JP2962210B2 - ダイヤル検出装置 - Google Patents

ダイヤル検出装置

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JP2962210B2
JP2962210B2 JP35431695A JP35431695A JP2962210B2 JP 2962210 B2 JP2962210 B2 JP 2962210B2 JP 35431695 A JP35431695 A JP 35431695A JP 35431695 A JP35431695 A JP 35431695A JP 2962210 B2 JP2962210 B2 JP 2962210B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、公衆電話回線を伝
わるパルス方式のダイヤル信号の高調波成分を検出し、
ダイヤル情報に変換するダイヤル検出装置に関する。さ
らに具体的には、電話回線が通話先に接続された後に、
電話機のダイヤル・キーを操作して通話先に何らかの情
報を伝達する場合に、通話先の装置においてダイヤル情
報を確実に検出することのできる新規なダイヤル検出装
置を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】公衆電話回線に接続されたセンター装置
に音声案内装置とダイヤル信号受信装置を備え、公衆電
話回線側から電話着信があると音声案内を行い会員番号
および商品番号の入力を促し、会員が数値データをダイ
ヤル・キーにより入力すると該当商品の確認を行い受注
するといった通信販売サービスがある。またこれと類似
の形態で、チケット予約あるいは金融情報の配信を行う
といったサービスもある。さらに留守番電話に記憶され
た内容を遠隔地の電話機から制御し再生するといったリ
モート・コントロール、あるいはPBXの内線電話を選
択するダイヤル・インなども広く行われている。
【0003】これらの制御を行うための数値データ入力
は、電話機に備わっているダイヤル・キーを用いるのが
一般的である。専用の入力手段を用いないで電話機に付
属のキーを入力手段として用いることにより、低廉かつ
汎用的な入力が行えるからである。
【0004】ダイヤル・キー情報を伝える手段としてP
B(プッシュ・ボタン)信号方式とパルス方式がある。
ダイヤル・キー情報を用いるサービス等を実現するには
PB信号方式の方が都合が良い。公衆回線の中継系の回
路における直流制限に影響されることなく電話回線に許
容された周波数帯域を用いて確実に情報の伝達ができる
からである。ダイヤルの本来の目的は市内加入者交換機
に宛先の番号を知らせることにあるから、この本来の目
的に関する限りにおいては、いずれの方式を用いても同
じであり、多くの家庭ではパルス式加入回線に加入して
いる。
【0005】ダイヤル・キー情報を用いるサービスは広
範囲にわたる会員がなければ経済的効果を得にくい。パ
ルス式加入回線の電話機からダイヤル・キー情報の入力
が可能であれば広範囲の会員の参加を期待できるが、中
継系の回路における直流をカットして周波数帯域300
〜3.4kHzの電話信号を通すという直流制限がある
ために直流をオン・オフするダイヤル・パルスの検出は
容易ではなく、ダイヤル・キー情報の利用範囲を限定せ
ざるを得なかった。
【0006】中継系通過後の直流成分をもたないダイヤ
ル・パルス波形の検出が容易でない理由は以下の通りで
ある。
【0007】第1にダイヤル・パルス波形は、速度が1
0ppsあるいは20ppsでメイク率が30%である
こと以外に音声信号や回線雑音から区別する特徴がな
い。
【0008】第2にダイヤル“1”あるいはダイヤル
“2”を表わすダイヤル・パルス波形は単発波形あるい
はそれに近い波形であるため、同調フィルタ等による周
期性を特徴とした検出ができない。
【0009】第3に電話回線を伝わったダイヤル・パル
ス波形の受信レベルは−10dBm〜−40dBmと大
きく変動するが、受信される信号が音声波形かダイヤル
・パルス波形か不明である状況では利得制御をかけるこ
とができず安定した検出ができない。
【0010】第4に回転ダイヤル式電話機ではダイヤル
・ミュート(ダイヤル発信者の受話器からガリガリとい
う耳障りな大きなダイヤル発信音を出さないようにする
こと)を行っているため、ミュート開始時点と終了時点
すなわちダイヤル・パルス波形の前と後ろにダイヤル・
パルス波形に良く似たパルス波形が発生するので誤検出
し易い。
【0011】第5に音声信号中にも稀ではあるがダイヤ
ル・パルス波形に似た信号が含まれ、ダイヤル“1”を
表わすダイヤル・パルス波形と誤認識する可能性があ
る。
【0012】第6にダイヤル・パルス波形は電話機,市
内加入者交換機,中継系の組合せにより様々な波形形状
を呈するため、予め波形形状を予定して波形を区別する
方法がとれない。
【0013】このような種々の問題を解決するためのダ
イヤル・パルス波形の比較的有力な検出法として波形を
学習する方法がある。これはダイヤル受信の初期期間に
何んらかの方法でダイヤル・パルス波形であることを検
出し、その時点における波形の特徴を記憶し、その後は
その特徴を用いて認識を行う方法である。この方法によ
れば波形振幅も含め波形に関する多くの特徴を認識に用
いることができるから、周期性のあるダイヤル・パルス
波形はもとよりダイヤル“1”の認識についても認識率
を向上できる。
【0014】ただし、この方法ではダイヤル・パルス波
形の特徴を記憶するのに多くのメモリが必要となるのに
加え、記憶内容が多いほど記憶情報と後続ダイヤル・パ
ルス波形の特徴を表わす情報との比較認識に必要となる
処理量が多くなり、リアル・タイムでの認識が難しくな
るという問題がある。また前記初期期間において、ダイ
ヤル・パルス波形であることの検出に失敗すると以降の
認識が全く行えなくなるという危険性を持っている。
【0015】特開平2−231856号では、この危険
性を少なくするために、初期の学習用ダイヤル・パルス
波形として継続時間が長く検出し易いダイヤル“0”お
よび“2”をサンプル・パルス信号列として用いてい
た。受信側では数値が予めわかっているので周期、受信
レベルあるいはミュート・パルスの存在等の波形情報を
時間テンプレートや振幅テンプレートを用いて収拾して
いる。
【0016】しかし、最初のダイヤルを受信側で既知な
数値に限定することは、各種のサービス等での番号計画
の自由度に制限を加えることになるため改善が望まれて
いる。また、この種の装置では認識率が100%に限り
なく近いとの仮定のもとにセンター装置に情報を渡して
いたが、実際の電話回線は極めて多くの伝達特性を呈
し、予測範囲を越える形状のダイヤル・パルス波形を受
信する可能性がある。したがって認識の限界を越えた場
合にはセンター装置に報知することが要求される。
【0017】また、センター装置が公衆電話回線側の利
用者に音声案内によりダイヤルをうながすといった利用
形態では、ダイヤル検出装置内の2線4線変換部で音声
案内の信号が回り込みダイヤル・パルス波形に重畳する
ために、音声案内中にはダイヤル・パルスの検出ができ
なかった。このため、センター装置は音声案内にて事前
に確認音の後にダイヤルをするよう利用者に伝え、音声
案内の最後に確認音を出し無音期間にダイヤル・パルス
の検出を行っていた。しかしながら、何度も利用する人
には音声案内の内容が事前に解っているので、実際に確
認音を聞くまでダイヤルするのを待たされることにな
る。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題を列挙すると、第1は通信開始後の最初のダイ
ヤル・パルス波形を確実に検出することであり、第2は
通信開始後の最初のダイヤル数値が未知であっても確実
に検出することであり、第3は記憶すべきダイヤル・パ
ルス波形情報を少なくしてメモリおよび処理量の削減を
図ることであり、第4は先頭桁に続く後続桁において孤
立ダイヤル・パルス波形を確実に認識することであり、
第5はダイヤル・ミュート波形が付随しているようなダ
イヤル・パルス波形であってもそれを除外し正確な認識
を行うことにあり、第6は電話回線の状況により認識が
不確実になるダイヤル・パルス波形を検出しダイヤル信
号の受信先であるセンター装置に知らせることにあり、
第7はPB信号あるいは音声信号を誤認識しないために
防御手段を講じることにあり、第8は受信レベルに依存
しないダイヤル検出を行うことにある。第9は音声案内
中にもかかわらずダイヤル検出を行うことにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明による装置は、音
声の波形整形を行いかつ第1ホルマントに相当する成分
を減衰させる高域通過フィルタと高域通過フィルタ出力
を整流し信号帯域を直流側にシフトさせる絶対値演算部
とサンプル数を少なくするための間引き処理部とを含む
前処理部と、受信レベルに依存しない差分演算により周
期性を調べダイヤル・パルス波形であることを検出し、
平均値のまわりの変化分を演算することによりPB信号
等を排除し、波形の周期および先端および終端を求め区
分することによりダイヤル数値を認識し、異常波形であ
ったらその旨を報知し、さらにダイヤル・パルス波形に
重畳した音声を除去し、波形および波形の特徴を求め記
憶する先頭桁ダイヤル検出部と、ダイヤル・パルス波形
に重畳した音声を除去し、先頭桁ダイヤル検出部に記憶
されたダイヤル・パルス波形および波形情報をもとに後
続桁のダイヤル・パルス波形を検出し、検出されたダイ
ヤル・パルス波形からミュート波形等を除去しダイヤル
数値を認識する後続桁ダイヤル検出部と、認識したダイ
ヤル数値あるいは異常波形情報をPB信号に変換して後
段の音声案内装置等のシステムに伝達するPB信号送出
部とにより主要な部分が構成されている。
【0020】本発明による装置を特徴づけている機能を
以下に列挙する。
【0021】第1に音声の主要なエネルギー成分である
第1ホルマントに相当する周波数成分を高域通過フィル
タにより減衰させ、さらにダイヤル・パルス波形の周期
性を差分演算により選別検出するようにしたので、音声
あるいは回線雑音を誤検出することなく、ダイヤル・パ
ルス波形を検出できる。
【0022】第2に差分演算による波形選別は一定数以
上のダイヤル・パルス波形の繰り返しがあれば可能であ
るから、先頭桁のダイヤル数値が既知でなくてもダイヤ
ル・パルス波形の検出ができる。
【0023】第3に前処理部において整流することによ
りダイヤル・パルス波形の周波数成分を電話帯域から直
流近傍の帯域に移行させ、さらに間引き処理によりサン
プリング周波数を低下させたから、ダイヤル・パルス波
形の記憶を少ないメモリによって実現できるとともに実
時間での処理が可能になる。
【0024】第4に先頭桁ダイヤル・パルス波形および
波形情報を用いて後続桁を検出するようにしたから、後
続桁のダイヤル・パルス波形には周期性を要求せず、孤
立ダイヤル・パルス波形の検出ができる。
【0025】第5に先頭桁ダイヤル認識あるいは後続桁
ダイヤル認識においてミュート波形の除外判定を行うよ
うにしたので正確なダイヤル数値の認識ができる。
【0026】第6に先頭桁ダイヤル・パルス波形の検出
