JP2960166B2 - 外科用インプラント - Google Patents

外科用インプラント

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、その一端には、係止部(ステム)が形成さ
れ、他端にはインプラントをそのインプラントの使用用
途に応じた位置に、特に取付けの方向と反対方向に拘束
するための拘束手段を有する頭部が形成される本体を含
んで矢状の形状に形成された外科用インプラントであっ
て、係止部が本体の外周面から突出するように形成され
て、そしてインプラントが実質的に組織に吸収されるこ
とができる重合体または重合化合物から製造され、そし
て重合体または重合化合物からなる強化構造体またはそ
れに類するものを含有するインプラントに関する。
本発明の外科用インプラントは、特に半月組織のよう
な繊維構造を含む軟質および/または丈夫な組織の創傷
の修復手術に使用されることが意図されるが、それのみ
に限られない。
この分野の従来の技術について説明すると、裂傷や外
傷のような半月組織の創傷修復には傷ついた半月組織を
取り除くよりも吸収性の縫合糸を用いて縫合する方が良
好な結果を得ることが示されている(たとえばN.A.Palm
eri,T.F.Winters,A.E.JoinerおよびT.Evans,“The Deve
lopment and Testing of the Arthroscopic Meniscal S
taple"Vol.5,No.2,1989,p.156(文献1)を参照)。し
かしながら、関節鏡視法おける縫合は、脈管および神経
に対する危険性があるので患者のリスクが重大である複
雑な技術となる。したがって、外科医の要望は、もう既
に長期間にわたって、吸収性の縫合糸を用いる縫合の技
術の利便性を備えるが、縫合技術の複雑さを要すること
がなく、より迅速に使用することができるかすがい(ス
テープル)または締め付け具のような吸収性を有する半
月の患部の固定手段を手に入れることであった。
いくつかの研究グループは、箝搾子またはそれに類す
る吸収性を有する半月の患部固定(修復)器具の開発を
試みてきた。しかしながら、そのような器具に対する要
求は高い。それは迅速な治癒が起こるように手術後に患
部組織の良好な接触状態を持続するために、充分な強度
でなければならない。その器具は、良好な治療を行うた
めに、充分な長期間その強度を維持しなければならな
い。それは、生体適合性を有していなければならず、そ
して患部の治癒の妨げとなる合併症を起こさず、吸収さ
れなければならない。さらに加えて、器具の取付けは、
容易かつ迅速であり、手術時における創傷を最小にしな
ければならない。これらの高い要求から、満足すべき吸
収性の半月の患部の固定器具は、未だに開発されていな
い。Palmeriらは、文献1の中で、関節鏡視法を適用し
た吸収性の締め付け具による半月の修復の方法の開発を
報告した。しかしながら、最終的な設計として、針で導
かれ配置されるかすがいのカニュレーション(カニュー
レ挿入)を使用していることから、報告された方法は複
雑であった。さらに加えて、かすがいの折れ、移動およ
び関節の摩耗が発見された。
この分野において、公知のインプラントについて述べ
ると、特に半月の裂傷の修復外科手術用の矢状のインプ
ラントが開示されている米国特許4873975号が参照され
るべきである。しかしながら、前記の刊行物によれば、
その矢状のインプラントは、特にその係止部が、板状に
形成され、板の平面の方向が本体の長手方向に垂直であ
るという利便性の悪いものである。この事実のために、
インプラントの取付けに際して使用される取付け用通路
が、係止部の断面形状を有して形成されなければならな
いことから、インプラントの取付けは特に困難である。
取付け用通路内でインプラントを案内することは、案内
作用が実質的に係止部のみによってもたらされることか
ら困難でもある。さらに、係止部の構造に起因して、係
止部は通常の半月の外周面から高角度で突出されたまま
の状態にされるので、特に半月に接して配置されると
き、機械的な刺激および組織の摩損を引き起こす。
本発明において、請求項1の特徴部に従う発明の外科
用インプラントを設計することにより、特に本体の長手
方向に延び、その一端が本体に連結される少なくとも1
つの羽根またはそれに類するものから実質的になる係止
部を形成し、そして、好ましくは、たとえば本体の素材
を本体に対して実質的に平行および/または斜め方向に
切り込むことにより、少なくとも部分的に素材を機会的
