JP2960806B2 - アリールボロン酸ダイマーから成る糖の認識剤 - Google Patents

アリールボロン酸ダイマーから成る糖の認識剤

Info

Publication number
JP2960806B2
JP2960806B2 JP3261217A JP26121791A JP2960806B2 JP 2960806 B2 JP2960806 B2 JP 2960806B2 JP 3261217 A JP3261217 A JP 3261217A JP 26121791 A JP26121791 A JP 26121791A JP 2960806 B2 JP2960806 B2 JP 2960806B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
sugar
methane
bis
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3261217A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0572196A (ja
Inventor
一彦 塚越
征治 新海
薫 近藤
豊 塩見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daisoo Kk
NIPPON PII EMU SHII KK
Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
Original Assignee
Daisoo Kk
NIPPON PII EMU SHII KK
Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daisoo Kk, NIPPON PII EMU SHII KK, Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan filed Critical Daisoo Kk
Priority to JP3261217A priority Critical patent/JP2960806B2/ja
Publication of JPH0572196A publication Critical patent/JPH0572196A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2960806B2 publication Critical patent/JP2960806B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アリールボロン酸ダイ
マーから成る糖の認識剤に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】糖類は自然界において、非常
に多種類の化合物を形成し、幅広く重要な役割を果たし
ている。植物はまず太陽エネルギーにより、二酸化炭素
と水からセルロース等構造物質や、澱粉等の栄養物質を
生産する。次に動物がこれらをエネルギーとして利用す
る。さらに、糖類は前記のごとき構造物質や栄養物質と
してのみならず、多数の生化学的機能に関与している。
例えば、遺伝に重要な核酸中においても単糖が重要な構
成成分となっている。また、免疫情報、血液型、細胞表
面の特異性等、生化学的特異性決定基としての多糖の役
割が注目されており、人間の遺伝病の多くが複合多糖の
代謝異常によるものであることが判明している
【0003】このような糖類の役割の重要性にもかかわ
らず、糖類を認識(識別)してその分析あるいは分離に
供することのできる手段として確立されたものは少な
い。実用的には、血液中の専らグルコースをその還元力
を利用して定量する方法などがあるにすぎない。
【0004】近年、学問的にも糖の分子認識に関する研
究が注目されているが、有機化学的に糖を識別するのは
一般に容易ではない。これまでは、糖の水酸基が関与す
る水素結合に基づく認識が主に検討されてきた。
【0005】一方、糖はホウ酸と容易にかつすみやかに
反応することが知られている。これは、糖のOH基とホ
ウ酸基B(OH)2の間にエステル形成に基づく共有結
合が生じるためと考えられる。従来より検討されている
ホウ酸化合物は、化3のようなアルキル短鎖を有するフ
ェニールボロン酸モノマーである。この化合物は、糖と
結合することはできるが糖の種類を識別することはでき
ない。
【0006】
【化3】
【0007】特定構造の糖を選択的に認識するような物
質を見出すことは、そのような糖を分析したり分離する
手段を提供することにより、前述したような糖類の関与
する複雑な機構を解明し人間の健康にも寄与する点にお
いて意義がある。しかしながら、従来より、特定構造の
糖を認識することのできる化合物として見出されたもの
は極めて少ない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、糖の認識剤、
特に特定の糖を認識することができる認識剤を提供する
ことを目的とするものである。
【0009】かくして、本発明は、次の一般式化1で表
されるアリールボロン酸ダイマーから成る糖の認識剤を
提供する。
【0010】
【化1】 B(OH)2−Ar1−(CH2n−Ar2−B(OH)2 但し、Ar1およびAr2は、互いに同一または別異の、
置換または無置換の芳香族基を示し、また、nは0以上
の整数を示す。
【0011】Ar1またはAr2の例としては、ベンゼン
環、ナフタレン環、フェナントレン環、ピレン環等の芳
香族環が挙げられ、これらの芳香族環は、本発明の効果
が損なわれない程度に一部または全部が置換されていて
もよい。置換基としては、例えばアルキル基、アルコキ
シ基、アミノ基等が挙げられる。nは0以上の整数であ
るが、好ましくは、0または1である。
【0012】 本発明に従うアリールボロン酸ダイマー
から成る糖の認識剤は、好ましくは、上述したようにn
が0または1、また、ArおよびArがベンゼン環
の場合であり、すなわち、次の一般式化2で表されるフ
