JP2967954B2 - 熱可塑性エラストマー積層体 - Google Patents

熱可塑性エラストマー積層体

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JP2967954B2
JP2967954B2 JP3231975A JP23197591A JP2967954B2 JP 2967954 B2 JP2967954 B2 JP 2967954B2 JP 3231975 A JP3231975 A JP 3231975A JP 23197591 A JP23197591 A JP 23197591A JP 2967954 B2 JP2967954 B2 JP 2967954B2
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田 和 彦 村
上 徳 茂 村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、熱可塑性エラストマー積
層体に関し、さらに詳しくは、自動車内装材、シール材
などの用途に有効な熱可塑性エラストマー積層体に関す
る。
【0002】
【発明の技術的背景】従来、自動車に使用される重要な
シール材の一つであるグラスランチャネルには、(1)
耐候性および耐熱性に優れたエチレン・プロピレン・ジ
エン共重合体ゴムを主成分とする加硫ゴムと、接着剤
と、ナイロン繊維とからなる複合材、(2)この加硫ゴ
ムと、耐摩耗性に優れた接着剤とからなる複合材、
(3)異型押出成形用軟質ポリ塩化ビニルが用いられて
いる。
【0003】上記の複合材(1)および(2)は、耐候
性および耐熱性に優れたエチレン・プロピレン・ジエン
共重合体ゴムの加硫物を基材としているため、耐候性、
耐熱性および寸法安定性に優れている。しかしながら、
これらの複合材の製造工程は、エチレン・プロピレン・
ジエン共重合体ゴムと充填剤との混練工程、押出成形工
程、表面バフがけ工程、接着剤塗布工程、乾燥工程およ
び繊維植毛工程からなり、非常に複雑である。一方、上
記の複合材(3)は、軟質ポリ塩化ビニルを異型押出成
形して製造するため、製造工程は簡略化されている。し
かしながら、この複合材は、耐熱性および寸法安定性が
悪く、上記の複合材(1)および(2)と比較して実用
性能が劣る。
【0004】したがって、耐候性、耐熱性および寸法安
定性に優れ、かつ、簡略化された製造工程で製造でき、
自動車内装材、シール材等の用途に有効に使用できる積
層体の出現が望まれていた。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、耐候性、耐熱
性および寸法安定性に優れ、かつ、簡略化された製造工
程で製造でき、いわゆる経済性に優れる熱可塑性エラス
トマー積層体を提供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】本発明に係る熱可塑性エラストマー積層
体は、グラフト変性ポリオレフィン系エラストマー
(1)からなる層[I]と、超高分子量ポリオレフィン
組成物(2)およびポリアミド樹脂、熱可塑性ポリウレ
タン樹脂および熱可塑性ポリエステル樹脂からなる群か
ら選ばれる滑性樹脂(3)からなる層[II]とからな
る熱可塑性エラストマー積層体であって、該グラフト変
性ポリオレフィン系エラストマー(1)が、(a)ペル
オキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム95〜10重
量部と、(b)オレフィン系プラスチック5〜90重量
部[成分(a)および(b)の合計量は、100重量部
とする]と、(c)α,β-不飽和カルボン酸もしくは
その誘導体、または不飽和エポキシ単量体0.01〜1
0重量部とを含有するブレンド物が、有機ペルオキシド
の存在下で動的に熱処理されて部分的に架橋されている
グラフト変性ポリオレフィン系エラストマーであり、該
超高分子量ポリオレフィン組成物(2)が、(A)極限
粘度[η]が6dl/g以上の超高分子量ポリオレフィ
ン90〜10重量部と、(B)極限粘度[η]が0.1
〜5dl/gのポリオレフィン10〜90重量部とを含
む組成物からなり、かつ、該超高分子量ポリオレフィン
(A)および/またはポリオレフィン(B)が不飽和カ
ルボン酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1種
の変性用単量体(C)で変性されている超高分子量ポリ
オレフィン組成物であることを特徴としている。
【0007】また、上記のグラフト変性ポリオレフィン
系エラストマー(1)は、上記(a)成分および(b)
成分の合計量100重量部に対して、(d)ペルオキシ
ド非架橋型ゴム状物質5〜100重量部、および/また
は(e)鉱物油系軟化剤3〜100重量部を含有してい
ることが好ましい。
【0008】本発明において、超高分子量ポリオレフィ
ン(A)および/またはポリオレフィン(B)をグラフ
ト変性するのに用いられる変性用単量体(C)として
は、無水マレイン酸が好ましい。
【0009】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る熱可塑性エラ
ストマー積層体について具体的に説明する。本発明に係
る熱可塑性エラストマー積層体は、特定のグラフト変性
ポリオレフィン系エラストマー(1)からなる層[I]
と、特定の超高分子量ポリオレフィン(2)および特定
の滑性樹脂(3)からなる層[II]とから構成されて
いる。
【0010】グラフト変性ポリオレフィン系エラストマ
ー(1) 本発明で用いられるグラフト変性ポリオレフィン系エラ
ストマー(1)は、(a)ペルオキシド架橋型オレフィ
ン系共重合体ゴムと、(b)オレフィン系プラスチック
と、(c)α,β-不飽和カルボン酸もしくはその誘導
体、または不飽和エポキシ単量体とを含有するブレンド
物が、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理されて
部分的に架橋されているグラフト変性ポリオレフィン系
エラストマーである。
【0011】また、本発明においては、上記のブレンド
物中に、(d)ペルオキシド非架橋型ゴム状物質、
(e)鉱物油系軟化剤が含まれていてもよい。本発明で
用いられるペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴ
ム(a)は、たとえばエチレン・プロピレン・非共役ジ
エン共重合体ゴム、エチレン・ブタジエン共重合体ゴム
のように、オレフィンを主成分とする無定形の弾性共重
合体であって、有機ペルオキシドと混合して加熱下に混
練することにより、架橋して流動性が低下するか、ある
いは流動しなくなるようなゴムをいう。
【0012】上記の非共役ジエンとしては、具体的に
は、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシク
ロオクタジエン、メチレン-ノルボルネン、エチリデン-
ノルボルネンなどが挙げられる。
【0013】本発明では、上記のようなペルオキシド架
橋型オレフィン系共重合体ゴムの内でも、エチレン成分
単位とプロピレン成分単位とのモル比(エチレン成分単
位/プロピレン成分単位)が、50/50〜90/1
0、特に55/45〜85/15の範囲内にある、エチ
レン・プロピレン共重合体ゴムおよびエチレン・プロピ
レン・非共役ジエン共重合体ゴムが、好適に用いられ
る。中でも、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重
合体ゴム、特にエチレン・プロピレン・エチリデンノル
ボルネン共重合体ゴムは、耐熱性、引張強度特性および
反発弾性に優れた熱可塑性エラストマーを提供し得る点
で好ましい。
【0014】またペルオキシド架橋型オレフィン系共重
合体ゴムは、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が、1
0〜250、特に40〜150の範囲内にあることが好
ましくい。ムーニー粘度ML1+4 (100℃)が10未
満のペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムを用
いると、得られる熱可塑性エラストマー組成物は、引張
強度特性が低下する傾向がある。一方、ムーニー粘度M
1+4 (100℃)が250を超えるペルオキシド架橋
型オレフィン系共重合体ゴムを用いると、得られる熱可
塑性エラストマー組成物は、流動性が低下する傾向があ
る。
【0015】さらに、ペルオキシド架橋型オレフィン系
共重合体ゴムは、ヨウ素価が25以下であることが好ま
しい。ヨウ素価が上記のような範囲内にあるペルオキシ
ド架橋型オレフィン系共重合体ゴムを用いると、流動性
とゴム的性質とのバランスのとれた熱可塑性エラストマ
ーが得られる。
【0016】本発明においては、ペルオキシド架橋型オ
レフィン系共重合体ゴム(a)は、ペルオキシド架橋型
オレフィン系共重合体ゴム(a)およびオレフィン系プ
ラスチック(b)の合計量100重量部に対して、95
〜10重量部、好ましくは95〜60重量部の割合で用
いられる。
【0017】ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体
ゴム(a)を上記のような割合で用いると、得られるグ
ラフト変性ポリオレフィン系エラストマー(1)は、成
形性に優れ、しかも、ゴム弾性などのゴム的特性に優れ
ている。
【0018】本発明で用いられるオレフィン系プラスチ
