JP2962275B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置の製造
方法及び該方法により製造される半導体装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体装置の製造方法では、ウェ
ハに半導体素子の能動回路を形成する拡散工程を終了し
たウェハは、ウェハの、半導体素子の能動回路を形成し
ていない裏面を研削する裏面研削を行い、その後、電気
的特性測定工程を経て組立工程に投入される。組立工程
に投入されたウェハは、ウェハを半導体素子に完全切断
し分割するフルカットダイシング工程を行う前に、ウェ
ハを下方から粘着して保持するための粘着シートに下方
から粘着され、粘着シートは、フルカットダイシング後
に短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光を照射
することにより硬化される。短波長の可視光から紫外光
にまたがる範囲の光の照射により、粘着シートの粘着力
は大幅に低下し、弱い力で確実にフルカットダイシング
により完全分割された半導体素子を拾い上げることがで
きるようになる。しかし、短波長の可視光から紫外光に
またがる範囲の光の照射は粘着シート全体に行うため、
粘着シートを保持するフルカットリングへの粘着力が低
下し、短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光を
照射した後に僅かな衝撃でフルカットリングから粘着シ
ートが剥がれ、生産性の悪化を招くという問題があっ
た。
【0003】また、この現象を避けるため、粘着シート
の短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光の照射
において、フルカットリングと接触している粘着シート
部分には、短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の
光の照射を行わず、粘着力を維持する方法も行われてお
り、特開昭62−189111においても同様な粘着シ
ート処理装置が公知されているが、チップを拾い上げる
際、粘着シートにかかる張力により粘着成分がずれて、
粘着シートの周囲の部分に粘着成分が残存する。このフ
ルカットリングは繰り返し使用するが、この粘着成分の
残存により、フルカットリングを積み重ねた際にフルカ
ットリング同士がくっついて不具合が生じたり、フルカ
ットリングの搬送において搬送ミスを起こすという不具
合があり、また、このような作業性不具合を改善するた
めに、残存した粘着成分を取り除く作業が必要となって
おり、作業性が著しく悪化していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】第1の課題は、ウェハ
を半導体素子に完全切断し分割するフルカットダイシン
グ工程を行う前に、ウェハを下方から粘着させて保持す
るための粘着シートにより下方から粘着され、フルカッ
トダイシング後に、粘着シートを短波長の可視光から紫
外光にまたがる範囲の光の照射により硬化させる従来の
技術において、粘着シート全体へ短波長の可視光から紫
外光にまたがる範囲の光の照射を行ったことにより、短
波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光の照射後
に、僅かな衝撃で、粘着シートを上方から保持するフル
カットリングから粘着シートが剥がれることである。粘
着シートに粘着された半導体素子及びフルカットリング
は、ダイシング工程終了後、一体となって次の工程に流
れるが、粘着シートが剥がれることにより、粘着シート
がその後の製造に巻き込まれてしまい、素子を破壊し、
歩留まり及び生産性の悪化を招くという問題があった。
【0005】その理由は、粘着シート全面に、短波長の
可視光から紫外光にまたがる範囲の光の照射を行うた
め、粘着シートと粘着シートを保持するフルカットリン
グの接触面の粘着力が低下するからである。
【0006】第2の課題は、粘着シートの短波長の可視
光から紫外光にまたがる範囲の光の照射において、フル
カットリングと接触している部分のみ、短波長の可視光
から紫外光にまたがる範囲の光の照射を行わず、粘着力
を維持する方法も行われているが、粘着シートに張力が
かかったり、粘着シートが縮む際に、フルカットリング
外周に粘着成分が残存し、フルカットリングを積み重ね
た際にフルカットリング同士がくっついて不具合が生じ
たり、フルカットリングの搬送において搬送ミスを起こ
すという不具合が生じることである。これにより、歩留
まり及び作業性の悪化を招く問題となっている。
【0007】その理由は、フルカットリングと接触して
いる部分は、粘着シートに短波長の可視光から紫外光に
またがる範囲の光の照射を行わないため、粘着力が強
く、振動等の動的な力には強くなるが、粘着シートの静
的な力に対する力としての保持力は、短波長の可視光か
ら紫外光にまたがる範囲の光を照射することにより上昇
