JP2947070B2 - 外断熱構造物及び外断熱工法 - Google Patents

外断熱構造物及び外断熱工法

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JP2947070B2
JP2947070B2 JP12764794A JP12764794A JP2947070B2 JP 2947070 B2 JP2947070 B2 JP 2947070B2 JP 12764794 A JP12764794 A JP 12764794A JP 12764794 A JP12764794 A JP 12764794A JP 2947070 B2 JP2947070 B2 JP 2947070B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内部を定温に保つ建造
物、特に好適には冷蔵倉庫、冷凍倉庫などの建物並びに
薬品タンクなどの建造物で、その耐火外壁の外側に断熱
構造物を新設或いは改修して付設する外断熱構造物及び
その外断熱工法に関するものである。
【0002】又、本発明での外断熱は、コンクリート
壁、ALC壁、ロックウール壁、金属外壁などから成る
耐火外壁を有する建物などの外壁側に更に断熱壁を配設
するものに係るものであって、寒冷地の一般ビル建物、
冷蔵倉庫、冷凍倉庫、超低温冷凍倉庫などの構造物に好
適に適用されるものである。
【0003】
【従来の技術】従来の外断熱構造物及びその外断熱工法
としては、例えば図10に示すように、断熱心材を金属
表面板で挟持したサンドイッチパネル42を、建物外壁
45から必要寸法離した下地鉄骨43に取り付け、建物
外壁45とサンドイッチパネル42の間に発泡ウレタン
樹脂などの断熱材41を充填する外断熱構造物40及び
その外断熱工法であった。この構造及び工法により、断
熱材の亀裂や断熱材同士のすき間或いは断熱材と建物外
壁とのすき間に生ずる結露により、断熱性能が低下する
のを防止し、且つ下地鉄骨を利用して外装材44の取り
付けを容易に行なうと共に、サンドイッチパネル42を
断熱材充填の押さえとして使用することにより、断熱材
41の完全な防湿を行なうものであった(特開平4−6
4884号公報)。
【0004】又、外壁に硬質ウレタンフォームを吹き付
けた後空気層を介して外壁材を配設する外断熱工法(特
開平1−295950号公報)なども提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
外断熱構造物及び外断熱工法は、断熱材である発泡ウレ
タン樹脂やポリスチレン樹脂などの有機系の断熱材を使
用するものであったので、一旦着火すると炎は次々と他
の断熱材に延焼して火炎が長時間継続し、最後には断熱
材の全燃という結果を招く恐れがあった。これは、消炎
活動に大きな負担となるばかりでなく、消炎後の修復に
も多額の出費を強いることになる。従って、有機系の断
熱材を厚く施すことは、防災上危険であった。又、樹脂
発泡体は凝固するときに体積収縮するため、断熱層に収
縮巣が発生し、その収縮巣が結露の拠点となり、断熱破
壊が発生することがある。
【0006】又、後者の場合、空気層が介在するので断
熱性能水準が低くなると共に結露発生の防止が適切に出
来ないという問題がある。
【0007】本発明の第1の目的は、上記従来の外断熱
構造物の問題点を解決し、内部を定温に保つ建造物の耐
火外壁に布設する外断熱構造物であって、万が一火災に
なっても仕切材の脱落がなく延焼を防止することの出来
る外断熱構造物を提供することである。そして延焼可能
面積を所望によってより小さく分断するために補助仕切
材を併設した構造物を提供するものである。
【0008】本発明の第2の目的は、上記火災の際に延
焼を防止することの出来る外断熱構造物を容易に、経済
的に設置可能な外断熱工法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の外断熱構造物は、定温に保つ建造物、特に