ック(b)は、高圧法または低圧法のいずれかによる1
種以上のモノオレフィンを重合して得られる結晶性の高
分子量固体生成物からなる。このような樹脂の例として
は、アイソタクチックまたはシンジオタクチックのモノ
オレフィン重合体樹脂が挙げられる。これらの代表的な
樹脂は、商業的に入手できる。
【0019】適当な原料オレフィンの具体的な例として
は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-
ヘキセン、2-メチル-1- プロペン、3-メチル-1- ペンテ
ン、4-メチル-1- ペンテン、5-メチル-1- ヘキセン、1-
オクテン、1-デセンおよびこれらの2種以上の混合系オ
レフィンが挙げられる。本発明においては、これらの単
独重合でも、共重合でも、樹脂状物が得られれば、いず
れの重合様式を採用してもよい。
【0020】本発明において、中でも好ましいオレフィ
ン系プラスチックは、ペルオキシド分解型オレフィン系
プラスチックである。本発明において、ペルオキシド分
解型オレフィン系プラスチックとは、ペルオキシドと混
合し、加熱下で混練することにより熱分解して分子量を
減じ、樹脂の流動性が増加するオレフィン系のプラスチ
ックをいい、たとえば、アイソタクチックポリプロピレ
ン;プロピレンと他の少量のα- オレフィンとの共重合
体、たとえばプロピレン- エチレン共重合体、プロピレ
ン-1- ブテン共重合体、プロピレン-1- ヘキセン共重合
体、プロピレン-4- メチル-1- ペンテン共重合体などが
挙げられる。
【0021】本発明で用いられるオレフィン系プラスチ
ックは、メルトインデックス(ASTM−D−1238
−65T、230℃)が0.1〜50、特に5〜20の
範囲内にあることが好ましい。
【0022】本発明においては、オレフィン系プラスチ
ックは、エラストマー組成物の流動性の向上、および耐
熱性の向上に寄与する。本発明においては、オレフィン
系プラスチック(b)は、ペルオキシド架橋型オレフィ
ン系共重合体ゴム(a)およびオレフィン系プラスチッ
ク(b)の合計量100重量部に対して、5〜90重量
部、好ましくは5〜40重量部の割合で用いられる。
【0023】オレフィン系プラスチック(b)を上記の
ような割合で用いると、得られるグラフト変性ポリオレ
フィン系エラストマー(1)は、ゴム弾性などのゴム的
特性に優れ、しかも、流動性に優れるため、その結果と
して成形性に優れている。
【0024】本発明では、α,β- 不飽和カルボン酸も
しくはその誘導体、または不飽和エポキシ単量体(c)
は、グラフト変性剤として用いられる。上記のα,β-
不飽和カルボン酸もしくはその誘導体としては、具体的
には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマー
ル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル
酸、ビシクロ[2,2,1 ]ヘプト-2- エン-5,6- ジカルボ
ン酸等の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタ
コン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル
酸、ビシクロ[2,2,1 ]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン
酸無水物等の不飽和カルボン酸の無水物;アクリル酸メ
チル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレ
イン酸モノメチル、フマール酸ジエチル、イタコン酸ジ
メチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロ無水フタ
ル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1 ]ヘプト-2- エン-5,6
-ジカルボン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸のエステ
ルなどが挙げられる。これらの中でも、マレイン酸、ビ
シクロ[2,2,1 ]ヘプト-2- エン-5,6-ジカルボン酸ま
たはこれらの無水物が好ましい。
【0025】上記の不飽和エポキシ単量体としては、具
体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレート、p-スチリルカルボン酸グリシジル等の不飽和
モノカルボン酸のグリシジルエステル;マレイン酸、イ
タコン酸、シトラコン酸、ブテントリカルボン酸、エン
ド-シス-ビシクロ[2,2,1 ]ヘプト-5- エン-2,3- ジカ
ルボン酸、エンド- シス- ビシクロ[2,2,1 ]ヘプト-5
- エン-2- メチル-2,3- ジカルボン酸等の不飽和カルボ
ン酸のモノグリシジルエステルあるいはポリグリシジル
エステル;アルリルグリシジルエーテル、2-メチルアル
リルグリシジルエーテル、O-アルリルフェノールのグリ
シジルエーテル、m-アルリルフェノールのグリシジルエ
ーテル、p-アルリルフェノールのグリシジルエーテル、
イソプロペニルフェノールのグリシジルエーテル、m-ビ
ニルフェノールのグリシジルエーテル、p-ビニルフェノ
ールのグリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエーテ
ル;2-(o-ビニルフェニル)エチレンオキシド、2-(p-
ビニルフェニル)エチレンオキシド、2-(o-ビニルフェ
ニル)プロピレンオキシド、2-(p-ビニルフェニル)プ
ロピレンオキシド、2-(o-アルリルフェニル)エチレン
オキシド、2-(p-アルリルフェニル)エチレンオキシ
ド、2-(o-アルリルフェニル)プロピレンオキシド、2-
(p-アルリルフェニル)プロピレンオキシド、p-グリシ
ジルスチレン、3,4-エポキシ-1- ブテン、3,4-エポキシ
-3- メチル-1- ブテン、3,4-エポキシ-1- ペンテン、3,
4-エポキシ-3- メチル-1- ペンテン、5,6-エポキシ-1-
ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、アルリ
ル-2,3- エポキシシクロペンチルエーテルなどが好まし
い。
【0026】本発明においては、α,β- 不飽和カルボ
ン酸もしくはその誘導体、または不飽和エポキシ単量体
(c)は、ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴ
ム(a)およびオレフィン系プラスチック(b)の合計
量100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ま
しくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
【0027】α,β- 不飽和カルボン酸もしくはその誘
導体、または不飽和エポキシ単量体(c)を上記のよう
な割合で用いると、得られるグラフト変性ポリオレフィ
ン系エラストマー(1)は、成形性に優れ、しかも、超
高分子量ポリオレフィン組成物(2)および滑性樹脂
(3)からなる層[II]との接着強度に優れている。
【0028】本発明で用いられるペルオキシド非架橋型
ゴム状物質(d)は、たとえばポリイソブチレン、ブチ
ルゴム、プロピレン含量70モル%以上のプロピレン-
エチレン共重合体ゴム、アタクチックポリプロピレンな
どのように、ペルオキシドと混合し、加熱して混練して
も架橋せず、流動性が低下しない炭化水素系のゴム状物
質をいう。これらの内では、ポリイソブチレンが性能お
よび取扱い上最も好ましい。
【0029】上記のペルオキシド非架橋型ゴム状物質
は、エラストマー組成物の流動性の向上に寄与し、特に
ムーニー粘度ML1+4 (100℃)が60以下のペルオ
キシド非架橋型ゴム状物質が好ましい。
【0030】本発明においては、ペルオキシド非架橋型
ゴム状物質(d)は、ペルオキシド架橋型オレフィン系
共重合体ゴム(a)およびオレフィン系プラスチック
(b)の合計量100重量部に対して、5〜100重量
部、好ましくは5〜50重量部の割合で用いられる。
【0031】本発明で用いられる鉱物油系軟化剤(e)
は、通常、ゴムをロール加工する際に、ゴム分子間作用
力を弱め、加工を容易にするとともに、充填剤として配
合するカーボンブラック、ホワイトカーボンなどの分散
を助け、あるいは加硫ゴムの硬さを低下せしめて柔軟
性、弾性を増す目的で使用される高沸点の石油留分であ
り、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等に区別され
ている。
【0032】本発明においては、鉱物油系軟化剤(e)
は、ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム
(a)およびオレフィン系プラスチック(b)の合計量
100重量部に対して、3〜100重量部、好ましくは
5〜80重量部の割合で用いられる。
【0033】本発明で用いられるグラフト変性ポリオレ
フィン系エラストマー(1)は、ペルオキシド架橋型オ
レフィン系共重合体ゴム(a)、オレフィン系プラスチ
ック(b)およびα,β- 不飽和カルボン酸もしくはそ
の誘導体、または不飽和エポキシ単量体(c)、さらに
必要に応じて、ペルオキシド非架橋型ゴム状物質
(d)、鉱物油系軟化剤(e)を、上記したような割合