後に異常波形の判断を行うようにしたから、不正確な認
識結果を出力しないようにできる。
【0027】第7に先頭桁ダイヤル検出部では波形の平
均値と比較した値の変化分を判定し、後続桁ダイヤル・
パルス波形の検出では先頭桁ダイヤル検出部において記
憶された波形情報をもとに検出するようにしたから、P
B信号あるいは音声信号の誤検出を防止できる。
【0028】第8に差分演算時に正規化することによ
り、ダイヤル・パルス波形の受信レベルには依存しない
検出が可能になる。
【0029】第9に、ダイヤル検出装置内の2線4線変
換部で音声案内によって回り込む音声を除去するように
したので、音声案内中にもダイヤル・パルス波形の検出
を行うことができる。
【0030】第10に、音声除去部において、ダイヤル
・パルス波形に重畳した音声を除去するようにしたか
ら、ダイヤル・パルス波形の信頼度の高い検出が可能に
なる。
【0031】
【発明の実施の形態】図1には本発明の実施の形態の回
路構成を示している。21はダイヤル信号あるいは音声
信号を伝える電話回線であり、1は電話回線の直流ルー
プの閉結および送信信号23と受信信号22を分離する
ための2線4線変換を行う電話回線インタフェースであ
り、2はアナログ信号を8kHzでサンプリングしデジ
タル信号に変換するAD変換回路であり、3は8kHz
サンプリング信号をアナログ信号に変換するDA変換回
路であり、4は電話回線インタフェース1内の2線4線
変換部の不平衡が原因で生じる受信信号22への送信信
号23の回り込み、すなわちエコーを低減するためデジ
タル処理により送信信号25から作成したエコー・レプ
リカで受信信号24に含まれるエコー成分を打ち消し受
信信号26として出力するエコー・キャンセラである。
【0032】5は高域通過フィルタ処理および演算回数
の削減、記憶すべき情報削減のための間引き処理を行う
ダイヤル・パルス波形の前処理部であり、27は20p
psダイヤル・パルス波形検出用のサンプル信号と10
ppsダイヤル・パルス波形検出用のサンプル信号の2
つの信号からなる低速サンプル信号である。
【0033】15は音声除去部であり、先頭桁ダイヤル
検出時には低速サンプル信号27に重畳している音声信
号の除去、低速サンプル信号27の過去所定の期間(2
5サンプル)の平均値に対する振幅の短期間変化分情報
37の演算および先頭桁ダイヤル全体の先頭桁変化分情
報38を記憶し、後続桁ダイヤル検出時には低速サンプ
ル信号27に重畳している音声信号の除去をする。
【0034】6は通信開始直後の最初のダイヤル・パル
ス波形を検出しダイヤル・パルス数の認識および波形の
特徴抽出、波形の記憶を行う先頭桁ダイヤル検出部であ
り、35はスイッチ制御信号であり、音声除去後の信号
71の印加先を先頭桁ダイヤル検出部6から後続桁ダイ
ヤル検出部7に切り替える。
【0035】7は先頭桁ダイヤル検出部6により得られ
た先頭桁ダイヤル波形情報36を用いて2桁目以降のダ
イヤル・パルスを検出する後続桁ダイヤル検出部であ
り、28は先頭桁ダイヤル検出部6で認識された先頭桁
ダイヤル数値情報であり、29は後続桁ダイヤル検出部
7で認識された後続桁ダイヤル数値情報であり、8は先
頭桁ダイヤル数値および後続桁ダイヤル数値情報28,
29をPB信号によりダイヤル信号30に変換するPB
信号送出部である。
【0036】9はPB信号の送出時に受信信号を止めP
B信号を出力するスイッチ(SW)であり、10は受信
信号あるいはPB信号を8kHzサンプリング信号から
アナログの受信信号31に変換するDA変換器であり、
11はアナログ送信信号32を8kHzでサンプリング
しデジタル信号に変換するAD変換器であり、33はダ
イヤル信号を用いてサービスを行うシステムとの間を結
ぶ電話線相当のシステム信号線である。
【0037】12は送信信号32と受信信号31の4線
2線変換あるいはシステムへの直流供給、直流ループ閉
結検出を行うシステム回線インタフェースであり、34
はシステム回線インタフェース12内での直流ループ閉
結情報である。直流ループ閉結情報34は、また、直流
ループ閉結時において信号処理部5,音声除去部15お
よび先頭桁ダイヤル検出部6と後続桁ダイヤル検出部7
とPB信号送出部8を初期化後ダイヤル・パルス波形の
検出を行い、直流ループ開放時にダイヤル・パルス検出
を停止するための制御情報としても用いられる。
【0038】図1において、エコー・キャンセラ4と前
処理部5およびPB信号送出部8は電話帯域(300〜
3.4kHz)の信号処理であるため8kHzサンプル
速度で信号を処理する必要があるが、音声除去部15と
先頭桁ダイヤル検出部6と後続桁ダイヤル検出部7は前
処理部5によって低速化した低速サンプル信号27の処
理であるから、8kHzサンプル信号と混在させたプロ
グラムで処理するのは効率が悪い。したがって、本発明
の実施の形態では前処理部5,音声除去部15,先頭桁
ダイヤル検出部6,後続桁ダイヤル検出部7とPB信号
送出部8の機能をプログラムに従って実現する図示して
はいないDSP(デジタル信号処理プロセッサ)を8k
Hzサンプル用と低速サンプル用の2種類に分けてい
る。
【0039】8kHzサンプル用DSPでは1サンプル
125μsを時間分割しエコー・キャンセラ信号処理、
ダイヤル・パルス波形の前処理およびPB信号の発生を
行う。低速サンプル用DSPは処理シーケンスを音声除
去処理と先頭桁ダイヤル検出段階と後続桁ダイヤル検出
段階の3つに分けて処理する。2つのDSP間では低速
サンプル信号の入出力をシリアル転送で行い、ダイヤル
認識結果である先頭および後続桁ダイヤル数値情報2
8,29の伝達は8ビット・パラレル転送で行う。本発
明の実施の形態はこのように2つのDSPを用いて実現
した場合について説明しているが、高速演算処理が可能
なDSPを用いれば2つに分離する必要はない。
【0040】なお、本発明の実施の形態では512ワー
ドのデータRAMを備えたDSPであれば処理を実現で
きるようRAMの繰り返し利用を図っている。また図1
において、ダイヤル数値認識後の先頭および後続桁ダイ
ヤル数値情報28,29はPB信号に変換しシステム信
号線33によりシステムに伝達しているが、これ以外の
方法として先頭および後続桁ダイヤル数値情報28,2
9をRS232C等のインタフェースを用いてシステム
に伝達してもよい。
【0041】図2には、前処理部5の詳細な回路構成が
示されている。26は8kHzでサンプリングされエコ
ーが除かれた受信信号である。41は高域通過フィルタ
(HPF)であり、ダイヤル・パルス検出を行うに当っ
て妨害信号となる音声信号の中で電力的に大きな第1ホ
ルマントを減衰させる目的と、さらに電話回線の低域遮
断周波数(約300Hz)付近の群遅延歪のために生ず
るリンギングを除去する目的を兼ねている。
【0042】図3には高域通過フィルタ41および絶対
値演算部42の作用を説明するための波形図が示されて
いる。同図は帯域制限によりダイヤル・パルスのメーク
期間の前後で生ずるダイヤル・パルス波形を示してお
り、同図(a1)は受信信号26の波形が、(a2)に
は(a1)に示した波形から直接に絶対値をとった場
合、同図(b1)は受信信号26を高域通過フィルタ4
1に通した後に得られる波形を、(b2)には(b1)
に示した波形から絶対値演算部42において絶対値をと
った場合を示している。リンギングが存在する同図(a
1)(a2)の場合、等価的に応答の遅い伝達系を通し
たことになり、パルス間の境界がつけにくいが、リンギ
ングが抑圧された同図(b1),(b2)の場合はパル
ス間の境界が明確になる。
【0043】高域通過フィルタ41の遮断周波数は、音
声信号の第1ホルマントおよび電話回線21の低域遮断
周波数(300Hz)近傍の成分を減衰させる目的から
600Hz程度に選ぶのがよく、また高域通過フィルタ
41の遮断域において群遅延歪を発生させないために高
域通過フィルタ41の位相特性は直線でなければならな
い。直線位相特性のフィルタは有限インパルス応答(F
IR)フィルタのタップ係数を対称に選ぶことにより容
易に実現される。絶対値演算部42は受信信号の占有帯
域を低域側に移すために直流を含んだ低域に信号帯域を
移しており、それにより以下に説明する間引き処理が可
能になる。
【0044】43aおよび43bは間引きを行う前に必
要な低域通過フィルタ(LPF)であり、43aは20
ppsダイヤル・パルス波形用、43bは10ppsダ
イヤル・パルス波形用である。低域通過フィルタ43
a,bの遮断周波数について説明する。絶対値演算後の
信号はダイヤル・パルスの基本速度(20ppsまたは
10pps)と同一周期であるが、20ppsと10p
psダイヤル・パルス波形ではメーク期間とブレーク期
間が異なること、あるいは電話回線の発信者側の加入者
回路によって波形クリップ等が原因してブレーク期間や
メーク期間の中間部分でもパルス波形が生じる場合があ
るため、周波数帯域としては基本周期の5倍程度は必要
である。
【0045】したがって20ppsダイヤル・パルス波
形に対しては100Hz程度、10ppsダイヤル・パ
ルス波形に対しては50Hz程度が低域通過フィルタ4
3a,bの遮断周波数となる。本発明の実施例では20
ppsおよび10ppsに対する低域通過フィルタ43
a,bの遮断周波数を125Hzおよび62.5Hzに
選んでいる。低域通過フィルタ43a,bは高域通過フ
ィルタ41と同様に直線位相特性でなければならないの
で、対称なFIRフィルタで構成する。
【0046】44aおよび44bは間引き処理を行いサ
ンプル速度を低速化する間引処理部であり、44aは2
0ppsダイヤル・パルス波形用、44bは10pps
ダイヤル・パルス波形用である。間引き後のサンプル速
度について説明する。間引き後のサンプル周波数は低域
通過フィルタ43a,43bの遮断周波数の2倍以上で
あれば良いということは標本化定理の教えるところであ
るが、本発明の実施の形態ではパルス波形間の差分演算
によりダイヤル・パルスの基本速度(周期)を検出する
必要があり、時間分解能が問題となる。サンプル周期に
等しく、分解能を向上させるためにはサンプル周波数を
上げることになる。
【0047】サンプル周波数を極力低くし分解能を確保
するために、本発明の実施の形態では間引き後のサンプ
ル周波数を低域通過フィルタ43a,43bの遮断周波
数の4倍に選ぶ。すなわち間引処理部44aでは500
Hzサンプル信号を得るために8kHzサンプル信号か
ら16サンプル毎に1サンプルを抜き出し低速サンプル
信号27aを出力する。また間引処理部44bでは25
0Hzサンプル信号を得るために8kHzサンプル信号
から32サンプル毎に1サンプルを抜き出し低速サンプ
ル信号27bを出力する。
【0048】低速サンプル信号27aおよび27bは、
それぞれ20ppsおよび10ppsダイヤル・パルス
波形から得られたものであるから、そのいずれかまたは
両方が低速サンプル信号27として音声除去部15に印
加される。以下において、低速サンプル信号27aまた
は27bを区別する必要のないときには単に低速サンプ
ル信号27という。
【0049】以上説明したように本発明では絶対値演算
および間引き処理によりサンプル周波数を20pps用
で8kHzの1/16、10pps用では1/32に下
げ、以降の処理における演算量および記憶量の大幅な削
