JP2964736B2 - 二慣性系における結合軸の機械時定数同定方法 - Google Patents

二慣性系における結合軸の機械時定数同定方法

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JP2964736B2 JP3277070A JP27707091A JP2964736B2 JP 2964736 B2 JP2964736 B2 JP 2964736B2 JP 3277070 A JP3277070 A JP 3277070A JP 27707091 A JP27707091 A JP 27707091A JP 2964736 B2 JP2964736 B2 JP 2964736B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電動機と負荷機械とが
機械的に結合されている二慣性系における結合軸の機械
時定数の同定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図11は、電動機と負荷機械とが機械的
に結合されている二慣性系の速度制御システムの一例を
示している。この図11において、1は交流電源、2は
交流−直流−交流変換を行うインバータ等の電力変換
器、4は誘導電動機等の電動機、5は速度検出器、6は
負荷機械、7は結合軸、10はマイクロプロセッサ等に
より構成される速度制御用のディジタル制御装置、12
は速度調節器、13は電流調節器、14は電流検出器で
ある。この速度制御システムにおいて、ディジタル制御
装置10内の速度調節器12は、速度検出器5からの速
度検出値n及び速度指令値n*に基づき、所望のトルク
電流指令値(トルク指令値τ*と等価)を求めて出力す
る。また、電流調節器13は、トルク電流指令値及び電
流検出器14から入力したトルク電流検出値(トルク検
出値τと等価)から所望の制御信号を生成し、電力変換
器2へ出力する。電力変換器2は上記制御信号に従って
電力変換を行い、電動機4を駆動する。その出力トルク
は結合軸7を介して負荷機械6に伝達され、負荷機械6
を回転させることとなる。
【0003】このようなシステムにおいて、電動機4と
負荷機械6とを連結している結合軸7のねじれに起因す
る電動機4の回転速度の振動が、電動機4の速度制御に
悪影響をおよぼす場合がある。これを図12の二慣性系
システムのブロック図を参照しながら以下に説明する。
図12において、外乱トルクτdをゼロとした場合、以
下の数式1〜数式3が成立する。
【0004】
【数1】τS=(n−nL)/(TS・s)
【0005】
【数2】nL=τS/(TL・s)
【0006】
【数3】n=(τM−τS)/(TM・s)
【0007】ただし、 n:電動機の速度 nL:負荷機械の速度 s:ラプラス演算子 TM:電動機の機械時定数(電動機の慣性モーメントと等
価) TL:負荷機械の機械時定数(負荷機械の慣性モーメント
と等価) TS:結合軸の機械時定数(=ばね時定数であり、1/
(軸のばね定数)と等価) τS:軸トルク τM:電動機の出力トルク である。
【0008】上記数式1〜数式3を電動機の速度nと電
動機の出力トルクτMとの関係にすると、以下の数式4
が得られ、この制御系は固有振動数fの振動系となる。
なお、固有振動数fは、数式5によって表される。
【0009】
【数4】 n=(TL・TS・s2+1)・τM÷(TL・TS・TM・s)÷{s2+(1/TS)・ (1/TL+1/TM)}
【0010】
【数5】
【0011】特に、速度指令値をステップ状に変化させ
た場合に軸振動の影響が顕著に現われてくる。図13
は、速度指令値n*をN1からN2へステップ状に変化さ
せた場合の速度検出値nの応答を示すものであり、軸振
動により速度検出値nが周期T1(=1/f)で振動して
いる。以上のような軸振動に対する影響を小さくする一
つの方法として、図14のようなシステムを用いる方式
があり、これに用いられる各制御定数は、以下に略述す
るように電動機、負荷機械及び結合軸の各々の機械時定
数により計算される。
【0012】図14のブロック図から微分器16を省
き、外乱トルクτdをゼロとした状態で、速度指令値n*
と速度検出値nとの関係を整理すると、数式6を得る。
なお、数式6においてKPは比例ゲイン、TIは積分時定
数であり、他の値は前記同様である。
【0013】
【数6】 n={(TL・TS・s2+1)・(TI・s+1)・n*}÷〔1+s・TI+s2・{T L・ TS+(TI/KP)・(TL+TM)}+(s3・TI・TL・TS)+(s4・TL・TS・ TM・TI)〕
【0014】ここで、速度調節器の係数TI,KPを最適
に調整する最適調整法として、例えば二重関係法と呼ば
れる方式(H.P.Trondle:「Anwenderorientierte Ausle
gungvon Abtasreglern nach der Metode der Dop
pelverhaltnisse」Regelungstechnik Heft 12(197
8))があり、この方式に基づいて係数TI,KPを計算
すると数式7、数式8のようになる。
【0015】
【数7】
【0016】
【数8】
【0017】また、図14のブロック図で微分器16が
ある状態の電動機の速度nと印加トルクτMとの関係
は、数式9となる。なお、数式9においてK1は微分器
16における倍数である。
【0018】
【数9】 n=(TL・TS・s2+1)・τM÷(TL・TS・TM・s)÷{s2+s・K1/(TS・ TM)+(1/TS)・(1/TL+1/TM)}
【0019】この式から、固有振動数fは数式5と等し
く、振動の減衰係数ζは以下の数式10で表される。
【0020】
【数10】ζ=K1/(4・π・f・TS・TM
【0021】すなわち、減衰係数ζは倍数K1に比例し
た値となる。よって、微分器16の倍数K1を調節する
ことにより、固有振動数fによる振動を抑制することが
できる。なお、図14における15は、図11における
速度調節器12に相当するブロックである。
【0022】以上のように、上記二慣性系システムにお
いて速度制御を行おうとする場合には、それぞれの機械
時定数を知って、制御定数等に反映していく必要があ
る。ここで、上記機械時定数として、設計値を用いる方
法と、実際にモータを回して測定した(または同定し
た)値を用いる方法がある。はじめに、電動機の機械時
定数は、電動機単体の機械定数を測定または同定する方
法(特開昭60−82078号公報、特開昭60−16
2492号公報、特開昭61−88780号公報、特願
平1−48044号等参照)により求めることができ
る。次に、負荷機械の機械時定数については、電動機の
回転速度を一定レートで変化させて電動機の慣性モーメ
ントを測定する方法(特開昭60−162492号公
報、特開昭61−88780号公報等参照)を電動機と
負荷機械が結合された状態で用いると、電動機と負荷機
械が一体となった機械定数が求められるので、前記機械
時定数と電動機の機械時定数の差をとることにより求め
ることができる。
【0023】さて、結合軸の機械時定数については、軸
振動を起こさせてその振動周期から計算する方法があ
り、これには以下のような2つの方法がある。まず、第
1の方法では、速度検出値が振動している状態をレコー
ダ等へ出力してその振動周期を測定し、結合軸の機械時
定数を数式5に基づき計算する。ただし、この場合、電
動機、負荷機械の機械時定数(慣性モーメントと等価)
のTM,TLは既知とする。第2の方法では、速度検出値
がゼロを中心に変化するように振動させ、前記速度検出
値がゼロを通過するタイミングを検出して周期を計算
し、その周期から結合軸の機械時定数を数式5に基づき
計算する。なお、第1の方法と同様にTM,TLは既知で
ある。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】結合軸の機械時定数に