でブレンドし、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処
理して部分的に架橋させる方法で製造される。
【0034】本発明においては、上記のようなペルオキ
シド非架橋型ゴム状物質(d)および鉱物油系軟化剤
(e)を用いることが好ましい。また、本発明において
は、グラフト変性ポリオレフィン系エラストマー(1)
中に、充填剤、着色剤を、本発明の目的を損なわない範
囲で含めることができる。
【0035】上記の充填剤としては、具体的には、炭酸
カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タ
ルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アル
ミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウ
ム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラ
ファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、カ
ーボン繊維などが挙げられる。
【0036】上記の着色剤としては、具体的には、カー
ボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、べんがら、群青、
紺青、アゾ顔料、ニトロソ顔料、レーキ顔料、フタロシ
アニン顔料などが挙げられる。
【0037】さらに、本発明においては、グラフト変性
ポリオレフィン系エラストマー(1)中に、フェノール
系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フォスファ
イト系、アミン系安定剤などの公知の耐熱安定剤;老化
防止剤;耐候安定剤;帯電防止剤;金属セッケン、ワッ
クス等の滑剤などの添加剤を、オレフィン系プラスチッ
クあるいはオレフィン系共重合体ゴムの製造の際に通常
使用される割合で含めることができる。
【0038】本発明においては、上記のような各成分の
ブレンド物を有機ペルオキシドの存在下に動的に熱処理
して、部分的に架橋されたグラフト変性ポリオレフィン
系エラストマー(1)を製造する。
【0039】上記の「動的に熱処理する」とは、上記の
ような各成分を融解状態で混練することをいう。本発明
において、グラフト変性ポリオレフィン系エラストマー
(1)の製造の際に用いられる有機ペルオキシドとして
は、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-
ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブ
チルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(t
ert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-
ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス
(tert- ブチルペルオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロ
ヘキサン、n-ブチル-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキ
シ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベ
ンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオ
キシド、tert- ブチルペルオキシベンゾエート、tert-
ブチルペルベンゾエート、tert- ブチルペルオキシイソ
プロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウ
ロイルペルオキシド、tert- ブチルクミルペルオキシド
などが挙げられる。
【0040】これらの内では、臭気性、スコーチ安定性
の点で、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキ
シ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペ
ルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオ
キシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチル
ペルオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブ
チル-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート
が好ましく、なかでも、1,3-ビス(tert- ブチルペルオ
キシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
【0041】本発明においては、有機ペルオキシドは、
ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム(a)、
オレフィン系プラスチック(b)およびα,β- 不飽和
カルボン酸もしくはその誘導体、または不飽和エポキシ
単量体(c)の合計量100重量%に対して、0.05
〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%の割合で用い
られる。
【0042】有機ペルオキシドを上記のような割合で用
いると、得られるグラフト変性ポリオレフィン系エラス
トマー(1)は、耐熱性、引張特性、弾性回復および反
発弾性などのゴム的性質および強度特性に優れ、しか
も、成形性に優れている。
【0043】混練装置としては、従来公知の混練装置、
たとえば開放型のミキシングロール、非開放型のバンバ
リーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサーなどが
用いられる。これらの内では、非開放型の混練装置が好
ましく、混練は、窒素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガス
の雰囲気下で行なうことが好ましい。
【0044】また、混練は、使用する有機ペルオキシド
の半減期が1分未満となる温度で行なうのが望ましい。
混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは、17
0〜240℃であり、混練時間は、1〜20分間、好ま
しくは3〜10分間である。また、加えられる剪断力
は、剪断力で通常、10〜104 sec-1、好ましくは
102〜103sec-1の範囲内で決定される。
【0045】本発明においては、上記有機ペルオキシド
による部分架橋処理に際し、硫黄、p-キノンジオキシ
ム、p,p'- ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N
-4-ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニ
ルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニ
レンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、ある
いはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコー
ルジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタク
リレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレ
ートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレート
のような多官能性ビニルモノマーを配合することができ
る。
【0046】上記のような化合物を用いることにより、
均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明に
おいては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニル
ベンゼンは、取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分
であるペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム
(a)およびオレフィン系プラスチック(b)との相溶
性が良好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する
作用を有し、有機ペルオキシドの分散剤として働くた
め、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性との
バランスのとれたグラフト変性ポリオレフィン系エラス
トマーが得られる。
【0047】本発明においては、上記のような架橋助剤
もしくは多官能性ビニルモノマーは、上記の被架橋処理
物全体に対して、0.1〜2重量%、特に0.3〜1重
量%の割合で用いるのが好ましい。架橋助剤もしくは多
官能性ビニルモノマーの配合割合が2重量%を超える
と、有機ペルオキシドの配合量が多い場合には、架橋反
応が速く進行し過ぎるため、得られるグラフト変性ポリ
