JP2948918B2 - 剥離性水性被覆組成物およびこれを用いた自動車外板塗膜の一時保護方法 - Google Patents

剥離性水性被覆組成物およびこれを用いた自動車外板塗膜の一時保護方法

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JP2948918B2 JP8534693A JP53469396A JP2948918B2 JP 2948918 B2 JP2948918 B2 JP 2948918B2 JP 8534693 A JP8534693 A JP 8534693A JP 53469396 A JP53469396 A JP 53469396A JP 2948918 B2 JP2948918 B2 JP 2948918B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、自動車外板塗膜その他塗装された物品の表
面を一時的に保護するのに有用な剥離性水性被覆組成
物、および該組成物を用いる自動車外板塗膜の一時保護
方法に関する。
背景技術 自動車、車両、機械部品および家庭用品などの金属製
品、木工製品、ガラス製品、プラスチック製品およびゴ
ム製品などの表面を塗装せしめた製品の塗面を一時的に
保護することは一般に行われている。
例えば、これらの塗装製品が完成してから需要家にわ
たるまでに、屋外ストックヤードでの保管中や自送、鉄
道、トレーラー、船舶などによる輸送中に、他の物体と
の接触による塗膜のスリキズ、大気中の砂塵、鉄粉、塩
類、煤煙、鳥糞、昆虫の体液や死骸などや太陽光線、風
雨(特に酸性雨)などによるキズ、シミ、変色、汚染な
ど発生し、その商品価値が低下するので、それを防止す
るために、塗装製品が完成してから需要家にわたるまで
の期間一時的に保護する。従来、このような塗装製品を
一時保護するために下記〜のように種々の方法が行
われているが、いずれも十分でなかった。
ワックス類の脂肪族炭化水素系溶剤分散液を塗装す
る。塗布した一時被膜を除去(剥離)するのに、洗浄剤
を炭化水素溶剤や水に分散したエマルションが使用され
ているが、例えば自動車にこれを適用すると、ドア内部
やヒンジ部などに塗布されている防錆剤や防錆ワックス
なども同時に除去され、さらに塗膜がこれらの溶剤によ
って膨潤したり、火気危険性や排水処理などの環境上の
課題も有している。
ワックスに固体粉末を混合しワックス被膜の強度を
低下させて、保護被膜を手拭きで容易に除去可能なワッ
クス−固体粉末有機溶剤型分散液を塗装する。これは、
一時保護性が劣り、手で触れると容易に脱落し、しかも
酸性雨に汚染されやすい。
水性一時保護剤としてアクリル樹脂を主成分とする
エマルションを用いることが知られているが、これらは
いずれもアクリル酸やメタクリル酸などのカルボキシル
基含有モノマーが多量に含まれているために、剥離が困
難で、アルカリ水溶液で除去することが行われ、多大な
工数を必要とし、しかも排水処理などにも課題がある。
さらに、水性一時保護剤として(メタ)アクリロニ
トリルを含むアクリル樹脂エマルションを用いることが
知られており(例えば特開平3−259966号公報)、この
ものは被膜強度、剥離性などはすぐれているが、(メ
タ)アクリロニトリルを含むために、剥離被膜の廃棄処
理が困難である。
例えば、該被膜を地中に埋めると水質汚染の可能性が
あり、焼却するとシアン化水素ガスが発生して大気を汚
染するおそれがある。
水性保護剤として酢酸ビニルエマルションを主成分
とする塗料を用いることも知られている(例えば、米国
特許第5143949号明細書)が、耐酸性および耐水性など
が十分でない。
またこれらの一時保護剤を車両塗膜面に塗布し保護膜
を形成する方法として、例えば特開平7−80397号、特
開平7−80398号、特開平7−80399号などに示される方
法が採用できる。これらの方法によれば車両塗膜面を水
洗しその洗浄水を水切りしてから一時保護剤を塗布し乾
燥させて保護膜を形成する、あるいは自動車の製造工程
のボディの塗装工程後、組立工程前のボディの塗膜面に
一時保護剤を塗布し乾燥させて保護膜を形成するもので
ある。しかしながらこれらの方法で上記例示の一時保護
剤を用いると、該一時保護剤の塗布工程で垂れが発生し
たり、乾燥時に保護膜にワレ状の塗面異常が発生した
り、また得られる保護膜の強度や伸びの温度依存性が大
きいなどの問題があった。
このように、一時保護剤を用いる場合には、下記イ)
〜ト)の特性を有する組成物を用いることが重要であ
る。
イ)保護すべき塗膜に対して適度な密着性を有し、剥離
する際は塗膜を傷付けることなく人手又は高圧水流で1
枚の連続的なシートとして剥離できる。
ロ)スプレー塗装、又はローラー、削毛塗装ができる。
ハ)酸性雨、鉄粉などによるシミ、汚染の防止および物
の接触、チッピングによる傷付きの防止などの保護機能
に優れる。
ニ)被膜が適度な弾性、強度、伸びおよび耐久性を有
し、且つ該強度、伸びなどの特性が被膜温度に影響を受
けにくい。即ち屋外で剥離する場合に、夏場の高温期で
は被膜が伸びすぎて剥離できない、また冬場の低温期で
は伸びが著しく低下して被膜が割れるためシート状に剥
離できない、などの不具合が生じにくい。
ホ)屋外保管に必要な耐水性、耐候性、熱安定性を有し
ている。
ヘ)保護すべき塗膜を膨潤させたり、または変形、変
色、シミ、ボケなどの塗面異常を起こさせるような溶
剤、可塑剤、分散剤などの添加剤を含まない。
ト)剥離された被膜は廃棄されるものであることから、
埋立てまたは焼却されるため、人体、環境に有害となる
ような成分を一切含まない。
本発明者等は前記〜の問題点を解決し、且つ前記
イ)〜ト)の特性を有する剥離性水性一時保護被覆組成
物を開発するために、鋭意研究を重ねた結果、特定の架
橋型エマルション樹脂と剥離助剤を含有する剥離性水性
被覆組成物を用いると、強靭な被膜強度と適度な伸びが
得られ、その強度と伸びが被膜温度によって大きく変化
することなく、長時間経過後も容易に剥離でき、且つ酸
性雨などに対する保護機能に優れ、剥離後の埋立て又は
焼却処分においても環境上の問題を全く有しない被膜に
より一時保護をなし得ることを見い出し、本発明を完成
するに至った。
発明の開示 すなわち、本発明は、好ましくはモノマー成分として
カルボニル基含有α,β−エチレン系不飽和モノマーを
モノマー組成物0.1〜30重量%含有する共重合体水性エ
マルションおよび架橋剤としての、1分子当り少なくと
も2個のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物
を、該エマルション粒子中のカルボニル基1当量に対
し、ヒドラジド基の量が0.02〜3.0当量となる割合で含
有する樹脂分散液(A)、および剥離助剤(B)を含有
することを特徴とする剥離性水性被覆組成物;該剥離性
水性被覆組成物を自動車の外板に塗装された上塗り硬化
塗膜の表面に塗布することを特徴とする自動車外板塗膜
の一時保護方法に関する。
図面の簡単な説明 図1、図2および図3は、それぞれ本発明方法の1例
を説明するためのフローチャート図である。
発明を実施するための最良の形態 本発明組成物は、カルボニル基含有共重合体エマルシ
ョンとポリヒドラジド化合物との反応によって架橋可能
な樹脂分散液を主成分として含有しているため、すみや
かに強靭な三次元架橋膜を形成し、得られる被膜は、強
度が大きく、適度な伸びを有し、且つ強度や伸びの温度
依存性が小さいという特徴を持つものである。
本発明組成物において樹脂分散液(A)は、カルボニ
ル基含有共重合体水性エマルションとポリヒドラジド化
合物とを必須成分として含有する。
上記共重合体水性エマルションは、エマルション粒子
を形成する共重合体のモノマー成分としてカルボニル基
含有α,β−エチレン系不飽和モノマー(a)をモノマ
