JP2960472B2 - 射出成形における溶融ポリマーの温度測定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、射出成形における溶融ポリマーの温度測
定装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来のスクリュー式プリプラ射出機は、第２図に示す
ように押出機100から溶融ポリマーをシリンダ101に所定
量供給し、このシリンダ101内に所定量貯留された溶融
ポリマーを射出プランジャ102によりノズル103から図示
しない金型内へ射出するようになっていた。そして、押
出機100のシリンダ101との連通口に温度センサー104を
設け、溶融ポリマーの温度を測定していた。溶融ポリマ
ーがゴム材料である場合、押出機100のスクリュー100A
で発熱された材料の温度を計測することは、射出成形
（加硫）した製品の加硫状態（品質）を管理、保証する
上で欠くことのできない重要な要素である。

また、シリンダ101とノズル103との間に流路を設け、
この流路に対し押出機100から溶融ポリマーをシリンダ1
01内へ供給するタイプのものでは、押出機100とこの流
路とがつながれる個所近傍及び／又は流路の壁に熱電対
型又は赤外線型等の温度センサーを埋設して溶融ポリマ
ーの温度を計測するものが知られている。

〔解決しようとする課題〕

溶融ポリマーの流路の壁に温度センサーを埋設したも
のでは、溶融ポリマーが流動中の温度測定となり、流路
の壁面と溶融ポリマーとの摩擦熱の影響をうけてしま
い、溶融ポリマー自体の正確な温度を測定することはで
きない。また、流路の壁面自体の温度の影響を受けてし
まうため、正確な溶融ポリマーの温度測定は困難であ
る。

そこで、この発明は、成形品の品質を管理、保証する
上で重要な溶融ポリマーの正確な温度を測定できる測定
装置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上述の目的を達成するため、この発明は、ノズルから
金型内へ射出させるための溶融ポリマーを貯留するシリ
ンダ内に溶融ポリマーを射出するための射出プランジャ
を設け、その射出プランジャの先端に溶融ポリマーの大
略中心部分へ挿入される挿入部を設け、射出プランジャ
を作動させる直前にこの温度センサーで温度を測定する
ようにしたものである。

〔作用〕

この発明の装置においては、射出プランジャの先端に
溶融ポリマー内へ挿入される挿入部を設け、この挿入部
先端に温度センサーを設けたことで、より正確な温度測
定が可能となる。さらに、挿入部が射出プランジャの中
央部に設けられ、挿入部及び温度センサーがシリンダと
ノズルとの間の流路内に入る大きさに形成されたもので
は、射出プランジャの押出時においても挿入部及び温度
センサーが邪魔にならず、温度測定後に射出プランジャ
が作動して溶融ポリマーを金型内へ射出し終ったときノ
ズルの流路内に温度センサーが収納され、スムーズな移
動を可能とする。

〔実施例〕

以下に、この発明の好適な実施例を図面を参照にして
説明する。

第１図において、押出機１（スクリュータイプ）で溶
融可塑化された溶融ポリマーＰはシリンダ２内に計量さ
れ貯留される。シリンダ２内は流路３を介してノズル４
に連通されている。ノズル４は金型５に取付けられる。
シリンダ２内の溶融ポリマーＰは射出プランジャ６によ
りノズル４から金型５内へ射出される。この射出プラン
ジャ６の先端に溶融ポリマーＰ内へ挿入される挿入部７
を設け、この挿入部７の先端に温度センサー８を設けて
ある。

このような装置のシリンダ２内において溶融ポリマー
Ｐを計量完了後15秒経過した後、溶融ポリマーＰの温度
を３秒間隔で15秒間（５回）測定する。許容範囲外の温
度である場合には警報を発するように構成する。また、
温度センサー８で測定された温度はディスプレイ上に表
示し記録するようにしておく。