する。したがって、粘着シートのフルカットリング接着
面は、短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光の
照射を行っていないため、保持力が不十分であり、粘着
シートを剥がす際、リングに粘着成分が残存するからで
ある。
【0008】本発明はフルカットリングからの粘着シー
トの剥がれ及びフルカットリングへの粘着成分の付着を
防止でき、生産性、作業性及び歩留まり向上が可能な半
導体装置の製造方法及び該方法により製造された半導体
装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的は以下の手段
によって達成される。
【0010】すなわち、本発明は、半導体装置の製造方
法において、表面に粘着性を有する粘着シートを、粘着
シートを保持するためのフルカットリングへ粘着し、さ
らに、粘着シートにウェハを粘着させて構成される構成
体に対し、ウェハを完全切断して各半導体素子に分割す
るフルカットダイシング工程において、フルカットダイ
シング工程後、フルカットリングと粘着シートと接触し
ている部分において、内周部から外周部までの一部のみ
を遮光効果を有するマスク等により覆い、選択的に、短
波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光の照射を行
う半導体装置の製造方法を提案するものであり、前記粘
着シート及びフルカットリングの接触面において、フル
カットリング接触面の最内周部分付近を含めた粘着シー
ト接触面内周部を、遮光効果を有するマスク等により覆
い、短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光を局
所的に照射すること、前記粘着シート及びフルカットリ
ングの接触面において、フルカットリング接触面の最内
周部分付近を含めない粘着シート接触面内周部を、遮光
効果を有するマスク等により覆い、短波長の可視光から
紫外光にまたがる範囲の光を局所的に照射することを含
む。
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施の形態につ
いて図面を参照して詳細に説明する。
【0013】図1(a)または図1(b)を参照する
と、本発明の最良の実施の形態は、半導体素子1が粘着
した、半導体素子1の下方から粘着させて保持するため
の粘着シート2、及び粘着シート2の上方から保持する
フルカットリング3へ、遮光効果を有するマスク6を用
いて、短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光4
を局所的に照射させることである。すなわち、粘着シー
ト2とフルカットリング3との粘着面において、短波長
の可視光から紫外光にまたがる範囲の光4を照射した領
域と、短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光4
を照射しない領域を選択的に形成することにより、粘着
力及び保持力を同時に得て、しかもフルカットリング3
に粘着成分を残存させることがない。このため、半導体
装置の製造における生産性及び作業性が向上する。この
粘着シート2は、短波長の可視光から紫外光にまたがる
範囲の光の照射によって粘着力の低下、及び保持力の上
昇が生じ、粘着面が硬化する性質をもっている。
【0014】次に、本発明の一実施の形態の動作につい
て、図1及び図2を参照して詳細に説明する。
【0015】図2(a)の、組立工程に投入されたウェ
ハ5は、ウェハ5を半導体素子1に完全切断して分割す
るフルカットダイシング工程に投入される。ここで、ウ
ェハ5は、図2(b)に示すように、フルカットリング
3により保持された粘着シート2の上に粘着される。そ
の後、図2(c)及び図2(d)に示すようにフルカッ
トダイシングされ、半導体素子1を分離した後、図1
(a)に示すように、フルカットリング3の内周部一部
とその周辺、あるいは図1(b)に示すように、内周部
付近を、遮光効果を有するマスク6により、短波長の可
視光から紫外光にまたがる範囲の光4の照射方向から覆
い、短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光4を
照射し、粘着シートの粘着力及び保持力を局所的に保持
する。
【0016】本発明によれば、フルカットダイシング工
程後、粘着シートに短波長の可視光から紫外光にまたが
る範囲の光を局所的に照射することにより、粘着シート
の半導体素子接触部分は、粘着力の低下により、弱い力
で半導体素子を拾い上げることが可能となる。同時に、
粘着シート及びフルカットリングとの接触部の内周部一
部と、その周辺の粘着シートにおいて、粘着力は局所的
に低下し、保持力は局所的に上昇するため、フルカット
ダイシング工程後に粘着シートを容易に剥がすことがで
き、フルカットリングへの粘着成分の付着を防止するこ
とができる。
【0017】
【実施例】次に、本発明の一実施例について図面を参照
して詳細に説明する。
