JP2959227B2 - ナットの解除方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ナットが錆びや焼付き
等によって通常の取外しができない場合のナット解除方
法に係り、特に、解除対象のナットが比較的大径で、ナ
ットの周辺に空間的余裕が少ない場合のナット解除方法
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のナット解除装置は図２，図３に示
すように、手元でナットにハンドナッタ１２や油圧ハン
ドナッタ１３等の装置を取付け、ハンドナッタ１２では
ハンドル取付け部１４にハンドルを取付け、そのハンド
ルにより手動機構１５を、油圧ハンドナッタ１３では、
油圧供給口１６より油圧を供給し油圧機構１７によりカ
ッタ１８，１９を駆動させる。カッタ１８，１９はナッ
トの外周から中心に向けて押し付けられ、ナットが切
断，解除される構造となっていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、か
じったナットを解除するには、ナットの軸と直角方向の
少なくとも一部にカッタ及び油圧機構等を設置するため
のスペースが必要であり、ナットの軸と直角方向に空間
的余裕が少ない場合のナットの解除については考慮され
ておらず、解除作業が困難であった。

【０００４】また、大径ナットの解除は装置が大型化
し、更に上記問題を冗長していた。

【０００５】本発明の目的は、ナットの軸と直角方向に
空間的余裕が少なく、かつ、大径ナットの解除作業が容
易なナット解除方法を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明はナットの軸方向に伸びる複数の案内溝を有
してナット内包できるガイドをナットに装着し、駆動部
に伝導手段により連結される加工工具を、案内溝を通し
てナットのねじ穴周辺部に位置させ、駆動部の駆動によ
り加工工具でねじ穴周辺部をナットの軸方向に加工し、
その後にナットの解除を行うことにある。

【０００７】

【０００８】さらに、ナットのねじ周辺部をナットの軸
と平行に加工し、解除トルクを低減するために、複数本
の加工工具を用いる。

【０００９】また、加工工具にはドリルを用いる。

【００１０】

【作用】本発明では、駆動部はナットの加工に必要な動
力を発生させるとともに、ナットの軸方向に加工工具を
動かすように動作する。伝導部は駆動部からの動力を加
工工具に伝えるように動作する。ガイドは加工工具をナ
ットのねじ周辺部の加工しようとする部分に導くように
動作する。このため、加工工具を用いてねじ穴周辺部を
ナットの軸方向に加工することができるので、ナットの
軸と直角の方向に空間的余裕が十分なくても解除作業が
可能である。

【００１１】

【００１２】第２のナット解除方法は、複数本のドリル
により加工を行うため、ナットの解除トルクを小さくす
ることができる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１により説明す
る。

【００１４】本実施例では、錆あるいは焼付き等の原因
でかじった六角ナットの解除作業を遠隔で実施する場合
について説明する。

【００１５】先ず、かじった六角ナット１に遠隔でガイ
ド２を装着する。

【００１６】ガイド２は円筒状で、その内部にドリル３
の案内溝４が円形断面と直角方向に三本加工されてい
る。三本のそれぞれの溝のなす角度は１２０°である。

【００１７】また、ガイド２の底部には六角形の凹みを
設けておき、この凹みを切削しようとする六角ナット１
に装着する。こうすることで、ナットねじ周辺部へのド
リルの位置決め及び切削の際のガイドのずれ防止ができ
るようにしている。

【００１８】このように、ガイド外径はナットを締め付
ける際のレンチ程度で良く、ナットの軸に直角な方向に
空間的余裕がない場合でも装着できる。

【００１９】次に、シャフト５の先端に取り付けたドリ
ル３をガイド２に設けた案内溝４に鉛直上方から挿入す
る。

【００２０】この際、ナット解除装置６にガイド２が上
下方向にスライドできるように予め取り付けた構造であ
っても良い。

【００２１】シャフト５の上部には連結機構が設けられ
ており、これを介して駆動装置７の回転軸８に連結す
る。この時、シャフト５と回転軸８に芯ずれが無いよう
に駆動装置の位置を微調整し、架台上へ固定する。

【００２２】固定後、駆動装置の電源を入れ作動させ
る。

【００２３】駆動装置７に設置されているハンドル９を
操作し、ドリル３をナット１に近付け切削を開始する。
ハンドルの操作は手動でも自動でもよい。

【００２４】切削の際のドリル３の刃はナット１ねじ部
の谷に接するように設定すると解除が最も容易である。

【００２５】駆動装置７の動力はシャフト５からギャボ
ックス１０内のかさ歯歯車１１を介してドリル３へ伝え
られる。

【００２６】シャフト５と駆動装置７の連結部にはドリ
ル３の損傷を防ぐため、ドリル３の過負荷を検出し、動
力の伝達を遮断する機構を設置することもできる。

【００２７】ハンドル９を所定の位置まで下げ、ナット
１の高さ分の切削が終了した後、ハンドル９を戻す。

【００２８】切削されたナットをボルトから取外して作
業は完了する。

【００２９】本実施例によれば、ナットの軸に対し直角
の方向に空間的余裕が無い場所に設置されたナットがか
じった場合でも、容易に解除することができる。

【００３０】

【発明の効果】本発明によれば、ナットを軸方向から切
削することができるので、ナットの軸に対して直角方向
に空間的余裕が無くてもかじったナットの解除が出来
る。

【００３１】またナットを軸方向から切断するので、ナ
ットねじを傷つけない。

【００３２】さらに、第２の発明によれば、複数本のド
リルで同時に切削加工が出来るため、加工時間が短くな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】ナット解除装置の実施例であり、ドリル取付け
状態を示す正面図。

【図２】ハンドナッタの正面図。

【図３】油圧ハンドナッタの正面図。

【符号の説明】

１…六角ナット、２…ガイド、３…ドリル、４…案内
溝、５…シャフト、６…ナット解除装置、７…駆動装
置、８…回転軸、９…ハンドル、１０…ギャボックス、
１１…かさ歯歯車。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千葉 香苗 茨城県日立市幸町三丁目１番１号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 昭60−150972（ＪＰ，Ａ) 実開 昭49−75199（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭28−12500（ＪＰ，Ｙ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B23P 19/06 B23B 41/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】錆び及び焼付き等により通常の取外しがで
   きないナットの解除方法において、前記ナットの軸方向
   に伸びる複数の案内溝を有して前記ナット内包できるガ
   イドを前記ナットに装着し、駆動部に伝導手段により連
   結される加工工具を、前記案内溝を通して前記ナットの
   ねじ穴周辺部に位置させ、前記駆動部の駆動により前記
   加工工具で前記ねじ穴周辺部を前記ナットの軸方向に加
   工し、その後に前記ナットの解除を行うことを特徴とす
   るナットの解除方法。
2. 【請求項２】請求項１において、前記加工工具は、一本
   あるいは複数本のドリルであるナット解除方法。