オレフィン系エラストマーは、流動性に劣り、一方、有
機ペルオキシドの配合量が少ない場合には、架橋助剤お
よび多官能性ビニルモノマーが、グラフト変性ポリオレ
フィン系エラストマー中に未反応のモノマーとして残存
し、グラフト変性ポリオレフィン系エラストマーは、加
工成形の際に熱履歴による物性の変化が生じたりする。
したがって、架橋助剤および多官能性ビニルモノマー
は、過剰に配合すべきではない。
【0048】また、有機ペルオキシドの分解を促進する
ために、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2,4,6-
トリス(ジメチルアミン)フェノール等の三級アミン、
アルミニウム、コバルト、バナジウム、銅、カルシウ
ム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、水銀
等のナフテン酸塩などの分解促進剤を用いることもでき
る。
【0049】本発明で用いられるグラフト変性ポリオレ
フィン系エラストマーは、部分的に架橋されているが、
この「部分的に架橋された」とは、下記の方法で測定し
たゲル含量が20〜98%の範囲内にある場合をいい、
本発明においては、ゲル含量が45〜98%の範囲内に
あることが好ましい。
【0050】[ゲル含量の測定法]試料としてグラフト
変性ポリオレフィン系エラストマーのペレットを約10
0mg秤量し、密閉容器中にてこのペレットに対して充
分な量である30mlのシクロヘキサンに、23℃で4
8時間浸漬する。
【0051】次に、この試料を濾紙上に取り出し、室温
にて72時間以上恒量になるまで乾燥する。ゲル含量
は、次式で表わされる。 ゲル含量[%]=(シクロヘキサン浸漬後の乾燥重量)
÷(シクロヘキサン浸漬前の重量)×100 本発明に係る熱可塑性エラストマー積層体の一層を構成
するグラフト変性ポリオレフィン系エラストマー(1)
は、部分架橋されたオレフィン系共重合体ゴムと、オレ
フィン系プラスチック、好ましくはペルオキシド分解型
オレフィン系プラスチックとからなるため、流動性に優
れている。
【0052】超高分子量ポリオレフィン組成物(2) 本発明で用いられる超高分子量ポリオレフィン組成物
(2)は、極限粘度[η]が6dl/g以上の超高分子
量ポリオレフィン(A)90〜10重量部と、極限粘度
[η]が0.1〜5dl/gのポリオレフィン(B)1
0〜90重量部とを含む組成物からなり、かつ、上記超
高分子量ポリオレフィン(A)および/またはポリオレ
フィン(B)が不飽和カルボン酸およびその誘導体から
選ばれる少なくとも1種の変性用単量体(C)で変性さ
れている。
【0053】上記の超高分子量ポリオレフィン(A)
は、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブ
テン、1-ペンテン、2-メチル-1- ブテン、3-メチル-1-
ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチル
-1- ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-
ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタ
デセン、1-イコセンなどのα- オレフィンの単独重合体
または共重合体からなる。本発明においては、エチレン
単独重合体、およびエチレンと他のα- オレフィンとか
らなる、エチレンを主成分とする共重合体が望ましい。
【0054】この超高分子量ポリオレフィン(A)のデ
カリン溶媒中135℃で測定した極限粘度[η]は、6
dl/g以上、好ましくは6〜40dl/g、さらに好
ましくは10〜30dl/gである。本発明では、特に
密度(D:ASTM D1505)が0.920g/c
3 以上、融点(Tm:ASTM D 3417)が11
5℃以上の超高分子量ポリオレフィンが好ましい。
【0055】本発明においては、上記超高分子量ポリオ
レフィン(A)は、超高分子量ポリオレフィン(A)お
よびポリオレフィン(B)の合計量100重量部に対し
て、90〜10重量部、好ましくは80〜10重量部、
さらに好ましくは50〜10重量部の割合で用いられ
る。
【0056】また、超高分子量ポリオレフィン組成物
(2)の構成成分であるポリオレフィン(B)は、上記
超高分子量ポリオレフィン(A)と同様に、上記のよう
なα-オレフィンの単独重合体または共重合体からな
る。本発明においては、エチレン単独重合体、およびエ
チレンと他のα- オレフィンとからなる、エチレンを主
成分とする共重合体が好ましい。
【0057】このポリオレフィン(B)のデカリン溶媒
中135℃で測定した極限粘度[η]は、0.1〜5d
l/g、好ましくは0.3〜4dl/gである。本発明
では、特に密度が0.92〜0.97g/cm3 、融点
が115〜145℃のポリオレフィンが好ましい。
【0058】本発明においては、上記ポリオレフィン
(B)は、超高分子量ポリオレフィン(A)およびポリ
オレフィン(B)の合計量100重量部に対して、10
〜90重量部、好ましくは20〜90重量部、さらに好
ましくは50〜90重量部の割合で用いられる。
【0059】本発明においては、上記のような範囲内
で、用途に応じて超高分子量ポリオレフィン(A)およ
びポリオレフィン(B)の含有割合を調整することがで
きる。たとえば、上記超高分子量ポリオレフィン組成物
(2)を射出成形に用いる場合には、超高分子量ポリオ
レフィン(A)およびポリオレフィン(B)の合計量1
00重量部に対して、超高分子量ポリオレフィン(A)
が25〜10重量部、ポリオレフィン(B)が75〜9
0重量部の割合で存在する超高分子量ポリオレフィン組
成物(2)を用いると、成形性や良好な外観を得ること
ができるため好ましい。また、上記超高分子量ポリオレ
フィン組成物(2)を押出成形に用いる場合には、超高
分子量ポリオレフィン(A)およびポリオレフィン
(B)の合計量100重量部に対して、超高分子量ポリ
オレフィン(A)が80〜15重量部、ポリオレフィン
(B)が20〜85重量部の割合で存在する超高分子量
ポリオレフィン組成物(2)を用いると、成形性や良好
な外観を得ることができるため好ましい。
【0060】本発明で用いられる超高分子量ポリオレフ
ィン組成物(2)において、超高分子量ポリオレフィン
(A)および/またはポリオレフィン(B)を変性する
ための変性用単量体(C)である不飽和カルボン酸とし
ては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン
酸、エンドシス- ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5- エン-2,
3- ジカルボン酸(ナジック酸TM)などが挙げられる。
【0061】また、その誘導体としては、酸ハライド、
エステル、アミド、イミド、無水物などが挙げられ、具
体的には、塩化マレニル、マレイミド、アクリル酸アミ
ド、メタクリル酸アミド、グリシジルメタクリレート、
無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメ
チル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなど
が挙げられる。これらの変性用単量体(C)は、1種単
独でも2種以上を組み合わせても用いられる。これらの
中でも、無水マレイン酸が、反応性が高く、強度および
外観の良好な成形品を得ることができるため好ましい。
【0062】本発明で用いられる超高分子量ポリオレフ
ィン組成物(2)は、上記超高分子量ポリオレフィン
(A)とポリオレフィン(B)とを含む組成物からな
り、この組成物において、超高分子量ポリオレフィン
(A)および/またはポリオレフィン(B)が、不飽和
カルボン酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1
種の変性用単量体(C)で変性されてなるものである。
【0063】このような超高分子量ポリオレフィン組成
物(2)の調製方法としては、次のような方法が挙げら
れる。 (1)超高分子量ポリオレフィン(A)とポリオレフィ
ン(B)のいずれか一方または両方を変性用単量体
(C)で変性した後、両者を上記含有割合で混合する方
法。
【0064】(2)超高分子量ポリオレフィン(A)と
ポリオレフィン(B)とを混合した後この混合物を変性
用単量体(C)で変性する方法。 (3)オレフィンの重合時に、特定のチーグラー型触媒
を用いる多段階重合を行なって超高分子量ポリオレフィ
ン(A)とポリオレフィン(B)とを上記含有割合で含
む混合物を製造した後、この混合物を変性用単量体
(C)で変性する方法。
【0065】上記多段階重合により、超高分子量ポリオ
レフィン(A)とポリオレフィン(B)とを含む混合物
を調製する方法は、マグネシウム、チタンおよびハロゲ
ンを必須成分とする高活性固体状チタン触媒成分(a)
および有機アルミニウム化合物触媒成分(b)から形成
されるチーグラー型触媒の存在下にオレフィンを多段階
重合させる方法である。たとえば、まず、1段の重合工
程において、オレフィンを重合させて上記超高分子量ポ
リオレフィン(A)を生成させ、その他の段の重合工程
において、水素の存在下にオレフィンを重合させてポリ
オレフィン(B)を生成させることにより、上記超高分
子量ポリオレフィン(A)とポリオレフィン(B)とを
含む混合物を得ることができる。
【0066】この多段階重合において使用されるチーグ