【0018】図1(a)または(b)を参照すると、半
導体素子1が粘着した、半導体素子1を下方から粘着さ
せて保持する粘着シート2、及び粘着シート2を保持す
るフルカットリング3へ、短波長の可視光から紫外光に
またがる範囲の光4を、遮光効果を有するマスク6等を
用いて局所的に照射させる。粘着シートは、表面に粘着
材の性質を示す塩化ビニル系またはポリオレフィン系の
フィルムであり、フルカットリングは合金製である。ま
た、照射する光は照射光7を使用する。なお、この粘着
シート2は、短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲
の光の照射によって粘着力の低下、及び保持力の上昇が
生じ、粘着面が硬化する性質をもっている。
【0019】次に、本発明の一実施の形態の動作につい
て、図及び図を参照してさらに詳細に説明する。
【0020】図2(a)の、組立に投入されたウェハ5
は、ウェハ5を完全切断して半導体素子1に分割するフ
ルカットダイシング工程に投入される。ここで、ウェハ
5は、図2(b)に示すように、フルカットリング3に
より保持された粘着シート2の上に粘着される。粘着シ
ート2の粘着力は、代表的な塩化ビニル系粘着シートに
おいては、照射光を照射する前は、JIS Z 02
37に準ずる測定方法で、200g/25mmである
が、照射光7を照射した後は、粘着力にJISZ 02
37に準ずる測定方法で、20g/25mmに低下する
性質を有しているものを使用している。一方、半導体素
子1を保持する保持力は、照射光を照射する前は、J
IS Z 0237に準ずる測定方法で、保持力は50
00〜10,000秒であるのに対して、照射光を照
射した後は、保持力はJIS Z0237に準ずる測定
方法で、70,000秒まで上昇する。半導体素子2を
拾い上げるとき、粘着力は低く、保持力は高い方が好ま
しいが、粘着シート2及びフルカットリング3との間の
粘着力が低いと、僅かな力でフルカットリング3から粘
着シート2が剥がれやすくなり、また、粘着シート2及
びフルカットリング3との間の保持力が低いと、粘着シ
ート2の粘着成分が容易に剥がれてフィルカットリング
3へ残存する。このため、粘着シート2及びフルカット
リング3との間には、適度に高い粘着力と保持力が必要
とされる。その後、図2(c)及び図2(d)に示すよ
うにフルカットダイシングされ、半導体素子1を分離し
た後、図(a)に示すように、照射光の照射方向か
ら、遮光効果を有するマスク6で覆い、照射光を、粘
着シート2及びフルカットリング3との接触面の内周部
の一部、及びその周辺を避けて、局所的に照射する。全
体的に照射光の照射を行った場合、粘着シート2及び
フルカットリング3との接触部の粘着力が低下すること
により、ダイシング工程後の搬送、及びハンドリングに
よって外力及び振動が加わり、粘着シート2がフルカッ
トリング3から剥がれる。また、粘着シート2の剥がれ
を防止するために、粘着シート2及びフルカットリング
3との接触面全体に対して、照射光の遮光を行うと、
粘着シート2及びフルカットリング3との接触面は、せ
ん断方向に対して保持力が低いため、粘着シートの張力
により粘着シートが縮み、粘着シート2の粘着成分が容
易に剥がれて残存する。このため、照射光を局所的に
照射することによって、粘着シートの粘着力及び保持力
を共に得ることが可能となる。
【0021】また、図(b)に示すように、フルカッ
トダイシング工程後、照射光の照射方向から、遮光効
果を有するマスク6で覆い、照射光を、粘着シート2
と、フルカットリング3との接触部に局所的に照射す
る。この方法では、粘着シート2とフルカットリング3
との接触面の最内周部は高い保持力を示すため、生産
性、作業性及び歩留まりの向上に対してより高い効果が
期待できる。
【0022】
【発明の効果】第1の効果は、ウェハを半導体素子に完
全切断して分割するフルカットダイシング工程後、ウェ
ハまたは半導体素子を下方から粘着させて保持する粘着
シートと、粘着シートを保持するフルカットリングとの
接触部の内周部一部とその周辺、あるいは内周部付近の
一部を、遮光効果を有するマスク等により、短波長の可
視光から紫外光にまたがる範囲の光を局所的に照射する
ことによって、フルカットリングからの粘着シート剥が
れが防止できるということである。これにより、半導体
装置の製造工程における生産性及び歩留まりの向上が期
待される。
【0023】その理由は、フルカットダイシング後に、
短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光を照射す
ることにより、粘着シートを硬化させ、弱い力で半導体
素子を拾い上げることが可能となるが、粘着シートの全
面に、短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光を
照射させることにより、粘着シートと粘着シートを保持
するフルカットリングの接触面の密着力が低下し、粘着
シート剥がれを引き起こす。このため、粘着シートの粘
