JP2963983B2 - 環状β‐ケトチオアミド誘導体 - Google Patents
環状β‐ケトチオアミド誘導体Info
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- JP2963983B2 JP2963983B2 JP11051997A JP11051997A JP2963983B2 JP 2963983 B2 JP2963983 B2 JP 2963983B2 JP 11051997 A JP11051997 A JP 11051997A JP 11051997 A JP11051997 A JP 11051997A JP 2963983 B2 JP2963983 B2 JP 2963983B2
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- ketothioamide
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- cyclic
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な環状β‐ケ
トチオアミド誘導体に関するものである。
トチオアミド誘導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】N,N‐ジ置換β‐ケトチオアミドは、
その化学構造から銅、ニッケルなどの遷移金属を特異的
に結合するキレート化剤として有用であることが期待さ
れる化合物で、β‐ケト酸ハロゲン化物と第二級アミン
との反応、あるいはN,N‐ジ置換チオカルバモイルハ
ロゲン化物とエノール化アセチル化物との反応によって
製造しうることが予測されるが、原料化合物の入手が困
難であり、あるいは反応速度が遅いなどの問題があり、
特に環状構造を有するβ‐ケトチオアミド誘導体はこれ
まで得られていない。
その化学構造から銅、ニッケルなどの遷移金属を特異的
に結合するキレート化剤として有用であることが期待さ
れる化合物で、β‐ケト酸ハロゲン化物と第二級アミン
との反応、あるいはN,N‐ジ置換チオカルバモイルハ
ロゲン化物とエノール化アセチル化物との反応によって
製造しうることが予測されるが、原料化合物の入手が困
難であり、あるいは反応速度が遅いなどの問題があり、
特に環状構造を有するβ‐ケトチオアミド誘導体はこれ
まで得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、新規反応を
利用してこれまで得られていなかった環状β‐ケトチオ
アミド誘導体を提供することを目的とするものである。
利用してこれまで得られていなかった環状β‐ケトチオ
アミド誘導体を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、N,N‐
ジ置換β‐ケトチオアミドの製造方法について種々研究
を重ねた結果、N‐置換ラクタムとビス(トリアルキル
シリル)チオケテンとの間に起こる新規反応を利用する
ことにより、これまで得られなかった環状構造を有する
β‐ケトチオアミド誘導体を比較的容易に製造しうるこ
とを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至っ
た。
ジ置換β‐ケトチオアミドの製造方法について種々研究
を重ねた結果、N‐置換ラクタムとビス(トリアルキル
シリル)チオケテンとの間に起こる新規反応を利用する
ことにより、これまで得られなかった環状構造を有する
β‐ケトチオアミド誘導体を比較的容易に製造しうるこ
とを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至っ
た。
【0005】すなわち、本発明は、一般式
【化2】 (式中のR1は炭化水素基、Aは酸素原子、硫黄原子又
は窒素原子を介在させてもよい二価炭化水素基である)
で表わされる環状β‐ケトチオアミド誘導体を提供する
ものである。
は窒素原子を介在させてもよい二価炭化水素基である)
で表わされる環状β‐ケトチオアミド誘導体を提供する
ものである。
【0006】本発明の化合物は、文献未載の新規化合物
であり、銅、ニッケルなどの遷移金属のイオンに対し特
異的なキレート形成作用を示すので、金属の分離剤、回
収剤として有用であり、またβ‐位置に置換基を有する
