JP2961259B1 - 巨大磁気抵抗材料及びその製造方法 - Google Patents
巨大磁気抵抗材料及びその製造方法Info
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- gmr
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- giant magnetoresistive
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Abstract
【要約】
【課題】 本発明は、大きなGMR比を有する巨大磁気抵
抗(GMR)材料を作製すると共に、任意の物質に任意の元
素を、特定の深さに、特定の量を制御して、しかも任意
の形状の基板に注入することを可能にして、より特性の
優れたGMR素子を開発することを目的としている。 【解決手段】本発明は、金属、合金、半導体、絶縁体材
料から成る基板中に、イオン注入装置を使用し、磁性原
子イオンを注入することにより巨大磁気抵抗(GMR)材料
を作製する。本発明は、薄膜の構造・磁気特性を制御す
る上で、イオンビームの持つイオン電流量、イオンエネ
ルギー等の高い制御・操作性が生かせることができる。
抗(GMR)材料を作製すると共に、任意の物質に任意の元
素を、特定の深さに、特定の量を制御して、しかも任意
の形状の基板に注入することを可能にして、より特性の
優れたGMR素子を開発することを目的としている。 【解決手段】本発明は、金属、合金、半導体、絶縁体材
料から成る基板中に、イオン注入装置を使用し、磁性原
子イオンを注入することにより巨大磁気抵抗(GMR)材料
を作製する。本発明は、薄膜の構造・磁気特性を制御す
る上で、イオンビームの持つイオン電流量、イオンエネ
ルギー等の高い制御・操作性が生かせることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ディスク装置(HD
D)の磁気センサーへの応用等が期待されるGMR材料の作
製技術に関し、イオン注入装置を使用し、Al 2 O 3 単結
晶から成る基板内に磁性原子イオンを注入することによ
り巨大磁気抵抗材料を作製する、新たな概念に基ずく技
術に関するものである。コンピュータ業界をはじめとす
る電子産業分野に寄与できる。
D)の磁気センサーへの応用等が期待されるGMR材料の作
製技術に関し、イオン注入装置を使用し、Al 2 O 3 単結
晶から成る基板内に磁性原子イオンを注入することによ
り巨大磁気抵抗材料を作製する、新たな概念に基ずく技
術に関するものである。コンピュータ業界をはじめとす
る電子産業分野に寄与できる。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置は、大記憶容量、アク
セススピード、価格等の点で、コンピュータの外部記憶
装置として今後とも有望であり、その更なる大容量化に
向けて開発が進められている。これまで、磁気ディスク
装置はヘッド・記録媒体、機構・制御回路、記録・再生
回路からなり、ヘッドとして磁場変化による電磁誘導起
電力で再生するインダクティブヘッドが使用されてき
た。しかしながら、今後の磁気ディスク装置の小型・大
容量化に伴う記録領域の微小化により、インダクティブ
ヘッドでは再生が困難になることが予想される。このヘ
ッド再生出力の低下をクリアーするために、インダクテ
ィブヘッドに比べ2倍強の再生出力が得られる、磁気抵
抗効果、すなわち記録媒体磁場により生じた磁気抵抗変
化から情報検出再生を行う磁気抵抗型(MR)ヘッドが実用
化されている。
セススピード、価格等の点で、コンピュータの外部記憶
装置として今後とも有望であり、その更なる大容量化に
向けて開発が進められている。これまで、磁気ディスク
装置はヘッド・記録媒体、機構・制御回路、記録・再生
回路からなり、ヘッドとして磁場変化による電磁誘導起
電力で再生するインダクティブヘッドが使用されてき
た。しかしながら、今後の磁気ディスク装置の小型・大
容量化に伴う記録領域の微小化により、インダクティブ
ヘッドでは再生が困難になることが予想される。このヘ
ッド再生出力の低下をクリアーするために、インダクテ
ィブヘッドに比べ2倍強の再生出力が得られる、磁気抵
抗効果、すなわち記録媒体磁場により生じた磁気抵抗変
化から情報検出再生を行う磁気抵抗型(MR)ヘッドが実用
化されている。
【0003】MRヘッドにおいてもなお、今後の磁気ディ
スク装置の高記録密度化による信号出力低下には対応で
きないと予想されており、このため再生出力を上げる努
力が為されている。MR素子では、再生出力の向上に必要