好適には内部を低温に保つ建造物であって、該建造物の
耐火外壁の外側に該外壁と間隔を持たせて前記建造物を
包設する外装材と、前記外壁と該外装材との空間に樹脂
断熱材を過充填発泡して形成した断熱層とを備えた外断
熱構造物において、前記断熱層が少なくとも耐火外壁に
固定された不燃断熱材で適宜仕切られているものであ
る。
【0010】更に、本発明の外断熱構造物は、内部を低
温に保つ建造物であって、該建造物の耐火外壁の外側に
該外壁と間隔を持たせて前記建造物を包設する外装材
と、前記外壁と該外装材との空間に樹脂断熱材を過充填
発泡して形成した断熱層とを備えた外断熱構造物におい
て、該外断熱構造物は、前記断熱層の高さ方向を不燃断
熱材で所定の間隔に仕切った主仕切材と、該主仕切材で
所定の間隔に仕切った断熱層を更に高さ方向及び/又は
巾方向に不燃断熱材で補助的に仕切った補助仕切材とを
備え、それらの仕切材が少なくとも耐火外壁に固定して
いるものである。
【0011】更に、上記発明の外断熱構造物のいずれか
において、不燃断熱材を無機質断熱材又は前記断熱層の
難燃度より優れた難燃度を保有する(難燃剤の添加量を
多くしたもの)樹脂組成物の有機質断熱材とするもので
ある。
【0012】更に、上記発明の外断熱構造物のいずれか
において、前記断熱層の断熱材は、前記空間に充填して
発泡、固化する発泡樹脂単体又は該発泡樹脂単体に該発
泡樹脂単体の難燃化を促進する難燃化剤を添加したもの
である。
【0013】そして、上記発明の外断熱構造物のいずれ
かにおいて、前記外装材は、該外装材の金属表面材の内
部に充填して発泡、固化する樹脂発泡体の心材と該心材
を挟持する表面材とを有するパネルであって、前記心材
は、前記内部に充填して発泡、固化する発泡樹脂単体又
は該発泡樹脂単体に難燃化剤を添加したものである。
【0014】又、本発明の外断熱工法は、内部を定温に
保つ建造物であって、該建造物の耐火外壁の外側に該外
壁と間隔を持たせて前記建造物を包設した外装材を設
け、前記外壁と該外装材との空間に発泡、固化する樹脂
断熱材を現場発泡充填して断熱層を形成する外断熱工法
において、前記空間の高さ方向を所定の間隔に仕切る不
燃断熱材の主仕切材を設け、該主仕切材で仕切った空間
に前記断熱材を隙間なく過充填発泡し、発泡、固化した
後、前記仕切った空間からはみ出た前記断熱材を除去
し、該はみ出た断熱材を除去した部分を前記不燃断熱材
で閉塞し、次に前記断熱材を充填した空間を囲う前記外
装材に接続して他の前記外装材を設け、新たに形成した
空間を前記と同様に、前記主仕切材で仕切って、前記断
熱材を充填することを順次繰返し所要面に外断熱壁を形
成するものである。
【0015】更に、上記発明の外断熱工法において、前
記主仕切材で所定の間隔に仕切った空間の高さ方向及び
/又は巾方向を更に補助的に仕切る前記不燃断熱材の補
助仕切材を設け、該補助仕切材で仕切った空間の各々に
前記断熱材を隙間なく過充填発泡することである。
【0016】
【作用】本発明の外断熱構造物によれば、断熱層が樹脂
の過充填発泡により形成されるので充填空間に未充填空
間や収縮巣の発生が防止され、ひいては結露が防止され
る。又、その断熱層は、不燃断熱材で適宜仕切られてい
るので、万が一火災などで着火しても、炎は仕切られた
不燃断熱材の所で延焼を阻止されるか、延焼が遅らさ
れ、一気に不燃断熱材で仕切られた他の断熱層に延焼す
ることが無くなり、消炎活動に有利となる。
【0017】更に、本発明の外断熱構造物は、断熱層の
高さ方向を不燃断熱材で所定の間隔に仕切った主仕切材
と、この主仕切材で所定の間隔に仕切った断熱層を更に
高さ方向及び/又は巾方向に前記不燃断熱材で補助的に
仕切った補助仕切材とを備えたので、上記と同様の作用
があると共に、断熱層は、高さ方向及び/又は巾方向に
細分化され、延焼する部分の面積又は体積が小さくな
り、炎は仕切られた補助仕切材の所で延焼を一旦阻止さ