各種チオアミド誘導体を製造するための合成中間体とし
ても有用である。
であり、銅、ニッケルなどの遷移金属のイオンに対し特
異的なキレート形成作用を示すので、金属の分離剤、回
収剤として有用であり、またβ‐位置に置換基を有する
各種チオアミド誘導体を製造するための合成中間体とし
ても有用である。
【0007】前記一般式中のR1は炭化水素基であり、
この炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素
基又は芳香族炭化水素基のいずれでもよい。このような
炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペン
チル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、デシ
ル基のようなアルキル基、ビニル基、アリル基、ペンテ
ニル基のようなアルケニル基、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基のようなシクロアルキル基、フェニル基、
ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基のようなアリー
ル基を挙げることができる。これらの炭化水素基は、さ
らにアルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、置
換アミノ基、アシル基などによって置換されていてもよ
い。
この炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素
基又は芳香族炭化水素基のいずれでもよい。このような
炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペン
チル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、デシ
ル基のようなアルキル基、ビニル基、アリル基、ペンテ
ニル基のようなアルケニル基、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基のようなシクロアルキル基、フェニル基、
ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基のようなアリー
ル基を挙げることができる。これらの炭化水素基は、さ
らにアルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、置
換アミノ基、アシル基などによって置換されていてもよ
い。
【0008】この一般式中のAは二価炭化水素基であっ
て、この炭化水素基の例としては、アルキレン基を挙げ
ることができる。これらの一般式(I)で表わされる新
規化合物は、例えば一般式
て、この炭化水素基の例としては、アルキレン基を挙げ
ることができる。これらの一般式(I)で表わされる新
規化合物は、例えば一般式
【化3】 (式中のR1及びAは前記と同じ意味をもつ)で表わさ
れるN−置換ラクタムとビス(トリアルキルシリル)チ
オケテンとを反応させたのち、その反応生成物をアルコ
ールで処理することにより製造することができる。
れるN−置換ラクタムとビス(トリアルキルシリル)チ
オケテンとを反応させたのち、その反応生成物をアルコ
ールで処理することにより製造することができる。
【0009】この際に原料として用いるN‐置換ラクタ
ムの例としては、1‐メチルピロリジン‐2‐オン、N
‐メチル‐ε‐カプロラクタムなどを挙げることができ
る。
ムの例としては、1‐メチルピロリジン‐2‐オン、N
‐メチル‐ε‐カプロラクタムなどを挙げることができ
る。
【0010】他方、ビス(トリアルキルシリル)チオケ
テンは、一般式
テンは、一般式
【化4】 (式中のR4、R5及びR6はそれぞれアルキル基であ
り、これらはたがいに同一でも、また異なっていてもよ
い)で表わされる化合物で、例えば、ビス(トリメチル
シリル)チオケテン、ビス(トリエチルシリル)チオケ
テン、ビス(トリプロピルシリル)チオケテン、トリメ
チルシリルトリエチルシリルチオケテン、ビス(ジメチ
ルエチルシリル)チオケテン、ビス(メチルジエチルシ
リル)チオケテンなどがある。
り、これらはたがいに同一でも、また異なっていてもよ
い)で表わされる化合物で、例えば、ビス(トリメチル
シリル)チオケテン、ビス(トリエチルシリル)チオケ