設計値を用いる方法では、実際値と設計値とが必ずしも
一致しているものではなく、更に、経年変化により実際
値との差が大きくなっていくことがある。また、結合軸
の機械時定数を振動周期から求める第1の方法では、実
際にモータを回してチャートをとり、人がその振動周期
をチャートより測定し、それから結合軸の機械時定数を
計算しなければならないので、測定、計算する人員が必
要となり、振動周期に個人差が生じる場合がある。
【0025】更に前述した第2の方法において、軸の機
械時定数の計算値をより実際値に近付けるためには、ゼ
ロ速度付近における検出精度が必要であるが、これには
ソフトウェアによる対策または速度検出器を高精度のも
のにする等のハードウェアによる対策がある。しかし、
このような手段を採る場合にはソフトウェアの複雑化、
ハードウェアの高価格化等の問題点を生じてしまう。ま
た、以上のような対策を行わなければゼロ速度付近の検
出精度が悪くなり、振動周期の検出値が実際値とは大幅
に異なってくるので、結合軸の機械時定数の計算値が正
確なものにならないという問題があった。
【0026】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたもので、その目的とするところは、簡単なソフトウ
ェア及び安価なハードウェアを用い、正確にしかも自動
的に結合軸の機械時定数を求めることができる、二慣性
系における結合軸の機械時定数同定方法を提供すること
にある。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明は、電動機の回転速度や駆動トルクを制
御可能なディジタル制御装置から、結合軸振動が起きる
ように電力変換器を介して電動機にトルク指令を与えた
後にこのトルク指令をゼロにすることにより、後述する
数式16に示すような、既知である電動機及び負荷機械
の機械時定数と、同定するべき結合軸の機械時定数を含
んだ電動機の回転速度のみに関する運動方程式で記述さ
れる自由振動状態とし、この自由振動状態の特性式を解
いて同定した前回のサンプル点での結合軸の機械時定数
S(i-1)と、前々回、前回及び今回のサンプル点での電
動機回転速度検出値n(i-2),n(i-1),n(i) と、電動
機及び負荷機械の機械時定数とを用いて、軸振動状態に
おける今回のサンプル点でのモデル回転速度 M(i) を演
算する機械系モデルを設け、この機械系モデルによって
演算した今回のサンプル点でのモデル回転速度nM(i)
電動機回転速度検出値n(i)との偏差e(i)がゼロになる
ようにモデル定数を求め、このモデル定数の逆数に回転
速度検出値のサンプリング周期を乗じることにより今回
のサンプル点での結合軸の機械時定数T S(i) を同定する
ものである。
【0028】 第2の発明は、電動機の回転速度や駆動
トルクを制御可能なディジタル制御装置から、結合軸振
動が起きるように電力変換器を介して電動機に図8のよ
うな一定値のトルク指令を与えることにより、速度変化
が、後述する数式28、数式29に示すように入力トル
ク値と既知である電動機及び負荷機械の慣性時定数と同
定するべき結合軸の機械時定数により構成される時間関
数となる振動状態とし、この振動状態の電動機速度から
定トルク加速分を除去した振動成分のみについての機械
系モデルを構成することで、前記機械系モデルによる
算により得られた前回のサンプル点での結合軸の機械時
定数TS(i-1)と、今回のサンプル点及び過去4点のサン
プル点の電動機回転速度検出値n(i-4),n(i-3),n
(i-2),n(i-1),n(i)から2階差分式による演算で定
トルク加速分を除去し抽出した前々回、前回、今回のサ
ンプル点での振動成分Δn(i-2),Δn(i-1),Δn(i)
から、前回振動成分についての回転速度モデル振動成分
ΔnM * (i) を演算し、上記回転速度モデル振動成分ΔnM
* (i)と2階差分式による演算で定トルク加速分を除去し
抽出される振動成分Δn(i)との偏差e* (i)がゼロにな
るようにモデル定数を求め、このモデル定数の逆数に回
転速度検出値のサンプリング周期を乗じることにより今
回のサンプル点での結合軸の機械時定数TS(i)を同定す
るものである。
【0029】 第3の発明は、電動機の回転速度や駆動
トルクを制御可能なディジタル制御装置から、結合軸振
動が起きるように電力変換器を介して図9、図10に示
すごとく一定期間トルク指令を与えた後にトルク指令を
ゼロにすることで、速度変化が、後述する数式32、数
式33に示すように入力トルク値と既知である電動機及
び負荷機械の慣性時定数と同定するべき結合軸の機械時
定数により構成される時間関数となる振動状態とし、こ
の振動状態の電動機速度から速度オフセット分を除去し
た振動成分のみについての機械系モデルを構成すること
で、前記機械系モデルによる演算により得られた前回の
サンプル点での結合軸の機械時定数TS(i-1)と、今回の
サンプル点及び過去3点のサンプル点の電動機回転速度
検出値n(i-3),n(i-2),n(i-1),n(i)から1階差分
式による演算で速度オフセット分を除去し抽出した前々
回、前回、今回のサンプル点での振動成分Δn(i-2)
Δn(i-1),Δn(i)から、前回振動成分についての回
速度モデル振動成分ΔnM * (i) を演算し、上記回転速度
モデル振動成分ΔnM * (i)と1階差分式による演算で電
動機速度検出値から速度オフセット分を除去し抽出され
る振動成分Δn(i)との偏差e* (i)がゼロになるように
モデル定数を求め、このモデル定数の逆数に回転速度検
出値のサンプリング周期を乗じることにより今回のサン
プル点での結合軸の機械時定数TS(i)を同定するもので
ある。
【0030】 第4の発明は、電動機の回転速度や駆
トルクを制御可能なディジタル制御装置から、結合軸
振動が起きるように電力変換器を介して電動機に図9、
図10に示すごとく一定期間トルク指令を与えた後にト
ルク指令をゼロにすることで、速度変化が、後述する数
式32、数式33に示すように入力トルク値と既知であ
る電動機及び負荷機械の慣性時定数と同定するべき結合
軸の機械時定数により構成される時間関数となる振動状
態とし、この振動状態の電動機速度から速度オフセット
分を除去した振動成分のみについての機械系モデルを構
成することで、前記機械系モデルによる演算により得ら
れた前回のサンプル点での結合軸の機械時定数TS(i-1)
と、今回のサンプル点及び過去4点のサンプル点の電動
機回転速度検出値n(i-4),n(i-3),n(i-2)
(i-1),n(i)から2階差分式による演算で速度オフセ
ット分を除去し抽出した前々回、前回、今回のサンプル
点での振動成分Δn(i-2),Δn(i-1),Δn(i)から、
前回振動成分についての回転速度モデル振動成分ΔnM *
(i) を演算し、上記回転速度モデル振動成分ΔnM * (i)
2階差分式による演算で電動機速度検出値から速度オフ
セット分を除去し抽出される振動成分Δn(i)との偏差
* (i)がゼロになるようにモデル定数を求め、このモデ
ル定数の逆数に回転速度検出値のサンプリング周期を乗
じることにより今回のサンプル点での結合軸の機械時定
数TS(i)を同定するものである。
【0031】
【作用】第1の発明によれば、電動機と負荷機械とが軸
により機械的に結合されている二慣性系において、結合
軸振動が起きるようにディジタル制御装置からトルク指
令を与え、その後、このトルク指令をゼロにする。すな
わち、図3において、正負に変化してその後ゼロになる
方形波状のトルク指令値τ*に従い、電動機の出力トル
クτMがゼロとなるので、前記数式3は数式11とな
る。
【0032】
【数11】n=−τS/(TM・s)
【0033】前記数式1を数式2及び数式11に代入し
て、数式12、数式13を得る。
【0034】
【数12】nL=(n−nL)/(TS・TL・s2
【0035】
【数13】n=−(n−nL)/(TS・TM・s2