ラー型触媒は、基本的に固体状チタン触媒成分と有機ア
ルミニウム化合物触媒成分とから構成される特定の性状
の触媒である。
【0067】この固体状チタン触媒成分としては、たと
えば、粒度分布が狭く、平均粒径0.01〜5μm程度
のものであり、微小球体が数個固着したような形態の高
活性微粉末状触媒成分を用いるのが好ましい。このよう
な性状を有する高活性微粉末状チタン触媒成分は、たと
えば、特開昭56−811号公報に記載された固体状チ
タン触媒成分において、液体状態のマグネシウム化合物
と液体状態のチタン化合物を接触させて固体生成物を析
出させる際に析出条件を厳密に調整することによって製
造することができる。たとえば、特開昭56−811号
公報に開示された方法において、塩化マグネシウムと高
級アルコールとを溶解した炭化水素溶液と、四塩化チタ
ンとを低温で混合し、次いで50〜100℃程度に昇温
して固体生成物を析出させる際に、塩化マグネシウム1
モルに対し、0.01〜0.2モル程度の微量のモノカ
ルボン酸エステルを共存させるとともに強力な攪拌条件
下に該析出を行なうものである。さらに必要ならば四塩
化チタンで洗浄してもよい。このようにして、活性、粒
子状態共に満足すべき固体触媒成分を得ることができ
る。この触媒成分は、たとえば、チタンを約1〜6重量
%程度含有し、ハロゲン/チタン(原子比)が約5〜9
0、マグネシウム/チタン(原子比)が約4〜50の範
囲にあるものである。
【0068】また、上記のようにして得られる固体状チ
タン触媒成分のスラリーを高速で剪断処理することによ
り得られる、粒度分布が狭く、平均粒径が通常、0.0
1〜5μm、好ましくは0.05〜3μmの範囲にある
微小球体からなるものも、高活性微粉末状チタン触媒成
分として好適に用いられる。高速剪断処理の方法として
は、たとえば、不活性ガス雰囲気中で固体状チタン触媒
成分のスラリーを市販のホモミキサーを用いて適当な時
間処理する方法が採用される。その際、触媒性能の低下
を防止するために、予めチタンと等モル量の有機アルミ
ニウム化合物を添加しておく方法を採用することもでき
る。さらに、処理後のスラリーを篩で粗粒を除去する方
法を採用することもできる。これらの方法によって、上
記微小粒径の高活性微小粉末状チタン触媒成分を得るこ
とができる。
【0069】この高活性微粉末状チタン触媒成分と有機
アルミニウム化合物触媒成分とを用い、必要に応じて電
子供与体を併用して、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、
灯油等の炭化水素溶媒中で、通常、0〜100℃の範囲
の温度条件下、少なくとも2段以上の多段階重合工程で
たとえばエチレン単独、またはエチレンを主成分とする
単量体混合物をスラリー重合することによって、超高分
子量ポリエチレンとポリエチレンとの混合物を製造する
ことができる。
【0070】用いられる有機アルミニウム化合物触媒成
分としては、具体的には、トリエチルアルミニウム、ト
リイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウ
ム;ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアル
ミニウムクロリド等のジアルミニウムクロリド;エチル
アルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウム
セスキクロリドなどが挙げられ、これらは1種単独また
は2種以上を組合わせて用いられる。この多段階重合工
程においては、少なくとも2槽以上の重合槽が、通常、
直列に連結された多段階重合装置が採用され、たとえ
ば、2段重合法、3段重合法、・・・・・・n段重合法が行な
われる。また、1個の重合槽で回分式重合法により多段
階重合法を実施することも可能である。この多段階重合
工程のうちの少なくとも1個の重合槽においては特定量
の超高分子量ポリオレフィンを生成させることが必要で
ある。この超高分子量ポリオレフィンを生成させるため
の重合工程は、第一段の重合工程であってもよいし、中
間の重合工程であってもよいし、また2段以上の複数段
であってもよい。第一段重合工程において超高分子量ポ
リオレフィン(A)を生成させるのが、重合処理操作お
よび生成ポリオレフィンの物性の制御の点から好適であ
る。この重合工程においては、全工程で重合されるオレ
フィンの15〜40重量%を重合させることにより、所
定の極限粘度[η]の超高分子量ポリオレフィン(A)
を生成させる。さらには全重合工程で重合されるモノマ
ーの18〜37重量%、特に21〜35重量%を重合さ
せることにより、所定の極限粘度の超高分子量ポリオレ
フィン(A)を生成させることが好ましい。
【0071】この多段階重合工程において、超高分子量
ポリオレフィン(A)を生成させる重合工程では、前記
高活性チタン触媒成分と有機アルミニウム触媒成分から
なる特定のチーグラー型触媒の存在下に重合が行われ
る。この重合は、気相重合法で実施することもできる
し、液相重合法で実施することもできる。いずれの重合
法においても、超高分子量ポリオレフィン(A)を生成
させる重合工程では、重合反応は必要に応じて不活性媒
体の存在下に実施される。たとえば、気相重合法では、
必要に応じて不活性媒体からなる希釈剤の存在下に実施
され、液相重合法では、必要に応じて不活性媒体からな
る溶媒の存在下に実施される。
【0072】この超高分子量ポリオレフィン(A)を生
成させる重合工程では、触媒として高活性チタン触媒成
分、たとえば、媒体1リットル当りのチタン原子として
約0.001〜20ミリグラム原子、特に約0.005
〜10ミリグラム原子、有機アルミニウム化合物触媒成
分を、Al/Ti(原子比)が約0.1〜1000、特
に約1〜500となるような割合で使用するのがよい。
上記超高分子量ポリオレフィン(A)を生成させる重合
工程における温度は、通常、約−20〜120℃、好ま
しくは約0〜100℃、特に好ましく約5〜95℃の範
囲である。また、重合反応の圧力は、上記温度で液相重
合または気相重合が可能な圧力範囲であればよく、たと
えば、大気圧〜約100Kg/cm2 、好ましくは大気圧〜
約50Kg/cm2 の範囲である。また、重合時間は、全重
合ポリオレフィンの生成量が高活性チタン触媒成分中の
チタン1ミリグラム原子当り約1000g以上、好まし
くは約2000g以上となるように設定すればよい。ま
た、重合工程において、上記超高分子量ポリオレフィン
(A)を生成させるためには、重合反応を水素の不存在
下に行なうのが好ましい。さらに、重合反応を実施後、
重合体を不活性媒体雰囲気下で一旦単離し、保存してお
くことも可能である。
【0073】上記超高分子量ポリオレフィン(A)を生
成させる重合工程において用いられる不活性媒体として
は、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、デカン、灯油等の脂肪族炭化
水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化
水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素;ジクロルエタン、メチレンクロリド、クロルベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられ、これらは1
種単独または2種以上を組合わせて用いられる。特に脂
肪族炭化水素が好ましい。
【0074】また、本発明の方法において、上記超高分
子量ポリオレフィン(A)を生成させる重合工程以外の
他の重合工程においては、水素の存在下に残余のモノマ
ーを重合反応させて低分子量のポリオレフィン(B)が
生成される。超高分子量ポリオレフィン(A)を生成さ
せる重合工程が第一段の重合工程であれば、第二段以降
の重合工程がこの水素の存在下に行なわれる低分子量の
ポリオレフィン(B)の生成工程である。この低分子量
のポリオレフィン(B)の重合工程が超高分子量ポリオ
レフィン(A)の生成工程の後に位置している場合に
は、その低分子量のポリオレフィン(B)の重合工程に
は、超高分子量ポリオレフィン(A)を含む反応混合物
が供給され、この低分子量のポリオレフィン(B)の重
合工程が超高分子量ポリオレフィン(A)が生成される
重合工程の前に位置する場合には、前段階で生成した低
分子量のポリオレフィン(B)および超高分子量ポリオ
レフィン(A)が供給され、いずれの場合にも連続して
重合が実施される。その際、当該重合工程には、通常、
原料単量体混合物および水素が供給される。当該重合工
程が第一段階の重合工程である場合には、上記高活性チ
タン触媒成分および有機アルミニウム化合物触媒成分か
らなる触媒が供給され、当該重合工程が第二段階以降の
重合工程である場合には、前段階で生成した重合反応混
合物中に含まれている触媒をそのまま使用することもで
きるし、必要に応じて上記高活性チタン触媒成分および
/または有機アルミニウム化合物触媒成分を追加補充し
てもよい。
【0075】上記超高分子量ポリオレフィン(A)生成
の重合工程以外の重合工程における水素の供給割合は、
当該重合工程に供給されるモノマー1モルに対して通
常、0.01〜50モル、好ましくは0.05〜30モ
ルの範囲である。
【0076】上記超高分子量ポリオレフィン(A)生成
の重合工程以外の重合工程における重合槽内の重合反応
混合物中の各触媒成分の濃度は、重合容積1リットル当
り、前記処理された触媒をチタン原子に換算して約0.