減を図っている。
【0050】図4には音声除去部15の内部構成が示さ
れている。低速サンプル信号27の一部は高域通過フィ
ルタ(HPF)61を通して、その音声信号成分を除去
した信号76を得て、直流分再生器62において直流分
の再生をして直流分再生後の信号77を得る。低速サン
プル信号27の他部は遅延器63を通して高域通過フィ
ルタ(HPF)61で遅延を受ける時間を補償するため
に遅延した信号78を得る。誤差波形除去器64におい
ては、直流分再生時に直流分再生後の信号77に生じた
誤差波形を遅延した信号78を参照して除去し、誤差波
形を除去した信号79を得る。誤差波形を除去した信号
79はスライサにより負の振幅を削除し、随時音声除去
後の信号71として出力する(詳細は後述)。
【0051】スイッチ66は、スイッチ制御信号35に
より先頭桁ダイヤル検出時にオン、後続桁ダイヤル検出
時にオフになり、変化分演算部67には先頭桁ダイヤル
検出時の低速サンプル信号27が印加され、平均値のま
わりの変化分を示す短期間変化分情報37の変化分を演
算し、変化分記憶部68では短期間変化分情報37の変
化分を圧縮して先頭桁ダイヤル全体の変化分情報を記憶
し、先頭桁変化分情報38として出力する。
【0052】スイッチ66がオンのとき変化分演算部6
7において、入力されサンプルは振幅変化分の演算を行
うため図示されてはいないFIFO(先入れ先出し)形
式のRAMに逐次記憶される。RAMには20pps用
と10pps用があり、それぞれ約1基本周期分の波形
すなわち25サンプルの記憶ができるように構成してあ
る。
【0053】スイッチ66がオンになっている先頭桁検
出期間において、変化分演算部66では低速サンプル信
号27aまたは27bのそれぞれに対し、過去の所定の
期間(25サンプル)の平均値に対する振幅の変化分を
求める。本発明の目的の1つはPBダイヤル信号、ファ
クシミリ手順信号、音声、音楽等の信号には感動しない
ことである。前処理部5により帯域制限され低速サンプ
ルされたこれらの信号の振幅変化は小さく、一方ダイヤ
ル・パルス波形のそれは大きいので、振幅変化を基にダ
イヤル・パルス波形とこれらの信号波形を区別すること
ができる。
【0054】サンプル時刻nにおける入力信号をX
1(n)、平均値をA1(n)、平均値のまわりの変化幅をV
1(n)、Jを約1基本周期のサンプル数(本例では25サ
ンプル)として振幅の変化分Z(n) を次の式(1)によ
り求める。また変化分Z(n) の値が短期間変化分情報3
7として出力される。
【0055】 Z(n)=V1(n)/A1(n) (1) A1(n)=(1/T)ΣX1(nーi) (2) V1(n)=(1/T)Σ|X1(nーi)−A1(n)| (3) ここで式(2)および(3)のΣはi=0からJ−1の
累和を表している。
【0056】変化分記憶部68では式(1)で求めた変
化分Z(n)について先頭桁ダイヤル・パルス波形全体に
相当する期間分の記憶を行う。このような記憶を行う必
要性を次に述べる。例えば、男子が“あ−”等という母
音を発生した場合数10ms間にわたって振幅の変化分
がダイヤル・パルス波形と酷似することがある。したが
って、前記変化分Z(n)を求めたような1基本周期程度
の時間では、音声とダイヤル・パルス波形の区別ができ
ない場合が生じる。これを避けるため変化分Z(n)の値
を先頭桁ダイヤル・パルス波形全体に相当する期間記憶
し、長期間観測による変化分を用いて区別すれば確実な
識別ができる。
【0057】本発明の実施の形態ではDSP(デジタル
信号処理プロセッサ)のデータRAMに限りがあるの
で、以下の方法を用いてRAMの削減を図りながら変化
分Z(n)を記憶する。式(1)で演算した変化分Z(n)の
値をK個で1ブロックとし、1ブロックに1つの変化分
情報を対応させる。なおKについては、K≦J/2とす
る必要があり、本発明の実施の形態では、K=12とし
ている。
【0058】さらに変化分情報についてもRAM削減の
ため3値に制限し、1ブロック間連続して次の式(4)
を満足すれば2、同じく式(5)を満足すれば1、それ
以外は0として記憶する。 Z(n) >μ (4) Z(n) >ν (5)
【0059】閾値μは0.5、νは0.35に設定す
る。また、変化分記憶部68における前記FIFO形式
のRAMは先頭桁ダイヤルの前後を含めた先頭桁変化分
情報38が記憶できるよう約15基本周期に相当する3
2ブロック分の記憶容量をもつ。
【0060】高域通過フィルタ61,直流分再生器6
2,誤差波形除去器(64)およびスライサ65ではダ
イヤル・パルス検出を行うにあたって妨害信号となる電
話回線インタフェース1に含まれた2線4線変換部で回
り込むガイダンス音声信号等を除去する。音声案内をシ
ステムからシステム信号線33を介して流し、電話の利
用者にダイヤルをうながす用途などでは音声案内中のダ
イヤル・パルス検出を必要とする。低速サンプル信号に
おいて音声信号の包絡変化はダイヤル・パルス信号の変
化に比べて緩やかであるので、この特徴を利用し低速サ
ンプル信号27を高域通過フィルタ61に通すことで音
声信号を除去する。
【0061】図5には音声除去部15の各部の波形が示
されている。同図(a)は入力信号となる低速サンプル
信号27であり、回り込み音声信号が重畳されたダイヤ
ル・パルス波形を示している。高域通過フィルタ(HP
F)61は音声信号成分である低周波成分を除去して同
図(b)に示す信号76を出力する。
【0062】高域通過フィルタ(HPF)61の遮断周
波数は、ダイヤル・パルス波形を通過させ音声電力波形
を減衰させる目的から、20ppsの場合には10H
z、10ppsの場合には5Hz程度に選ぶのがよく、
また高域通過フィルタ(HPF)41と同様に直線位相
特性でなければならないので、対称なFIRフィルタ
(有限インパルス応答フィルタ)で構成する。ここで高
域通過フィルタ(HPF)61を通した場合、同図
(b)の信号76では信号の平均電力も除去してしまう
のでダイヤル・パルス波形の持つ情報の一部が欠落し検
出がしずらくなる点が問題となる。
【0063】これを補正するために直流分再生器62で
は、信号76に対して直流分再生を行う。直流分再生は
(b)の信号76の負振幅側から変化分を検出し、それ
を信号76に加えることで行う。すなわち、信号76の
負振幅部分のみを選択し、それを負方向(下降方向)に
対しては比較的速く追従し、正方向(上昇方向)に対し
ては緩やかに追従するような時定数を持つ図示されては
いない直流分推定フィルタに通すことで振幅変化分を検
出する。直流分再生器62の出力は同図(c)に示す信
号77のようになる。
【0064】この波形において更に問題点が生じる。す
なわち前記直流分推定フィルタにおいて正方向の時定数
を任意のダイヤル・パルス波形に対して最適に設定する
ことができないため、同図(c)の波形の終端部分にお
いて、誤差波形69が生じてしまう。この誤差波形69
はダイヤル・パルス波形を構成するパルス波形の一部と
なってしまい、認識の際の妨害となるから生じさせない
ようにする必要がある。そのために、入力信号27を高
域通過フィルタ(HPF)61の遅延分だけ遅延させる
遅延器63に通した信号78と誤差波形69を含む信号
77とを用い、誤差波形除去器64において誤差波形6
9を除去する。
【0065】誤差波形除去器64では、信号78と信号
77とを比較し、各サンプル毎に振幅の小さい方を選択
することで、図5(d)に示すような誤差波形69が除
去された信号79を得る。その信号79において負振幅
のサンプル値はダイヤル・パルス波形として不要な部分
であるから、スライサ65で切り取り、図5(e)に示
す音声除去後の信号71を得ている。
【0066】図6には先頭桁ダイヤル検出部6の回路構
成を示している。スイッチ51は音声信号除去後の信号
71の印加先を先頭桁ダイヤル開始検出部52または先
頭桁ダイヤル終了検出部53に切り替えるスイッチであ
り、切り替えのスイッチ制御信号73を先頭桁ダイヤル
開始検出部52および先頭桁ダイヤル終了検出部53よ
り得ている。
【0067】先頭桁ダイヤル開始検出部52において音
声除去後の信号71を所定の手順(詳細は後述)により
差分演算し、短期間変化分情報37を用いて先頭桁ダイ
ヤルの開始を検出し、先頭桁ダイヤルの終了を検出する
ためのパルス形状情報72を先頭桁ダイヤル終了検出部
53に印加している。先頭桁ダイヤル終了検出部53に
おいて、パルス形状情報72を用いて先頭桁ダイヤル終
端検出と不要波形の排除を行い、先頭桁変化分情報38
を用いて先頭桁ダイヤル波形として記憶するための先頭
桁ダイヤル波形記憶情報74,先頭桁ダイヤル数値情報
28および先頭桁の終了を表すスイッチ制御信号35を
得る。先頭桁ダイヤル波形特徴記憶部54では、先頭桁
ダイヤル波形記憶情報74から先頭桁ダイヤル波形情報
36を得ている(詳細は後述)。
【0068】図7、図8、図9および図10は先頭桁ダ
イヤル検出部6においてダイヤル・パルス波形の存在を
検出するまでの信号処理の流れを示している。先頭桁ダ
イヤル・パルス検出動作を開始すると、20pps用ま
たは10pps用の音声除去後の信号71が、2msま
たは4ms周期で入力し(S1、図7)FIFO(先入
れ先出し)形式のRAMに逐次記憶される。(S2)。
また、このときスイッチ51は先頭桁ダイヤル開始検出
部52に接続されている。RAMには20pps用と1
0pps用があり、それぞれ約8基本周期分の波形すな
わち200サンプルの記憶ができるように構成してい
る。
【0069】ステップS3では信号の大きさ、すなわち
後述の式(8)に示す平均値A(n)のまわりの変化分V
(n) が所定の値、たとえば−40dBm以上であるかを
判定する。信号が極端に小さい場合は、漏話による他回
線のダイヤル・パルス波形である可能性が高く、また後
述の式(7)の分母V(n) が0に近くなり演算に異常を
きたすからである。信号が小さい場合は、次の信号入力
を持つ(S3N)。
【0070】ステップS4(図8)では、変化分演算部
67で測定して演算した変化分Z(n) (短期間変化分情
報37が表す変化分)が所定の変化分以上であるかを判
定する。ここでは、先頭桁ダイヤル・パルスの先端を検
出するのが目的であり、短期間変化分すなわちサンプル
時刻nでの変化分Z(n) に対して、1サンプルでも次の
式(6)に示す判定条件を満足すれば、つぎのステップ
に進み(S4Y)、満足しなければ次の信号入力を待つ
(S4N)処理を行う。式(6)のαは0.35程度に
選ぶ。 Z(n) ≧α (6)
【0071】つぎに差分演算を行う(S5)。差分演算
時の正規化により受信信号26のレベルによらないダイ
ヤル・パルス波形の存在検出が可能になる。本発明の実
施の形態では、20pps用および10pps用に、そ
れぞれ5個の周期を準備し差分演算を行う。5個とした
理由はダイヤル・速度が±10%の範囲で変動すること
を考慮したためで、たとえば20ppsのときは基本速
度(周期)検出用に周期25サンプル(50ms)を当
て、短周期側に24サンプル周期(48ms)と23サ
ンプル周期(46ms)を当て、長周期側に26サンプ
ル周期(52ms)と27サンプル周期(54ms)を
当てている。
【0072】これらと一致しない周期(たとえば49m
