JP2952014B2 - 避雷機能を備えた懸垂碍子 - Google Patents

避雷機能を備えた懸垂碍子

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JP2952014B2 JP22598890A JP22598890A JP2952014B2 JP 2952014 B2 JP2952014 B2 JP 2952014B2 JP 22598890 A JP22598890 A JP 22598890A JP 22598890 A JP22598890 A JP 22598890A JP 2952014 B2 JP2952014 B2 JP 2952014B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は碍子表面の汚損による事故を未然に防止す
るとともに、限流素子の劣化を抑制することができる避
雷機能を備えた懸垂碍子に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、避雷機能を備えた懸垂碍子は、次のように構成
されている。碍子本体の頭部にキャップ金具を被冠固定
し、頭部の内側にはピン金具を嵌合固定し、碍子本体の
笠部に設けた素子収容部に電圧−電流特性が非直線性を
限流素子を収容するとともに、素子収容部の上下両端部
に上部封止電極及び下部封止電極を取着し、前記上部封
止電極とキャップ金具をリード線により、下部封止電極
と、ピン金具をリード線によりそれぞれ電気的に接続し
ている。
前記のように構成された懸垂碍子は、送電線路の電圧
に応じて適数個直列に連結されて使用されるようになっ
ている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、前述した避雷機能を有する懸垂碍子は、汚
損又は冠雪等の特殊な条件下におかれた場合、碍子表面
が清浄時と異なり、特定の懸垂碍子に異常な電位集中が
発生する場合があり、そのような電位集中が断続する
と、限流素子(ZnO)に流れる電流が次第に増加してい
き、最終的に電気的な導通を生じて碍子本体の笠部が破
損するという問題があった。
さらに詳述すると、前記電位集中の持続する時間は、
一時的なこともあれば数時間及ぶこともあり、懸垂碍子
に作用する電圧も正常時に比べて150〜250%に達する。
このような状態が発生すると、限流素子の温度が上昇
し、その熱変化が限流素子を早期に劣化させるととも
に、限流素子と素子収容部との接着部に異常な熱ストレ
スを発生し、素子収容部にクラックが発生するため、碍
子本体が破損するという問題がある。
上記問題点を解消するため,本願出願人は特開昭63−
138612号公報において、前記上部封止電極及び下部封止
電極の少なくとも一方を限流素子からの温度を検知する
機能を有するものとし、かつ該封止電極に導電性を有す
る形状記憶合金バネを付設して、該電極とキャップ金具
又はピン金具との間にキャップが形成されるように構成
した避雷機能を備えた懸垂碍子を提案している。
ところが、この懸垂碍子は形状記憶合金バネが外部に
配置されているために、雨、風あるいは冠雪等の環境気
象条件による温度検出問題があり、冠雪時には形状記憶
合金バネが冷却されるため、効果がないという問題があ
った。
この発明の目的は、汚損あるいは冠雪により限流素子
部に異常な電位集中が生じたような場合、碍子の汚損状
態あるいは気象条件に影響されることなく、異常は電位
集中をなくして、限流素子の劣化を抑制することができ
るとともに、碍子本体の笠部の破損を防止することがで
きる避雷機能を備えた懸垂碍子を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は上記目的を達成するため、碍子本体の頭部
にキャップ金具を被冠固定し、頭部の内側にはピン金具
を嵌入固定し、碍子本体の笠部に設けた素子収容部に電
圧−電流特性が非直線性の限流素子を収納するととも
に、素子収容部の上下両端部に上部封止電極及び下部封
