JP2944010B2 - ヒートシンク - Google Patents

ヒートシンク

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JP2944010B2 JP19159492A JP19159492A JP2944010B2 JP 2944010 B2 JP2944010 B2 JP 2944010B2 JP 19159492 A JP19159492 A JP 19159492A JP 19159492 A JP19159492 A JP 19159492A JP 2944010 B2 JP2944010 B2 JP 2944010B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電力半導体を使用した
電力変換器等の内部損失による発熱を冷却するためのヒ
ートシンクに関する。
【0002】
【従来の技術】インバータや各種電源などの電力変換器
には、パワートランジスタ、IGBT等の電力半導体が
複数個使用されるが、このような電力半導体にはオン損
失、スイッチング損失などの内部損失による発熱を必ず
伴う。一般に数KVA〜数10KVAの出力定格のイン
バータでは、定格出力時に数100W〜数KWの損失に
よる発熱が生じる。したがって、この様な電力変換器で
は、電力半導体を図3(a)に示すように、熱伝導性に
優れた材質の金属を比較的肉厚のベース板部5とこのベ
ース板部5に対して直角方向に比較的薄肉の羽根部6が
突出した形状をなすように押し出しまたは鋳込みにより
一体成形されたヒートシンクに取り付け、このヒートシ
ンクにより電力半導体の発熱を冷却する必要がある。
【0003】図3(b)に上記電力変換器において電力
半導体が発熱し、ヒートシンクにより冷却されていると
きの熱等価回路を示す。図3(a)において、7は電力
半導体パッケージ、8は電力半導体チップ、9は電力半
導体のヒートシンク取り付け面に塗布される金属酸化物
フィラー入りのシリコン系サーマルコンパウンドを示
す。図3(a)、(b)に示すように、電力変換器が所
定の出力をしているときに、熱源である電力半導体チッ
プ8のジャンクション部にオン損失及びスイッチング損
失による電力損失Pc が発生すると、これによる熱流が
ジャンクション−ケース間の熱抵抗Rth(j-c) 、ケース
−ヒートシンク電力半導体取り付け面間の熱抵抗Rth(c
-h) 、電力半導体取付面−外気間の熱抵抗Rth(h-a) を
順次通過し、ジャンクション部の温度Tj と外気温Ta
の間に(△Tj +△Tc +△Th )の温度勾配が生じ
る。この電力半導体の内部損失による電力発熱が熱伝達
する時の上記諸量を数式に表すと数1のようになる。
【0004】
【数1】Tj =△Tj +△Tc +△Th +Ta =Pc {Rth(j-c) +Rth(c-h) +Rth(h-a) }+Ta 電力変換器を使用する上で、電力半導体の性能、信頼性
を損なわないようするには、ジャンクション温度Tj を
規定値以下にすることが必要で、このためには、数1か
ら明らかなように熱流路中の熱抵抗値を規定値以下にす
ることが求められる。
【0005】ここで、電力変換器における熱流路の各熱
抵抗値の内、ジャンクション−ケース間の熱抵抗Rth(j
-c) は、電力半導体内の半導体チップサイズ及びこのチ
ップの組み付け構造によって決まり、ケース−ヒートシ
ンク電力半導体取付面間の熱抵抗Rth(c-h) は、電力半
導体のヒートシンク取付面に塗布される金属酸化物フィ
ラー入りのシリコン系サーマルコンパウンドの塗布量、
すなわち、電力半導体取り付け状態でのヒートシンクと
の接触面積により決まる。したがって、Rth(j-c) +R
th(c-h) は、電力変換器に使用する電力半導体素子によ
り決定される値である。
【0006】一方、電力半導体取付面−外気間の熱抵抗
Rth(h-a) は、ヒートシンク自体の熱抵抗でもあり、ヒ
ートシンク自体の熱伝導度及びヒートシンク表面から外
気へ熱が移される度合い、すなわち、熱交換効率によっ
て決まる。したがって、ヒートシンクの材質と表面積及
び外気の流速がRth(h-a) を決定する。ちなみにこれら
Rth(j-c) +Rth(c-h) によって発生する温度勾配△T
j +△Tc は一般的に10〜20℃程度であり、一方、
Rth(h-a) によって発生する温度勾配△Th は数十℃程
度であることから、ジャンクション温度Tj を低く抑え
るためにはRth(h-a) を小さく、すなわちヒートシンク
の冷却効率を上げることが非常に重要である。
【0007】ところで、近年、電力変換器の装置寸法の
小型化及び高信頼化の要求が高まり、上記Rth(h-a) を
できるだけ小さくするべく工夫されているが、このため