【0036】数式12を変形すると数式14となり、ま
た、数式13を変形すると、数式15を得る。
【0037】
【数14】n−nL=nL・(TS・TL・s2
【0038】
【数15】nL=n・(TS・TM・s2+1)
【0039】数式15を数式14に代入して整理する
と、数式16が得られる。
【0040】
【数16】(TS・s2+1/TL+1/TM)・n=0
【0041】この数式16は、電動機及び負荷機械の機
械時定数TM,TLと、同定するべき結合軸の機械時定数
S(=ばね時定数であり、1/(結合軸のばね定数)
と等価)とを含んだ電動機の回転速度検出値nに関する
自由振動の特性式であり、TM,TLが与えられていれ
ば、機械時定数TSは回転速度検出値nの線形二階常微
分方程式を解くことにより求めることができる。
【0042】上記数式16を離散化する方法として、例
えば双一次変換を用いて整理すると、数式17となる。
但し、数式17において、K=T/TS、Tは回転速度
検出値nのサンプリング周期である。
【0043】
【数17】 n(i)=2・n(i-1)−n(i-2)−K・(T/TM+T/TL)・n*(i-1)
【0044】この数式17において、n(i-2)
(i-1),n(i)はそれぞれ前々回、前回及び今回のサン
プル点での電動機回転速度検出値であり、また、n*
(i-1)は数式18によって表される。
【0045】
【数18】n*(i-1)={n(i)+2・n(i-1)
(i-2)}/4
【0046】ここで、電動機回転速度の予測演算を行な
う機械系モデルは、数式17、数式18に基づき、次の
数式19によって示される演算を行なうものとする。
【0047】
【数19】 nM(i)=2・n(i-1)−n(i-2)−K(i)・(T/TM+T/TL)・n*(i-1)
【0048】また、モデル定数としてK(i-1)を用いた
モデル回転速度nM(i)の暫定値であるnM*(i)は、次の
数式20によって表される。なお、数式20において、
(i)(=T/TS(i))はモデル定数であり、TM(電動
機の機械時定数)とTL(負荷機械の機械時定数)とは
既知とする。
【0049】
【数20】 nM*(i)=2・n(i-1)−n(i-2)−K(i-1)・(T/TM+T/TL)・n*(i-1)
【0050】ところで、実際の電動機回転速度検出値と
機械系モデルのモデル回転速度との偏差e(i)及び偏差
(i)の暫定値e*(i)は、それぞれ数式21、数式22
によって表される。
【0051】
【数21】e(i)=n(i)−nM(i)
【0052】
【数22】e*(i)=n(i)−nM*(i)
【0053】従って、e(i)がゼロに収束する条件を求
めることができれば、モデル定数K(i)すなわち結合軸
の機械時定数TS(i)を同定することができる。ここで、
数式7、数式8及び数式10にポポフの超安定の定理を
適用する。偏差e(i)がi→∞でゼロに収束する同定則
は、数式23のとおりである。但し、数式24を条件と
する。
【0054】
【数23】K(i)=K(i-1)+kG・e(i)・n*(i-1)
【0055】
【数24】 e(i)=e*(i)/{1+kG・(T/TM+T/TL)・n*(i-1) 2
【0056】なお、数式23、数式24においてkG
同定ゲインと呼ばれる定数であり、このkGの値により
偏差e(i)がゼロに収束する速さが異なることになる。
また、上記超安定の定理による数式23、数式24の導
出は周知であり、例えば、「適応制御システムの理論と
実際」(I.D.Landau・富塚誠義共著、オーム社刊)に詳
しいので説明を省略する。
【0057】以上のように第1の発明は、ディジタル制
御装置から結合軸振動が起きるように電動機にトルク指
令を与えた後にこのトルク指令をゼロにすることによ
り、電動機トルクをゼロにした状態における電動機の回
転速度変化が前記数式11のように結合軸のトルクによ
るものだけになること、及び、前記数式16における未
知の値が電動機回転速度nと結合軸の機械時定数(ばね
時定数)TSだけになることに着目してなされたもの
で、それ以後の機械時定数TSの具体的な同定手法は既
知のアルゴリズムに従うものである。
【0058】すなわち第1の発明では、前々回、前回及
び今回のサンプル点での回転速度検出値n(i-2),n
(i-1),n(i)並びに前回のサンプル点での本発明による
機械時定数同定値TS(i-1)に基づき、電動機の回転速度
検出値n(i)に対応したモデル回転速度nM(i)を予測演
算すると共に、この予測演算したモデル回転速度nM(i)
と今回のサンプル点での回転速度検出値n(i)との偏差
(i)がゼロになるように今回のサンプル点でのモデル
定数K(i)(機械時定数TS(i))を同定する。以下同様
にして、毎サンプル点についてK(i+1),K(i+2),…の
同定が行われる。
【0059】第2の発明では、ディジタル制御装置から
図8に示すような一定値のトルク指令を与え、結合軸振
動を起こさせながら電動機回転速度を上昇させる。一
方、第3及び第4の発明では、ディジタル制御装置から
図9、図10に示すようにトルク指令を一定期間加えた
後にトルク指令をゼロとして結合軸振動を起こさせる。
ここで、図9のトルク指令パターンは図示するように図
8のトルク指令パターンの合成であり、また、図10の
トルク指令パターンは図示するように図9のトルク指令
パターンの合成である。すなわち、図9及び図10のト
ルク指令パターンは図8のトルク指令パターンを合成し
たものからなっている。このため、最初に図8のような
トルク指令パターンを二慣性系に与えた場合の電動機の
速度変化の様子について説明する。
【0060】まず、第2ないし第4の発明の何れについ
ても、図8のトルク指令パターンを二慣性系に与えた場
合の電動機の速度変化の様子を考えることが基本にな
る。対象となる二慣性系のブロック図は前述した図12
であり、外乱トルクτdをゼロとした場合には前記数式
1〜数式3が成立する。これらの数式1〜数式3から電
動機出力トルクから電動機速度までの伝達関数を求める
と、数式25となり、また、電動機出力トルクから負荷
機械回転速度までの伝達関数を求めると、数式26とな
る。
【0061】
【数25】
【0062】
【数26】 n L(s)/τM(s)={1/(TM・TL・TS)}/〔s{s2+(1/TS)・(1/TM+1/TL)}〕
【0063】また、電動機の出力トルクがステップ関数
であるとき、そのラプラス変換は数式27である。
【0064】
【数27】τM(s)=τ*/s
【0065】このときの電動機速度と負荷機械の回転速
度の時間応答は、数式25〜数式27からそれぞれ次の
数式28、数式29となる。
【0066】
【数28】
【0067】
【数29】
【0068】 次に、第2の発明について、図8のよ
うなトルク指令パターンを加えたときの速度変化の様子
を説明する。数式28、数式29から、一定値トルク加
速時の電動機速度及び負荷機械の回転速度は、次の数式
30に示すように二つの成分を持つ。但し、数式30に
おいて、naは定トル加速による加速度、M1は速度振
動成分の振動振幅、ωは速度振動成分の振動角周波数で
ある。
【0069】
【数30】 na・t+M1・sin(ωt)=(速度上昇分)+(速度振動成分)
【0070】また、第3、第4の発明については、図
9、図10のように一定期間、トルク指令パターンを与
えるものであるが、まず図9のトルク指令パターンの場
合の速度変化を考えると、図9は図8のトルク指令パタ
ーンの合成であり、トルクτ0(t)は数式31のように
表すことができる。但し、数式31におけるu0(t)は、
t≧0で、u0(t)=1、t<0でu0(t)=0である。
【0071】
【数31】τ0(t)=τ*・u0(t)−τ*・u0(t-t1)
【0072】よって、図9の時刻t1以後の速度変化
は、数式28、数式29及び下式の三角関数の合成か
ら、数式32、数式33となる。 sin(ωt)+sin(ωt+θ)=2・cos(θ/2)