な磁気抵抗比(MR比)が2〜3%なのに対し、巨大磁気抵抗
効果(GMR)を示すGMR素子では数十%のMR比がすでに達成
されている。このようにGMR素子では、一桁高い信号出
力が得られることになり、高密度化に対応できるヘッド
であり、先端的な磁気ディスク装置として一部には実用
化されている。しかしながら、MR素子に比べGMR素子で
は膜厚が1桁程度薄いため、薄膜形成技術・磁性制御技
術の向上が要求される。
スク装置の高記録密度化による信号出力低下には対応で
きないと予想されており、このため再生出力を上げる努
力が為されている。MR素子では、再生出力の向上に必要
な磁気抵抗比(MR比)が2〜3%なのに対し、巨大磁気抵抗
効果(GMR)を示すGMR素子では数十%のMR比がすでに達成
されている。このようにGMR素子では、一桁高い信号出
力が得られることになり、高密度化に対応できるヘッド
であり、先端的な磁気ディスク装置として一部には実用
化されている。しかしながら、MR素子に比べGMR素子で
は膜厚が1桁程度薄いため、薄膜形成技術・磁性制御技
術の向上が要求される。
【0004】現在開発されているGMR素子は、図6に示
すようにスパッタリング法等により作製された薄膜構造
を基本とするものである。図6において、グラニュラー
型であるAl2O3中にFe微粒子を分散させたFe-Al2O3
薄膜は、FeとAlターゲットからAr イオンスパッターに
より飛び出したFe、Al原子を微量の酸素雰囲気中で基板
に付着させることにより作製される。また、積層型であ
るFe/Al2O3/Fe薄膜は、別々 に置かれたFeとAlターゲ
ットからArイオンスパッターにより飛び出したFe原子と
Al原子をシャッターにより交互に基板上に付着させるこ
とにより作製される。これらの場合には、Fe、Alターゲ
ットから飛び出したFe、Al原子の基板への付着過程を制
御することが困難なため、通常平坦な基板を使用し、均
一な膜厚を持つ薄膜を作製する。また、薄膜を作製した
後リソグラフィー技術等により素子作製を行う。このよ
うに、従来技術では基板を含めた材料・形状に制約があ
るほか、付着したFe、Al2O3が島構造を持つ等薄膜形
成そのものが困難技術である上、ヘッ ド素子を作製す
る工程も複雑である。
すようにスパッタリング法等により作製された薄膜構造
を基本とするものである。図6において、グラニュラー
型であるAl2O3中にFe微粒子を分散させたFe-Al2O3
薄膜は、FeとAlターゲットからAr イオンスパッターに
より飛び出したFe、Al原子を微量の酸素雰囲気中で基板
に付着させることにより作製される。また、積層型であ
るFe/Al2O3/Fe薄膜は、別々 に置かれたFeとAlターゲ
ットからArイオンスパッターにより飛び出したFe原子と
Al原子をシャッターにより交互に基板上に付着させるこ
とにより作製される。これらの場合には、Fe、Alターゲ
ットから飛び出したFe、Al原子の基板への付着過程を制
御することが困難なため、通常平坦な基板を使用し、均
一な膜厚を持つ薄膜を作製する。また、薄膜を作製した
後リソグラフィー技術等により素子作製を行う。このよ
うに、従来技術では基板を含めた材料・形状に制約があ
るほか、付着したFe、Al2O3が島構造を持つ等薄膜形
成そのものが困難技術である上、ヘッ ド素子を作製す
る工程も複雑である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点を解決し、Al 2 O 3 単結晶から成る基板内
に、イオン注入装置を使用し、磁気イオンを注入するこ
とにより、大きなGMR 比を有する巨大磁気抵抗(GMR)材
料を作製することを目的としている。
技術の問題点を解決し、Al 2 O 3 単結晶から成る基板内
に、イオン注入装置を使用し、磁気イオンを注入するこ
とにより、大きなGMR 比を有する巨大磁気抵抗(GMR)材
料を作製することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明は、Al 2 O 3 単結晶から成る基板中
に、イオン注入装置を使用し、磁性原子イオンを注入す
ることにより巨大磁気抵抗(GMR)材料を作製することを
特徴とする。本発明の利点は、 薄膜の構造・磁気特性
を制御する上で、イオンビームの持つイオン電流量、イ
オンエネルギー等の高い制御・操作性が生かせる点にあ
る。前述の通り、従来技術では薄膜作製時に原子の付着
過程の制御が困難であるのに対し、本発明では加速イオ
ンを静電的に操作することにより表面から任意の深さに
任意の組成で任意の形状の薄膜構造を作ることが出来
