JP2965766B2 - スルホベタインの製造法 - Google Patents

スルホベタインの製造法

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JP2965766B2
JP2965766B2 JP27552891A JP27552891A JP2965766B2 JP 2965766 B2 JP2965766 B2 JP 2965766B2 JP 27552891 A JP27552891 A JP 27552891A JP 27552891 A JP27552891 A JP 27552891A JP 2965766 B2 JP2965766 B2 JP 2965766B2
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信之 小倉
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸素系漂白剤における
漂白活性化剤として有用なエステル結合を有するスルホ
ベタインの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】酸素系
漂白剤として過炭酸ナトリウム、過硼酸ナトリウムが利
用されているが、これらは塩素系漂白剤に比べ、漂白力
が弱い為に、漂白活性化剤が併用される。この漂白活性
化剤として、本発明者らは特願平1−150758号にて、エ
ステル基を有するスルホベタインが極めて好適であるこ
とを提案した。
【0003】このスルホベタインを製造する方法として
置換基を有してもよいアルキルカルボン酸ハライド(以
下、カルボン酸ハライドという)とフェノールスルホン
酸ナトリウム塩との反応を経由する方法があるが、次の
ような問題点があった。即ち、フェノールスルホン酸ナ
トリウム塩は非プロトン性の有機溶媒に難溶であるの
で、これを反応溶媒として使用すれば、反応系が不均一
となるので低収率にしか、目的とするスルホベタインが
得られなかった。また、フェノールスルホン酸ナトリウ
ム塩を溶解することができるのは水又はジメチルホルム
アミド(DMF)等の高極性溶媒のみであるが、DMF
等は高価であり、製造経済性の面より、これを溶媒とす
ることは好ましくない。一方、反応系中に水が存在すれ
ば、反応原料であるカルボン酸ハライド及び生成したエ
ステル結合の加水分解が起こり、目的とするスルホベタ
インの収率の低下は避けられなかった。さらにフェノー
ルスルホン酸ナトリウム塩を原料とする方法はハロゲン
化ナトリウム等の無機塩の副生が避けられず、この無機
塩は反応装置の腐食及び配管の狭窄を起こすという問題
もあった。
【0004】従って、本発明の課題は、無機塩の副生を
伴なうことなく高収率且つ高純度にて、経済的にエステ
ル基を有するフェニルスルホベタインを、製造する方法
を提供することである。
【0005】
【課題を解決する為の手段】本発明者らは、上記課題を
解決するため、鋭意検討の結果、特定の原料と特定の反
応方法を使用すれば、上記課題を解決し得ることを見い
出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下
記の工程(a)〜(c)を行なうことを特徴とする一般式
(I)で表わされるスルホベタインの製造法を提供する
ものである。
【0006】
【化6】
【0007】〔式中、R1:直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜
20のアルキル基もしくはアルケニル基、フェニル基、又
はアルキル置換基の総炭素数が1〜20のアルキル置換ア
リール基を示す。 R2,R3:同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキル基
を示す。 R4:分岐鎖を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基
を示す。
【0008】
【化7】
【0009】m :0又は1の数を示す。〕工程(a) 下記一般式(II)で表わされる化合物と、SO3, XSO3H
(式中X はハロゲン原子を示す)及びこれらの錯体から