テン、ビス(トリプロピルシリル)チオケテン、トリメ
チルシリルトリエチルシリルチオケテン、ビス(ジメチ
ルエチルシリル)チオケテン、ビス(メチルジエチルシ
リル)チオケテンなどがある。
【0011】N‐置換ラクタムとビス(トリアルキルシ
リル)チオケテンとの反応は、N‐置換ラクタムを若干
過剰に用いて行われる。この際、両者を混合して、通常
室温にて数時間ないし、数日間放置することにより、反
応を完結させることができる。N‐置換ラクタムとビス
(トリ置換シリル)チオケテンとが室温で完全に溶けあ
わない場合には、40〜60℃程度に加温してもよい。
また、溶媒は、反応速度を高めるために使用しないのが
望ましいが、相容性を高める目的や反応が激しすぎる場
合などでは、所望により溶媒を使用することができる。
この溶媒としては、N‐置換ラクタムやビス(トリ置換
シリル)チオケテンと反応することのないものを選ぶ必
要があり、一般にはエーテル類が用いられる。なお、反
応完結は、例えばガスクロマトグラフィー分析により、
ビス(トリ置換シリル)チオケテンが消失したことをも
って知ることができる。
リル)チオケテンとの反応は、N‐置換ラクタムを若干
過剰に用いて行われる。この際、両者を混合して、通常
室温にて数時間ないし、数日間放置することにより、反
応を完結させることができる。N‐置換ラクタムとビス
(トリ置換シリル)チオケテンとが室温で完全に溶けあ
わない場合には、40〜60℃程度に加温してもよい。
また、溶媒は、反応速度を高めるために使用しないのが
望ましいが、相容性を高める目的や反応が激しすぎる場
合などでは、所望により溶媒を使用することができる。
この溶媒としては、N‐置換ラクタムやビス(トリ置換
シリル)チオケテンと反応することのないものを選ぶ必
要があり、一般にはエーテル類が用いられる。なお、反
応完結は、例えばガスクロマトグラフィー分析により、
ビス(トリ置換シリル)チオケテンが消失したことをも
って知ることができる。
【0012】このようにして、1:1の付加物が得られ
るが、これは、反応混合物から取り出すことなく、その
まま、あるいは所望により昇華や蒸留などにより取り出
したのち、アルコールに溶解させ、脱シリル化、プロト
ン化する。この際用いられるアルコールの量としては、
1:1の付加物又は付加物を含む反応混合物に対して5
容量倍程度が好ましく、またアルコールは低級脂肪族ア
ルコール、特にメタノールが好適である。反応が遅い場
合には、触媒量の酸を添加することにより、反応を著し
く促進させることができる。この酸としては、無機酸、
有機酸、固体酸などを用いることができるが、留去可能
なものやろ別可能なものが好ましく、特に塩化水素が好
適である。塩化水素を用いる場合は、アルコールに対
し、0.005〜0.05重量%程度でよい。なお、脱
シリル化、プロトン化の終了は、例えばガスクロマトグ
ラフィー分析により、付加物が消失したことをもって確
認することができる。
るが、これは、反応混合物から取り出すことなく、その
まま、あるいは所望により昇華や蒸留などにより取り出
したのち、アルコールに溶解させ、脱シリル化、プロト
ン化する。この際用いられるアルコールの量としては、
1:1の付加物又は付加物を含む反応混合物に対して5
容量倍程度が好ましく、またアルコールは低級脂肪族ア
ルコール、特にメタノールが好適である。反応が遅い場
合には、触媒量の酸を添加することにより、反応を著し
く促進させることができる。この酸としては、無機酸、
有機酸、固体酸などを用いることができるが、留去可能
なものやろ別可能なものが好ましく、特に塩化水素が好
適である。塩化水素を用いる場合は、アルコールに対
し、0.005〜0.05重量%程度でよい。なお、脱
シリル化、プロトン化の終了は、例えばガスクロマトグ
ラフィー分析により、付加物が消失したことをもって確
認することができる。
【0013】反応終了後、アルコール及び副生したアル
コキシシランを、好ましくは減圧下で留去することによ
り粗製の環状β‐ケトチオアミド誘導体が得られる。こ
の粗製の環状β‐ケトチオアミド誘導体は、蒸気圧が十
分に高い場合には蒸留や昇華によって精製してもよい
し、またシリカゲルやアルミナを用いたカラムクロマト
グラフィーによって精製してもよい。脱シリル化、プロ
トン化する前の付加物を純粋に取り出した場合には、ア
ルコールによる処理のみで付加物から定量的に純粋な環
