JP2955643B2 - 抗菌性植物及びその作出方法 - Google Patents

抗菌性植物及びその作出方法

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JP2955643B2 JP6040190A JP4019094A JP2955643B2 JP 2955643 B2 JP2955643 B2 JP 2955643B2 JP 6040190 A JP6040190 A JP 6040190A JP 4019094 A JP4019094 A JP 4019094A JP 2955643 B2 JP2955643 B2 JP 2955643B2
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正志 宇垣
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俊二 名取
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NORINSUISANSHO NOGYO SEIBUTSU SHIGEN KENKYUSHOCHO
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、病原菌に対して耐性を
有する植物細胞又は植物体に関する。更に詳しくは、昆
虫の抗菌性ペプチドを発現し、病原菌に対して抵抗性を
有する植物体に関する。
【0002】
【従来の技術】農業の分野においては、食料の安定的供
給確保のため病害虫、病原菌に対して抵抗性のある品種
の改良、育種、農業開発が盛んに行われてきた。近年、
植物バイオテクノロジー技術が発達し、特に組換えDN
A技術を利用して病害虫あるいは病原菌に対して、抵抗
性のある植物を育種する試みがなされている。この組換
えDNA技術を用いて、すでに除草剤耐性(特開平2−
186925)、ウイルス抵抗性(特開平4−3302
33)、害虫抵抗性(特開平3−247220)などの
形質転換植物が作出されている。しかし、病原菌(糸状
菌、あるいは細菌)に対しては、病原菌の生産する毒素
に対してその不活化酵素遺伝子を導入する試みがなされ
ており、(植物細胞工学vol.12,713〜72
0、1990)、糸状菌に対する耐性植物は得られてい
るが(Plant physiol.,104:109
−118)、植物病原細菌に対して抗菌性を有する植物
は得られていないのが実情である。現在までに植物の細
菌病抵抗性遺伝子についての知見はほとんど得られてお
らず、従ってこのような細菌病抵抗性をもった植物は従
来の育種法では作出が困難であり、遺伝子組換え手法を
用いた植物の作出が待望されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の課
題を解決するものであり、その目的とするところは以下
の点; (1)双翅目昆虫由来の、他の蛋白質と融合していない
抗菌性ペプチドを植物細胞で発現しうる発現カセットを
提供すること。
【0004】(2)前記発現カセットを有するベクター
を提供すること。
【0005】(3)前記発現カセット又はベクターを有
する抗菌性植物細胞を提供すること、および (4)前記発現カセット又はベクターを有する抗菌性植
物体を提供すること、にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、DNA組
換え技術を用いて、抗菌性植物を育種することを目的と
して鋭意研究した結果、双翅目の昆虫が生産する抗菌性
ペプチドが植物病原菌にも顕著な効果を有すること及
び、この抗菌性ペプチドをコードするDNAを植物細胞
又は植物体に導入することにより、該植物細胞及び植物
体の生育が阻害されることなく、種々の植物病原菌に対
して抵抗性を有することを発見して本発明を完成したも
のである。
【0007】本発明の発現カセットは双翅目の昆虫由来
の、他の蛋白質と融合していない抗菌性ペプチドを植物
細胞で発現しうるものであり、そのことにより、上記目
的が達成される。
【0008】本発明のベクターは上記発現カセットを有