選ばれる少なくとも一種のスルホン化剤とを反応させ、
スルホン化体を得る工程。
【0010】
【化8】
【0011】(式中、R4, X は前記の意味を示す。)工程(b) 工程(a) にて得られたスルホン化体と下記一般式(III)
で表わされるアミンとを接触させることにより反応さ
せ、前記一般式(I)で表わされるスルホベタインと下
記一般式(IV)で表わされる化合物との混合物を得る工
程。
【0012】
【化9】
【0013】(式中、R1,R2,R3,A,Y ,m は前記の
意味を示す。)
【0014】
【化10】
【0015】(式中、R1,R2,R3,A,Y ,X ,m は前
記の意味を示す。)工程(c) 工程(b) で得られた混合物において、前記一般式(I)
で表わされるスルホベタインと前記一般式(IV)で表わ
される化合物とを分離することにより、一般式(I)で
表わされるスルホベタインを得る工程。
【0016】以下、各工程について説明する。工程(a) 本工程はスルホン化工程であり、スルホン化剤としては
SO3 、XSO3H (Xはハロゲン原子) 及びこれらの錯体から
選ばれる少なくとも一種を使用する。ここで言う錯体と
は SO3 及びXSO3H (Xはハロゲン原子) が、アミド、ア
ミン、エーテル、スルフィドなどのルイス塩基と作る錯
体を示す。ルイス塩基としては、例えばN,N−ジメチル
ホルムアミド、トリエチルアミン、ピリジン、ジオキサ
ン等が用いられる。スルホン化剤として硫酸及び発煙硫
酸を使用すると、スルホン化の反応により生成する水が
加水分解の原因となるため好ましくない。
【0017】スルホン化は、液膜スルホン化法と撹拌バ
ッチスルホン化法のいずれかを用いて行われる。液膜法
にて行う場合、SO3 を窒素、ヘリウム、アルゴンといっ
た不活性ガス又は乾燥空気で1〜20%に希釈して、気相
反応試剤として用いる。本発明のスルホン化において、
スルホン化剤と一般式(II)で表わされる化合物との接
触は可能な限り低温で、好ましくは−50〜60℃で行う。
また一般式(II)で表わされる化合物に対するスルホン化
剤のモル比は 0.9〜1.4 とするのが好ましく、1.0〜1.1
とするのが更に好ましい。また、この接触の後、10〜8
0℃で0.1〜24時間、好ましくは15〜60℃で 0.1〜10時間
熟成する。
【0018】本工程においては、溶媒を使用すると、接
触温度が低くでき、また撹拌が容易になるので好まし
い。溶媒としては、ジクロロエタン、ジクロロメタン等
のハロゲン溶媒、DMF等の錯形成溶媒を用いることが
できる。本工程の目的物はスルホン化剤と一般式(II)
で表わされる化合物の1:1付加体である。スルホン化
剤が不足した場合には、一般式 (II) で表わされる化合
物が残存する。この場合最終物に未スルホン化の一般式
(V)
【0019】
【化11】
【0020】(式中、R1,R2,R3,R4,A ,Y ,X ,m
は前記の意味を示す。)で表わされる化合物が残存し、
使用に際しフェノールを放出するので環境上好ましくな
い。従ってスルホン化剤の一般式(II)で表わされる化
合物に対するモル比は 0.9以上が好ましい。逆に、スル
ホン化剤が過剰となった場合スルホン化剤と一般式(I
I)で表わされる化合物の2:1付加体が副生し、目的
物の収率が低下するので、スルホン化剤の一般式(II)
で表わされる化合物に対するモル比は0.9〜1.4 、特に
1.0 〜1.1 の間で反応を行うのが最も好ましい。
【0021】スルホン化剤と一般式(II)で表わされる
化合物との接触を上記のような低温下で行った場合、反
応の速度が遅く、接触終了後も反応が進行していること
が確認される。この様な反応進行の遅さは商業的見地か
ら好ましくない。そこで反応を早く終了させるために適
切な温度での熟成を必要とする。熟成の温度は10〜80℃
の範囲にあるのが好ましく、それより高温下では副反
応、分解等が促進され収率が低下するので好ましくな
い。
【0022】本発明のスルホン化はより好ましくは酸性
物質の存在下に行う。酸性物質として、硫酸、リン酸等
の無機酸、並びに酢酸等の短鎖の脂肪酸などが用いられ
る。これらを一般式(II)で表わされる化合物に対して
1〜10重量%添加して反応を行った場合、収率が1〜8
%程度向上する。