s、51ms等の中間の周期)のダイヤル・パルスの場
合の差分演算結果は原理的に0にならない。中間の周期
のダイヤル・パルス入力の場合の差分演算結果の劣化は
間引き後のサンプリング周波数に依存するので、この関
係についてさらに詳しく説明する。間引き後のサンプリ
ング周波数を低域通過フィルタ(LPF)43a,bの
遮断周波数の2倍にしたとき、差分演算での時間分解能
は4ms、同様に4倍のとき2ms、8倍のときは1m
sとなる。2倍のときは時間分解能の中間(たとえば4
8ms、52ms等)の周期のダイヤル・パルス入力で
差分演算結果(式(7)で求めるr(n))は0.6、同
様に4倍のときは時間分解能の中間(たとえば49m
s、51ms等)で差分結果は0.3、8倍のときは時
間分解能の中間(たとえば49.5ms、50.5ms
等)で0.15となる。
【0073】このように間引き後のサンプリング周波数
を上げ時間分解能を細かくすれば、差分演算は良好な結
果が得られるが、同時に処理における演算量も増加す
る。一方、実際に音声を入力し差分演算を行った場合、
間引き後のサンプリング周波数にかかわらず、0.4程
度の差分演算結果が得られることがある。本例では音声
による誤検出を避け、かつ演算量あるいは記憶量を削減
するという観点から、サンプリング周波数を低域通過フ
ィルタ(LPF)43a,43bの遮断周波数の4倍と
した。
【0074】差分演算は、時間的なサンプル位置を示す
サンプル時刻nにおける差分をr(n) 、検出した1基本
周期のサンプル数をT、音声除去後の信号71をX(n)
、平均値をA(n) 、平均値のまわりの変化分をV(n)
として式(7)〜(9)のように行う。なお、よく知ら
れている相関関数により周期性を検出する方法も考えら
れるが、相関関数では直流分を多く含む波形の場合に相
関値が高くなるため真に観測したい波形変化をマスクし
てしまう。
【0075】本発明の実施例ではこの点に鑑み、波形相
互の減算により一致程度を測定する。 r(n) ={(1/T)Σ|X(n-i)−X(n-T-i)|}/V(n) (7) V(n) =(1/T)Σ|X(n-T-i)−A(n)| (8) A(n) =(1/T)ΣX(n-T-i) (9) ここで、式(7)〜(9)のΣはi=0からT−1まで
の累和を表わしている。本発明の実施の形態では検出用
の周期Tは20pps用に5個、10pps検出用に5
個用意されているので、式(7)〜(9)の演算は、そ
れぞれ低速サンプルを入力する度に10回行う。
【0076】差分判定では式(7)の差分演算結果r
(n) を用い差分の判定を行う。すなわち10個の差分演
算結果r(n) のうち最小のものが次の式(10)の条件
を満たすか(S6Y)否か(S6N)を判定する。式
(10)でβは0.3程度に選ぶ。 r(n) ≦β (10) 実際のダイヤル・パルス波形を用いて式(10)を満た
すまでの経過周期を観測すると、4周期以内である。し
たがって本発明の実施の形態の場合、ダイヤル数値が
“5”以上であれば先頭桁ダイヤル・パルス波形を検出
できる。つぎに、ステップS6において選ばれた最小の
r(n) を示す周期を仮に周期Ta として記憶する(S
7)。
【0077】パルス形状測定(S8)ではダイヤル・パ
ルス波形のパルス形状を測定する。低速サンプル信号2
7において、ダイヤル・パルス波形は音声波形に比べ波
形が急峻に変化するので、波形的な特徴として用いるこ
とができる。パルス形状測定に当っては、第1にサンプ
ル時刻nから過去の時刻n−2Ta までの間で最大振幅
となるサンプル点bを探す。
【0078】第2に第1のサンプル点bから所定サンプ
ル分過去まで(たとえば20pps周期の時はbからb
−13まで)の間で、最小もしくは極小になるサンプル
点aを探し、第3に第1のサンプル点bから所定サンプ
ル分未来まで(たとえば20pps周期の時はbからb
+13まで)の間で最小もしくは極小になるサンプル点
cを探した後、左波高比H1 =X(a) /X(b) 、右波高
比H2 =X(c) /X(b) 、左波形幅W1 =b−aおよび
右波形幅W2 =c−bをパルス形状として記憶する。
【0079】ただし、この段階で測定したパルス形状を
以降の波形識別条件として用いると条件的に厳しすぎる
ので、波高比には緩和係数を掛けた数値を記憶する。こ
のときスイッチ制御信号73により、スイッチ51の接
続先を先頭桁ダイヤル終了検出部53に切り替える。ス
テップS1〜S7の動作は先頭桁ダイヤル開始検出部5
2において行われる。
【0080】つぎに先頭桁ダイヤル検出部6の先頭桁ダ
イヤル終了検出部53においてダイヤル・パルス波形を
切り出し認識するまでの信号処理について説明する。ダ
イヤル・パルス波形の仮周期はステップS7において判
明しているので、20ppsまたは10ppsのどちら
か一方の音声除去後の信号71を入力する(S9、図
9)。ステップS9で入力した1サンプルはステップS
7で得た確定した仮周期のサンプルを記憶しているFI
FO形式のRAMに続けて記憶される(S10)。
【0081】この時点でRAMは20ppsあるいは1
0pps専用とするため本発明の実施の形態では16基
本周期分の波形すなわち400サンプルを記憶できるよ
う構成を変更する。この変更はRAMを管理するポイン
タの設定法を変えることにより容易に可能であり、DS
P内の限られたRAM資源を有効に活用することができ
る。
【0082】なお、ダイヤル・パルス波形の記憶容量と
しては16基本周期分の記憶容量は不要で、周期変動を
考慮しても11基本周期分があればよい。しかし、ダイ
ヤル・パルス波形には回転ダイヤル電話機でダイヤル・
ミュート動作のON/OFF時に発生するミュート・パ
ルス波形あるいはダイヤル・パルス波形の直近に存在す
るパルス状音声波形が含まれるため、ダイヤル・パルス
波形の認識が行われるまでは余裕を持たせた記憶容量が
必要になる。
【0083】終端判定(S11)では、ダイヤル・パル
ス波形の終了時点を検出する。終了時点はパルス形状を
満足するパルス波形が現われなくなった時点とする。パ
ルス形状は所定サンプル数、たとえば13サンプル過去
のサンプル時点n−13を中心としてステップS4で求
めた値との比較を行うことにより判定する。
【0084】サンプル時点n−13を中心として左右に
おいて次の式(11),(12)を満たせばパルス波形
有りで終端ではない(S11N)とする。 X(n-13-W1)/X(n-13)≧H1 (11) X(n-13+W2)/X(n-13)≧H2 (12) これを、毎低速サンプル信号について行い、所定の時間
(たとえば1.5Ta )継続してパルス有りとならない
場合、その時点でパルス波形無しと判断し、低速サンプ
ル信号の入力を停止し、過去に1.5Ta 遡った時点を
ダイヤル・パルス波形の終端とする(S11Y)。
【0085】先端検出動作(S12)では、ダイヤル・
パルス波形の先端検出を行う。先端検出に当っては、R
AMに記憶されている波形の先頭、すなわち本発明の実
施の形態では終端から400サンプル前に戻り、ステッ
プS8と同様にパルス形状を測定する。すなわち極大値
の探索を終端より400−13サンプル戻った位置から
開始し、極大値を見つけたなら左右13サンプルについ
て最小もしくは極小値を探し、左右波高比、左右波形幅
をステップS8で測定し記憶した値と比較し、最初に条
件を満足したサンプル点をもって仮に先頭のパルス波形
とする。
【0086】仮の先頭パルス波形から更に終端側に1.
5Ta の間パルス形状を測定し、パルスがあれば真の先
頭パルス波形とする。このことによりダイヤル・パルス
波形に接近した音声波形を先頭パルス波形に誤認する確
率が少なくなる。ダイヤル・パルス波形の先端は先頭パ
ルス波形の左側の最小もしくは極小値のサンプル点とす
る。
【0087】波形区分動作(S13)では、ダイヤル・
パルス波形の正確な周期検出と波形の区分を行う。周期
検出は、方形波形とRAMに記憶されているダイヤル・
パルス波形との積和s(t,p) を次の式(13)で演算
し、その値が最大となるときの方形波形の周期とする。
【0088】 s(t,p) =(1/K)Σ{ΣX(jt+i+p)+ΣX(jt+i+p)} (13) ここで最初のΣはj=0からK−1まで、2番目のΣは
i=0からL−1まで、3番目のΣはi=t−Lからt
−1までの累和を表わしている。
【0089】式(13)において、tは周期で本発明の
実施の形態では23≦t≦27、pはステップS12で
求めたダイヤル・パルス波形の先端を0とした位相値で
0≦p<t、Kは先端から終端までのサンプル数を周期
tで除し余りを切り捨てた整数値、Lは方形波形を1に
する区間のサンプル数で本発明の実施の形態では8、X
はRAMに記憶されたダイヤル・パルス波形である。
【0090】tおよびpを順序に従い変化させ全ての組
合せについて式(13)を計算し、その値が最大となる
ときのtおよびpを最適な周期Tおよび位相Pとする。
周期についてはステップS7で記憶された内容Ta をT
に修正する。位相についてはステップS12で求めた先
端サンプル点に位相Pを加え改めて先端とする。波形の
区分は先端を0とし周期Tで区切ることに等しい。
【0091】図11にはステップS13の波形区分処理
の様子を式(13)の値が最大となる場合について示し
ている。同図において(a)はRAMに記憶されたダイ
ヤル・パルス波形であり、(b)はRAMに記憶された
ダイヤル・パルス波形の周期を有する方形波であり、
(c)は新たな先端サンプル点を0として周期Tで波形
を区分したものである。
【0092】不要波形除去動作(S14、図10)で
は、ミュート・パルス波形あるいはパルス音声波形であ
る不要波形がダイヤル・パルス波形の近くにある場合に
それを除外し、ダイヤル数値を認識する。除外対象の範
囲は2周期分とする。すなわちミュート・パルス等があ
ってもせいぜい1周期分であり、2周期を検討の対象と
すれば十分である。図11(a)の除外判定は先端部と
終端部についてそれぞれ独立に行う。
【0093】以下に説明する方法では、1周期目あるい
は2周期目がダイヤル・パルス波形であるならば、ブレ
ーク期間の変化時点に相当する位置で、ダイヤル・パル
ス波形であることが確実である3周期目あるいは4周期
目とほぼ等しい電力が観測されるということを利用す
る。
【0094】先端部側の除外判定では、第1に先端から
3周期目T3 および4周期目T4 について前側1/3区
間の電力Pf3,Pf4を測定し、小さい方の値を前側基準
電力Pfとし、また後側1/3区間の電力Pb3、Pb4
測定し小さい方の値を後側基準電力Pb とする。第2に
1周期目T1 および2周期目T2 について前側1/3区
間の電力Pf1、Pf2を測定し、また後側1/3区間の電
力Pb1、Pb2を測定する。
【0095】第3に1周期目T1 についてPf1>γ
f 、かつPb1>γPb であれば、ダイヤル・パルス波
形とみなし、それ以外は除外とする。γは0.4程度で
選ぶ。第4に1周期目T1 が除外された場合に2周期目
2 について1周期目T1 と同様な除外判定を行う(図
12参照)。
【0096】つぎに終端部の除外判定でも先端部と同様
に終端から1周期目と2周期目を除外対象とし、終端か
ら3周期目と4周期目の前側および後側電力をそれぞれ
測定し小さい方を基準電力にし、終端から1周期目およ
