JP2963941B2 - ウエハ形のチャッキバルブ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主として建築設備用配
管に用いられるウエハー形のチャッキバルブに関し、特
に、赤水の発生原因を招くことのない封止性の良いウエ
ハー形のチャッキバルブに関する。

【０００２】

【従来の技術】ボデーのシート面にゴム板をライニング
して封止性を向上させるチャッキバルブでは、ボデーの
内面に赤水の原因となるさびを発生させないために、ボ
デーを耐食性材料である青銅又はステンレス鋼で形成す
ることが多いが、このようなバルブは、材料費が高くな
るため高価なバルブとなる。

【０００３】材料費を低下させるためには、安価なねず
み鋳鉄やダクタイル鋳鉄、あるいは可鍛鋳鉄でボデーを
形成し、これに合成樹脂をコーティング又はライニング
することによって達成できるが、このコーティングされ
たボデーのシート面にボデーシート用ゴム板を焼付けて
強固にライニングすることができないので、封止性の良
いゴムシートチャッキバルブを作ることができないと共
に、シート部がボデーと一体となっている場合、シート
部分が特殊形状であることからコーティングするのが困
難であり、全体を耐食金属製にすると、コストアップに
つながる等の問題がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
に従来の技術では、赤水の発生を防ぐためには高価なバ
ルブになり、安価なバルブにすると封止性が悪くなると
いう課題を解決したもので、赤水対策を施したウェハー
形チャッキバルブを安価に得ることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、ウエハ形の筒形ボデーを鋳鉄等の安価な
金属成形品で形成し、このボデーの内部に設けたシート
取付位置に環状の溝形部を形成し、一方、シート面にボ
デーシート用ゴム板をライニングしたシート部材を耐食
金属で形成し、このシート部材に形成した環状の突起部
を変形させながら、前記ボデーの溝形部に圧入すること
によりシート部材をボデーのシート取付位置に固定する
と共に、シート部材と重なった部分を除いたボデーの接
液面に合成樹脂をコーティング又はライニングしたウエ
ハー形のチャッキバルブである。この場合、ボデーの外
面とフランジ面のいずれか一方又はその両方も合成樹脂
がコーティングされているとよく、コーティングされる
該合成樹脂がナイロン１１又はエポキシ樹脂であるとよ
い。

【０００６】また、このチャッキバルブは、デュアルプ
レートチャッキバルブ又はシングルプレートチャッキバ
ルブ等のウエハー形のチャッキバルブである。

【０００７】

【作用】本発明のウエハー形のチャッキバルブは、この
ボデーの内部の所定位置に固定されたシート部材を除く
接液するすべての表面に合成樹脂がコーティングされて
いるので、このボデーがねずみ鋳鉄、あるいはダクタイ
ル鋳鉄や可鍛鋳鉄等の安価な金属成形品で作られていて
も、このボデーの接液面でさびを生じることがない。ま
た、シート部材は耐食金属で作られているので、これも
さびを生じない。なお、プレートなどの内部部品も耐食
材料で作られるか、被覆などの耐食処理が施されてい
る。このようにしたので、このチャッキバルブで赤水を
生ずることがなく、材料費が低く、バルブが安価にな
る。更に、シート部材のシート面にボデーシート用ゴム
板をライニングしてソフトシートバルブにするのが好ま
しい。

【０００８】また、ボデーの外面にも合成樹脂をコーテ
ィングすると、外面にさびを生じさせるような環境で使
用した場合に、このバルブの外部を腐食させて寿命を短
くしたり、外観を悪くしたり、さびによって周囲を汚し
たりすることがない。また、フランジ面にも合成樹脂を
コーティングすると、フランジ用ガスケットの寸法形状
が悪かったり、このガスケットが内部流体を吸ってフラ
ンジ面をぬらしたりしても、フランジ面が腐食して漏れ
を生じたり、赤水の原因になったりすることがない。