【0023】工程(b) 本工程は、4級化工程であり、一般式(III)で表わされ
るアミンと、工程(a)にて得られたスルホン化体とを接
触させることにより行う。本発明の特徴はスルホン化工
程(工程(a) )終了後、つづけて4級化工程(工程(b)
)を行い、途中中間生成物の単離を要しない点であ
る。
【0024】本工程における問題点は反応の末期におい
て、目的物であるスルホベタインの分解が起こり収率が
低下することである。従って、反応温度と反応時間の組
合わせは分解による収率の低下が最小となるように選択
しなければならない。この目的のためには、高温下、短
時間の内に反応を行うことが望ましい。特にあらかじめ
加熱しておいた一般式(III)で表わされるアミンに、工
程(a) で得られたスルホン化体を加えることにより、反
応初期速度が増加し、反応時間が短縮される。
【0025】本工程における4級化反応において、スル
ホン化体に対する一般式(III)で表わされるアミンのモ
ル比は、4級化の際に生じるハロゲン酸の中和及び工程
(a)で過剰に用いたスルホン化剤の中和を考慮し、1.8
〜3.5 とするのが好ましい。一般式(III)で表わされる
アミンを若干過剰にした方が収率が向上するが、多すぎ
ると分解を促進する。そのため、スルホン化体に対する
アミンのモル比は2.0〜3.0 とするのが最も好ましい。
溶媒を使用する場合には、加溶媒分解を避けることが必
要である。また反応温度が高いことから、常圧下に反応
を行うためには、高沸点の反応溶媒が必要であり、例え
ば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど
の非プロトン性の極性溶媒が望ましい。低極性の溶媒で
はスルホベタインの収率が低くなる。
【0026】一方、無溶媒下に反応を行う場合には、極
性溶媒を用いて反応を行った場合と同等、或いはそれ以
上の収率で4級化反応が進行する。これは、反応の前期
においては過剰の一般式(III)で表わされるアミンが、
また反応の後期においては一般式(IV)で表わされる化
合物が極性溶媒と同様の影響を反応に及ぼすものと推察
される。反応溶媒を用いない場合は、溶媒回収の必要が
なく、またそれに加えて反応の容量が小さくなることよ
り、商業的に大きなメリットを生じる。
【0027】本工程において、一般式(III)で表わされ
るアミンと工程(a) にて得られたスルホン化体との接触
は如何なる方法にても行ない得るが、より好ましくは工
程(a) にて得られたスルホン化体を、50〜160 ℃に加熱
された一般式(III)で表わされるアミンへ添加する方法
で行なわれる。この方法によればより高収率、且つより
短時間にて目的とする、一般式(I)で表わされるスル
ホベタインが得られるからである。
【0028】工程(c) 本工程は工程(b) で得られた反応混合物から一般式
(I)で表わされるスルホベタインを分離する工程であ
る。工程(b) の4級化反応終了後、生成した混合物は目
的物である一般式(I)で表わされるスルホベタインと
一般式(IV)で表わされる化合物及びその他の副生物か
ら成る。目的物である一般式(I)で表わされるスルホ
ベタインは通常結晶性が良く、その他の化合物とは有機
溶媒や水に対する溶解性が異なるため、溶媒による洗
浄、又は再結晶により精製が容易に行える。
【0029】工程(b) の4級化反応において溶媒を用い
た場合、冷却して結晶が析出すれば再結晶を行ったのと
同等であるが、結晶が析出しない場合には溶媒を蒸留し
て除き、他の溶媒で精製を行う必要がある。溶媒は極性
の高いものの方が精製能力にすぐれており、非プロトン
性溶媒としては、アセトン、アセトニトリル、ジメチル
ホルムアミド、プロトン性溶媒としてはメタノール、エ
タノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒又は
水等が用いられる。
【0030】工程(b) の4級化反応において、目的物で
ある一般式(I)で表わされるスルホベタインと等モル
の一般式(IV)で表わされる化合物が副生する。一般式
(IV)で表わされる化合物は中和して、一般式(III)で表
わされるアミンとし、反応に使われなかった余剰の一般