に加工して拘束手段を形成することによって、インプラ
ントを得て、そのインプラントは外科手術に関し、取付
け状態が充分に効果的であり、取付け後、軟質および/
または硬質の組織に対してほとんど組織刺激を引き起こ
さないということを予想外にも見いだした。
特に、しかし単にそれだけでなく、半月の裂傷または
他な損傷の外科的治療に本質的に本体の長手方向への係
止部の配置は、インプラントが取付けられたときに半月
の表面に係止部が一部残るけれども、羽根部分が実質的
に半月の方向に配置され、それによって突出部分による
組織刺激がほとんどないという利点を提供する。別の利
点は、係止部が実質的に本体の長手方向に設けられ、そ
して好ましくは、厚み方向における本体の直径と等しい
最大厚みを有することである。すなわち取付け用具の取
付け用通路は、インプラントがその本体の長さすべてに
おいて、外手術においてインプラントを取付ける段階
中、案内を受けることができる形状となっていることで
ある。外科医は、かくして正しい方向に、思いどおりの
位置に配置されるよう最大限の安心度を伴ってインプラ
ントを取付けることができる。
本発明のいくつか有利な実施態様は、付け加えられた
従属項に記述されている。これらによって得られる利便
性に関しては、以下の記載を参照されたい。
本発明は、添付された図面を参照して、以下の記載
に、さらに充分に詳述されている。
図面として、図1は、本発明に従う外科用インプラン
トの一態様の斜視図を示す。
図2〜5は、本発明に従う1つまたは複数の外科用イ
ンプラントが取付けられた半月の断面図を示す。
本発明に従うインプラントは、アメリカ特許4743257
号およびフィンランド特許出願870111号を含むいくつか
の刊行物に記載されている自己補強された吸収性の重合
体の複合材(SRAC)から製造される。重合体のSRACから
製造される骨折の固定器具は早くから知られている。し
かしながら、半月の修復手術においては、SRAC材は、過
去には知られていない。我々は、骨組織の性質(硬質お
よびもろい)に比較して、半月組織の全く異なった性質
(繊維質,軟質,丈夫および弾性)にかかわらず、SRAC
から製造された半月の修復器具が、半月の患部に良好な
固定(修復)を与えることを発見した。加えて、SRAC製
の半月の固定器具は、本発明に関連があり、同時出願に
記述されたある特別な用具とともに使用することが迅速
かつ安全であり、これは外科手術上非常に有益なことで
ある。
重合体のSRACは、次のようないくつかの理由から本発
明の手段を製造するのに理想的な原材料である。
(1)SRACから製造された半月の外傷の固定器具は強度
があり、丈夫でそして硬度もある構造であるので、早く
から知られている技術である針や挿入管などの補助的な
ガイドを使用する必要もなく、半月の組織を貫通し、裂
傷または患部を横切り、そして裂傷または損傷の他の側
の半月の組織を貫通する特別な器具によって打ち込まれ
ることができる。
(2)丈夫なSRAC製の器具は、治癒の初期段階で裂けた
半月の部分をお互いに接触させた状態で維持し、組織内
で患部や裂傷の迅速な接合に導く。
(3)SRAC製インプラントの吸収性は、吸収の後、術後
何年も経て生体中で安定した重合体のインプラントで起
こるかもしれない炎症や感染症のようなインプラントに
よる長期の合併症に連なる危険がないことを保障する。
部分的に結晶質の吸収性重合体、共重合体もしくは重
合体混合物または重合体合金は、特に本発明のインプラ
ントを製造するための素材として適切である。インプラ
ントの素材として使用することができるいくつかの適切
な重合体には、以下の刊行物によって知られている重合
体が含まれる。
アメリカ特許4700704号公報、アメリカ特許4653497号
公報、アメリカ特許4649921号公報、アメリカ特許45599
45号公報、アメリカ特許4532928号公報、アメリカ特許4
605730号公報、アメリカ特許4441496号公報、アメリカ
特許4435590号公報。
本発明のインプラントは、1つの重合体もしくは適当
な重合体合金または重合体混合物のいずれかを適用する
ことにより前記の重合体から製造することができる。
図1は、本発明に従う典型的な外科用インプラントを
示す。外科用インプラントは矢状の形状を有するように
設計され、一端が係止部2として形成され、そして他端
が頭部3として形成される本体1を構成する。頭部は、
本体1の部分に広がる拘束手段5を有する係止部2の目
的は、取付けの最終段階にインプラントを停止し、そし
