JP2966723B2 - 撮像部を切り離す電子内視鏡装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電子内視鏡装置、特に体
腔内において撮像部が内視鏡本体と分離できるように構
成された装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】固体撮像素子であるＣＣＤ（Charge Cou
pled Device ）により、被観察体内の画像を観察する電
子内視鏡装置が周知であり、この電子内視鏡装置では、
電子内視鏡（スコープ）を被観察体内へ挿入して、消化
管等の体腔内患部の観察や処置が行われる。この電子内
視鏡の挿入部は、上記ＣＣＤが設けられた先端部、操作
部の操作により上下、左右に曲げ動作するアングル部、
軟性部から構成されており、このアングル部によって先
端部を所望の部位に曲げ操作できるようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記電
子内視鏡装置では、アングル部の曲げ角度の範囲で被観
察体内を観察することになるので、観察できない範囲が
生じるという問題があった。即ち、先端部前面を挿入方
向の後方を向くように曲げることは困難であり、例えば
ポリープのような突起物を裏側から見ることはできな
い。また、従来装置ではＣＣＤの観察方向と処置具挿通
チャンネルから処置具を導出する方向との位置関係を変
えることはできないが、患部の処置をする場合、この観
察方向と処置具導出方向を変えた方が処置しやすい場合
も多く、処置方向以外の任意の方向から患部が観察でき
れば便利である。

【０００４】従来においては、撮像部を備えたカプセル
状のマイクロマシンを単独で経口投与することも提案さ
れている。しかし、このマイクロマシンを単独で用いる
場合は、生体機能を利用しながら、装置自体に設けられ
た駆動手段によって患部位置まで移動する必要があり、
この移動操作が容易ではないという問題がある。

【０００５】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、内視鏡先端部の操作方向とは関係
なく任意の方向から被観察体内を観察でき、また切り離
される撮像部の移動・配置が容易となる撮像部を切り離
す電子内視鏡装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る撮像部を切り離す電子内視鏡装置は、
撮像素子及び送信器が設けられた撮像部を内視鏡本体か
ら切り離すように構成し、内視鏡本体側には、上記撮像
部を先端部に保持するための保持手段と、上記送信器か
ら送られる送信画像信号を受信する受信器とを設けたこ
とを特徴とする。この撮像部には、べん毛駆動部、キャ
タピラ（商標）駆動部等の自己推進或いは自己位置修正
手段を設けてもよい。

【０００７】

【作用】上記の構成によれば、保持手段として設けられ
た格納部と例えば電磁石によって、撮像部は内視鏡本体
に連結されており、被観察体内の所望の位置まで挿入・
移動させた時点で、電磁石をオフにすることにより撮像
部は切り離される。そうすると、今まで内視鏡の先端部
の目となっていた撮像部は、内視鏡から離れた独立した
撮像装置として被観察体内の撮影を行うことになる。

【０００８】そして、この撮像部で得られた画像信号
は、所定の処理が実行された後に、送信器から内視鏡本
体へ送信される。内視鏡本体の受信器では、先端部に配
置されたアンテナを介して画像信号が受信され、この画
像信号に対して所定の信号処理を施すことによって、被
観察体内の画像がモニタへ表示される。なお、上記切離
し時の撮像部の位置は、自己推進手段としてのべん毛等
で修正してもよいし、内視鏡側の送気・送水手段や処置
具挿通チャンネルを利用した修正部材によって修正して
もよい。

【０００９】

【実施例】図１及び図２には、第１実施例に係る撮像部
を切り離す電子内視鏡装置の構成が示されている。図１
において、電子内視鏡の先端部１０に円形溝状の格納部
１１が形成され、この格納部１１内に円柱形カプセルか
らなる撮像部１２が１／３程度を格納し、かつ切離し可
能に配置される。この撮像部１２の後端面１３は金属板
等から構成されると共に、上記格納部１１の底部には電
磁石１４が配置される。この電磁石１４には、操作スイ
ッチ１６と電源１７が接続される。