式(III)で表わされるアミンとともに回収して工程(b)に
おいて再使用することが好ましい。中和はアルカリ金属
水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等のアルカリ水溶
液で行う。中和終了後、一般式(III)で表わされるアミ
ンを蒸留回収する。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、高収率且つ高純度に
て、経済的に塩化ナトリウム等の無機塩を副生すること
なく漂白活性化剤として有用な、エステル基を有するフ
ェニルスルホベタインを製造することができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例にて本発明を説明するが、本発
明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。工程(a) の実施例 実施例1〜7 クロロカプロン酸フェニルエステル 226.8g(1.0mol)を
撹拌機、冷却管、滴下ロート及び温度計を具備した 500
ml4つ口丸底フラスコに入れて撹拌し、氷冷により接触
温度を一定に保ちながら、液体SO3 を滴下した。滴下終
了後一定温度で熟成を行った。接触温度、SO3 のクロロ
カプロン酸フェニルエステルに対するモル比及び熟成温
度がスルホン化体の収率に及ぼす影響を調べた。その結
果を表1に示す。収率は液体クロマトグラフィーにより
定量した、クロロカプロン酸フェニルエステルに対する
モル収率である。
【0033】
【表1】
【0034】実施例8 クロロカプロン酸フェニルエステル 113.4g(0.5mol)及
び溶媒であるジクロロエタン 200mlを撹拌機、冷却管、
滴下ロート及び温度計を具備した 500ml4つ口丸底フラ
スコに入れて、撹拌し、ドライアイス−アセトンバスで
冷却することにより、温度を−30〜−20℃に一定に保ち
ながら、液体SO3 40g(0.5mol)を滴下した。滴下終了
後、40℃で2時間熟成を行った。熟成終了後、液体クロ
マトグラフィーにより定量を行ったところ、スルホン化
体が95%の収率で得られた。溶媒のジクロロエタンは、
次の4級化反応の前に蒸留して除去した。
【0035】実施例9〜12 クロロカプロン酸フェニルエステル 226.7g(1.0mol)に
表2に示す各種酸性添加剤を表2に示す量加え、撹拌
機、冷却管、滴下ロート及び温度計を具備した4つ口丸
底フラスコに入れて撹拌した。氷冷により接触温度を40
℃に保ち、液体SO3 80g(1.0mol)を滴下した。滴下終了
後、40℃で熟成を行った。酸性添加剤の種類及び添加量
がスルホン化体の収率に及ぼす影響を調べた。その結果
を表2に示す。また酸性添加剤無添加の上記実施例4の
結果もあわせて示した。
【0036】
【表2】
【0037】注) *: クロロカプロン酸フェニルエステルに対する重量% 実施例13 長さ4m 、直径14mmの管を持つ落下膜式スルホン化装置
を用いて実施例2と同様の反応を行った。クロロカプロ
ン酸フェニルエステルを80ml/分の流速で管の内表面を
流下させた。ここへ窒素ガスで2〜3%に希釈したSO3
ガスを 3.0リットル/分の流速で通過させた。ジャケッ
ト温度は流水により20℃に保った。管の出口で気液分離
し、液体のスルホン化体を貯槽に受け、40℃で 0.5時間
熟成を行った。熟成終了後、液体クロマトグラフィーに
より定量を行ったところスルホン化体が89%の収率で得
られた。
【0038】工程(b) 及び(c) の実施例 実施例14 撹拌機、冷却管、滴下ロート及び温度計を具備した3リ
ットルの4つ口丸底フラスコに下記式(III-1)
【0039】
【化12】
【0040】で表わされるアミン589.8 g(2.3mol)と、
溶媒 N,N−ジメチルアセトアミド1000gを入れ、あらか
じめ100 ℃に加熱しておいた。ここへ実施例2の方法に
従いクロロカプロン酸フェニルエステルをSO3と反応さ
せて得られたスルホン化反応終了物306.8 gを一度に加
え、反応温度を 140℃に保ちながら反応を行った。2時
間後、液体クロマトグラフィーにより定量を行ったとこ
ろ、スルホン化体が4級化されて生じた下記式(I-1)で