てインプラントを取付けるべき位置に取付けたときに、
取付けの方向に移動してしまうことを防止することであ
る。拘束手段5は、取付けられた使用時の位置に、特に
取付けの方向と逆方向に関して、インプラントを保持す
ることが目的とされる。このように係止部2は、第1
に、上述のように拘束の目的のために、そして第2に、
インプラントの取付けに使用される用具を使うのに必要
とする打突を受けるための表面を確保する目的のために
本体1の外周面から突出している。
本発明に従えば、係止部2は、本体1の実質的に長手
方向に延びる少なくとも1枚の羽根またはそれに類する
もの4によって形成される。係止部2に連なる各羽根4
は、その一端面4aで本体1の外周面に取付けられてい
る。さらに、羽根の別の端面4bは、端面4aに垂直方向に
取付けられ、本体1の背表面1aと平行になるように設計
されている。この羽根の背側の端面4bは、取付け用具の
前面にとって必要とされる上述の広い打突を受けるため
の表面を形成するように本体1の背表面1aと実質的に同
一の平面上に位置する。羽根4またはそれに類するもの
4の厚み、すなわち幅xは、本体1の幅x方向の最大厚
さVを超えることはない。
図1に示される実施態様において、インプラントは、
2方向へ係止部2の幅において本体1から突出する2つ
の羽根4を有する。図1に示される実施態様において、
それらの部分は、羽根4がその厚み方向両側の面の中央
部に本体1の外周面によって形成される膨らみ部Kを有
する、合体板状部を形成するように、本体の長手方向か
ら見て反対方向に半径方向に突出する。
図1に示されるように、各羽根4は、羽根4の取付け
の方向において3番目の端面4cが実質的に本体1の長手
方向に交差または直交し、かくして取付け手術の終わり
に効果的な係止作用を与え、その位置にインプラントを
保持することができるように、実質的に四角形状、好ま
しくは長方形状または台形状の形状を有する。
本体1は多角形状または湾曲した断面を持っていても
よいが、好ましい実施態様としては、図1に示されるよ
うに本体1の断面形状は、ほぼ同一の厚みの円形であ
る。羽根の厚みxは、かくして円形部の直径Vよりも小
さくできる。羽根の幅xは、同一の厚みであってもよ
く、また第1の端面4aから第4番目であり、羽根4の最
も外側の端面4dに向かうに連れて、先細りまたは幅広に
なるようにしてもよい。
頭部3の尖った先端3aと、組み合わされる拘束手段5
は、本体1の外周面から完全には突出しないような形状
に形成される。このことは、まずインプラントが用具の
取付け用通路を移動することと、次にインプラントが組
織を貫通することでインプラトの取付けを容易にする。
拘束手段5は、図1に示されるように、たとえば2つの
(またはもっと多くの)等間隔をおいた継続的な列また
は不規則な構成として本体1の全外周面に鱗片構造の1
種として形成される。頭部3に連なる拘束手段5は、本
体1の重合体素材に切り込み6またはそれに類するもの
を作ることによって形成される。そして、拘束手段には
本体1に連なる基部5aと体部5bとインプラントの係止部
2の方向を向く頭部5cとから成り、戻りまたそれに類す
るものとして本体1の素材の部分を離反するのに用い
る。切り込み6またはそれに類するものは、前記拘束手
段5の頭部5cが形成される第1の実質的に湾曲片6aと、
拘束手段5の体部5bが形成される本体1の長手方向に実
質的に平行な第2部分6bとを含んで形成される。インプ
ラントの取付け位置において、もしインプラントが、イ
ンプラントの取付け方向と反対方向に移動させるような
外力を受けると、拘束手段5は本体の外方に向かうよう
になる。このように、本体全外周に設けられて、本体の
長手方向に関して隣接した2列に位置される拘束手段5
の鱗片構造は、係止部の取付けの方向と逆方向への移動
を防止する。本体1の拘束手段5を形成する素材、特に
頭部5cは、本体1の外周部から突出するように曲げられ
るように、切り込み6が本体1の内部に傾斜角をつけて
向かうよう切り込み手段によって形成されうることは自
明である。
拘束手段5は、このような、少なくとも部分的に細
工、たとえば切り込みによって本1の素材に実質的に本
体1の長手方向に形成される。拘束手段5の部分は、た
とえばアメリカ特許4873976号に開示されている構造に
形成されてもよい。
図2〜図5は、図1に示した3つのインプラントDが
いかに半月の創傷部Lの固定に使用されるかを図式化し
て示してある。インプラントでの本体2(実線)は半月
の外(上)表面に存在する。インプラントの本体および