ェニールボロン酸ダイマーである。
【0013】
【化2】 但し、RおよびRは、水素または、互いに同一また
は別異の炭素数1〜17の直鎖または分枝のアルキル
基、アルケニル基、またはアルキニル基、またはこれら
のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を構成成分
として有するエーテル基を示し、不斉炭素原子を含んで
いてもよい。
【0014】R1またはR2の好ましい例としては、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチ
ル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、光学活性
2−メチルブチル基、2−メチル−2−ブチル基、3−
メチルブチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル
基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチル
ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、
n−ノニル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、n
−ウンデシル基、n−ドデシル基、1−メチルウンデシ
ル基、n−トリデシル基、1−メチルドデシル基、n−
テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシ
ル基、n−ヘプタデシル基、2−メチルヘキサデシル
基、n−オクタデシル基、アリル基、3−ブテニル基、
4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル
基、プロパルギル基、4−ペンチニル基、ゲラニル基、
が挙げられる。
【0015】 かくして、本発明に従い糖の認識剤とし
て好適なアリールボロン酸ダイマーの具体例として次の
化合物化4〜化9および化28が挙げられる。
【0016】
【化4】 ビス(2−メトキシ−5−ジヒドロボロフェニル)メタ
【0017】
【化5】 ビス[2−((S)−2−メチルブトキシ)−5−ジヒ
ドロボロフェニル]メタン
【0018】
【化6】 3−[2−((S)−2−メチルブトキシ)−5−ジヒ
ドロボロフェニルメチル]−4−メトキシフェニルボロ
ン酸
【0019】
【化7】 3−(2−ヘキサデシルオキシ−5−ジヒドロボロフェ
ニルメチル)−4−メトキシフェニルボロン酸
【0020】
【化8】 ビス[2−(2−メチルヘキサデシルオキシ)−5−ジ
ヒドロボロフェニル]メタン
【0021】
【化9】 3−[2−(2−メチルヘキサデシルオキシ)−5−ジ
ヒドロボロフェニルメチル]−4−ヘキサデシルオキシ
フェニルボロン酸
【0022】
【化28】 ジフェニル−3,3’−ジボロン酸 本発明のアリールボロン酸ダイマーは、既知の合成法を
利用して製造することができる。フェニルボロン酸ダイ
マーを例にして代表的な製造法を示すと次の化10のよ
うになる。
【0023】
【化10】
【0024】すなわち、対応する臭素化物をエーテルあ
るいはテトラヒドロフラン中ブチルリチウムを用いてリ
チオ化し、次いで、ホウ酸トリアルキルエステルを作用
させてホウ酸エステルとし、最後にこのものを酸性加水
分解することによって、目的のアリールボロン酸ダイマ
ーを製造することができる。ここで原料となる臭素化物
は下のスキーム化11で示される方法により製造するこ
とができる。
【0025】
【化11】
【0026】上式を簡単に説明すると、水酸化ナトリウ
ム水溶液中p−ブロモフェノール()とホルムアルデ
ヒドを縮合させて2−ヒドロキシメチル体()を得、
さらにベンゼン中触媒量のp−トルエンスルホン酸の存
在下、このものと化合物を脱水縮合させてビス(2−
ヒドロキシ−5−ブロモフェニル)メタン()を得
る。次いでこのものをアセトンまたはN,N−ジメチル
ホルムアミド中炭酸カリウムの存在下アルキル、アルケ
ニル、またはアルキニルハライドと作用させることによ
り、原料の臭素化物()を製造することができる。
【0027】本発明に従うアリールボロン酸ダイマー
は、ボロン酸部位を2個有していることにより、特定構
造の糖を認識するものと考えられる。
【0028】例えば、上述したビス(2−メトキシ−5
−ジヒドロボロフェニル)メタンやビス[2−((S)
−2−メチルブチル)−5−ジヒドロボロフェニル]メ
タン等の存在下に、D−グルコース、D−マルトース、
D−セロビオーズまたはD−ラクトースの水溶液は、C
Dスペクトル(CD:circulardichroism)を示した。
CDスペクトルを示したこれらの糖類(D−ラクトース
を除く)は、シス−1,4−ジオールおよびトランス−
4−OH・5−CH2OH基を有しており、アリールボ
ロン酸ダイマーと錯化して次のような環状化合物化12
を生成すると考えられる。このことは、NMRの測定結
果からも推測される。
【0029】
【化12】
【0030】 このように、本発明に従うビス(2−メ
トキシ−5−ジヒドロボロフェニル)メタンのようなア
リールボロン酸ダイマーは、シス−1,2−ジオールお
よびトランス−4−OH・5−CHOHを有する単糖
類とのみ選択的に反応し、且つ、4点で結合した強固な
環状のコンプレックス(錯体)を生成する。また、ジフ
ェニル−3,3’−ジボロン酸のようなアリールボロン
酸ダイマーは、シス−ジオールを有する二糖類または単
糖類と共有結合を形成する。したがって、例えば、CD
スペクトル等の手段により、糖で固定されたアリールボ
ロン酸ダイマーの立体配座を測定することにより、糖の
種類を識別することができる。一方、従来から用いられ
ているようなアリールボロン酸モノマーでは、糖と立体
配座の固定した強固な環状コンプレックスを形成でき
ず、糖の種類を認識(区別)するのは容易ではない。
【0031】以上の説明から理解されるように、本発明
は、アリールボロン酸−ジオール錯体の生成に基づく糖