止電極を取着してなる避雷機能を備えた懸垂碍子におい
て、前記限流素子間、又は素子と上部封止電極又は下部
封止電極との間に対し、形状記憶合金バネを温度が所定
値以上に上昇した時にギャップが形成されるように介在
するという手段をとっている。
〔作 用〕
この発明は装柱状態において送電線に侵入した雷サー
ジが懸垂碍子の下部封止電極、限流素子、形状記憶合金
バネ、限流素子及び上部封止電極等に流れ、さらに接地
側の鉄塔に流れてアースされる。又、その後生じる続流
電流は、限流素子の抵抗値の復元により抑制されるの
で、地絡事故が未然に防止される。
碍子本体の笠部が汚損されたり、あるいは冠雪状態に
なると、特定の懸垂碍子に異常な電位集中か発生し、限
流素子の温度が上昇する。この温度上昇により、封止電
極内部に収容された形状記憶合金バネが加熱されて変形
するためギャップが形成され、限流素子の電気的な導通
が阻止されて、限流素子の劣化が抑制されるとともに、
異常な温度上昇により、素子収容部にクラックが生じる
こともなく、碍子本体の破損が抑制される。
〔実施例〕
以上、この発明を具体化した一実施例を第1図〜第3
図に基づいて説明する。
第3図に示すように鉄塔(図示略)に設けられた支持
アーム1には吊下金具2を介して避雷機能を備えた懸垂
碍子3が多数直列に連結垂下され、同懸垂碍子3の最下
端には吊下金具4を介して送電線Lが支持されている。
第2図に示すように、懸垂碍子3を構成する碍子本体
5は、笠部5aと、同笠5aの内側面に円環状かつ同心状に
形成された絶縁ひだ5bと、さらに、前記笠部5aの中心上
部に一体形成された有蓋円筒状の頭部5cとにより構成さ
れている。又、該頭部5cにはセメント6によりキャップ
金具7が被冠固定され、該金具7上部には係合凹部7aが
形成され、直上の懸垂碍子3のピン金具8を係合し得る
ようになっている。ピン金具8の上部は前記頭部5cの内
部にセメント6より固定され、下端は直下の懸垂碍子3
のキャップ金具7の係合凹部7aに係合されている。この
ようにして複数の避雷碍子3が直列に連結されている。
前記笠部5aには円筒状をなす複数の素子収容部9が等
角度間隔に、かつ上下方向に一体形成されている。この
素子収容部9の内部には酸化亜鉛(ZnO)を主材とした
続流遮断特性に優れた電圧−電流特性が非直線性の限流
素子10,11が収容されている。前記上下の限流素子10,11
の間には例えばアルミナ(Al2O3)等の高抵抗体よりな
る貫通孔12aを有する絶縁筒体12が介在され、該絶縁筒
体12の内部には上下にNi−Ti合金製の形状記憶合金バネ
13,14が介在されている。15,16は限流素子10,11と絶縁
筒体12及び形状記憶合金バネ13,14との間に介在した軟
性金属板であって、該金属板15,16に前記形状記憶合金
バネ13,14が蝋付け等により取り付けられている。
前記素子収容部9の上下両端面には上部及び下部の封
止電極としての内側封止電極17,18が接着剤19により接
着されている。又、素子収容部9の上下両端部には前記
封止電極17,18を覆うように上部及び下部の封止電極と
しての外側封止電極20,21がそれぞれ嵌合され、かしめ
付け固定されている。さらに、前記外側封止電極20,21
の内面には導電性板バネ22,23が溶接固定され、それら
のバネ22,23は前記内側封止電極17,18の外側面に押圧さ
れている。
前記素子収容部9の内周面と限流素子10,11及び絶縁
筒体12の外周面との間には所定の空隙が設けられ、その
内部には絶縁強度を向上するために例えばSF6ガスが封
入されている。
前記外側封止電極20とキャップ金具7はリード線24に
より、外側封止電極21とピン金具8はリード線25により
それぞれ電気的に接続されている。
次に、前記のように構成した避雷機能を備えた懸垂碍
子について、その作用を説明する。
今、送電線Lに雷サージの過大電圧が印加されると、
そのときの電流は吊下金具4を経て懸垂碍子3のピン金
具8へ流れ、リード線25→外側封止電極21→導電板バネ