頭部(破線)は、半月組織の中に存在する。図3は図2
のX−X方向の垂直面の断面図において、本体1および
頭部3が半月組織の中に存在し、そして係止部2が少な
くとも部分的に半月の表面に存在できるには、どのよう
にして、半月の修復用インプラントが患部Lを貫通する
かを示す。図4に示されるように、半月組織の内部に完
全にインプラント打ち込んでしまうことも可能である。
このような場合、関節腔の内側での刺激は最小である。
関節包NK付近の裂傷においては、図5に示すように、頭
部3は半月組織を関節包NK内まで貫通できる。
本発明の自己強化性の吸収性のインプラントは、吸収
性重合体、共重合体もしくは重合体混合物または重合体
合金からいくつかの方法を用いて製造できる。自己強化
性の構造を作るために、吸収性繊維(結合用重合体粉末
を添加することも可能)を圧縮型で焼結するのに、たと
えばアメリカ特許4743257号の技術を使用することが可
能である。本発明のインプラントは、単一の圧縮成形サ
イクルにおいて成形できるし、または焼結後に少なくと
も部分的に機械加工(熱を加えることも可能)されても
よい。
自己強化構造は、吸収性の重合体熔融物を高速および
高圧で適切な型(ダイ)を通してまた適当に型(鋳型)
に流し込み、押し出しまたは射出成形の間に形作ること
ができる。適切な条件で冷却されると、自己強化構造体
として融成物の流れる方向に固体が残る。好適な実施態
様において、型は、インプラントの形状を有していても
よいが、射出成形または押し出し成形された半完成品を
機械加工し(および加熱が可能)本発明のインプラント
としてもよい。
本発明の自己強化性のインプラントは、また国際公開
WO88/05312号公報に記載されている棒および羽根のよう
な、自己強化され、押し出し、または射出成形されそし
て引き延ばされた半完成品を機械加工して(および/ま
たは加熱を用いて)製造することができる。
本発明のいくつかの有利な実施態様において、自己強
化構造の強化要素は、主に、インプラントの係止部の長
軸の方向に方向付けられる。その強化要素は、またイン
プラントの長軸にそって螺旋状に回りついてもよい。ま
た、複合材の技術でよく知られている引き延ばされた試
料で強化要素の他の異なった方向付けを適用してもよい
(たとえばEngneered Materials Handbook,voluml Comp
osites,ASM International,Metals Park,Ohio 44073 US
A 1988を参照)。しかしながら、本発明のインプラント
の自己強化の一般的な特徴は、強化要素の主要部は半月
の治癒しつつある組織に外部から(患者のひざの動きの
ため)向けられた(引っ張り,曲げ,剪断力)様々な荷
重(引っ張り、曲げ、そして剪断)を効果的に受けるこ
とができるように方向付けされることである。
本発明の有利な実施態様によれば、半径の修復インプ
ラントは、1種または複数の抗生物質、化学療法物質、
傷の治癒を促進する物質、成長ホルモンなどのような生
体活性物質が含まれてもよい。このような生体活性の半
月の修復インプラントは、機械的な支持効果に加えて創
傷部の治癒に生化学的な(薬などとして)効果を与える
ので、特に有利である。
インプラントの自己強化性素材は、典型的に100〜500
MPaの引っ張り強さ、100〜400MPaの曲げ強さ、80〜200M
Paの剪断強さを有する。付け加えて、それらは通常、硬
質であり、丈夫さを有する。これらの機械的性質は、典
型的には強さが40〜100MPaであり、加えて非常に柔軟な
またはもろい非強化性、吸収性重合体に比べて優れてい
る(たとえばS.Vainaonpa,P.RokknenおよびP.Tormala,
“Surgical Applications of Biodegradable Polymers
in Human Tissues",Progr.Polym.Sci.14(1983),pp.67
9−716を参照)。
本発明のインプラントと用具は、インプラント、用具
またはその構成部を製造するために使用される素材の種
類によって、通常よく知られている殺菌消毒技術をもっ
て殺菌消毒される。適切な殺菌消毒技術は、熱または水
蒸気殺菌、コバルト60照射殺菌または電子ビームのよう
な放射線殺菌、エチレンオキシド殺菌およびそれに類す
るものを含む。
本発明そして含まれるいくつかの特定の実施態様を上
記のように記載した後、多くの変形と修正が、本発明の
精神および範囲から逸脱することなく、発明に為される
