JP2955764B2 - ブロー成形方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、合成樹脂の中空容器を成形するブロー成形
方法に係り、さらに詳しくは、中空容器の一部に合成樹
脂のフィルムなどからなるラベルをブロー成形時に一体
に粘着し溶着するインモールドラベリングの技術に関す
るものである。

［従来の技術］ 一般にブロー成形は、化粧品や食品などの中空容器の
成形に広く行われているが、これはブロー成形によって
この種の中空容器を大量にかつ安価に得られるからであ
る。このようなブロー成形は、具体的に押出機で加熱溶
融された合成樹脂を押出ヘッドを通過させることにより
管状のパリスンとし、このパリスンを、中空容器の外形
形状を賦形された分割金型間に連続的に押出し垂下し、
分割金型を閉じて、分割金型を閉じた状態で吹き込み位
置に移動させ、パリスン内に圧力流体を吹き込んでパリ
スンを膨張させるものである。そして、冷却完了後、分
割金型を開いて成形品である中空容器を取り出して、ブ
ロー成形を完了するものである。次いで開いた状態で分
割金型を押出ヘッドの下方に移動して、その位置でパリ
スンを挾持する動きを繰り返すことにより中空容器のブ
ロー成形を連続的に行うものである。このように、型締
め後分割金型を吹き込み位置に移動させて吹き込みをす
ることにより、パリスンをの押出しを間断なく連続的に
行うことができるので、押出ヘッド内にパリスンを停滞
させることなく、熱的な安定が期待できるという利点を
有する。

近年この種の中空容器のラベルの粘着をブロー成形時
に同じに行う、いわゆるインモールドラベリングという
技術が提案されている。これは、従来、ラベルを粘着す
るために二次加工により行っていた粘着を、ブロー成形
時に一度に行うことによりコストダウンをはかるととも
に、この粘着工程時に容器内に異物の侵入を無くすこと
ができ、衛生上の効果も期待できるものである。このイ
ンモールドラベリングの技術は、一般的には中空容器の
離型後、この離型位置でラベルを分割金型の斜め上方よ
り分割金型のキャビティに配置するのである。

ところで、ラベルを配置する方向としては、分割金型
の側方、下方または上方があるが、側方にすると中空容
器の取出装置など一連のラインの邪魔になり、下方にす
ると離型時に発生するバリが型開き時に落下してラベル
に当たって成形不良の原因となり、上方にするとこの位
置に吹き込み装置があるためその邪魔になるという問題
がある。

そこで、一般的には、上記のように、離型位置で分割
金型の斜め上方よりラベルを分割金型のキャビティに配
置することになるが、斜め上方から行う場合には、吹き
込みノズルとの干渉を避けることを要するので、位置決
めに困難性が伴うものである。

［発明が解決しようとする課題］ そこで、このような問題点を解決するために、上記の
ような離型位置ではなく、パリスンの押出し垂下位置
で、分割金型の側方より水平方向にラベルをインサート
する方法が提案されている（特開昭63−166541号公
報）。しかし、この提案のよれば、ラベルを保持するロ
ボット先端はかなりの重量を有するところから、ロボッ
ト先端が分割金型の側方より水平方向に分割金型間に進
入する工程において、ラベルを保持して分割金型の中心
位置で一旦停止してさらに分割金型方向へ90゜の方向に
移動する作動に伴ってロボット先端の振動が避けがたい
ので、この動作が高速になるほど、分割金型に対するラ
ベルの粘着位置にズレが生じて、精度が落ちるという欠
点があるばかりでなく、このような位置関係では、左右
の両側方からそれぞれ交互に分割金型を移動させるダブ
ルステーションタイプの成型機では、ロボットの設置が
難しいという問題点もある。

なお、特開平１−237115号公報にも、吹込位置の分割
金型に対してその両側方にラベリング用付属機器を配置
した構成が開示されており、この技術においては、吹込
位置から一旦パリスンの押出位置の上方に移動させ、さ
らにその位置において下方に移動させて分割金型間に移
動させるが、基本的に上述の問題点を解消するものでな
いことに何らかわりがないのである。