001〜0.1ミリグラム原子、好ましくは約0.00
5〜0.1ミリグラム原子とし、重合系のAl/Ti
(原子比)が約1〜1000、好ましくは約2〜500
となるように調整するのが好ましい。また、必要に応じ
て、有機アルミニウム化合物触媒成分を追加使用しても
よい。重合系中には、他に分子量、分子量分布等を調節
するために、水素、電子供与体、ハロゲン化炭化水素な
どを共存させてもよい。
【0077】重合温度は、スラリー重合、気相重合が可
能な温度範囲で、かつ約40℃以上、より好ましくは約
50〜100℃の範囲である。また、重合の圧力は、た
とえば、大気圧〜約100Kg/cm2 、特に大気圧〜約5
0Kg/cm2 の範囲が推奨される。そして重合体の生成量
が、チタン触媒成分中のチタン1ミリグラム原子当り約
1000g以上、特に好ましくは約5000g以上とな
るような重合時間を設定するのがよい。
【0078】超高分子量ポリオレフィン(A)生成の重
合工程以外の重合工程は、同様に気相重合法で行なうこ
ともできるし、また液相重合法で行なうこともできる。
もちろん、各重合工程で異なる重合法を採用してもよ
い。液相重合法の中ではスラリー懸濁重合法が好適に採
用される。いずれの場合にも、重合工程では重合反応
は、通常、不活性媒体の存在下に実施される。たとえ
ば、気相重合法では、不活性媒体希釈剤の存在下に実施
され、液相スラリー懸濁重合法では不活性媒体溶媒の存
在下に実施される。不活性媒体としては、上記超高分子
量ポリオレフィン(A)の生成の重合工程において例示
した不活性媒体と同じものを例示することができる。
【0079】最終段階の重合工程で得られる超高分子量
ポリオレフィン(A)と、ポリオレフィン(B)の混合
物の極限粘度[η]cは、通常、3.5〜15dl/
g、好ましくは4.0〜10dl/g、溶融トルクは、
通常、4.5Kg・cm以下である。
【0080】また、前記多段階重合は、回分式、半連続
式または連続式のいずれの形式でも行うことができる。
超高分子量ポリオレフィン(A)および/またはポリオ
レフィン(B)、または両成分を含む組成物を上記変性
用単量体(C)で変性する方法としては、従来公知の種
々の方法が採用できる。たとえば、超高分子量ポリオレ
フィン(A)および/またはポリオレフィン(B)、も
しくは両成分を含む組成物を溶媒に懸濁させ、あるいは
溶解させて、通常、80〜200℃の温度で、変性用単
量体とラジカル重合開始剤等を添加混合してグラフト共
重合させる方法、あるいは融点以上、たとえば、180
〜300℃の温度で溶融混練下に変性用単量体(C)と
ラジカル重合開始剤とを接触させる方法などが挙げられ
る。
【0081】用いられる溶媒としては、具体的には、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系
溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環
族炭化水素系溶媒;トリクロロエチレン、パークロロエ
チレン、ジクロロエチレン、ジクロロエタン、クロロベ
ンゼン等の塩素化炭化水素系溶媒;エタノール、イソプ
ロパノール等の脂肪族アルコール系溶媒;アセトン、メ
チルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン
系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエス
テル系溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は、1種単
独でも2種以上を組み合わせても用いられる。
【0082】また、ラジカル重合開始剤としては、有機
過酸化物、アゾ化合物等のラジカル開始剤が挙げられ
る。有機過酸化物としては、具体的には、ベンゾイルパ
ーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイ
ド、m-トリオイルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオ
キサイド、ジクミルパーオキサイド、(2,5-ジメチル-
2,5- ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメ
チル-2,5- ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ラ
ウロイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシアセテー
ト、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘ
キサン、t-ブチルパ−オキシベンゾエート、t-ブチルパ
ーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシフェニル
アセテート、t-ブチルパーオキシ-s- オクテート、t-ブ
チルパーオキシピバレート、クミルパーオキシピバレー
ト、t-ブチルパーオキシエチルアセテートなどが挙げら
れる。
【0083】アゾ化合物としては、具体的には、アゾイ
ソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどが
挙げられる。これらのラジカル開始剤は、1種単独また
は2種以上を組合わせて用いられる。
【0084】本発明で用いられる超高分子量ポリオレフ
ィン組成物(2)において、上記変性用単量体(C)の
グラフト量は、超高分子量ポリオレフィン(A)および
ポリオレフィン(B)の合計量100重量%に対して
0.2〜2.0重量%の割合であるのが好ましく、特に
0.7〜1.3重量%の割合であるのが好ましい。
【0085】なお、本発明においては、超高分子量ポリ
オレフィン組成物(2)中に、上述したグラフト変性ポ
リオレフィン系エラストマー(1)の場合と同様に、充
填剤、着色剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含め
ることができる。
【0086】また、本発明においては、超高分子量ポリ
オレフィン組成物(2)中に、上述したグラフト変性ポ
リオレフィン系エラストマー(1)の場合と同様に、フ
ェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フ
ォスファイト系、アミン系安定剤などの公知の耐熱安定
剤;老化防止剤;耐候安定剤;帯電防止剤;金属セッケ
ン、ワックス等の滑剤などの添加剤を、オレフィン系プ
ラスチックあるいはオレフィン系共重合体ゴムの製造の
際に通常使用される割合で含めることができる。
【0087】本発明においては、超高分子量ポリオレフ
ィン組成物(2)は、超高分子量ポリオレフィン組成物
(2)および滑性樹脂(3)からなる層[II]を構成
するこれらの成分の合計量100重量部に対して、2〜
90重量部、好ましくは3〜70重量部、さらに好まし
くは5〜50重量部の割合で用いられる。
【0088】滑性樹脂(3)に超高分子量ポリオレフィ
ン組成物(2)を上記のような割合で配合することによ
り、滑性樹脂(3)の良好な溶融流動特性を保持しつ
つ、滑性樹脂(3)の摺動特性を向上させることができ
る。
【0089】滑性樹脂(3) 本発明で用いられる滑性樹脂(3)としては、ポリアミ
ド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂および熱可塑性ポリ
エステル樹脂が挙げられる。
【0090】上記ポリアミド樹脂としては、具体的に
は、6−ナイロン、6,6−ナイロンなどの各種ナイロ
ンが挙げられる。また、上記熱可塑性ポリウレタン樹脂
としては、耐水性、耐油性および耐傷付性に優れた樹脂
が好ましい。熱可塑性であって、上記の特性に優れたポ
リウレタン樹脂であれば、本発明の滑性樹脂として使用
可能である。
【0091】上記熱可塑性ポリエステル樹脂としては、
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン
イソフタレート(PEI)などが挙げられる。
【0092】本発明においては、滑性樹脂(3)は、超