するベクターである。
【0009】このことにより、上記目的が達成される。
【0010】本発明の抗菌性植物細胞は、前記発現ベク
ターを有する抗菌性植物細胞であり、このことにより、
上記目的が達成される。
【0011】本発明の抗菌性植物体は前記発現ベクター
を有する抗菌性植物体であり、このことにより上記目的
が達成される。
【0012】更に、本発明の抗菌性植物細胞又は植物体
は植物細胞に発現カセット又はベクターを導入すること
により作出される。
【0013】又、本発明の抗菌性植物体は上記得られた
植物体を交配させて、1又は2以上の異なる抗菌性ペプ
チドを発現する植物体であり、そのことにより上記目的
が達成される。
【0014】以下、本発明を詳しく説明する。
【0015】本発明の発現カセットは双翅目の昆虫由来
の抗菌性ペプチドを発現しうる。好ましい双翅目の昆虫
は、ハエ、カであり、入手の容易性からハエ、特にセン
チニクバエ(Sarcopharga peregri
na)が好ましい。抗菌性ペプチドとしては、センチニ
クバエに由来する、ザルコトキシンIA、ザーペシン又
は抗真菌蛋白が好ましい。尚、ここで抗菌性とは抗糸状
菌性及び抗細菌性の両方をいう。「他の蛋白質と融合し
ていない」とは、抗菌性ペプチドが、他の蛋白質、例え
ばβ−グルクロニダーゼ蛋白の全部又は一部と結合して
いないことをいう。このためには、抗菌性ペプチドはシ
グナル配列と結合していること、あるいは結合している
シグナル配列と抗菌性ペプチドが正しい位置でプロセッ
シングされることが必要である。好ましいシグナル配列
はその抗菌性ペプチドのシグナル配列であるが、昆虫の
シグナルペプチドが植物細胞で正確にプロセッシングさ
れることは本発明において初めて明らかにされたもので
ある。
【0016】シグナル配列を有する結果、抗菌性蛋白は
分泌され得る。細胞間隙に分泌される結果、植物細胞に
対する損傷を防ぎ、更に細胞間隙に侵入して植物体内で
増殖する病原菌に対する抗菌活性が向上することが期待
される。
【0017】「発現カセット」とは、上記抗菌性ペプチ
ドが発現されるために必要なDNA配列の一組をいい、
プロモーターDNA配列と抗菌性ペプチドをコードする
DNA配列とが植物細胞で発現可能な状態で結合されて
いるものであれば、いづれをも使用しうる。好ましくは
特定の制限酵素で切断され、容易に回収されて、ベクタ
ーへの組換え、形質転換に用いられ得る。
【0018】好ましい発現カセットは、高発現プロモー
ターを有するカセットである。プロモーターとしては、
カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプ
ロモーター、あるいはタバコ(Nicotiana t
abacum)由来のPathogenesis−Re
lated 1a(PR1a)遺伝子プロモーターが好
ましい。高発現のために、エンハンサーを使用し得る。
エンハンサーとしては上記35Sプロモーター上流の配
列を含むエンハンサー領域(以下、En35S等とい
う)が好適であり2個又はそれ以上を含み得る。7個連
続して含むものも好適に使用しうる。発現カセットとし
ては図1に示すPST10、S−sarco、S12、
4−15が挙げられる。
【0019】発現カセットの構築は、常法に従って行わ
れ得る。例えば作成に用いるエンハンサーとしてCaM
V35S遺伝子のプロモーターの上流−417〜−90
の領域又は−290〜−90の領域を一単位として切り
出し、これを35Sプロモーターの上流に結合すること
により行う。35Sプロモーターの下流にタバコモザイ
クウイルス(TMV)のΩ配列を接続することにより、
更に高発現するプロモーターカセットを構築し得る。
【0020】発現カセットを有するベクターは、前記発
現カセットとベクター、例えばpBI系であるバイナリ
ーベクター系又は中間ベクター系のようなアグロバクタ
リウムを介して植物に発現カセットを導入しうるもの、
あるいはpUC系のようなベクターであって植物に直接
導入し得るものが含まれる。
【0021】pBI系のベクターとしては、pBI12
1、pBI101、pBI101.2、pBI101.