・sin(ωt+θ/2)但し、θ(=ω・t1)はトル
ク指令パターンτ*・u0(t)と−τ*・u0(t-t1)との位
相差である。
【0073】
【数32】
【0074】
【数33】
【0075】ここで、数式32、数式33において、n
offは定数(回転速度オフセット)であり、また、nmag
も定数であって数式34により表される。
【0076】
【数34】
【0077】更に、図10のトルク指令パターンについ
ても、前述のごとく図10の指令パターンは図9の指令
パターンの合成であり、図9の指令パターンは図8の指
令パターンの合成であるから、図10の時刻t3以後の
速度変化はやはり数式32、数式33と似たような式に
なる。従って、図9、図10のように一定期間トルク指
令を与えてその後、このトルク指令をゼロにする場合、
速度変化の様子は数式32、数式33から、次の数式3
5に示すように二つの成分を持つ。但し、数式35にお
いて、noffは速度オフセット分、M2は速度振動成分の
振動振幅、ωは速度振動成分の振動角周波数である。
【0078】
【数35】 noff+M2・sin(ωt)=(速度オフセット分)+(速度振動成分)
【0079】従って、第2〜第4の発明の何れのトルク
指令パターンの場合でも、速度変化に振動成分を持つこ
とがわかる。そこで、次に振動成分の運動方程式につき
考えてみる。第2〜第4の発明に共通する事項として、
二慣性系の運動方程式である前記数式1〜数式3に関
し、振動成分につき運動方程式を考える。結合軸振動の
原因は結合軸(ねじりばね)両端の作用・反作用による
ものであるから、数式1〜数式3に対応して次の数式3
6〜数式38となる。
【0080】
【数36】ΔτS(s)=(Δn(s)−ΔnL(s))/(TS
s)
【0081】
【数37】ΔnL(s)=ΔτS(s)/(TL・s)
【0082】
【数38】Δn(s)=−ΔτS(s)/(TM・s)
【0083】但し、ΔτS(s)は軸トルクの振動成分、Δ
n(s)は電動機速度の振動成分、ΔnL(s)は負荷機械の
速度の振動成分である。これらの数式36〜数式38
は、電動機及び負荷機械の機械時定数(慣性時定数)T
M,TLと、同定するべき結合軸の機械時定数すなわちば
ね時定数(1/(結合軸のばね定数)と等価)とを含ん
だ電動機速度検出値の振動成分Δnに関する振動の特性
を表している。
【0084】これらの数式36〜数式38により、振動
成分に関する機械系モデルを作成することができる。ト
ルク指令パターンが図8〜図10のうちの何れの場合に
も、数式28、数式29または数式32、33の各々の
振動成分に関する第2項の係数の比較により、電動機速
度の振動成分と負荷機械の回転速度の振動成分との間に
は、数式39に示す関係があることがわかる。また、こ
れにより、数式39を利用して数式36を数式40のよ
うに書き直すことができる。
【0085】
【数39】Δn:−ΔnL=TL:TM
【0086】
【数40】ΔτS(s)=(1+TM/TL)・Δn(s)/
(TS・s)
【0087】次に、数式38、数式40を双一次変換
(台形近似)により連続時間系から離散時間系に離散化
すると、数式41、数式42のようになる。但し、各式
においてTはサンプリング周期を示す。
【0088】
【数41】
【0089】
【数42】
【0090】数式42を変形して数式43、数式44を
得、これらの数式43、数式44を左右両辺足し合わせ
て数式41を利用し整理すると、数式45を得る。な
お、数式45におけるΔn*(i-1)は数式46によって表
される。
【0091】
【数43】
【0092】
【数44】
【0093】
【数45】
【0094】
【数46】 Δn*(i-1)={Δn(i)+2・Δn(i-1)+Δn(i-2)}/4
【0095】数式45、数式46において、Δ
(i-2),Δn(i-1),Δn(i)はそれぞれ前々回、前回
及び今回のサンプル点での電動機回転速度検出値の振動
成分である。
【0096】次に、第2ないし第4の発明において、電
動機回転速度検出値から振動成分を抽出する方法につい
て説明する。まず、第2の発明に関し、図8に示したト
ルク指令パターンの場合、サンプル点i−2,i−1,
i回目の各時刻における回転速度検出値は、サンプリン
グ周期をTとすると、前記数式30に基づき次の数式4
7となる。なお、数式47におけるna,M1,ωの定義
は数式30において説明したとおりである。
【0097】
【数47】 n(i-2)=n(t-2T)=na(t-2T)+M1・sinω(t-2T) n(i-1)=n(t-T)=na(t-T)+M1・sinω(t-T) n(i)=n(t)=na(t)+M1・sinωt
【0098】n(i)−2・n(i-1)+n(i-2)のような2
階差分を行なうと、数式47から数式48が得られ、回
転速度から定トルク加速分を除去した振動角周波数を保
存してなる振動成分を抽出することができる。
【0099】
【数48】 n(i)−2・n(i-1)+n(i-2) =n(t)−2・n(t-T)+n(t-2T) =M1・{sinωt−2・sinω(t-T)+sinω(t-2T)} =2・M1・(cosωT−1)・sinω(t-T)
【0100】よって、電動機回転速度からの振動成分の
抽出は2階差分を適用し、数式49により行なう。
【0101】
【数49】Δn(i)=n(i)−2・n(i-1)+n(i-2)
【0102】従って、電動機回転速度検出値の振動成分
Δn(i-2),Δn(i-1),Δn(i)は、数式49を利用し
て数式50となる。
【0103】
【数50】 Δn(i)=n(i)−2・n(i-1)+n(i-2) Δn(i-1)=n(i-1)−2・n(i-2)+n(i-3) Δn(i-2)=n(i-2)−2・n(i-3)+n(i-4)
【0104】次に、第3の発明に関し、図9、図10に
示したトルク指令パターンの場合、サンプル点i−1,
i回目の各時刻における回転速度検出値は、サンプリン
グ周期をTとすると、前記数式35に基づき次の数式5
1となる。なお、数式51におけるnoff,M2,ωの定
義は数式35において説明したとおりである。
【0105】
【数51】 n(i-1)=n(t-T)=noff+M2・sinω(t-T) n(i)=n(t)=noff+M2・sinωt
【0106】n(i)−n(i-1)のような1階差分を行なう
と、数式51から数式52が得られ、回転速度から速度
オフセット分を除去した振動角周波数を保存してなる振
動成分を抽出することができる。
【0107】
【数52】 n(i)−n(i-1) =n(t)−n(t-T) =M2・{sinωt−sinω(t-T)} =2・M2・sin(ωT/2)・sin(ω(t−T/2)+π/2)
【0108】よって、電動機回転速度からの振動成分の
抽出は、1階差分を適用し、次の数式53により行な
う。
【0109】
【数53】Δn(i)=n(i)−n(i-1)
【0110】従って、電動機回転速度検出値の振動成分
Δn(i-2),Δn(i-1),Δn(i)は数式53を利用して
数式54となる。
【0111】
【数54】 Δn(i)=n(i)−n(i-1) Δn(i-1)=n(i-1)−n(i-2) Δn(i-2)=n(i-2)−n(i-3)
【0112】次に、第4の発明に関し、図9、図10に
示したトルク指令パターンの場合、サンプル点i−2,
i−1,i回目の各時刻における回転速度検出値は、サ
ンプリング周期をTとすると、前記数式35に基づき次
の数式55となる。なお、数式55におけるnoff
2,ωの定義は数式35において説明したとおりであ
る。
【0113】
【数55】 n(i-2)=n(t-2T)=noff+M2・sinω(t-2T) n(i-1)=n(t-T)=noff+M2・sinω(t-T) n(i)=n(t)=noff+M2・sinωt
【0114】n(i)−2・n(i-1)+n(i-2)のような2
階差分を行なうと、数式55から数式56が得られ、回
