JP2961432B2 - ヘリポート用給油設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、高層ビルなどの建物の屋上のヘリポートに
設置する給油設備に関する。

〔従来の技術〕

近年、都市部では超高層のインテリジェントビルや高
層マンションなどが林立し、これら高層ビルの災害対策
が問題になっている。

また、高層ビルの屋上の有効利用としてヘリポートを
設け、ヘリコプターを新運輸手段として活用することも
検討されている。

前記高層ビル火災などの非常事態時の避難対策とし
て、かかる高層ビルの屋上のヘリポートにヘリコプター
を離発着させて空からの緊急救助や屋上から消防隊を送
り込むようにすることもできる。

ところでヘリコプターへの給油設備は屋上のヘリポー
トとは別の離れた地上の基地に設置してあり、ヘリコプ
ターはここで待機し、また給油を受ける。

そして、この地上のヘリポートは多数のヘリコプター
をまとめて待機させ、給油する所であり、比較的大きな
敷地を要するものであることから、広い土地を確保しや
すい郊外に設けられることが多い。

〔発明が解決しようとする課題〕

このため、都市部の高層ビルなどで火災が発生した場
合、地上のヘリポートから火災現場にまで到着するのに
時間を要し、緊急性が要求される避難対策として充分な
ものとはいえなかった。

また、都市部の高層ビル屋上のヘリポートに待機して
いても給油を受けるにはそのためにわざわざ離れた地上
のヘリポートにまで行かねばならず、時間を要し、消防
業務など緊急を要する義務にたずさわるヘリコプターに
とってはその緊急性が阻害されることにもなっている。
また、一般ヘリコプターの場合でも、遠隔地の地上まで
給油に行かねばならず、時間的、経済的ロスも大きい。

本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、都市部
での火災などの災害発生時にヘリコプターを利用して緊
急救助する場合に、直ちに災害発生現場にヘリコプター
を到着させることができ、災害対策としてヘリコプター
による救助などを実効性のあるものにできると同時に経
済的ロスも解消でき、しかも超高層ビルに対しても特に
装置を大掛りなものとせずに適用でき、迅速かつ確実、
円滑に給油できるヘリポート用給油設備を提供すること
にある。

〔課題を解消するための手段〕

本発明は前記目的を達成するため、ヘリポートとした
建物の屋上に給油設備を接続するとともに液位の上昇位
置と下降位置で作動するフロートスイッチを設けたタン
クを設置し、さらに建物の途中階に上層階のタンクに油
を送液する送油ポンプと液位の上昇位置と下降位置で作
動するフロートスイッチとを設けた中継タンクを、地下
または地上に貯油タンクを設置し、これら屋上のタンク
と中継タンクと貯油タンクとを送油配管で段階的に連結
し、前記液位の下降位置で作動するフロートスイッチか
らの出力を受けて送油ポンプが駆動し貯油タンクや中継
タンクなどの下層に位置するからタンクから中継タンク
や屋上のタンクなどの上層に位置するタンクへ送油配管
を介して送油し、液位の上昇位置で作動するフロートス
イッチからの出力を受けて送油ポンプを停止するように
構成したことを要旨とするものである。

〔作用〕

本発明によれば、ヘリポートとした屋上に待機中のヘ
リコプターは、該ヘリポートに設置の給油設備によりそ
の場で給油を受けられるので、遠くのヘリポートまで給
油のために行く必要がなく、緊急時や火災などの災害発
生時に給油を受けて直ちに出動できる。

そして、屋上のタンクへは中継タンクを介して地下ま
たは地上の貯油タンクから燃料油が順次圧送されるか
ら、屋上のタンク内の燃料油が減ればフロートスイッチ
がこれを検知しその出力によりその下方の中継タンクか
ら直ちに油が確実に補給され、中継タンク内の油が減れ
ばフロートスイッチがこれを検知しその出力によりその
下方の中継タンクやさらにその下方の貯油タンクから順
次油が上層の中継タンクに送られるから、タンクを小容
量のものとできるのみならず屋上へ油を圧送するポンプ
も小型で能力の小さいもので足り、特に全体の設備を大
掛りなものとせずに超高層のビルにも簡単に設置でき
る。