状β‐ケトチオアミド誘導体を得ることができる。な
お、一般にβ‐ケトチオアミド誘導体は、溶液内ではそ
のプロトン異性体であるエノール型と平衡混合物として
存在するため、一方の異性体のみを純粋に単離できない
ことがある。しかし、条件を選択することにより、多く
の場合一方の異性体のみを純粋に得ることができる。
コキシシランを、好ましくは減圧下で留去することによ
り粗製の環状β‐ケトチオアミド誘導体が得られる。こ
の粗製の環状β‐ケトチオアミド誘導体は、蒸気圧が十
分に高い場合には蒸留や昇華によって精製してもよい
し、またシリカゲルやアルミナを用いたカラムクロマト
グラフィーによって精製してもよい。脱シリル化、プロ
トン化する前の付加物を純粋に取り出した場合には、ア
ルコールによる処理のみで付加物から定量的に純粋な環
状β‐ケトチオアミド誘導体を得ることができる。な
お、一般にβ‐ケトチオアミド誘導体は、溶液内ではそ
のプロトン異性体であるエノール型と平衡混合物として
存在するため、一方の異性体のみを純粋に単離できない
ことがある。しかし、条件を選択することにより、多く
の場合一方の異性体のみを純粋に得ることができる。
【0014】このようにして、N‐メチル‐3‐オキソ
‐ε‐チオカプロラクタム、1‐アザ‐1‐メチル‐2
‐チオキソ‐4‐シクロノナノンのような環状構造のも
のを製造することができる。
‐ε‐チオカプロラクタム、1‐アザ‐1‐メチル‐2
‐チオキソ‐4‐シクロノナノンのような環状構造のも
のを製造することができる。
【0015】このようにして得られた本発明の新規な環
状β‐ケトチオアミド誘導体は、プロトン核磁気共鳴ス
ペクトル(1H−NMR)、同位体炭素核磁気共鳴スペ
クトル(13C−NMR)、質量スペクトル(MS)の測
定、X線結晶回折及び元素分析などにより同定すること
ができる。
状β‐ケトチオアミド誘導体は、プロトン核磁気共鳴ス
ペクトル(1H−NMR)、同位体炭素核磁気共鳴スペ
クトル(13C−NMR)、質量スペクトル(MS)の測
定、X線結晶回折及び元素分析などにより同定すること
ができる。
【0016】本発明方法の反応は、次の反応式にしたが
って進行するものと推定される。
って進行するものと推定される。
【化5】 (式中のR1、A、R4、R5及びR6は前記と同じ意味を
もつ) この反応式から明らかなように、本発明方法は、N‐置
換ラクタムのカルボニル基のみに対し、トリアルキルシ
リルチオケテン部分とトリアルキルシリル部分とが付加
したのち、転移する反応であるため、窒素原子の置換基
R1や置換基Aの種類によりほとんど影響されることは
ない。したがって、R1及びAについては広範囲にわた
り変化させることが可能である。
もつ) この反応式から明らかなように、本発明方法は、N‐置
換ラクタムのカルボニル基のみに対し、トリアルキルシ
リルチオケテン部分とトリアルキルシリル部分とが付加
したのち、転移する反応であるため、窒素原子の置換基
R1や置換基Aの種類によりほとんど影響されることは
ない。したがって、R1及びAについては広範囲にわた
り変化させることが可能である。
【0017】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。
【0018】参考例 ガラス容器に、ビス(トリメチルシリル)チオケテン
0.50gとN,N‐ジメチルアセトアミド0.24g
を入れ、かきまぜて混合し、2日間放置した。次いで得
られた固体を昇華管内に移し、真空ポンプで0.05m
mHgの減圧とし、60℃で生成物を昇華させることに
より、1:1の付加物0.46g(収率65%)が元素
分析で純粋な化合物として得られた。 元素分析値: C H N S 計算値(%) 49.77 9.40 4.84 11.07 測定値(%) 49.91 9.52 4.99 10.86
0.50gとN,N‐ジメチルアセトアミド0.24g
を入れ、かきまぜて混合し、2日間放置した。次いで得
られた固体を昇華管内に移し、真空ポンプで0.05m
mHgの減圧とし、60℃で生成物を昇華させることに
より、1:1の付加物0.46g(収率65%)が元素
分析で純粋な化合物として得られた。 元素分析値: C H N S 計算値(%) 49.77 9.40 4.84 11.07 測定値(%) 49.91 9.52 4.99 10.86
【0019】次に、この付加物0.3gを塩化水素0.
