JP2959306B2 - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JP2959306B2
JP2959306B2 JP4315210A JP31521092A JP2959306B2 JP 2959306 B2 JP2959306 B2 JP 2959306B2 JP 4315210 A JP4315210 A JP 4315210A JP 31521092 A JP31521092 A JP 31521092A JP 2959306 B2 JP2959306 B2 JP 2959306B2
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竹夫 渋川
英道 木村
隆一 飯野
和郎 春山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、演奏操作子の操作強
度(速度)に基づいて楽音を制御する電子楽器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子鍵盤楽器において、演奏者の押鍵の
強さを検出する方式の一つに2メイクスイッチを用いた
ものがある。2メイクスイッチはオンする押鍵の深さが
微妙に異なる2個のスイッチを一体にしたもので、一方
がオンしてから他方がオンするまでの時間差によって押
鍵の強さ(速さ)を検出するようにしたものである。検
出回路では、この時間差を量子化して例えば0から12
7などの数値データに変換する。この数値データは後段
の楽音合成回路において楽音のレベルやその他の特性制
御に用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような時間差によ
る押鍵力検出方式では、押鍵速度がある程度以上になる
とそれ以上速く押鍵しても同じステップに量子化されて
しまう。すなわち、押鍵速度の分解能が飽和してしま
う。速い押鍵に対する分解能を確保するためには、各ス
イッチがオンする深さの差を大きくする必要があるが、
このようにした場合にはゆっくりとした押鍵に対する分
解能が悪くなるうえ、発音遅れの原因にもなってしま
う。
【0004】この発明は、通常の押鍵力を精度よく検出
することができ、且つ、極めて強い押鍵力も飽和するこ
となく検出できる電子楽器を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、演奏操作子
と、この演奏操作子の操作力をそれぞれ異なる範囲で検
出する第1、第2の検出手段と、第1の検出手段の検出
内容に基づいて楽音を制御する第1の楽音制御手段と、
第2の検出手段の検出内容に基づいて楽音を制御する第
2の楽音制御手段と、前記演奏操作子の操作に応じて揺
し、該演奏操作子と別体の質量体と、を備え、前記第
2の検出手段は前記質量体が当接したときの衝撃の大き
さを検出する衝撃検出用のセンサで構成したことを特徴
とする。
【0006】
【作用】この発明では、第1,第2の検出手段がそれぞ
れ異なる範囲で操作力を検出する。一方の検出手段が弱
い(通常の)範囲の操作力を検出し、他方の検出手段
(衝撃検出用のセンサ)が強い範囲の操作力を検出する
ようにし、これに基づいて第1,第2の楽音制御手段が
楽音を制御する。ここで、衝撃検出用のセンサは演奏操
作子の操作に応じて揺動し、該演奏操作子と別体の質量
体が当接したときに、その衝撃の大きさを検出するた
め、このセンサ出力によって演奏操作子の強い操作によ
る楽音制御が可能になる。これにより、演奏操作子の弱
い操作から強い操作までを正しい分解能で検出して的確
な楽音制御を行うことができる。
【0007】
【実施例】図1,図2はこの発明に係る鍵盤の構造を示
す断面図である。図1は通常状態を示す図であり、図2
は押鍵時の状態を示す図である。また、これらの図は1
個の白鍵の構造を示している。
【0008】白鍵1はピン5を介してフレーム3に揺動
自在に係止されている。白鍵1は白色の合成樹脂を射出
成形したものであり、フレーム3は金属板を屈曲成形し
たものである。フレーム3は鍵盤の全音域(全鍵)にわ
たって同一に形成されており、白鍵および黒鍵が等間隔
に配列される。フレーム3の後端部(図中右端)内側に
は各鍵の取付位置に前記ピン5が固着されている。5オ
クターブの鍵盤であればピン5が61個並列に固着され
ていることになる。
【0009】また、鍵1の下方にはハンマ2が配設され
ている。質量体であるハンマ2は押鍵に伴って2メイク
スイッチ4をオンし、圧電センサ10を加圧(衝突)す
るとともに、演奏者にはピアノような慣性力あるキータ
ッチを実現するため略S字形に形成されている。ハンマ
2はフレーム3に固着されたピン6を支点として揺動自
在に支持されている。ハンマ2下面のピン6に近接する
位置には二本の突出部13a,13bを有するスイッチ
駆動部13が下向きに形成されている。同様にピン6に
近接する位置のハンマ2上面にはアクチュエータ部12
が水平方向に突設されている。また、白鍵1は下方に開
口した箱形状をなしており、その箱形状の側壁部下端に
は、前記アクチュエータ部12に上方から当接するハン
マ駆動部(凹部)11が形成されている。白鍵1が押し
さげられたとき、ハンマ駆動部11がアクチュエータ部
12を押し下げることによってハンマ2が反時計廻りに