3などが挙げられる。
【0022】pUC系のベクターとしては、pUC1
9、pUC18、pUC9などが挙げられる。ベクター
の構築はDNAの組換え技術の常法が使用され得る。
【0023】上記得られた発現カセットあるいはベクタ
ーを細胞に導入するには、アグロバクテリウムを介する
方法と直接導入する方法とがある。アグロバクテリウム
を介する方法は、例えばNagelらの方法を用い、エ
レクトロポレーションによって、まずベクターをアグロ
バクテリウムに導入しついで、形質転換されたアグロバ
クテリウムを、Plant Molecular Bi
ology Manual(S.B.Gelvin e
t.al.,Academic Publisher
s)に記載されている方法で、植物細胞に導入する方法
である。
【0024】発現カセットを直接、植物細胞に導入する
方法としては、エレクトロポレーション法、遺伝子銃法
がある。
【0025】発現カセットあるいはベクターを導入され
た植物細胞は、カナマイシン耐性等でまず選択され、次
いで、植物体を再生させる。この植物体にモデル菌、例
えばタバコ野火病菌(Pseudomonas syr
ingae PV.tabaci)を細針束を用いて接
種し、5日後にコントロールの植物体と比較して接種に
よる変化が認められないもの或いは軽度のハローが形成
されるものを選択することによって選択しうる。又、ノ
ーザン法により、導入した遺伝子の発現を検出しうる。
【0026】本発明に使用し得る植物としては、単子葉
植物及び双子葉植物のいづれをも使用し得る。特に好ま
しい植物としては、カンキツ類、白菜、レタス、タバ
コ、モモ、イネ、ジャガイモ、トマト、オオムギ、コム
ギおよびリンゴが挙げられる。例えば、ザルコトキシン
はこれらの植物の病原菌に対して抗菌性を有するととも
に、けん濁培養細胞を用いた場合100μg/mlの濃
度でも生育阻害をおこさないからである。
【0027】抗菌性ペプチドの発現ベクターを導入され
た植物体を自家受粉又は交配して、第2世代の植物体を
得ることができる。この場合、異る抗菌性ペプチドを有
する発現カセットを有する植物体を交配することによ
り、より抗菌性が強化された植物体が得られる。ザルコ
トキシンIAと抗真菌蛋白の組みあわせが好ましい。
【0028】以下実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
(実施例1)(ザルコトキシンIAの各種病原菌に対す
る活性) 50℃のPD培地(ポテトデキストロース培地、1.8
%寒天)12mlに108cell/mlの表1に記載
の病原菌懸濁液2mlを加え、ステンレス円筒をおいた
直径9cmのシャーレに流して固めた。ステンレス円筒
を引き抜いたあとにできた穴に、注意深く合成ザルコト
キシンIA5μg、10μgをそれぞれ含む溶解したサ
ンプルを注いだ。25℃で培養し、2日おきに阻止円を
測定した。8日後の結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】なお、合成ザルコトキシンIAは、天然の
C末端のアミドをカルボキシル化したものである。
【0032】(実施例2)(抗菌性ペプチド存在下での
培養細胞の増殖) ザルコトキシンIAまたはザーペシンの濃度を変えて、
単子葉植物であるイネの、および双子葉植物であるタバ
コのけん濁培養細胞に対する生育阻害を調べた。50m
l三角フラスコにいれた10mlの培養細胞に、合成ザ
ルコトキシンIAを20μg/mlまたは100μg/
mlになるように添加し、28℃で1週間培養し、細胞
の増殖をpacked volumeを測定することに
より調べた。タバコ培養細胞におけるザルコトキシンI
Aの阻害効果を実施例として図2に示した。この結果、
用いた濃度下ではザルコトキシンIAはタバコ培養細胞
の増殖を全く阻害しないことが示された。またイネにつ
いても全く同様の結果が、さらにザーペシンを用いたタ
バコ、イネ細胞に対する効果も上記と全く同様の結果が
得られた。
【0033】(実施例3)(ザルコトキシンIA発現カ
セットの構築) (1).シグナルペプチドを有するザルコトキシンIAコー
ディング配列の調製 本発明者らによってクローニングされた、ザルコトキシ
ンIAのcDNA(Biochem.J.239,71
7(1986))を含むpTO19を鋳型として、配列
番号:1および配列番号:2に示すプライマー1および
プライマー2を用いたPCR反応により、上記ザルコト
キシンIA cDNAの5’末端にBamHIサイト、
および3’末端にSacIサイトを有する、DNA断片
を調製した。反応液の組成を表2およびPCR反応条件
を表3に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】同様の手法により、シグナルペプチドを有
