JP2958536B2 - 着色顔料及びこれを含有する化粧料 - Google Patents

着色顔料及びこれを含有する化粧料

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は発色性、耐油性、安定性及び安全性の高い黄
色系の着色顔料並びにこれを含有する化粧料に関する。
〔従来の技術〕
従来より化粧料、特にメーキャップ化粧料には着色剤
として種々の着色顔料が配合されている。着色顔料とし
ては通常タール系色素及び無機顔料が広く用いられてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、タール系色素は発色性が良好で、広範
な色調のものが存在するが、耐油性、安定性が充分でな
く、また安全性の面から眼粘周辺に用いる化粧料に使用
できない等の欠点があった。
一方、無機顔料は耐油性、安定性及び安定性には優れ
ているものの、色調において充分でないという欠点があ
った。特に無機顔料には高彩度で黄色系の色調を有する
ものがなかった。
従って、耐油性、安定性、安全性及び発色性の良好な
黄色系の顔料の開発が望まれていた。
〔課題を解決するための手段〕
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討した結
果、粉体表面を、黄色の蛍光を有するビタミンB2誘導体
であるリボフラビン酪酸エステル及び樹脂被覆すれば、
耐油性、安定性、安全性及び発色性の良好な顔料が得ら
れ、またこれを配合すれば優れた発色性、化粧持続性及
び使用感の良好な化粧料が得られることを見出し、本発
明を完成した。
すなわち、本発明は、リボフラビン酪酸エステル及び
樹脂を溶剤に溶解し、これを粉体と混合するか又は粉体
に噴霧して、粉体表面の少なくとも一部をリボフラビン
酪酸エステル及び樹脂で被覆したことを特徴とする化粧
料用着色顔料、並びに当該着色顔料を含有することを特
徴とする化粧料を提供するものである。
本発明の着色顔料に用いられる粉体としては、特に限
定されないが、化粧料用粉体、例えばタルク、カオリ
ン、マイカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ
酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シ
リカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の無
機体質・白色顔料;黄酸化鉄等の無機有色顔料;ナイロ
ン粉末、ポリエチレン末、スチレンパウダー、ポリテト
ラフルオロエチレンパウダー、シルクパウダー、結晶セ
ルロース、N−ラウロイル−L−リジン等の有機粉末;
雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等
のパール剤等が好ましい。就中、無機体質・白色顔料が
特に好ましい。これら粉体は、化粧料等のその使用目的
に応じて、一種または二種以上を選択して用いられる。
本発明に用いられるリボフラビン酪酸エステルはリボ
フラビン(ビタミンB2)の酪酸エステルであり、黄色の
蛍光を有する。リボフラビン酪酸エステルは、本発明の
着色顔料において黄色蛍光発色源である。従って、粉体
として体質または白色粉体を用いれば本発明の着色顔料
は黄色となり、着色粉体を用いれば黄色と当該粉体との
混合色となる。
本発明に用いられる樹脂としては、溶剤中でリボフラ
ビン酪酸エステルと均一に混合し、当該溶剤を除去した
後、耐水・耐油性の被膜を形成し得るものであれば特に
制限されないが、例えばニトロセルロース、アルキッド
樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。またこれら樹脂は
単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。
本発明の着色顔料は、例えばリボフラビン酪酸エステ
ル及び樹脂を適当な溶剤に溶解し、これを粉体と混合す
るかまたは粉体に噴霧した後、溶剤を除去して得られた
凝集体を粉砕することにより製造される。ここで溶剤と
しては、樹脂及びリボフラビン酪酸エステルを溶解する
ものであれば特に制限されないが、例えば酢酸エチル、
酢酸ブチル、トルエン、エタノール、キシレン、フロン
等の有機溶剤が挙げられる。この方法を実施するにあた
って原料の使用量は特に制限されないが、リボフラビン
酢酸エステルの濃度が低すぎると発色性が充分でなく、
また高すぎると耐油性、安定性に問題が生じることか
ら、樹脂1重量部に対して1/100〜1重量部のリボフラ