揺動する。また、このハンマ2とフレーム3との間には
板バネ7が張架されている。この板バネ7は上方に湾曲
するように係止されている。このように係止されること
によりハンマ2を上方(時計廻り)に付勢し、押鍵によ
ってハンマ2が下方に揺動したとき復帰力を与える。
【0010】一方、フレーム3のスイッチ駆動部13に
対向する位置には2メイクスイッチ4が設けられてい
る。2メイクスイッチはスイッチ駆動部13の2本の突
出部13a,13bに対向する2個の導電ゴムスイッチ
4a,4bを有している。この導電ゴムスイッチはプリ
ント基板上の導体部とその上に被せられた半球形の導電
ゴムとを両接点とするスイッチで、導電ゴムが押し潰さ
れて導体部と接触したときオンするスイッチである。こ
の導電ゴムが前記スイッチ駆動部13の突出部と対向す
るように設置される。押鍵時に、スイッチ駆動部13の
2本の突出部13a,13bは2個の導電ゴムスイッチ
4a,4bに対して前後して接触・押圧する。すなわち
ハンマ2の支点側の突出部13aが先に導電ゴムスイッ
チ4aに接触・押圧し、そののちに図中左側の突出部1
3bが導電ゴムスイッチ4bに接触・押圧する。この時
間差は押鍵速度が速いほど短くなる。制御部は、この時
間差をイニシャルタッチのデータ(キーベロシティデー
タ)として用い、2個目の導電ゴムスイッチがオンした
ときキーオンと判断する。前記時間差は量子化されて7
ビット(0〜127)のデータにコード化される。
【0011】また、白鍵1の先端部下方にはフック15
が形成されている。このフック15はフレーム3の溝部
(図示せず)に係合している。これにより、白鍵1の揺
動範囲が溝部の開設されている範囲に規制される。一
方、ハンマ2の揺動範囲はフレーム3に設けられている
上側ストッパ8,下側ストッパ9によって規制される。
【0012】これら上側ストッパ8,下側ストッパ9は
フェルト製である。押鍵されていないときハンマ2は上
側ストッパ8に下から当接して停止しており、押鍵され
たときハンマ2は下側ストッパ9に上から当接して停止
する。この下側ストッパ9上面には圧電センサ10(図
3参照)が設置されている。圧電センサ10は押鍵時に
ハンマ2が衝突したとき生じる物理的な歪みを電気信号
として出力する。この歪みによる電気信号は量子化され
て7ビットのデータにコード化されるが、このデータは
前記2メイクスイッチ4の時間差データに比べて速い
(強い)押鍵に対してリニアな特性をもっているため、
強い押鍵の強度を高い分解能で検出するのに適してい
る。
【0013】圧電センサ10は図3に示すように金属製
のベース17上に接着されている。
【0014】ベース17は各鍵に対応する圧電センサ1
0が他の鍵の影響を受けないように圧電センサ10の取
付部17aは舌状に形成されている。取付時には、ハン
マ2の衝突によって圧電センサ10が損傷を受けないよ
うにベース17を上向きにして設置される。また、圧電
センサ10をフェルト製の下側ストッパ9内部にサンド
イッチ状に設置してもよい。
【0015】白鍵1を押鍵すると、白鍵1が反時計廻り
に揺動するとともに、ハンマ駆動部11,アクチュエー
タ部12の当接によってハンマ2も反時計廻りに揺動す
る。
【0016】この揺動によりスイッチ駆動部13a,1
3bが2メイクスイッチ4a,4bを順次オンしてゆ
く。白鍵1はフック15がフレーム3の溝部(図示せ
ず)の下端に達したとき停止し、ハンマ2は下側ストッ
パ9(圧電センサ10)に衝突して停止する。
【0017】離鍵時には板バネ7の弾性力によりハンマ
2は上側ストッパ8の位置まで復帰し、白鍵1もフック
15がフレーム3の溝部の上端に達するまで上方に揺動
して停止する。
【0018】このような構造を備えた鍵盤を用いた電子
楽器の例を図4,図5に示す。この電子楽器は、上記構
造を有する鍵盤30を備え、各鍵のオン/オフおよびイ
ニシャルタッチデータをキースキャン回路31で検出す
る。検出されたオン/オフデータ,イニシャルタッチデ
ータは音源制御部34に入力される。音源制御部34は
キースキャン回路31から入力されたキーオン/オフデ
ータ,イニシャルタッチデータに基づいて各種のパラメ
ータを生成して楽音合成回路35に送出する。
【0019】生成するパラメータは、キーコードKC,
キーベロシティKV,キーオン/オフデータKON/O
FF,EGパラメータである。楽音合成回路35で合成
された楽音信号はミキシング回路36を介して出力され
る。
【0020】図5は前記楽音合成回路の詳細なブロック
図である。この楽音合成回路はノイズ音発生回路40,
楽音発生回路42の2種類の楽音信号発生回路を備えて
いる。楽音発生回路42はピッチの定まった楽音信号を
発生する回路であり、キーオン/オフデータKON/O
FFで発音/消音を制御し、キーコードKCで音高を決
定し、キーベロシティKVで振幅を制御する。またEG
パラメータでエンベロープを制御する。ピッチの定まっ
た楽音信号は発音開始から消音までエンベロープに基づ
くレベルで発生される。ノイズ音発生回路40はピッチ
のない音(ノイズ音)を発生する回路であり、キーオン
/オフデータKON/OFFで発音/消音を制御する。
ノイズ音は発音開始時の非定常的な振動を表現するため
に用いられる。このため、ノイズ音発生回路40が発生
したノイズ音はエンベロープ付与回路41に入力されて
エンベロープが付与される。付与されるエンベロープは