するザルコトキシンIAコーディング配列およびそれ自
身のターミネーター配列より成るザルコトキシンIA
cDNAの5’末端にBamHIサイト、および3’末
端にEcoRIサイトを導入したDNA配列を調製し
た。
【0037】(2)上記コーディング領域と高発現プロ
モーター領域との連結による発現カセット作製 本発明者らにより構築され、1993年度日本育種学会
大会で報告した高発現プロモーターを含む、pBI12
1(clontech社)由来のベクターを図3に示
す。図中のPNOSは、ノパリンシンテターゼ遺伝子のプ
ロモーター領域、NPTIIはネオマイシンホスホトラン
スフェラーゼIIコーディング領域、TNOSはノパリンシ
ンテターゼ遺伝子のターミネーター領域を表す。
【0038】ElはCaMV35Sプロモーターのエン
ハンサー領域(−417〜−90)を表し、本ベクター
では該領域はタンデムに連結されている。(J.Bio
technology 14 333 (199
0))。P35Sは、上記35Sプロモーター領域(−
90〜−1)である。Ωは、タバコモザイクウィルスの
オメガ配列(Gene,217,217(1987))
を表す。図3のベクター中のP35Sを含むHindII
I/BamHI断片を発現カセットのプロモーター配列
とした(図1のPST10の発現プロモーターとして使
用した)。
【0039】次に、発現効率の高いプロモーターを構築
するため、CaMV35Sプロモーターエンハンサー領
域(−290〜−90)を多重連結した。エンハンサー
領域(−290〜−90)を7つ連結し、その上流にさ
らにCaMV35Sプロモーター(約650bp)(E
35S)を連結したプロモーターを農業生物資源研究
所、廣近洋彦博士より分与を受けた(図1のS−Sar
coの発現プロモーターとして使用した)。
【0040】次に感染特異的タンパク(PRタンパク)
PR1aをコードするゲノムDNAを含むプラスミドp
PR−γ(Febs Letter,225,243
(1987))を鋳型とし、配列番号:7に示すプライ
マー7及び配列番号:8に示すプライマー8を用いたP
CR反応により、PR1aプロモーター930塩基対を
含み、翻訳開始コドンの1塩基上流までのDNA断片を
調製した。本断片の5’末端はXhoIサイトとなって
おり、3’末端はBamHIサイトとなっている。一方
同じプラスミドpPR−γより、プロモーター領域の−
2400から−902までの領域を含むDNA断片をE
coRI及びXhoIによって切り出した。このDNA
断片の5’末端はEcoRIサイトであり、3’末端は
XhoIサイトとなっているため、上記930塩基対を
含むDNA断片と結合した。更にこの結合された断片の
5’末端を通常の手法によってHindIIIサイトに変
換した。その結果最終的に本DNA断片はPR1a遺伝
子のプロモーター領域の−2400から翻訳開始コドン
の1塩基上流までを含み、5’末端はHindIIIサイ
トおよび3’末端はBamHIサイトを有する。
【0041】以上で得られたプロモーター配列と(1)
で得られたザルコトキシンIAコーディング配列とを互
いのBamHIサイトで常法により結合させた。
【0042】さらに上記pPR−γを鋳型として、配列
番号:3に示す、プライマー3および配列番号:4に示
す、プライマー4を用いて上記と同様のPCR反応によ
りPR1aのプロモーター930塩基対およびシグナル
ペプチドをコードするDNA断片で調製した。本断片は
5’末端にBamHIサイトを有し、3’末端は平滑末
端となっている。一方、ザルコトキシンIA成熟ペプチ
ド部分は、上記と同様に配列番号5:に示すプライマー
5および配列番号6に示すプライマー6を用いたPCR
反応により調製した。本断片の5’末端は平滑末端とな
っており、3末端はEcoRIサイトとなっている為、
PR1a遺伝子のプロモーター配列およびシグナルペプ
チドをコードするDNA断片と結合した。
【0043】以上により本発明の発現カセット、PST
10、S−Sarco、S−12、4−15を得た。コ
ントーロール発現カセットとしてpBI121の35S
−GUS領域を得た。これらの構造を図1に示す。図中
のEn35Sは、CaMV35Sプロモーターのエンハ
ンサー領域(−417〜−90)、P35Sは、CaM
V35Sプロモーター(−90〜−1)、Ωはタバコモ
ザイクウィルスのオメガ配列(Gene,217,21
7(1987))、SigはザルコトキシンIAのシグ
ナルペプチドコーディング領域、Sarcotoxin
はザルコトキシンIAの成熟ペプチドコーディング領
域、TNOSがノパリンシンテターゼ遺伝子のターミネー
ター領域、EnはCaMV35Sプロモーターのエンハ
ンサー領域(−290〜−90)、E35SはCaMV