転速度から速度オフセット分を除去した振動角周波数を
保存してなる振動成分を抽出することができる。
【0115】
【数56】 n(i)−2・n(i-1)+n(i-2) =n(t)−2・n(t-T)+n(t-2T) =M2・{sinωt−2・sinω(t-T)+sinω(t-2T)} =2・M2・(cosωT−1)・sinω(t-T)
【0116】よって、電動機回転速度からの振動成分の
抽出は、2階差分を適用し、次の数式57により行な
う。
【0117】
【数57】Δn(i)=n(i)−2・n(i-1)+n(i-2)
【0118】従って、電動機回転速度検出値の振動成分
Δn(i-2),Δn(i-1),Δn(i)は数式57を利用して
数式58となる。
【0119】
【数58】 Δn(i)=n(i)−2・n(i-1)+n(i-2) Δn(i-1)=n(i-1)−2・n(i-2)+n(i-3) Δn(i-2)=n(i-2)−2・n(i-3)+n(i-4)
【0120】第2ないし第4の発明の何れのトルク指令
パターンによる速度変化の場合にも、上述した方法によ
り電動機回転速度検出値から振動成分を抽出することが
できる。よって、電動機回転速度のモデル振動成分は以
下に述べる方法により求めることができる。
【0121】すなわち、電動機回転速度のモデル振動成
分の予測演算を行なう機械系モデルは、第2の発明では
数式45、数式46、数式50、第3の発明では数式4
5、数式46、数式54、第4の発明では数式45、数
式46、数式58に基づき次の数式59、数式60の演
算を行なうものとする。
【0122】
【数59】 Δn*(i-1)={Δn(i)+2・Δn(i-1)+Δn(i-2)}/4
【0123】
【数60】
【0124】なお、数式60において、ΔnM(i)は振動
成分のモデル回転速度、K(i)(=T/TS(i))は結合
軸のモデル機械時定数(ばね時定数)であり、また、電
動機の機械時定数(慣性時定数)TM及び負荷機械の機
械時定数(同)TLは既知である。ところで、実際の電
動機回転速度検出値の振動成分とモデル振動成分との偏
差e(i)は、数式61により表される。
【0125】
【数61】e(i)=Δn(i)−ΔnM(i)
【0126】従って、e(i)がゼロに収束するようなK
(i)からK(i+1)を計算する条件を求めることができれ
ば、モデル定数K(i)(=T/TS(i))を同定すること
ができる。しかるに、数式60には今回の計算時点にて
計算するべき値K(i)が使われているため、実際には電
動機回転速度のモデル振動成分を計算することができな
い。そこで、数式60の代わりに今回の計算時点におい
て既知である値K(i-1)を用いた計算を行なうとする
と、数式62のようになる。
【0127】
【数62】
【0128】数式62におけるΔnM*(i)を電動機速度
の暫定モデル振動成分と呼ぶことにすると、実際の電動
機回転速度検出値の振動成分と暫定モデル振動成分との
偏差(暫定偏差と呼ぶ)は、数式63によって表すこと
ができる。
【0129】
【数63】e*(i)=Δn(i)−ΔnM*(i)
【0130】よって、偏差e(i)をゼロに収束させるK
(i)の修正条件を求め、数式59〜数式63から偏差e
(i)と暫定偏差e*(i-1)との関係を求めれば、実際に適
用可能な数式59、数式62、数式63を用いてモデル
定数K(i)(=T/TS(i))を同定することができる。
偏差e(i)がi→∞でゼロに収束する条件は、ポポフの
超安定定理を適用して求めることができ、モデル定数K
(i)は前記数式23となる。なお、偏差e(i)と暫定偏差
e*(i-1)との関係は、前記数式24に示したとおりであ
る。
【0131】以上のことから、第2ないし第4の発明の
作用をまとめると、以下のとおりである。まず、第2の
発明は、ディジタル制御装置から一定値のトルク指令を
与えることで結合軸振動を起こしながら電動機速度が変
化するようにし、この状態の速度変化の検出値から2階
差分による演算で定トルク加速分を除去し抽出できる振
動成分と、電動機速度から定トルク加速分を除去した振
動成分についての機械系の運動方程式に着目すると、電
動機と負荷機械の機械時定数(慣性時定数)が予め分か
っていて、電動機回転速度を検出したならば未知の値は
結合軸の機械時定数(ばね時定数)TSだけになること
に着目してなされたものである。
【0132】すなわち、第2の発明では、各サンプル点
での電動機速度の暫定モデル振動成分nM*(i)を計算
し、これと実際の電動機速度検出値とから2階差分によ
る演算で定トルク加速分を除去した振動成分値Δn(i)
との暫定偏差e*(i)を求め、これから偏差e(i)を計算
して今回のサンプル点でのモデル定数K(i)(=T/T
S(i))を演算する。以下、偏差e(i)がゼロになるま
で、各サンプル点についてK(i),K(i+1),K(i+2)
……の演算を行ない、機械時定数TSを同定する。
【0133】第3の発明は、ディジタル制御装置から一
定期間トルク指令を与えてその後、このトルク指令をゼ
ロにすることで結合軸振動を起こしながら電動機速度が
変化するようにし、この状態の速度変化の検出値から1
階差分による演算で速度オフセット分を除去し抽出でき
る振動成分と、電動機速度から速度オフセット分を除去
した振動成分についての機械系の運動方程式に着目する
と、電動機と負荷機械の機械時定数が予め分かってい
て、電動機回転速度を検出したならば未知の値は結合軸
の機械時定数TSだけになることに着目してなされたも
のである。
【0134】すなわち、第3の発明では、各サンプル点
での電動機速度の暫定モデル振動成分nM*(i)を計算
し、これと実際の電動機速度検出値とから1階差分によ
る演算で速度オフセット分を除去した振動成分値Δn
(i)との暫定偏差e*(i)を求め、これから偏差e(i)を計
算して今回のサンプル点でのモデル定数K(i)を演算す
る。以下、偏差e(i)がゼロになるまで、各サンプル点
についてK(i),K(i+1),K(i+2),……の演算を行な
い、機械時定数TSを同定する。
【0135】第4の発明は、ディジタル制御装置から一
定期間トルク指令を与えてその後、このトルク指令をゼ
ロにすることで結合軸振動を起こしながら電動機速度が
変化するようにし、この状態の速度変化の検出値から2
階差分による演算で速度オフセット分を除去し抽出でき
る振動成分と、電動機速度から速度オフセット分を除去
した振動成分についての機械系の運動方程式に着目する
と、電動機と負荷機械の機械時定数が予め分かってい
て、電動機回転速度を検出したならば未知の値は結合軸
の機械時定数TSだけになることに着目してなされたも
のである。
【0136】すなわち、第4の発明では、各サンプル点
での電動機速度の暫定モデル振動成分nM*(i)を計算
し、これと実際の電動機速度検出値とから2階差分によ
る演算で速度オフセット分を除去した振動成分値Δn
(i)との暫定偏差e*(i)を求め、これから偏差e(i)を計
算して今回のサンプル点でのモデル定数K(i)を演算す
る。以下、偏差e(i)がゼロになるまで、各サンプル点
についてK(i),K(i+1),K(i+2),……の演算を行な
い、機械時定数TSを同定する。
【0137】
【実施例】以下、図に沿って各発明の実施例を説明す
る。図1は第1の発明の一実施例が適用される二慣性系
の速度制御システムの一例を示しており、図11と同一
の構成要素には同一の符号を付して詳述を省略し、以
下、異なる部分を中心に説明する。図1において、マイ
クロプロセッサ等により構成されるディジタル制御装置
100により速度制御が行われ、トルク電流パターン発
生器3により電力変換器2に制御信号を出力し、電力変
換器2はこの制御信号に従って内部のスイッチング素子
をオン/オフして交流電源1から供給される電力を変換
し、電動機4を駆動する。この電動機4の出力トルクは
結合軸7を介して負荷機械6に伝達され、負荷機械6が
回転する。
【0138】このようなシステムにおいて、まず初めに
