JP2963358B2 - 車両用空気吹出口装置 - Google Patents

車両用空気吹出口装置

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JP2963358B2
JP2963358B2 JP1893895A JP1893895A JP2963358B2 JP 2963358 B2 JP2963358 B2 JP 2963358B2 JP 1893895 A JP1893895 A JP 1893895A JP 1893895 A JP1893895 A JP 1893895A JP 2963358 B2 JP2963358 B2 JP 2963358B2
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貴久 山本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、車両用の空気吹出口装置に係
り、特にハウジングの内部に取り付けられた複数の風向
板の回動によって、吹出空気の向きが変化させられ得る
空気吹出口装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、車室内に空気を吹き出す空気吹
出口装置として、車室内に開口するハウジングの開口部
内に、互いに平行に且つ同一方向に回動可能な状態で配
設された複数の風向板(ブレード)を有し、このブレー
ドの向きを変えることによって吹出空気の向きを変化さ
せる形式のものが知られている。例えば、実公平2−3
3075号公報には、ブレードをモータ等の駆動手段に
よって首振り運動させることにより、吹出空気の向きを
連続的に変化させるようにした空気吹出口装置が明らか
にされている。
【0003】そして、一般に、そのような自動風向調整
機能を有する空気吹出口装置は、図1に示される如き構
造を有している。即ち、この空気吹出口装置は、車室内
に開口するハウジング4を有しており、その開口部内
に、筒状のバレル2が軸心:イ回りに回動可能な状態で
取り付けられ、また該バレル2の内部には、複数の縦ブ
レード6が、軸心:ロ回りに回動可能な状態で配設され
ている。更に、それら複数の縦ブレード6は互いに連動
プレート16によって連結されており、中央の縦ブレー
ド6の後部に形成されたロッド部8が動かされることに
より、一斉に首振り運動させられるようになっている。
そして、このロッド部8を動かすために、モータ等の所
定の駆動手段(図示せず)が設けられ、その駆動力が、
ハウジング4外部で往復動プレート18の直線的な往復
運動に変換された後、クラッチ手段24を介して、コ字
状の係合溝22を有するアーム20、更にはハウジング
4内のバレル2の後方に配設されたシャフト14へ伝達
され、該シャフト14と一体回動させられるコ字状係合
片10から、そのコ字状溝部12に係合する前記縦ブレ
ード6のロッド部8へと伝達されるように、伝達機構が
構成されている。なお、図1では、往復動プレート18
は、紙面に対して垂直方向に往復動することとなる。
【0004】また、図2及び図3に示される如く、前記
クラッチ手段24は、前記往復動プレート18に固定さ
れた、直方体状の筐体形状を呈する対向部材28と、そ
の内部に摺動可能に収容されたクラッチ部材27とを含
んで構成されている。また、このクラッチ部材27は、
全体として、略H字形状を呈し、そのH字の中央部に所
定高さで突出する係合突部30が一体的に形成されてい
る一方、H字の両端部には、2つのスプリング32,3
2が嵌め込まれている。そして、かかるクラッチ部材2
7の両端部が、スプリング32,32の付勢力によって
それぞれ押し広げられて、所定の摩擦力で対向部材28
の内面に当接せしめられるようになっているのであり、
またH字の中央部に形成された係合突部30が、対向部
材28の窓部を通じて外部に突出せしめられ、前記アー
ム20の係合溝22に係合させられるようになってい
る。
【0005】かくして、かくの如き構造とされた空気吹
出口装置にあっては、往復動プレート18が、モータ等
の駆動手段にて、図2において左右方向に移動せしめら
れるに伴って、対向部材28が同方向に移動せしめら
れ、それと共に、クラッチ部材27も、前記摩擦力によ
り、それらと一体的に移動させられる。そして、それに
よって、係合突部30に係合するアーム20が動かされ