〔実施例〕

以下、図面について本発明の実施例を詳細に説明す
る。

第１図は本発明のヘリポート用給油設備の実施例を示
す一部切欠いた正面図で、図中１は超高層ビルなどの建
物を示し、該建物１の屋上２をヘリポート３としてあ
る。

このヘリポート３に給油設備として例えば容量200
程度の小型のタンク４を設置し、該タンク４内にはタン
ク内の油の液位の下降位置で閉じる常開のフロートスイ
ッチ5aと液位の上昇位置で開く常閉のフロートスイッチ
5bを設けた。図中６はエアーベントを示す。

そして、このタンク４に並べて他の給油設備を納める
ハウジング７を立設し、該ハウジング７内に一端をタン
ク４に開口した給油管８を導き、該給油管８に給油モー
ター９を連結した給油ポンプ10及び流量計11を設け、給
油管８の他端に給油ノズル12を取付けた給油ホース13を
連結する。また、給油モーター９は正転時タンク４の油
を送液し、逆転時給油管８、給油ホース13内の油をタン
ク４に戻す。図中14はハウジング７に取付けた給油スイ
ッチを示す。

図中26は建物１の途中階に設置した中継タンクを示
し、該中継タンク26は前記屋上２のタンク４と同様小型
のものとし、中継タンク26内にはタンク４と同様のフロ
ートスイッチ27a,27bを設け、上部にはエアーベント６
を取付けてある。

他方、地上または地下に大型の貯油タンク15を設置
し、屋上のタンク４の上部と中継タンク26の下部とを配
管16aで連結し、中継タンク26の上部と貯油タンク15と
を配管16bで連結し、配管16a中の中継タンク26近くに中
継タンク26から屋上のタンク４への送油用の送油ポンプ
17a及びこれに連結する送油モーター18aを設け、また、
配管16b中の貯油タンク15近くに貯油タンク15から中継
タンク26への送油用の送油ポンプ17b及びこれに連結す
る送油モーター18bを設け、送油ポンプ17bと送油モータ
ー18bをポンプ室19内に収めた。

また、屋上のタンク４の下部と中継タンク26の下部と
貯油タンク15とを油戻し用の配管20で連結し、該油戻し
管20の途中をタンク４及び中継タンク26の近くで分岐し
てタンク4,中継タンク26のそれぞれの上部に開口するオ
ーバーフロー管21とする。

さらに、配管16a,16bを送油ポンプ17a,17bの吐出側で
油戻し用の配管20に連通する。

そして、給油ホース13の給油ノズル12近傍位置にソレ
ノイドによる電磁弁22aを、油戻し用の配管20のタンク
４からの出口近傍位置に電磁弁22bを、配管16aと油戻し
用の配管20との連通位置に電磁弁22cを、油戻し用の配
管20の中継タンク26からの出口近傍位置に電磁弁22d
を、配管16bと油戻し用の配管20との連通位置に電磁弁2
2eをそれぞれ設けた。

また、火災センサー23をポンプ室19内、建物１内の適
当な個所に設け、感震センサー24を屋上２に設置のハウ
ジング７内に設ける。

第２図〜第５図は給油制御の回路図を示し、第２図に
示すように給油スイッチ14に接続されるリレーR₁の接点
R₁′をモーター９の正転回路に接続する。また、火災セ
ンサー23と感震センサー24に接続されるリレーR₂の接点
R₂′,R₂″を給油モーター９の逆転回路に接続する。