トルク電流パターン発生器3は図3に示したような結合
軸7が振動するようなトルク指令値を生成し、これを制
御信号に変換して電力変換器2へ出力すると共に、その
後、上記トルク指令値をゼロとしてこれを上記同様に制
御信号に変換し、電力変換器2へ出力する。機械系モデ
ル8は、速度検出器5からの回転速度検出値n及び定数
同定器9によるモデル定数Kから機械系モデル8の回転
速度信号つまりモデル回転速度nMを生成する。減算器
11は、速度検出値nとモデル回転速度nMとを比較し
てこれらの偏差(n−nM)を求める。そして、前記定
数同定器9はこの偏差(n−nM)に基づき所定の同定
を行い、モデル定数Kの演算を行う。
【0139】以下、図2に示すフローチャートを参照し
ながら第1の発明の実施例の作用を詳細に説明する。は
じめに軸振動が起きるように電力変換器2にトルク指令
値を与え、次いでトルク指令値をゼロにする(ステップ
S1,S2)。そして、前々回、前回及び今回のサンプ
ル点における回転速度検出値n(i-2),n(i-1),n(i)
がファイルから読み込まれ、前記数式18に基づきn*
(i-1)の演算が行われる(S3)。次に、前回のサンプ
ル点の結合軸7の機械時定数TS(i-1)と実質上等価であ
るK(i-1)がファイルから読み込まれ(S4)、機械系
モデル8におけるモデル回転速度の暫定値nM*(i)の予
測演算が数式20に基づいて行われる(S5)。
【0140】次いで、今回のサンプル点における回転速
度検出値n(i)と前記nM*(i)との偏差e*(i)が、数式2
2に基づいて求められる(S6)。そして、モデル定数
(i)の同定演算、すなわち機械時定数TS(i)の同定に
より結合軸7の機械時定数が演算され(S7)、この今
回サンプル点におけるTS(i)が前記ファイルに格納され
る(S8)。以上の動作を繰り返すことにより、定数K
(i)(機械時定数TS(i)すなわち結合軸7のばね時定
数)を同定することができる。
【0141】そして、一定時間X1ms経過後に前回の
モデル定数K(i-1)からの今回のモデル定数K(i)の変化
率を求め、その変化率があるレベルxx%以下ならば今
回の機械時定数TS(i)が機械時定数の実際値TSにほぼ
等しくなったとみなし、「同定完了」メッセージを出力し
て上記動作を完了する(S9〜S12)。また、上記変
化率がxx%より大きければ上記動作を繰返し、変化率
が一定時間X2ms内にxx%以下にならないならば、
同定ができないとして「同定失敗」メッセージを出力し、
処理を完了する(S111〜S112)。
【0142】次に、第2ないし第4の発明の実施例を説
明する。まず、図4はこれらの発明の各実施例が適用さ
れる二慣性系の速度制御システムの一例を示している。
すなわち、図1と同様に、マイクロプロセッサ等により
構成されるディジタル制御装置100により速度制御が
行われ、トルク電流パターン発生器3により電力変換器
2に制御信号を出力し、電力変換器2はこの制御信号に
従って内部のスイッチング素子をオン/オフして交流電
源1から供給される電力を変換し、電動機4を駆動す
る。この電動機4の出力トルクは結合軸7を介して負荷
機械6に伝達され、負荷機械6が回転する。
【0143】このようなシステムにおいて、トルク電流
パターン発生器3は第2の発明では図8に示すような一
定値のトルク指令パターン、第3、第4の発明では図
9、図10に示すように一定期間トルク指令を出力して
その後、これをゼロにするようなトルク指令パターンを
発生し、これを制御信号に変換して電力変換器2に出力
する。
【0144】また、図4において17は振動成分抽出フ
ィルタであり、このフィルタ17は回転速度の振動成分
抽出器であって速度検出器5の出力信号から、第2の発
明では2階差分を行なうことにより回転速度から定トル
ク加速分を除去し、また、第3の発明では1階差分を行
なうことにより回転速度から速度オフセット分を除去
し、更に、第4の発明では2階差分を行なうことにより
回転速度から速度オフセット分を除去して振動成分Δn
を抽出するものである。
【0145】そして、機械系モデル8は、回転速度の振
動成分Δn及び定数同定器9によるモデル定数Kから、
振動成分についての機械系モデル8の回転速度振動成分
信号つまりモデル振動成分ΔnM*を生成する。減算器1
1は、速度検出値の振動成分Δnとモデル振動成分Δn
M*とを比較してこれらの偏差(Δn−ΔnM*)を求め
る。更に、前記定数同定器9はこの偏差(Δn−Δn
M*)に基づき所定の演算を行ない、モデル定数Kの同定
を行なう。
【0146】以下、図5に示すフローチャートを参照し
ながら第2の発明の実施例の作用を詳細に説明する。は
じめに、電力変換器2に図8のような一定値のトルク指
令を与え、結合軸振動を起こしながら回転速度を上昇さ
せる(ステップS21)。各サンプル点においてファイ
ルに格納された(S22)回転速度検出値n(i-4),n
(i-3),n(i-2),n(i-1),n(i)がファイルから読み込
まれ、前記数式50の2階差分により電動機速度から定
トルク加速分を除去した回転速度振動成分Δn(i-2)
Δn(i-1),Δn(i)が計算される(S23)。そして、
回転速度振動成分Δn(i-2),Δn(i-1),Δn(i)
ら、数式59に基づきΔn*(i-1)の演算が行なわれる
(S24)。
【0147】次に、前回のサンプル点の結合軸7の機械
時定数TS(i-1)と実質上等価であるK(i-1)がファイル
から読み込まれ(S25)、電動機速度から定トルク加
速分を除去した振動成分についての機械系モデル8にお
ける電動機速度暫定モデル振動成分ΔnM*(i)の予測演
算が数式62に基づいて行なわれる(S26)。次い
で、今回のサンプル点における回転速度検出値の振動成
分Δn(i)と前記ΔnM*(i)との暫定偏差e*(i)が、数式
63に基づいて求められ(S27)、数式24に基づい
た演算で暫定偏差e*(i)は偏差e(i)に変換される(S
28)。そして、数式23に基づきモデル定数K(i)
修正演算、すなわち機械時定数TS(i)の修正により結合
軸7の機械時定数が演算され(S29)、この今回のサ
ンプル点におけるTS(i)が前記ファイルに格納される
(S30)。
【0148】以上の動作を繰り返すことにより、定数K
(i)(機械時定数すなわちばね時定数TS(i)であって1
/(結合軸7のばね定数)と等価)を同定することがで
きる。そして、その変化率があるレベルxx%以下なら
ば今回のばね時定数TS(i)がその実際値TSにほぼ等し
くなったとみなし、上記動作を完了する(S31〜S3
3)。
【0149】次に、図6に示すフローチャートを参照し
ながら第3の発明の実施例の作用を詳細に説明する。は
じめに、電力変換器2に図9、図10に示すごとく一定
期間トルク指令を与え、その後、トルク指令をゼロにす
ることで結合軸振動を起こさせる(ステップS41)。
各サンプル点においてファイルに格納された(S42)
回転速度検出値n(i-3),n(i-2),n(i-1),n(i)がフ
ァイルから読み込まれ、前記数式54の1階差分により
電動機速度から速度オフセット分を除去した回転速度振
動成分Δn(i-2),Δn(i-1),Δn(i)が計算される
(S43)。そして、回転速度振動成分Δn(i-2),Δ
(i-1),Δn(i)から、数式59に基づきΔn*(i-1)
演算が行なわれる(S44)。
【0150】次に、前回のサンプル点の結合軸7の機械
時定数TS(i-1)と実質上等価であるK(i-1)がファイル
から読み込まれ(S45)、電動機速度から速度オフセ
ット分を除去した振動成分についての機械系モデル8に
おける電動機速度暫定モデル振動成分ΔnM*(i)の予測
演算が数式62に基づいて行なわれる(S46)。次い
で、今回のサンプル点における回転速度検出値の振動成
分Δn(i)と前記ΔnM*(i)との暫定偏差e*(i)が、数式
63に基づいて求められ(S47)、数式24に基づい