る。元来、イオン注入法は半導体デバイスの製造技術と
して汎用されていて高度に完成された技術であり、これ
をGMR素子作製 に適用できれば、完全にドライプロセス
も可能となり、そのメリットを有効に活かすことができ
る。
るために、本発明は、Al 2 O 3 単結晶から成る基板中
に、イオン注入装置を使用し、磁性原子イオンを注入す
ることにより巨大磁気抵抗(GMR)材料を作製することを
特徴とする。本発明の利点は、 薄膜の構造・磁気特性
を制御する上で、イオンビームの持つイオン電流量、イ
オンエネルギー等の高い制御・操作性が生かせる点にあ
る。前述の通り、従来技術では薄膜作製時に原子の付着
過程の制御が困難であるのに対し、本発明では加速イオ
ンを静電的に操作することにより表面から任意の深さに
任意の組成で任意の形状の薄膜構造を作ることが出来
る。元来、イオン注入法は半導体デバイスの製造技術と
して汎用されていて高度に完成された技術であり、これ
をGMR素子作製 に適用できれば、完全にドライプロセス
も可能となり、そのメリットを有効に活かすことができ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を例
示により詳細に説明する。図1は、Al2O3単 結晶基板
にFeイオンを注入するために使用されるイオン注入装置
の概要を示す。図1において、イオン源1では不活性ガ
スプラズマを利用し、マイクロクルーシブルに充填した
固体Fe2O3からFeイオンを発生させる。さらに、イオ
ン源1内で 発生したFeイオンを30keVまで加速し、分析
電磁石2において56Fe、57Feイオン のように質量
差1までの質量分析を行う。その上で、加速管3におい
て例えば56Feイオンの後段加速を行い、所定のエネル
ギーにまで加速する。また、高真空に 排気した真空チ
ャンバー4内の試料ホルダーに基板となるAl2O3を保
持し、室温 から1000℃の範囲内で温度制御を行う。
示により詳細に説明する。図1は、Al2O3単 結晶基板
にFeイオンを注入するために使用されるイオン注入装置
の概要を示す。図1において、イオン源1では不活性ガ
スプラズマを利用し、マイクロクルーシブルに充填した
固体Fe2O3からFeイオンを発生させる。さらに、イオ
ン源1内で 発生したFeイオンを30keVまで加速し、分析
電磁石2において56Fe、57Feイオン のように質量
差1までの質量分析を行う。その上で、加速管3におい
て例えば56Feイオンの後段加速を行い、所定のエネル
ギーにまで加速する。また、高真空に 排気した真空チ
ャンバー4内の試料ホルダーに基板となるAl2O3を保
持し、室温 から1000℃の範囲内で温度制御を行う。
【0008】図2は、イオン注入装置を利用しFeイオン
を注入・作製されるGMR材料の薄膜構造を示す。Feイオ
ンの電流量、エネルギーを制御・操作することによりAl
2O3 の任意の層に任意の濃度のFeイオンを分布させ、
任意の大きさのFe微粒子を形成することが出来る。例え
ば、56Feイオンを100keVに加速しAl2O3中に注入す
ると 深さ45nmの位置に14.5nmの厚みを持ったFe注入層
を作製出来る。この場合に、注入されたFe濃度はAl原子
に対し最大30%程度と見積もられる。また、室温でFeイ
オン注入を行った場合には、その磁気特性から形成され
たFe微粒子の大きさは6nm以下と判断される。さらに、F
e微粒子の大きさは、イオン注入後の熱処理温度 を変え
ることにより50nm程度まで大きくすることが出来る。
を注入・作製されるGMR材料の薄膜構造を示す。Feイオ
ンの電流量、エネルギーを制御・操作することによりAl
2O3 の任意の層に任意の濃度のFeイオンを分布させ、
任意の大きさのFe微粒子を形成することが出来る。例え
ば、56Feイオンを100keVに加速しAl2O3中に注入す
ると 深さ45nmの位置に14.5nmの厚みを持ったFe注入層
を作製出来る。この場合に、注入されたFe濃度はAl原子
に対し最大30%程度と見積もられる。また、室温でFeイ
オン注入を行った場合には、その磁気特性から形成され
たFe微粒子の大きさは6nm以下と判断される。さらに、F
e微粒子の大きさは、イオン注入後の熱処理温度 を変え
ることにより50nm程度まで大きくすることが出来る。
【0009】図3は、作製されたAl2O3中FeのFe原子
の分布状態を示すラザフォード後方散 乱(RBS)スペクト
ルである。RBSスペクトルの測定は、2MeVの4Heイオン
を使用し、試料から散乱された4Heイオンを散乱角105
度の位置に置いた半導体検出器により検出し、行われ
た。図3(a)は室温でAl2O3にFeイオンを注入した注入