れ、又延焼が遅らされ、更に主仕切材の所でも延焼を阻
止され、又延焼が遅らされて、一気に他の断熱層に延焼
する恐れが一層小さくなる。
【0018】更に、上記発明において、不燃断熱材は、
無機質断熱材又は断熱層の難燃度より優れた難燃度を保
有する樹脂組成物の有機質断熱材であるので、上記発明
のいずれかの作用と共に、万が一火災になって炎が仕切
られた不燃断熱材の所に達しても、不燃断熱材の仕切材
は、燃えない無機質断熱材又は断熱層の難燃度より優れ
た難燃度を保有する樹脂組成物の有機質断熱材であり、
隣接の断熱層への延焼を阻止し、延焼を遅らし、一気に
延焼することを阻止する。
【0019】更に、上記発明のいずれかにおいて、断熱
層の断熱材は、空間に充填して発泡、固化する発泡樹脂
単体又はこの発泡樹脂単体にこの発泡樹脂単体の難燃化
を促進する難燃化剤を添加したものであるので、上記発
明のいずれかの作用と共に、樹脂断熱材は建造物の耐火
外壁と外装材との空間に過充填発泡されて発泡、固化
し、その空間をすき間なく満たし、未充填部や収縮巣な
どの空隙部への透湿も発生しないので断熱層の内部に結
露を発生させず断熱性能を維持すると共に、発泡樹脂の
断熱材は、すき間である収縮巣のない状態で延焼拡大を
防止する。
【0020】そして、上記発明のいずれかにおいて、外
装材は、この外装材の内部に充填して発泡、固化する樹
脂発泡体の心材とこの心材を挟持する金属、例えば防食
処理鋼板やアルミニウム板などの金属表面材とを有する
パネルであって、前記心材は、この内部に充填して発
泡、固化する発泡樹脂単体又はこの発泡樹脂単体に難燃
化剤を添加したものであるので、上記発明のいずれかの
作用と共に、外装材は透湿せず相当の剛性があり、建造
物の耐火外壁の外側に堰板として持ちいても、断熱層の
断熱材の発泡、固化時の膨張圧力を支え、断熱層を所定
の厚さに維持すると共に、建造物の外部からの火災によ
る炎に対しても断熱層を保護する。
【0021】又、本発明の外断熱工法によれば、空間の
高さ方向を所定の間隔に仕切る不燃断熱材の主仕切材を
設けた断熱層を容易に形成することが出来と共に、その
断熱層には、耐火外壁自体の凹凸もカバーして、すき間
がなく断熱性能とその維持に優れ、火災の際には延焼を
防止することの出来る外断熱構造物を容易に、経済的に
設置することが出来る。
【0022】更に、上記外断熱工法において、主仕切材
で所定の間隔に仕切った空間を更に不燃断熱材の補助仕
切材を設けて仕切ることにより、上記作用と共に、断熱
層が高さ方向及び/又は巾方向に細分化され、延焼する
部分の面積又は体積が小さくなる外断熱構造の工法を提
供出来る。
【0023】
【実施例】以下、本発明に係る外断熱構造物及び外断熱
工法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は
本発明に係る外断熱構造物及び外断熱工法の第1の実施
例で、1スパン分を示す斜視図、図2は図1に示した第
1の実施例を適用して施工中の建物全体を示す斜視図、
図3は図1の建物の外断熱構造物及び外断熱工法の第1
の実施例の施工後の全体縦断面図、図4〜6は図1の外
断熱工法の第1の実施例を説明する縦断面図及び平断面
図、図7、8は図4、6に相当する他の外断熱構造物及
び外断熱工法の第2、第3の実施例を示す縦断面図、を
各々示す。
【0024】図2は、本発明に係る外断熱構造物及び外
断熱工法の第1の実施例を説明する図で、施工中の建物
全体を示す斜視図である。第1の実施例の外断熱構造物
1及びその外断熱工法は、建物2の耐火外壁4の外側に
縦胴縁である取付レール24を付設し、その外側に外装
材であるパネル20を取り付け、包設し、外壁4とパネ
ル20との間の空間6に断熱材を現場で過充填発泡して
断熱層を設けたものである。建物2は、寒冷地の建物や
冷蔵倉庫、冷凍倉庫或いは超低温冷凍倉庫(−50〜6
0℃)を対象とし、これら建物の新設、改修の建物外
壁、例えばコンクリート壁、ALC壁、ロックウール