類の新しい認識(識別)に関する研究に基づいて達成さ
れたものであるが、この研究の過程で、本発明者らは、
さらに、次のような事実も見出している。この事実は、
これまで詳述したアリールボロン酸ダイマーから成る糖
の認識剤とは、別異の糖の認識剤を提供し得るものであ
る。
【0032】先ず、次の一般式化13で表され長鎖の炭
化水素基を有するフェニルボロン酸は糖類の抽出に関し
て選択性を有することが見出されている。
【0033】
【化13】
【0034】ここで、Rは飽和または不飽和の長鎖炭化
水素基であり、炭素数は、好ましくは、10〜20であ
る。ORは、好ましくは、ボロン酸に対してパラ位にあ
る。
【0035】以下、次の構造式化14で表されるP−ヘ
キサデカノキシフェニルボロン酸(以下、ホスト1と呼
ぶ)の場合を例に、糖の抽出実験の結果を示す。
【0036】
【化14】
【0037】ホスト1の合成スキーム化15を下に示
す。
【0038】
【化15】
【0039】抽出は、以下の3つの実験方法で行った。
方法A:0.1g糖+ホスト溶液(1×10-3mol dm-3
ホストCDCl3溶液)3ml、方法B:0.1mol dm
-3糖水溶液(pH6;蒸留水)5ml+ホスト溶液2ml、
方法C:0.1mol dm-3糖アルカリ性水溶液(pH1
0;0.12mol dm-3Na2CO3−0.08mol dm-3
aHCO3)5ml+ホスト溶液2ml。
【0040】抽出実験の結果を次表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】抽出率およびモル比は、CDCl3中のホ
ストおよび糖の1HNMRスペクトルを測定することに
より求めた。表1に示されるようにD−フラクトース>
D−グルコース>D−マルトースの順で抽出された。D
−フルクトースはシス−1,2−シス−3,4−ジオー
ルで、D−グルコースとD−マルトースはシス−1,2
−ジオールおよびトランス−4−OH・5−CH2OH
とでホスト1の2分子と共有結合していることが、種々
1HNMR測定結果よりわかった。シス−ジオール構
造をもたないD−サッカロースは抽出されなかった。こ
のように、ホスト1は、糖をその構造の特異性に応じて
選択的に抽出することができ、この性質に基づき糖の認
識剤となり得る。
【0043】さらに、一般式化13(但し,Rは飽和ま
たは不飽和の長鎖炭化水素基を示し、炭素数は、好まし
くは、10〜20であり、ORは、好ましくは、ボロン
酸に対してメタ位にある。)のフェニルボロン酸誘導体
は、糖に応答するような単分子膜を形成し、したがっ
て、π−A曲線を測定することにより糖に対する認識能
を調べることができることも見出された。
【0044】
【化13】
【0045】以下、次の構造式化16で表されるm−ヘ
キサデカノキシフェニルボロン酸(以下、ホスト2と呼
ぶ)を例としてこの事実について述べる。
【0046】
【化16】
【0047】ホスト2は、上述したホスト1に準じたス
キームに従って合成した。この化合物(ホスト2)は、
安定な単分子膜を形成するので、この膜の糖へのπ−A
曲線応答を調べたところ、π−A曲線の変化はD−フル
クトース>D−グルコース>D−マルトース>D−サッ
カロースの順で大きくなった。この変化は、前述したホ
スト1による抽出実験結果とよく一致した。ホスト2と
糖との相互作用には、フェニルボロン酸とシス−ジオー
ルとの共有結合が関与していると考えられる。
【0048】このようにホスト1やホスト2によって代
表される長鎖の炭化水素基を有するフェニルボロン酸モ
ノマーは、抽出や単分子膜の応答によって確認され得る
ような、糖の認識機能を有していることも見出された。
【0049】次に、アリールボロン酸ダイマーから成る
本発明を実施例および比較例により説明する。
【0050】
【実施例】アリールボロン酸ダイマーの原料化合物の製造 製造例1 :(ビス(2−ヒドロキシ−5−ブロモフェニ
ル)メタンの製造) p−ブロモフェノール43.3gと37%ホルマリン2
2.3gを混合攪拌し、ここに水酸化ナトリウム11.
0gの水溶液75mlを徐々に加え、その後24時間攪拌
した。反応溶液を酢酸で中和し、エーテルで抽出した。
エーテル溶液を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥し
た。硫酸マグネシウムを濾別した後、エーテルを減圧留
去し、得られたオイル状の物質にヘキサンを加えて白色
結晶を析出させた。トルエンから再結晶して21.3g
の2−ヒドロキシメチル−4−ブロモフェノールを得
た。mp.106〜107℃。
【0051】デューンスタックトラップおよび滴下ロー
トを取り付けた300mlの3つ口フラスコにp−ブロモ
フェノール4.26g、ベンゼン100mlおよび触媒量
のp−トルエンスルホン酸を添加し加熱還流した。2−
ヒドロキシメチル−4−ブロモフェノール1.00gの
ベンゼン溶液300mlを滴下ロートから6時間かけて滴
下し、さらに15時間加熱還流した。ベンゼンを減圧留
去しオイル状物質を得た。ヘキサンより結晶化させ、下
記式化17で表される680mgのビス(2−ヒドロキシ
−5−ブロモフェニル)メタンを得た。
【0052】
【化17】 ・mp182〜185℃ ・1H−NMR(δ,ppm,CDCl3);3.84(s,2H),6.71(d,2H),
7.22(d,2H),7.35(d,2H)
【0053】このビス(2−ヒドロキシ−5−ブロモフ
ェニル)メタンから、以下の製造例2〜製造例6のよう
に原料臭化物を調製した。
【0054】製造例2:(ビス(2−メトキシ−5−ブ
ロモフェニル)メタンの合成) 還流冷却器を取り付けた100mlの3つ口フラスコに、
製造例1で得られたビス(2−ヒドロキシ−5−ブロモ
フェニル)メタン2.00g、N,N−ジメチルホルム
アミド130ml、ヨウ化メチル13.9ml、および乳鉢
で十分すりつぶした炭酸カリウム7.73gを順次加え
た。50℃で15時間攪拌した後、炭酸カリウムを濾別
し、溶媒を減圧留去した。得られた結晶をメタノールか