の具体的な方法としては、ヒートシンクの羽根部6の突
出ピッチをできるだけ詰めて羽根の枚数を多くし、かつ
羽根部6の突出長さを大きくしてヒートシンクの表面積
を広くする方法が一般的である。さらに、電力変換器の
出力が数KVAの中容量以上の場合、送風用ファンを空
気流入口または流出口に設けることにより、Rth(h-a)
の低熱抵抗化を図っている。
【0008】また近年、比較的小型の半導体素子を冷却
する方法として、図4に示すようなヒートパイプ3を使
用したヒートシンクが実用化されている。このヒートパ
イプ3は一般的に図5に示す構造となっており、内部に
封入された冷却媒体が吸熱部12で蒸気化することによ
って半導体素子の発熱を吸収し、同図の点線の矢印で示
すように放熱部13に移動した後、液化する際に吸収し
た熱を放熱する。なお、放熱部13で液化した冷却媒体
は毛細管現象を利用した網状、または繊維状のウィック
14に浸透し、同図の実線の矢印で示すように再び吸熱
部12に移動する。冷却媒体は純水を使用するものが多
く、気化する温度を下げて動作温度を低くするために内
部を低い圧力にしている。また、ヒートパイプの外器1
5は熱伝導を良くするため一般的に銅によって作られて
いる。このようなヒートパイプは熱伝達能力が極めて高
く、吸熱部と放熱部の間の熱抵抗は極めて小さい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにヒート
シンクは、電力変換器の装置寸法の小型化のために、ヒ
ートシンク自体の熱抵抗を低くすることが求められてお
り、このための具体的な方法として、熱交換を行うヒー
トシンクの表面積が大きくなるように、羽根の突出ピッ
チをできるだけ詰めて羽根の枚数を増やし、かつ羽根の
長さをできるだけ長くする方法が用いられていた。しか
しながら、羽根のピッチを狭くし、かつ長さを長くする
方法では、押し出しや鋳込みなどの成形上の制限によ
り、羽根のピッチを一定値以下にできないという問題が
ある。アルミニウムの押し出し成形を例にとると、図3
(a)に示すヒートシンクの羽根部6の長さhと羽根間
のピッチpの比率、羽根部6の厚さt1 とベース板部5
の厚さt2 の比率等を決める場合、成形型の強度、押し
出し材の流動性等によりそれらの値が制限される。
【0010】実際の例では、ベース板部5の厚さt2 =
10mm(熱伝導の観点から10mm程度以上が望まし
い)、羽根部6の長さh=70〜90mmとすると、羽根
部6の厚さt1 は2〜3mm以下にはできず、また、羽根
間ピッチpは10〜13mm以下にはできない。したがっ
て、このような制約を前提とした小型化しかできないと
いう課題がある。また、表面積を大きくするために羽根
部6の厚さt1 を小さくした場合、羽根自体の熱抵抗が
大きくなり、羽根の長さを長くしても冷却効率が向上し
ないという課題がある。本発明は、上記の問題に鑑みて
成されたものであり、本発明の目的は、成形限界によっ
て制約された羽根のピッチ、長さのヒートシンクを用い
て実効的な冷却表面積を大きくすることにより、小型、
軽量、安価でかつ高冷却効率のヒートシンクを提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、電力半導体の
内部損失による発熱を冷却するヒートシンクに関するも
のであり、本発明の上記目的は、ベース板部と前記ベー
ス板部の一方の面に対して直角方向に突出させた複数の
羽根部とが一体成形された第1、及び第2の構造体と、
棒状の形状の複数個のヒートパイプとを使用し、前記ヒ
ートパイプの一方の端部を前記第1構造体のベース板部
の前記電力半導体の取付面側に結合し、他方の端部を前
記第2構造体のベース板部に結合して成ることにより達
成される。
【0012】
【作用】本発明のヒートシンクによれば、押出し成形等
によって製造された安価な構造体を2個使用して同一体
積における冷却表面積を2倍にしており、かつこれら2
個の構造体は、ヒートパイプを使用することによって極
小の熱抵抗によって接続されているため、単に1個の構
造体から成るヒートシンクの羽根を長くして表面積を2
倍にした場合などに比べて大幅に冷却効率を上げること
ができる。また、これら2個の構造体のベース板部を互
いに平行に設置することによって断面が箱型形状とな
り、風洞機能も兼ねることができる。
【0013】
【実施例】以下、図面に基づき本発明の好適な実施例を
説明する。図1は、本発明のヒートシンクの第1の例を
示す断面図であり、構造体A及び構造体Bの2組の構造
体が互いの羽根を向かい合わせて組み付けされている状
態を示す。図1の例では、構造体Aのベース板部1に電
力半導体2を取り付けるようになっているとともに、ベ
ース板部1にはコの字状に成形されたヒートパイプ3の
一方が挿入されている。ヒートパイプ3のもう一方は構
造体Bのベース板部4に挿入されている。なお、ベース
板部1、4に設けられた穴はヒートパイプ3を挿入した
上で熱伝導性接着剤(一例としてはエポキシ系の接着剤
に金属酸化物フィラーを添加したもの)または、熱伝導
性コンパウンドを充填している。このように2組の構造
体を組み合わせたことによって、押出し成形上の羽根の
ピッチ、および長さの限界に対して事実上、1/2のピ
ッチで羽根を配列することができ、同一体積中に2倍の
冷却表面積を実現している。
【0014】次に図2(a)に第2の実施例を示す。こ
の例では、構造体AおよびBは図1の例に比べて羽根の
長さを短くしており、そのピッチは十分に小さくなって
いる。構造体AおよびBの単体では羽根の長さが短いた
め冷却表面積は小さく、もし表面積を大きくしたいなら
ば羽根の長さを長くする必要がある。しかしながら、あ
まりに長くしても羽根の厚さ、材質(通常はアルミニウ
ムを使用する)の関係から、羽根自体の熱抵抗が悪化
し、ヒートシンク全体の熱抵抗を下げることは不可能で
ある。そこで本実施例では、適度な長さの羽根を持った
2つの構造体AおよびBを組み合わせ、それぞれのベー
ス板部をヒートパイプ3によって極小の熱抵抗で結合す
る事によって全体の熱抵抗を小さくしている。
【0015】ヒートパイプ3と構造体AおよびBの結合
方法についての一例について図2(b)を用いて説明す
る。この図は図2(a)に示したヒートシンクにおいて
ヒートパイプ3と構造体Bとの結合方法の一例を示すも
のであり、図中の構造体Bには第1の例に示したような
穴は設けておらず、そのかわりに押さえ板16によって
ヒートパイプ3を構造体Bとの間に挟み込むようにして
結合している。この押さえ板16はヒートパイプ3を挟
むための溝が設けられており、このような溝は押し出し
成形によって容易、かつ安価に製造することができる。
なお、このように組み立てられたヒートシンクは、図1
および図2(a)のどちらも断面が箱型形状を成してい
るので、風洞機能も合わせ持ち、風洞用部品を取り付け
ることなく簡単に風冷方式とすることができる。
【0016】
【発明の効果】以上のように本発明のヒートシンクによ
れば、押出し成形の限界によって制約された羽根のピッ
チ、長さのヒートシンクを用いて実効的な冷却表面積を
大きくすることにより、小型、軽量、安価でかつ高冷却
効率のヒートシンクを提供することができ、さらに、電
力変換器の装置寸法の小型化及び高信頼化を図ることが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒートシンクの第1の例を示す断面図
である。
【図2】本発明のヒートシンクの第2の例を示す図であ
り、(a)はその斜視図、(b)はヒートパイプの結合
(実装)方法の一例を示す図である。
【図3】従来のヒートシンクの第1の例を示す図であ
り、(a)は電力半導体を取り付けたときの断面図、
(b)は(a)に於ける各部の熱抵抗と温度上昇の関係
を示す熱等価回路図である。
【図4】従来のヒートシンクの第2の例を示す図であ
り、ヒートパイプを利用したヒートシンクの一例を示す
斜視図である。
【図5】一般的なヒートパイプの動作原理を示す図であ
り、内部構造を表す図である。
【符号の説明】
A,B 構造体 1 構造体Aのベース板部 3 ヒートパイプ 4 構造体Bのベース板部 16 押さえ板

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電力半導体の内部損失による発熱を冷却す
    るヒートシンクにおいて、ベース板部と前記ベース板部
    の一方の面に対して直角方向に突出させた複数の羽根部
    とが一体成形された第1、及び第2の構造体と、棒状の
    形状の複数個のヒートパイプとを使用し、前記ヒートパ
    イプの一方の端部を前記第1構造体のベース板部の前記
    電力半導体の取付面側に結合し、他方の端部を前記第2
    構造体のベース板部に結合して成ることを特徴とするヒ
    ートシンク。
  2. 【請求項2】前記第1構造体は前記ベース板部の内部に
    前記電力半導体取付面に平行した複数個の穴を有し、前
    記第2構造体は前記ベース板部の内部に前記ベース板部
    に平行する複数個の穴を有し、前記ヒートパイプはコの
    字状の形状であって、一方の端部を前記第1構造体の穴
    に挿入し、他方の端部を前記第2構造体の穴にそれぞれ
    挿入するとともに、前記第1構造体のベース板部と前記
    第2構造体のベース板部とが互いに平行に設置されて成
    る請求項1に記載のヒートシンク。
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