て、シャフト14、コ字状係合片10、更にはロッド部
8が動かされ、その結果、複数の縦ブレード6が一斉に
首振り運動させられるようになっているのである。ま
た、その摩擦力以上の力が作用した際には、クラッチ部
材27が対向部材28内で摺動して、往復動プレート1
8と相対的に移動し得るようになっており、以て縦ブレ
ード6の操作ノブ26を手動で操作して、縦ブレード6
の向きを変化させることが可能となっているのである。
【0006】また、実開平6−4543号公報には、ク
ラッチ手段の構造が、図2及び図3に示される如きもの
とは異なる空気吹出口装置が明らかにされている。かか
る公報に開示の装置に採用されるクラッチ手段33は、
図4及び図5に示される如く、電磁石34と、それに重
ね合わされて、一体的に組み付けられた磁性体よりなる
クラッチ部材36と、磁性体材料よりなり、前記往復動
プレート(18)としての機能を備えた対向部材38と
にて、構成されている。そして、このクラッチ手段33
にあっては、対向部材38が、直方体状の筐体形状を呈
しており、図示しないモータ等の駆動手段に接続され
て、該駆動手段の駆動により、その長さ方向(図4中、
左右方向)に往復移動可能な状態で、ハウジング4に取
り付けられている。一方、互いに重ね合わされて、一体
的に組み付けられた電磁石34とクラッチ部材36は、
対向部材38内にそれぞれ収容されており、クラッチ部
材36が該対向部材38の内面に摺動可能に当接せしめ
られていると共に、電磁石34が、ホルダー40を介し
て、ハウジング4に設けられた一対のガイドレール4
2,42に沿って往復移動し得るようになっている。
【0007】かくして、かかる空気吹出口装置にあって
は、図示しないリード線により外部から給電を行なっ
て、電磁石34を励磁させることにより、磁性体である
クラッチ部材36と対向部材38とが磁着して、それら
の間に摩擦力が生ぜしめられ、以て前記駆動手段にて、
クラッチ部材36と電磁石34とが、前記ガイドレール
42,42に案内されつつ、該対向部材38と共に、一
体的に移動させられ得るようになっているのである。そ
して、それによって、図2及び図3に示されるクラッチ
手段24と同様に、クラッチ部材36から上方に突出し
て設けられ、且つ対向部材38の窓部を通じて外部に突
出して配された係合突部44に係合するアーム20が動
かされ、その結果、複数の縦ブレード6が一斉に首降振
り運動させられるようになっているのであり、また、そ
の摩擦力以上の力が加えられることによって、それらク
ラッチ部材36と対向部材38とが相対移動させられ、
以て縦ブレード6の向きを手動で変化させ得るようにな
っているのである。
【0008】なお、特に、かかるクラッチ手段33にお
いては、給電を制御して、電磁石34の励磁力を変化さ
せることによって、クラッチ部材36と対向部材38と
の間の摩擦力、所謂クラッチ荷重を変化させることがで
きるため、縦ブレード6の自動操作時に励磁力を強くす
れば、クラッチ荷重が大きくされ得、それによって、ク
ラッチ滑りが効果的に防止され得て、より安定的な風向
調整が行なわれ得るのであり、またその手動操作時に励
磁力を弱くすれば、クラッチ荷重が小さくされ得、それ
によって、操作ノブ26の操作荷重も小さく為され得
て、良好な操作フィーリングで、縦ブレード6の向きを
変化させることができるのである。
【0009】このように、従来の空気吹出口装置にあっ
ては、クラッチ部材27,36と対向部材28,38と
を含んで構成されたクラッチ手段24,33が、前記伝
達機構に配設され、それらクラッチ部材27,36と対
向部材28,38が、駆動手段側若しくは複数の縦ブレ
ード6側に、それぞれ別個に接続せしめられた状態で、
所定の摩擦力をもって連結せしめられることにより、か
かる伝達機構を介して、駆動手段の駆動力が複数の縦ブ
レード6に伝達され、以て該複数の縦ブレード6が回動
せしめられるようになっているのである。
【0010】ところが、そのような従来の空気吹出口装
置においては、クラッチ手段24,33の構造よりし
て、何れも、以下の如き種々の不具合があった。即ち、
かかるクラッチ手段24,33が、前記クラッチ部材2
7,36と対向部材28,38と、更にはそれら両部材
の間に所定の摩擦力を生じさせるスプリング32,32
や電磁石34といった、比較的、多くの部品から構成さ
れていることから、その組付作業が煩雑なものとなって
いたのであり、また経済性においても劣るものとなって
