JP2948420B2 - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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JP2948420B2
JP2948420B2 JP19976392A JP19976392A JP2948420B2 JP 2948420 B2 JP2948420 B2 JP 2948420B2 JP 19976392 A JP19976392 A JP 19976392A JP 19976392 A JP19976392 A JP 19976392A JP 2948420 B2 JP2948420 B2 JP 2948420B2
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博之 片山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気記録装置に適用
される光磁気ディスク、光磁気テープ、光磁気カード等
の光磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録方式とは、基板上に磁性体か
らなる垂直磁化膜を形成した構成の光磁気記録媒体に対
して、以下の方法で記録、再生を行う方式である。
【0003】記録の際には、先ず、光磁気記録媒体を強
力な外部磁場等によって初期化する。即ち、垂直磁化膜
の磁化の方向を一方向(上向き、あるいは下向き)に揃
える。その後、光磁気記録媒体上の記録を行う部分にレ
ーザービームを照射することにより、その部分の垂直磁
化膜をキュリー温度近傍以上、もしくは補償温度近傍以
上に加熱する。これにより、加熱された部分の保磁力は
ゼロ、または殆どゼロとなる。この状態で、初期化され
た磁化の方向とは逆向きの外部磁場(バイアス磁場)を
印加する。レーザービームの照射を止めると、垂直磁化
膜の温度は常温に戻るので磁化の向きは反転して固定さ
れ、熱磁気的に情報が記録される。
【0004】再生の際には、直線偏光したレーザービー
ムを垂直磁化膜に照射し、その反射光または透過光にお
ける偏光面の回転が磁気の向きによって異なる現象(磁
気カー効果、磁気ファラデー効果)を利用して光学的に
情報が読み出される。
【0005】以上のように、光磁気記録媒体は、情報の
記録、再生が可能であるため、書き換え可能な大容量記
憶素子として注目されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の光磁気記録媒体では、記録層や読み出し層からなる
垂直磁化膜をキュリー温度近傍以上、もしくは補償温度
近傍以上に加熱し易いように、垂直磁化膜にキュリー温
度の低い磁性材料を使用しているので磁気光学効果が小
さい。このため、磁気カー回転角が小さく、読み出され
る信号レベルが低いという問題を有している。
【0007】尚、垂直磁化膜表面に、この垂直磁化膜よ
りキュリー温度の高い磁性材料を積層する方法が提案さ
れているが、このような磁性材料を積層するには、膜厚
や組成等を厳しく制御する必要があり、光磁気記録媒体
の製造工程が複雑になって生産効率が低下するという新
たな問題を招来する。
【0008】また、光磁気記録媒体の腐食を防止し、信
頼性を向上させるために、記録層の両界面(上下面)
に、記録層と同一の磁性材料を含有する金属窒化物から
なる窒化物層を形成した構成の光磁気記録媒体が提案さ
れている(日本金属学会誌 第55巻 第6号(199
1)696−705)。
【0009】ところが、上記の金属窒化物は、窒素と金
属とが結合することにより形成されるので、窒化物層の
構造(磁性材料の原子配列)は、記録層の構造と異なっ
ている。このため、窒化物層は垂直磁気異方性を示し難
く、記録層よりも磁気光学効果が小さい。つまり、信頼
性の向上を目的とする限り、窒化物層の構造は、記録層
の構造と異なっている必要があり、信号レベルを高くす
ることは不可能であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の光
磁気記録媒体は、上記の課題を解決するために、情報を
光磁気記録する希土類金属を含む合金からなる記録層
と、垂直磁気異方性を示し、記録層の光入射側に隣接す
、上記合金に窒素が侵入した窒素侵入型固溶体層とを
備えていることを特徴としている。
【0011】また、請求項2記載の発明の光磁気記録媒