ー組成中0.1〜30重量%含有するものが好ましく、安定
な共重合体水性エマルションであればいずれも使用可能
である。
上記安定な共重合体水性エマルションは例えば、 (a)カルボニル基含有α,β−エチレン性不飽和モノ
マー0.1〜30重量%、(b)モノマー(a)と共重合可
能な水溶性エチレン性不飽和モノマー0〜10重量%およ
び (c)モノマー(a)およびモノマー(b)と共重合可
能な該モノマー(a)およびモノマー(b)以外のその
他のエチレン性不飽和モノマー60〜99.9重量%を含有す
るモノマー混合物を乳化剤の存在下で乳化重合させるこ
とによって得ることができる。
上記モノマー(a)としては、例えば、アクロレイ
ン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタク
リルアミド、ホルミルスチロールおよびビニルメチルケ
トン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンなどの
炭素原子数4〜7個のビニルアルキルケトンなどが挙げ
られる。これらのうち特に好ましいものは、ダイアセト
ンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミドであ
る。
上記モノマー(b)は、モノマー(a)と共重合可能
であり、そのまま又は、中和もしくは4級塩化によって
強い親水性を示すモノマーであって、アニオン性、カチ
オン性、ノニオン性のいずれのモノマーであってもよ
い。
モノマー(b)は、共重合体エマルション粒子に親水
性を付与するために用いられるものであって、親水性を
付与することによってエマルション粒子の安定性を増大
させることができる。
モノマー(b)の代表例としては、アニオン系では、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、
β−カルボキシエチルアクリレート、2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン
酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメ
タクリレートおよびそのナトリウム塩もしくはアンモニ
ウム塩;カチオン系ではジメチルアミノエチルアクリレ
ート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチル
アミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタ
クリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメ
チルアミノプロピルアクリルアミドおよびジメチルアミ
ノプロピルメタクリルアミド、さらにグリシジル(メ
タ)アクリレートとアミン類との付加物等;ノニオン系
ではポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレー
ト等が挙げられる。
前記モノマー(c)は、モノマー(a)およびモノマ
ー(b)と共重合可能であって、該モノマー(a)およ
びモノマー(b)以外のエチレン性不飽和モノマーであ
れば特に限定されることなく使用できる。
モノマー(c)の代表例としては、例えば、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、ア
クリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シク
ロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル
酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シク
ロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸
ステアリル等の(メタ)アクリル酸のC1〜C24のアルキ
ル又はシクロアルキルエステル;アクリル酸メトキシブ
チル、メタクリル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキ
シエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エ
トキシブチル、メタクリル酸エトキシブチル等の(メ
タ)アクリル酸のC1〜C16アルコキシアルキルエステ
ル;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチル
メタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート等の(メタ)アクリル
酸のC2〜C8ヒドロキシアルキルエステル;スチレン、ビ
ニルトルエン、α−メチルスチレン、N−ビニルピロリ
ドン、ビニルピリジン等の芳香族不飽和単量体;エチレ
ン、プロピレン、ブチレン、ペンテン等のオレフィン;
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン化合
物;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ビニルピバレー
ト、ベオバモノマー(シェル化学社製品)などを挙げる
ことができ、これらは所属の性能に応じて適宜使用され
る。
これらのうち、例えば特公昭58−20991号公報などで
はメタクリル酸メチル、スチレン、酢酸ビニルなどを用
いた架橋型エマルション樹脂に関して報告があるが、本
発明の目的とする酸性雨などに対する保護性能および経
時での良好な剥離性を確保するために、本発明では、耐
酸性、耐水性の低下防止の点から酢酸ビニルは好ましく
なく、また経時での剥離性低下防止の点からスチレンも
好ましいとは言えない。本発明では(c)モノマーとし
て特にメタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メ
タクリル酸ブチルなどが好適である。
上記モノマー(a)、(b)、(c)がモノマー成分
全体に対して占める割合は下記範囲内である。
モノマー(a):0.1〜30重量%、好ましくは2〜15重
量%、 モノマー(b):0〜10重量%、好ましくは0〜3重量
%、 モノマー(c):60〜99.9重量%、好ましくは82〜98
重量% 上記モノマー(a)の量が0.1重量%未満では、架橋
剤であるポリヒドラジド化合物との架橋点が少なすぎて
架橋が十分に行われず、被膜の強度が十分でない。一方
モノマー(a)の量が30重量%を超えると、塗料の貯蔵
安定性が悪くなる。モノマー(b)の量が多くなると得
られるエマルション樹脂の親水性が強くなり、それに従
って得られる被膜の耐水性が悪くなる傾向があるためモ
ノマー(b)の量は10重量%以下に抑えることが好まし
い。特にカルボキシル基含有モノマーおよびアミド基含
有モノマーの場合は、量が多くなると、保護すべき塗膜
との密着性が高く、被膜の剥離が困難となるため0.5重
量%未満が好ましい。
本発明において共重合体水性エマルションは公知の方
法にて得ることができる。例えば乳化剤の存在下で、上
記モノマー成分を乳化重合させることによって容易に得
ることができる。上記乳化剤としては非イオン界面活性
剤、陰イオン界面活性剤、及び共重合性不飽和基を有す
る反応性界面活性剤などが挙げられ、これらの乳化剤の
1種、または2種以上の存在下で重合開始剤を使用して
乳化重合することによって得られる。乳化重合以外にも
公知の懸濁重合によっても得ることができる。
本発明組成物において使用する架橋剤は、上記共重合
体水性エマルション粒子中のカルボニル基と反応しうる
ヒドラジド基 を1分子中少なくとも2個有するポリヒドラジド化合物