【０００９】コーティングする合成樹脂にいわゆるナイ
ロン１１を用いると、流動浸漬塗装法によってコーティ
ングすることができて被覆の厚さを比較的薄くすること
ができ、比較的複雑な内部形状に対しても均一にコーテ
ィングすることができる。また、耐食性、耐海水性、耐
薬品性にも優れているので、流体の性質に応じてシート
部材などの耐食金属の種類を選定することによって、広
範囲の流体に使用することができる。更に、耐摩耗性に
優れていて滑り面にも使用でき、耐衝撃性にも優れてお
り、流体内の異物によって損傷することがほとんどな
く、耐低温衝撃性にも優れている。その上、吸水率が低
く、密着性にも優れていて長期の使用に耐え、食品関係
にも使用することができる。

【００１０】次に、シート部材をボデーの内部のシート
取付位置に固定する方法として、シート部材をボデーに
圧入することによってシート部材に形成した突起部を変
形させてボデーに形成した溝形部に挿入させるようにす
ると、ボデー及びシート部材の加工が簡単であり、組付
け作業も極めて容易であり、固定も確実である。

【００１１】本発明のチャッキバルブは、デュアルプレ
ートチャッキバルブやシングルプレートチャッキバルブ
等のウエハー形バルブの構造であるから、上記のような
作用や効果が一層顕著である。

【００１２】

【実施例】図１は、本発明におけるウエハー形のチャッ
キバルブを適用した一実施例を示す縦断面図であって、
ソフトシート付きのウエハー形デュアルプレートチャッ
キバルブを示している。図１において、１は筒形状でウ
エハタイプのバルブ本体、このバルブ本体１には、バイ
パスバルブを設けたものであっても良い。２はボデー、
３はシート部材、４はボデーシート用ゴム板、５は合成
樹脂のコーティング被覆である。なお、６はプレート、
７はばね、８はヒンジピンであり、９はストップピンで
あり、これらプレート６等の部品によって弁機構を構成
している。

【００１３】ボデー２は、本例においてねずみ鋳鉄製で
あり、シート部材３と重なる部分及びフランジ面２ａ，
２ｂ以外に施したコーティング被覆５はエポキシ樹脂又
はナイロン１１を流動浸漬塗装法によってボデー２の内
外の清浄処理を施した鋳肌面にコーティングしたもので
ある。また、シート部材３は青銅製であり、ボデーシー
ト用ゴム板４は合成ゴム製であって、シート部材３のシ
ート面３ａに焼付けてライニングしてある。なお、ボデ
ー２のフランジ面２ａ及び２ｂにも同様にナイロン１１
をコーティングしてもよい。図１の構造のものは、フラ
ンジ面２ａ及び２ｂは、ガスケットによって覆われて保
護されることになる。

【００１４】図３は、図１の部分拡大断面図であり、図
２は、図３のようにシート部材をボデーに固定する前の
状態を示す部分拡大断面図である。図２に示したように
シート部材３をボデー２の所定位置に挿入し、更に図に
矢で示したように力を加えると、シート部材３に形成し
た環状の突起部３ｂがボデー２に形成した環状の溝形部
２ｃに、変形させられて挿入させられ、図３に示した状
態になる。

【００１５】次に、図１乃至図３に基づいて、上記実施
例の作用を説明する。このボデー２の内部に固定された
シート部材３を除く接液するすべての表面に合成樹脂の
コーティング被覆５が施されているので、ボデー２が本
例のようにねずみ鋳鉄製であっても、あるいはダクタイ
ル鋳鉄や可鍛鋳鉄等のように安価な材料で作られても、
このボデー２の接液面でさびを生ずることがない。ま
た、シート部材３は本例では青銅製であって耐食金属で
作られているので、これもさびを生じない。なお、プレ
ート６、ヒンジピン８などの内部部品も耐食材料で作ら
れるか、被覆などの耐食処理がなされている。このよう
にしたので、このバルブ本体１で赤水を生ずることがな
く、材料費が低く、安価なバルブである。

【００１６】シート部材３のシート面３ａにボデーシー
ト用ゴム板４をライニングしてソフトシートバルブにし
てあるので、バルブ本体１は封止性に優れたバルブであ
る。

【００１７】ボデー２の外面２ｄに合成樹脂のコーティ
ング５を施すと、外面２ｄにさびを生じさせるような環
境で使用した場合に、このバルブ本体１の外面２ｄを腐
食させて寿命を短くしたり、さびによって周囲を汚した
りすることがない。また、フランジ面２ａ及び２ｂにも
合成樹脂のコーティングを施すと、フランジ用ガスケッ
トの寸法形状が悪かったり、このガスケットが内部流体
を吸ってフランジ面をぬらしたりしても、フランジ面２
ａや２ｂを腐食して漏れを生じたり、赤水の原因になっ
たりすることがない。

