100℃ )
120]75重量部と、ポリプロピレン[MFR13g
/10分(ASTM D 1238−65T、230
℃)、密度0.91g/cm3 ]25重量部とを、バンバ
リーミキサーを用いて窒素雰囲気中、180℃で5分間
混練した後、この混練物をロールに通してシート状と
し、シートカッターで裁断して角ペレットを製造した。
【0112】この角ペレットに、ジビニルベンゼン0.
5重量部と、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピ
ル)ベンゼン0.3重量部を添加してヘンシェルミキサ
ーで攪拌混合した。
【0113】次いで、この混合物を、L/D=30、ス
クリュー径50mmの一軸押出機を用いて窒素雰囲気下に
220℃の温度で押出して、ポリオレフィン系熱可塑性
エラストマーを得た。
【0114】得られたポリオレフィン系熱可塑性エラス
トマーのゲル含量は、上記した方法により求めたとこ
ろ、97重量%であった。このポリオレフィン系熱可塑
性エラストマーを230℃の温度で共押出成形してガラ
スランチャンネル本体および水切り部を成形するととも
に、その表面に135℃デカリン溶媒中で測定した極限
粘度[η]が21dl/gの超高分子量ポリエチレン2
5重量%と、135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘
度[η]が1.5dl/gの低分子量ポリエチレン75
重量%とからなる超高分子量ポリエチレン組成物[無水
マレイン酸含有率:1重量%、135℃デカリン溶媒中
で測定した極限粘度[η]:6.4dl/g、密度:
0.965g/cm3 ]20重量部と、6−ナイロン
[商品名アミランCM−1007、東レ(株)製]80
重量部とをあらかじめヘンシェルミキサーで混合して得
た混合物を250℃にて押出積層して本発明のガラスラ
ンチャンネルを得た。
【0115】得られたガラスランチャンネルは、ほぼ台
形状の形状をしており、図3において窓枠13に固定さ
れるガラスランチャンネル1の傾斜部と水平部との合計
長さが1500mm、垂直部の長さが90mmであり、図1
において本体2の底部外幅が15mm、側部外高が20m
m、水切り部3の長さが10mmであり、図1に示された
断面形状にほぼ等しく、超高分子量ポリエチレン組成物
および6−ナイロンからなる層の厚みは平均30μmで
あった。
【0116】ガラスランチャンネルの成形に要した時間
は、従来法による所要時間に比して1m当り0.2分間
短かく、従来法による所要時間の60%であった。得ら
れたガラスランチャンネルを試験窓枠に装着し、厚さ
3.2mmの窓ガラスを嵌装して耐久試験(窓ガラス上
下繰返し試験)を行なった。その結果、このガラスラン
チャンネルは、50,000回の窓ガラス上下繰返し試
験にも耐え、ガラスランチャンネルとしての機能を維持
していた。しかしながら、従来品のガラスランチャンネ
ル(窓ガラス摺動部が軟質塩化ビニル樹脂層にナイロン
フィルムを接着した積層構造になっている)は、25,
000回で窓ガラス接触面において破壊を生じ、その結
果、窓ガラスとの摩擦抵抗が著しく増大して使用に耐え
なくなった。
【0117】
【実施例2】エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-
ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含有量70モル
%、ヨウ素価12、ムーニー粘度ML1+4(100℃ )
120]75重量部と、ポリプロピレン[MFR13g
/10分(ASTM D 1238−65T、230
℃)、密度0.91g/cm3 ]25重量部とを、バンバ
リーミキサーを用いて窒素雰囲気中、180℃で5分間
混練した後、この混練物をロールに通してシート状と
し、シートカッターで裁断して角ペレットを製造した。
【0118】この角ペレットに、ジビニルベンゼン0.