いたのである。そして、特にクラッチ手段24が採用さ
れてなるものにおいては、通常、対向部材28が、駆動
手段に連結される往復動プレート18に対して、かしめ
られる等して、固定されているため、その組付作業にお
いて、より煩雑な作業が強いられていたのである。加え
て、かかる空気吹出口装置にあっては、スプリング3
2,32や電磁石34の配設スペースを確保する上で、
クラッチ手段24,33全体の高さが不可避的に高くな
ってしまい、そのために、車室内における空気吹出口装
置全体の限られた設置スペースに対するクラッチ手段2
4,33の設置スペースの占める割合が大きくなり、そ
の結果として、装置内における通風面積を十分に大きく
為すことが困難になるといった問題をも、内在していた
のである。
【0011】
【解決課題】本発明は、上述の如き事情を背景にして為
されたものであって、その解決課題とするところは、所
定の駆動手段の駆動力に基づいて、風向板が回動せしめ
られることにより、吹出空気の向きが調整され得るよう
にした車両用空気吹出口装置において、かかる駆動力を
風向板に伝達する伝達機構に配設されたクラッチ手段を
より少ない部品点数にて構成して、組付性の向上とコス
トの低減とを有効に図ると共に、高さの低いコンパクト
な構造と為して、装置内における通風面積を有利に拡大
せしめることにある。
【0012】
【解決手段】そして、本発明にあっては、かかる課題の
解決のために、車室内に開口するハウジングの開口部内
に、複数の風向板を互いに平行に且つ同一方向に回動可
能に配設する一方、該複数の風向板に、それらを連動し
て回動させる連動部材を設け、更にかかる連動部材と所
定の駆動力を発揮する駆動手段との間に、該駆動手段の
駆動力を該連動部材に伝達する伝達機構を介在せしめる
と共に、該駆動手段側及び連動部材側の何れか一方に接
続されたクラッチ部材と、該クラッチ部材に対向し且つ
摺動可能に当接せしめられた状態で、それら駆動手段側
及び連動部材側の何れか他方に接続された対向部材とか
らなるクラッチ手段を前記伝達機構に配設せしめて構成
された車両用空気吹出口装置において、前記クラッチ部
材を永久磁石にて構成する一方、前記対向部材を磁性体
にて構成し、該クラッチ部材の該対向部材に対する吸着
力にて、それらクラッチ部材と対向部材とを連結せしめ
ることにより、前記伝達機構を介して、前記駆動手段の
駆動力を前記連動部材に伝達せしめて、該連動部材によ
る前記複数の風向板の回動を行なわしめるようにしたこ
とを、その特徴とするものである。
【0013】 しかも、かくの如き本発明に従う車両用
空気吹出口装置において採用される第一の態様によれ
ば、前記クラッチ部材と前記対向部材の互いの当接面の
少なくとも何れか一方に、突出部が形成されることとな
る。
【0014】 また、本発明において採用される第二の
態様によれば、前記クラッチ部材の前記対向部材との当
接面とは反対側の面に、凹所が設けられると共に、該ク
ラッチ部材が接続せしめられる、前記伝達機構を構成す
る伝達部材が、かかる凹所内に収容された状態で、配置
されて、構成される。
【0015】
【作用・効果】すなわち、本発明に従う車両用空気吹出
口装置にあっては、所定の駆動手段の駆動力を複数の風
向板に伝達する伝達機構に配設されたクラッチ手段が、
永久磁石からなるクラッチ部材と磁性体よりなる対向部
材とにて構成されて、かかるクラッチ部材の対向部材に
対する吸着力により、それら両部材が連結せしめられ、
前記駆動力に基づいて、前記複数の風向板が回動せしめ
られるようになっているところから、該クラッチ手段に
対して、クラッチ部材と対向部材との間に摩擦力を生ぜ
しめるための部材を設ける必要が皆無ならしめられ得、
それによって、かかるクラッチ手段の構成部品の部品点
数が、従来のものに比して、有利に減少せしめられ得る
のである。また、そのように、かかる車両用空気吹出口
装置にあっては、クラッチ部材と対向部材との間に摩擦
力を生ぜしめるための部材が何等設けられていないこと
から、クラッチ手段において、かかる部材の配設スペー
スが有利に解消せしめられ得、それによって、クラッチ
手段の高さ寸法が、従来のものに比して、効果的に低く
為され得るのである。
【0016】従って、本発明に係る車両用空気吹出口装
置にあっては、クラッチ手段の構成部品の部品点数が有
利に削減され得ていることによって、コストの低減と組