後Al2O3 中FeのRBSスペクトルである。基板を構成す
るO原子、Al原子からの散乱成分の重なりが低チャンネ
ル側に見られ、800チャンネル近傍の散乱ピークが注入
したFe 原子のAl2O3中での分布に対応している。エネル
ギー換算された散乱ピーク位置 から、注入Fe原子が表
面から深さ45 nmを中心に分布していることが分かる。R
BSスペクトルに示されるように、Al2O3中Feはイオン
ビームの電流量、エネルギー に応じたFe原子の濃度分
布を示す。
の分布状態を示すラザフォード後方散 乱(RBS)スペクト
ルである。RBSスペクトルの測定は、2MeVの4Heイオン
を使用し、試料から散乱された4Heイオンを散乱角105
度の位置に置いた半導体検出器により検出し、行われ
た。図3(a)は室温でAl2O3にFeイオンを注入した注入
後Al2O3 中FeのRBSスペクトルである。基板を構成す
るO原子、Al原子からの散乱成分の重なりが低チャンネ
ル側に見られ、800チャンネル近傍の散乱ピークが注入
したFe 原子のAl2O3中での分布に対応している。エネル
ギー換算された散乱ピーク位置 から、注入Fe原子が表
面から深さ45 nmを中心に分布していることが分かる。R
BSスペクトルに示されるように、Al2O3中Feはイオン
ビームの電流量、エネルギー に応じたFe原子の濃度分
布を示す。
【0010】また、図3(b)は、作製後Al2O3中Feを真
空中、400℃で1時間、熱処理した後のRBSスペクトルで
ある。作製後Al2O3中FeのRBSスペクトルと同じよう
に、基板を 構成するO原子、Al原子からの散乱成分の重
なりが低チャンネル側に見られ、800チャンネル近傍にF
e原子からの散乱ピークが存在する。このFe原子からの
散乱ピークの形状変化から、Al2O3中FeのFe原子は、
熱処理により作製後のFe原子分布 位置から移動し、よ
り浅い試料表面位置に対応する高チャンネル側、及びよ
り深い位置に対応する低チャンネル側へと再分布したこ
とが分かる。
空中、400℃で1時間、熱処理した後のRBSスペクトルで
ある。作製後Al2O3中FeのRBSスペクトルと同じよう
に、基板を 構成するO原子、Al原子からの散乱成分の重
なりが低チャンネル側に見られ、800チャンネル近傍にF
e原子からの散乱ピークが存在する。このFe原子からの
散乱ピークの形状変化から、Al2O3中FeのFe原子は、
熱処理により作製後のFe原子分布 位置から移動し、よ
り浅い試料表面位置に対応する高チャンネル側、及びよ
り深い位置に対応する低チャンネル側へと再分布したこ
とが分かる。
【0011】図4は、57Feイオンを使用し同様にして
作製されたAl2O3中Feの内部転換電子 メスバウア散乱
(CEMS)スペクトルである。通常、メスバウア分光法では
共鳴γ線の試料における核共鳴吸収による透過スペクト
ルの測定を行うが、CEMSでは共鳴吸収後に放出される試
料中での飛程(透過距離)の短い内部転換電子を使用す
る。このため、通常のメスバウア透過法に比べ、CEMSで
は表面近傍の情報を選択的に得られる利点がある。図4
に示すように、Al2O3中FeのCEMSスペクトルは大きく
分けて2本のピークからなるように見える。これらのピ
ークに対し、ローレンツ 型の3組のダブレットピークと
1組のシングレットピークを仮定し、最小2乗法に よる
ピークフィッティングを行った。その結果、これらの各
ピーク成分の超微細パラメータ(アイソマーシフト、四
重極分裂の大きさ)の値からAl2O3中における 注入Fe
の存在状態が、Fe微粒子、Fe酸化物、FeAl酸化物である
ことが明らかになった。
作製されたAl2O3中Feの内部転換電子 メスバウア散乱
(CEMS)スペクトルである。通常、メスバウア分光法では
共鳴γ線の試料における核共鳴吸収による透過スペクト
ルの測定を行うが、CEMSでは共鳴吸収後に放出される試
料中での飛程(透過距離)の短い内部転換電子を使用す
る。このため、通常のメスバウア透過法に比べ、CEMSで
は表面近傍の情報を選択的に得られる利点がある。図4
に示すように、Al2O3中FeのCEMSスペクトルは大きく
分けて2本のピークからなるように見える。これらのピ
ークに対し、ローレンツ 型の3組のダブレットピークと
1組のシングレットピークを仮定し、最小2乗法に よる
ピークフィッティングを行った。その結果、これらの各
ピーク成分の超微細パラメータ(アイソマーシフト、四
重極分裂の大きさ)の値からAl2O3中における 注入Fe
の存在状態が、Fe微粒子、Fe酸化物、FeAl酸化物である
ことが明らかになった。
【0012】図5に、作製されたAl2O3中FeのMR比の