また前記リレーR₂の接点R₂′は並列接続される電磁弁
22a,22b,22c,22d,22eに接続される。

さらにタンク４内の常開のフロートスイッチ5aと常閉
のフロートスイッチ5bとリレーR₃とが直列接続され、リ
レーR₃の接点R₃′がフロートスイッチ5aに並列接続され
るとともに第４図に示すように、接点R₃″は送油モータ
ー18aに接続されて該送油モーター18aの駆動回路が形成
される。

同様にして中継タンク26内の常開のフロートスイッチ
27aと常閉フロートスイッチ27bとリレーR₄とが直列接続
されリレーR₄の接点R₄′がフロートスイッチ27aに並列
接続されるとともに第５図に示すように接点R₄″は送油
モーター18bに接続されて該送油モーター18bの駆動回路
が形成される。

以上のようにして第６図に示すように高層ビルの建物
１毎にその適宜個所に適宜数の中継タンク26,26を設置
し、地下に設置した貯油タンク15と屋上のタンク４とを
中継タンク26を介して配管16a,16bで連結し、屋上２の
ヘリポート３にはヘリコプター25を待機させておく。

次に使用法及び動作について説明する。

屋上のヘリコプター25に給油するには、給油ノズル12
をヘリコプター25の燃料タンクに挿入して給油スイッチ
14をオンすれば、リレーR₁に通電され、該リレーR₁の接
点R₁′が閉じ給油モーター９に通電されてこれが正転駆
動する。これにより給油ポンプ10が正転駆動して給油管
８、給油ホース13を介して屋上２のタンク４内の燃料油
が給油ノズル12からヘリコプター25の燃料タンクに給油
される。

給油が終了し給油スイッチ14をオフすれば、給油モー
ター９、給油ポンプ10が停止する。

給油によりタンク４内の液位が下降し、液面が下方の
フロートスイッチ5a以下になると、該フロートスイッチ
5aが閉じリレーR₃に通電され、その接点R₃′,R₃″が閉
じる。その結果、自己保持されかつ送油モーター18aに
通電されてこれが駆動し送油ポンプ17aが駆動し、中継
タンク26から配管16aを介して屋上のタンク４へと燃料
油が送られる。

これによりタンク４内に燃料油が補充され、タンク４
内の液位が上昇して液面が上方のフロートスイッチ5bに
達すると、該フロートスイッチ5bが開いてリレーR₃への
通電が断たれ、その接点R₃′,R₃″がオフし自己保持解
除となり、送油モーター18aへの通電が断たれて送油モ
ーター18a及び送油ポンプ17aが停止し、送油が終了す
る。

なお、フロートスイッチ5bの故障により液面が上方の
フロートスイッチ5b以上に上昇した場合は、オバーフロ
ー管21から油戻し用の配管20を通ってタンク４内の燃料
油が貯油タンク15に戻される。

かかるタンク４への油の圧送はタンク４に近い中継タ
ンク26から行われるので、タンク４内の液位が低下した
ときには直ちに油の補給がなされ、タンク４からヘリコ
プター25への給油に支障が生じることはない。

そして中継タンク26から屋上のタンク４への給油によ
り中継タンク26内の液位が低下すると、タンク４の場合
と同様にして下方のフロートスイッチ27aが閉じリレーR
₄に通電され、その接点R₄′,R₄″が閉じて、その結果自
己保持されかつ送油モーター18bに通電されて送油ポン
プ17bが駆動し、地下の貯油タンク15から配管16bを介し
て中継タンク26へと燃料油が送られる。

これにより、中継タンク26内の燃料油が補充され、中
継タンク26内の液位が上昇して上方のフロートスイッチ
27bに達したところで該フロートスイッチ27bが開いて、
リレーR₄への通電が断たれ、その接点R₄′,R₄″がオフ
し、自己保持解除となり、送油モーター18bへの通電が
断たれて送油モーター18b及び送油ポンプ17bが停止して
地下の貯油タンク15からの給油が停止する。