び2周期目と比較し、除外するか否かの判定をする。
【0097】図12はすでに説明したステップS14の
動作において先端部でミュート・パルスを除外する場合
の区分された波形(図11(c))を示しており、除外
すべきミュート・パルスが1周期目T1 にある。前側お
よび後側基準電力Pf ,Pbを3周期目T3 および4周
期目T4 の波形から測定する。
【0098】1周期目T1 の電力Pf1,Pb1と比較する
と、前側のPf1はPf1>γPf の条件を満足するが、後
側Pb1はPb1=0であるからPb1>γPb の条件を満足
しないため、1周期目T1 の波形であるミュート・パル
スは除外される(S14)。ダイヤル数値は、ステップ
S13で判明している不要波形除外前の周期数(パルス
数)からステップS14でダイヤル・パルス波形として
カウントしない不要波形を除外したので、その周期数1
を減じた値である。
【0099】つぎにステップS15では先頭桁ダイヤル
・パルス波形の部分に相当する先頭桁変化分情報38を
用いて、この時RAMに記憶されている400サンプル
の波形が先頭桁ダイヤル・パルスであるか、または音声
やPB信号等の不感動とすべき信号であるかを判定す
る。先頭桁変化分情報38は、終端時点から15基本サ
ンプル周期前までであるが、先端および終端のアドレ
ス,周期Tおよび除外する不要波形部分が判明している
ため、先頭桁ダイヤル・パルスに該当する期間の変化分
の情報のみ(本発明の実施の形態ではダイヤル“0”の
場合20ブロック前後)を抽出し、先頭桁変化分の判定
に用いる。
【0100】抽出した部分の変化分の情報が、Pブロッ
ク以上“2”が連続するかまたはQブロック以上“0”
が連続しなければダイヤル・パルスであると判定して、
つぎのステップに進み(S15Y)、それ以外であれば
不感動とすべき信号であると判断し、スイッチ51の接
続先を先頭桁ダイヤル開始検出部52に切り替えてステ
ップS1の先頭桁ダイヤル検出開始に戻り、つぎの低速
サンプル信号を待つ(S15N)。PおよびQの値は4
ブロック(20ppsのとき96ms、10ppsのと
き192ms)である。
【0101】つぎのステップS16では異常波形である
か否かを判断する。すなわち、ダイヤル中に音声が混入
したような場合、あるいは電話回線の状況によりダイヤ
ル・パルス波形が時間的に振幅変動するような場合に
は、RAMに記憶した波形を基準波形として後続桁の検
出に使用することができない。また認識した先頭桁のダ
イヤル数値自体が信頼に足るものではない。
【0102】そこで除外されずに残されたダイヤル・パ
ルス波形について、以下のように異常波形検出を行う。
まず1周期目の前側1/3区間の電力Pf 、後側1/3
区間の電力Pb を基準電力とする。つぎに2周期目以降
の前側1/3区間の電力Pfx、後側1/3区間の電力P
bxを 測定し基準電力Pf との比較を行う(図12参
照)。すなわち4つの比較、 Pfx<δ・Pffx>ε・Pfbx<δ・Pbbx>ε・Pb を行い、1つでも満足すれば異常波形と見なす。係数
は、たとえば、δ=0.2、ε=5を選ぶ。
【0103】異常波形として判定された場合(S16
Y)には、先頭桁ダイヤル数値情報28としてダイヤル
数値以外の情報、たとえば通常使用されていないダイヤ
ル信号B(ダイヤル信号には0〜9の数値の他に、Bを
含む数種の信号がある)を先頭桁ダイヤル検出部6の先
頭桁ダイヤル終了検出部53からPB信号送出部8に異
常波形通知を出力する(S17)。
【0104】そこでスイッチ51の接続先を先頭桁ダイ
ヤル開始検出部52に切り替えて、先頭桁ダイヤル検出
開始のステップS1に戻り、つぎの低速サンプル信号を
待つ(S1)。通常のダイヤル・パルス波形と判断され
た場合(S16N)には、先頭桁ダイヤル数値情報28
を先頭桁ダイヤル検出部6からPB信号送出部8に対し
出力し、先頭桁の終了を表すスイッチ制御信号35を先
頭桁ダイヤル検出部6から音声除去部15に対し出力す
る(S18)。ステップS9ないしS18の動作は先頭
桁ダイヤル終了検出部53において行われる。
【0105】つぎのステップS19では、1周期サンプ
ル数k、先端側で除外した周期の数m、ステップS13
で求めた先端サンプル点p、ステップS14で認識した
ダイヤル数値をnとして、新たな先端サンプル点p+m
・kから新たな終端サンプル点p+m・k+n・kまで
のサンプルをダイヤル・パルス波形として記憶する。さ
らに終端サンプル点から1周期分のサンプルを後尾波形
(図13参照)として記憶する。後尾波形は後続ダイヤ
ル・パルス波形の認識において孤立波形(ダイヤル1)
の認識確度を上げるために用いる。
【0106】ステップS19で記憶するダイヤル・パル
ス波形および後尾波形は後続桁認識における基準波形と
して使用されるので、頻繁にRAMから読み出される。
このため所定のRAMアドレスに先端サンプルが記憶さ
れるよう記憶位置を書き換え、アドレス指定が簡単に行
えるようにする。ステップS19で必要な記憶容量は1
1周期分であるから、本発明の実施の形態では11×2
7サンプルあれば良く、ステップS10で波形記憶に用
いた400サンプルのうち約100サンプルがこの段階
で余る。これは以降の動作におけるパルス形状あるいは
後続桁サンプル等の記憶に用いることによりDSP内蔵
資源の有効利用を図る。
【0107】ステップS20ではステップS19で記憶
された基準波形と後続桁波形の比較の際に必要とする平
均振幅を求め記憶する。平均振幅は基準波形の1周期を
3分割したそれぞれの区間で求める。以降の説明のため
に1周期Tの単位で区分された波形を単位波形と呼び、
単位波形を3分割した波形を分割波形と呼ぶことにす
る。前側分割波形の振幅平均の演算式を次の式(1
4)、同じく中央分割波形を式(15)、後側分割波形
を式(16)に示す。
【0108】 Pf(k)=(1/L)Σ|X((k-1)T+i)−V(k)| (14) ここにΣは、i=0からL−1までの累和を表わしてい
る。 Pc(k)=(1/8)Σ|X((k-1)T+i)−V(k)| (15) ここにΣは、i=LからL+7までの累和を表わしてい
る。 Pb(k)=(1/M)Σ|X((k-1)T+i)−V(k)| (16) ここにΣは、i=L+8からT−1までの累和を表わし
ている。
【0109】式(14)〜(16)においてkは先頭の
単位波形を1とし上限が認識したダイヤル数値に1を加
えた値となる単位波形の連番、L=(T−8)/2(小
数点以下切り捨て)、M=T−L−8、Tは周期、Xは
基準波形、V(k) は次の式(17)に示す1周期の平均
値である。中央の平均区間長を8としたのは本発明の実
施例で約1/3周期に相当するからである。 V(k)=(1/T)ΣX((k-1)T+i) (17) ここにΣは、i=0からT−1までの累和を表わしてい
る。
【0110】図13は先頭桁ダイヤル検出部6の先頭桁
ダイヤル波形特徴記憶部54のパルス形状測定動作を示
した波形図である。ステップS21では基準波形(周期
1〜T6 )のなかの3つの部分のパルス形状を測定し
記憶する。
【0111】第1に周期T1 に存在する先頭の単位波形
の前側分割波形のピーク(時点b1)を中心に左波形幅
3 、左波高比H3 、右波形幅W4 、右波高比H4 を求
める。ここで左波高比H3 は時点a1 の振幅X(a1)を時
点b1 の振幅X(b1)、すなわち、ピークの振幅で除した
値であるから、 H3 =X(a1)/X(b1) となる。右波高比H4 も時点c1 の振幅X(c1) を用い
て同様に H4 =X(c1)/X(b1) となる。
【0112】第2に周期T2 以降周期T6 の終端までの
各周期内の前側分割波形のなかで最も大きいピーク値
(時点b6 )を中心に左波形幅W5 、左波高比H5 、右
波形幅W6 、右波高比H6 を求める。
【0113】第3に周期T2 以降周期T6 の終端までの
各周期内の後側分割波形のなかで最も大きいピーク値
(時点b3 )を中心に左波形幅W7 、左波高比H7 、右
波形幅W8 、右波高比H8 を求める。
【0114】ここで、H5 〜H8 は時点a6 ,b6 ,c
6 ,a3 ,b3 ,c3 の各振幅X(a 6) ,X(b6) ,X(c
6) ,X(a3) ,X(b3) ,X(c3)を用いて H5 =X(a6)/X(b6) H6 =X(c6)/X(b6) H7 =X(a3)/X(b3) H8 =X(c3)/X(b3) となる。
【0115】測定部分を3箇所とした理由は、先頭パル
ス波形(図13のT1 )は過渡応答のため以降のパルス
形状とは異なること、前側分割波形と後側分割波形は応
答特性が異なるためそれぞれの代表、すなわち前側分割
波形のうちの最大部分(図13のT6 )と後側分割波形
のうちの最大部分(図13のT3 )が必要になることに
よる。なお、代表を最大ピーク部分としたのは選び易い
からである。波高比HはステップS8の処理において説
明した通り、このままの数値を判定条件としたのでは厳
しすぎるので緩和係数を掛けた値に修正する。
【0116】ステップS22では基準波形の終端に続く
1周期分の後尾波形(図13)を後続桁認識時に比較対
象とすべきか否かを判断する。ステップS14で波形の
終端側において不要波形を除外したときで、かつ基準波
形の終端直前の単位波形の1周期電力(図13の周期T
6 の電力)に比べ後尾波形電力(図13)が所定以上
(たとえば−6dB以上)あれば、後尾波形をミュート
・パルスとみなして後続桁認識での後尾波形比較を可能
にするために、先頭桁ダイヤル波形情報36の一部とし
て出力する。ステップS19ないしS22の動作は先頭
桁ダイヤル波形特徴記憶部54において行われる。
【0117】なおステップS12〜S22の信号処理中
は、先頭ダイヤルと2番目のダイヤルの桁間に相当する
無音信号期間であり、その桁間は20ppsダイヤル・
パルス波形の場合450ms以上、10ppsダイヤル
・パルス波形の場合600ms以上の桁間時間がある。
したがって、ステップS12〜S22の処理は低速サン
プル信号27の入力を停止し、400ms以内に処理を
終了すればよい。
【0118】つぎに図14および図15を用いて後続桁
ダイヤル検出部7の動作における後続桁認識の1周期目
を検出するまでの処理を説明する。ステップS41(図
14)では先頭桁ダイヤル検出部6で測定した20pp
sまたは10pps周期の音声除去後の信号71を1サ
ンプル入力する。それがFIFO形式のRAMに記憶さ
れる(S42)。
【0119】音声除去後の信号を記憶するRAMの記憶
容量は、最長周期27サンプルに左右のパルス形状を測
定するための13サンプルを加えた、53サンプルであ
る。ステップS43では基準波形Xと入力波形Yとの比
較を行う。比較は前側分割波形、中央分割波形、後側分
割波形の3部分に対して独立に行う。このための差分演
算を次の式(18)〜(20)に示す。
【0120】 Ef(k) =(1/L)Σ[|Y(n-12-T+i)−X((k-1)T+i)|]/Pf(k) (18) ここでΣは、i=0からL−1までの累和を表わしてい
る。 Ec(k) =(1/8)Σ[|Y(n-12-T+i)−X((k-1)T+i)|]/Pc(k) (19) ここでΣは、i=LからL+7までの累和を表わしてい