高分子量ポリオレフィン組成物(2)および滑性樹脂
(3)からなる層を構成するこれらの成分の合計量10
0重量部に対して、98〜10重量部、好ましくは97
〜30重量部、さらに好ましくは95〜50重量部の割
合で用いられる。
【0093】熱可塑性エラストマー積層体 本発明に係る熱可塑性エラストマー積層体は、上記のよ
うなグラフト変性ポリオレフィン系エラストマー(1)
からなる層[I]と、上記超高分子量ポリオレフィン組
成物(2)および滑性樹脂(3)からなる層[II]と
で構成される。本発明に係る熱可塑性エラストマー積層
体は、上記の両層を積層させることによって得ることが
できる。
【0094】グラフト変性ポリオレフィン系エラストマ
ー(1)からなる層[I]と超高分子量ポリオレフィン
組成物(2)および滑性樹脂(3)からなる層[II]
との積層方法は、最終製品の形状、大きさ、要求物性に
より異なり、特に限定しないが、たとえば以下のような
積層方法が挙げられる。
【0095】(1)予め成形された層[I」、層[I
I]を、少なくとも一方の層が溶融する温度以上の温度
でカレンダーロール成形機、圧縮成形機などを用いて熱
融着する方法。
【0096】(2)予めどちらか一方がシート成形され
た層[I]あるいは層[II]を押出成形、カレンダー
成形をしている他方の層に熱融着する方法。 (3)多層押出成形機で層[I]と層[II]とを同時
に押出成形して熱融着する方法。
【0097】本発明においては、層[I]の厚さは0.
1〜50mm、また、層[II]の厚さは5μm〜10
mmであることが、一般的に好ましい。本発明に係る熱
可塑性エラストマー積層体において、上記グラフト変性
ポリオレフィン系エラストマー(1)からなる層[I]
は、部分架橋されたオレフィン系共重合体ゴムと、オレ
フィン系プラスチック、好ましくはペルオキシド分解型
オレフィン系プラスチックとからなるため、耐熱性、耐
熱老化性およびゴム弾性に優れている。
【0098】また、本発明に係る熱可塑性エラストマー
積層体において、上記の超高分子量ポリオレフィン組成
物(2)および滑性樹脂(3)からなる層[II]は、
耐熱性、耐摩耗性、耐傷付性、摺動性および耐薬品性に
優れている。
【0099】特に耐熱性が要求されない用途では、超高
分子量ポリオレフィン組成物(2)および滑性樹脂
(3)からなる層[II]の代わりに、超高分子量ポリ
オレフィン組成物(2)単独で構成された層にすること
ができる。
【0100】
【発明の効果】本発明に係る熱可塑性エラストマー積層
体は、グラフト変性ポリオレフィン系エラストマー
(1)からなる層[I]と超高分子量ポリオレフィン組
成物(2)および滑性樹脂(3)からなる層[II]と
の層間接着性が著しく優れている。また、本発明に係る
熱可塑性エラストマー積層体は、従来の加硫ゴムとナイ
ロン繊維とからなる複合材、あるいは軟質ポリ塩化ビニ
ルと比較して軽量であり、可塑剤などの滲出による表面
のベタつきもなく、しかも、機械的強度、耐熱性、耐熱
老化性、耐候性、耐摩耗性、耐傷付性、摺動性および寸
法安定性に優れている。
【0101】したがって、本発明に係る熱可塑性エラス
トマー積層体は、自動車内装材、シール材(特に自動車
の窓ガラスとの摺動性が要求されるガラスランチャンネ
ルおよびベルトラインモール、ドアインナーモール、ド
アアウターモールなどで通称水切りと呼ばれているもの
など)の用途だけでなく、家具、建材、家電用ハウジン
グ、鞄、スーツケース、スポーツ用品、事務用品、雑貨
などの用途にも有効に用いることができる。
【0102】以下、本発明を実施例により説明するが、
本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0103】
【実施例1】エチレン含有量70モル%、ヨウ素価1
2、ムーニー粘度ML1+4 (100℃)120のエチレ
ン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム
[以下、EPDM(1)と略す]80重量部と、MFR
(ASTM D 1238−65T、230℃)13、
密度0.91g/cm3 のポリプロピレン[以下、PP
と略す]20重量部とを、バンバリーミキサーを用い
て、窒素雰囲気中、180℃で5分間混練した後、この
混練物をロールに通してシート状にし、これをシートカ
ッターで角ペレットにした。
【0104】次いで、この角ペレットと、1,3-ビス(t
ert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン[以
下、ペルオキシド(A)と略す]0.3重量部と、ジビ
ニルベンゼン[以下、DVBと略す]0.5重量部と、
無水マレイン酸[以下、MAHと略す]0.5重量部と
をヘンシェルミキサーで攪拌混合した。
【0105】次いで、この混合物を、L/D=30、ス
クリュー径50mmの一軸押出機を用いて、窒素雰囲気
中、220℃で押出してグラフト変性ポリオレフィン系
エラストマー(a)を得た。
【0106】そして、得られたグラフト変性ポリオレフ
ィン系エラストマー(a)中の共重合体ゴムのゲル含量
を、上記の方法で測定した。その結果を表1に示す。ま
た、得られたグラフト変性ポリオレフィン系エラストマ
ー(a)を190℃で圧縮成形し、物性測定用のシート
を作製し、引張破断点応力(TB )、柔軟性および成形
性を下記の方法に従って試験した。その結果を表1に示
す。
【0107】[試験方法] (1)引張破断点応力(TB ) JIS K 6301に準拠して、200mm/min
の引張り速度で破断点の引張強さ(TB :単位kgf/
cm2 )を測定した。
【0108】(2)柔軟性 ASTM D 1043に準拠して、ねじり剛性(単位
kgf/cm2)を求め、ねじり剛性をもって柔軟性を
評価した。
【0109】(3)成形性 ASTM D 1238に準拠して、メルトフローレー
ト(MFR:単位g/10min、230℃、2.16
kg)を求め、メルトフローレートをもって成形性を評
価した。
【0110】次に、得られたグラフト変性ポリオレフィ
ン系エラストマー(a)を230℃の温度で押出成形す
るとともに、その表面に135℃デカリン溶媒中で測定
した極限粘度[η]が21dl/gの超高分子量ポリエ
チレン25重量%と、135℃デカリン溶媒中で測定し
た極限粘度[η]が1.5dl/gのポリエチレン75
重量%とからなる超高分子量ポリエチレン組成物[無水
マレイン酸含有率:1重量%、135℃デカリン溶媒中
で測定した極限粘度[η]:6.4dl/g、密度:
0.965g/cm3 ]20重量部と、6−ナイロン
[商品名アミランCM−1007、東レ(株)製]80
重量部とをあらかじめヘンシェルミキサーで混合して得
た混合物を250℃にて共押出積層してグラフト変性ポ
リオレフィン系エラストマー(a)層の厚みが1.0m
m、6−ナイロンと超高分子量ポリエチレンとからなる
層の厚みが0.1mmの共押出積層体を得た。
【0111】得られた積層体について、層間接着強度を
下記の方法に従って測定した。その結果を表1に示す。 [層間接着強度試験] 試験方法:180度剥離 試験片:幅25mm、長さ100mm 引張速度:25mm/min 層間接着強度:剥離荷重を試験片の幅で除した値(単位
kgf/cm) また、積層体を構成する6−ナイロンと超高分子量ポリ
エチレン組成物とからなる層の表面の動摩擦係数および
摩耗係数を下記の試験方法により求めたところ、0.1
5および10(10-10cm3/kg・m)であった。
【0112】[動摩擦係数の測定試験]動摩擦係数は、
松原式摩擦摩耗試験機を用いてステップワイズ法にて測
定した。 試験条件 相手材:SUS304(粗度:6s前後) 周速:12m/min 荷重:10kg 接触面積:2cm2 [摩耗試験]JIS K−7218のA法に準拠して、
松原式摩擦摩耗試験機を用いて、SUS304製回転中
空円筒を使用し、試験速度33.3m/minで試験を
行ない、168時間後の摩耗量(mg)を測定し、摩耗
係数(10-10cm3/kg・m)を求めた。
【0113】
【実施例2】実施例1において、ペルオキシド(A)の
配合量を0.6重量部、無水マレイン酸の配合量を2.