ことは当業者にとって明白である。以下の例は、本発明
のインプラントの製造さらに本発明のインプラントおよ
び用具の使用について説明する。
実施例1 型を、図1中の器具の幾何学形状に実質的に一致する
半月修復インプラントのトラスファー成形、圧縮成形
(焼結)および射出成形を目的として、形作った。製造
されるインプラントの寸法は、頭部3に連なり、継続す
る2本の列に設けられる拘束手段5の長さがおよそ2m
m、円筒状の本体1の厚みが1.4mm、羽根4の幅xが1.1m
m、端面4aの寸法が3mm、端面4b,4cの寸法が1.5mmであっ
た。インプラントの全長は15mmであった。拘束手段5の
形成に必要とされる切り込みは、圧縮段階の後の別の段
階において行われた。
本発明のインプラントは、以下のようにトランスファ
ー成形によって製造された。
グリコリド/ラクチド(90/10)共重合体の融成物
((T=25℃)0.1%ヘキサフルオロイソプロパノール
溶液において、内部粘度|n|=1.5)と、同一の素材で長
さ8mmの繊維を混合した。融成物繊維混合物は、インプ
ラントの型の中に速やかに射出冷却された。インプラン
トの繊維含有率は、30%(w/w)であった。これらの自
己強化性吸収性インプラントの曲げ強さは、140MPaであ
った。グリコリド/ラクチドの共重合体融成物から製造
された非強化性の器具の曲げ強さは、80MPaであった。
実施例2 実施例1の型が、インプラントを圧縮成形によって製
造するために使用された。グリコリド/ラクチドの共重
合体縫合糸(VicrylR)(サイズ2USP)を空にされた型
の中でおよそ4分間185℃に加熱したところ縫合糸の繊
維単位部分的な溶解が起こった。素材は、2000バールの
圧力を用いて図1の器具に圧縮成形されてそして急冷さ
れた。これらの自己強化インプラントの剪断強さは、12
0MPaであった。グリコリド/ラクチドの共重合体融成物
から製造された非強化性の手段の剪断強さは70MPaであ
った。
実施例3 実施例1の型は、圧縮成形によって本器具を製造する
ために用いられた。ポリグリコリド縫合糸(DexonR
(サイズ2USP)は、空の型の中で2000バールの圧力でお
よそ5分間224℃に加熱された。柔軟にされた繊維素材
は、部分的に融合されて、図1のインプラントのように
形作られた型の空洞部分に満たされた。型は急冷され
て、そしてインプラントが取り出された。これらの自己
強化性吸収性の製造の引っ張り強さは、160MPaであっ
た。ポリグリコリド融成物から製造された対応する非強
化性のインプラントの引っ張り強さは、80MPaであっ
た。
実施例4 ポリグリコリド縫合糸(DexonR)(サイズ2USP)は、
T=230℃において溶融された。重合体融成物は、素早
く連続的なDexonR縫合糸によって部分的に満たされた型
の中に素早く射出され、型は急冷された。自己強化性イ
ンプラントの繊維含有率は、40%(w/w)であり、その
剪断強さは、120MPaであった。ポリグリコリド融成物か
ら製造された対応する非強化性インプラントの剪断強さ
は50MPaであった。
実施例5 吸収性重合体の異性体が、本発明のインプラントを製
造するために適用されてもよい。たとえば、ポリ−L−
ラクチド(PLLA),ポリD−ラクチド(PDLA),ポリ−
DL−ラクチド(PDLLA)のようなポリラクチドの異性体
異なった量のL−ユニットおよびD−ユニットを含有
するL−ラクチドおよびD−ラクチドの共重合体が繊維
形状のものとして使用されてもよいし、またれそらの繊
維の混合物をインプラントに焼結してもよい。PLLAは、
約180℃の融点を有する部分的結晶の重合体である。D
−ユニットを含有している異性体は低い融点を有する。
これによって、自己強化性インプラントの多くの種類
が、PLLAの繊維を使用するポリラクチドの異性体からま
たは強化繊維としてD−ユニットを低い含有率で含む共
重合体およびマトリックスとしてD−ユニットを高い含
有率で含有する共重合体から製造されてもよい。自己強
化素材は、たとえば異性体マトリックスとして繊維糸ま
たは対応する強化構造を、加熱そして加圧手段によって
お互いに混合することによって製造できる。
ポリ−L−ラクチド(PLLA)繊維(繊維径120μm,PLL
Aの分子量=700000)の束および細かく破かれた粉末状
のDL異性体(分子量=100000)は、機械によって互いに
混合され実施例1の型内で5分間、165℃、2000バール
の圧力によって圧縮成形し、急冷した。自己強化性のイ
ンプラントの繊維含有率は50%で、それらの曲げ強さ