る。 Eb(k) =(1/M)Σ[|Y(n-12-T+i)−X((k-1)T+i)|]/Pb(k) (20) ここでΣは、i=L+8からT−1までの累和を表わし
ている。
【0121】式(18)〜(20)で、nは現在のサン
プル時刻(サンプル位置)を表わし、L、M、Tおよび
XはステップS20でのそれらと同じであり、Yはステ
ップS41およびS42で入力し記憶した波形であり、
f(k)、Pc(k)およびPb(k)はステップS20で記憶し
た分割波形の平均振幅である。kはステップS20での
kと同じ連番であるが、上限値はそれから1を減じた値
である。
【0122】式(18)〜(20)中のYのポインタ式
の中の12はパルス形状測定をする都合によるもので、
後側分割波形のピーク値から右側のサンプル値を知るた
めである。比較演算の終了後、Ef(k)の中で最小の値を
選択し、それを最小値Ef およびそのときのkをkf
同じくEc(k)について最小値Ec 、Eb(k)について最小
値Eb およびそのときのkをkb とする。
【0123】以下に示す式(21)で求められる前側分
割波形差分値および、式(22)で求められる後側分割
波形差分値を条件として、1周期差分値r(n) を式(2
3)に示すように求める。
【0124】 sf ={Σ|Y−Xf|}/ΣXf (21) ここに、Y=Y(n-12+T+i) Xf=X((kf-1)T+i) であり、Σは、i=0からL−1までの累和を表してい
る。
【0125】 sb ={Σ|Y−Xb|}/ΣXb (22) ここに、Y=Y(n-12+T+i) Xb=X((kb-1)T+i) であり、Σは、i=L+8からT−1までの累和を表し
ている。
【0126】式(21)および(22)におけるn、
L、T、XおよびYは、式(18)〜(20)でのそれ
らと同じである。
【0127】1周期差分値r(n) は、sf <λ かつ
b <λ の条件1およびsf ≧λ または sb
λ の条件2において、 条件1で、 r(n) =(Ef +Ec +Eb )/3 条件2で、 r(n) =η (23) であり、ηは後述するステップS44で行う差分判定を
満足させないような値、たとえばη=1.0を用い、閾
値λは0.6程度に設定する。
【0128】このような差分演算を行う理由を説明す
る。通常はダイヤル・パルス波形と後続ダイヤル・パル
ス波形は極めて類似しているので、1周期単位で比較す
れば後続ダイヤル・パルス波形を検出し音声波形等は排
除できる。しかし稀に先端波形が先頭ダイヤル・パルス
波形のそれと異なること、あるいは先頭ダイヤル・パル
ス波形の波形数が後続の波形数より少ない場合、たとえ
ば先頭桁が“5”で後続桁が“0”の場合には先頭桁か
ら作成した基準波形には存在しないパルス波形が後続桁
のパルス波形には含まれることがあり、1周期単位の比
較では条件が厳し過ぎてしまうため、後続ダイヤル・パ
ルス波形を検出できずに見過ごしてしまう。
【0129】これを解決する簡単な方法は、差分演算結
果の判定基準を緩めることであるが、音声波形等に対す
る防御が緩くなってしまう。そこで本発明の実施の形態
では、1周期Tの中を3分割し分割波形単位で比較でき
るようにし(図12参照)、分割波形の組み合わせで成
る合成1周期波形が比較対象となるようにした。このよ
うに基準となるパルス波形の特徴を温存しながら、数多
くの基準波形を作ることにより後続桁のパルス波形を見
過ごすことがなくなる。
【0130】また、式(21)および(22)のsf
b を用いて場合分けをし、差分判定に使用する1周期
差分値r(n) の値を決定する理由を説明する。単純に1
周期差分値r(n) をEf ,Ec ,Eb の3者の平均値に
より求めると、図12に示すミュート・パルスのように
前側分割波形と中央分割波形の部分で基準波形と入力波
形が非常によく一致すれば、後側分割波形の基準波形と
入力は形が全く一致しない場合でも、1周期差分値r
(n) の値はダイヤル・パルスと認識されるレベルにな
る。
【0131】特に先頭桁から作成した前側分割波形と後
側分割波形の平均振幅の差が大きい基準波形では、ミュ
ート・パルスの後側分割波形との差分値Eb(k)が小さく
なるためこの傾向が強くなる。これを解決するために前
側分割波形と後側分割波形に対し、式(21)および
(22)により規格化した個別の差分値sf とsb を計
算し、式(23)の1周期差分値計算にあたって式(2
3)の条件1と条件2のように場合分けをすることで、
f とsb のうちの一方が極めてよく一致(小さな値を
示す)しても他方が一致しなければ、1周期差分値r
(n) が悪い(大きな値) になるようにすることができ
る。
【0132】ステップS44では差分判定を行う。すな
わちステップS44で求めた差分値r(n) が所定の数ζ
以下なら一致しているとして新たなステップに進み(S
44Y)、そうでなければ次のサンプル入力を行う(S
44N)。このとき、所定の数ζは0.5程度に選ぶ。
ステップS45では音声波形等が差分判定をすり抜けた
場合に、その音声波形等を排除するためにパルス形状を
測定し判定する。
【0133】図示されてはいないRAMには2周期分の
波形記憶容量があるので前側分割波形の左側に13サン
プル、後側分割波形の右側に13サンプル記憶されるか
ら、パルス形状を測定することができる(図12参
照)。前側分割波形のピーク値(位置をP1 (図13の
1 に対応))および後側分割波形のピーク値(位置を
2 (図13のb3 に対応))を探し、それを中心にし
て、ステップS21で記憶したパルス形状と比較する。
【0134】すなわち、次の式(24)〜(27)を満
たせば、ダイヤル・パルス波形と判定する。 Y(P1-W3)/Y(P1)≧H3 (24) Y(P1-W4)/Y(P1)≧H4 (25) Y(P2-W7)/Y(P2)≧H7 (26) Y(P2-W8)/Y(P2)≧H8 (27) これらの式で前側および後側のパルス形状を満たしたと
き、ダイヤル・パルス波形とみなす。
【0135】ステップS46ではカウンタを初期化す
る。カウンタは単位波形の区分位置で0になり最大1.
2T(切り上げ整数化、以下同様)までのサンプル数を
カウントする。ただし後続桁の先端検出の場合は特殊
で、RAMにはすでに差分条件を満足した1周期分の波
形が記憶されているので、周期カウンタの値はダイヤル
・パルス波形とみなした時点で1.0Tとする。これは
一時的な決定であり、この後引き続き行われる差分演算
の結果がさらに良い値(より小さい値)となった場合に
は、その時点で再修正する。
【0136】ステップS47では、ステップ41と同様
に1サンプルを入力した後、FIFO形式のRAMに記
憶する(S48、図15)。ステップS49ではカウン
タをインクリメントする。ステップS50ではステップ
S43と同様の差分演算を行う。ステップS51では1
つ前のサンプルでの差分値r(n-1)と現在のサンプルで
の差分値r(n)を比べ、 r(n-1)>r(n) ならば最小差分値Rv として記憶し、その時のカウンタ
の値を最小差分位置Rpとして記憶する。
【0137】ステップS52ではカウンタの値が1.2
TであるならばステップS53に処理を進め(S52
Y)、それ以下なら差分値を調べるため次の入力(S4
7)に戻る(S52N)。差分演算を行う範囲の上限を
1.2Tとした理由は、先頭桁ダイヤル検出(S13)
で求めた周期Tに対し、後続桁ダイヤルの周期がジッタ
をもつため、2割程広い範囲でダイヤル値の検出をする
必要があるからである。
【0138】ステップS53では最小差分位置Rp を用
いてカウンタを初期化する。すなわち1.2T−Rp
カウンタの値とする。このことにより単位波形の境界位
置がカウンタ値で0になる。ステップS54では最小差
分位置Rp を終端とする単位波形のパルス形状を測定
し、パルス形状値Ps を決める。測定はステップS45
と同様に行う。つぎに前側分割波形および後側分割波形
のいずれもがパルスであったとき、Ps =2とし、一方
がパルスでなかったとき、Ps =1とし、いずれもパル
スでなかったとき、Ps =0とする。ステップS54に
おいてはすでにステップS45でパルス形状が確認され
ているので、必ずPs =2となる。
【0139】図16には、ステップS51ないしS54
で求めた最小差分値Rv , 最小差分位置Rp およびパル
ス形状値Ps から尤度(もっともらしさ)を決定する様
子が示されている。ステップS55では、この尤度情報
を測定する。尤度情報は、ダイヤル・パルス波形の終端
検出に用いるもので単位波形を区切る度に測定する。ス
テップS55における尤度情報は先頭の単位波形を検出
した直後であるから2となる。
【0140】図17には時点aで立上がるミュート・パ
ルスが時点bからdまでを周期とする正規なダイヤル・
パルス波形に接近したため、時点aからcまでの疑似単
位波形として検出してしまう場合の波形を示している
が、このような場合はステップS47〜S55(図1
4,図15)で説明した後続桁の先端検出条件で排除す
ることができないので、2周期目の処理において判断す
る。
【0141】図18および図19には、この2周期目の
処理の動作の流れが示されている。ステップS61〜S
63ではステップS47〜S49と同じ処理をする。ス
テップS64では不必要に情報を取り込まないようにす
るために波形を比較する時間範囲の下限をカウンタが越
えるまでは(S64N)、サンプル値の記憶のみを行う
よう制御する。下限値は0.5Tであり、これを越える
と(S64Y)ステップS65に移行する。ステップS
65およびS66ではステップS50およびS51と同
様な処理を行い最小差分値Rv および最小差分位置Rp
を求める。
【0142】ステップS67では後尾波形との比較を行
う。比較演算は式(18)〜(20)を用い、ステップ
S20で用いたkを後尾波形を示す値、すなわち先頭桁
で認識したダイヤル数値に1を加えた値として行う。そ
の後、3つの演算結果を平均し、その平均値が、たとえ
ば0.3以下ならば後尾波形の比較結果Rt を1にし、
満足しない場合はRt =0とする。ただし、Rt =1で
あるときはこれを0に戻すことはしない。後尾波形の比
較結果はダイヤル“1”のように情報量の少ない波形の
補間情報として終端検出時に利用される。
【0143】ステップS68ではステップS52と同様
にカウンタ値が1.2T以下では以前の処理が繰り返さ
れるように制御し(S68N)、カウンタの値が1.2
Tであるならば(S68Y)ステップS69に進む。
【0144】ステップS69(図19)では、ミュート
・パルス等の除外判定を行う。すなわち、図17のミュ
ート・パルスを先端とした場合、2周期目における最小
差分位置がずれることを利用して判定する。ミュート・
パルスを先端波形として誤認した場合は、図17に示す
ように時点aが先端サンプル点となる。2周期目は時点
cを0としてカウントするが、その時点cからカウンタ
が1.2Tとなるサンプル点の間には正規のダイヤル・
パルス波形が存在する。
【0145】このため最小差分位置Rp は正規のダイヤ
ル・パルス波形を区切る位置すなわち時点dとなり、正
規の先端サンプルとなる時点bから計測した値よりも少
なくなる。少なくなる程度はパルス波形幅の時点bとc
の間にほぼ等しく、0.2T〜0.3Tである。したが
って、本発明の実施の形態では最小差分位置Rp が0.