35Sプロモーター(約650bp)領域、TPRはPR
1aのターミネーター領域、S−12におけるPR1a
は、約2.4kbのPR1aプロモーター領域、Tsa
rcoはザルコトキシンIAcDNAのターミネーター
領域、4−15におけるPR1aは、約0.99kbの
PR1aプロモーター領域、SigPRは、PR1aシ
グナルペプチド領域、およびコントロールにおけるGU
Sは、β−グルクロニダーゼ構造遺伝子を表す。
【0044】(3)発現カセットのpBI121への導
入 市販のpBI121をHindIII−EcoRIで切断
し、pBI121のCaMV35Sプロモーターおよび
GUSを除いた後、上記(2)で作製した発現カセット
をHindIII−EcoRIに導入した。
【0045】実施例4(発現カセットのタバコへの導入
による組換えタバコの作成) (1)Agrobacterium tumefaci
ensの形質転換 Agrobacterium tumefaciens
のLBA4404株(clontech社)を250μ
g/mlのストレプトマイシンと50μg/mlのリフ
ァンピシンを含むL培地中、28℃で培養し、Nage
lら(Microbiol. Lett.,67,32
5(1990))の方法に従って、細胞懸濁液を調製
し、実施例3で作成した各発現カセットを含むプラスミ
ドを各々エレクトロポレーションにより、上記菌株に導
入した。上記L培地で28℃,3日培養し、各々形質転
換体を得た。
【0046】(2)タバコの形質転換 上記(1)で得られた形質転換Agrobacteri
um tumefaciens LBA4404をYE
B培地(DNA cloning 第2巻78頁)で振
とう培養(28℃,200rpm)した後、滅菌水で2
0倍に希釈し、タバコ(Nicotiana Taba
cum Sammsun NNを供試)の葉片を共存培
養した。2〜3日後、抗生物質を含む培地で上記細菌を
除去し、2週間ごとに選択培地で継代し、形質転換した
タバコ細胞を選抜し、常法によりカルスを誘導し、植物
体に両分化した。本明細書では、これらカルスより再分
化した植物帯をR0世代と規定する。
【0047】得られた再分化植物は、順化し、自家受粉
させ、R0世代の自殖次世代を得た。本明細書中ではこ
の世代をR1世代と規定する。
【0048】図1中の各発現カセットが導入された組換
えタバコのいずれの系統もR1世代の種子を多数得た。
これらは、カナマイシン含有(100μg/ml)MS
寒天培地上に播種し、各発現カセットを伴に導入された
pBI121由来のNPYII発現によるカナマイシン抵
抗性の有無で発現カセットの導入されたR1のみを選択
し栽培を行った。
【0049】(実施例5)(R1世代組換えタバコのノ
ーザン解析) R1世代で、上記の各発現カセットがmRNAレベルで
発現することを確認する為、ノーザン解析を常法により
行った。プローブとして、本発明の発現カセット中に含
まれるザルコトキシン成熟ペプチドコーディング領域を
α−32PdCTPでRIラベルした断片を使用した。
【0050】解析結果のオートラジオグラムを図4に示
す。レーン1はコントロール植物、レーン2は図1の3
5−GUS導入タバコ、レーン3は図1のS−Sarc
o導入タバコ、およびレーン4〜7は図1のPST10
導入タバコの各々R1世代である(カナマイシン抵抗
性)、また、レーン8は、図1のS−Sarco導入タ
バコの次世代であるが、カナマイシン感受性のR1世代
である。
【0051】レーン1、2および8ではシグナルが認め
られず、レーン3〜7に明確な上記プローブとハイブリ
ダイズするシグナルが認められる。従って、本発明の発
現カセットは安定して自殖次世代植物に遺伝継承され得
る。
【0052】(実施例6)(ザルコトキシン遺伝子を導
入した植物のタバコ野火病菌抵抗性の検定) R1世代の形質転換タバコの葉の表面に、60本の細針
の束で傷をつけ、野火病菌(5×107/ml)を傷面
に塗布した。5日後に病微の程度を判定した。結果を表
4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】この結果、ザルコトキシン遺伝子が導入さ
れたタバコから、自家受粉によって得られた次世代(R
1)植物に安定してこの遺伝子が遺伝し、しかもこれが
R1植物で発現することにより細菌病抵抗性が示された
ことが明らかになった。
【0055】実施例7(抗菌性タバコの軟腐病菌に対す
る抗菌性試験) 6cmの滅菌プラスチックシャーレ中に5mlの滅菌水
をいれ直径1cmの円状に切りぬいた抗菌性タバコの葉
を6枚を脱イオン水でよく洗浄した後いれて、3日間、
28℃でゆるやかに浸透しながらインキュベートした。
この中には当初106cell/mlの軟腐病菌(E.