5重量部と、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピ
ル)ベンゼン0.3重量部と、無水マレイン酸0.5重
量部を添加してヘンシェルミキサーで攪拌混合した。
【0119】次いで、この混合物を、L/D=30、ス
クリュー径50mmの一軸押出機を用いて窒素雰囲気下に
220℃の温度で押出して、グラフト変性ポリオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーを得た。
【0120】得られたグラフト変性ポリオレフィン系熱
可塑性エラストマーのゲル含量は、上記した方法により
求めたところ、96重量%であった。このポリオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーを230℃の温度で共押出成
形してガラスランチャンネル本体および水切り部を成形
するとともに、その表面に135℃デカリン溶媒中で測
定した極限粘度[η]が21dl/gの超高分子量ポリ
エチレン25重量%と、135℃デカリン溶媒中で測定
した極限粘度[η]が1.5dl/gの低分子量ポリエ
チレン75重量%とからなる超高分子量ポリエチレン組
成物[無水マレイン酸含有率:1重量%、135℃デカ
リン溶媒中で測定した極限粘度[η]:6.4dl/
g、密度:0.965g/cm3 ]20重量部と、6−
ナイロン[商品名アミランCM−1007、東レ(株)
製]80重量部とをあらかじめヘンシェルミキサーで混
合して得た混合物を250℃にて共押出積層して実施例
1と同様のガラスランチャンネルを得た。
【0121】得られたガラスランチャンネルの成形所要
時間は、従来法による所要時間の60%であり、窓ガラ
ス上下繰返し試験は、50,000回に耐えた。
【0122】
【実施例3】実施例2において、6−ナイロンの代わり
に、ポリウレタン樹脂[日本ポリウレタン工業(株)
製、ポリウレタンP26SRNAT]を用いた以外は、
実施例2と同様に行なった。得られたガラスランチャン
ネルは、窓ガラス上下繰返し試験50,000回に耐え
た。
【0123】
【実施例4】実施例2において、6−ナイロンの代わり
に、25℃オルソクロロフェノール溶液中で測定した極
限粘度[η]が1.0dl/gのポリエチレンテレフタ
レート樹脂を用いた以外は、実施例2と同様に行なっ
た。得られたガラスランチャンネルは、窓ガラス上下繰
返し試験50,000回に耐えた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るガラスランチャンネルの
断面図である。
【図2】図2は、図1に示すガラスランチャンネルの窓
ガラスとの接触部の拡大断面図である。
【図3】図3は、ガラスランチャンネルの自動車ドアへ
の取付けを説明する図である。
【図4】図4は、窓ガラスの開放時におけるガラスラン
チャンネルの状態を示す断面図である。
【図5】図5は、窓ガラスの閉鎖時におけるガラスラン
チャンネルの状態を示す断面図である。
【符号の説明】 1 ・・・・・ガラスランチャンネル 2 ・・・・・ガラスランチャンネル本体 3 ・・・・・水切り部 4 ・・・・・窓ガラスとの接触部 7 ・・・・・ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーからな
る基体層 8 ・・・・・微小凹凸の繰返し模様(必要に応じて施され
る)を有する基体層表面 9 ・・・・・超高分子量ポリオレフィン組成物および滑性樹
脂からなる滑性樹脂層 10 ・・・微小凹凸の繰り返し模様(必要に応じて施され
る)を有する滑性樹脂層表面

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】横断面において溝状の本体と、その側壁頂
    部付近から中心側に向かって張出した舌片状の水切り部
    とから構成されるポリオレフィン系熱可塑性エラストマ
    ー製のガラスランチャンネルであって、その水切り部の
    表面で少なくとも窓ガラスに接触し得る部分が、ポリオ
    レフィン系熱可塑性エラストマー層に積層された、超高
    分子量ポリオレフィン組成物および滑性樹脂からなる層
    からなり、 該超高分子量ポリオレフィン組成物が、 (A)極限粘度[η]が6dl/g以上の超高分子量ポ
    リオレフィン90〜10重量部と、 (B)極限粘度[η]が0.1〜5dl/gのポリオレ
    フィン10〜90重量部とを含む組成物からなり、か
    つ、該超高分子量ポリオレフィン(A)および/または
    ポリオレフィン(B)が不飽和カルボン酸およびその誘
    導体から選ばれる少なくとも1種の変性用単量体(C)
    で変性されている超高分子量ポリオレフィン組成物であ
    り、 該滑性樹脂が、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン
    樹脂および熱可塑性ポリエステル樹脂からなる群から選
    ばれる滑性樹脂であることを特徴とするガラスランチャ
    ンネル。
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