である。
上記ポリヒドラジド化合物としては、具体的には、2
〜18個の炭素原子を有する飽和脂肪族カルボン酸ジヒド
ラジド、例えば蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジ
ド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、
アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、モ
ノオレフィン性不飽和ジカルボン酸のジヒドラジド、例
えばマレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド及
びイタコン酸ジヒドラジド;炭酸のポリヒドラジド、例
えば炭酸ジヒドラジド及び一般式 (式中、nは1〜5好ましくは1〜3の整数を意味す
る)で表わされる化合物;ビスセミカルバジド、特に一
般式 (式中、基−R−は2価の直鎖状もしくは分岐状の2〜
7個の炭素原子を有する脂肪族残基又は6〜8個の炭素
原子を有する炭素環状残基、例えばo−、m−、もしく
はp−フェニレン基、トリレン基、シクロヘキシレン基
又はメチルシクロヘキシレン基を意味する)で表わされ
る脂肪族、脂環族又は芳香族のビスセミカルバジド;芳
香族ポリカルボン酸のポリヒドラジド、例えばフタル
酸、テレフタル酸又はイソフタル酸のジヒドラジド、な
らびにピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジド
又はテトラヒドラジド;脂肪族トリヒドラジド、例えば
ニトリロトリ酢酸トリヒドラジド;テトラヒドラジド、
例えばエチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド;
カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体を
ヒドラジド又はヒドラジド水化物(ヒドラジンヒドラー
ド)と反応させてなるポリヒドラジド(特公昭52−2287
8号参照)、その他にカルボヒドラジドおよび1,3−ビス
(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダン
トインなどが挙げられる。
上記ポリヒドラジド化合物は、疎水性が強すぎると水
分散化が困難となり、均一な架橋塗膜が得られないこと
から、適度な親水性を有する比較的低分子量(300以下
程度)の化合物を使用することが好適である。好適な代
表例の一つとして、例えばこはく酸ジヒドラジド、グル
タル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチ
ン酸ジヒドラジド等の如くC4〜C12のジカルボン酸のジ
ヒドラジド化合物が挙げられる。
本発明組成物が硬化する際のカルボニル基とヒドラジ
ド基との架橋反応は下記式に従って起こる。
本発明組成物において、架橋剤であるポリヒドラジド
化合物の添加量は、前記共重合体水性エマルションの粒
子中のカルボニル基1当量に対し、ヒドラジド基の量が
0.02〜3.0当量、好ましくは0.1〜2.0当量となる量であ
る。
本発明組成物のビヒクル成分は、前記カルボニル基含
有共重合体水性エマルションおよびポリヒドラジド化合
物を含有する樹脂分散液(A)の固形分からなってお
り、該樹脂分散液(A)は、該共重合体水性エマルショ
ンおよびポリヒドラジド化合物のみからなっていてもよ
いし、また、このものに、従来塗料分野で使用されてい
る、粒子間架橋を行なわない公知のエマルション、例え
ば、酢酸ビニルエマルション、アクリル樹脂エマルショ
ン、酢ビ−アクリルエマルション、エチレン−酢ビエマ
ルションなどを固形分量で全ビヒクル成分中に占める割
合が50重量%以下となる量配合したものであってもよ
い。
本発明組成物は、かくして得られる樹脂分散液(A)
に、剥離助剤(B)を配合してなる。
本発明の組成物による被膜が、保護すべき塗膜面に適
度な密着性を有し、剥離する際は該塗膜を傷つけること
なく完全に剥離できるという機能が、該剥離助剤(B)
を併用することによって格別顕著に長期間(3〜5倍)
維持することが可能となる。
かかる剥離助剤としては、ワックス系、シリコーン
系、フッ素系などから選ばれる少なくとも1種以上の化
合物が好適に使用できる。これらは水に溶解、もしくは
分散化されたもの、もしくは粉末状のいずれのものであ
っても使用できる。
ワックス系としては、具体的には植物系;キャンデリ
ワックス、カルナバワックス、ライスワックス、本ろ
う、ホホバ油など、動物系;みつろう、ラノリン、鯨ろ
うなど、鉱物系;モンタンワックス、オゾケライト、セ
レシンなど、石油系;パラフィンワックス、マイクロク
リスタリンワックス、ペトロラタムなど、合成炭化水素
系;フィッシャー・トロプシュワックス、酸化ポリエチ
レンワックス、ポリエチレンワックス、アクリル−エチ
レン共重合体ワックスなど、変性ワックス系;モンタン
ワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロ
クリスタリンワックス誘導体など、水素系ワックス;硬
化ひまし油、硬化ひまし油誘導体など、その他;12−ヒ
ドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタ
ル酸イミド、ビスアマイド、アマイド、グリセリンエス
テル、ソルビタンエステル、高級アルコール(C12
上、好ましくはC18以上)、高級脂肪酸(C12以上、好ま
しくはC18以上)などが挙げられる。
これらのワックス系は、融点約15〜250℃、好ましく
は約20〜180℃の範囲を有するものが望ましい。融点が
上記範囲をはずれると被膜の耐水性、耐酸性などが低下
する恐れがある。
シリコーン化合物としてはシロキサン結合を主骨格と
するシリコーンオイル、シリコーン粉末、シリコーンエ
マルション、シリコーン水溶性樹脂などが使用できる。
具体的にはジメチルポリシロキサン系、メチルフェニル
ポリシロキサン系、環状ジメチルポリシロキサン系、フ
ロロポリシロキサン系、変性(アミノ、エポキシ、ポリ
エーテル、アルコール、フッ素、メルカプト、カルボキ
シル、アルキル高級脂肪酸)、例えば商品名(トーレ・
シリコーン(株)社製)でSH203、BY16−828、SF8411、
SF8418、BY16−838、SF8422、BY16−848、SH3771、SH37
46、SF8419、FS1265の如きシリコーンオイル;R900、R90
1、R902、R100、F101、F200、F201、F202、F203、F40
0、F300、F301、F250、E500、E501、E600、E601、E60
2、E603、E850の如きシリコーン粉末;SH204、SH490、SH
7024、SH7028、SH7036、SH7060の如きエマルション;SH3
746、SH3749、SH3771の如き水性樹脂などが挙げられ
る。上記シリコーン粉末としては通常約0.1〜100μm、
好ましくは約5〜50μm平均粒子径を有することができ
る。
中でも、水に対して難溶性であり、且つ少量の界面活
性剤により容易に水分散体になり得て、被膜の下層部に
も充分配向して、保護すべき塗膜との界面に生じる経時
による密着力の増大を緩和する機能に優れるものとし
て、下記一般式で表わされる分子量1000〜20000のポリ
エーテル変性シリコーンオイルが最適である。
(式中、mおよびnは正の整数を示し、POAはエチレン
オキサイド又はプロピレンオキサイド変性による、ポリ
エーテル部分を示す。) また、フッ素系化合物としては、分子中にフルオロア
ルキル基を含有する分子量約1,000〜20,000のものが好
ましい。具体的にはパーフロロアルキルカルボン酸塩、
パーフロロアルキルリン酸エステル、パーフロロアルキ
ルトリメチルアンモニウム塩、パーフロロアルキルペン
タノン、パーフロロアルキルEO付加物などが挙げられ
る。また、商品名(旭硝子(株)社製品)としてサーフ
ロンS−111、同左S−112、同左S−113、同左S−12
1、同左S−131、同左S−132、同左S−142、同左S−
145、同左131S、同左145Sなどが挙げられる。
これらの剥離助剤(B)の中で、ワックス系及びシリ
コーン化合物を用いると耐水性及び耐酸性に優れた被膜
が得られ易いという利点がある。
剥離助剤(B)の使用割合は、通常、樹脂分散液
(A)の樹脂固形物100重量部に対してワックスの場合
には約0.5〜10重量部、好ましくは約1〜5重量部、シ
リコーン化合物の場合には約0.01〜10重量部、好ましく
は0.1〜5重量部、フッ素系化合物の場合には約0.01〜
5重量部、好ましくは約0.01〜3重量部が望ましい。
本発明の剥離性水性被覆組成物は、上記樹脂分散液
(A)及び剥離助剤(B)を必須成分として含有するも
のであるが、さらに必要に応じて紫外線吸収剤及び/又
は光安定剤よりなる耐候性助剤(C)や顔料(D)、特
にチタン白を含有することができる。
該紫外線吸収剤及び/又は光安定剤よりなる耐候性助
剤(C)の使用目的は、数ケ月以上屋外で放置されると
光劣化により被膜の伸びが低下したり、光酸化により自
動車外板塗膜に被膜が接着し剥離性が低下し、そのため
剥離の際、チギレ易く多大な剥離工数が必要となる場合
があり、このような被膜の光劣化等を防ぎ、長期にわた
る保護の後の良好な剥離性を得ることができる。該紫外
線吸収剤および光安定剤は、おのおの単独でまたは併用
して用いることができる。
紫外線吸収剤としては従来から公知のものが使用でき
る。このものの具体例としてはフェニルサリシレート、
p−オクチルフェニルサリシレート、4−tert−ブチル
フェニルサリシレートなどのサリチル酸誘導体;2,4−ジ
ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−
2′−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4
−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレー
ト、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェ
ノン、ナトリウム2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメト
キシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テト
ラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−
ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキ
シベンゾフェノン、レゾルシノールモノベンゾエート、
2,4−ジベンゾイルレゾルシノール、4,6−ジベンゾイル
レゾルシノール、ヒドロキシデシルベンゾフェノン、2,
2′−ジヒドロキシ−4(3−メタクリルオキシ−2−
ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなどのベンゾフ
ェノン系;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系及
びその他(シュウ酸アニリド、シアノアクリレートな
ど)の化合物などが挙げられる。
光安定剤としては従来から公知のものが使用できる。
主としてヒンダードアミン誘導体であるが、具体的には
ビス−(2,2′,6,6′−テトラメチル−4−ピペリジニ
ル)セバテート、4−ベンゾイルオキシ−2,2′,6,6′
−テトラメチルピペリジンなどが好適である。
該(C)成分の配合量は、目的に応じて任意に選択で
きるが、樹脂分散液(A)の樹脂固形物100重量部に対
して、紫外線吸収剤は、0.1〜10重量部好ましくは、0.5
〜5重量部、光安定剤は0.1〜5重量部、好ましくは0.3
〜3重量部が適当である。
次に本発明の組成物に、顔料(D)、特にチタン白を
水分散体とした上で配合することにより、白色化された
被膜が得られ、白色化することにより、紫外線、熱など
に対するバリヤー効果を高め、経時の剥離性を向上させ
ることができる。また該チタン白を配合することによ
り、被膜に発生する収縮応力を緩和させることができ
る。このことは、特に冬期、雨や雪により被膜が吸水し
た状態で低温に晒されると大きな応力が被膜に発生し、
塗布された被膜の端面に浮きや剥がれが生じ、強風など
で自然に被膜が剥離する場合が考えられるが、このよう
な不具合の発生を防止するのに有効である。
顔料(D)としては、チタン白、カーボンブラック、
フタロシヤニンブルー、フタロシアニングリーンなどの
着色顔料、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリ
ウム、クレー、マイカなどの体質顔料などがあげられ、
これらは単独または2種以上併用することもできる。こ
れらのうち特にチタン白が好適である。
顔料(D)の配合量は、樹脂分散液(A)の樹脂固形
分100重量部に対して3〜50重量部好ましくは、10〜30
重量部である。3重量部未満の時は、紫外線、熱などに
対するバリヤー効果が小さく、応力緩和能も極めて小さ
い。又、50重量部を超えて配合すると、被膜の伸びが低
下し、剥離する際にチギレ易くなり、また被膜の吸水性
が高まり、雨などにあうと被膜にフクレが発生し易くな
る。
本発明組成物は、例えば前記樹脂分散液(A)に剥離
助剤(B)、さらに必要に応じて配合される耐候性助剤
(C)や顔料(D)を予め水性エマルションとした上で
配合する。該(B)〜(D)成分の水性エマルション化
には機械的分散、乳化剤による分散などの方法が実施で
きる。本発明組成物には、さらに必要に応じて、公知の
塗面調整剤、消泡剤、増粘剤などが配合できる。
本発明は、また、上記のとおり得られる剥離性水性被
覆組成物を自動車外板に塗装された上塗り硬化塗膜の表
面に塗布して該塗膜を一時保護する方法を提供する。
本発明において上記剥離性水性被膜組成物が塗布され
る上塗り硬化塗膜は、従来から公知の硬化形塗料を自動
車外板に塗装し適当な温度及び時間で焼付けるなどして
得られるものであり、硬化塗膜のガラス転移温度が50〜
130℃の範囲に調製した塗膜であることが望ましい。該
硬化形塗料としてはクリヤー塗料、メタリック顔料(ア
ルミニウム粉末、雲母状粉末、酸化チタンコーテイング
した雲母状粉末など)及び必要に応じて着色顔料を含有
するメタリック塗料、着色顔料を含有するソリッドカラ
ー塗料などが使用できる。硬化形塗料のタイプとしては
水性形、有機溶剤形、粉末形などいずれのものであって
もかまわない。硬化形塗料を構成する硬化形樹脂組成物
としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アル
キド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキ
シ系樹脂などの基体樹脂とアミノ樹脂、ポリイソシアネ
ート化合物、ポリカルボン酸化合物、ポリエポキシ化合
物などの架橋剤で構成されるもの及び自己硬化性モノマ
ー(例えばN−ブトキシメチルアクリルアミド)をモノ
マー成分とする重合体などが好適に使用でき、特にアク
リル樹脂系、アミノアルキド樹脂系又はウレタン樹脂系
の塗膜が好適である。また、硬化形塗料中には体質顔
料、各種添加剤などを任意に配合することができる。上
記硬化塗膜は、例えば上記硬化形塗料を素材(例えば金
属、プラスチック及び無機質)に直接又は必要に応じて
プライマー又は中塗り又はベースコートなどを施した塗
膜の表面に塗布し、塗膜のガラス転移温度が上記範囲内
になるように硬化させたものが使用できる。
本発明において、硬化塗膜のガラス転移温度が50℃よ
り低いと屋外の長期曇露で剥離性塗膜がはがれ難くなっ
たり、また剥離後の硬化塗膜に剥離跡、シミ、ツヤ引け
等の塗膜欠陥が生じやすく、他方、硬化塗膜のガラス転
移温度が130℃より高いと、剥離性被膜の付着力が小さ
くなりすぎて保管中に自然剥離するおそれがあるので好
ましくない。ここで硬化塗膜のガラス転移温度は、遊離
硬化膜(幅5mm、長さ20mm、厚さ30μm)をダイナミッ
クビスコエラストメーターモデルパイプロン(DPV−II
−EA型、東洋バルドウイン社製品)を用いて測定したも
のである。
本発明方法においては、望ましくは上記剥離性水性被
覆組成物を、固形分濃度30〜60重量%、粘度0.3〜4.0Pa
・s、好ましくは0.7〜3.0Pa・s、及び表面張力40mN/m
以下、好ましくは35mN/m以下の範囲に調整して自動車外
板塗膜上に塗布する。固形分濃度が30〜60重量%をはず
れるとワレ状の塗面異常が発生しやすいので好ましくな
い。
該粘度が0.3Pa・s未満では、塗布した塗液が垂れ易
く、一方4.0Pa・sを越えると得られる被膜面が平滑性
に乏しく、凹凸の激しいものとなり、またローラーや刷
毛塗装の場合に回転不良などの不具合が伴い塗装作業性
が極めて低下するので好ましくない。かかる粘度範囲へ
の調整は、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アルキル
エステル・メタクリル酸共重物、ポリアクリル系スルホ
ン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテ
ルなどのポリエーテル系、ウレタン変性ポリエーテル
系、エチレンビス脂肪族カルボン酸アミド、ヒドロキシ
エチルセルロースなどの粘弾性調整剤を添加することで
容易に行うことができる。
該表面張力が40mN/mを越えると、自動車外板塗膜に対
して良好な濡れ性が得られずハジキなどの濡れ不良現象
によって連続した被膜の形成が困難となるので好ましく
ない。かかる表面張力の調整は、エチレンオキサイド又
はプロピレンオキサイドで変性されたジメチルポリシロ
キサンなどのポリエーテル変性シリコーンオイルあるい
はパーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロア
ルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアミンオ
キサイドなどのフッ素系界面活性剤など水溶性の濡れ向
上剤を添加することによって達成することができる。
本発明において上記組成物を自動車外板塗膜上に塗布
する方法としては、刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー
塗り、その他従来から行われている塗装法が採用可能で
あり、塗装された被膜は、室温では1時間もしくは2時
間、また加熱する場合は例えば50℃で20分、または70℃
で10分間加熱することにより乾燥直後に雨にさらされて
も溶け落ちることのない乾燥状態にすることができる。
更に、中赤外又は遠赤外線を30秒もしくは1分照射した
後に、50℃から70℃の雰囲気温度で2分から3分間加熱
することにより、乾燥時間を短縮することが可能であ
る。被膜の膜厚は乾燥膜厚で5〜200μm程度が適当で
ある。
上記のような自動車外板溶膜上の一時保護膜の形成
は、自動車製造工程において塗装工程と組立工程の間に
行なわれるか、あるいは組立工程後の完成車に行われ
る。
前者の方法は、自動車製造工程において自動車外板の
塗装工程後、組立工程の前に、塗装工程で自動車外板に
塗装された上塗り硬化溶膜の表面に、上記剥離性水性被
覆組成物を塗布し剥離性被膜を形成した後、該剥離性被
膜を熱風乾燥炉で乾燥するかあるいは赤外線乾燥炉で予
備乾燥してから熱風乾燥炉で乾燥する工程を設けてなる
方法である。
後者の方法は、完成車の外板に塗装された上塗り硬化
溶膜の表面を水洗し、水切りした後、該上塗り硬化塗膜
の表面に上記剥離性水性被覆組成物を塗布し剥離性被膜
を形成し、該剥離性被膜に赤外線を照射して乾燥してか
ら、該剥離性水性被膜を熱風乾燥する方法である。
まず前者方法による保護膜形成は、図1、2に示すよ
うに剥離性水性被膜組成物の塗布工程1、セッテング工
程2、乾燥工程3からなり、該乾燥工程3が図1のよう
に熱風乾燥のみでも、図2のように赤外線照射による予
備乾燥及び熱風乾燥からなっていてもよい。
上記剥離性水性被覆組成物の塗布工程1は、上記塗布
方法に従って行われ、この際の塗布ブースの環境条件
は、水性塗料の成膜性に支障なく良好な連続被膜を確保
するため、ブース温度15℃以上、望ましくは20〜30℃、
風速0.1〜0.3m/s、湿度50〜80%が望ましい。
上記剥離性被膜が形成された自動車外板は、セッティ
ング工程2で1〜10分間放置される。該セッティングブ
ースの環境条件は、塗布ブースと同様に選択される。
上記剥離性被膜の乾燥工程3では、熱風乾燥炉で乾燥
するかあるいは赤外線乾燥炉で予備乾燥してから熱風乾
燥炉で乾燥する。熱風乾燥のみの場合の乾燥条件は、60
〜160℃、好ましくは70〜120℃の範囲で、10〜30分間と
するのが適当である。
被膜内面から乾燥させ塗面異常を防止する点からは赤
外線乾燥炉で予備乾燥するのが望ましい。赤外線照射条
件は、波長1μm以上、好ましくは2〜4μmに放射エ
ネルギー強度のピークを持つ遠赤外線ヒーターを使用す
るのが効果的であり、照射時間(乾燥時間)は90秒以
内、望ましくは30〜60秒間が適当である。放射波長が1
μm前後に放射エネルギー強度のピークを持つ近赤外線
ヒーターでは自動車外板の表面温度が極めて上がり易く
表面温度の制御が困難となり剥離性被膜中の水の突沸に
よる気泡が発生しやすい。一方、放射波長が3〜数十μ
mの幅広い赤外線を放射する超赤外線ヒーターでは剥離
性被膜中の水の蒸発が遅くなる。
予備乾燥後の熱風乾燥条件は、外板の表面温度が60〜
160℃、好ましくは70〜120℃の範囲となる温度で、1〜
10分間とするのが適当である。従って赤外線乾燥炉で予
備乾燥することによって大幅な時間短縮が可能である。
このような剥離性被膜により保護された外板には、組
立工程において、エンジンや機能部品などが組み付けら
れ完成車として検査工程に供される。
次いで後者方法による保護膜形成は、図3に示すよう
に水洗工程11、水切り工程12、剥離性水性被覆組成物の
塗布工程13、セッティング工程14、乾燥工程15からな
る。
上記水洗工程11では、保護膜を形成すべき完成車を水
洗し、該外板に塗装された上塗り硬化塗膜表面に付着し
た雨水や塵埃を除去する。水洗にはシャワー式洗車装置
を用いるのが一般的であり、冬場の低温期には30〜50℃
の温水を用いて車両の表面温度を適度に調節することも
できる。
水洗により洗浄された車両は水切り工程12で上塗り硬
化塗膜表面に付着した洗浄水が除去される。これにより
次の塗布工程で良好な塗装作業性と仕上り性が確保でき
る。かかる水切り手段としては、エアブローが一般的で
あり、エアブローの後に温風で完全に乾燥させることも
できる。車両の表面温度は、剥離性水性被覆組成物の成
膜性に支障がなく良好な連続被膜を確保するために、15
℃以上、望ましくは20〜30℃となるようにするのが適当
である。従って冬場の低温期には50〜70℃の温風による
エアブローを行ない、前述した温水による洗浄と組み合
わせることにより、車両の表面温度を適度に調節して次
の塗布工程で良好な塗装作業性と仕上り性が確保でき
る。
上記剥離性水性被覆組成物の塗布工程13及びセッティ
ング工程14は、上記前者方法の塗布工程1及びセッティ
ング工程2と同様の条件で行うことができる。
乾燥工程15は、上記で塗布された剥離性水性被膜を赤
外線乾燥炉で赤外線乾燥する赤外線乾燥工程と、それに
次ぐ熱風乾燥炉で熱風乾燥する熱風乾燥工程とよりな
る。赤外線照射による乾燥は上記前者方法の乾燥工程3
におけると同様の条件で行うことができる。
赤外線乾燥後の熱風乾燥条件は、車両に装備されてい
る各種電送部品やプラスチック部品の保護及び乾燥時間
短縮の点から、車両の金属素材表面温度が50〜80℃、好
ましくは60〜70℃の範囲となる温度で、保護膜表面近辺
の炉内風速は0.5〜3m/sが適当である。
実施例 以下に実施例、比較例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。
なお、実施例、比較例中の「部」および「%」は重量
基準である。
樹脂分散液(A)の製造 製造例1 容量2リットルの4つ口フラスコに脱イオン水232
部、Newcol 707SF(日本乳化剤(株)製、アニオン性
界面活性剤、不揮発分30%)2.3部を加え、窒素置換
後、80℃に保った。この中に過硫酸アンモニウム0.7部
を添加し、添加15分後から下記組成をエマルション化し
てなるプレエマルションを3時間かけて滴下した。
脱イオン水 338部 ダイアセトンアクリルアミド 32部 アクリル 3.2部 スチレン 65部 メチルメタクリレート 210部 エチルアクリレート 174部 n−ブチルアクリレート 158部 Newcol 707SF 62部 過硫酸アンモニウム 1.2部 滴下終了時から30分間経過後、0.7部の過硫酸アンモ
ニウムを7部の脱イオン水に溶解させた溶液7.7部を滴
下開始し、30分間かけて滴下終了した。ついで、さらに
2時間80℃に保持した後、45℃に降温した。この中に、
アジピン酸ジヒドラジド4.9部を脱イオン水25部に溶解
させてなる溶液29.9部を配合し、アンモニア水でpH8.5
に調整し、固形物50.7%の架橋性樹脂分散液(1)を得
た。
製造例2 容量2リットルの4つ口フラストに脱イオン水242
部、Newcol 707SF2.4部を加え、窒素置換後、80℃に保
った。この中に過硫酸アンモニウム0.7部を添加し、添
加15分後から下記組成のプレエマルションを3時間かけ
て滴下した。
脱イオン水 352部 ダイアセトンアクリルアミド 20.1部 アクリル酸 6.7部 スチレン 67部 メチルメタクリレート 281部 n−ブチルアクリレート 295部 Newcol 707SF 64.5部 過硫酸アンモニウム 1.3部 滴下終了時から30分間経過後、0.7部の過硫酸アンモ
ニウムを7部の脱イオン水に溶解させた溶液7.7部を滴
下開始し、30分間かけて滴下終了した。ついで、さらに
2時間80℃に保持した後、45℃に降温した。この中に、
アジピン酸ジヒドラジド7.8部を脱イオン水34部に溶解
させてなる溶液41.8部を配合し、アンモニア水でpH8.5
に調整し、固形分50.7%の架橋性樹脂分散液(2)を得
た。
製造例3 容量2リットルの4つ口フラスコに脱イオン水273
部、RHODAPEXCO−436(ローヌ・プーラン社製アニオン
性界面活性剤不揮発分60%)0.27部を加え、窒素置換後
80℃に保った。この中に下記組成をエマルション化して
なるプレエマルションのうち、34部および過硫酸アンモ
ニウム0.35部を添加してその20分後から残りのプレエマ
ルションを4時間かけて滴下した。
脱イオン水 328部 ダイアセトンアクリルアミド 45部 アクリル酸 1.9部 n−ブチルメタクリレート 534部 n−ブチルアクリレート 60部 スルホエチルメタクリレートナトリウム塩 1.3部 RHODAPEX CO−436 8部 過硫酸アンモニウム 0.6部 滴下終了後から2時間80℃に保持した後、45℃に温度
を下げた。次に、この中にアジピン酸ジヒドラジド11.6
部を脱イオン水60部に溶解させてなる溶液71.6部を配合
し、アンモニアでpH8.5に調整して、固形分49.8%の架
橋性樹脂分散液(3)を得た。
製造例4 容量2リットルの4つ口フラスコに脱イオン水273
部、RHODAPEXCO−436の0.27部を加え、窒素置換後80℃
に保った。この中で下記組成をエマルション化してなる
プレエマルションのうち、34部および過硫酸アンモニウ
ム0.35部を添加してその20分後から残りのプレエマルシ
ョンを4時間かけて滴下した。
脱イオン水 328部 ダイアセトンアクリルアミド 32部 アクリル酸 1.9部 n−ブチルメタクリレート 128.4部 エチルアクリレート 154.2部 n−ブチルアクリレート 115.6部 メチルメタクリレート 210.1部 RHODAPEX CO−436 8部 過硫酸アンモニウム 0.6部 滴下終了後から2時間80℃に保持した後、45℃に温度
を下げた。次に、この中にアジピン酸ジヒドラジド4.9
部を脱イオン水25部に溶解させてなる溶液29.9部を配合
し、アンモニアでpH8.5に調整して、固形分50.9%の架
橋性樹脂分散液(4)を得た。
製造例5 容量2リットルの4つ口フラスコに脱イオン水242
部、Newcol 707SF2.4部を加え、窒素置換後、80℃に保
持した。この中に過硫酸アンモニウム0.7部を添加し、
添加15分後から下記組成のプレエマルションを3時間か
けて滴下した。
脱イオン水 328部 Newcol 707SF 62.5部 メチルメタクリレート 310部 エチルアクリレート 180部 n−ブチルアクリレート 172.7部 アクリル酸 6.7部 過硫酸アンモニウム 1.3部 滴下終了後から30分間経過後、過硫酸アンモニウム0.
7部を7部の脱イオン水に溶かした溶液7.7部を30分間か
けて滴下し、滴下終了後、さらに2時間80℃に保持した
後、45℃に冷却し、さらにアンモニア水を加えてpH8に
調整し、固形分50.8%の非架橋性樹脂分散液(5)を得
た。
剥離助剤(8)の調整 樹脂分散液(A)のそのままでは配合することができ
ないものについては、下記製造例のように界面活性剤を
用いて水分媒体にすることで配合することが可能であ
る。
ワックスエマルションの製造例 パラフィンワックス(MP46℃)、モンタンワックス、
Hi−Mic−1080(日本精蝋(株)製、マイクロスタリン
ワックス)20部をそれぞれ別のガラス容器に入れ、続い
てこれらの容器にそれぞれソルビタンモノステアラート
1部、ポリオキシエチレンステアリルエーテル3部、水
76部を配合し80〜90℃に加熱撹拌し、それぞれ固形分20
%のワックスエマルションを得た。
シノコーンオイルのエマルションの製造例 変性シリコーンオイルTSF4445(東芝シリコーン製、
ポリエーテル変性シリコーンオイル)30部をポリオキシ
エチレンソルビタンモノオレート2部、水68部を加えて
よく撹拌し、固形分30%のシリコーンオイルのエマルシ
ョンを得た。
耐候性助剤(C)の調整 紫外線吸収剤CYASORB UV531(2−ハイドロオキシ4
−n−オクトキシベンゾフェノン、サイアナミッド社
製)をメチルメタクリレートに溶解することで、樹脂分
散液(A)を製造する際に添加することができた。
紫外線吸収剤チヌビン1130(ベンゾトリアゾール誘導
体、液状、チバガイギー社製)30部にポリオキシエチレ
ンソルビタンモノオレート5部、水65部を加えてよく撹
拌し、固形分30%の紫外線吸収剤のエマルションを得
た。
紫外線吸収剤の水分散体として、市販されているサン
ドPT−21D(ベンゾトリアゾール系水分散体、サンド社
製)は直接配合した。光安定剤サノールLS−292(ヒン
ダードアミン誘導体、液状、三共社製)50部にポリオキ
シエチレンソルビタンモノオレート5部、水45部を加え
てよく撹拌し、固形分50%の光安定剤のエマルションを
得た。
顔料(D)の調整 チタン白R−700(ルチン型チタン白、デュポン社
製)560部にポリカルボン酸ナトリウム塩の40%水溶液1
2部、水160部を加えてよく撹拌し、サンドミル分散機で
10ミクロン以下の粒度に分散して、チタン白の水分散体
を得た。
実施例1〜25及び比較例1〜10 前記架橋性樹脂分散液(1)〜(4)および非架橋性
樹脂分散液(5)の樹脂固形分100部に対して前記のと
おり調整した剥離助剤、紫外線吸収剤及び光安定剤およ
び顔料を表1及び表2に示す種類、配合量(固形分)で
混合撹拌して配合し、各剥離性水性被覆組成物を得た。
これらの組成物に、必要に応じてポリオキシアルキレ
ンアルキルフェニルエーテル及びパーフルオロアルキル
アミンオキサイドなどを添加して表1及び表2に示す粘
度及び表面張力に調整した後、これらを、パルボンド30
50(商品名、リン酸亜鉛系表面処理剤、日本パーカライ
ジング社製)で表面処理した軟鋼板(厚さ0.7mm)にア
ミノアルキド樹脂塗料(関西ペイント(株)製、商品名
アミラック)を140℃、30分間焼付け塗装した塗板(硬
化塗膜ガラス転移温度82℃)上にスプレー塗装し、70℃
で10分間乾燥させることにより膜厚50〜70μmの剥離性
被膜を形成させた。これらの性能試験結果を表1及び表
2にまとめて示す。
(※1)剥離助剤 SH204:トーレシリコーン社製、商品名シリコーンエマ
ルション、固形分35% (※2)粘度:塗料の粘度は(株)東京計器製のB型粘
度計を用いて測定した。測定条件は塗液温度20℃、ロー
ター回転数60rpmとした。
(※3)表面張力:塗料の表面張力は協和化学(株)製
の協和CBVP式表面張力計を用いて測定した。
(※4)造膜性:乾燥膜厚が60〜70μmになるようにス
プレー塗装してから直ちに雰囲気温度20℃、風速0.5〜
0.7m/sの条件下で1時間放置した後、塗面状態を観察し
た。
○:異常なし。連続被膜が形成されている。
△:ヒビ割れ状の異常が塗面の30%以下に認められ
る。
×:ヒビ割れ状の異常が塗面の30%以上に認められ
る。
(※5)ローラー塗装作業性:ウーローラーB(大塚刷
毛社製)のローラーカバーを用いて、乾燥膜厚が60〜70
μmになるように圧送式ローラーで塗装して、塗料の塗
れ性、タレ性およびローラーの回転状態を観察した。
(濡れ性) ○:異常なし。ハジシなどの濡れ不良が認められな
い。
△:塗面の50%以下のハジキ状の濡れ不良が認めら
れる。
×:全面が不良状態となり、連続被膜が得られな
い。
(タレ性) ローラー塗装後、直ちに塗板を傾斜角60度に保持して
その時の塗布塗装のタレ具合を観察した。
○:タレが認められない。
△:塗り幅の1/2以下のタレが発生する。
×:塗り幅の全てにわたってタレが発生する。
(ローラーの回転状態) ○:異常なし。正常に回転して連続膜を形成する。
△:やや回転が悪く、部分的に滑りが生じて薄膜と
なる。
×:回転が悪く、滑りの為、所定の膜厚が確保でき
ない。
(※6)剥離性(初期):被膜形成後、20℃で1日放置
した後、試験板に塗布した剥離性被覆組成物被膜を端部
から1m/30秒の速度ではがした場合の剥離し易さを試験
した。
◎ :極めて容易に剥離できる。
○ :容易に剥離できる。
□ :やや重い。
△ :重いが剥離できる。
:被膜が脆くシート状に剥離しにくい。
× :剥離不能である。
(※7)剥離性(耐熱性):試験板を80℃で300時間放
置した後、(※6)と同様な方法で剥離し易さを試験し
た。
(※8)剥離性(促進耐候性):Qパネル社製促進耐候性
試験機を用いたQUV促進バクロ試験により、 試験条件:紫外線照射 16H/70℃ 水凝結 8H/50℃ を1サイクルとして480時間(20サイクル)試験した後
に(※6)と同様な方法で剥離し易さを試験した。
(※9)促進耐候性(被塗物の外観変化):(※8)の
試験で被膜を剥離した後に、被塗物である、アミノアル
キド塗膜の膨潤その他の塗面異常の有無を観察した。
○:異常なし。
△:軽い膨潤が認められる。
×:著しい膨潤が認められる。
(※10)保護性(耐酸性):40%硫酸を0.4ml被膜上にス
ポットし、60℃で15分加熱した後、水洗いしてから被膜
を剥離して下のアミノアルキド塗膜の膨潤、ツヤビケ、
エッチング跡の有無を観察した。
○:異常なし。
△:膨潤が認められる。
×:ツヤビケ、エッチングが認められる。
(※11)保護性(鉄粉展着性):被膜上に、200メッシ
ュスクリーンを通して鉄粉を全面に振りかけて、80℃で
1時間加熱した後に35℃で48時間塩水噴霧試験を行い、
試験台に被膜を剥離して下のアミノアルキド塗膜を鉄粉
の展着の有無を調べた。
○:異常なし。
△:塗面の30%以下の鉄粉展着が認められる。
×:塗面の30%以上の鉄粉展着が認められる。
(※12、※13)被膜の強度及び伸び:インストロン式引
張り試験機(島津製作所製オートグラフ)を用いて、20
℃の条件で測定した。その時の引張りスピードは50mm/
分、加重は5kg重であった。
被膜の強度 ○:140kgf/cm2以上 □:100〜140kgf/cm2 △:60〜100kgf/cm2 ×:60kgf/cm2以下 被膜の伸び ○:300%以上 □:200〜300% △:100〜200% ×:100%以下 実施例26〜38比較例11〜15 前記実施例17〜25及び比較例5、7〜10の剥離性水性
被覆組成物を用いて、これらに必要に応じてポリオキシ
アルキレンアルキルフェニルエーテル及びパーフルオロ
アルキルアミンオキサイドなどを添加して表3〜6に示
す粘度及び表面張力に調整し、また同表に示す固形物に
水で調整した後、各剥離性水性被覆組成物をパルボンド
3050で表面処理した軟鋼板(厚さ0.7mm)にアクリルメ
ラミン樹脂系上塗り塗料(関西ペイント社製、商品名マ
ジクロン)を塗装し140℃、30分間焼付けて得られた塗
板の硬化塗膜上に、20℃、70%RHの雰囲気内でウーロー
ラーBのローラーカバーを用いた圧送式ローラー塗装に
よって乾燥膜厚で60〜80μmになるように塗布し、20
℃、70%RHの雰囲気内で2分セッティングした。次いで
これに赤外線(ヘルウス社製、透明石英管ヒーター)を
60秒間照射し、さらに熱風乾燥炉で70℃、3分間乾燥し
て剥離性被膜を形成させた。これらの性能試験結果を表
3及び表4にまとめて示す。
実施例39〜51比較例16〜20 前記実施例17〜25及び比較例5、7〜10の剥離性水性
被覆組成物を用いて、これらに必要に応じてポリオキシ
アルキレンアルキルフェニルエーテル及びパーフルオロ
アルキルアミンオキサイドなどを添加して表3〜6に示
す粘度及び表面張力に調整し、また同表に示す固形分に
水で調整した後、各剥離性水性被覆組成物をパルボンド
3050で表面処理した軟鋼板(厚さ0.7mm)にアクリルメ
ラミン樹脂系上塗り塗料(関西ペイント社製、商品名マ
ジクロン)を塗装し140℃、30分間焼付けて得られた塗
板の軟化塗膜を水洗し、60℃のエアブローにて水切りを
行った後、20℃、70%RHの雰囲気内でウーローラーBの
ローラーカバーを用いた圧送式ローラー塗装によって乾
燥膜厚で60〜80μmになるように塗布し、20℃、70%RH
の雰囲気内で2分セッティングした。次いでこれに赤外
線(ヘレウス社製、透明石英管ヒーター)を60秒間照射
し、さらに熱風乾燥炉で70℃、3分間乾燥して剥離性被
膜を形成させた。これらの性能試験結果を表5及び表6
にまとめて示す。
性能試験方法: 圧送式ローラーで塗装して、水性塗料の濡れ性、垂れ
性、および乾燥後の割れ状塗面異常の発生などについて
観察した。
(※7)濡れ性: ○:異常なし。ハジキなどの濡れ不良が認められな
い。
△:塗面の50%以下にハジキ状の濡れ不良が認めら
れる。
×:全面が濡れ不良状態となる。
(※15)垂れ性:塗布面の角度を45度にしてローラー塗
装したものを評価した。