付性の向上が極めて有効に図られ得るのであり、またク
ラッチ手段の高さ寸法が低く為され得ていることによっ
て、車室内における空気吹出口装置全体の限られた設置
スペースに対するクラッチ手段の設置スペースの占める
割合が有利に小さく為され得、以て装置内における通風
面積が効果的に拡大され得るのである。
【0017】また、かかる車両用空気吹出口装置にあっ
ては、クラッチ部材の対向部材に対する吸着力によっ
て、それら両部材間の摩擦力が生ぜしめられるようにな
っていることから、対向部材に対してクラッチ部材を当
接せしめるだけで、それら両部材間に所定の摩擦力が生
ぜしめられ得るのであり、その点からしても、対向部材
に対するクラッチ部材の組付作業、ひいては装置自体の
組付作業における作業性が、従来のものに比して、飛躍
的に高められ得るのである。
【0018】さらに、かかる車両用空気吹出口装置にお
いては、クラッチ部材と対向部材との間に摩擦力を生ぜ
しめる部材として、特にスプリングや電磁石等が、何等
用いられていないところから、スプリングの離脱や電磁
石への給電を行なうリード線の断線等、所謂外的要素に
よって、クラッチ部材と対向部材との間の摩擦力が消失
してしまうようなことが有利に回避され得て、かかる摩
擦力がより安定的に維持され得るのであり、その結果と
して、風向板の首振り運動による自動風向調整機能がよ
り高い信頼性をもって、有効に発揮され得ることとなる
のである。
【0019】なお、上記した本発明の第一の態様に従う
構成が採用される場合には、クラッチ部材の対向部材に
対する過大な吸着が有利に防止され得て、風向板が強制
的に停止させられた際にモータがロックしないようにす
る安全装置としての機能が有効に発揮され得ると共に、
風向板を手動で回動させる際に、その操作が比較的容易
に為され得るのであり、更にはクラッチ部材と対向部材
の互いの当接面の少なくとも何れか一方に設けられた突
出部の、クラッチ部材若しくは対向部材に対する当接面
積を、種々、変更することによって、それら両部材間の
摩擦力を制御することが可能となり、以て風向板の手動
操作時の操作フィーリングを良好に確保しつつ、風向板
が駆動手段の駆動力に基づいて自動的に回動せしめられ
る自動操作時におけるクラッチ滑りを可及的に防止する
ことができるのである。
【0020】また、本発明の第二の態様に従う構成が採
用される場合には、クラッチ手段の高さ寸法が、更に低
く為され得るのであり、その結果として、装置内におけ
る通風面積が、より効果的に拡大され得るのである。
【0021】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするた
めに、本発明の代表的な実施例について、図面を参照し
つつ、詳細に説明することとする。なお、本実施例に係
る車両用空気吹出口装置は、図1に示す装置と伝達機構
の構成が異なるのみであり、その他の構成は同様であ
る。それ故、全体の構成については図1を参照すること
として、詳細な説明を省略した。
【0022】すなわち、この空気吹出口装置にあって
は、従来と同様に、車室内に開口するハウジング4の開
口部内に軸心:イ回りに回動可能に取り付けられた筒状
のバレル2に対して、複数の縦ブレード6が、互いに平
行に且つ軸心:イに対して直角な軸心:ロ回りに回動可
能に取り付けられている。それによって、吹出空気の向
きが、縦ブレード6の回動にて、紙面に対して垂直方向
に変更され得、またバレル2の回動にて、上下方向に変
更され得るようになっているのである。そして、複数の
縦ブレード6は、連動プレート16によって連結されて
おり、中央の縦ブレード6の後部に形成されたロッド部
8が動かされることにより、一斉に回動させられるよう
になっている。
【0023】一方、ハウジング4外部においては、往復
動プレートが、モータ等の所定の駆動手段(図示され
ず)に連結されており、軸心:ロと略直角な方向(図1
において紙面に対して垂直方向)に、直線的に往復運動
させられるようになっている。そして、その運動が、ク
ラッチ手段を介して、アーム20に伝達され、更にハウ
ジング4内のバレル2の後方に配設されたシャフト14
へ伝達され、該シャフト14と一体回動させられるコ字
状係合片10から、そのコ字状溝部12に係合する縦ブ
レード6のロッド部8へと伝達されるように、伝達機構
が構成されているのである。
【0024】ところで、本実施例装置では、そのような