体は、上記の課題を解決するために、情報を光磁気記録
する記録層と、上記の記録層より低いキュリー温度を有
し、かつ、常温での保磁力が記録層より高い希土類金属
を含む合金からなる読み出し層と、垂直磁気異方性を示
し、読み出し層の光入射側に隣接する、上記合金に窒素
が侵入した窒素侵入型固溶体層とを備えていることを特
徴としている。
【0012】
【0013】
【作用】請求項1記載の発明の光磁気記録媒体によれ
ば、垂直磁気異方性を示し、記録層の光入射側に隣接す
、希土類金属を含む合金に窒素が侵入した窒素侵入型
固溶体層を備えている。この窒素侵入型固溶体層は、上
記合金からなる記録層よりも飽和磁化が大きくなるの
で、磁気光学効果が増大し、磁気カー回転角が大きくな
り、読み出される信号レベルが高くなる。このため、高
精度に情報の再生が行える、信頼性が向上した光磁気記
録媒体を得ることができる。
【0014】また、請求項2記載の発明の光磁気記録媒
体によれば、記録層より低いキュリー温度を有し、か
つ、常温での保磁力が記録層より高い読み出し層と、垂
直磁気異方性を示し、読み出し層の光入射側に隣接す
、希土類金属を含む合金に窒素が侵入した窒素侵入型
固溶体層とを備えている。この窒素侵入型固溶体層は、
上記合金からなる読み出し層よりも飽和磁化が大きくな
るので、磁気光学効果が増大し、磁気カー回転角が大き
くなり、読み出される信号レベルが高くなる。このた
め、高精度に情報の再生が行える、信頼性が向上した重
ね書き(消去動作をせずに行う書き換え)可能な光磁気
記録媒体を得ることができる。
【0015】
【0016】
【実施例】〔実施例1〕 本発明の第一の実施例について図1ないし図4に基づい
て説明すれば、以下の通りである。
【0017】本実施例にかかる光磁気記録媒体である光
磁気ディスクは、図1に示すように、透明基板1、接着
層7、透明誘電体層2、窒素侵入型固溶体層3、記録層
4、透明誘電体層5、基板6がこの順に積層された構成
を有している。
【0018】上記の記録層4としては、例えば、Dy
0.23Fe0.63Co0.14を使用しており、膜厚は20nm
〜200nm程度、好ましくは80nmである。また、
そのキュリー温度は150℃から250℃に設定してい
る。尚、記録層4は、垂直磁気記録が可能な垂直磁気異
方性を示す磁性材料であれば、上記のDy0.23Fe0.63
Co0.14に限定されない。
【0019】上記の透明誘電体層2は、例えば、AlN
やSiN、AlSiN等の窒化物からなり、その膜厚は
再生時の光ビーム波長の1/4 を屈折率で除した値程度に
設定される。例えば、再生時の光ビーム波長を800n
mとすると、透明誘電体層2の膜厚は10nm〜200
nm程度、好ましくは80nm程度となる。また、透明
誘電体層5は、例えば、AlNやSiN、AlSiN等
の窒化物からなる保護層であり、膜厚は10nm〜20
0nm程度、好ましくは50nmである。尚、透明誘電
体層2・5は、記録・再生時の光ビーム波長に対して透
明であれば、上記のAlNやSiN、AlSiN等に限
定されない。
【0020】上記の透明基板1および基板6の材料に
は、ガラス、または、ポリカーボネート等のプラスチッ
クが使用される。また、接着層7は、例えば、屈折率が
約1.5の紫外線硬化樹脂からなり、膜厚は5μmであ
る。
【0021】上記の窒素侵入型固溶体層3は、例えば、
Dy0.23Fe0.63Co0.14にNが侵入した窒素侵入型固
溶体を使用しており、膜厚は5nmである。
【0022】次に、上記構成の光磁気ディスクの作成方
法の一例を説明する。
【0023】図2に示すように、先ず、充分に洗浄した
基板6をスパッタリング装置であるチャンバー14内の
所定位置に保持し、チャンバー14内を排気装置(図示
せず)により5×10-6Torr以下の真空にする。次に、
チャンバー14内にArガスを導入し、Arガスの圧力
9mTorr、放電電力700Wの条件で基板6を逆スパッ
タリングすることにより、基板6表面をクリーニングす
る。
【0024】その後、ArガスとN2 ガスとを4:1の
割合となるように導入し、Alターゲット13を使用し
て、混合ガスの圧力8mTorr、放電電力1kWの条件で
スパッタリングすることにより、基板6表面にAlNか
らなる透明誘電体層5を50nmの膜厚で成膜する。
【0025】混合ガスを排気した後、Arガスを導入
し、Dy0.23Fe0.63Co0.14ターゲット12を使用し
て、Arガスの圧力9mTorr、放電電力1kWの条件で
スパッタリングすることにより、透明誘電体層5表面に
記録層4を95nmの膜厚で成膜する。そして、Arガ
スを排気した後、N2 ガスを導入し、N2 ガスの圧力9
mTorr、放電電力700Wの条件で上記の記録層4表面
を約10nmエッチングすることによりDy0.23Fe
0.63Co0.14にNを侵入させ、窒素侵入型固溶体層3を
5nmの膜厚で形成する。これにより、結果として、透
明誘電体層5表面に記録層4が80nmの膜厚で形成さ
れ、記録層4表面に窒素侵入型固溶体層3が5nmの膜
厚で形成される。
【0026】次に、N2 ガスを排気した後、Arガスと
2 ガスとを4:1の割合となるように導入し、上述し
た透明誘電体層5の成膜条件と同一の条件により、窒素
侵入型固溶体層3表面にAlNからなる透明誘電体層2
を80nmの膜厚で成膜する。
【0027】その後、基板6をチャンバー14内から取
り出し、透明誘電体層2表面に紫外線硬化樹脂(接着層
7)を塗布し、透明基板1を貼着して硬化させる。これ
により、光磁気ディスクが作成される。
【0028】上記の光磁気ディスクを用いて測定された
磁気カー回転角と外部印加磁界との関係を図3に示す。
図中、横軸は外部印加磁界Hc 、縦軸は磁気カー回転角
θkである。また、比較のために、窒素侵入型固溶体層
3を省略し、記録層4の膜厚を85nmとした光磁気デ
ィスクを上記と同一の条件で試作し、これについて測定
された磁気カー回転角と外部印加磁界との関係を図4に
示す。
【0029】一般に、窒素侵入型固溶体は、同一の磁性
材料からなる磁性体よりも飽和磁化が大きくなるため、
磁気光学効果が増大する。この理由により、窒素侵入型
固溶体層3を省略した光磁気ディスクでは、磁気カー回
転角θk が1.05 deg であるのに対し、本実施例の光磁
気ディスクでは、磁気カー回転角θk は1.26 deg と大
きくなっている。即ち、本実施例の光磁気ディスクで
は、読み出される信号レベルが高くなる。
【0030】上記構成により、高精度に情報の再生が行
える、信頼性が向上した光磁気ディスクを得ることがで
きる。
【0031】〔実施例2〕 本発明の第2の実施例について図5に基づいて説明すれ
ば、以下の通りである。尚、説明の便宜上、前記の実施
例1の説明の際に用いた図2を再度用いると共に、実施
例1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材に
は、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0032】本実施例にかかる光磁気記録媒体である光
磁気ディスクは、図5に示すように、透明基板1、透明
誘電体層2、窒素侵入型固溶体層3、記録層4、透明誘
電体層5、オーバーコート層8がこの順に積層された構
成を有している。上記のオーバーコート層8は、例え
ば、紫外線硬化樹脂からなっている。
【0033】次に、上記構成の光磁気ディスクの作成方
法の一例を説明する。
【0034】図2に示すように、先ず、充分に洗浄した
透明基板1をチャンバー14内の所定位置に保持し、チ
ャンバー14内を排気装置(図示せず)により5×10
-6Torr以下の真空にする。次に、チャンバー14内にA
rガスを導入し、透明基板1を逆スパッタリング(Ar
ガスの圧力9mTorr、放電電力700W)することによ
り、透明基板1表面をクリーニングする。
【0035】その後、ArガスとN2 ガスとを4:1の
割合となるように導入し、Alターゲット13を使用し
てスパッタリング(混合ガスの圧力8mTorr、放電電力
1kW)することにより、透明基板1表面にAlNから
なる透明誘電体層2を80nmの膜厚で成膜する。
【0036】混合ガスを排気した後、Arガスを導入
し、Dy0.23Fe0.63Co0.14ターゲット12を使用し
てスパッタリング(Arガスの圧力9mTorr、放電電力
1kW)することにより、透明誘電体層2表面にDy
0.23Fe0.63Co0.14を15nmの膜厚で成膜する。そ
して、Arガスを排気した後、N2 ガスを導入し、上記
のDy0.23Fe0.63Co0.14表面を約10nmエッチン
グ(N2 ガスの圧力9mTorr、放電電力700W)する
ことによりDy0.23Fe0.63Co0.14にNを侵入させ、
窒素侵入型固溶体とすることにより、窒素侵入型固溶体
層3を5nmの膜厚で形成する。
【0037】次に、N2 ガスを排気した後、Arガスを
導入し、再びDy0.23Fe0.63Co0.14ターゲット12
を使用してスパッタリング(Arガスの圧力9mTorr、
放電電力1kW)することにより、窒素侵入型固溶体層
3表面に記録層4を80nmの膜厚で成膜する。
【0038】Arガスを排気した後、ArガスとN2
スとを4:1の割合となるように導入し、上述した透明
誘電体層2の成膜条件と同一の条件により、記録層4表
面にAlNからなる透明誘電体層5を50nmの膜厚で
成膜する。
【0039】その後、透明基板1をチャンバー14内か
ら取り出し、透明誘電体層5表面に紫外線硬化樹脂(オ
ーバーコート層8)を塗布して硬化させる。これによ
り、光磁気ディスクが作成される。
【0040】以上のように構成された光磁気ディスク
は、前記の実施例1の光磁気ディスクとほぼ同様の性能
を示した。よって、上記構成により、高精度に情報の再
生が行える、信頼性が向上した光磁気ディスクを得るこ
とができる。
【0041】〔実施例3〕 本発明の第3の実施例について図6に基づいて説明すれ
ば、以下の通りである。尚、説明の便宜上、前記の実施
例2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材に
は、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0042】本実施例にかかる光磁気記録媒体である光
磁気ディスクは、前記の実施例2の構成に加えて、反射
層が設けられた構成となっており、図6に示すように、
透明基板1、透明誘電体層2、窒素侵入型固溶体層3、
記録層4、透明誘電体層5、反射層9、オーバーコート
層8がこの順に積層された構成を有している。
【0043】上記の反射層9は、例えば、Alを使用し
ており、膜厚は10nm〜200nm程度、好ましくは
50nmである。尚、反射層9は、Alに限定されるも
のではなく、Ni、Cr、Ag、Au、Pt等、再生時
の光ビームの反射率が50%以上の材料であればよい。
【0044】尚、本実施例では磁気光学効果をエンハン
スするための反射層9が設けられている以外は、前記の
実施例2の構成および諸特性と同じであるので、詳細な
説明をここでは省略する。但し、膜厚は、記録層4が1
0nm〜50nm程度、好ましくは20nmであり、透
明誘電体層5が10nm〜200nm程度、好ましくは
30nmである。
【0045】上記の構成によれば、透明基板1の側から
集光レンズを介して再生時の光ビーム(何れも図示せ
ず)が窒素侵入型固溶体層3に照射される。このとき、
入射された光ビームのうち、記録層4および透明誘電体
層5を透過した光ビームは、反射層9で反射されるよう
になっている。
【0046】上記の構成により、前記の実施例2の構成
に伴う効果に加えて、反射層9により、磁気光学効果が
エンハンスされて磁気カー回転角がより大きくなるの
で、読み出される信号レベルが一層高くなり、再生信号
の品質が向上する。よって、高精度に情報の再生が行え
る、信頼性が向上した光磁気ディスクを得ることができ
る。
【0047】〔実施例4〕 本発明の第4の実施例について図7ないし図10に基づ
いて説明すれば、以下の通りである。尚、説明の便宜
上、前記の実施例2の図面に示した部材と同一の機能を
有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略
する。
【0048】本実施例にかかる光磁気記録媒体である光
磁気ディスクは、図7に示すように、透明基板1、透明
誘電体層2、窒素侵入型固溶体層3、読み出し層10、
記録層11、透明誘電体層5、オーバーコート層8がこ
の順に積層された構成を有している。
【0049】上記の読み出し層10としては、例えば、
Tb18Fe77Co5 を使用しており、膜厚は10nm〜
200nm程度、好ましくは50nmである。尚、読み
出し層10は、保磁力を比較的大きくできる磁性材料で
あれば、上記のTb18Fe77Co5 に限定されない。
【0050】上記の記録層11としては、例えば、Tb
25Fe61Co14を使用しており、膜厚は10nm〜20
0nm程度、好ましくは50nmである。尚、記録層1
1は、垂直磁気記録が可能な垂直磁気異方性を示す磁性
材料であれば、上記のTb25Fe61Co14に限定されな
い。
【0051】上記構成の光磁気ディスクは、情報を記録
する記録層11と、情報を読み出す読み出し層10との
交換結合2層膜で構成されているので、光変調による重
ね書き(消去動作をせずに行う書き換え)が可能となっ
ている。ここで、重ね書きの手順について説明する。
【0052】初期化においては、図8に示す向きに初期
化磁界Hini を印加することによって記録層11の向き
を一方向(この場合、下向き)に揃える。尚、初期化は
常時行われるか、あるいは記録時のみに行われる。この
とき、図9に示すように、記録層11の保磁力H2 は初
期化磁界Hini よりも小さいので、記録層11の磁化は
反転する。一方、読み出し層10の保磁力H1 は初期化
磁界Hini よりも大きいので、読み出し層10の磁化の
反転は生じない。
【0053】情報の記録は、光磁気ディスクに対して、
記録磁界HW を印加しながら、高・低2レベルに強度変
調された光ビームを照射することによって行われる。即
ち、図10中にIで示す高レベルの光ビームが照射され
ると、読み出し層10および記録層11は共にキュリー
温度T1 、T2 付近またはそれ以上となる温度TH まで
昇温するようになっている。一方、図10中にIIで示す
低レベルの光ビームが照射されると、読み出し層10の
みがキュリー温度T1 付近またはそれ以上となる温度T
L まで昇温するようになっている。
【0054】従って、光ビームIが照射されると、記録
層11の磁化は、記録磁界HW により、上向き(図8参
照)に反転し、読み出し層10の磁化の向きは、冷却の
過程で界面に作用する交換結合力により記録層11の対
応部位の磁化の向きと一致する。これにより、読み出し
層10の磁化の向きは上向きとなる。
【0055】一方、光ビームIIが照射されると、記録層
11の磁化は記録磁界HW の影響で反転することはなく
(図9参照)、この場合、読み出し層10の磁化の向き
は、冷却の過程で界面に作用する交換結合力により記録
層11の対応部位の磁化の向きと一致することになる。
従って、読み出し層10の磁化の向きは下向きとなる
(図8参照)。尚、図9に示すように、記録磁界HW
初期化磁界Hini より充分小さくなるように設定されて
いる。また、図10中にIII で示すように、再生時の光
ビームの強度は、記録時よりも充分小さく設定されてい
る。
【0056】このように、上記の読み出し層10は、常
温で初期化磁界Hini よりも高い保磁力H1 を有してい
るが、記録層11は常温での保磁力H2 は小さい。そし
て、読み出し層10の再生部位の温度が上昇すると記録
層11の影響を受けて、磁化の向きが記録層11の向き
と一致する。即ち、読み出し層10および記録層11の
2層間の交換結合力によって、記録層11の磁化が読み
出し層10に転写されるようになっている。
【0057】尚、本実施例の光磁気ディスクでは、読み
出し層10の保磁力H1 は約10kOe、キュリー温度T
1 は約200℃であり、一方、記録層11の保磁力H2
は約2kOe、キュリー温度T2 は約250℃である。
【0058】上記構成の光磁気ディスクは、読み出し層
10にキュリー温度の低い磁性材料を使用しているにも
関わらず、読み出し層10表面に窒素侵入型固溶体層3
が形成されているので、この窒素侵入型固溶体層3によ
り磁気光学効果がエンハンスされて磁気カー回転角が大
きくなり、読み出される信号レベルが高くなる。よっ
て、高精度に情報の再生が行える、信頼性が向上した重
ね書き可能な光磁気ディスクを得ることができる。
【0059】尚、上記実施例1〜4では、光磁気記録媒
体として光磁気ディスクについて説明したが、本発明は
これに限定されるものではなく、光磁気テープ、光磁気
カード等にも適用できる。
【0060】また、発明の詳細な説明の項においてなし
た具体的な実施様態、または実施例は、あくまでも本発
明の技術内容を明らかにするものであって、そのような
具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではな
く、本発明の精神と前記特許請求事項の範囲内で、いろ
いろと変更して実施することができるものである。
【0061】
【発明の効果】請求項1記載の発明の光磁気記録媒体
は、以上のように、情報を光磁気記録する希土類金属を
含む合金からなる記録層と、垂直磁気異方性を示し、記
録層の光入射側に隣接する、上記合金に窒素が侵入した
窒素侵入型固溶体層とを備えている構成である。
【0062】窒素侵入型固溶体層は、上記合金からなる
記録層よりも飽和磁化が大きくなるので、磁気光学効果
が増大し、磁気カー回転角が大きくなり、読み出される
信号レベルが高くなる。
【0063】これにより、高精度に情報の再生が行え
る、信頼性が向上した光磁気記録媒体を得ることができ
るという効果を奏する。
【0064】また、窒素侵入型固溶体層を備えているの
で、耐環境性が向上するという効果も併せて奏する。
【0065】請求項2記載の発明の光磁気記録媒体は、
以上のように、情報を光磁気記録する記録層と、上記の
記録層より低いキュリー温度を有し、かつ、常温での保
磁力が記録層より高い希土類金属を含む合金からなる読
み出し層と、垂直磁気異方性を示し、読み出し層の光入
射側に隣接する、上記合金に窒素が侵入した窒素侵入型
固溶体層とを備えている構成である。
【0066】窒素侵入型固溶体層は、上記合金からなる
読み出し層よりも飽和磁化が大きくなるので、磁気光学
効果が増大し、磁気カー回転角が大きくなり、読み出さ
れる信号レベルが高くなる。
【0067】これにより、高精度に情報の再生が行え
る、信頼性が向上した重ね書き可能な光磁気記録媒体を
得ることができるという効果を奏する。
【0068】また、窒素侵入型固溶体層を備えているの
で、耐環境性が向上するという効果も併せて奏する。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における光磁気ディスク
の概略の構成を示す縦断面図である。
【図2】上記光磁気ディスクの作成方法の一例を示す説
明図である。
【図3】上記光磁気ディスクの記録層に印加される外部
印加磁界と磁気カー回転角との関係を示す説明図であ
る。
【図4】比較例を示すものであり、窒素侵入型固溶体層
を有しない光磁気ディスクの記録層に印加される外部印
加磁界と磁気カー回転角との関係を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施例における光磁気ディスク
の概略の構成を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第3の実施例における光磁気ディスク
の概略の構成を示す縦断面図である。
【図7】本発明の第4の実施例における光磁気ディスク
の概略の構成を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第4の実施例における光磁気ディスク
の光磁気記録方法を示す説明図である。
【図9】本発明の第4の実施例における光磁気ディスク
の記録層および読み出し層の保磁力の温度依存性を示す
説明図である。
【図10】本発明の第4の実施例における光磁気ディス
クを用いて記録、再生を行うときの光ビームの強度を示
す説明図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 透明誘電体層 3 窒素侵入型固溶体層 4 記録層 5 透明誘電体層 6 基板 7 接着層 8 オーバーコート膜 9 反射層 10 読み出し層 11 記録層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片山 博之 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 太田 賢司 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−119939(JP,A) 特開 平1−208749(JP,A) 特開 平4−117647(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 11/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】情報を光磁気記録する希土類金属を含む合
    金からなる記録層と、 垂直磁気異方性を示し、記録層の光入射側に隣接する
    上記合金に窒素が侵入した窒素侵入型固溶体層とを備え
    ていることを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】情報を光磁気記録する記録層と、 上記の記録層より低いキュリー温度を有し、かつ、常温
    での保磁力が記録層より高い希土類金属を含む合金から
    なる読み出し層と、 垂直磁気異方性を示し、読み出し層の光入射側に隣接す
    、上記合金に窒素が侵入した窒素侵入型固溶体層とを
    備えていることを特徴とする光磁気記録媒体。
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