ビン酪酸エステルを用い、これら全体に対して10〜100
容量倍程度の溶剤を用い、リボフラビン酪酸エステル1
重量部に対し1〜100重量部の粉体を用いるのが好まし
い。また溶剤の除去は、好ましくは減圧下で50〜80℃程
度の加熱により行なわれる。
このようにして得られた着色顔料は、黄色系であり、
かかる着色を希望する各種化粧料に配合することができ
る。なお、本発明の着色顔料は粉体表面の全部がリボフ
ラビン酪酸エステル及び樹脂によって被覆さている必要
はなく、粉体表面の一部が被覆されていればよい。ま
た、本発明の着色顔料は、更に化粧料用粉体に一般に行
なわれる表面処理、例えばシリコン処理、金属セッケン
処理等を施しても良い。
本発明にかかる着色顔料を配合しうる化粧料は、製品
形態、形状を問わず、粉末状・プレス状・液状・スティ
ック状何れのものでもよく、例示すれば、粉白粉、ファ
ンデーション、ホホ紅、アイシャドウ、口紅、アイライ
ナー、マスカラ、アイブロウ、顆粒状洗顔料等が挙げら
れる。
化粧料への本発明の着色顔料の配合量は、製品の種類
・形態等に応じ、特に限定されるものではないが、好ま
しくは1〜99重量%の範囲内である。着色顔料の配合に
あたっては、単独の粉体に被覆処理を施した着色顔料を
化粧料中に配合しても良く、また化粧料の粉体系全体に
被覆処理を施しても良い。
本発明の化粧料には、上記着色顔料の他、通常化粧料
に用いられる他の成分として、通常の白色・体質・着色
顔料、パール剤、有機粉末、油剤、金属セッケン、界面
活性剤、保湿剤、アルコール、pH調整剤、防腐剤、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、水溶性高分子、キレート剤、美
容成分、香料、そして他各種添加剤等から適宜選択して
配合することができる。
〔実施例〕
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、
これらは本発明を何ら限定するものではない。
試験例 第1表に示す組成の着色顔料を調製し、その発色性、
耐油性、染着性及び安定性試験を行った。なお、試験に
あたっては、着色顔料87重量部にミリスチン酸イソプロ
ピル5.0重量部及び流動パラフィン8.0重量部を加えて調
製した試料を用いた。
<着色顔料の製造法> 実施例1、2 A No.4、5を酢酸エチル100重量部に溶解し、これにN
o.1〜3を加えて混合する。
B Aを減圧下70℃に加熱して酢酸エチルを揮散させ
る。
C Bを粉砕して着色顔料を得る。
比較例1 A No.1、4を混合、粉砕して着色顔料を得る。
比較例2 A No.4を酢酸エチル100重量部に溶解し、これにNo.1
を加えて混合する。
B Aを減圧下70℃に加熱して酢酸エチルを揮散させ
る。
C Bを粉砕して着色顔料を得る。
比較例3 A No.1、6を混合、粉砕して着色顔料を得る。
<試験方法> (1) 発色性 日本電色色差計SZ−Σ80をを用いてマンセル彩度を測
定した。
(2) 耐油性 試験管に試料1部及びミリスチン酸イソプロピル10部
をとり、30回振とうし、2時間静置後上澄みについて44
0nmにおける透過性を測定した。
(3) 染着性 試料を皮膚に塗布し、半日後ふき取り、顔料の皮膚へ
の染着性を観察した。
(4) 安定性 試料をプレス成型して、50℃1ケ月後のにじみ状態を
観察した。
(5) 安全性 実施例1、2及び比較例1〜3の着色顔料が眼粘膜で
使用できるか否かを評価した。
<結果> 結果を第1表に示す。
実施例1 アイシャドウ (重量部) 1.タルク 34.9 2.カオリン 15 3.炭酸マグネシウム 1 4.ステアリン酸亜鉛 10 5.酸化チタン 5 6.マイカ 15 7.リボフラピン酢酸エステル 0.9 8.アルキッド樹脂 2.8 9.群青 3 10.雲母チタン 7 11.ソルビタンセスキオレート 1 12.流動パラフィン 4 13.ラノリン 1 14.防腐剤 適量 (製法) A No.7、8を酢酸エチル60重量部に溶解し、これにN
o.1〜6を加え混合する。
B Aを加熱して酢酸エチルを蒸発揮散させる。
C BにNo.9、10を加え、混合粉砕する。
D No.11〜14を加熱溶解後、Cを加え混合し、プレス
成型してアイシャドウを得る。
上記の如くして得られたアイシャドウは、皮膚への染
着がなく、従来にない発色性を有し、かつ色にじみ等の
色変化がなく、化粧持続性、使用感共に良好なものであ
った。
実施例2 ファンデーション (重量部) 1.マイカ 8.2 2.リボフラビン酪酸エステル 0.3 3.アルキッド樹脂 1.5 4.酸化チタン 10 5.コロイダルカオリン 25 6,タルク 33.4 7.黒酸化鉄 0.6 8.ベンガラ 3 9.黄酸化鉄 1.5 10.流動パラィン 10 11.ソルビタンセスキオレート 3.5 12.グリセリン 3 13.香料 適量 14.防腐剤 適量 (製法) A No.2、3をエタノール30重量部に溶解し、これにN