ここで用いられる溶融ポリマーＰとしてゴムポリマー
を用いたとき、ゴムポリマーを射出する場合、金型５に
射出されたゴムポリマーは、その後加硫反応処理が行な
われ、次いで金型５から製品を取り出すことになる。こ
のように射出と加硫は連続した処理であるが、通常加硫
時間が10〜20分かかり、押出機１からゴムポリマーが押
し出され、シリンダ２内に滞留するゴムポリマーは、そ
の状態で放置されることになる。このことでシリンダ２
内部のゴムポリマーは内部が高く周辺部が低い温度分布
になる。さらに、ゴムポリマーの加熱は押出機１で行な
われるが押出機１の先端部とシリンダ２の間は加熱され
ない部分が有り、そのために所定の時間待機している間
にそこの部分のゴムポリマーは冷却されることになり、
シリンダ２内部のゴムポリマーの温度にバラツキが生じ
ることになる。次にシリンダ２から射出されるが、この
金型５に射出されるゴムポリマーはシリンダ２内中心部
のものが主である。即ちシリンダ２の先端とノズル４と
の間の部分のゴムポリマーは金型５の接合部隙間に入り
いわゆる製品のバリとして製品化されず、またシリンダ
２の後端部のゴムポリマーはノズル４とシリンダ２の先
端に滞在して製品化されない。金型５内に充填されるゴ
ムポリマーは、シリンダ２中央部のものが主であり、金
型５内に充填されるゴムポリマーの温度はその後の加硫
速度、ゴム品質に大きな影響を与えるために重要であ
る。

溶融ポリマーの温度測定装置において、挿入部７と温
度センサー８はシリンダ２とノズル４との間の流路３内
に入る大きさに形成されることが望ましい。なお、挿入
部７がシリンダ２や流路３の壁面から内部に対し出し入
れ可能或いは射出プランジャ６から出し入れ可能に構成
したものも採用可能であるが、溶融ポリマーの種類によ
っては好ましくない場合、例えばゴムの加硫成形を行な
う場合等は好ましくない。

〔効果〕

以上説明したように、この発明によれば、溶融ポリマ
ーの温度測定が正確となり、成形品の品質の管理、保証
する上で有利である。また、簡単な構成で正確な温度測
定が可能となる。さらにまた、挿入部を溶融ポリマーの
略中心にくるまで延ばしても、挿入部及び温度センサの
大きさがシリンダとノズルとの間の流路内に入る大きさ
に形成されるために邪魔になることはなく、より一層溶
融ポリマーの温度測定が正確となる。

この発明は、貯留されたシリンダ内の中央部において
溶融ポリマー自体の温度を測定するものであり、流動中
のポリマーやポリマーに接触するプランジャ先端の温度
を測定するものではないので、ポリマーが熱可塑性樹脂
の場合には、シリンダ内の樹脂自体の温度を正確に測定
できることにより、形成後の成形品の収縮率の管理がで
き、寸法精度の正確な成形品を得ることができる。ま
た、ポリマーが熱硬化性樹脂の場合には、正確な架橋時
間や加硫時間の予測が可能となり、成形品の材料物性が
安定する。

特に溶融ポリマーがゴムポリマーの場合、上述したよ
うにシリンダ内中央部でポリマー自体の温度を測定する
ことは重要である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の好適な実施例を示す簡略正面図、第
２図は従来例を示す断面図である。 ２……シリンダ、 ３……流路、 ４……ノズル、 ５……金型、 ６……射出プランジャ、 ７……挿入部、 ８……温度センサー、 Ｐ……溶融ポリマー。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ノズルから金型内へ射出させるための溶融
   ポリマーを貯留するシリンダ内に溶融ポリマーを射出す
   るための射出プランジャを設け、この射出プランジャの
   先端に溶融ポリマーの大略中心部分へ挿入される挿入部
   を設け、射出プランジャを作動させる直前にこの温度セ
   ンサーで温度を測定するようにしたことを特徴とする差
   出成形における溶融ポリマーの温度測定装置。
2. 【請求項２】挿入部は射出プランジャの中央部に設けら
   け、挿入部及び温度センサーがシリンダとノズルとの間
   の流路内に入る大きさに形成され、温度測定後に射出プ
   ランジャが作動して溶融ポリマーを金型内へ射出し終っ
   たときノズルの流路内に温度センサーが収納されるよう
   に構成されたことを特徴とする請求項１に記載の射出成
   形における溶融ポリマーの温度測定装置。