【００１０】また、電子内視鏡では鉗子等の処置具を導
入するための処置具挿通チャンネル１８、送気・送水の
ための供給路１９が配設され、これらの出口は格納部１
１の底部に設けられる。従って、上記操作スイッチ１６
により電磁石１４をオフすると、撮像部１２が格納部１
１から離れることになるが、この際には供給路１９から
供給された空気又は水によって、撮像部１２を遠くまで
飛ばすことも可能となる。なお、上記撮像部１２にはべ
ん毛及び駆動部材からなるべん毛駆動部やキャタピラ駆
動部等を自己推進手段又は自己位置修正手段として設け
てもよい。

【００１１】上記撮像部１２内には、レンズ部２１、固
体撮像素子であるＣＣＤ２２、画像信号処理回路及び送
信部を有するカメラコントロールユニット（ＣＣＵ）２
３が配置され、撮像部１２の表面部には送信アンテナ２
４が設けられる。即ち、被観察体内の画像はレンズ部２
１を介してＣＣＤ２２で捉えられ、このＣＣＤ２２にて
得られた画像信号はＣＣＵ２３で増幅処理等の所定の処
理が施され、その後に変調されることになり、送信画像
信号は送信アンテナ２４から出力される。

【００１２】一方、電子内視鏡側では、先端部１０の表
面部に受信アンテナ２６が配置され、この受信アンテナ
２６には受信部２７を介してモニタ２８が接続される。
即ち、この受信部２７では、受信アンテナ２６から入力
された画像信号が復調され、この画像信号に基づいてモ
ニタ２８へ被観察体内の画像が表示される。また、図２
に示されるように、先端部１０の前面に照射窓３０，３
１が設けられ、この照射窓３０，３１にはライトガイド
によって不図示の光源部から照射光が供給される。

【００１３】第１実施例は以上の構成からなり、その作
用を図３を参照しながら説明する。まず、図１に示され
るように、操作スイッチ１６により電磁石１４をオン
し、撮像部１２を格納部１１へ格納した状態で、電子内
視鏡の先端部１０は図３の体腔内へ挿入（挿入方向１０
０）される。例えば、図３のポリープＰを裏側から観察
したい場合は、鎖線位置まで先端部１０を挿入した後、
上記操作スイッチ１６により電磁石１４をオフして、撮
像部１２を切り離す。この撮像部１２が先端部１０から
出るとき、先端部１０を奥の方へ少し押すことにより、
撮像部１２のレンズ部２１がポリープＰへ向くように配
置することができる。ここで、送気・送水供給路１９か
ら空気又は水を噴射することにより、撮像部１２を送り
出したり、その位置を修正したりすることができる。ま
た、撮像部１２に自己推進手段又は自己位置修正手段が
設けられている場合は、べん毛やキャタピラ等を駆動さ
せて、撮像部１２を所望の位置に配置することになる。

【００１４】上記の操作中、撮像部１２ではＣＣＤ２２
で捉えられた被観察体内の画像信号が、ＣＣＵ２３によ
り送信画像信号に変調されており、この送信画像信号は
送信アンテナ２４から出力される。一方、内視鏡本体側
の受信アンテナ２６では上記画像信号が受信されてお
り、この画像信号は受信部２７で復調された後、モニタ
２８へ供給される。このようにして、図３の配置状態で
は、ポリープＰとその周辺部がモニタ２８へ画像表示さ
れることになる。そうして、このモニタ２８の画像を見
ながら、先端部１０は例えば実線の位置まで戻され、こ
の位置で処置具挿通チャンネル１８から処置具３３が導
出される。従って、この場合はポリープＰを裏側から観
察しながら、処置具３３による処置が行えることにな
る。

【００１５】上記観察・処置が終了した後、図３の切り
離された撮像部１２は、次のような方法にて回収するこ
とができる。即ち、先端部１０の電磁石１４により格納
部１１内へ引き寄せることが可能な状態である場合、ま
た自己推進手段により格納部１１内へ移動可能な場合
は、撮像部１２は電磁石又は自己推進手段により格納部
１１へ回収される。この格納部１１への格納が行えない
場合は、上記処置具挿通チャンネル１８から図４に示し
たバスケット型鉗子３４或いは三つ爪型の鉗子等を入れ
て、これらの鉗子により撮像部１２を把持して回収する
ことができる。更には、この撮像部１２を放置し、生体
の排泄機能を利用して回収することも可能である。