ら再結晶して下記式化18で表される1.28gのビス
(2−メトキシ−5−ブロモフェニル)メタンを得た。
【0055】
【化18】 ・mp107〜109℃ ・1H−NMR(δ,ppm,CDCl3);3.79(s,2H),3.85(s,2H),
6.6-7.4(m,6H)
【0056】製造例3:(ビス(2−((S)−2−メ
チルブトキシ)−5−ブロモフェニル)メタンの合成) 製造例2におけるヨウ化メチルの代わりに(s)−
(+)−1−クロロ−2−メチルブタンを用いた他は製
造例2と同様な操作により下記式化19で表されるビス
(2−(s)−2−メチルブトキシ)−5−ブロモフェ
ニル)メタンを得た。
【0057】
【化19】 1H−NMR(δ,ppm,CDCl3);0.8-2.0(m,18H),3.73(d,
4H),6.6-7.3(m,6H)
【0058】製造例4:(3−(2−((s)−2−メ
チルブトキシ)−5−ブロモフェニルメチル)−4−メ
トキシブロモベンゼンの合成) 製造例1で得られたビス(2−ヒドロキシ−5−ブロモ
フェニル)メタン5.00g,乳鉢で十分すりつぶした
炭酸カリウム4.25g、(s)−(+)−1−クロロ
−2−メチルブタン4.64g、およびアセトン20ml
の混合物を8日間加熱還流した。溶媒を減圧留去して残
渣に水を加え2N塩酸で中和し、エーテルで抽出、抽出
液を水洗し硫酸マグネシウムで乾燥した。抽出液より溶
媒を留去して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーで精製して下記式化20で表される2−(2−(s)
−2−メチルブトキシ)−5−ブロモフェニルメチル)
−4−ブロモフェノール2.55gを得た。
【0059】
【化20】 1H−NMR(δ,ppm,CDCl3);0.8-2.0(m,9H),3.8-4.0
(m,2H),6.38(s,1H),6.8-7.4(m,6H)
【0060】上で得られた、2−(2−((s)−2−
メチルブトキシ)−5−ブロモフェニルメチル)−4−
ブロモフェノール2.55g、乳鉢で十分すりつぶした
炭酸カリウム1.65g、ヨウ化メチル1.5ml、およ
びアセトン20mlの混合物を2.5日還流攪拌した。溶
媒を減圧留去して残渣に水を加え2N塩酸で中和し、エ
ーテルで抽出、抽出液を水洗し硫酸マグネシウムで乾燥
した。抽出液より溶媒を留去して残渣をヘキサンより再
結晶し下記式化21で表される2−(3−((s)−2
−メチルブトキシ)−5−ブロモフェニルメチル)−4
−メトキシブロモベンゼンを2.63g得た。
【0061】
【化21】 1H−NMR(δ,ppm,CDCl3);0.8-2.0(m,9H),3.65-3.7
5(m,2H),3.79(s,3H),3.87(s,2H),6.6-7.4.(m,6H)
【0062】製造例5:(3−(2−ヘキサデシルオキ
シ)−5−ブロモフェニルメチル)−4−メトキシブロ
モベンゼンの合成) 製造例1で得られたビス(2−ヒドロキシ−5−ブロモ
フェニル)メタン1.00g、乳鉢で十分すりつぶした
炭酸カリウム0.58g、ヨウ化メチル0.3ml、およ
びアセトン10mlの混合物を6時間還流攪拌した。以下
の処理操作は製造例4と同様にして行い、下記式化22
で表される2−(2−メトキシ−5−ブロモフェニルメ
チル)−4−ブロモフェノール0.591gを得た。
【0063】
【化22】 1H−NMR(δ,ppm,CDCl3);3.82(s,2H),3.91(s,3H),
6.59(s,1H),6.6-7.4(m,6H)
【0064】上で得られた2−(2−メトキシ−5−ブ
ロモフェニルメチル)−4−ブロモフェノール0.59
1g、乳鉢で十分すりつぶした炭酸カリウム0.659
g、臭化ヘキサデシル1.45g、およびアセトン10
mlの混合物を1日還流攪拌した。溶媒を減圧留去して残
渣に水を加え2N塩酸で中和し、エーテルで抽出、抽出
液を水洗し硫酸マグネシウムで乾燥した。抽出液より溶
媒を留去して残渣をヘキサンより再結晶し下記式化23
で表される3−(2−ヘキサデシルオキシ−5−ブロモ
フェニルメチル)−4−メトキシブロモベンゼンを0.
797g得た。
【0065】
【化23】 ・mp71.5〜72.5℃ ・1H−NMR(δ,ppm,CDCl3);0.88(t,3H),1.1-2.0(m,2
8H),3.80(s,3H),3.85(s,2H),3.91(t,2H),6.6-7.4(m,6H)
【0066】製造例6:(ビス(2−(2−メチルヘキ
サデシルオキシ)−5−ブロモフェニル)メタンおよび
2−(2−(2−メチルヘキサデシルオキシ)−5−ブ
ロモフェニルメチル)−4−ヘキサデシルオキシブロモ
ベンゼンの合成) 製造例1で得られたビス(2−ヒドロキシ−5−ブロモ
フェニル)メタン0.747g、乳鉢で十分すりつぶし
た炭酸カリウム1.15g、1−ブロモ−2−メチルヘ
キサデカン2.0g、およびアセトン10mlの混合物を
67時間加熱還流した。溶媒を減圧留去して残渣に水を
加え2N塩酸で中和し、エーテルで抽出、抽出液を水洗
し硫酸マグネシウムで乾燥した。抽出液より溶媒を留去
して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製
してそれぞれ下記式化24および化25で表されるビス
(2−(2−メチルヘキサデシルオキシ)−5−ブロモ
フェニル)メタン0.70gおよび2−(2−(2−メ
チルヘキサデシルオキシ)−5−ブロモフェニルメチ
ル)−4−ブロモフェノール0.43gを得た。
【0067】
【化24】 ビス(2−(2−メチルヘキサデシルオキシ)−5−ブ
ロモフェニル)メタン ・mp56.5〜58℃ ・1H−NMR(δ,ppm,CDCl3);0.8-1.0(m,12H),1.1-2.0
(m,54H),3.68-3.80(m,4H),3.88(s,2H),6.6-7.3(m,6H)
【0068】
【化25】 2−(2−(2−メチルヘキサデシルオキシ)−5−ブ
ロモフェニルメチル)−4−ブロモフェノール ・1H−NMR(δ,ppm,CDCl3);0.8-2.0(m,33H),3.75-3.