表わされるスルホベタインが82%の収率で得られた。
【0041】
【化13】
【0042】以上の反応について上記式(I-1)で表わさ
れる目的のスルホベタインの量を経時的に調べた。この
結果を図1の実線で示した。またこれとは逆にスルホン
化体に上記式(III-1) で表わされるアミンを加え、4級
化反応を行った場合の経時変化を点線で示した。反応開
始の時間は昇温が終了し系内温度が一定となる時点とし
た。図1の結果は加熱したアミンにスルホン化物を添加
するという方法をとることで収率が4〜5%増加し、反
応時間が半減したことを示している。
【0043】次に上記反応終了物を室温まで冷却すると
結晶が析出してくる。このスラリー溶液の濾過によって
得られた固形物を再びアセトン、水等の溶媒でスラリー
化し、濾過し、 N,N−ジメチルアセトアミドを洗い流
す。これを乾燥して 360.0gの白色粉末を得た。白色粉
末は目的物である式(I-1) で表わされるスルホベタイン
を95%以上含有していた。この様にして得られた白色粉
末をアセトニトリルと水との1:1混合溶媒に溶解し10
%溶液とする。この溶液についてAPHA値を測定した
ところ約50で色相良好であり商業的使用上問題がなかっ
た。
【0044】実施例15 撹拌機、冷却管、滴下ロート及び温度計を具備した2リ
ットルの4つ口丸底フラスコに上記式(III-1) で表わさ
れるアミン589.8 g(2.3mol)を入れ、 100℃に加熱す
る。ここへ実施例2の方法に従いクロロカプロン酸フェ
ニルエステルをSO3 と反応させて得られたスルホン化体
306.8gを一度に加え、反応温度を 140℃に保ちながら
反応を行った。 1.5時間後、液体クロマトグラフィーに
より定量を行ったところ、スルホン化体に対して4級化
されて生じた上記式(I-1) で表わされるスルホベタイン
が92%の収率で得られた。
【0045】以上の反応について目的のスルホベタイン
の量を経時的に調べた。この結果を図2に実線で示す。
また点線で示したのは溶媒存在下に4級化を行った場合
の経時変化である。図2の結果は、無溶媒下で反応を行
うことにより収率が10%近く向上し、反応時間が短くな
ったことを示している。
【0046】撹拌機、冷却管、滴下ロート及び温度計を
具備した3リットルの4つ口丸底フラスコに精製溶媒と
してイソプロパノール1リットルを入れて撹拌し、上記
で得られた4級化終了物 896.6g(有効分48%)を滴下
した。4級化終了物は流動性を上げるために80℃に加熱
して加えたので系の温度は60℃まで上昇した。スラリー
溶液を冷却後濾過し、濾取した固形物を乾燥して 404.0
gの白色粉末を得た。白色粉末は目的物である上記式(I
-1) で表わされるスルホベタインを95%以上含有してい
た。このようにして得られた白色粉末をアセトニトリル
と水との1:1混合溶媒に溶解し10%溶液とする。この
溶液についてAPHA値を測定したところ約40で色相良
好であり商業的使用上問題がない。
【0047】同様の精製はエタノール、アセトン等の他
の溶媒でも行うことができる。溶媒によっては加熱した
際に4級化終了物が完全に溶解することがあるが冷却に
より結晶を析出させてスラリー化し、同様に操作するこ
とができる。
【0048】回収アミンの再使用例 実施例16 実施例15に従い反応及び精製を行った結果、結晶を濾過
して除いた後に約1.5kgの濾液が残った。これらの組成
は以下の通りであった。 溶媒(イソプロパノール) 67% 式(III-1) で表わされるアミン 5% 式(III-1) で表わされるアミンの塩酸塩 20% その他の成分 8% この混合物からまず溶媒を蒸留によって回収した。蒸留
残渣に48%NaOH水溶液100ml を加え、式(III-1) で表わ
されるアミンの塩酸塩から式(III-1) で表わされるアミ
ンを遊離させた。蒸留により含有量の約90%を回収する
ことができた。この回収アミンを使用して、実施例14、
15と同様の方法にて、反応を行った結果、実施例14、15
に記載したのと同様の結果が得られた。
【0049】実施例17 実施例14〜16において、式(III-1) で表わされるアミン
の代わりに N,N−ジメチルオクチルアミンを使用したと