Carotovara subsp.carotov
ora)を加えておいた。
【0056】3日後、その一部をとり、LB培地にまい
てコロニーをカウントした。当初の細胞数を106/m
lを1として、以下に結果を示す。
【0057】
【表5】
【0058】尚、葉を加えないコントロールは3日間で
0.1に減少した。コントロールとは非組み換えタバコ
植物由来の葉である。
【0059】上記の結果は、抗菌性ペプチドを生産して
いる組換えタバコの葉組織からザルコトキシンIAが細
胞間隙に分泌され、シャーレ中の軟腐病菌を含む水溶中
に溶け出したために、この細菌の増殖を阻害したことを
示している。即ち、この抗菌性ペプチドのシグナルペプ
チドが正常に切断され、成熟ペプチドとして細胞外に分
泌されることにより抗菌性が示されたものと考えられ
る。
【0060】
【発明の効果】本発明の発現カセット、ベクターを植物
細胞を導入することにより、昆虫由来の抗菌性ペプチド
を生産する植物体が得られる。病原菌に抵抗性のある植
物新品種が提供される。
【0061】
【配列表】
【0062】
【配列番号:1】 配列の長さ:34 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:プライマー 配列 ACGTGGATCC AACATGAATT TCCAGAACAT TTT
C 34
【0063】
【配列番号:2】 配列の長さ:35 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:プライマー 配列 ACGTGAGCTC TTAACCTCTG GCTGTAGCAG CAACA 35
【0064】
【配列番号:3】 配列の長さ:30 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:プライマー 配列 CCAGAAGCTT GATTTCAAAC TCTAGCTTCA 30
【0065】
【配列番号:4】 配列の長さ:20 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:プライマー 配列 GGCACGGCAA GAGTGGGATA
20
【0066】
【配列番号:5】 配列の長さ:20 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:プライマー 配列 GGTTGGTTGA AAAAGATTGG 20
【0067】
【配列番号:6】 配列の長さ:30 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:プライマー 配列 TAGCGAATTC CTTAAAATTT TTATTACAAT 30
【0068】
【配列番号:7】 配列の長さ:24 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:プライマー 配列 AGCTCTCGAG GATTTCAAAC TCTA 24
【0069】
【配列番号:8】 配列の長さ:28 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:プライマー 配列 AGCTGGATCC GACTATAGGA GAAATGTT 28
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発現カセットを示す。
【図2】ザルコトキシンのタバコの成育に対する影響を
示す図である。
【図3】pBI121由来のベクターを示す。
【図4】ノーザン解析によるオートラジオグラムを示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 Jpn.J.Breed 42[2 ](1992)p.180−181 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) BIOSIS(DIALOG) JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 双翅目昆虫由来の、他の蛋白質と融合し
    ていない抗菌性ペプチドを植物細胞で発現しうる、発現
    カセットであって、ここでプロモーターDNA配列と該抗
    菌性ペプチドをコードするDNA配列とが発現可能な状態
    で結合され、該抗菌性ペプチドが植物細胞で分泌される
    ように構築されている、発現カセット。
  2. 【請求項2】 前記抗菌性ペプチドが、ザルコトキシン
    IA、ザーペシンまたは抗真菌蛋白のいづれかである請
    求項1記載の発現カセット。
  3. 【請求項3】 前記発現カセットが、ザルコトキシンI
    Aのシグナル配列とザルコトキシンcDNAとを含む、
    請求項又はに記載の発現カセット。
  4. 【請求項4】 請求項1ないしいづれかの項記載の発
    現カセットを有するベクター。
  5. 【請求項5】 請求項1ないしいづれかの項記載の発
    現カセット又は請求項のベクターを有する抗菌性植物
    細胞。
  6. 【請求項6】 請求項1ないしいづれかの項記載の発
    現カセット又は請求項のベクターを有する抗菌性植物
    体。
  7. 【請求項7】 前記抗菌性植物体がタバコ、トマト、レ
    タス、白菜、イネ、オオムギ、コムギ、ジャガイモ、カ
    ンキツ類、モモ、およびリンゴからなる群から選ばれる
    請求項に記載の植物体。
  8. 【請求項8】 請求項1ないしいづれかの項記載の発
    現カセット又は請求項のベクターを植物細胞に導入す
    ることを包含する抗菌性植物細胞又は抗菌性植物体を作
    出する方法。
  9. 【請求項9】 請求項又はの植物体を交配させた抗
    菌性植物体であって、1又は2以上の異なる抗菌性ペプ
    チドを発現する植物体。
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