9(m,6H),6.37(s,1H),6.6-7.4(m,6H)
【0069】上で得られた2−(2−(2−メチルヘキ
サデシルオキシ)−5−ブロモフェニルメチル)−4−
ブロモフェノール0.43g、乳鉢で十分すりつぶした
炭酸カリウム0.3g、臭化ヘキサデシル0.66g、
およびアセトン10mlの混合物を14時間還流攪拌し
た。溶媒を減圧留去して残渣に水を加え2N塩酸で中和
し、エーテルで抽出、抽出液を水洗し硫酸マグネシウム
で乾燥した。抽出液より溶媒を留去して残渣をヘキサン
ーエタノールより再結晶し下記式化26で表される3−
(2−(2−メチルヘキサデシルオキシ)−5−ブロモ
フェニルメチル)−4−ヘキサデシルオキシブロモベン
ゼンを0.562g得た。
【0070】
【化26】 ・mp70〜71℃ ・1H−NMR(δ,ppm,CDCl3);0.8-2.0(m,64H),3.6-3.8
0(m,2H),3.8-4.0(m,4H),6.6-7.4(m,6H)
【0071】アリールボロン酸ダイマーの製造 製造例7 :(ビス(2−メトキシ−5−ジヒドロボロフ
ェニル)メタンの合成) 滴下ロートを取り付けた100mlの3つ口フラスコを十
分に窒素置換し、製造例2で得られたビス(2−メトキ
シ−5−ブロモフェニル)メタン1.28g、および脱
水エーテル20mlを加えた。−78℃で、1.30Mの
n−ブチルリチウムヘキサン溶液5.61mlを滴下ロー
トより滴下し、反応溶液を2時間攪拌した。滴下ロート
を取り付けた別の100mlの3つ口フラスコを十分に窒
素置換し、トリメチルボレート15mlおよび脱水エーテ
ル10mlを加えた。−78℃で、先の反応溶液を滴下ロ
ートから滴下し、その後3時間攪拌した。ゆっくりと室
温まで戻し,4N塩酸20mlを加え15時間攪拌した。
得られた白濁反応溶液を吸引濾過し、濾取した白色固体
を十分に水洗し塩を取り除いた。アセトンから再結晶し
風乾して下記式化4で表される310mgのビス(2−メ
トキシ−5ジヒドロボロフェニル)メタンの白色結晶を
得た。
【0072】
【化4】・mp177〜180℃ ・1H−NMR(δ,ppm,CD3OD);3.82(s,6H),3.91(s,2H),
6.8-7.7(m,6H) ・IR(KBr) 3300cm-1OH), 1354cm-1B-O)
【0073】製造例8:(ビス(2−((S)−2−メ
チルブトキシ)−5−ジヒドロボロフェニル)メタンの
合成) 十分に窒素置換した50ml3つ口フラスコに製造例3で
得られたビス(2−((S)−2−メチルブトキシ)−
5−ブロモフェニル)メタン1.3gおよび乾燥テトラ
ヒドロフラン30mlを入れ、−70℃でここに1.52
Mブチルリチウムヘキサン溶液4.1mlを5分で滴下
し、さらに−70℃で2時間攪拌した。この溶液を、−
76℃でホウ酸トリメチル11.7mlの乾燥テトラヒド
ロフラン溶液50ml中にニードルブリッジを用いて5分
間で滴下し、さらに−76℃で1時間攪拌した。混合物
の温度を2時間かけて室温まで戻し、2N塩酸20mlを
加えて室温で18時間攪拌した。得られた白色懸濁液に
水を加えて減圧濃縮し、析出した白色固体を濾取、水お
よびヘキサンで洗浄し、メタノールに溶解して水を加え
て、再沈した。析出した白色粉末を濾取、水洗、乾燥し
下記式化5で表されるビス(2(S)−2−メチルブト
キシ)−5−ジヒドロボロフェニル)メタン0.9gを
得た。
【0074】
【化5】・mp159〜162℃ ・1H−NMR(δ,ppm,CD3OD);0.8-2.0(m,18H),3.7-3.9
(m,4H),3.95(s,2H),6.8-7.6(m,6H) ・IR(KBr) 3300cm-1OH), 1352cm-1B-O)
【0075】製造例9:(3−(2−((S)−2−メ
チルブトキシ)−5−ジヒドロボロフェニルメチル)−
4−メトキシフェニルボロン酸の合成) 製造例8におけるビス(2−((S)−2−メチルブト
キシ)−5−ブロモフェニル)メタンのかわりに製造例
4で得られた3−(2−((S)−2−メチルブトキ
シ)−5−ブロモフェニルメチル)4−メトキシブロモ
ベンゼンを用いた他は製造例8と同様な操作を行い、下
記式化6で表される3−(2−((S)−2−メチルブ
トキシ)−5−ジヒドロボロフェニルメチル)−4−メ
トキシフェニルボロン酸を得た。
【0076】
【化6】・mp167〜171℃ ・1H−NMR(δ,ppm,CD3OD);0.8-2.0(m,9H),3.76(m,2
H),3.83(s,3H),3.93(s,2H),6.8-7.6(m,6H) ・IR(KBr) 3300cm-1OH), 1352cm-1B-O)
【0077】製造例10:(3−(2−ヘキサデシルオ
キシ)−5−ジヒドロボロフェニルメチル)−4−メト
キシフェニルボロン酸の合成) 製造例8におけるビス(2−((S)−2−メチルブト
キシ)−5−ブロモフェニル)メタンのかわりに製造例
5で得られた3−(2−ヘキサデシルオキシ)−5−ブ
ロモフェニルメチル)−4−メトキシブロモベンゼンを
用いた他は製造例8と同様な操作を行い、下記式化7で
表される3−(2−ヘキサデシルオキシ)−5−ジヒド
ロボロフェニルメチル)4−メトキシフェニルボロン酸
を得た。
【0078】
【化7】・mp155〜158℃ ・1H−NMR(δ,ppm,CD3OD);0.89(t,3H),1.1-2.0(m,2
8H),3.80(s,3H),3.92(s,2H),3.96(t,2H),6.8-7.6(m,6H) ・IR(KBr) 3350cm-1OH), 1352cm-1B-O)
【0079】製造例11:(ビス(2−(2−メチルヘ
キサデシルオキシ)−5−ジヒドロボロフェニル)メタ
ンの合成) 製造例8におけるビス(2−((S)−2−メチルブト
キシ)−5−ブロモフェニル)メタンのかわりに製造例
6で得られたビス(2−(2−メチルヘキサデシルオキ
シ)−5−ブロモフェニル)メタンを用いた他は製造例
8と同様な操作を行い下記式化8で表されるビス(2−
(2−メチルヘキサデシルオキシ)−5−ジヒドロボロ
フェニル)メタンを得た。
【0080】
【化8】・mp156〜162℃ ・1H−NMR(δ,ppm,CD3OD);0.8-1.0(m,12H),1.1-2.0
(m,54H),3.74-3.77(m,4H),3.94(s,2H),6.8-7.6(m,6H) ・IR(KBr) 3300cm-1OH), 1352cm-1B-O)
【0081】製造例12:(3−(2−(2−メチルヘ
キサデシルオキシ)−5−ジヒドロボロフェニルメチ
ル)−4−ヘキサデシルオキシフェニルボロン酸の合
成) 製造例8におけるビス(2−((S)−2−メチルブト
キシ)−5−ブロモフェニル)メタンのかわりに製造例
6で得られた(3−(2−(2−メチルヘキサデシルオ
キシ)−5−ブロモフェニルメチル)−4−ヘキサデシ
ルオキシブロモベンゼンを用いた他は製造例8と同様な
操作を行い下記式化9で表される(3−(2−(2−メ
チルヘキサデシルオキシ)−5−ジヒドロボロフェニル
メチル)−4−ヘキサデシルオキシフェニルボロン酸を
得た。
【0082】