01重量%を含むメタノール5ミリリットルに溶解した
ところ、発熱が生じた。次いで、メタノール及びトリメ
チルメトキシシランを減圧下で留去したのち、残渣をジ
エチルエーテルに溶解し、ジエチルエーテルを自然に蒸
発させることにより、結晶状のN,N‐ジメチル‐3‐
オキソチオ酪酸アミド0.14g(収率94%、総合収
率61%)が得られた。
01重量%を含むメタノール5ミリリットルに溶解した
ところ、発熱が生じた。次いで、メタノール及びトリメ
チルメトキシシランを減圧下で留去したのち、残渣をジ
エチルエーテルに溶解し、ジエチルエーテルを自然に蒸
発させることにより、結晶状のN,N‐ジメチル‐3‐
オキソチオ酪酸アミド0.14g(収率94%、総合収
率61%)が得られた。
【0020】このものの融点、質量スペクトル(M
S)、13C−NMR、1H−NMRの測定結果及び元素
分析値を以下に示す。 融点:87.6〜97.6℃(エタノールから再結晶、
エノール型とケト型の平衡混合物に転化するため明確な
融点を示さない) MS:m/z=145(M+)1 H−NMR:14.98ppm(s,1H)、5.5
0ppm(s,1H)、3.37〜3.30(広幅d,
6H)、2.03ppm(s,3H)(クロロホルム中
では結晶溶解直後はエノール型で存在している)13 C−NMR:189.3ppm、173.4ppm、
95.42ppm、95.35ppm、41.7ppm
(広幅)、23.90ppm(長時間の積算中にβ‐ケ
トチオアミド型に変化している) 元素分析値: C H N S 計算値(%) 49.62 7.63 9.64 22.08 測定値(%) 49.68 7.73 9.66 21.94 また、このもののX線結晶回折に基づくオルテップ(O
RTEP)図を図1に示す。
S)、13C−NMR、1H−NMRの測定結果及び元素
分析値を以下に示す。 融点:87.6〜97.6℃(エタノールから再結晶、
エノール型とケト型の平衡混合物に転化するため明確な
融点を示さない) MS:m/z=145(M+)1 H−NMR:14.98ppm(s,1H)、5.5
0ppm(s,1H)、3.37〜3.30(広幅d,
6H)、2.03ppm(s,3H)(クロロホルム中
では結晶溶解直後はエノール型で存在している)13 C−NMR:189.3ppm、173.4ppm、
95.42ppm、95.35ppm、41.7ppm
(広幅)、23.90ppm(長時間の積算中にβ‐ケ
トチオアミド型に変化している) 元素分析値: C H N S 計算値(%) 49.62 7.63 9.64 22.08 測定値(%) 49.68 7.73 9.66 21.94 また、このもののX線結晶回折に基づくオルテップ(O
RTEP)図を図1に示す。
【0021】実施例1 参考例において、N,N‐ジメチルアセトアミドを用い
る代わりに1‐メチルピロリジン‐2‐オン0.28g
を用い、室温で4日間反応させて結晶化させた。次い
で、これを0.05mmHgの減圧下、85℃で昇華精
製することにより、結晶状の付加物0.42g(収率5
6%)を得た。この付加物について、元素分析値を求め
るとともに、X線結晶回折に基づくオルテップ図を図2
に示す。 元素分析値 C H N S 計算値(%) 51.77 9.02 4.64 10.63 実測値(%) 51.92 9.02 4.65 10.39
る代わりに1‐メチルピロリジン‐2‐オン0.28g
を用い、室温で4日間反応させて結晶化させた。次い
で、これを0.05mmHgの減圧下、85℃で昇華精
製することにより、結晶状の付加物0.42g(収率5
6%)を得た。この付加物について、元素分析値を求め
るとともに、X線結晶回折に基づくオルテップ図を図2
に示す。 元素分析値 C H N S 計算値(%) 51.77 9.02 4.64 10.63 実測値(%) 51.92 9.02 4.65 10.39
【0022】次に、付加物0.12gを塩化水素0.0
1重量%を含むメタノール2ミリリットルに溶解し、4
時間放置したのち、揮発成分を減圧下で留去することに
より、次式で表わされる結晶状のN‐メチル‐3‐オキ
ソ‐ε‐チオカプロラクタム0.61g(収率97%、
総合収率54%)が得られた。これを昇華精製すること
により、以下の元素分析値が得られた。
1重量%を含むメタノール2ミリリットルに溶解し、4
時間放置したのち、揮発成分を減圧下で留去することに
より、次式で表わされる結晶状のN‐メチル‐3‐オキ
ソ‐ε‐チオカプロラクタム0.61g(収率97%、
総合収率54%)が得られた。これを昇華精製すること
により、以下の元素分析値が得られた。
【0023】
【化6】
【0024】 元素分析値 C H N S 計算値(%) 53.47 7.05 8.91 20.39 実測値(%) 53.78 7.17 8.99 20.03
【0025】実施例2 参考例において、N,N‐ジメチルアセトアミドの代わ
りにN‐メチル‐ε‐カプロラクタム0.32gを用
い、室温で4日間反応後、130℃、0.15mmHg