壁、波板状金属外壁等の耐火外壁に適用する。
【0025】図3は、第1の実施例の外断熱構造物1を
施工した全体縦断面図である。第1の実施例の外断熱構
造物1は、内部を定温に保つ建物2の耐火外壁4の外側
に、この外壁4と間隔を持たせて建物2を包設する外装
材であるパネル20と、外壁4とこのパネル20との空
間に樹脂断熱材7を過充填発泡して形成した断熱層5と
を備えている。充填空間としての断熱層5は、不燃断熱
材である主仕切材12とパネル取付レール24で適宜仕
切られている。主仕切材12は、通常各階毎に設けられ
るが、これに限られることはなく例えばパネルの大きさ
等に応じて適宜間隔で設けられる。
【0026】パネル20の下部には水切34が取り付け
られている。建物2の外壁4の上部は、天井スラブ31
となっており、この天井スラブ31の上に防熱層30が
設けられ、更にその上に防水層28を有する押さえコン
クリート29が設けらる。押さえコンクリート29は、
建物の周囲に沿ってパラペット33を有する。建物2の
中段及び下段には床スラブ32、32が設けられ、下段
床スラブ32の上には、天井部と同じく、防熱層30が
設けられ、更にその上に押さえコンクリート29が設け
られている。尚、参照番号35は基礎である。
【0027】図1は、本発明に係る外断熱構造物及び外
断熱工法の第1の実施例で、1スパン分を示す斜視図で
ある。図4は、図1の外断熱工法の第1の実施例を説明
する図で、(A)は縦断面図、(B)は(A)における
I−I 線断面図である。図4、5に示すように、第1の
実施例の外断熱構造物1は、断熱層5の高さ方向を不燃
断熱材で所定の間隔に仕切った主仕切材12と、この主
仕切材12で所定の間隔に仕切った断熱層5を更に取付
レール間の中央において、主仕切材12に使用した不燃
断熱材と同じ材質の不燃断熱材で補助的に仕切った補助
仕切材13とを備えたものである。
【0028】更に、詳しく構造を説明すると、建物の外
壁4の外側に、ライナ(又はブラケット)25を介し
て、縦胴縁である取付レール24が取り付けられてい
る。取付レール24の外側には、想像線で示すように、
パネル20が取り付けられ、建物の外壁4とパネル20
の各々に不燃断熱材である主仕切材12を取り付けるた
めの取付用アングル15a、15aが、図4に示すよう
に、それぞれホールインアンカー及びナット17、止め
ビス16bを介して取り付けられている。不燃断熱材で
ある主仕切材12は、この二つの取付用アングル15
a、15a間に渡され、止めビス16a、16aで固定
される。又、建物の外壁4と取付レール24との間の
上、下ライナ間に空隙がある場合には仮止め板又は発泡
ボード9が設けられる。そして、外壁4、パネル20、
主仕切材12、補助仕切材13及び発泡ボード9との空
間6には、発泡性の樹脂断熱材が充填されている。尚、
仮止め板又は発泡ボード9は断熱材の充填、固化後に撤
去される。
【0029】本発明における不燃断熱材である主仕切材
12及び補助仕切材13は、無機質断熱材又は断熱層の
難燃度より優れた難燃度を保有する樹脂組成物の有機質
断熱材であるが、その主仕切材12及び補助仕切材13
の形状は、板状体又は布状体のどちらも使用することが
出来る。板状体の材質としては、けい酸カルシウム板、
炭酸カルシウム発泡体、フェノール樹脂板、無機繊維入
り塩化ビニール発泡板等を採用することが出来る。布状
体の材質としては、ロックウール、グラスウール、セラ
ミックファイバー等からなるマットを採用することが出
来る。主仕切材12又は補助仕切材13の充填用開口部
11は、最終的に蓋で塞ぐことも出来るが、外装材で塞
ぐように設計することも出来る(図7の場合)。更に、
充填用開口部11の形状は、主仕切材12又は補助仕切
材13に設けられた孔状とするのが発泡樹脂に発泡圧を
かける上で好適であるが、主仕切材12又は補助仕切材
13の巾を外壁と外装材との間隙寸法より短くして、主
仕切材12又は補助仕切材13と外装材との間の1スパ
ンの全長に開口した長溝としても良い。又、補助仕切材
13は、例えば建物外壁にベランダ等の張出梁部分があ
る場合等には、高さ方向、即ち取付レールに平行な補助
仕切材として挿入することにより、延焼防止の効果を大
きくすることが出来る。
【0030】断熱層の樹脂断熱材7は、空間に充填して
発泡、固化する発泡樹脂単体又はこの発泡樹脂単体にこ
の発泡樹脂単体の難燃化を促進する難燃化剤を添加した
ものであるが、発泡樹脂単体は、発泡ウレタン樹脂、発
泡イソシアヌレート樹脂等から選択利用される。上記難
燃化剤は、炭酸カルシウム、五酸化アンチモン、水酸化
アルミニウム、カルシウムアルミネート等の難燃剤を樹
脂100重量部に対して、100〜300重量部を添加
され、それを常法によって発泡充填する。
【0031】又、外装材は、無機質外装ボード又はセラ
ミックボード等の端材を選択することも出来るし、外装
材の内部に充填して発泡、固化する樹脂発泡体の心材と
この心材を挟持する金属表面材とし断熱パネルとされた
パネル20とし、該樹脂発泡体は、断熱材7と同様な材
質のものを用いて、内部に充填して発泡、固化する発泡
樹脂単体又はこの発泡樹脂単体に難燃化剤を添加したも
のを選択することも出来るし、更に金属板と断熱材を単
に積層させたパネル20を選択することも出来る。
【0032】次に、図1、4、5及び6を用いて第1の
実施例の外断熱工法について個条書きに説明する。
【0033】 先ず図1において、建物の外壁4に取
付レール24をライナ(又はブラケット)25、発泡ボ
ード9を介して取り付ける。同時に取付用アングル15
a、15cを外壁4並びに外装材20に取り付けてお
く。次に補助仕切材13を取付用アングル15cで、主
仕切材12を取付用アングル15aで、それぞれ外壁4
に取り付ける。
【0034】 図4において、パネル20に取付用ア
ングル15aを取り付け、図示しない取付レール24に
パネル20を1段乃至2段取り付ける。主仕切材12を
止めネジ16a、16aを用いて取付用アングル15
a、15aに取り付ける。外壁4とパネル20との間の
空間6に、主仕切材12の充填用開口部11から、発泡
ノズル38を用いて、断熱材である発泡ウレタン樹脂の
原液を過充填発泡させる。
【0035】 図5において、断熱材である発泡ウレ
タン樹脂の原液を、空間6に充填し、発泡後の断熱材が
外壁4とパネル20との間の空間6からはみ出すよう
に、すき間なく十分に充填する。充填した発泡ウレタン
樹脂が固化した後、はみ出した発泡ウレタン樹脂8を除
去する。
【0036】 図6において、はみ出した発泡ウレタ
ン樹脂8を除去した部分に主仕切材12の材質と同じ材
質の不燃断熱材の蓋14を止めビス16c、16cで固
定する。
【0037】 この後、隣接した横方向に発泡充填を
進め、同一水準で建物を一周して作業完了したときに上
段位置での作業に移行しパネル20の上に、更に他のパ
ネル20′を積み上げ、上記からの手順を繰り返す。
【0038】図7は、図4に相当する他の外断熱構造物
1及び外断熱工法の第2の実施例を示す縦断面図であ
る。第2の実施例の外断熱構造物及び外断熱工法は、外
壁4とパネル20との空間の巾Bが狭い場合である。第
2の実施例の主仕切材12は、外壁4側に固定された取
付用アングル15aに止めビス16aで固定され、外壁
4に片持ち支持されている。外壁4とパネル20との空
間の巾Bが狭いので、主仕切材12は、パネル20の上
端より高い位置に固定されている。断熱材を充填する際
には、主仕切材12とパネル20の上端とのすき間23
から発泡ノズル38を挿入する。ビニールシート18
は、充填した断熱材がはみ出して、パネル20の上端に
付着するのを防止する養生用のものである。その他の部
分については、図1〜6と同じ構造、作用を示すものに
ついては、同じ参照番号を付してその説明を省略する。
【0039】図8は、図4、5に相当する更に他の外断
熱構造物及び外断熱工法の第3の実施例を示し、(A)
は断熱材を充填中の縦断面図、(B)は新たに出来た空
間に断熱材を充填中の縦断面図である。第3の実施例の
主仕切材12の不燃断熱材は、フレキシブルな材料で出
来たものである。パネル20、20′側の取付用アング
ル15aは、取付用アングル15bと止めネジ16dを
介してパネル20に取り付けられている。従って、同図
(B)に示すように、外壁4とパネル20との空間6に
断熱材7である発泡ウレタン樹脂等を充填し、発泡させ
た場合、主仕切材12は、外側に膨れるので、空間6が
発泡ウレタン樹脂ですき間なく充填されたかどうかを、
その膨れによって確認することが出来る。その他の部分
については、図1〜7と同じ構造、作用を示すものにつ
いては、同じ参照番号を付してその説明を省略する。
【0040】図9は、本発明の外断熱構造物の他の実施
例として、耐火外壁4への外装材パネル20の取付状態
の一例を示す要部の横断面図である。この場合、耐火外
壁4に固定したブラケット25に取付レール24をボル
ト止めし、該取付レール24にタッピングビス等によ
り、外装材パネル20を固定し、パネル間はシーリング
材26で目地止めしており、これらの充填空間に現場発
泡充填してなる断熱層5が形成されている。これらにお
いて、基本的に縦胴縁構造並びに外装材の取付構造は適
宜なものとされ得るものであるし、ブラケット25と取
付レール24には断熱板を介して固定するとか、外壁4
とブラケット25を断熱板を介して固定するとかの手段
も適切なし得るものである。
【0041】又、本発明の外断熱工法による現場発泡に
よれば、次のような利点がある。
【0042】 建物外壁と外装材との境面に空気層が
形成されず、しかも相互の密着度が上がる。
【0043】 従来慣用されている成形発泡パネルを
配設する場合と比べ、切れ目のない断熱層が形成される
ので、空気層(結露の繰り返しによる断熱層の破壊)が
形成されないと共に、総工費が軽減される。
【0044】 既存の建物外壁の改修時に適用する場
合には、建物外壁に外装モルタルの剥がれ、カビ落しに
よる凹凸等があっても、密着した断熱層が形成される。
【0045】 成形発泡パネル体を用いる場合、実用
上その肉厚が300mm程度が上限である。しかし、現
場発泡によれば500mm厚以上のものでも可能である
(層厚が大きく出来れば断熱効果が大きくなるので、室
内側での必要な冷却、冷房、暖房能力を低減出来、設備
とその運転コストを軽減出来る)。
【0046】 発泡樹脂を断熱空間内に十分充填(過
充填)により、発泡ウレタン等の樹脂発泡体が冷却、凝
固するときに収縮するので、収縮巣が発生することがあ
るが、過充填により、収縮巣の発生が防止される。
【0047】以上この発明を図示の実施例について詳し
く説明したが、それを以ってこの発明をそれらの実施例
のみに限定するものではなく、この発明の精神を逸脱せ
ずして種々改変を加えて多種多様の変形をなし得ること
は云うまでもない。
【0048】
【発明の効果】本発明の外断熱構造物によれば、断熱層
は、不燃断熱材で適宜仕切られているので、万が一火災
になっても、炎は仕切られた不燃断熱材の所で延焼を阻
止され、延焼の拡大を防ぐと共に、延焼するまでの時間
を長くすることが出来、消火活動に有利である。そし
て、断熱材の全焼を防ぎ修復による支出負担を軽減し、
近隣建物への延焼を最小限に押さえることが出来る。
【0049】更に、本発明の外断熱構造物は、主仕切材
と補助仕切材とを備えたので、上記と同様の効果がある
と共に、断熱層は、高さ方向及び/又は巾方向に細分化
され、延焼する部分の面積又は体積が小さくなり、炎は
仕切られた補助仕切材の所で延焼を一旦阻止され、遅ら
され、更に主仕切材の所でも延焼を阻止され、又延焼が
遅らされて、一気に他の断熱層に延焼する恐れが更に小
さくなる。
【0050】更に、上記発明のいずれかにおいて、不燃
断熱材は、無機質断熱材又は断熱層の難燃度より優れた
難燃度を保有する樹脂組成物の有機質断熱材であるの
で、上記発明のいずれかの効果に加え、万が一自然災害
や犯罪行為等によって火災になって炎が仕切られた不燃
断熱材の所に達しても、炎が隣接断熱層に移るのを阻止
し、一気に全体に延焼することを阻止する。
【0051】更に、上記発明のいずれかにおいて、断熱
層の断熱材は、発泡樹脂単体又はこの発泡樹脂単体に難
燃化剤を添加したものであるので、上記発明のいずれか
の効果に加え、断熱材は建物の外壁と外装材との空間に
充填されて発泡、固化し、その空間を満たし断熱層の内
部に結露を発生させる空間を無くし断熱性能を維持する
と共に、難燃化剤を添加した発泡樹脂の断熱材は、燃焼
が促進されず延焼拡大をより適切に防止する。
【0052】そして、上記発明のいずれかにおいて、外
装材は、樹脂発泡体の心材とこの心材を挟持する金属表
面材とを有するサンドイッチパネルであって、この樹脂
発泡体は、発泡樹脂単体又はこの発泡樹脂単体に難燃化
剤を添加したものであるので、上記発明のいずれかの効
果に加え、相当の剛性を持ち、樹脂発砲材の充填の堰板
として用いても、断熱層の断熱材の発泡、固化時の膨張
圧力を支え断熱層の厚さを所定の厚さに維持すると共
に、建物の外部からの炎による延焼を防止する。更に、
断熱層への湿気の侵入を阻止し、断熱層の劣化を防止す
る。
【0053】又、本発明の外断熱工法によれば、空間の
高さ方向を所定の間隔に仕切る不燃断熱材の主仕切材を
設けた断熱層を容易に形成することが出来と共に、その
断熱層は、空気のすき間がなく形成されるので、断熱層
の湿気による劣化を防止し、火災の際には主仕切材や補
助仕切材が脱落せずに延焼を防止することの出来る外断
熱構造物を容易に、経済的に付設することが出来る。
【0054】更に、上記外断熱工法において、主仕切材
で所定の間隔に仕切った空間を更に不燃断熱材の補助仕
切材を設けて仕切ることにより、上記効果に加え、断熱
層が高さ方向及び/又は巾方向に細分化され、延焼する
部分の面積又は体積が小さくなる外断熱構造の工法を提
供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る外断熱構造物及び外断熱工法の第
1の実施例の1スパン分を示す斜視図である。
【図2】図1に示した第1の実施例を適用して施工中の
建物全体を示す斜視図である。
【図3】図1の外断熱構造物及び外断熱工法の第1の実
施例の施工後の全体縦断面図である。
【図4】図1の外断熱工法の第1の実施例を説明する図
で、(A)は縦断面図、(B)は(A)における I−I
線断面図である。
【図5】図1の外断熱工法の第1の実施例を説明する図
で、(A)は縦断面図、(B)は(A)における II−I
I 線断面図である。
【図6】図1の外断熱工法の第1の実施例を示し、
(A)は縦断面図、(B)は(A)における III−III
線断面図である。
【図7】図4に相当する他の外断熱構造物及び外断熱工
法の第2の実施例を示す縦断面図である。
【図8】図4、6に相当する更に他の外断熱構造物及び
外断熱工法の第3の実施例を示し、(A)は断熱材を充
填中の縦断面図、(B)は新たに出来た空間に断熱材を
充填中の縦断面図である。
【図9】本発明に係る外断熱構造物の第4の実施例とし
て、外装材の耐熱外壁への取付状態の一例を示す横断面
図である。
【図10】従来技術に係る外断熱構造物及び外断熱工法
を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 外断熱構造物 2 建物 4 耐火外壁 5 断熱層 6 空間 7 樹脂断熱材 8 はみ出た発泡ウレタン樹脂 10 不燃断熱材 12 主仕切材 13 補助仕切材 20、20′ パネル(外装材) 21 心材 22 表面材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 脇坂 博 滋賀県東浅井郡虎姫町酢500番地 日本 軽金属株式会社 滋賀工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04B 1/76 E04B 1/94

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部を定温に保つ建造物であって、該建
    造物の耐火外壁の外側に該外壁と間隔を持たせて前記建
    造物を包設する外装材と、前記外壁と該外装材との空間
    に樹脂断熱材を過充填発泡して形成した断熱層とを備え
    た外断熱構造物において、前記断熱層が、少なくとも耐
    火外壁に固定された不燃断熱材で適宜仕切られているこ
    とを特徴とする外断熱構造物。
  2. 【請求項2】 内部を定温に保つ建造物であって、該建
    造物の耐火外壁の外側に該外壁と間隔を持たせて前記建
    造物を包設する外装材と、前記外壁と該外装材との空間
    に樹脂断熱材を過充填発泡して形成した断熱層とを備え
    た外断熱構造物において、該外断熱構造物は、前記断熱
    層の高さ方向を不燃断熱材で所定の間隔に仕切り、少な
    くとも耐火外壁に固定された主仕切材と、該主仕切材で
    所定の間隔に仕切った断熱層を更に高さ方向及び/又は
    巾方向に不燃断熱材で補助的に仕切った補助仕切材とを
    備えたそれらの仕切材が少なくとも耐火外壁に固定して
    いることを特徴とする外断熱構造物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、不燃断熱材
    は、無機質断熱材又は前記断熱層の難燃度より優れた難
    燃度を保有する樹脂組成物の有機質断熱材であることを
    特徴とする外断熱構造物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記
    断熱層の断熱材は、前記空間に充填して発泡、固化する
    発泡樹脂単体又は該発泡樹脂単体に該発泡樹脂単体の難
    燃化を促進する難燃化剤を添加したものであることを特
    徴とする外断熱構造物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記
    外装材は、該外装材の金属表面材の内部に充填して発
    泡、固化する樹脂発泡体の心材と該心材を挟持する表面
    材とを有するパネルであって、前記心材は、前記内部に
    充填して発泡、固化する発泡樹脂単体又は該発泡樹脂単
    体に難燃化剤を添加したものであることを特徴とする外
    断熱構造物。
  6. 【請求項6】 内部を定温に保つ建造物であって、該建
    造物の耐火外壁の外側に該外壁と間隔を持たせて前記建
    造物を包設した外装材を設け、前記外壁と該外装材との
    空間に発泡、固化する樹脂断熱材を充填して断熱層を形
    成する外断熱工法において、前記空間の高さ方向を所定
    の間隔に仕切る不燃断熱材の主仕切材を固設し、該主仕
    切材で仕切った空間に前記断熱材を隙間なく過充填発泡
    し、発泡、固化した後、前記仕切った空間からはみ出た
    前記断熱材を除去し、該はみ出た断熱材を除去した部分
    を前記不燃断熱材で閉塞し、次に前記断熱材を充填した
    空間を囲う前記外装材に接続して他の前記外装材を設
    け、新たに形成した空間を前記と同様に、前記主仕切材
    で仕切って、前記断熱材を現場発泡充填することを順次
    繰返し所要面に外断熱壁を形成することを特徴とする外
    断熱工法。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記主仕切材で所定
    の間隔に仕切った空間の高さ方向及び/又は巾方向を更
    に補助的に仕切る不燃断熱材の補助仕切材を設け、該補
    助仕切材で仕切った空間の各々に断熱材を隙間なく過充
    填発泡することを特徴とする外断熱工法。
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