ころ、全く同様に下記の式(I-2) で表わされるスルホベ
タインが得られた。
【0050】
【化14】
【0051】実施例18 実施例14〜16において、式(III-1) で表わされるアミン
の代わりに下記式(III-2) で表されるアミンを使用した
ところ、全く同様に下記の式(I-3) で表わされるスルホ
ベタインが得られた。
【0052】
【化15】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例14で行った反応で得られた、目的とする
スルホン化体に対するスルホベタインの収率の経時変化
を示すグラフである。
【図2】実施例15で行った反応で得られた、目的とする
スルホン化体に対するスルホベタインの収率の経時変化
を示すグラフである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 303/22 C07C 309/42 C07C 303/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の工程(a)〜(c)を行なうことを特徴
    とする一般式(I)で表わされるスルホベタインの製造
    法。 【化1】 〔式中、R1:直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル
    基もしくはアルケニル基、フェニル基、又はアルキル置
    換基の総炭素数が1〜20のアルキル置換アリール基を示
    す。 R2,R3:同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキル基
    を示す。 R4:分岐鎖を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基
    を示す。 【化2】 m :0又は1の数を示す。〕工程(a) 下記一般式(II)で表わされる化合物と、SO3, XSO3H
    (式中X はハロゲン原子を示す)及びこれらの錯体から
    選ばれる少なくとも一種のスルホン化剤とを反応させ、
    スルホン化体を得る工程。 【化3】 (式中、R4, X は前記の意味を示す。)工程(b) 工程(a) にて得られたスルホン化体と下記一般式(III)
    で表わされるアミンとを接触させることにより反応さ
    せ、前記一般式(I)で表わされるスルホベタインと下
    記一般式(IV)で表わされる化合物との混合物を得る工
    程。 【化4】 (式中、R1,R2,R3,A ,Y ,m は前記の意味を示
    す。) 【化5】 (式中、R1,R2,R3,A ,Y ,X ,m は前記の意味を示
    す。)工程(c) 工程(b) で得られた混合物において、前記一般式(I)
    で表わされるスルホベタインと前記一般式(IV)で表わ
    される化合物とを分離することにより、一般式(I)で
    表わされるスルホベタインを得る工程。
  2. 【請求項2】 工程(b) における、工程(a) にて得られ
    たスルホン化体と一般式(III)で表わされるアミンとを
    接触させる方法が、工程(a) にて得られたスルホン化体
    を、50〜160 ℃に加熱された一般式(III)で表わされる
    アミンへ添加する方法である請求項1記載のスルホベタ
    インの製造法。
  3. 【請求項3】 工程(a) にて得られたスルホン化体を、
    50〜160 ℃に加熱された一般式(III)で表わされるアミ
    ンへ添加する際に、両者を無溶媒下で接触させることを
    特徴とする請求項1又は2記載のスルホベタインの製造
    法。
  4. 【請求項4】 工程(b) にて使用される、一般式(III)
    で表わされるアミンが、工程(c) にて回収された、一般
    式(IV)で表わされる化合物を中和することによって得
    られるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載
    のスルホベタインの製造法。
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