o.1を加え混合する。
B Aを加熱してエタノールを蒸発揮散させる。
C BにNo.4〜9を加え、混合粉砕する。
D No.10〜14を加熱溶解後、Cを加え混合し、プレス
成型してファンデーションを得る。
上記の如くして得られたファンデーションは、皮膚へ
の染着がなく、化粧持続性、使用感共に良好なものであ
った。
実施例3 口紅 (重量部) 1.タルク 8.3 2.リボフラビン酪酸エステル 0.2 3.ニトロセルロース 1.5 4.ヒマシ油 40 5.ヘキサデシルアルコール 25 6.ラノリン 4 7.ミツロウ 5 8.オゾケライト 4 9.キャンデリラロウ 7 10.カルナウバロウ 2 11.酸化防止剤 適量 12.防腐剤 適量 13.香料 適量 14.酸化チタン 2 15.明色226号 1 (製法) A No.2、3をキシレン40重量部に溶解し、これにNo.1
を加え混合する。
B Aを加熱してキシレンを蒸発揮散させた後、粉砕す
る。
C No.4〜12を加熱溶解する。
D CにB及びNo.14、15を混練した後、再溶解し、No.
13を加え、脱泡する。
E Dを容器に充填成型して、口紅を得る。
上記の如くして得られた口紅は、皮膚への染着がな
く、従来にない発色性を有し、かつ色にじみ等の色変化
がなく、化粧持続性、使用感共に良好なものであった。
実施例4 マスカラ (重量部) 1.マイカ 2.5 2.タルク 2 3.リボフラビン酪酸エステル 0.1 4.ニトロセルロース 0.4 5.カルナウバロウ 7 6.ミツロウ 2 7.マイクロクリスタリンワックス 20 8ラノリン 0.4 9.流動ポリイソブチレン 60.6 10.ベンガラ 2 11.黒酸化鉄 2 12.防腐剤 適量 (製法) A No.3、4をトルエン70重量部に溶解し、これにNo.
1、2を加え、混合する。
B Aを加熱してトルエンを蒸発揮散させる。
C No.5〜9及び12を加熱溶解する。
D BにNo.10、11を加え、混合粉砕する。
E CとDを混合分散し、容器に充填してマスカラを
得た。
上記の如くして得られたマスカラは、皮膚への染着が
なく、化粧持続性、使用感共に良好なものであった。
実施例5 ホホ紅 (重量部) 1.雲母チタン 6 2.リボフラビン酪酸エステル 0.5 3.アクリル樹脂 3.5 4.タルク 52.2 5.カオリン 20 6.酸化チタン 4 7.ステアリン酸亜鉛 5 8.コメデンプン 5 9.赤色202号 0.8 10.流動パラフィン 3 11.香料 適量 (製法) A No.2、3をフロン113 50重量部に溶解し、これをN
o.1に加え、混合する。
B Aを加熱してフロン113を蒸発揮散させる。
C BにNo.4〜9を加え、混合粉砕する。
D No.10、11を混合溶解する。
E CとDを混合し、プレス成型してホホ紅を得た。
上記の如くして得られたホホ紅は、皮膚への染着がな
く、従来にない発色性を有し、かつ色にじみ等の色変化
がなく、化粧持続性、使用感共に良好なものであった。
〔発明の効果〕
本発明によれば発色性、耐油性、安定性及び安全性に
優れた黄色系の着色顔料が得られ、これを用いれば眼粘
膜周辺等にも使用し得る化粧料の提供が可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−243007(JP,A) 特開 平1−294611(JP,A) 佐藤孝俊・石田達也 編著「香粧品科 学」 株式会社朝倉書店 pp.78〜82 (1997) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 7/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リボフラビン酪酸エステル及び樹脂を溶剤
    に溶解し、これを粉体と混合するか又は粉体に噴霧し
    て、粉体表面の少なくとも一部をリボフラビン酪酸エス
    テル及び樹脂で被覆したことを特徴とする化粧料用着色
    顔料。
  2. 【請求項2】請求項1記載の化粧料用着色顔料を含有す
    ることを特徴とする化粧料。
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佐藤孝俊・石田達也 編著「香粧品科学」 株式会社朝倉書店 pp.78〜82(1997)

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