伝達機構の一部を構成するクラッチ手段45が、図6乃
至図8に示される如き構造とされている。即ち、それら
の図において、46は、長尺板状の磁性体からなる往復
動プレートであり、幅方向(図7中、左右方向)の両端
部が折り曲げられて、底壁部に連続する側壁部が形成さ
れた横断面コ字形形状をもって、構成されている。ま
た、この往復動プレート46は、長さ方向(図8中、左
右方向)の一端部側が拡幅部48とされ、該拡幅部48
の底壁部に、幅方向に所定寸法延びる係合孔50が形成
されている。そして、かかる往復動プレート46にあっ
ては、従来と同様に、ハウジング4に対して、該往復動
プレート46の長さ方向に移動可能な状態で、連結され
ている一方、係合孔50に対して、モータ等の駆動手段
(図示せず)に接続されたカム52の作用軸54が係合
されている。
【0025】また、そのようなコ字状断面を有する往復
動プレート46の内部には、クラッチ部材56が収容さ
れている。このクラッチ部材56は、永久磁石からなっ
ており、全体として、略矩形のブロック形形状をもって
構成されている。また、このクラッチ部材56におい
て、往復動プレート46との対向側とは反対側の面にお
ける長さ方向の中央部には、所定深さの凹所58が設け
られており、更に該凹所58の底壁部の略中心部には、
該凹所58の深さ寸法と略同一の高さで突出する係合突
部60が一体的に形成されている。一方、クラッチ部材
56の往復動プレート46との対向側の面、即ち凹所5
8が設けられる側とは反対側の面において、その幅方向
の両端部には、摺動突部62,62が、所定高さで突出
し且つ長さ方向に連続して延びる突条形態をもって、そ
れぞれ、形成されている。
【0026】そして、かかるクラッチ部材56にあって
は、凹所58内に、前記アーム20の係合溝22が形成
される側の端部が収容、配置せしめられて、かかるアー
ム20の係合溝22に対して、該凹所58内に設けられ
た係合突部60が係合せしめられていると共に、摺動突
部62,62において、磁性体たる往復動プレート46
の底壁部に当接せしめられて、摺動可能に載置されてい
る。
【0027】かくして、クラッチ部材56がアーム2
0、シャフト14、コ字状係合片10を介して、縦ブレ
ード6に接続されている一方、往復動プレート46が、
カム52を介して、駆動手段側に接続されているのであ
り、更にそれらクラッチ部材56と往復動プレート46
とが、該クラッチ部材56の往復動プレート46に対す
る吸着力によって、互いに連結せしめられているのであ
る。このことから明らかなように、本実施例において
は、往復動プレート46が、対向部材を兼ねており、か
かる往復動プレート46とクラッチ部材56とによっ
て、クラッチ手段45が構成されているのである。
【0028】それ故、かかるクラッチ手段45において
は、クラッチ部材56の往復動プレート46に対する吸
着力に起因して、それらクラッチ部材56と往復動プレ
ート46との間に、常時、安定した摩擦力が生ぜしめら
れることとなる。そのため、図8及び図9に示される如
く、往復動プレート46が、モータ等の駆動手段の駆動
に伴うカム52の回転運動を受けて、その長さ方向(図
8中、左右方向)に往復移動せしめられると、クラッチ
部材56が、それと一体的に移動させられる。そして、
それによって、クラッチ部材56の係合突部60に係合
されるアーム20が、シャフト14と共に、該シャフト
14の軸心回りに回動せしめられ、またそれと同時に、
コ状係合片10が回動させられる。そして、その結果、
複数の縦ブレード6が、自動的に、一斉に首振り運動さ
せられるようになっているのである。また、クラッチ部
材56と往復動プレート46との間に生ぜしめられる、
該クラッチ部材56の吸着力による摩擦力以上の操作力
にて操作すれば、クラッチ部材56を往復動プレート4
6に対して相対移動させることができ、以て縦ブレード
6の向きを手動で変化させることが可能となっているの
である。
【0029】従って、本実施例に係る車両用空気吹出口
装置にあっては、クラッチ手段45を構成するクラッチ
部材56と往復動プレート46との間に摩擦力を生ぜし
めるための部材を、新たに設ける必要が皆無ならしめら
れ得て、クラッチ手段45を構成する部品の点数が有利
に減少せしめられ得るのであり、その結果として、コス
トの低減や組付性の向上が効果的に図られ得るのであ
る。しかも、かかる装置においては、往復動プレート4