【化9】・mp155〜159℃ ・1H−NMR(δ,ppm,CD3OD);0.8-2.1(m,33H),3.7-4.0
(m,6H),6.8-7.6(m,6H) ・IR(KBr) 3300cm-1OH), 1352cm-1B-O)
【0083】 製造例13:(ジフェニル−3,3’−
ジボロン酸の合成) 製造例7におけるビス(2−メトキシ−5−ブロモフェ
ニル)メタンのかわりに3,3’−ジブロモジフェニル
を用いた他は製造例7と同様な操作を行い、前記式化2
8で表されるジフェニル−3,3’−ジボロン酸を得
た。 ・mp300℃以上 ・1H−NMR(δ,ppm,CD30D);7.41
(d−d,1H),7.67(d,1H),7.73
(d,1H),8.04(s,1H)・1R(KBr)
3250cm−1(νOH),1387/1333cm
−1(νB−O)アリールボロン酸ダイマーを用いるCDスペクトルの測
測定例1 製造例7で得られた下記式化4で表される濃度1×10
−1mol・dm−3のビス(2−メトキシ−5ジヒド
ロボロフェニル)メタンのメタノール溶液20μlと濃
度1×10−1mol・dm−3の炭酸ナトリウム水溶
液で溶解した濃度1×10−1mol・dm−3のD−
グルコース溶液1mlとを室温で混合し、CDスペクト
ルを測定した結果、本化合物はD−グルコースと1:1
錯体を形成してCD活性を示すことが判明し[θ]ma
xの値は−5300degcmdmol−1(λma
x=275nm)、会合定数Kは19000dmmo
−1であった。得られたCDスペクトルを図1に示
す。
【0084】
【化4】
【0085】測定例2 測定例1におけるD−グルコースのかわりにL−グルコ
ースを用いた以外は測定例1と同様な測定を行った結
果、本化合物はL−グルコースと1:1錯体を形成して
CD活性を示すことが判明し、[θ]maxの値は5300deg
cm2dmol-1(λmax=275nm)であった。得られたCDスペ
クトルを図1に示す。
【0086】測定例3 測定例1におけるD−グルコースのかわりにD−マルト
ース、D−セロビオース、D−ラクトース、D−マンノ
ース、D−ガラクトース、D−フルクトース、あるいは
D−サッカロースを用いた以外は測定例1と同様な測定
を行った結果、本化合物はD−マルトース、D−セロビ
オース、およびD−ラクトースと1:1錯体を形成して
CD活性を示すことが判明し、[θ]maxの値はそれぞ
れ-2400(λmax=275nm)、-2000(λmax=275nm)、-120
0(λmax=275nm)degcm2dmol-1、会合定数Kはそれぞれ
100、80、15であったが、本化合物はD−マンノ
ース、D−ガラクトース、D−フルクトース、およびD
−サッカロースに対してはCD不活性であった。
【0087】測定例4 製造例8で得られた下記式化5で表される濃度1×10
-1mol・dm-3の(ビス(2−((S)−2−メチルブトキ
シ)−5−ジヒドロボロフェニル)メタンのメタノール
溶液20μl、濃度1×10-1mol・dm-3の炭酸ナトリウ
ム水溶液に溶解した濃度1×10-1mol・dm-3のD−グル
コース溶液50μl、濃度1×10-1mol・dm-3の炭酸ナ
トリウム水溶液450μl、メタノール480μlを室温
で混合し、CDスペクトルを測定した結果、本化合物は
D−グルコースと1:1錯体を形成してCD活性を示す
ことが判明し、[θ]maxの値は-6400degcm2dmol-1(λ
max=282nm)、会合定数Kは94000dm3mol-1であった。
【0088】
【化5】
【0089】測定例5 測定例4におけるD−グルコースの代わりにD−マンノ
ース、D−ガラクトース、D−フルクトースを用いた以
外は測定例4と同様にCDスペクトルを測定した。本化
合物はこれらの糖に対してCD活性を示したが、[θ]
maxの値はそれぞれ-230(λmax=276nm)、630(λmax=2
81nm)、470(λmax=275nm)degcm2dmol-1と小さい値で
あった。
【0090】測定例6 測定例4におけるビス(2−((S)−2−メチルブト
キシ)−5−ジヒドロボロフェニル)メタンの代わりに
製造例9で得られた下記式化6で表される(3−(2−
((S)−2−メチルブトキシ)−5−ジヒドロボロフ
ェニルメチル)−4−メトキシフェニルボロン酸を用い
た以外は測定例4と同様にCDスペクトルを測定した結
果、本化合物はD−グルコースと1:1錯体を形成して
CD活性を示すことが判明し、[θ]maxの値は-6800de
gcm2dmol-1(λmax=282nm)、会合定数Kは70000dm3mol
-1であった。
【0091】
【化6】
【0092】測定例7 測定例4におけるD−グルコースの代わりにD−マンノ
ース、D−ガラクトース、D−フルクトースを用いた以
外は測定例4と同様にCDスペクトルを測定した。本化
合物はこれらの糖に対してCD活性を示したが、[θ]
maxの値はそれぞれ-190(λmax=275nm)、650(λmax=2
77nm)、640(λmax=275nm)degcm2dmol-1と小さい値で
あった。
【0093】測定例8 製造例10で得られた、下記式化7で表される濃度1×
10-1mol・dm-3の3−(2−ヘキサデシルオキシ)−5
−ジヒドロボロフェニルメチル)−4−メトキシフェニ
ルボロン酸のメタノール溶液20μl、濃度1×10-1m
ol・dm-3の炭酸ナトリウム水溶液に溶解した濃度1×1
-1mol・dm-3のD−グルコース溶液500μl、メタノ
ール480μlを室温で混合し、CDスペクトルを測定
した結果、本化合物はD−グルコースに対してCD活性
を示すことが判明し、λmax=282nmにおける[θ]maxの
値は-4700degcm2dmol-1であった。
【0094】
【化7】
【0095】測定例9 製造例11で得られた下記式化8で表される濃度3×1
-2mol・dm-3のビス(2−(2−メチルヘキサデシルオ
キシ)−5−ジヒドロボロフェニル)メタンのテトラヒ
ドロフラン溶液60μl、濃度1×10-1mol・dm-3の炭
酸ナトリウム水溶液に溶解した濃度1×10-1mol・dm-3
のD−グルコース溶液500μl、テトラヒドロフラン
420μlを室温で混合し、CDスペクトルを測定した
結果、本化合物はD−グルコースに対してCD活性を示
すことが判明し、λmax=283nmにおける[θ]maxの値は
-1800degcm2dmol-1であった。
【0096】
【化8】
【0097】測定例10 製造例12で得られた下記式化9で表される濃度1.4
×10-2mol・dm-3の3−(2−(2−メチルヘキサデシ
ルオキシ)−5−ジヒドロボロフェニルメチル)−4−
ヘキサデシルオキシフェニルボロン酸のテトラヒドロフ
ラン溶液140μl、濃度1×10-1mol・dm-3の炭酸ナ
トリウム水溶液に溶解した濃度1×10-1mol・dm-3のD
−グルコース溶液500μl、テトラヒドロフラン36
0μlを室温で混合し、CDスペクトルを測定した結
果、本化合物はD−グルコースに対してCD活性を示す