磁場依存性を示す。磁場は電磁石によ り-15kOeから+15
kOeまで掃引された。またAl2O3中Feの室温での電気抵
抗は2端子法により測定された。作製後Al2O3中Feの場
合に7.5%程度のMR比が得られた。ま た、400℃までの熱
処理によりMR比は9%程度まで増加した。
磁場依存性を示す。磁場は電磁石によ り-15kOeから+15
kOeまで掃引された。またAl2O3中Feの室温での電気抵
抗は2端子法により測定された。作製後Al2O3中Feの場
合に7.5%程度のMR比が得られた。ま た、400℃までの熱
処理によりMR比は9%程度まで増加した。
【0013】以上から、GMR効果の発現の機構として、
注入されたFeが微細粒子としてAl2O3中に分散して存
在するためにこの微粒子間の電子トンネリングによって
生ずるものと考えられる。本発明は、磁性原子をイオン
注入法により固体中に分散した微粒子状態として存在せ
しめ、それによってGMR効果を発現させることを基本と
し ている。
注入されたFeが微細粒子としてAl2O3中に分散して存
在するためにこの微粒子間の電子トンネリングによって
生ずるものと考えられる。本発明は、磁性原子をイオン
注入法により固体中に分散した微粒子状態として存在せ
しめ、それによってGMR効果を発現させることを基本と
し ている。
【0014】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、Al 2 O 3 単結晶から成る基板に、イオン注入装置を
使用し、磁気イオンを注入することにより巨大磁気抵抗
(GMR)材料を作製することが出来る。その結果、イオン
ビームの持つ優 れた制御・操作性・簡便性を利用して
素子の構造・磁気特性を制御することが可能になり、磁
気ディスク装置のヘッドに使用するGMR素子の最適化を
図ることが 出来る。またGMR効果の発現機構を解明する
にも有効な技術と考えられる。
ば、Al 2 O 3 単結晶から成る基板に、イオン注入装置を
使用し、磁気イオンを注入することにより巨大磁気抵抗
(GMR)材料を作製することが出来る。その結果、イオン
ビームの持つ優 れた制御・操作性・簡便性を利用して
素子の構造・磁気特性を制御することが可能になり、磁
気ディスク装置のヘッドに使用するGMR素子の最適化を
図ることが 出来る。またGMR効果の発現機構を解明する
にも有効な技術と考えられる。
【図1】本発明の巨大磁気抵抗材料の製造に使用される
イオン注入装置の概要を示す説明図である。
イオン注入装置の概要を示す説明図である。
【図2】イオン注入装置を使用し作製したFeイオン注入
Al2O3の薄膜構造を示す説明図 である。
Al2O3の薄膜構造を示す説明図 である。
【図3】Al2O3中FeのRBSスペクトルであり、Al2O3
中FeのFe原子の分布を示す説明図で あり、(a)は注入後
Al2O3中FeのRBSスペクトル、(b)は真空中、400℃1時
間、熱処理後Al2O3中FeのRBSスペクトルである。
中FeのFe原子の分布を示す説明図で あり、(a)は注入後
Al2O3中FeのRBSスペクトル、(b)は真空中、400℃1時
間、熱処理後Al2O3中FeのRBSスペクトルである。
【図4】Al2O3中FeのCEMSスペクトルであり、Al2O3
中FeのFe原子の存在状態を示す説明図である。
中FeのFe原子の存在状態を示す説明図である。
【図5】Al2O3中FeのMR比の磁場依存性を示す説明図
である。
である。
【図6】従来のGMR材料の作製過程を示す説明図であ
る。
る。
1 イオン源 2 分析電磁石 3 加速管 4 真空チャンバー
フロントページの続き (56)参考文献 P.J.Wellmann.J.M. Garcia,J.L.Feng,an d P.M.Petroff,“For mation of nanoscal e ferromagnetic Mn As crystallites in low−temperature g rown GaAs”,Applied Physics letters, 1997年,第71巻,第17号,p.2532− 2534 J.Verheyden,J.Dek oster,G.Neuttiens and H.Pattyn,“Moss bauer and magnetiz ation study of Co precipitates in A g,formed after▲上57▼ Co+▲上59▼Co ion impl anaatation”,Journa l of Magnetism and Magnetic Matarial s,1995年,第148巻,第1−2号,p. 113−115 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 43/08 H01L 43/12 H01L 43/10 H01L 43/10 INSPEC(DIALOG) [検索式:GIANT(W)MAGNE TORESIST?AND ION (W)INPLANTAT?]