着シートを保持するフルカットリングの接触面の一部
に、短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光の照
射を遮断し、局所的に粘着シートの粘着力を保持するこ
とにより、粘着シート剥がれを防止することができるか
らである。さらに、粘着シートを、フルカットリングと
の接触部の内周部付近の一部を避けて、短波長の可視光
から紫外光にまたがる範囲の光を照射した場合、粘着シ
ートとフルカットリングとの接触面の最内周部は高い保
持力を示すため、生産性、作業性及び歩留まりの向上に
対してより高い効果が期待できる。すなわち、粘着シー
トとフルカットリングとの粘着面において、短波長の可
視光から紫外光にまたがる範囲の光を照射した領域と、
短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光を照射し
ない領域を選択的に形成することにより、粘着力及び保
持力を同時に得ることができるからである。
【0024】第2の効果は、フルカットダイシング工程
後、粘着シートと、フルカットリングとの接触部の内周
部一部とその周辺、あるいは内周部付近の一部を、遮光
効果を有するマスク等により、短波長の可視光から紫外
光にまたがる範囲の光を局所的に照射することによっ
て、フルカットリングへの粘着成分の付着が防止できる
ということである。これにより、半導体装置の製造工程
における作業性向上が期待される。
【0025】その理由は、フルカットダイシング後に、
粘着シートとフルカットリングとの接触面全体に、短波
長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光の照射を遮断
することにより、粘着シートとフルカットリングとの接
触面の保持力が不十分になり、フルカットダイシング工
程後のフルカットリングに、粘着シートの粘着成分が残
存する。このため、粘着シートと粘着シートを保持する
フルカットリングの接触面の外周部に、短波長の可視光
から紫外光にまたがる範囲の光を照射し、フルカットダ
イシング工程後に粘着シートを容易に剥がすことがで
き、フルカットリングへの粘着シートの粘着成分の付着
を防止することができるからである。すなわち、粘着シ
ートとフルカットリングとの粘着面において、短波長の
可視光から紫外光にまたがる範囲の光を照射した領域
と、短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の光を照
射しない領域を選択的に形成することにより、粘着力及
び保持力を同時に得ることができるため、フルカットリ
ングに粘着成分を残存させることがないからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a),(b)は本発明の一実施例の形態
を説明するための側面断面図である。
【図2】図2(a),(b),(c)は本発明の実施例
を説明するための分解断面図であり、図2(d)は側面
断面図である。
【符号の説明】
1 半導体素子 2 粘着シート 3 フルカットリング 4 短波長の可視光から紫外光にまたがる範囲の照射
光 5 ウェハ 6 遮光効果を有するマスク

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体装置の製造方法において、表面に
    粘着性を有する粘着シートを、粘着シートを保持するた
    めのフルカットリングへ粘着し、さらに、粘着シートに
    ウェハを粘着させて構成される構成体に対し、ウェハを
    完全切断して各半導体素子に分割するフルカットダイシ
    ング工程において、フルカットダイシング工程後、フル
    カットリングと粘着シートと接触している部分におい
    て、内周部から外周部までの一部のみを遮光効果を有す
    るマスク等により覆い、選択的に、短波長の可視光から
    紫外光にまたがる範囲の光の照射を行うことを特徴とす
    る半導体装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記粘着シート及びフルカットリングの
    接触面において、フルカットリング接触面の最内周部分
    付近を含めた粘着シート接触面内周部を、遮光効果を有
    するマスク等により覆い、短波長の可視光から紫外光に
    またがる範囲の光を局所的に照射する請求項1に記載の
    半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記粘着シート及びフルカットリングの
    接触面において、フルカットリング接触面の最内周部分
    付近を含めない粘着シート接触面内周部を、遮光効果を
    有するマスク等により覆い、短波長の可視光から紫外光
    にまたがる範囲の光を局所的に照射する請求項1に記載
    の半導体装置の製造方法。
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