ことが判明し、λmax=283nmにおける[θ]maxの値は-1
500degcm2dmol-1であった。
【0098】
【化9】
【0099】 側定例11:製造例13で得られた化式
28で表される濃度1×10−1mol・dmのジフェ
ニル−3,3’−ジボロン酸のメタノール溶液50ml
と濃度1×10−1mol・dm−3の炭酸ナトリウム
水溶液で溶解した濃度5×10−2mol・dmのD−
マルトース溶液1mlとを室温で混合し、CDスペクト
ルを測定した結果、本化合物はD−マルトースと1:1
錯体を形成して励起子カップリングを起こしたCDスペ
クトルを示すことが判明し、[θ]maxの値は170
00degcmdmol−1(λmax=201n
m)、[θ]minの値は−17000degcm
mol−1(λmin=223nm)、また会合定数K
は200dmmol−1であった。得られたCDスペ
クトルを図2に示す。測定例12 測定例11におけるD−マルトースのかわりにD−セロ
ビオースを用いた以外は測定例11と同様な測定を行っ
た結果、本化合物はD−セロビオースと1:1錯体を形
成して励起子カップリングを起こしたCDスペクトルを
示すことが判明し、[θ]maxの値は19000de
gcmdmol−1(λmax=224nm)、
[θ]minの値は−17000degcmdmol
−1(λmin=203nm)、また会合定数Kは50
dmmol−1であった。得られたCDスペクトルを
図2に示す。側定例13 側定例11におけるD−マルトースのかわりにD−グル
コース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−フル
クトース等の単糖類、および二糖類であるD−サッカロ
ースを用いた以外は側定例11と同様な測定を行った結
果、D−グルコース等の単糖類ではCD活性を示すもの
の[θ]maxの値は小さい。二糖類でもシス−1,2
−ジオールを有しないD−サッカロースはCD不活性で
あり、このことを利用すれば二糖類を識別することがで
きる。D−グルコースの場合のCDスペクトルを図2に
示す。比較例 4−メトキシフェニルボリックアンヒドライドの合成 滴下ロートを取り付けた100mlの3つ口フラスコを
十分に窒素置換し、p−ブロモアニソール1.25ml
および脱水エーテル30mlを加えた。−78℃で、
1.50Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液7.3m
lを滴下ロートより滴下し、反応溶液を2時間攪拌し
た。
【0100】滴下ロートを取り付けた別の100mlの3
つ口フラスコを十分に窒素置換し、トリメチルボレート
19.1mlおよび脱水エーテル10mlを加えた。−78
℃で、先の反応溶液を滴下ロートから滴下し、その後2
時間攪拌した。ゆっくりと室温まで戻し、2N塩酸48
mlを加え、続けて12時間攪拌した。得られた白色反応
溶液を吸引濾過し、濾液をクロロホルムで抽出し、硫酸
マグネシウムで脱水した。硫酸マグネシウムを濾別後、
クロロホルムを減圧留去し、オイル状物質を得た。ヘキ
サン70mlを加えて白色固体を析出させた。水から再結
晶し、下記式化27で表される280mgの4−メトキシ
−フェニルボリックアンヒドライドを得た。
【0101】
【化27】 ・mp210〜212℃ ・1H−NMR(δ,ppm,CDCl3);3.86(s,3H),6.97(d,2H),
8.16(d,2H)
【0102】CDスペクトルの測定 測定例1 製造例1で得られた下記式化27で表される濃度1×1
-1mol・dm-3の4−メトキシフェニルボリックアンヒド
ライドのメタノール溶液20μl、濃度1×10-1mol・d
m-3の炭酸ナトリウム水溶液に溶解した濃度1×10-1m
ol・dm-3のD−グルコース、D−マンノース、D−ガラ
クトース、D−フルクトース、D−マルトース、D−セ
ロビオース、D−ラクトース、あるいはD−サッカロー
ス溶液500μl、メタノール480μlを室温で混合
し、CDスペクトルを測定したが、本化合物はこれらの
糖に対してCD活性を示さなかった。
【0103】
【化27】
【0104】
【発明の効果】本発明に従うアリールボロン酸ダイマー
から成る糖の認識剤は、特定構造の糖を識別することが
できる。この性質に基づき、本発明の認識剤は、糖類の
分析や分離に応用されることが期待でき、また、医薬品
の開発などにおいて糖の構造解析や生理機構の解明に利
用され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うアリールボロン酸存在下における
グルコースのCDスペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // A61K 49/00 A61K 49/00 A 特許法第30条第1項適用申請有り 日本化学会第61春季 年会予稿集講演予稿集▲II▼1238頁4B103(平成3 年3月14日)に発表 特許法第30条第1項適用申請有り The Journ al of Organic Chemistry,56 (13)p4089−4091(平成3年6月21日)に発表 (72)発明者 近藤 薫 福岡県筑紫野市大字塔原81−13大坪ハイ ツ203号 (72)発明者 塩見 豊 福岡県筑紫野市大字二日市304−1 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 31/00 - 31/22 G01N 33/48 - 33/98 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 B(OH)−Ar−(CH−Ar−B(OH) (但し、ArおよびArは、互いに同一または別異
    の、置換または無置換の芳香族基を示し、また、nは0
    以上の整数を示す)で表されるアリールボロン酸ダイマ
    ーから成ることを特徴とする糖の認識剤。
  2. 【請求項2】 アリールボロン酸ダイマーが、一般式化
    2(但し、nは0または1であり、RおよびRは、
    水素または、互いに同一または別異の炭素数1〜17の
    直鎖または分枝のアルキル基、アルケニル基、またはア
    ルキニル基、またはこれらの基を構成成分として有する
    エーテル基を示し、不斉炭素原子を含んでいてもよい)
    で表されるフェニルボロン酸ダイマーである請求項1に
    記載の糖の認識剤。 【化2】
  3. 【請求項3】 フェニルボロン酸ダイマーがビス(2−
    メトキシ−5−ジヒドロボロフェニル)メタン;ビス
    [2−((S)−2−メチルブトキシ)−5−ジヒドロ
    ボロフェニル]メタン;3−(2−ヘキサデシルオキシ
    −5−ジヒドロボロフェニルメチル)−4−メトキシフ
    ェニルボロン酸;ビス[2−(2−メチルヘキサデシル
    オキシ)−5−ジヒドロボロフェニル]メタン;3−
    [2−(2−メチルヘキサデシルオキシ)−5−ジヒド
    ロボロフェニルメチル]−4−ヘキサデシルオキシフェ
    ニルボロン酸または、ジフェニル−3,3’−ジボロン