23→内側封止電極18→限流素子11→軟性金属板16→形状
記憶合金バネ14,13→限流素子10→軟性金属板15→内側
封止電極17→導電板バネ22→外側封止電極20→リード線
24→キャップ金具7→吊下金具2及び支持アーム1を経
て大地へアースされる。
この時、碍子本体5に内蔵された限流素子10,11はそ
の特性により速やかに抵抗値を減じて雷サージによる大
電量を大地へ放電させる。
又、前記雷サージに断続する続流電流に対しては、線
路電圧が低いため限流素子10,11は直ちに抵抗値を復元
して絶縁を回復するので、続流放電は抑制遮断されて電
線路は正常に復帰する。
汚損あるいは冠雪等により、懸垂碍子連の特定の懸垂
碍子3に異常な電位集中が発生すると、限流素子10,11
が発熱し、その温度が上昇する。この熱は形状記憶合金
バネ13,14によって検出され、両バネ13,14が第1図に鎖
線で示すように互いに離隔されて、ギャップGが形成さ
れ、両合金バネ13,14間が電気的に遮断される。従っ
て、限流素子10,11の異常な温度上昇によって限流素子1
0,11が劣化することがなく、又、素子収容部9の熱によ
る破損が抑制され、特定の懸垂碍子3が破損に至ること
がない。
そして、限流素子10,11の温度が下がると形状記憶合
金バネ13,14が自動的に元の形状に復元して互いに接触
し通電可能な状態となる。
なお、この発明は前記実施例に限定されるものではな
く、次のような実施例で具体化することもできる。
(1)蛇腹状の形状記憶合金バネ13,14に代えて、第4
図に示すように、板バネ状の形状記憶合金バネ31,32を
軟性金属板15,16に蝋付け等により取り付て、両バネの
先端部を互いに接触させることもできる。
(2)前記実施例においては形状記憶合金バネ13,14は
一方向性の形状記憶合金を使用したが、二方向性の形状
記憶合金を使用してもよい。
又、形状記憶合金としてNi−Ti合金の代わりに、Cu−
Zu−Al系合金、Be−Cu合金等の他の金属を用いることも
できる。
〔発明の効果〕
以上詳述したように、この発明は汚損或いは冠雪等の
特殊条件下において異常な電位集中が発生した場合に限
流素子の劣化を抑制することができるとともに、碍子の
破損を防止できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例を示す避雷機能を備えた懸
垂碍子の要部の断面図、第2図は懸垂碍子の半縦断面
図、第3図は懸垂碍子の使用状態を示す略体正面図、第
4図はこの発明の別例を示す要部の断面図である。 5……碍子本体、5a……笠部、5c……頭部、7……キャ
ップ金具、8……ピン金具、9……素子収容部、10,11
……限流素子、12……絶縁筒体、13、14……形状記憶合
金バネ、17,18……上部及び下部の封止電極としての内
側封止電極、20,21……上部及び下部の封止電極として
の外側封止電極、24,25……リード線、G……ギャッ
プ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】碍子本体(5)の頭部(5c)にキャップ金
    具(7)を被冠固定し、頭部(5c)の内側にはピン金具
    (8)を嵌入固定し、碍子本体(5)の笠部(5a)に設
    けた素子収容部(9)に電圧−電流特性が非直線性の限
    流素子(10,11)を収納するとともに、素子収容部
    (9)の上下両端部に上部封止電極(17,20)及び下部
    封止電極(18,21)を取着してなる避雷機能を備えた懸
    垂碍子において、 前記限流素子(10,11)間、又は素子(10,11)と上部封
    上電極(20)又は下部封止電極(21)との間に対し、形
    状記憶合金バネ(13,14)を温度が所定値以上に上昇し
    た時にギャップ(G)が形成されるように介在したこと
    を特徴とする避雷機能を備えた懸垂碍子。
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