【００１８】コーティングする合成樹脂にナイロン１１
を用いると、流動浸漬塗装法によってコーティングする
ことができて被覆５の厚さを比較的薄くすることができ
る。また、耐食性、耐海水性、耐薬品性にも優れている
ので、流体の性質に応じてシート部材３やヒンジピン８
などの耐食金属の種類を選定することによって、広範囲
の流体に使用することができる。更に、耐摩耗性に優れ
ていて滑り面にも使用でき、耐衝撃性にも優れており、
流体内の異物によって損傷することがほとんどなく、耐
低温衝撃性にも優れている。その上、吸水率が低く、密
着性にも優れていて長期の使用に耐え、食品関係にも使
用することができる。

【００１９】次に、シート部材３をボデー２の内部のシ
ート取付位置に固定する方法として、図２及び図３につ
いて説明したように、シート部材３をボデー２に圧入す
ることによってシート部材３に形成した突起部３ｂを変
形させてボデー２に形成した溝形部２ｃに挿入させるよ
うにすると、ボデー２及びシート部材３の加工が簡単で
あって、組付け作業も極めて容易であり、固定も確実で
ある。

【００２０】本実施例のバルブ本体１は、デュアルプレ
ートウエハーチャッキバルブや、シングルプレートウエ
ハーチャッキバルブ等のウエハー形のチャッキバルブに
応用することができ、これらのバルブにバイパスバルブ
を組込んであってもよい。その他、広く応用することが
できる。

【００２１】

【発明の効果】本発明のウエハー形のチャッキバルブ
は、赤水の発生原因とならず、封止性が極めて良く、材
料費が低く製作が容易であって安価なバルブであるなど
の優れた効果を持っている。また、長寿命であり、設置
場所の周囲をさびで汚すことがなく、流体の種類に応じ
て内部部品に用いる耐食金属の種類を選定することによ
って、広範囲の流体に使用することができる。更には、
被覆の困難なシート部材を耐食金属製としてボデーとは
別体に形成し、このシート部材をボデーに圧入したの
で、安価なボデーの接液部を合成樹脂でコーティングで
き、簡単な構造により従来の問題点を一挙に解決するこ
とができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明におけるウエハ形のチャッキバルブの一
実施例を示す縦断面図である。

【図２】図１の実施例のシート部材をボデーに固定する
前の状態を示す部分拡大断面図である。

【図３】図１の部分拡大断面図であって、図２の状態か
らシート部材をボデーに固定し終えた状態を示してい
る。

【符号の説明】

１ バルブ本体 ２ ボデー ２ａ、２ｂ フランジ面 ２ｃ 溝形部 ２ｄ 外面 ３ シート部材 ３ａ シート面 ３ｂ 突起部 ４ ボデーシート用ゴム板 ５ コーティング被覆

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ウエハ形の筒形ボデーを鋳鉄等の安価な
   金属成形品で形成し、このボデーの内部に設けたシート
   取付位置に環状の溝形部を形成し、一方、シート面にボ
   デーシート用ゴム板をライニングしたシート部材を耐食
   金属で形成し、このシート部材に形成した環状の突起部
   を変形させながら、前記ボデーの溝形部に圧入すること
   によりシート部材をボデーのシート取付位置に固定する
   と共に、シート部材と重なった部分を除いたボデーの接
   液面に合成樹脂をコーティング又はライニングしたこと
   を特徴とするウエハー形のチャッキバルブ。
2. 【請求項２】 ボデーの外面とフランジ面のいずれか一
   方又はその両方を合成樹脂がコーティング又はライニン
   グされている請求項１記載のチャッキバルブ。
3. 【請求項３】 コーティング又はライニングされる該合
   成樹脂がナイロン１１又はエポキシ樹脂である請求項１
   又は２記載のチャッキバルブ。