以上のようにしてタンク４、中継タンク26内の液位が
低下すると、その直ぐ下の中継タンク26、貯油タンク15
から順次油が迅速に補給される。

建物１に災害が発生し、または地震が発生し、火災セ
ンサー23、感震センサー24がこれを検知するとリレーR₂
に通電され、その接点R₂′,R₂″が閉じ、その結果、電
磁弁22aが開いて給油ホース13及びこれに連通する給油
管８が大気と連通する。そして、給油モーター９に連通
されて、逆転駆動する。これにより給油ポンプ10が逆転
駆動して給油ホース13、給油管８内の油をタンク４に戻
す。また電磁弁22b,22dが開いてタンク４、中継タンク2
6がそれぞれ油戻し用の配管20と連通してタンク４及び
中継タンク26内の油が自然流下により地下の貯油タンク
15に戻される。

同時に電磁弁22c,22eも開いて配管16a,16bが油戻し用
の配管20と連通し、配管16a,16b内の燃料油も油戻し用
配管20を介して自然流下により貯油タンク15に戻され
る。

そして、建物１に火災が発生した場合は、他の建物１
のヘリポート３のヘリコプター25が直ちに火災が発生し
ている近隣の建物１へと出動することができる。

なお、給油ポンプ10を逆転すれば給油ホース13内は陰
圧となるので、電磁弁22aを逆止弁に代えても給油ホー
ス13内の油を戻すことができる。

〔発明の効果〕

以上述べたように本発明のヘリポート用給油設備は、
都市部での高層ビルの火災発生時などに近隣のビルから
直ちに給油を受けたヘリコプターを救援のために出動さ
せることができるので、ヘリコプターを利用する緊急避
難対策を実効性あるものにできる。

また、建物上に設置したタンクへは、フロートスイッ
チからの出力に基づいて中継タンクを介して地下または
地上の貯油タンクから油を補給するので、各タンクへの
油の圧送距離を短かくでき、圧送のためのポンプを小型
化できるとともにタンクを小型のものとしても直ちに油
が補給され支障がないから、超高層のビルに対しても設
備全体を大掛りなものとすることなく簡単に設備でき、
確実かつ迅速に給油できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のヘリポート用給油設備の実施例を示す
一部切欠いた正面図、第２図〜第５図は給油設備の制御
回路部、第６図は設置例を示す説明図である。 １……建物、２……屋上 ３……ヘリポート、４……タンク 5a,5b,27a,27b……フロートスイッチ ６……エアーベント、７……ハウジング ８……給油管、９……給油モーター 10……給油ポンプ、11……流量計 12……給油ノズル、13……給油ホース 14……給油スイッチ、15……貯油タンク 16a,16b……配管、17a,17b……送油ポンプ 18a,18b……送油モーター、19……ポンプ室 20……油戻し用の配管、21……オーバーフロー管 22a,22b,22c,22d,22e……電磁弁 23……火災センサー、24……感震センサー 25……ヘリコプター、26……中継タンク 27a,27b……フロートスイッチ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘリポートとした建物の屋上に給油設備を
   接続するとともに液位の上昇位置と下降位置で作動する
   フロートスイッチを設けたタンクを設備し、さらに建物
   の途中階に上層階のタンクに油を送液する送油ポンプと
   液位の上昇位置と下降位置で作動するフロートスイッチ
   とを設けた中継タンクを、地下または地上に貯油タンク
   を設置し、これら屋上のタンクと中継タンクと貯油タン
   クとを送油配管で段階的に連結し、前記液位の下降位置
   で作動するフロートスイッチからの出力を受けて送油ポ
   ンプが駆動し貯油タンクや中継タンクなどの下層に位置
   するからタンクから中継タンクや屋上のタンクなどの上
   層に位置するタンクへ送油配管を介して送油し、液位の
   上昇位置で作動するフロートスイッチからの出力を受け
   て送油ポンプを停止するように構成したことを特徴とす
   るヘリポート用給油設備。