6が、クラッチ手段45の構成部品たる対向部材として
の機能だけではなく、伝達機構の構成部品としての機能
をも、兼備せしめられ得るように構成されていることか
ら、伝達機構の構成部品点数も有利に削減され得ること
となり、以てより優れた組付性と経済性とが極めて効果
的に発揮され得るのである。
【0030】また、本実施例に係る車両用空気吹出口装
置にあっては、上述の如く、クラッチ部材56と往復動
プレート46との間に摩擦力を生ぜしめるための部材が
何等設けられていないところから、それらクラッチ部材
56と往復動プレート46とによって構成されるクラッ
チ手段45の高さ寸法が有利に低く為され得、それによ
って、クラッチ手段45の設置スペースも有利に小さく
為され得ることとなり、その結果、装置内における通風
面積が効果的に拡大され得るのである。
【0031】さらに、かかる車両用空気吹出口装置にお
いては、クラッチ部材56の、往復動プレート46との
当接面とは反対側の面に設けられた凹所58内に、クラ
ッチ手段45を介して、駆動力を縦ブレード6に伝達す
るアーム20の一端部が収容、配置せしめられるように
なっており、またそれに加えて、かかるクラッチ手段4
5の構成部材として、筐体形状を呈し、クラッチ部材5
6を覆うようにして配置される、従来のものの如き対向
部材が、何等用いられていないことから、クラッチ手段
45の高さ寸法が、従来のものに比して、より低く構成
され得、以て装置内における通風面積が、更に一層、拡
大され得るのである。
【0032】また、かかる車両用空気吹出口装置にあっ
ては、クラッチ部材56と往復動プレート46との間に
摩擦力を生ぜしめる部材として、例えばスプリングや電
磁石等、従来のものにおいて採用される如き部材が何等
用いられていないことから、クラッチ部材56の往復動
プレート46に対する組付作業が、極めて容易に行なわ
れ得るのであり、更に、スプリングの離脱や電磁石への
給電を行なうリード線の断線等、所謂外的要素によっ
て、クラッチ部材56と往復動プレート46との間の摩
擦力が消失してしまうようなことも有利に回避され得
て、かかる摩擦力がより安定的に維持され得ることとな
り、その結果として、縦ブレード6の首振り運動による
自動風向調整機能がより高い信頼性をもって、有効に発
揮され得ることとなるのである。
【0033】更にまた、本実施例に係る車両用空気吹出
口装置においては、クラッチ部材56の往復動プレート
46との対向面に、摺動突部62,62が設けられてい
るところから、クラッチ部材56の往復動プレート46
に対する当接面積が有利に小さく為され得、それによっ
て、クラッチ部材56の往復動プレート46に対する過
大な吸着が有利に防止され得て、縦ブレード6を手動で
回動させる際に、その操作が比較的容易に為され得ると
共に、縦ブレード6が強制的に停止せしめられた際の安
全装置としての機能がより有効に発揮され得るのであ
り、また、かかる摺動突部62,62の往復動プレート
46に対する当接面積を、種々、変更することによっ
て、そのような縦ブレード6の手動操作時における良好
な操作フィーリングを確保しつつ、縦ブレード6が駆動
手段の駆動力に基づいて自動的に回動させられる際のク
ラッチ滑りの防止が、有利に図られ得ることとなるので
ある。
【0034】以上、本発明の実施例について詳述してき
たが、これは文字通りの例示であって、本発明は、かか
る具体例にのみ、限定して解釈されるものではない。
【0035】例えば、前記実施例では、駆動手段の駆動
力をクラッチ手段45に伝達する伝達部材としての往復
動プレート46が、対向部材の機能を兼ね備えて、構成
されていたが、そのような伝達部材としての機能を有す
る往復動プレートと、クラッチ手段の構成部材としての
対向部材とを、それぞれ別個に形成しても良い。
【0036】また、前記実施例では、クラッチ手段45
が配設される伝達機構が、往復動プレート46(ここで
は、クラッチ手段45の構成部材としての機能が兼備せ
しめられている。)、アーム20、シャフト14、コ字
状係合片10にて構成されていたが、そのような伝達機
構の構造は、決してこれに限定されるものではなく、駆
動手段の駆動力を連動部材に伝達することができ、且つ
クラッチ手段が配設され得るものであれば、如何なる構
造のものも採用され得るのである。
【0037】さらに、前記実施例では、対向部材たる往
復動プレート46が、カム52を介して、駆動手段に接