は、200MPaであった。重合体融成物から製造された非強
化性棒体の曲げ強さは、PLLAで600MPaであり、そしてポ
リ−DL−ラクチドで50MPaであった。
実施例6 ポリ−L−ラクチド(分子量=700000)繊維(繊維径
100μm)、実施例1の圧力が一定に保たれた型の中
で、2000バールの圧力で約6分間174℃に加熱した。柔
軟にされた繊維素材は、互いに部分的に融着され、型を
満たし、そして型は室温まで急冷された。このような自
己強化性吸収性インプラントの引っ張り強さは、120MPa
であった。ポリ−L−ラクチド融成物から製造された対
応する非強化性インプラントの引っ張り強さは、50MPa
であった。
実施例7 ポリ−β−ヒドロキシ酪酸繊維(繊維系100μm)
を、実施例1の圧力が一定に保たれた型の中で、2000バ
ールの圧力で5分間175℃に加熱した。柔軟にされた繊
維素材が、互いに部分的に融着され、そして型は室温ま
で急冷された。このような自己強化性吸収性複合体器具
の曲げ強度は、100MPaであった。ポリ−β−ヒドロキシ
酪酸融成物から製造された対応する非強化性インプラン
トの曲げ強さは、40MPaであった。
実施例8 ポリジオキサノン縫合糸(PDS of Ethicon;サイズ
0)を実施例1の圧力が一定に保たれた型の中で、2000
バールの圧力で6分間103℃に加熱した。柔軟にされた
繊維素材は互いに部分的に融着され、そして型は室温ま
で急冷された。このような強化性吸収性複合体インプラ
ントの剪断強さはは、140MPaであった。ポリジオキサノ
ン繊維から製造された対応する非強化性インプラントの
剪断強さは、50MPaであった。
実施例9 ポリグリコリド混合糸を30%(w/w)含有しているグ
リコリド/ラクチドの共重合体縫合糸(VicrylR;サイズ
1)を、実施例1の真空状態にされた型の中で6分間18
0℃に加熱した。すると、ビクリル縫合糸のグリコリド
/ラクチド縫合糸ユニットが部分的に溶融した。その素
材は、2000バールの圧力でインプラントに圧縮成形され
て、室温に急冷された。
その内部にポリグリコリド縫合糸が埋没された、自己
強化性グリコリド/ラクチド素材からなる混成複合体の
棒体が得られた。混成複合体材の曲げ強さは、250MPaで
あった。ポリグリコリド縫合糸を30%(w/w)含み、自
己強化されたグリコリド/ラクチドの共重合体融成物か
ら製造された対応する複合体の曲げ強さは200MPaであっ
た。
実施例10 ポリグリコリド/トリメチレンカーボネートの共重合
体(Maxon of Davis+Geck)から製造されたモノフォラ
メント縫合糸(サイズ0)を実施例1の圧力が一定に保
たれた型の中で4分間220℃に加熱し、最後の1分間だ
けに2000バールの圧力を加えた。縫合糸は、部分的に互
いに融着し、型は室温に急冷された。剪断強さが130MPa
の自己強化性吸収性の器具が得られた。完全に溶融した
アクリン(Maxon)縫合糸から製造された対応する非強
化性インプラントの剪断強さは60MPaであった。
実施例11 ポリ−L−ラクチド(PLLA;分子量700000)を、直径
(φ)4mmの連続的な円筒状の棒状に押し立た。棒体
は、棒体の温度90℃〜130℃に昇温させながら、断面減
少率10で引き抜きされた。引き抜きされた棒体からなる
自己強化構造(微細な繊維状)は顕微鏡で観察した。
自己強化性の棒体は、およそ20mmの長さに切断され、
図1に示されるように(T=175℃に)に加熱された型
の中で棒体の一端へ係止部を取付け、および頭部への拘
束手段を切り込まれることによって本発明のインプラン
トへ形成された。
前記の方法によって製造されたインプラントは250MPa
の曲げ強さおよび170MPaの剪断強さを示した。
実施例12 ポリグリコリド(分子量約50000)は、4.4mmの直径を
有する連続的な棒体に押し出された。その棒体は、1.3m
mの直径を有する自己強化性棒体に160℃で引き抜きされ
た。連続的な棒体は、約21mmの片に切断されて、それに
は、係止部が実施例11の型の中で230℃において形成さ
れ、拘束手段が頭部に連なっている状態で形造られた。
これらの本発明のインプラントは、360MPaの曲げ強さお
よび250MPaの剪断強さを示した。
実施例13 ポリグリコリド/トリメチレンカーボネートの共重合
体から製造されたモノフィラメント縫合糸(サイズ2;Ma
xon of Davis+Geck)は、5〜10mmの片に切断され、溶
融され、独立独行のピストン押し出し機によって直径4.