    酸である請求項2に記載の糖の認識剤。
JP3261217A 1991-09-12 1991-09-12 アリールボロン酸ダイマーから成る糖の認識剤 Expired - Fee Related JP2960806B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3261217A JP2960806B2 (ja) 1991-09-12 1991-09-12 アリールボロン酸ダイマーから成る糖の認識剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3261217A JP2960806B2 (ja) 1991-09-12 1991-09-12 アリールボロン酸ダイマーから成る糖の認識剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0572196A JPH0572196A (ja) 1993-03-23
JP2960806B2 true JP2960806B2 (ja) 1999-10-12

Family

ID=17358775

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3261217A Expired - Fee Related JP2960806B2 (ja) 1991-09-12 1991-09-12 アリールボロン酸ダイマーから成る糖の認識剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2960806B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7470420B2 (en) * 2000-12-05 2008-12-30 The Regents Of The University Of California Optical determination of glucose utilizing boronic acid adducts

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0572196A (ja) 1993-03-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9051598B2 (en) Specific detection of D-glucose by a tetraphenylethene-base fluorescent sensor
James et al. Saccharide sensing with molecular receptors based on boronic acid
CN111303139B (zh) 具有聚集诱导发光性能的化合物及其制备方法和应用
JPH10338695A (ja) インダセン誘導体
WO2011053247A1 (en) Method for the detection of an analyte by surface enhanced raman spectroscopy (sers)
JP2883824B2 (ja) ボロン酸基を有する発蛍光性化合物
Khatri et al. Synthesis of β-C-Glycopyranosyl Aldehydes and 2, 6-Anhydro-heptitols
JPH01224381A (ja) トリコスタチン酸、トリコスタチンaの新規な合成中間体、及びトリコスタチン酸、トリコスタチンaの製造方法。
JP2960806B2 (ja) アリールボロン酸ダイマーから成る糖の認識剤
CN101948365A (zh) 一种1,4-二芳基-1,3-丁二炔的制备方法
Cunha et al. De novo asymmetric synthesis of avocadyne, avocadene, and avocadane stereoisomers
EP0433188A1 (fr) Associations polymoléculaires éventuellement thermotropes dont les monomères de base sont liés entre eux par des liaisons hydrogène, un procédé servant à les préparer et les monomères de base destinés à la mise en oeuvre de ce procédé
EP2758391B1 (fr) Sondes luminescentes pour le marquage biologique et l'imagerie, et leur procédé de préparation.
JP2863883B2 (ja) 流動複屈折性を示すカリックスアレーン誘導体
JP2889476B2 (ja) スチルベンジボロン酸化合物
CN109942607B (zh) 二硼酸荧光传感器在识别核糖中的应用
CN109734737B (zh) 一种偕二硼化合物的制备方法及应用
Zhu et al. Radical-mediated construction of cyclopentane with concurrent formation of a well-defined quaternary center
KR101206123B1 (ko) 스틸벤 골격을 갖는 화합물의 합성방법
Petroski et al. Direct aldehyde homologation utilized to construct a conjugated-tetraene hydrocarbon insect pheromone
JP4725760B2 (ja) 光学活性リン酸エステル誘導体及びその用途
JP3890404B2 (ja) 配位子及びそれを用いた不斉触媒
Horton et al. Transformations of unsaturated acyclic sugars into enantiomerically pure norbornene derivatives
US20220315609A1 (en) Novel luminescent lanthanide chelate reporters, biospecific binding reactants labelled with novel luminescent lanthanide chelate reporters and their use
CN116804026A (zh) 一种壳聚糖席夫碱铜基功能材料催化制备β-甲硅烷基氮杂芳烃化合物的方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070730

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080730

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees