JP2948717B2 - 製紙用パルプの漂白方法 - Google Patents

製紙用パルプの漂白方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、白色度を高め、そして発色団の
含有量を低めるために、製紙用パルプ、特に再循還され
た製紙用パルプを漂白するための方法に関する。
【0002】製紙用パルプ、たとえば再循還された印刷
物のインキ抜き方法は、アルカリ物質、たとえばパルプ
の黄化を引き起こす傾向がある水酸化ナトリウムの使用
を包含する。従って、続いての漂白処理の必要性が存在
する。
【0003】この目的のための還元漂白方法の1つのタ
イプは、FR−A−2639371に開示されており、
これによればインキ抜きされたパルプは次の組合された
作用により漂白される: a)亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、又はそ
れらの2種又は二酸化硫黄及び水酸化ナトリウムの組合
せに由来する亜硫酸イオン及び b)亜硫酸イオンよりもより電気陰性の還元剤、たとえ
ば二酸化チオ尿素、硼水素化ナトリウム又は亜ジチオン
酸ナトリウム。
【0004】亜硫酸ナトリウム及び/又は亜硫酸水素ナ
トリウム及び硼水素化ナトリウムが一緒に使用される場
合、亜ジチオン酸ナトリウムが、還元剤として作用する
ために現場生成される。パルプがまず亜硫酸水素ナトリ
ウムにより、そして続いて硼水素化ナトリウムにより処
理される2段階方法により漂白が行なわれる場合、驚く
べき相乗効果が達成され、そして白色度が高められて得
られることが現在見出された。
【0005】本発明の方法においては、現場生成される
亜ジチオン酸ナトリウムにより実質的に完全にもたらさ
れる漂白の代わりに、第1段階の漂白は亜硫酸ナトリウ
ムによりもたらされ、そして第2段階は、硼水素化ナト
リウムが添加され、そしてそのいくらかが残留亜硫酸塩
と反応する場合に生成される亜ジチオン酸ナトリウムに
よりもたらされる。次に、第3漂白段階は、未反応硼水
素化ナトリウム自体によりもたらされる。それらの間の
3種の段階は、同じ反応体を一緒に添加することによっ
て達成される白色度よりも高い全体的な白色度増進を付
与する。
【0006】本発明の好ましい態様において、硼水素化
ナトリウムは水酸化ナトリウムとの水性混合物(好まし
くは10〜25重量%のNaBH4 及び15〜50重量
%のNaOHを含んで成る)の形で添加される。12重
量%のNaBH4 、40重量%のNaOH及び48重量
%の水を含んで成る特に適切な混合物が、商標BORO
LとしてMorton International,
Inc.により売られている。他の市販の溶液はそれぞ
れ20%のNaBH4 及びNaOHを含む。
【0007】添加される亜硫酸水素塩の合計濃度は、オ
ーブン乾燥パルプ(ODP)に基づいて、0.5〜2.
5重量%、より好ましくは1〜2重量%の範囲である。
1.5重量%の量が特に適切であることが見出された。
【0008】添加される硼水素化ナトリウムの合計濃度
典型的には0.01〜0.1重量%、好ましくは、
0.012〜0.06重量%の範囲であり、これは上記
のように、0.1〜0.5重量%の量でBorol溶液
を添加することによって達成される。より好ましくは、
硼水素化ナトリウム含有量は0.024〜0.048重
量%の範囲であり、これは0.2〜0.4重量%、典型
的には約0.3重量%の添加に相当する(ここですべて
の重量%はODPに基づく)。
【0009】一定タイプのパルプ、特に高い木繊維含有
率を有するもの、たとえば再循還された印刷物に関し
て、追加の白色度上昇が少量の弱酸、好ましくは有機
酸、たとえば酢酸、蟻酸、クエン酸又は蓚酸を添加する
ことによって達成され得る。好ましくは、酢酸が、OD
Pに基づいて氷酢酸として、0.1〜0.2重量%、好
ましくは約0.15重量%の量で添加される。
【0010】パルプは、工程の開始で、中性又はわずか
に酸性のpH、好ましくはpH5〜7である。処理の後、パ
ルプは好ましくは、中性又はわずかにアルカリ性であ
る。
【0011】本発明の方法は、漂白が約10分で達成さ
れ得るので時間に関して、及び少量の高価な硼水素化物
が一定の白色度上昇を達成するために使用され得、そし
て漂白が特別の漂白タワーにおいてよりもむしろパイプ
を通しての通過においてもたらされ得るので、費用及び
装置に関して、実質的な節約をもたらすことが見出され
た。本発明の好ましい態様が次の例に記載されるであろ
う。
【0012】
【実施例】例1 漂白試験を、フレンチペーパーミルからのインキ抜きさ
れた製紙用パルプのサンプルに対して行なった。そのパ
ルプサンプルは、4〜5%のコンシステンシー及び6.
6〜6.8のpHを有した。パルプを酸化インキ抜き工程
にゆだね、ここで1.2〜2.6%の過酸化水素がパル
パーに添加されたが、しかし残留過酸化物はサンプルに
見出されなかった。
【0013】18gのオーブン乾燥パルプを含むサンプ
ルを、スクリューキャップを有するプラスチック製ボト
ルに入れた。そのボトルを、45℃で温浴槽において予
備加熱した。
【0014】個々の予備加熱されたボトルをその浴槽か
ら除去し、そして37%の市販の亜硫酸水素ナトリウム
溶液を添加し、亜硫酸水素塩含有量をODPに基づいて
1.5重量%にした。5分後、脱イオン水により希釈す
ることによって得られる10% Borol溶液を種々
の量で添加した。サンプルを、個々の添加後、十分に振
盪し、温浴槽に戻した。漂白を45℃で60分間続け、
その後、サンプルをその温浴槽から取り出し、最終pHに
ついて試験し、そして水道水により約1%のコンシステ
ンシーに希釈した。個々のサンプルからのハンドシート
(handsheet)をブフナーフィルター上で調製
し、それらのpHを0.1Nの硫酸によりpH5に調整し、
そして電子レンジにおいて乾燥せしめた。前記シートの
光学的性質をElrepho 2000機械により測定
した。
【0015】結果は表1に示され、ここでサンプル番号
110及び111は、Borol溶液を用いないでの対
照である。使用される硼素溶液の量は、ODPに基づい
て0.1〜0.6重量%であり、これはODPに基づい
て、0.012〜0.072重量%の硼水素化ナトリウ
ムに相当する。
【0016】
【表1】
【0017】図1の図面は、漂白工程で得られた白色度
増強が、Borol含有量でいかに変化するかを示す
(亜硫酸水素塩含有量は一定である)。亜硫酸水素ナト
リウムは単独で、1ポイント以下のISO白色度増強を
与えるが、続いて添加される0.1%の硼素溶液によ
り、3ポイント以上の増強が得られ、そして最大の増強
は、0.25%の硼素溶液の添加により得られ、ここで
それは0.03重量%のNaBH4 に相当し、これはこ
れまで使用されて来た濃度よりもかなり低い濃度であ
る。
【0018】例2 例1の方法を、類似するパルプサンプルを用いてくり返
した。但し、0.35重量%の一定のBorol含有量
(0.042重量%のNaBH4 )を用い、そしてOD
Pに基づいて0〜1.75重量%の間で亜硫酸水素塩濃
度を変えた。得られたハンドシートの光学的性質は表2
に示され、ここでサンプル211及び212は亜硫酸水
素塩を用いない対照のサンプルである。
【0019】
【表2】
【0020】図2の図面は、白色度増強が亜硫酸水素塩
濃度によりいかに変化するかを示す。これは、Boro
lのみの使用がちょうど1ポイント以上の白色度上昇を
与え、そして最適の添加が1〜1.5重量%の亜硫酸水
素塩であることを示す。
【0021】例3 例1の方法をくり返した。但し一定量(0.35重量
%)のBorol及び亜硫酸水素ナトリウム(1.5重
量%)を用い、そして通常、亜硫酸水素塩の添加の後及
びBorolの前、パルプ混合物に酸を添加し、そして
再び、添加の間は5分であった。結果は表3に示され、
そして図3に棒グラフで示されている。
【0022】表3において、サンプル301は対照であ
り、そしてサンプル302は酸を使用していない。サン
プル303〜305は、硫酸がISO白色度上昇に対し
て有意な差異を生ぜしめないことを示し、そしてサンプ
ル306〜311においては、少量の酢酸の添加が約1
ポイントの平均的な追加の白色度上昇を与えた。最高の
上昇は、サンプル308において、0.61重量%の酢
酸の添加により得られた。サンプル306〜310にお
ける添加の順序は、亜硫酸水素塩−酸−Borolであ
るが、サンプル311においては、酸が最初に添加され
た。結果は、サンプル308で得られた結果を有意に異
ならなかった。
【0023】サンプル312において、0.33重量%
のH2 SO4 が亜硫酸水素塩と混合され、そして再び、
それは白色度上昇に何ら有意な影響を与えなかった。比
較のために、サンプル313を、1%のヒドロ亜硫酸ナ
トリウムにより漂白した。
【0024】
【表3】
【0025】例4 漂白試験を、ドイツにおけるパルプミルでのハイドロサ
ルファイト漂白タワーからの熱粉砕された木材(TG
W)パルプのサンプルに対して行なった。実験は、夏期
の間、劣った木材品質のために、漂白されていないTG
Wパルプの初期ISO白色度は、残りの期間よりも2〜
3ポイント低いことを示した。従って、目標とする白色
度は、亜硫酸水素塩漂白のみにより達成され得ない。ハ
イドロスルファイト粉末の添加の割合が高められたとし
ても、白色度上昇は目標よりも2〜3ポイント低く、そ
して従ってより高価なカオリンがパルプに添加されるべ
きである。より特定には、0.2〜0.3%のNa2
2 4 による後−漂白は0.9ポイントの白色度上昇を
達成し得るが、しかしさらに、添加割合を高くしても、
白色度応答に対して陽性効果は示されず、そして腐蝕問
題の傾向を高める。従って、亜硫酸水素塩及び/又は酢
酸と組合してのBorol溶液による後−漂白の効果を
評価するための試験が行なわれた。
【0026】4.5%のコンシステンシーでのオーブン
乾燥された漂白TGWパルプサンプルの10gサンプル
を、プラスチックバッグに入れ、そして65℃に水浴中
で予備加熱した。次に、個々のバッグを、加熱された浴
から除去し、そして脱イオン水中、亜硫酸水素ナトリウ
ムの5%溶液を添加した。サンプルを、均質混合のため
に十分に振盪し、そして2分後、脱イオン水中、Bor
olの1%溶液を添加した。
【0027】バッグを65℃の水浴に戻し、そして後−
漂白を60分間続けた。この後、バッグを浴から取り出
し、pHを測定し、そして脱イオン水により希釈し、1%
にした。ハンドシートをブフナーフィルター上で調製
し、そして急速ハンドシートビルダーにより乾燥せしめ
た。それらの光学的性質を、ハンター白色度装置を用い
て測定した。
【0028】表4は、個々のサンプルに添加された漂白
剤の量及び測定されたpH並びに達成された白色度上昇を
示す。
【0029】
【表4】
【0030】サンプル410〜414においては、パル
プのpHを、それがハンドシートに製造される場合、1N
のH2 SO4 により5に調整した。
【0031】図4は、亜硫酸水素ナトリウムの3種の異
なった添加レベルに対して、Borol濃度を変えるこ
とで、いかに白色度上昇が変化するかを示す。これは、
ODPに基づいて0.1〜0.3重量部のBorolの
最適添加レベルを示し、これは0.012〜0.036
重量%のNaBH4 に相当する。0.3%レベル以上で
は追加の上昇は得られず、そして実際、これはBoro
lの高いアルカリ性のために、白色度戻り(rever
sion)を引き起こす。
【0032】最大の白色度上昇は1.71ISOポイン
トであり、サンプル419により得られ、ここで0.2
%のBorol(ODPに基づいて0.024重量%の
NaBH4 に相当する)及び1.5重量%の亜硫酸水素
塩が添加された。
【0033】例5 例4の方法をくり返した。但し、脱イオン水中、1%溶
液として種々の量の酢酸を、亜硫酸水素塩の添加後及び
Borolの添加の前、添加し、そしてそれらの添加間
の間は2分であった。添加レベル、白色度上昇及び測定
されたpH値が表5に示される。
【0034】
【表5】
【0035】図5は、Borol及び/又は酢酸を伴っ
て、及び伴わないで、亜硫酸水素塩濃度により、いかに
白色度応答が変化するかを示す。亜硫酸水素塩の最適添
加レベルは、ODPに基づいて1〜2重量%、好ましく
は約1.5重量%であることが見出された。2%レベル
以上ではほとんど有意でないことが見出された。
【0036】2.27ISOポイントの最高の白色度上
昇はサンプル535により得られ、これは単に0.1%
のBorol添加レベルを用いた。これは、他の漂白剤
の価格に対して硼水素化ナトリウムの高い価格の観点か
ら特に好都合である。酢酸のための最適添加レベルは、
ODPに基づいて0.15重量%であることが見出され
た。
【0037】例6 漂白試験を、デンマークにおけるペーパーミルからの、
低木材繊維含有量を有するインキ抜きされた製紙用パル
プに対して行なった。42.5gのオーブン乾燥パルプ
を含むパルプサンプルを、1000mlのプラスチック容
器に入れ、そして蒸留水により5%のコンシステンシー
に希釈した。個々の試験の前、サンプルを、一定温度の
浴において50℃に予備加熱した。
【0038】予備加熱された容器を、前記浴から除去
し、そして亜硫酸水素ナトリウムの4.25重量%溶
液、続いて2%のBorol溶液を添加した。いくつか
の試験においては、亜硫酸水素塩の添加の後及びBor
olの添加の前、酢酸を添加した。
【0039】60分間の漂白期間の後、容器を前記浴か
ら取り出し、最終pHを測定し、そして水道水により希釈
し、±1%のコンシステンシーを得た。ハンドシート
を、ブフナーフィルター上で調製し、そしてそれらの光
学的性質をElrepho 2000機械により測定し
た。結果は表6に示される。
【0040】
【表6】
【0041】Borol濃度による白色度上昇の変動が
図6に示され、これから、この場合、酢酸の使用に何の
有益性も由来しないことが示された。これは、パルプ仕
上げにおける木材含有廃棄物の低い%のためであると思
われる。
【0042】この例においては、最高の白色度上昇はサ
ンプル613及び615に関してであることがまた見出
され、ここでBorol含有量はそれぞれ0.3及び
0.5重量%であった。それにもかかわらず、Boro
l含有量のための最適範囲は0.2〜0.4重量%であ
り、これは特に、高価な硼水素化ナトリウムの観点か
ら、ODPに基づいて0.024〜0.048重量%の
NaBH4 に相当する。この範囲以上で、白色度上昇の
一般的傾向は下降する。
【0043】例7 ホルムアミジンスルフィン酸(FAS)を用いて漂白さ
れた例1におけるのと同じミルからのパルプに関して、
例6の直接的Borol注入(DBI)方法と、2.5
%の水酸化ナトリウムを含む5% FAS溶液を用いて
のFAS漂白方法とを比較した。予備試験は、FASを
用いての最高の白色度上昇は、ODPに基づいて0.6
重量%のFAS濃度で得られたことを示した。
【0044】4種のサンプルを、例6の条件に類似する
条件を用いて処理した。但し、漂白温度は65℃であっ
た。サンプル740を、ODPに基づいて0.6%濃度
でFASにより処理した。サンプル741を、例6によ
り決定された最適量を用いてDBI方法にゆだねた。サ
ンプル742を、FAS、次にDBIを用いて2段階
(YY)漂白にゆだね、そしてサンプル743をまずD
BI及び次に半分の濃度でのFASによるYY漂白にゆ
だねた。結果は表7に示される。
【0045】
【表7】
【0046】この例は、本発明のDBI方法が、FAS
を用いて得られた白色度に適合する白色度上昇を生ぜし
め、そしてFASの高い費用の観点から、50%又はそ
れ以上の費用節約を伴った。
【0047】例8 追加のサンプルを例7の方法及び条件を用いて漂白し、
1.5%の亜硫酸水素ナトリウム及び0.25%のBo
rolを用いてのDBI方法と過酸化水素、水酸化ナト
リウム及びジエチレントリアミン六酢酸(DTPA)を
用いての酸化漂白とを比較し、そして組合した。H2
2 ,NaOH及びDTPAの必要な体積を、小さなビー
カー中にピペットで取り、そして10mlの蒸留水により
希釈した。ビーカーを水によりすすぎ、すべての化学物
質がパルプに添加されたことを確めた。過酸化物による
漂白時間は120分であった。過酸化物により漂白され
たパルプサンプルのpHを、亜硫酸水素ナトリウムを添加
することによって、漂白期間の最後で、7に調整した。
【0048】結果は表8に示される。サンプル825及
び826は、過酸化物混合物のみにより漂白され、そし
てサンプル827はDBIのみにより漂白された。サン
プル828〜831を、DBI漂白、続く過酸化物漂白
を含んで成る2段階(YP)方法にゆだねた。サンプル
832及び833を3段階(YPY)方法にゆだね、こ
こで過酸化物漂白の後、1.0%の亜硫酸水素塩及び
0.2%のBorolによる追加のDBI漂白が存在し
た。Y−段階は、DBI方法を用いることを意見する。
【0049】結果は表8に示され、そして図7の棒グラ
フで示される。YPY処理は最高の白色度上昇を与える
が、DBI方法単独以上の改良は限界であり、そしてD
BIとの組合しての過酸化物の使用の追加の費用はこの
限界の白色度応答により正当化されないであろう。DB
I処理は、過酸化物方法のみよりも一層高い白色度上昇
を与えた。
【0050】
【表8】
【0051】戻り 例7の過酸化物、YP及びYPY試験のすべてのサンプ
ルを65℃で24時間、温浴槽でエージングし、そして
白色度を測定し、戻りが生じたかどうかを調べた。
【0052】表9は、いづれかの漂白方法により得られ
るすべてのサンプルの白色度が長期間の貯蔵の後、ひじ
ょうに安定し、且つ良好であることを示す。これは、得
られた白色度が、その製造が予期できない環境により長
期間、停止されても、安定している保証を与える。
【0053】
【表9】
【0054】例9 漂白試験を、例4のミルとは異なったドイツ製紙ミルか
らのインキ抜きされた3種のタイプの製紙用パルプに対
して行なった。これは、DIP1,2及び3として次に
企画されている。 1.DIP1:ONP、2段階浮動インキ抜き、初期白
色度64.4% ISO 2.DIP2:ONP、2段階浮動インキ抜き、初期白
色度59.5% ISO 3.DIP3:木材−フリーの事務用故紙、1段階浮動
インキ抜き、初期白色度70.6% ISO。
【0055】10gのオーブン乾燥パルプを含むパルプ
サンプルを、1lのプラスチック製バッグに入れた。パ
ルプのコンシステンシーを、温水道水により5%に下
げ、65℃の温度を得た。使用される漂白用化学物質
は、4.5%の亜硫酸水素塩溶液、2%のBorol溶
液及び1.5%のHOAc溶液であった。亜硫酸水素塩
をまず、パルプにピペットで入れ、その後、Borol
溶液を添加した。酢酸による試験においては、HOAc
溶液を、亜硫酸水素塩溶液の添加とBorol溶液の添
加との間で添加した。
【0056】個々のサンプルの初期pHを、化学物質の添
加の後すぐに測定し、次にサンプルバッグを、65℃で
温浴槽に入れた。保持時間は、すべての試験において6
0分であった。漂白期間の最後で、最終pHを再び測定し
た。
【0057】パルプサンプルを水道水により希釈し、1
lにした。200mlのサンプルを再び希釈し、2lにし
た。180mlをハンドシートの調製のために取った。ハ
ンドシートの両側の光学的性質を、Data Colo
r 2000機械によりミル実験方法に従って測定し
た。個々のサンプルの光学的性質の平均値を計算し、そ
して漂白効果比較のために使用した。
【0058】結果は、表10〜13に包含され、そして
図8〜10に示される。1.5%の亜硫酸水素ナトリウ
ムのみの添加は、DIP1及び2に関して、0.9及び
1.3ISOポイントの白色度の適度な上昇を付与し
た。亜硫酸水素塩を含まない0.5%のBorol溶液
の直接的な注入は、それぞれ0.7及び1.0の白色度
上昇を付与した。
【0059】1.5%の亜硫酸水素ナトリウム及び0.
5%のBorol溶液の組合せは、4%のポイントで白
色度を高めた。NaHSO4 及びBorol溶液の組合
せは、白色度応答に対して相乗効果を示した。この効果
はひじょうに明確に図10に見出され得る:3.2ポイ
ントの白色度応答が0.2%のBorol溶液及び1.
5%の亜硫酸水素塩の添加により達成され得る。ハイド
ロサルファイトと比較して、0.75%の活性Na2
2 4 が、同じ白色度応答を得るために必要とされる。
【0060】0.15%の酢酸の添加は、特に木材含有
ONP−DIPの漂白のために、DBI技法の漂白効果
を改良する。図8及び9は、少量の酢酸添加が、4IS
O白色度ポイントの達成のために、たとえばDIPに関
して、0.5%から0.3%にBorol溶液の化学物
質添加割合を減じることができることを示す。DBI技
法への酢酸の添加の効果は、木材−フリーのインキ抜き
されたパルプの漂白のためには有意でない。酢酸の最適
な添加割合は、0.15〜0.2%の範囲である。
【0061】
【表10】
【0062】
【表11】
【0063】
【表12】
【0064】
【表13】
【図面の簡単な説明】
【図1】これは、固定された亜硫酸水素塩濃度に関し
て、Borol濃度の変化によりいかに白色度上昇が変
化するかを示すグラフである。
【図2】これは、一定のBorol濃度に関して、いか
に白色度上昇が亜硫酸水素塩濃度の変化により変化する
かを示すグラフである。
【図3】これは、漂白化学物質の種々の組合せによる白
色度上昇を比較する棒グラフである。
【図4】これは、3種の異なった亜硫酸水素塩の添加レ
ベルに関して、Borol濃度によりいかに白色度上昇
が変化するかを示す。
【図5】これは、Borol及び/又は酢酸を伴って又
は伴わないで、亜硫酸水素塩濃度によりいかに白色度上
昇が変化するかを示す。
【図6】これは、低い木材含有量のパルプにおいて酢酸
により及び酢酸によらないで達成される白色度上昇を示
す。
【図7】これは、本発明の直接的なBorol注入(D
BI)方法のみにより、及び他の漂白段階と組合して達
成される白色度上昇を示す棒グラフである。
【図8】これは、3種の異なったパルプサンプルに関し
て、酢酸を伴って及び伴わないで、異なった添加レベル
のBorolにより達成される白色度上昇を示す。
【図9】これは、図8と同じ条件下で達成される他のパ
ルプサンプルに対する白色度上昇を示す。
【図10】これは、図8と同じ条件下で達成される他の
パルプサンプルに対する白色度上昇を示す。
フロントページの続き (72)発明者 デビッド エル.−カー.バング ドイツ連邦共和国,2057 ベントルフ バイ ハンブルク,ブラウタンネンベー ク 5 (56)参考文献 特開 昭54−6901(JP,A) 特公 昭42−3682(JP,B1)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜硫酸水素ナトリウム及び硼水素化ナト
    リウムによりパルプを処理することを含む製紙用パルプ
    の漂白方法であって、その漂白が、以下の3段階: a)そのパルプが、硼水素化ナトリウムの添加前に、亜
    硫酸水素ナトリウムにより漂白されるところの第1段
    階、 b)硼水素化ナトリウムが添加され、そしてその中のい
    くらかが上記第1段階後の残存亜硫酸水素ナトリウムと
    反応するときに生成する亜ジチオン酸ナトリウムによ
    り、そのパルプが漂白されるところの第2段階、及び c)そのパルプが、上記第2段階後の未反応硼水素化ナ
    トリウムにより漂白されるところの第3段階、 において行われ、ここで、上記硼水素化物が、上記段階
    a)の亜硫酸水素ナトリウムの添加の終了から少なくと
    も2分間の時間間隔の後に、上記段階b)において添加
    され、かつ、弱酸が、上記亜硫酸水素ナトリウムの前又
    は後に、上記パルプに添加される、前記漂白方法。
  2. 【請求項2】 前記弱酸が、酢酸、ギ酸、クエン酸又は
    シュウ酸を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記酢酸が、オーブン乾燥パルプ(OD
    P)に基づき0.1〜0.2重量%の量で、前記パルプ
    に添加される、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 亜硫酸水素ナトリウム及び硼水素化ナト
    リウムによりパルプを処理することを含む製紙用パルプ
    の漂白方法であって、その漂白が、以下の3段階: a)そのパルプが、硼水素化ナトリウムの添加前に、亜
    硫酸水素ナトリウムにより漂白されるところの第1段
    階、 b)硼水素化ナトリウムが添加され、そしてその中のい
    くらかが上記第1段階後の残存亜硫酸水素ナトリウムと
    反応するときに生成する亜ジチオン酸ナトリウムによ
    り、そのパルプが漂白されるところの第2段階、及び c)そのパルプが、上記第2段階後の未反応硼水素化ナ
    トリウムにより漂白されるところの第3段階、 において行われ、ここで、上記硼水素化物が、上記段階
    a)の亜硫酸水素ナトリウムの添加の終了から少なくと
    も2分間の時間間隔の後に、上記段階b)において添加
    される、前記漂白方法。
  5. 【請求項5】 前記硼水素化ナトリウムが、水酸化ナト
    リウムとの水性混合物において添加される、請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記水性混合物が、10〜25重量%の
    NaBH4 、30〜50重量%のNaOH、及び残りの
    水から成る、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 添加されるNaBH4 の合計濃度が、O
    DPに基づき、0.01〜0.1重量%である、請求項
    1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 硼水素化ナトリウムの合計濃度が、OD
    Pに基づき、0.024〜0.048重量%である、請
    求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 添加される亜硫酸水素ナトリウムの合計
    濃度が、ODPに基づき0.5〜2.5重量%である、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記パルプが、パイプを通過するとき
    に行われる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方
    法。
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