8以下であれば、ミュート・パルスによる誤検出と判定
する。誤検出と判定し、その波形を除外すべきであると
決定した場合は(S69N)ステップS70に、そうで
ない場合は正規の波形を検出したとして(S69Y)、
ステップS71に進む。
【0146】ステップS70ではカウンタの値を1.2
T−Rp に初期化し、ダイヤル数値を1とする。ステッ
プS71ではカウンタの値を1.2T−Rp に初期化
し、ダイヤル数値を2とする。ステップS72ではステ
ップS54と同様にパルス形状値Ps を求める。ステッ
プS73では図16に従い尤度情報を測定する。尤度情
報は単位波形毎に測定され記憶されるので、ミュート・
パルスの除外が行われた場合には、ステップS55で求
めた尤度情報は廃棄され、このステップS73で求めた
尤度情報が最初の記憶値となる。
【0147】図20および図21には後続桁ダイヤル検
出部7における終端検出、ダイヤル数値認識の3周期目
以降の動作の流れが示されている。3周期目以降の処理
の前半は2周期目処理(図18,図19)とほぼ同じ
で、ステップS81はステップS61、ステップS82
はステップS62、ステップS83はステップS63、
ステップS84はステップS64、ステップS85はス
テップS65、ステップS86はステップS66、ステ
ップS87はステップS67、ステップS88はステッ
プS68、ステップS89はステップS72、ステップ
S90はステップS73と同様の処理を行う。
【0148】ステップ91ではカウンタを初期化して、
その値を1.2T−Rp に設定する。最小差分値Rv
0.5以上となった場合には明確な単位波形区分が行え
ないので1.0Tで区分し、カウンタには0.2Tを設
定する。ステップS92ではダイヤル数値をインクリメ
ントする。ステップS93では終端の判定を行う。終端
判定は尤度情報の並びを基に判断し、図16に示した直
近の3つの尤度情報の和が1以下であれば終端とする
(S93Y)。
【0149】ダイヤル・パルス波形後尾にミュート・パ
ルスがついていない場合は、尤度情報の並びが“00
0”になった時点が終端(和が0)であり、ミュート・
パルスがついている場合は“100”、“010”、
“001”のうちの1つ(和が1)になる。3つの尤度
情報の並びで終端を判断する理由は、ダイヤル・パルス
波形の途中にノイズが乗ったような場合に現われる“2
01”、“101”、“110”のような並びを許容す
ることにある。2つの尤度情報の並びではこのような判
断はできない。終端と判定されない場合はステップS8
1からの動作を繰り返す(S93N)。
【0150】終端と判定したなら(S93Y)、ステッ
プS94に進む。ステップS94ではダイヤル数値の決
定を行う。ダイヤル数値は以前のステップで記憶したダ
イヤル数値から3を引いた数である。ステップS95で
はダイヤル波形認定を行う。すなわち、ステップS22
(図10)において後尾波形比較が可能と判断されてい
る場合で、後尾波形比較結果Rt が1になっている場合
にはダイヤル・パルス波形とみなし、Rt =0の場合は
ダイヤル・パルス波形とみなさずダイヤル数値は廃棄す
る。
【0151】ステップS22において、後尾波形比較が
可能とされていない場合はダイヤル・パルス波形とみな
す。このような認識処理を行うことにより音声信号をダ
イヤル“1”に誤認識する確率が少なくなる。ステップ
S96ではダイヤル・パルス波形とみなされた場合に、
ダイヤル数値を後続桁ダイヤル数値情報29として後続
桁ダイヤル検出部7からPB信号送出部8に出力する。
以降さらに後続のダイヤル・パルス波形を検出するため
入力波形を記憶するRAMのクリア等の初期化動作を行
った後、ステップS41(図14)に戻る。
【0152】
【発明の効果】本発明によれば以下の効果が生ずる。
【0153】第1に先頭桁ダイヤルを複数の周期を用い
た差分演算により検出するようにしたから、検出側にお
いてダイヤル数値が既知でなくてもダイヤル・パルス波
形を検出でき、また受信レベルに依存しない検出が可能
になる。
【0154】第2に先頭桁検出においてダイヤル・パル
ス波形検出時のパルス形状を測定しダイヤル・パルス波
形の終端を検出するようにしたから、音声波形等を排除
した終端検出ができる。
【0155】第3に先頭桁検出において矩形波形との積
和演算により単位波形を正確に区別するようにし、さら
にダイヤル・パルス波形であることが確実である部分の
分割波形電力との比較判定を行うようにしたから、先端
部および終端部のミュート・パルス等の妨害信号を除外
し、正確なダイヤル数値の認識ができる。
【0156】第4に後続桁検出においてダイヤル・パル
スのメーク率が30%であるところから基準波形の1周
期を3分割し、それぞれを組み合わせた波形と入力波形
の差分演算をするようにしたから、差分演算結果の判定
基準を緩めない判定を行うことができ、さらに、前側分
割波形差分値sf と後側分割波形差分値sb を条件に場
合分けし、前側と後側が同程度に一致したときの1周期
差分値r(n) により、波形の一致または不一致を判断す
るようにしたから、音声波形あるいはミュート・パルス
波形等をダイヤル・パルス波形に誤認する場合を少なく
できる。
【0157】第5に後続桁検出において尤度情報を用い
て終端を検出するようにしたから、ダイヤル・パルス波
形の途中において終端を誤認することなく正確にダイヤ
ル数値を認識できる。
【0158】第6に後続桁検出において2周期目の最小
差分位置を調べ、所定値よりも小さい場合は先端位置を
修正するようにしたから、ミュート・パルスを含んだ疑
似的なダイヤル・パルス波形を除外することができる。
【0159】第7に後続桁検出においてダイヤル波形を
区分するカウンタの初期値の最小差分位置によって修正
するようにしたから、ジッタを含んだダイヤル・パルス
波形の検出が可能になる。
【0160】第8に後続桁検出において有効な後尾波形
との比較を行いダイヤル波形であるか否かの認定を行う
ようにしたので、音声信号を孤立ダイヤル・パルス波形
に誤認することが少なくなる。
【0161】第9に絶対値演算および間引き処理により
サンプル速度を下げ、またダイヤル・パルス波形が検出
される以前は20pps用低速サンプル信号と10pp
s用低速サンプル信号を記憶する手段を独立に準備し、
ダイヤル・パルス波形が検出された後は一体の記憶手段
となるよう構成を変更するようにしたから、記憶容量の
少ない安価なDSPを用いて実現できる。
【0162】第10に先頭桁ダイヤル波形の区分後に異
常波形判断を行い、特殊ダイヤル数値で受け側システム
に知らせるようにしたから、システム側で電話のかけ直
し等を発呼者に対し要求する処理が可能になる。
【0163】第11に受信信号を電話回線の低域遮断周
波数より十分高い遮断周波数をもち位相特性が直線であ
る高域通過フィルタに通し、リンギングおよび音声の第
1ホルマントを減衰させるようにしたから、確実にダイ
ヤル・パルス波形の検出ができる。
【0164】第12に過去一定期間の平均値を演算し、
平均値のまわりの変化分情報を先頭桁ダイヤル・パルス
全体に相当する期間について記憶することで長期間にわ
たる判定を行い、PBダイヤル信号、ファクシミリ手順
信号、音声、音楽等の信号に確実に感動しないようにす
ることができる。
【0165】第13に2線4線変換部で回り込む音声を
除去するようにしたので、音声案内中にもかかわらずダ
イヤル・パルスを正しく検出できる。
【0166】第14に音声除去時に行われる直流分再生
処理で発生するパルス状の誤差波形を音声除去前の低速
サンプル信号と比較し除去するようにしたので、ダイヤ
ル数値の誤認を少なくできる。したがって本発明の効果
は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す回路構成図である。
【図2】図1の構成要素である前処理部の詳細な構成を
示す回路構成図である。
【図3】図2の構成要素である高域通過フィルタと絶対
値演算部の作用を説明する波形図である。
【図4】図1の構成要素である音声除去部の回路構成図
である。
【図5】図4の音声除去部の各部の波形図である。
【図6】図1の構成要素である先頭桁ダイヤル検出部の
回路構成図である。
【図7】図1および図6の先頭桁ダイヤル検出部の動作
の流れを説明するフローチャートである。
【図8】図7とともに図1および図6の先頭桁ダイヤル
検出部の動作の流れを説明するフローチャートである。
【図9】図7および図8とともに図1および図6の先頭
桁ダイヤル検出部の動作の流れを説明するフローチャー
トである。
【図10】図7,図8および図9とともに図1および図
6の先頭桁ダイヤル検出部の動作の流れを説明するフロ
ーチャートである。
【図11】先頭桁ダイヤル検出部の波形区分動作を説明
するための波形図である。
【図12】先頭桁ダイヤル検出部の先端側のミュート・
パルスを除外する動作を説明する波形図である。
【図13】先頭桁ダイヤル検出部のパルス形状測定動作
を説明するための波形図である。
【図14】図1の構成要素である後続桁ダイヤル検出部
におけるダイヤル波形検出動作の流れを示すフローチャ
ートである。
【図15】図14とともに図1の構成要素である後続桁
ダイヤル検出部におけるダイヤル波形検出動作の流れを
示すフローチャートである。
【図16】尤度情報の決定方法を説明するための尤度図
である。
【図17】後続桁ダイヤル検出部のミュート・パルス除
外動作を説明する波形図である。
【図18】後続桁ダイヤル検出部におけるミュート・パ
ルス除外動作の流れを示すフローチャートである。
【図19】図18とともに後続桁ダイヤル検出部におけ
るミュート・パルス除外動作の流れを示すフローチャー
トである。
【図20】後続桁ダイヤル検出部におけるダイヤル数値
認識動作の流れを示すフローチャートである。
【図21】図20とともに後続桁ダイヤル検出部におけ
るダイヤル数値認識動作の流れを示すフローチャートで
ある。
【符号の説明】
1 電話回線インタフェース 2 AD変換器 3 DA変換器 4 エコー・キャンセラ 5 前処理部 6 先頭桁ダイヤル検出部 7 後続桁ダイヤル検出部 8 PB信号送出部 9 スイッチ 10 DA変換器 11 AD変換器 12 システム回線インタフェース 15 音声除去部 21 電話回線 22,24,26,31 受信信号 23,25,32 送信信号 27,27a,27b 低速サンプル信号 28 先頭桁ダイヤル数値情報 29 後続桁ダイヤル数値情報 30 ダイヤル信号 33 システム信号線 34 直流ループ閉結情報 35 スイッチ制御信号 36 先頭桁ダイヤル波形情報 37 短期間変化分情報 38 先頭桁変化分情報 41 高域通過フィルタ(HPF) 42 絶対値演算部 43a,43b 低域通過フィルタ(LPF) 44a,44b 間引処理部 51 スイッチ 52 先頭桁ダイヤル開始検出部 53 先頭桁ダイヤル終了検出部 54 先頭桁ダイヤル波形特徴記憶部 55 スイッチ 61 高域通過フィルタ(HPF) 62 直流分再生器 63 遅延器 64 誤差波形除去器 65 スライサ 66 スイッチ 67 変化分演算部 68 変化分記憶部 69 誤差波形 71 音声除去後の信号 72 パルス形状情報 73 スイッチ制御信号 74 先頭桁ダイヤル波形記憶情報 76 音声信号成分を除去した信号 77 直流分再生後の信号 78 遅延した信号 79 誤差波形を除去した信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H04Q 1/30 - 1/45