た演算で暫定偏差e*(i)は偏差e(i)に変換される(S
48)。そして、数式23に基づきモデル定数K(i)
修正演算、すなわち機械時定数TS(i)の修正により結合
軸7の機械時定数が演算され(S49)、この今回のサ
ンプル点におけるTS(i)が前記ファイルに格納される
(S50)。
【0151】以上の動作を繰り返すことにより、定数K
(i)(機械時定数すなわちばね時定数TS(i))を同定す
ることができる。そして、その変化率があるレベルxx
%以下ならば今回の機械時定数TS(i)がその実際値TS
にほぼ等しくなったとみなし、上記動作を完了する(S
51〜S53)。
【0152】次に、図7に示すフローチャートを参照し
ながら第4の発明の実施例の作用を詳細に説明する。は
じめに電力変換器2に図9、図10に示すごとく一定期
間トルク指令を与え、その後、トルク指令をゼロにする
ことで結合軸振動を起こさせる(ステップS61)。各
サンプル点においてファイルに格納された(S62)回
転速度検出値n(i-4),n(i-3),n(i-2),n(i-1),n
(i)がファイルから読み込まれ、前記数式58の2階差
分により電動機速度から速度オフセット分を除去した回
転速度振動成分Δn(i-2),Δn(i-1),Δn(i)が計算
される(S63)。そして、回転速度振動成分Δn
(i-2),Δn(i-1),Δn(i)から、数式59に基づきΔ
n*(i-1)の演算が行なわれる(S64)。
【0153】次に、前回のサンプル点の結合軸7の機械
時定数TS(i-1)と実質上等価であるK(i-1)がファイル
から読み込まれ(S65)、電動機速度から速度オフセ
ット分を除去した振動成分についての機械系モデル8に
おける電動機速度暫定モデルΔnM*(i)の予測演算が数
式62に基づいて行なわれる(S66)。次いで、今回
のサンプル点における回転速度検出値の振動成分Δn
(i)と前記ΔnM*(i)との暫定偏差e*(i)が、数式63に
基づいて求められ(S67)、数式24に基づいた演算
で暫定偏差e*(i)は偏差e(i)に変換される(S6
8)。そして、数式23に基づきモデル定数K(i)の修
正演算、すなわち機械時定数TS (i)の修正により結合軸
7の機械時定数が演算され(S69)、この今回のサン
プル点におけるTS(i)が前記ファイルに格納される(S
70)。
【0154】以上の動作を繰り返すことにより、定数K
(i)(機械時定数すなわちばね時定数TS(i))を同定す
ることができる。そして、その変化率があるレベルxx
%以下ならば今回の機械時定数TS(i)がその実際値TS
にほぼ等しくなったとみなし、上記動作を完了する(S
71〜S73)。
【0155】
【発明の効果】以上のように第1の発明は、二慣性系の
システムにおいて、電動機のトルクを制御可能なディジ
タル制御装置から、結合軸振動が起きるようにトルク指
令値を与えた後、電動機トルクをゼロにすることにより
電動機の回転速度変化が軸トルクによるものだけになる
こと、及び、未知の値は回転速度と結合軸の機械時定数
すなわちばね時定数(ばね定数と等価)だけになること
に着目し、二慣性系の機械系モデルにより電動機回転速
度を予測演算する手段と、この予測値と回転速度検出値
との偏差をゼロにするように結合軸の機械時定数を同定
する手段と、上記二つの手段を繰返し動作させる手段と
を設けたものである。
【0156】これにより、結合軸の機械時定数が予めわ
からない場合にも自動的に機械時定数を求めることがで
きる。従って、従来のように結合軸の振動周期に基づく
人手による測定や計算作業を解消し、個人差なく機械時
定数を同定することができる。更に、本発明は上記のよ
うに簡単なソフトウェアにより別途ハードウェアを準備
することなく実現可能であるため、極めて安価に提供で
き、また、機械時定数を繰返し修正していくことから、
常に正確に結合軸の機械時定数を求めることができる。
【0157】第2の発明は、二慣性系のシステムにおい
て、電動機のトルクを制御可能なディジタル制御装置か
ら、一定値のトルク指令を与えることで結合軸振動を起
こしつつ回転速度を上昇させた場合に、電動機速度から
定トルク加速分を除去した振動成分のみについての機械
系の運動方程式が、電動機と負荷機械の機械時定数が予
め既知であり各サンプル点における振動成分を求めるこ
とができるなら未知の値は結合軸の機械時定数だけにな
ることに着目したもので、二慣性系の振動成分について
の機械系モデルに基づき電動機速度から定トルク加速分
を除去したモデル振動成分を予測演算する手段と、この
モデル振動成分値と実際の回転速度検出値から2階差分
により定トルク加速分を除去し抽出した振動成分との偏
差をゼロにするように結合軸の機械時定数を修正し変更
する手段と、上記二つの手段を繰返し動作させる手段と
を備えたものである。
【0158】第3の発明は、二慣性系のシステムにおい
て、電動機のトルクを制御可能なディジタル制御装置か
ら、一定期間トルク指令を与え、その後トルク指令をゼ
ロにすることで結合軸振動を起こさせた場合に、電動機
速度から速度オフセット分を除去した振動成分のみにつ
いての機械系の運動方程式が、電動機と負荷機械の機械
時定数が予め既知であり各サンプル点における振動成分
を求めることができるなら未知の値は結合軸の機械時定
数だけになることに着目したもので、二慣性系の振動成
分についての機械系モデルに基づき電動機速度から速度
オフセット分を除去したモデル振動成分を予測演算する
手段と、このモデル振動成分値と実際の回転速度検出値
から1階差分により速度オフセット分を除去し抽出した
振動成分との偏差をゼロにするように結合軸の機械時定
数を修正し変更する手段と、上記二つの手段を繰返し動
作させる手段とを備えたものである。
【0159】第4の発明は、二慣性系のシステムにおい
て、電動機のトルクを制御可能なディジタル制御装置か
ら、一定期間トルク指令を与え、その後トルク指令をゼ
ロにすることで結合軸振動を起こさせた場合に、電動機
速度から速度オフセット分を除去した振動成分のみにつ
いての機械系の運動方程式が、電動機と負荷機械の機械
時定数が予め既知であり各サンプル点における振動成分
を求めることができるなら未知の値は結合軸の機械時定
数だけになることに着目したもので、二慣性系の振動成
分についての機械系モデルに基づき電動機速度から速度
オフセット分を除去したモデル振動成分を予測演算する
手段と、このモデル振動成分値と実際の回転速度検出値
から2階差分により速度オフセット分を除去し抽出した
振動成分との偏差をゼロにするように結合軸の機械時定
数を修正し変更する手段と、上記二つの手段を繰返し動
作させる手段とを備えたものである。
【0160】このため第2ないし第4の発明によれば、
第1の発明と同様に結合軸の機械時定数が予めわからな
い場合にも自動的に機械時定数を求めることができる。
従って、従来のように結合軸の振動周期に基づく人手に
よる測定や計算作業を解消し、個人差なく機械時定数を
同定することができる。また、簡単なソフトウェアによ
り別途ハードウェアを準備することなく実現可能である
ため、極めて安価に提供できると共に、機械時定数を繰
返し修正していくことから、常に正確に結合軸の機械時
定数を求めることができる。
【0161】更に、第1の発明においては、速度変化波
形がゼロ速度を中心とするような振動を起こそうとして
も、静止摩擦力などのゼロ速度付近特有の機械系の非線
形性に起因して、上記振動を常時発生させることが困難
であり、このような振動が起きない場合の同定結果が不
正確になるという問題があるが、第2ないし第4の発明
では、同定対象となる回転速度の範囲はゼロ速度付近以
外になるため、上述したゼロ速度付近特有の非線形性に
影響されない同定を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の実施例が適用される二慣性系の速
度制御システムの一例を示す構成図である。
【図2】第1の発明の実施例の作用を示すフローチャー