4mmを有するような連続的な棒体に押し出された。棒体
は、140℃〜195℃において1.1mmの直径を有するような
自己強化性の棒体に引き抜きされた。連続的な自己強化
棒体は、およそ21mmの片に切断されて、係止部および頭
部が、実施例11の方法に従って引き込みされ、T=220
℃においてアップセッテングによって形成された。これ
らの本発明の器具は、140MPaの剪断強さを示した。
上記実施例の曲げ強さ測定法は、特別に構成された支
持体の上で頭部および係止部を支持し、そして5mm/mmの
速度でクロスヘッドを用いて中央部分からインプラント
を曲げることによる、3点曲げ法を用いて行われた。剪
断強さは、パンチテスタを用いてインプラントの中央部
分で測定された。
強さの値は、室温(22〜23℃)において機械式試験機
(J.J.Lloyd Instruments社製,イギリス)によって測
定された。
実施例14 ポリ−L−ラクチド(分子量およそ100000)とポリ−
D−ラクチド(分子量およそ100000)とは、押し出し器
において溶融状態で(混合比1:1)に混合された。この
合金は、4.4mmの直径を有する棒体に押し出され、そし
て220℃の融点を示す立体複合素材に固化された。棒体
は、180℃に加熱され、1.1mmの直径を有するような自己
強化性棒体に引き抜きされた。自己強化性の棒体は21mm
の片に切断された。これらは、実施例13の型を用いて22
0℃において例13の矢状の形状をしたインプラントにす
え込み(アップセット)された。これらのインプラント
は、280MPaの曲げ強さを示した。非強化性の射出成形さ
れた棒体は、120MPaの曲げ強さを示した。
実施例15 実施例14のポリ−L−ラクチドとポリ−D−ラクチド
との混合物は0.8mm厚みのモノフィラメントに押し出さ
れ、110℃において100μmの直径を有する繊維に引き抜
かれた。立体複合体繊維は、圧縮成形型中、2000バール
の圧力下で、5分間に23℃から222℃に加熱して本発明
の器具に焼結された。これらの自己強化性ポリラクチド
の立体複合体インプラントは、220MPaの剪断強さを示し
た。同じポリ−L−ラクチドとポリ−D−ラクチドの融
成物から射出成形によって製造された対応する非強化性
のインプラントは、95MPaの剪断強さを示した。
実施例16 実施例1のインプラントの寸法を有する自己強化イン
プラントのいくつかの種類を、実施例1〜実施例15に従
う方法によって製造し、羊から得られた死体の半月の組
織中に本発明と平行した(同時出願)発明である“外科
用取付用具”発明に開示されている方法によって打ち込
まれた(特許出願の写しが同封されている)。
予備孔(長さおよそ15mm)が、半月組織の表面に対し
て約45度の角度で1.2mmの直径を有する鋼製パンチによ
って組織中に作られた。インプラントの頭部の端部は、
予備孔の中に慎重に挿通され、そしてインプラントは、
半月組織の予備孔に打ち込まれた。各インプラントの素
材を試験する際に、5つのインプラントを平行して適用
した。実施例1〜4,6,9,11,12および14に従って製造さ
れたすべての自己強化インプラントは、破断したり、ね
じ曲がったりすることなく半月組織の中にうまく埋没し
た。実施例5,7,8,10および13に従って製造された総数7
本のインプラントは、捩れまたは曲がりを起こして正し
く埋没しなかった。しかしながら、それらは、破断はし
なかった。
打ち込み比較試験は、射出成形された実施例1〜10に
従って製造されたインプラントを用いて行われた。21本
のインプラントが(原材料によって)打ち込みの最中に
ねじ曲がりおよび/または破断した。
これらの死体を用いた研究は、本発明の自己強化イン
プラントが、半月組織の中に打ち込みをする際に破断さ
れないことを示した。本願に開示された打ち込み方法
は、これらのインプラントにとって適している。正反対
に非強化性インプラントの多くは、破断された。したが
って、これらは容易かつ迅速な前記打ち込み方法で適用
できない。
実施例17 実施例1の寸法に従う本発明のインプラントを、外科
的に生じさせた羊の半月組織の患部の実験的固定に使用
した。以下の自己強化性(SR)インプラントが使用され
た:実施例3のSR−PGAインプラント,実施例4のSR−P
GAインプラント,実施例6のSR−PLLAインプラント,実
施例9のSR−PGA/PLAインプラント,;実施例11のSR−PLL
Aインプラント,実施例12のSR−PGAインプラントおよび
実施例15のポリラクチド−立体複合体インプラント。2
匹の動物がそれぞれの場合について手術された。本器具
は、外科的に生じさせた半月の患部に、関節切開法を用
いて直接的に視覚化された状態で、半月組織の中に本発
明の用具を用いてそれぞれ打ち込むことによって適用さ
れた。手術中にインプラントの破断、ねじ曲がりまたは
不都合な移動が起きなかった。2匹の患部が修復されな
かった動物が対照として使用された。12週間後、動物は
殺されて、半月が調べられた。対照動物は、制御されて
いない治癒と半月組織のずれを示した。本発明の器具を