そこで、本発明は従来の技術における上記のような問
題点に鑑み、 ラベルインサートを行い、ラベル付きの中空容器を連
続的にかつ大量に生産する方法であること。

高速成形連続成形してもラベルの粘着位置の精度が落
ちることがないこと。

ダブルステーションタイプの成形機による複数の分割
金型の型移動を行っても、ラベルインサーターの設置が
できること。

を実現するブロー成形方法を提供することを目的とする
ものである。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するための本発明に係る技術的手段
は、次のとおりである。すなわち、それは、 パリスンを押出ヘッドから分割金型間に押出垂下し分
割金型を閉めてパリスンを分割金型で挾持するとともに
該分割金型を吹込み位置に移動させて吹込み及び冷却を
行うブロー成形方法において、パリスンを押出ヘッドか
ら分割金型間に押出垂下する位置でかつ分割金型の開閉
移動範囲内の上方位置に配置したラベルインサータによ
り、押出ヘッドから押出されるパリスンの垂下方向に平
行してラベルを分割金型間に移動させ、該ラベルをキャ
ビティに係止せしめることを特徴とするブロー成形方
法。

である。

［作用］ 本発明によれば、パリスンを押出ヘッドから分割金型
間に押出垂下する位置でかつ分割金型の開閉移動範囲内
の上方位置に配置したラベルインサーターにより、押出
ヘッドから押出されるパリスンの垂下方向に平行してラ
ベルを分割金型間に移動させ、該ラベルをキャビティに
係止せしめるので、分割金型のキャビティにインサート
するラベルを、吹込み位置から移動させたうえさらに下
方に移動させることを要せず、開いている分割金型間に
その上方位置から直に垂下させる移動のみで分割金型の
キャビティにインサートすることができる。このため、
ラベルインサートの際にラベルが位置ズレを起こすこと
なく、高速成形で連続成形してもラベルの粘着位置の精
度が低下しない。また、分割金型にパリスンを押出垂下
する位置の一台のラベルインサーターで複数の分割金型
に対応させることができ、さらに、ラベルインサーター
は吹込み装置などを全く邪魔することがないので、特に
高速かつ連続成形する装置の構成において有用である。

［実施例］ 本発明の実施例を図面に基づき説明する。

第５図に本発明のブロー成形方法により得られた中空
容器１を示した。この中空容器１は、胴部２にラベル３
が粘着されている。

図１ないし図４は、本発明に係るブロー成形方法を示
すものである。図中、４は一対の金型4a,4bからなる分
割金型で、分割金型５も一対の同様に一対の金型からな
るものであり、一対の金型4a,4bのそれぞれ内面に形成
したキャビティ6,6が向かい合うように対向して配置さ
れ、駆動部（図示せず）により対向離間するように構成
されている。分割金型５も同様である。キャビティ6,6
にはラベル３を吸着する真空孔6a,6aが外部の真空装置
（図示せず）に連通してある。７は押出ヘッドで、押出
機（図示せず）で加熱溶融された合成樹脂を管状のパリ
スン８に形成するものである。9a,9bは吹き込みノズル
であり、分割金型4,5の吹き込みに対応した位置に軽視
絵してある。10はラベルインサーターであり、分割金型
の上方に設けたシリンダー11と、シリンダー11により上
下摺動可能なアーム12と、アーム12の下端に備えたシリ
ンダー13と、このシリンダー13により一方の金型4aのキ
ャビティ６に対して進退可能で真空によりラベル３を吸
着する吸着手段14により構成されている。吸着手段14は
ラベル３をそのサクションカップにより吸着するもので
ある。吹込ノズル9aの下方には中空体の取出装置15が、
吹込ノズル9bの下方にも同様の取出装置がそれぞれ設け
られ、側方へ移動することにより分割金型４内の中空体
１を取り出すことができるものである。