トである。
【図3】第1の発明の実施例に使用されるトルク指令パ
ターンの説明図である。
【図4】第2ないし第4の発明の実施例が適用される二
慣性系の速度制御システムの一例を示す構成図である。
【図5】第2の発明の実施例の作用を示すフローチャー
トである。
【図6】第3の発明の実施例の作用を示すフローチャー
トである。
【図7】第4の発明の実施例の作用を示すフローチャー
トである。
【図8】第2の発明の実施例に使用されるトルク指令パ
ターンの説明図である。
【図9】第3、第4の発明の実施例に使用されるトルク
指令パターンの説明図である。
【図10】第3、第4の発明の実施例に使用されるトル
ク指令パターンの説明図である。
【図11】従来の技術が適用される二慣性系の速度制御
システムの構成図である。
【図12】二慣性系システムのブロック図である。
【図13】軸振動状態における電動機の速度変化の様子
を示す図である。
【図14】二慣性系の軸振動を抑制するための速度制御
システムのブロック図である。
【符号の説明】
1 交流電源 2 電力変換器 3 トルク電流パターン発生器 4 電動機 5 速度検出器 6 負荷機械 7 結合軸 8 機械系モデル 9 定数同定器 11 減算器 17 振動成分抽出フィルタ 100 ディジタル制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−173603(JP,A) 特開 平2−228284(JP,A) 特開 昭63−257487(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H02P 5/00 G05B 13/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動機と負荷機械とが軸により結合され
    ている二慣性系であって、一定のサンプル時間によりサ
    ンプリングされる電動機の回転速度検出値と既知である
    電動機及び負荷機械の機械時定数とを用いて回転速度検
    出値に関する特性式を解くことにより結合軸の機械時定
    数を同定する方法において、 電動機の回転速度や駆動トルクを制御可能なディジタル
    制御装置から、結合軸振動が起きるように前記電動機に
    トルク指令を与えた後にこのトルク指令をゼロにするこ
    とにより、電動機及び負荷機械の機械時定数並びに同定
    するべき結合軸の機械時定数及び電動機の回転速度のみ
    から構成される運動方程式で記述される自由振動状態と
    し、この自由振動状態の特性式を解いて同定した前回の
    サンプル点での結合軸の機械時定数と、前々回、前回及
    び今回のサンプル点での電動機回転速度検出値と、電動
    機及び負荷機械の機械時定数とを用いて、軸振動状態に
    おける今回のサンプル点でのモデル回転速度を演算する
    機械系モデルを設け、この機械系モデルによって演算し
    た今回のサンプル点でのモデル回転速度と電動機回転速
    度検出値との偏差がゼロになるようにモデル定数を求
    、このモデル定数の逆数に回転速度検出値のサンプリ
    ング周期を乗じることにより今回のサンプル点での結合
    軸の機械時定数を同定することを特徴とする二慣性系に
    おける結合軸の機械時定数同定方法。
  2. 【請求項2】 電動機と負荷機械とが軸により結合され
    ている二慣性系であって、一定のサンプル時間によりサ
    ンプリングされる電動機の回転速度検出値と既知である
    電動機及び負荷機械の機械時定数とを用いて回転速度検
    出値に関する特性式を解くことにより結合軸の機械時定
    数を同定する方法において、 電動機の回転速度や駆動トルクを制御可能なディジタル
    制御装置に、電動機に一定値の駆動トルクを加えたとき
    の電動機速度から2階差分式による演算によって定トル
    ク加速分を除去した振動成分を演算する機械系モデルを
    構成しておき、前記ディジタル制御装置から電動機に一
    定値のトルク指令を与えて結合軸のねじり振動を起こさ
    せながら電動機速度を変化させ、電動機速度のサンプリ
    ングごとに、結合軸の機械時定数の前回演算値と定トル
    ク加速分を除去した速度振動成分の前々回値、前回値及
    び今回値とを用いて前記機械系モデルにより電動機速度
    の振動成分を演算し、演算した振動成分と2階差分によ
    る速度振動成分との偏差がゼロになるようにモデル定数
    を求め、このモデル定数の逆数に回転速度検出値のサン
    プリング周期を乗じることにより今回のサンプル点での
    結合軸の機械時定数を同定することを特徴とする二慣性
    系における結合軸の機械時定数同定方法。
  3. 【請求項3】 電動機と負荷機械とが軸により結合され
    ている二慣性系であって、一定のサンプル時間によりサ
    ンプリングされる電動機の回転速度検出値と既知である
    電動機及び負荷機械の機械時定数とを用いて回転速度検
    出値に関する特性式を解くことにより結合軸の機械時定
    数を同定する方法において、 電動機の回転速度や駆動トルクを制御可能なディジタル
    制御装置に、電動機に駆動トルクを一定期間加えた後に
    駆動トルクをゼロとしたときの電動機速度から1階差分
    式による演算によって速度オフセット分を除去した振動
    成分を演算する機械系モデルを構成しておき、前記ディ
    ジタル制御装置により電動機にトルク指令を一定期間加
    えた後にトルク指令をゼロとして結合軸のねじり振動を
    起こさせながら電動機速度を変化させ、電動機速度のサ
    ンプリングごとに、結合軸の機械時定数の前回演算値と
    速度オフセット分を除去した速度振動成分の前々回値、
    前回値及び今回値とを用いて前記機械系モデルにより
    動機速度の振動成分を演算し、演算した振動成分と1階
    差分による速度振動成分との偏差がゼロになるように
    デル定数を求め、このモデル定数の逆数に回転速度検出
    値のサンプリング周期を乗じることにより今回のサンプ
    ル点での結合軸の機械時定数を同定することを特徴とす
    る二慣性系における結合軸の機械時定数同定方法。
  4. 【請求項4】 電動機と負荷機械とが軸により結合され
    ている二慣性系であって、一定のサンプル時間によりサ
    ンプリングされる電動機の回転速度検出値と既知である
    電動機及び負荷機械の機械時定数とを用いて回転速度検
    出値に関する特性式を解くことにより結合軸の機械時定
    数を同定する方法において、 電動機の回転速度や駆動トルクを制御可能なディジタル
    制御装置に、電動機に駆動トルクを一定期間加えた後に
    駆動トルクをゼロとしたときの電動機速度から2階差分
    式による演算によって速度オフセット分を除去した振動
    成分を演算する機械系モデルを構成しておき、前記ディ
    ジタル制御装置により電動機にトルク指令を一定期間加
    えた後にトルク指令をゼロとして結合軸のねじり振動を
    起こさせながら電動機速度を変化させ、電動機速度のサ
    ンプリングごとに、結合軸の機械時定数の前回演算値と
    速度オフセット分を除去した速度振動成分の前々回値、
    前回値及び今回値とを用いて前記機械系モデルにより
    動機速度の振動成分を演算し、演算した振動成分と2階
    差分による速度振動成分との偏差がゼロになるように
    デル定数を求め、このモデル定数の逆数に回転速度検出
    値のサンプリング周期を乗じることにより今回のサンプ
    ル点での結合軸の機械時定数を同定することを特徴とす
    る二慣性系における結合軸の機械時定数同定方法。
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