用いて治療された半月の大部分(およそ80%)は、患部
全体を組織素で治癒し良好によくなった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 テールメーレ,ペルッティ フィンランド国 エスエフ―33710 タ ムペーレ ルネベルギンカツ 3 アー 1 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61B 17/56 - 17/60

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】矢状の形状に形成され、その一端が係止部
    2として形成され、他端がインプラントをインプラント
    の使用用途に応じた位置に、特に取付けの方向と反対方
    向に、拘束するための拘束手段5を備えた頭部3として
    形成される本体1を含んでなり、係止部2が本体1の外
    周面から突出し、そして実質的に組織に吸収性されうる
    重合体または重合化合物から製造されそして重合体また
    は重合化合物からなる強化構造またはそれに類するもの
    を含有する外科用インプラントであって、係止部2は、
    本体の長手方向に沿って延び、その一端面4aで本体1に
    連なる少なくとも1つの羽根またはそれに類するもの4
    から実質的に形成され、そして拘束手段5は、たとえば
    本体1に対して平行および/または斜めの方向に本体1
    の素材を切り込むなど少なくとも部分的に素材への機械
    加工によって、好ましくは形成されることを特徴とする
    外科用インプラント。
  2. 【請求項2】羽根4またはそれに類するものの厚み幅x
    は、幅xの方向において本体1の最大幅Vを超えないこ
    とを特徴とする請求項1記載のインプラント。
  3. 【請求項3】2方向またはそれ以上の方向に本体1から
    突出する少なくとも2つの羽根4またはそれに類するも
    のを含むことを特徴とする請求項1記載の外科用インプ
    ラント。
  4. 【請求項4】羽根構造は、羽根4を2枚含みそしてその
    羽根4が、本体1から相互に反対の方向にそれぞれ突出
    することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    インプラント。
  5. 【請求項5】羽根4は、多角形、実質的には、四角形、
    好ましくは長方形の形状を有し、本体1の背表面1aに連
    なる羽根4の背側部の端面4bは、前記背表面1aと同一の
    平面内に存在し、そして羽根4の前方の端面4cは、本体
    1の長手方向に対し、交差することを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載のインプラント。
  6. 【請求項6】本体1の横断面形状は、実質的に、多角形
    状または湾曲形状であり、好ましくは本体1の長手方向
    に関しほぼ同一の寸法を有する円形の形状であって、そ
    して羽根4の厚み幅xは前記円形形状の直径Vよりも小
    さいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の
    インプラント。
  7. 【請求項7】羽根4は、実質的に均一な厚みを有するこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインプ
    ラント。
  8. 【請求項8】拘束手段5は、本体1の中で鱗片構造とし
    て、好ましくは頭部3に連なって本体1の全円周囲に形
    成されることを特徴とする請求項1記載のインプラン
    ト。
  9. 【請求項9】頭部3に連なる拘束手段5は、本体1の素
    材に作られた切り込みまたはそれに類するものによって
    形成され、本体1に連なる戻りまたはそれに類するもの
    として本体の素材を一部分けるのに用いられ、そして体
    部5bおよび頭部5cがインプラントの係止部2の方向に向
    き、それらによって前記戻りまたはそれに類するものが
    列そして/または不規則な順序で前記鱗片構造を形成す
    ることを特徴とする請求項8記載のインプラント。
  10. 【請求項10】切り込み6またはそれに類するものは、
    少なくとも拘束手段の頭部5cが形成される第1の実質的
    に湾曲片6aと、拘束手段の体部5bが形成される実質的に
    本体の長手方向に平行な第2の切片とを含有してなるよ
    うに、形成された前記拘束手段5のいくつかに入るかま
    たは、切り込み6が少なくとも前記拘束手段5のいくつ
    かに入り、本体1の内部に向かって斜めに方向付けられ
    た実質的に真っすぐな切片であることを特徴とする請求
    項8に記載のインプラント。
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