発音開始時のみのパルス的なものである。エンベロープ
が付与されパルス的にされたノイズ音はミキシング回路
43でピッチの定まった楽音信号と加算合成される。こ
の楽音信号はフィルタ回路44に入力される。
【0021】ここで、鍵盤30は各鍵毎に圧電センサ3
0aを有している。圧電センサ30aが検出したハンマ
2の衝突による電気信号(衝撃信号)はA/D変換器3
2に入力される。A/D変換器32ではこの衝撃信号を
0〜127に符号化された衝撃データDSOに変換する
とともに、アナログの衝撃信号のままで波形整形回路3
3に出力する。ディジタルに変換された衝撃データDS
Oは音源制御部34および楽音合成回路35に入力され
る。
【0022】波形整形回路33は例えばローパスフィル
タなどで構成され、衝撃信号をある程度滑らかにしたの
ちミキシング回路36に出力する。ミキシング回路36
では楽音信号に直接この衝撃信号を加算する。
【0023】音源制御部34はこの衝撃データDSOに
基づいてFILTERパラメータを生成する。FILT
ERパラメータは楽音合成回路35に出力される。楽音
合成回路35は衝撃データDSOをエンベロープ付与回
路41に入力し、ノイズ音のエンベロープのレベルや長
さを制御する。また、FILTERパラメータはフィル
タ回路44に入力され、フィルタの特性の制御に用いら
れる。
【0024】フィルタ回路44におけるフィルタの特性
制御の例を図6に示す。衝撃データDSOが大きいと
き、フィルタのカットオフ周波数を上げる。特定の
帯域をブーストする。の2方式がある。の方式を採用
すると楽音の高音成分が増え、強く叩いたときのカンと
いう楽音の印象を強調することができる。また、の方
式を採用すると低音域が大きくなり、鍵盤のゴトンとい
う音を表現することができる。,の方式を併用して
もよい。
【0025】なお、圧電センサ30aが検出した衝撃信
号をそのまま楽音に加算する方式、衝撃データDSOに
基づいてノイズ音のエンベロープを制御する方式、およ
び、衝撃データDSOからFILTERパラメータを生
成しフィルタ回路44の特性を制御する方式は、それぞ
れ独立して実施可能であり、1方式のみを用いてもよ
く、任意の2方式を用いてもよい。また、3方式を全て
用いてもよい。
【0026】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、第1の
検出手段によって演奏操作子の相対的に弱い操作力の範
囲で楽音制御を行い、第2の検出手段によって演奏操作
子の相対的に強い操作力の範囲で楽音制御を行うため、
演奏操作子が弱く操作されたときも強く操作されたとき
もそれに適した楽音制御が可能になるとともに、第2の
検出手段は質量体の当接による衝撃の大きさを検出する
衝撃検出用のセンサで構成されるため、多数のセンサ群
を用いる必要がなく構成が非常に簡単になる利点があ
る。このため、従来表現できなかった強打鍵域での表現
力をつけるとともに、通常の押鍵においても鍵の操作の
違いにより、実際の鍵盤楽器で行われるような付加音の
発音を行うことができる電子楽器を実現できる。
【0027】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例である鍵盤の構造を示す図
(非押鍵時)
【図2】同鍵盤の構造を示す図(押鍵時)
【図3】同鍵盤に用いられる圧電センサの構成を示す図
【図4】同鍵盤を用いた電子楽器の構成を示すブロック
【図5】同電子楽器の楽音合成回路を示す図
【図6】同電子楽器のフィルタ特性制御の概念を示す図
【符号の説明】
1−白鍵 2−ハンマ 9−下側ストッパ 10−圧電センサ 30−鍵盤 30a−圧電センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯野 隆一 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株 式会社内 (72)発明者 春山 和郎 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株 式会社内 (72)発明者 鈴木 康剛 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株 式会社内 (56)参考文献 実開 昭53−109433(JP,U) 実開 平2−71897(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G10H 1/053 G10H 1/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 演奏操作子と、この演奏操作子の操作力
    をそれぞれ異なる範囲で検出する第1、第2の検出手段
    と、第1の検出手段の検出内容に基づいて楽音を制御す
    る第1の楽音制御手段と、第2の検出手段の検出内容に
    基づいて楽音を制御する第2の楽音制御手段と、前記演
    奏操作子の操作に応じて揺動し、該演奏操作子と別体の
    質量体と、を備え、前記第2の検出手段は前記質量体が
    当接したときの衝撃の大きさを検出する衝撃検出用のセ
    ンサで構成したことを特徴とする電子楽器。
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