0重量部とした以外は、実施例1と同様に行なった。
【0114】結果を表1に示す。
【0115】
【実施例3】実施例1において、グラフト変性ポリオレ
フィン系エラストマーを製造する際に、EPDM(1)
およびPPのほかに、ブチルゴム[エッソ社製、IIR
−065、不飽和度0.8モル%、以下、IIRと略
す]10重量部およびパラフィン系プロセスオイル[出
光興産製、商品名ダイアナプロセスオイル]30重量部
を配合した以外は、実施例1と同様に行なった。
【0116】結果を表1に示す。
【0117】
【実施例4】実施例3において、MAH 0.5重量部
の代わりに、グリシジルメタクリレート0.5重量部を
用いた以外は、実施例3と同様に行なった。
【0118】結果を表1に示す。
【0119】
【実施例5】実施例3において、EPDM(1)、P
P、IIRおよびパラフィン系プロセスオイルの配合量
をそれぞれ60重量部、40重量部、20重量部、40
重量部とした以外は、実施例3と同様に行なった。
【0120】結果を表1に示す。
【0121】
【実施例6】実施例3において、EPDM(1)、P
P、IIRおよびパラフィン系プロセスオイルの配合量
をそれぞれ90重量部、10重量部、20重量部、40
重量部とし、また、MAH 0.5重量部の代わりに、
グリシジルメタクリレート3重量部を用いた以外は、実
施例3と同様に行なった。
【0122】結果を表1に示す。
【0123】
【実施例7】実施例3において、EPDM(1)、P
P、IIR、パラフィン系プロセスオイルおよびMAH
の配合量をそれぞれ70重量部、30重量部、40重量
部、60重量部、6重量部とした以外は、実施例3と同
様に行なった。
【0124】結果を表1に示す。
【0125】
【実施例8】実施例1において、6−ナイロンの代わり
に、ポリウレタン樹脂[商品名ポリウレタン P26S
RNAT、日本ポリウレタン工業(株)製]を用いた以
外は、実施例1と同様に行なった。
【0126】結果を表1に示す。なお、積層体を構成す
るポリウレタン樹脂と超高分子量ポリエチレンとからな
る層の表面の動摩擦係数は、0.15であり、摩耗係数
は11(10-10cm3/kg・m)であった。
【0127】
【実施例9】実施例1において、6−ナイロンの代わり
に、25℃オルソクロロフェノール溶液中で測定した極
限粘度[η]が1.0dl/gのポリエチレンテレフタ
レート樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に行なっ
た。
【0128】結果を表1に示す。なお、積層体を構成す
るポリエチレンテレフタレート樹脂と超高分子量ポリエ
チレンとからなる層の表面の動摩擦係数は、0.15で
あり、摩耗係数は10(10-10cm3/kg・m)であ
った。
【0129】
【比較例1】実施例1において、超高分子量ポリエチレ
ン組成物を用いないで、6−ナイロンのみを用いてグラ
フト変性ポリオレフィン系エラストマー(a)層の厚み
が1.0mm、6−ナイロン層の厚みが0.1mmの積
層体を得た以外は、実施例1と同様に行なった。
【0130】なお、積層体を構成する6−ナイロン層表
面の動摩擦係数は、0.8であり、摩耗係数は1100
(10-10cm3/kg・m)であった。
【0131】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08L 51/00 - 51/10 C08L 23/00 - 23/36

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グラフト変性ポリオレフィン系エラストマ
    ー(1)からなる層[I]と、超高分子量ポリオレフィ
    ン組成物(2)およびポリアミド樹脂、熱可塑性ポリウ
    レタン樹脂および熱可塑性ポリエステル樹脂からなる群
    から選ばれる滑性樹脂(3)からなる層[II]とから
    なる熱可塑性エラストマー積層体であって、 該グラフト変性ポリオレフィン系エラストマー(1)
    が、 (a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム9
    5〜10重量部と、 (b)オレフィン系プラスチック5〜90重量部[成分
    (a)および(b)の合計量は、100重量部とする]
    と、 (c)α,β-不飽和カルボン酸もしくはその誘導体、
    または不飽和エポキシ単量体0.01〜10重量部 とを含有するブレンド物が、有機ペルオキシドの存在下
    で動的に熱処理されて部分的に架橋されているグラフト
    変性ポリオレフィン系エラストマーであり、 該超高分子量ポリオレフィン組成物(2)が、 (A)極限粘度[η]が6dl/g以上の超高分子量ポ
    リオレフィン90〜10重量部と、 (B)極限粘度[η]が0.1〜5dl/gのポリオレ
    フィン10〜90重量部とを含む組成物からなり、か
    つ、該超高分子量ポリオレフィン(A)および/または
    ポリオレフィン(B)が不飽和カルボン酸およびその誘
    導体から選ばれる少なくとも1種の変性用単量体(C)
    で変性されている超高分子量ポリオレフィン組成物であ
    ることを特徴とする熱可塑性エラストマー積層体。
  2. 【請求項2】前記グラフト変性ポリオレフィン系エラス
    トマー(1)が、前記(a)成分および(b)成分の合
    計量100重量部に対して、 (d)ペルオキシド非架橋型ゴム状物質5〜100重量
    部、および/または (e)鉱物油系軟化剤3〜100重量部 を含有していることを特徴とする請求項第1項に記載の
    熱可塑性エラストマー積層体。
  3. 【請求項3】前記(a)ペルオキシド架橋型オレフィン
    系共重合体ゴムが95〜60重量部であり、かつ、前記
    (b)オレフィン系プラスチックが5〜40重量部[成
    分(a)および(b)の合計量は、100重量部とす
    る]であることを特徴とする請求項第1項または第2項
    に記載の熱可塑性エラストマー積層体。
  4. 【請求項4】前記超高分子量ポリオレフィン(A)およ
    び/またはポリオレフィン(B)が、無水マレイン酸で
    変性されていることを特徴とする請求項第1項〜第3項
    のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー積層体。
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