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤル信号を含んだ受信信号(26)
    の絶対値を得ることにより占有する周波数帯域を直流分
    を含む低域側に移し、低速サンプルして低速サンプル信
    号(27)を出力するための前処理手段(5)と、 前記低速サンプル信号(27)に含まれた音声信号を除
    去し音声除去後の信号(71)として、前記低速サンプ
    ル信号(27)の所定期間における振幅の短期間変化分
    を短期間変化分情報(37)として、前記短期間変化分
    情報(37)を先頭桁ダイヤル全体の期間に対応する期
    間だけ記憶してその記憶内容を先頭桁変化分情報(3
    8)として得るための音声除去手段(15)と、 前記音声除去後の信号(71)に含まれた前記ダイヤル
    信号の成分に対して複数の異なる周期で差分演算を行い
    前記短期間変化分情報(37)により先頭桁ダイヤルの
    開始を検出し、前記先頭桁変化分情報(38)から先頭
    桁ダイヤルの終了を検出して先頭桁ダイヤル波形の特徴
    を表す先頭桁ダイヤル波形情報(36)と、先頭桁ダイ
    ヤルの数値を表す先頭桁ダイヤル数値情報(28)と、
    先頭桁ダイヤルの終了を表すスイッチ制御信号(35)
    とを得るための先頭桁ダイヤル検出手段(6)と、 前記先頭桁ダイヤル波形情報(36)と前記音声除去後
    の信号(71)とを受けて、前記音声除去後の信号(7
    1)と前記先頭桁ダイヤル波形情報(36)とを波形比
    較して差分演算をし後続のダイヤル信号の成分の波形を
    検出して後続桁ダイヤル数値情報(29)を出力するた
    めの後続桁ダイヤル検出手段(7)とを含むダイヤル検
    出装置。
  2. 【請求項2】 前記先頭桁ダイヤル検出手段(6)が、 前記短期間変化分情報(37)により先頭桁ダイヤルの
    開始を検出した時点から所定期間において波形を検出し
    ないときには波形の終端を検出したとして認識する(S
    11Y)請求項1のダイヤル検出装置。
  3. 【請求項3】 前記先頭桁ダイヤル検出手段(6)が、 前記先頭桁変化分情報(38)の表す波形とこの波形の
    周期を表す方形波との積和演算をして周期および位相の
    最適値を求め単位波形に区分して(S13)、この区分
    内の前側部分の前側分割波形と後側部分の後側分割波形
    の電力(Pf ,Pb )を判定してミュート・パルスを除
    外判定する(S14)ようにした請求項1のダイヤル検
    出装置。
  4. 【請求項4】 前記先頭桁ダイヤル検出手段(6)が、 前記先頭桁ダイヤルの終了を表すスイッチ制御信号(3
    5)を得る時点迄は、ダイヤル速度の異なる複数のダイ
    ヤル信号の成分の波形を検出して各波形情報を個別に区
    分して記憶し得るようにし、前記スイッチ制御信号(3
    5)を得た時点以降は前記ダイヤル速度の異なる複数の
    ダイヤル信号の成分から検出した各波形情報は個別に区
    分せずに一体化して前記先頭桁ダイヤル波形情報(3
    6)を得るために記憶するようにした(S19)請求項
    1のダイヤル検出装置。
  5. 【請求項5】 前記後続桁ダイヤル検出手段(7)が、 前記波形比較をして差分演算をする場合に、前記先頭桁
    ダイヤル波形情報(36)が表わす波形の周期の前側,
    中央,後側に3分割した波形(Y)と基準波形(X)の
    前側分割波形差分値(sf )と後側分割波形差分値(s
    b )がそれぞれ波形差分値の所定値(λ)以下で、か
    つ、1周期差分値(r(n) )が1周期差分値の所定値
    (ζ)以下のときに波形の一致を検出するようにした
    (S43〜S46)請求項1のダイヤル検出装置。
  6. 【請求項6】 前記後続桁ダイヤル検出手段(7)が、 前記波形比較をして差分演算をする場合に、前記先頭桁
    ダイヤル波形情報(36)が表わす波形の周期の前側,
    中央,後側に3分割して区分した波形を単位として前記
    波形比較をし、前記波形を区分する区分の数を計数する
    カウンタ値が、前記ダイヤル・パルス信号の周期のジッ
    タよりも広くなるように選ばれた範囲において測定され
    た前記波形比較をして差分演算により得た差分値が最小
    値を示す位置である最小差分位置(Rp )の値を用いて
    初期化される(S50〜S53)請求項1のダイヤル検
    出装置。
  7. 【請求項7】 前記後続桁ダイヤル検出手段(7)が、 前記波形比較をして差分演算をする場合に、前記波形比
    較をして差分演算により得た差分値が最小値を示す位置
    である最小差分位置が最初に検出されてから所定の期間
    内に第2の最小差分位置が検出されたときには、前記最
    初の最小差分位置のパルスをミュート・パルスと認定し
    て除外し、前記第2の最小差分位置を新たな先端サンプ
    ル位置として認定する(S65,S66)請求項1のダ
    イヤル検出装置。
  8. 【請求項8】 前記後続桁ダイヤル検出手段(7)が、 前記波形比較をして差分演算をする場合に、前記先頭桁
    ダイヤル波形情報(36)が表わす波形の周期の前側,
    中央,後側に3分割して区分した波形を単位として前記
    波形比較をし、前記差分演算により得た差分値が最小を
    示す最小差分値(Rv )と、この最小差分値の時間的位
    置を示す前記最小差分位置(Rp )と、前記検出された
    後続のダイヤル信号の成分の波形を表わすパルス形状値
    (Ps )とをもとにしてパルス波形の存在を示す尤度情
    報を測定して、この測定値が所定値を示したときには前
    記パルス波形が終端したものと判断する(S55,S7
    3,S90)請求項1のダイヤル検出装置。
  9. 【請求項9】 前記後続桁ダイヤル検出手段(7)が、 前記先頭桁ダイヤル波形情報(36)と前記音声除去後
    の信号(71)とを波形比較して差分演算をし後続のダ
    イヤル信号の成分の波形を検出する場合に、前記先頭桁
    ダイヤル波形情報(36)のうちの後尾の波形と前記波
    形比較をすることによってダイヤル・パルス波形である
    か否かを認定する(S67)請求項1のダイヤル検出装
    置。
  10. 【請求項10】 前記前処理手段(5)が、 前記ダイヤル信号を含んだ受信信号(26)の絶対値を
    得るために前記受信信号(26)を電話回線(21)の
    低域遮断周波数よりも十分に高い周波数で遮断する位相
    特性が実質的に直線である高域通過フィルタ(41)を
    含んでいる請求項1のダイヤル検出装置。
  11. 【請求項11】 前記前処理手段(5)が、 前記絶対値演算部(42)の出力を間引きサンプルして
    前記低速サンプル信号(27)を得るための間引処理部
    (44)を含んでいる請求項1のダイヤル検出装置。
  12. 【請求項12】 前記先頭桁ダイヤル検出手段(6)
    が、 過去の所定の期間の前記受信信号(26)の平均値に対
    する受信信号の変化分(Z(n))を先頭桁ダイヤル信号
    に対応する期間分記憶し、その期間内において所定期間
    以上に渡って所定値以上の変化があればダイヤル波形と
    みなし、それ以外であればダイヤル信号と見なさないよ
    うに動作する(S15)請求項1のダイヤル検出装置。
  13. 【請求項13】 前記先頭桁ダイヤル検出手段(6)
    が、 前記音声除去後の信号(71)中に前記ダイヤル信号の
    成分の波形を検出することができず、異状波形を検出し
    たときには、ダイヤル信号を検出しなかったことを報知
    するためにダイヤル数値以外の報知情報を出力する(S
    16 ,S17)請求項1のダイヤル検出装置。
  14. 【請求項14】 前記先頭桁ダイヤル検出手段(6)
    が、 前記先頭桁ダイヤル波形情報(36)と前記音声除去後
    の信号(71)と波形比較をして後続のダイヤル信号の
    成分の波形を検出する場合に、前記先頭桁ダイヤル波形
    情報(36)のうちの後尾の波形と波形比較をすること
    によってダイヤル・パルス波形であるか否かを認定する
    (S22)請求項1のダイヤル検出装置。
  15. 【請求項15】 前記音声除去手段(15)が、 前記低速サンプル信号(27)に含まれた音声信号にも
    とづく成分を除去して低域成分を除去した信号(76)
    を得るための高域通過フィルタ(61)と、前記低域成
    分を除去した信号(76)の直流分を再生して直流分を
    再生した信号(77)を得るための直流分再生器(6
    2)と、 前記高域通過フィルタ(61)で遅延を受ける時間を補
    償するために、前記低速サンプル信号(27)を遅延せ
    しめて遅延した信号(78)を得るための遅延器(6
    3)と、 前記直流分再生した信号(77)が含むことのある誤差
    波形(69)を前記遅延した信号(78)を参照して除
    去し、誤差波形を除去した信号(79)を得るための誤
    差波形除去器(64)と、 前記誤差波形を除去した信号(79)をスライスして一
    方の極性の振幅を有する音声除去後の信号(71)を得
    るためのスライサ(65)とを含む請求項1のダイヤル
    検出装置。
  16. 【請求項16】 前記音声除去手段(15)が、 前記先頭桁ダイヤル全体の期間に対応する期間におい
    て、前記短期間変化分情報(37)を複数回得るための
    変化分演算部(67)と、 前記複数回の短期間分情報(37)を記憶してその記憶
    内容を前記先頭桁変化分情報(38)として得るための
    変化分記憶部(68)とを含む請求項1のダイヤル検出
    装置。
  17. 【請求項17】 前記先頭桁ダイヤル検出手段(6)
    が、 前記音声除去後の信号(71)と前記短期間変化分情報
    (37)とから先頭桁のダイヤル波形のパルス形状を表
    すパルス形状情報(72)を得るための先頭桁ダイヤル
    開始検出部(52)と、 前記パルス形状情報(72)を受けて、前記先頭桁変化
    分情報(38)と前記音声除去後の信号(71)とか
    ら、先頭桁ダイヤルが終了したことを検出し、前記先頭
    桁ダイヤル数値情報(28)と、前記スイッチ制御信号
    (35)と、先頭桁ダイヤル波形として記憶すべき先頭
    桁ダイヤル波形記憶情報(74)とを得るための先頭桁
    ダイヤル終了検出部(53)と、 前記先頭桁ダイヤル波形記憶情報(74)を記憶して前
    記先頭桁ダイヤル波形情報(36)を得るための先頭桁
    ダイヤル波形特徴記憶部(54)とを含む請求項1のダ
    イヤル検出装置。
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