Claims (2)
- 【請求項1】イオン注入装置により磁性原子イオンをAl
2 O 3 単結晶から成る基板内に注入し、基板内にイオン
注入層を層状に形成すると共に、磁性原子イオンをイオ
ン注入層内で分散させて微粒子状態として存在させた巨
大磁気抵抗材料。 - 【請求項2】イオン注入装置により磁性原子イオンをAl
2 O 3 単結晶から成る基板内に注入し、基板内にイオン
注入層を層状に形成すると共に、磁性原子イオンをイオ
ン注入層内で分散させて微粒子状態として存在させた巨
大磁気抵抗材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10186042A JP2961259B1 (ja) | 1998-07-01 | 1998-07-01 | 巨大磁気抵抗材料及びその製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10186042A JP2961259B1 (ja) | 1998-07-01 | 1998-07-01 | 巨大磁気抵抗材料及びその製造方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11103654A Division JP3018190B2 (ja) | 1999-04-12 | 1999-04-12 | 巨大磁気抵抗材料及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2961259B1 true JP2961259B1 (ja) | 1999-10-12 |
JP2000022238A JP2000022238A (ja) | 2000-01-21 |
Family
ID=16181390
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10186042A Expired - Lifetime JP2961259B1 (ja) | 1998-07-01 | 1998-07-01 | 巨大磁気抵抗材料及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2961259B1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013535094A (ja) * | 2010-05-28 | 2013-09-09 | インスティテュート オブ ジオロジカル アンド ニュークリア サイエンシズ リミティド | 磁性ナノクラスター |
-
1998
- 1998-07-01 JP JP10186042A patent/JP2961259B1/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
J.Verheyden,J.Dekoster,G.Neuttiens and H.Pattyn,"Mossbauer and magnetization study of Co precipitates in Ag,formed after▲上57▼Co+▲上59▼Co ion implanaatation",Journal of Magnetism and Magnetic Matarials,1995年,第148巻,第1−2号,p.113−115 |
P.J.Wellmann.J.M.Garcia,J.L.Feng,and P.M.Petroff,"Formation of nanoscale ferromagnetic MnAs crystallites in low−temperature grown GaAs",Applied Physics letters,1997年,第71巻,第17号,p.2532−2534 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013535094A (ja) * | 2010-05-28 | 2013-09-09 | インスティテュート オブ ジオロジカル アンド ニュークリア サイエンシズ リミティド | 磁性ナノクラスター |
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