○:垂れの発生が全くなく、良好なもの。
△:塗り幅の1/2以下に垂れが認められる。
×:塗り幅の全てにわたって、垂れが認められる。
(※16)割れ性:乾燥後の保護膜の割れ状塗面異常の有
無を観察して、次の基準で評価した。
○:割れ状塗面異常の発生が全くなく、良好なも
の。
△:塗面の50%以下に割れ状塗面異常が認められ
る。
×:全面にわたって、割れ状塗面異常が認められ
る。
(※17)剥離性(促進耐候性):Qパネル社製促進耐候性
試験機を用いたQUV促進暴露試験により、 試験条件:紫外線照射 16時間/70℃ 水凝結 8時間/50℃ を1サイクルとして480時間(20サイクル)試験した後
に、試験板に塗布した保護膜の端部から、手で1m/30秒
の速度で、5℃、20℃、50℃の温度で、それぞれ剥した
時の剥離し易さを評価した。
◎ :極めて容易に剥離できる。
○ :容易に剥離できる。
△ :重いが、シート状に剥離できる。
×−1:被膜が脆く、割れてシート状に剥離できな
い。
×−2:被膜が伸び過ぎて、ちぎれ易くシート状に剥
離できない。
××:剥離不能である。
(※18、※19)被膜の強度および伸び:インストロン式
引っ張り試験機(島津製作所製オートグラフ)を用い
て、5℃、20℃、50℃の温度で測定した。その時の引っ
張りスピードは50mm/分、加重は5kg重であった。
被膜の強度 ◎ :140kgf/cm2以上 ○ :100〜140kgf/cm2 △ :60〜100kgf/cm2 × :60kgf/cm2以下 被膜の伸び ◎ :300〜1000% ◎ :100〜300% △−1 :50〜100% △−2 :1000%以上 × :50%以下 発明の効果 本発明の一時保護方法によれば、液状の水性被膜組成
物を塗布することから、自動車の複雑な形状に対応する
ことが可能であり、しかも本発明方法により形成される
剥離性被膜は、光や熱などに対して化学的に安定なこと
から、経時における自動車外板塗膜との剥離性に優れ、
また大気中の浮遊物や降下物などによる汚染から保護す
る機能に優れていることにより、被覆した自動車外板塗
膜の商品価値を長期間保持できるとともに、自動車が需
要者の手に渡る前に、人手又は高圧水流で被膜を簡単に
剥離することができる。また剥離した被膜を焼却する際
には、シアン化水素ガスのような有毒ガスの発生の恐れ
は全くなく環境上何ら問題はない。
産業上の利用可能性 本発明の被覆組成物は、自動車外板塗膜その他塗装さ
れた物品の表面を一時的に保護するのに有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 研哉 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (72)発明者 原川 浩美 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (72)発明者 中尾 文昭 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 5/20 C09D 7/12 C09D 7/14

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボニル基含有共重合体水性エマルショ
    ン及びポリヒドラジド化合物を、該エマルション粒子中
    のカルボニル基1当量に対してヒドラジド基が0.02〜3.
    0当量となる割合で含有する樹脂分散液(A)、および
    剥離助剤(B)を含有することを特徴とする剥離性水性
    被覆組成物。
  2. 【請求項2】カルボニル基含有共重合体水性エマルショ
    ンが、モノマー成分としてカルボニル基含有α,β−エ
    チレン性不飽和モノマー(a)をモノマー組成中0.1〜3
    0重量%含有するものである請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】カルボニル基含有共重合体水性エマルショ
    ンが、(a)カルボニル基含有α,β−エチレン性不飽
    和モノマー0.1〜30重量%、(b)水溶性エチレン性不
    飽和モノマー0〜10重量%、(c)その他のエチレン性
    不飽和モノマー60〜99.9重量%を含有するモノマー混合
    物を乳化重合して得られるものである請求項1または2
    記載の組成物。
  4. 【請求項4】剥離助剤(B)を、樹脂分散液(A)の樹
    脂固形分100重量部に対して0.01〜10重量部含有する請
    求項1ないし3のいずれか1項記載の組成物。
  5. 【請求項5】さらに紫外線吸収剤及び光安定剤からなる
    群から選ばれる少くとも1種の耐候性助剤(C)を含有
    する請求項1ないし4のいずれか1項記載の組成物。
  6. 【請求項6】樹脂分散液(A)の樹脂固形分100重量部
    に対して、顔料(D)を3〜50重量部含有する請求項1
    ないし5のいずれか1項記載の組成物。
  7. 【請求項7】顔料(D)が、チタン白である請求項6記
    載の組成物。
  8. 【請求項8】自動車外板に塗装された上塗り硬化塗膜の
    表面に、カルボニル基含有共重合体水性エマルション及
    びポリヒドラジド化合物を、該エマルション粒子中のカ
    ルボニル基1当量に対してヒドラジド基が0.02〜3.0当
    量となる割合で含有する樹脂分散液(A)、および剥離
    助剤(B)を含有する剥離性水性被覆組成物を塗布する
    ことを特徴とする自動車外板塗膜の一時保護方法。
  9. 【請求項9】剥離性水性被覆組成物を、固形分濃度30〜
    60重量%に調整して塗布する請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】剥離性水性被覆組成物を、粘度0.3〜4.0
    Pa・sに調整して塗布する請求項8または9の方法。
  11. 【請求項11】剥離性水性被覆組成物を、表面張力40mN
    /m以下に調整して塗布する請求項8ないし10のいずれか
    1項の方法。
  12. 【請求項12】自動車外板に塗装された上塗り硬化塗膜
    のガラス転移温度が50〜130℃である請求項8ないし11
    のいずれか1項の方法。
  13. 【請求項13】自動車製造工程において、自動車外板の
    塗装工程後、組立工程の前に、塗装工程で自動車外板に
    塗装された上塗り硬化塗膜の表面に、請求項1ないし7
    のいずれか1項記載の剥離性水性被覆組成物を塗布し剥
    離性被膜を形成した後、該剥離性被膜を熱風乾燥炉で乾
    燥するかあるいは赤外線乾燥炉で予備乾燥してから熱風
    乾燥炉で乾燥する工程を設けてなる請求項8ないし12の
    いずれか1項記載の方法。
  14. 【請求項14】完成車の外板に塗装された上塗り硬化塗
    膜の表面を水洗し、水切りした後、該上塗り硬化塗膜の
    表面に請求項1ないし7のいずれか1項記載の剥離性水
    性被覆組成物を塗布し剥離性被膜を形成し、該剥離性被
    膜に赤外線を照射して乾燥してから、該剥離性水性被膜
    を熱風乾燥する請求項8ないし12のいずれか1項記載の
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115612321A (zh) * 2022-09-27 2023-01-17 常州君合科技股份有限公司 一种环保型水性锌铝防腐涂液及其制备方法
CN115612321B (zh) * 2022-09-27 2024-01-19 常州君合科技股份有限公司 一种环保型水性锌铝防腐涂液及其制备方法

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