続される一方、クラッチ部材56が、アーム20、シャ
フト14、コ字状係合片10を介して、複数の縦ブレー
ド6を連動して回動させる連動部材たるロッド部8に接
続されることにより、クラッチ手段が伝達機構に配設さ
れていたが、クラッチ手段の伝達機構に対する配設位置
や配設構造は、何等これに限定されるものではない。即
ち、例えば、対向部材を伝達機構における連動部材側
に、またクラッチ部材をそれの駆動手段側に、それぞれ
接続せしめるようにしても、何等差し支えない。
【0038】また、クラッチ部材を構成する永久磁石や
対向部材を与える磁性体は、その種類が特に限定される
ものではないが、経済性等の点から、永久磁石として、
フェライト磁石が、また磁性体として、鉄等が有利に使
用され得る。
【0039】さらに、クラッチ部材や対向部材の形状
も、前記実施例における如きものに何等限定されるもの
でないことは、勿論である。
【0040】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の車両用空気吹出口装置の一例を示す断面
説明図である。
【図2】図1に示された車両用空気吹出口装置に設けら
れるクラッチ手段を示す一部切欠き平面説明図である。
【図3】図2に示されたクラッチ手段の分解斜視説明図
である。
【図4】従来の車両用空気吹出口装置に設けられるクラ
ッチ手段の別の例を示す一部切欠き平面説明図である。
【図5】図4に示されたクラッチ手段の分解斜視説明図
である。
【図6】本発明に従う車両用空気吹出口装置の一例にお
いて設けられるクラッチ手段を示す要部斜視説明図であ
る。
【図7】図6におけるA−A断面を拡大して示す断面説
明図である。
【図8】図6に示されたクラッチ手段の平面説明図であ
って、伝達機構に対する配設構造を示す。
【図9】図6に示されたクラッチ手段の作動状態を示す
平面説明図であって、対向部材を移動させた状態を示
す。
【符号の説明】
2 バレル 4 ハウジング 6 縦ブレード 8 ロッド部 10 コ字状係合片 12 コ字状溝部 14 シャフト 16 連動プレート 18,46 往復動プレート 20 アーム 24,45 クラッチ手段 26 操作ノブ 52 カム 54 作用軸 56 クラッチ部材 58 凹所 60 係合突部 62 摺動突部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車室内に開口するハウジングの開口部内
    に、複数の風向板を互いに平行に且つ同一方向に回動可
    能に配設する一方、該複数の風向板に、それらを連動し
    て回動させる連動部材を設け、更にかかる連動部材と所
    定の駆動力を発揮する駆動手段との間に、該駆動手段の
    駆動力を該連動部材に伝達する伝達機構を介在せしめる
    と共に、該駆動手段側及び連動部材側の何れか一方に接
    続されたクラッチ部材と、該クラッチ部材に対向し且つ
    摺動可能に当接せしめられた状態で、それら駆動手段側
    及び連動部材側の何れか他方に接続された対向部材とか
    らなるクラッチ手段を前記伝達機構に配設せしめて構成
    された車両用空気吹出口装置において、 前記クラッチ部材を矩形のブロック形状を呈する一体の
    永久磁石にて構成する一方、前記対向部材を磁性体にて
    構成し、且つ該クラッチ部材と該対向部材の互いの当接
    面の少なくとも何れか一方に、突出部を形成して、該突
    出部を介して、それらクラッチ部材と対向部材とが当
    接、吸着されるようにすると共に、該クラッチ部材の該
    対向部材との当接面とは反対側の面に、所定深さの凹所
    を一体的に設け、そして、かかる凹所内に収容された状
    態で、該クラッチ部材が接続せしめられる、前記伝達機
    構を構成する伝達部材を、立設、配置せしめ、該クラッ
    チ部材の該対向部材に対する吸着力にて、それらクラッ
    チ部材と対向部材とを連結せしめることにより、該クラ
    ッチ部材と共に移動する前記伝達部材を有する前記伝達
    機構を介して、前記駆動手段の駆動力を前記連動部材に
    伝達せしめて、該連動部材による前記複数の風向板の回
    動を行なわしめるようにしたことを特徴とする車両用空
    気吹出口装置。
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