図２ないし図４には本発明に係るブロー成形方法の工
程を示した。先ず、分割金型4a,4bを開いた状態で離型
位置から吹き込み位置に移動して、吹込ノズル9aの下方
位置から押出ヘッド７の下方位置に移動させる。次い
で、シリンダー11を作動させてシリンダー13をラベルマ
ガジン16に対応させ、シリンダー13により吸着手段14を
進出させて、ラベルマガジン16のラベル３を吸着し、吸
着手段14を後退させる（第２図参照）。次に、シリンダ
ー11を作動させて、シリンダー13を分割金型4a,4bのキ
ャビティ6,6に対応した位置に移動し、さらにシリンダ
ー13を作動させて吸着手段14に吸着したラベル３をキャ
ビティ６に当接してから、吸着手段の吸着を止め、上記
キャビティ６の真空孔6a,6aの真空吸着を働かせて、ラ
ベル３を当該キャビティ６にインサートし（第３図参
照）、シリンダー11を作動させてシリンダー13をラベル
マガジン16の位置まで上動させる（第４図参照）。次い
で、分割金型4a,4bを閉めてパリスン８を食い切ってか
ら、分割金型4a,4bを吹込ノズル9aの下方に移動させ
る。そして、パリスン８内に吹き込みノズル９を打ち込
み、パリスン８内に圧力流体を吹き込み、パリスン８を
膨張させ、キャビティ6,6の沿わせるとともに一方のキ
ャビティ６にインサートしてあるラベル３をパリスン８
に溶着して、図５に示すようなラベル３を粘着した中空
容器１を形成し、分割金型4a,4b内において冷却した
後、分割金型4a,4bを開き、取出装置15により取り出
す。この時、他の分割金型５は斜め上方に移動して吹き
込みノズル９の下方の位置から押出ヘッド７の下方の位
置に移動し、次のブロー成形が同様に行われる。

本発明に係るブロー成形方法に使用する合成樹脂は、
ブロー成形可能なものであれば、特に限定されるもので
はなく、低密度ポリエチレン、中高密度ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ナイロンなどの熱可
塑性合成樹脂を用いることができる。

以上説明した本発明に係るブロー成形方法によれば、
シリンダー11によるアーム12の移動は、垂直方向に行わ
れるので、重力による吸着手段14の位置での振動がな
く、高速の連続成形においてもラベル３の粘着位置のズ
レが生じず、中空容器１に対するラベル３の粘着精度が
低下することがない。

なお、前期実施例では、ダブルステーションの成形機
の場合を例示したが、本発明は一つの分割金型で成形を
行うシングルステーションの場合にも実施できることは
勿論である。

［発明の効果］ 本発明によれば、パリスンを押出ヘッドから分割金型
間に押出垂下し分割金型を閉めてパリスンを分割金型で
挾持するとともに該分割金型を吹込み位置に移動させて
吹込み及び冷却を行うブロー成形方法において、パリス
ンを押出ヘッドから分割金型間に押出垂下する位置でか
つ分割金型の開閉移動範囲内の上方位置に配置したラベ
ルインサーターにより、押出ヘッドから押出されるパリ
スンの垂下方向に平行してラベルを分割金型間に移動さ
せ、該ラベルをキャビティに係止せしめるようにしたの
で、分割金型のキャビティにインサートするラベルを、
吹込み位置から移動させたうえさらに下方に移動させる
ことなく、開いている分割金型間にその上方位置から直
に垂下させる移動のみで分割金型のキャビティにインサ
ートすることができる。このため、ラベルインサートの
際にラベルが位置ズレを起こすことなく、高速成形で連
続成形してもラベルの粘着位置の精度が低下しないばか
りか、分割金型にパリスンを押出垂下する位置の一台の
ラベルインサーターで複数の分割金型に対応させること
ができ、さらに、ラベルインサーターは吹込み装置など
を全く邪魔することがないので、特に高速かつ連続成形
する装置の構成において有用であるという効果を奏する
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本発明に係るブロー成形方法を説
明するもので、第１図はラベルインサーターのシリンダ
ーを作動させた状態を示す正面図、第２図は同上側断面
図、第３図はラベルをラベルインサーターに吸着させた
状態を示す側断面図、第４図はラベルをキャビティに移
した状態を示す側断面図である。第５図は本発明に係る
ブロー成形方法によって得られた中空容器の全体斜視図
である。 １……中空容器、３……ラベル、4,4a,4b……分割金
型、５……分割金型、6,6……キャビティ、７……押出
ヘッド、８……パリスン、10……ラベルインサーター

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】パリスンを押出ヘッドから分割金型間に押
   出垂下し分割金型を閉めてパリスンを分割金型で挾持す
   るとともに該分割金型を吹込み位置に移動させて吹込み
   及び冷却を行うブロー成形方法において、パリスンを押
   出ヘッドから分割金型間に押出垂下する位置でかつ分割
   金型の開閉移動範囲内の上方位置に配置したラベルイン
   サーターにより、押出ヘッドから押出されるパリスンの
   垂下方向に平行してラベルを分割金型間に移動させ，該
   ラベルをキャビティに係止せしめることを特徴とするブ
   ロー成形方法。