で蒸留して粘ちょうな液体の付加物0.52g(63
%)を得た。 元素分析値 C H N S 計算値(%) 54.65 9.48 4.25 9.73 実測値(%) 54.63 9.50 4.24 9.79
りにN‐メチル‐ε‐カプロラクタム0.32gを用
い、室温で4日間反応後、130℃、0.15mmHg
で蒸留して粘ちょうな液体の付加物0.52g(63
%)を得た。 元素分析値 C H N S 計算値(%) 54.65 9.48 4.25 9.73 実測値(%) 54.63 9.50 4.24 9.79
【0026】次に付加物0.19gを塩化水素0.01
重量%を含むメタノール2ミリリットルに溶解し、2日
間放置したのち、揮発成分を減圧下で留去することによ
り、次式で表わされる結晶状の1‐アザ‐1‐メチル‐
2‐チオキソ‐4‐シクロノナノン0.10g(収率9
7%、総合収率61%)が得られた。これを昇華精製す
ることにより、以下の元素分析値が得られた。
重量%を含むメタノール2ミリリットルに溶解し、2日
間放置したのち、揮発成分を減圧下で留去することによ
り、次式で表わされる結晶状の1‐アザ‐1‐メチル‐
2‐チオキソ‐4‐シクロノナノン0.10g(収率9
7%、総合収率61%)が得られた。これを昇華精製す
ることにより、以下の元素分析値が得られた。
【0027】
【化7】
【0028】 元素分析値 C H N S 計算値(%) 58.34 8.16 7.56 17.31 実測値(%) 58.59 8.21 7.59 17.21
【0029】
【発明の効果】本発明の環状β‐ケトチオアミド誘導体
は、環状構造を有する文献未載の新規な化合物であり、
銅、ニッケルなどの遷移金属イオンと特異的に結合する
キレート試剤として、あるいは有機合成中間体などとし
て有用である。キレート試剤として有用なことは、類似
のβ‐ケトチオカルボニル化合物4‐チオキソ‐2‐ペ
ンタンが強力なキレート試剤であることから容易に理解
される。実際にN,N‐ジメチル‐3‐オキソチオ酪酸
アミドは二価の銅及びニッケルイオンとメタノール中、
キレート化合物を生成することが確認されている。
は、環状構造を有する文献未載の新規な化合物であり、
銅、ニッケルなどの遷移金属イオンと特異的に結合する
キレート試剤として、あるいは有機合成中間体などとし
て有用である。キレート試剤として有用なことは、類似
のβ‐ケトチオカルボニル化合物4‐チオキソ‐2‐ペ
ンタンが強力なキレート試剤であることから容易に理解
される。実際にN,N‐ジメチル‐3‐オキソチオ酪酸
アミドは二価の銅及びニッケルイオンとメタノール中、
キレート化合物を生成することが確認されている。
【図1】 参考例で得た化合物のオルテップ図。
【図2】 実施例1における付加物のオルテップ図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大石 晃広 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 本田 一匡 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (56)参考文献 米国特許3540888(US,A) 米国特許3394138(US,A) 国際公開93/20477(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 223/08 C07D 225/02 CA(STN)
Claims (1)
- 【請求項1】 一般式 【式1】 (式中のR1は炭化水素基、Aはアルキレン基である)
で表わされる環状β−ケトチオアミド誘導体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP11051997A JP2963983B2 (ja) | 1997-04-28 | 1997-04-28 | 環状β‐ケトチオアミド誘導体 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP11051997A JP2963983B2 (ja) | 1997-04-28 | 1997-04-28 | 環状β‐ケトチオアミド誘導体 |
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Family
ID=14537863
Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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-
1997
- 1997-04-28 JP JP11051997A patent/JP2963983B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH1045719A (ja) | 1998-02-17 |
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