【００１６】上記において、図１の電子内視鏡本体は単
に撮像部１２を被観察体内の所定位置に移動・配置する
ためのみに用いてもよい。即ち、図３の位置へ撮像部１
２を配置した後、この内視鏡を一旦抜き取り、撮像部が
一体に形成されている別の電子内視鏡を挿入し、ポリー
プＰを裏側と表側の両側から観察しながら、所定の処置
を実行することができる。

【００１７】図５には、上記撮像部を格納する格納部の
他の例を示す第２実施例の構成が示されている。図５に
おいて、撮像部１２は上記と同様の構成とされるが、先
端部３５にはこの撮像部１２の全体が格納される格納部
３６が形成され、この格納部３６の底部に電磁石３７が
取り付けられる。この底部に、処置具挿通チャンネル３
８が配置される。また、先端部３５の前面まで送気・送
水の供給路３９が形成されており、前面にはノズル４０
が設けられる。従って、このノズル４０から空気又は水
を噴射させることにより、撮像部１２のレンズ部２１の
窓を洗浄することができる。なお、受信アンテナ２６も
表面部へ同様に設けられ、また第１実施例と同様に、別
個の送気・送水の供給路４１を格納部３６の底面へ配置
してもよい。

【００１８】この第２実施例によれば、格納部３６へ撮
像部１２が完全に収納されるので、電子内視鏡を挿入す
る際に、撮像部１２が体腔内等の壁へ接触して外れると
いうことがなく、安定した挿入が可能となる。そして、
この場合は電磁石３７をオフするだけでは、撮像部１２
を簡単に切り離すことができないので、処置具挿通チャ
ンネル３８から挿入した処置具により、或いは供給路４
１の送気・送水により、撮像部１２を格納部３６から出
すことになる。

【００１９】上記実施例では、撮像部１２の保持手段と
して電磁石１４，３７を用いたが、格納部１１，３６に
格納した状態で、送気・送水の供給路１９，４１から吸
気することにより、撮像部１２を保持するようにしても
よい。特に、第２実施例の場合は、この吸気により十分
に安定した保持状態が得られる。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
撮像素子及び送信器が設けられた撮像部を内視鏡本体か
ら切り離せるように構成し、内視鏡本体側には撮像部を
先端部に保持するための保持手段と、受信器を設けたの
で、切り離された撮像部により単独の撮影が可能とな
り、内視鏡先端部の操作方向とは関係なく任意の方向か
ら被観察体内を観察できる。また、撮像部は内視鏡によ
り被観察体内へ導入されるので、撮像部の移動・配置は
スムーズに行われるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係る電子内視鏡装置の先
端部の構成を示す図である。

【図２】図１の先端部の前面の構成を示す図である。

【図３】実施例の電子内視鏡を体腔内に適用した状態を
示す図である。

【図４】実施例で用いられるバスケット型鉗子を示す図
である。

【図５】第２実施例の先端部の構成を示す図である。

【符号の説明】

１０，３５ … 先端部、 １１，３６ … 格納部、 １２ … 撮像部、 １４，３７ … 電磁石、 １８，３８ … 処置具挿通チャンネル、 １９，３９ … 送気・送水の供給路、 ２２ … ＣＣＤ、 ２３ … ＣＣＵ（カメラコントロールユニット）、 ２４ … 送信アンテナ、 ２６ … 受信アンテナ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A61B 1/00 - 1/32 G02B 23/24

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 撮像素子及び送信器が設けられた撮像部
   を内視鏡本体から切り離すように構成し、内視鏡本体側
   には、上記撮像部を先端部に保持するための保持手段
   と、上記送信器から送られる送信画像信号を受信する受
   信器と、を設けた撮像部を切り離す電子内視鏡装置。