JP2943026B2 - チタン系合金およびチタン系焼結合金の製造方法 - Google Patents

チタン系合金およびチタン系焼結合金の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はチタン系焼結合金および
その製造方法にかかるもので、とくにアルミニウム、お
よび生体内で毒性を示す危険性のある元素を含まず、な
おかつ強度および耐腐食特性にすぐれたチタン系焼結合
金およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、一般の構造用部材、化学プラ
ント、航空宇宙用部材、その他各種部材に最も一般的に
使用されているチタン系の材料は、溶製法による純チタ
ン、およびTi−6Al−4V合金であるが、チタン系
材料はその加工性が悪く、単価が高いために、上記溶製
法による場合には、歩留まりの低さによるコスト高が問
題である。
【0003】上記純チタンは、その強度が低いために高
強度化が望まれている。
【0004】また、Ti−6Al−4V合金は、一般構
造材料としては理想的な特性を有するが、生体内構造材
料としてこれを用いた場合には、バナジウムの生体内へ
の溶出による悪影響、およびアルミニウムによる生体内
での耐食性劣化の危険性があり、生体内での安全性が危
惧されている。
【0005】なお、特開昭60−221539号などの
ように、チタンに鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム
を添加したチタン焼結合金もあるが、強度、靱性の面
で、過酷な環境下で使用する構造用部材としては実用に
供することは困難であるとともに、生体に有害なパラジ
ウムを含むために、上記Ti−6Al−4V合金と同様
に生体内での安全性が危惧される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
諸問題にかんがみなされたもので、とくに生体用金属材
料として、さらにTi−6Al−4V合金の代替え材料
として、アルミニウムを含まず、なおかつ生体内で安全
なジルコニウム、鉄、コバルトなどの添加元素を少量含
んだ、耐食特性が良好で、高強度のチタン系合金および
その製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ニア
ネットシェイプによる歩留まりの向上を期待可能である
こと、および偏析のない微細均質組織が可能であること
などの特徴を有する粉末冶金法の特徴を生かし、チタン
の基地(matrix)に、生体内で安全なジルコニウ
ム、鉄、コバルトなどの添加元素を少量含ませることに
着目したもので、第一の発明は、チタンと、2〜5重量
%未満のジルコニウムと、2〜6重量%の鉄あるいはコ
バルトとからなる材料による三元素系のチタン系合金で
ある。第二の発明は、チタンに、2〜5重量%未満のジ
ルコニウム、および2〜6重量%の鉄あるいはコバルト
の元素単体の粉末、あるいはこれら金属相互間の合金粉
末を所定量混合して圧粉体とする混合圧粉工程と、この
圧粉体を焼結する焼結工程とを有するチタン系焼結合金
の製造方法である。第三の発明は、チタンに、2〜5重
量%未満のジルコニウム、および2〜6重量%の鉄ある
いはコバルトの元素単体の粉末、あるいはこれら金属相
互間の合金粉末を所定量混合して圧粉体とする混合圧粉
工程と、この圧粉体を焼結して焼結体とする焼結工程
と、この焼結体を熱間静水圧処理するHIP工程とを有
するチタン系焼結合金の製造方法である。
【0008】以下、図面にもとづき本発明をより具体的
に説明する。図1は製造工程を概略的に示した説明図で
あって、図示のように、純チタン粉末1に、ジルコニウ
ム粉末2、およびコバルト粉末3あるいは鉄粉末4を混
合し、圧粉することにより圧粉体5とする。
【0009】この圧粉体5を焼結処理して焼結体6とす
ることにより、チタン系合金とすることができる。
【0010】さらにこの焼結体6を熱間等方圧加圧(H
IP)処理して、HIP処理体7とすることにより、ほ
ぼ100%の密度に稠密化し、チタン系合金とすること
ができる。
【0011】したがって、本発明によるチタン系合金な
いしはチタン系焼結合金は、Ti−Zr−Co系、ある
いはTi−Zr−Fe系の合金となる。
【0012】上記純チタン粉末の平均粒径は、149μ
m以下である。上記ジルコニウム粉末の平均粒径は、4
〜5μmである。上記コバルト粉末の平均粒径は、1.
4μmである。上記鉄粉末の平均粒径は、4〜5μmで
ある。
【0013】ジルコニウムの添加量としては、ジルコニ
ウムがチタン内に完全に固溶して特定の化合物を析出さ
せることがないため、とくに上限はないが、ジルコニウ
ム粉末の価格がチタン粉末に比べて格段に高価であるた
め、実用的には20重量%くらいまでが適当で、好まし
くは2〜20重量%である。さらに好ましくは、2〜5
重量%未満である。
【0014】コバルトあるいは鉄の添加量は、稠密化処
理であるHIP処理を行う温度において、チタンが(α
+β)二相混合領域である必要があることから、実用的
には、HIP処理温度が室温〜800℃で、コバルトお
よび鉄ともに0〜6重量%くらいまで、好ましくは2〜
6重量%である。
【0015】圧粉処理の圧力条件は、2〜6ton/c
2である。
【0016】焼結処理の条件は、真空雰囲気中におい
て、温度1100〜1300℃で、処理時間1〜4時間
である。
【0017】HIP処理条件は、温度700〜800
℃、圧力1000Kgf/cm2で、処理時間1〜4時
間である。ただし、HIP処理条件には特別の限定はな
いが、HIP処理温度と、コバルトあるいは鉄の添加量
との間には互いに関連性があり、コバルトあるいは鉄の
添加量が0〜6重量%で、HIP処理温度は室温〜80
0℃である。
【0018】
【作用】本発明によるチタン系焼結合金の製造方法にお
いては、チタンに、ジルコニウムと、コバルトあるいは
鉄という安価でしかも生体内でまったく毒性を示さない
添加元素とを粉末冶金法により添加し、焼結処理し、さ
らに好ましくはHIP処理による稠密化により、Ti−
6Al−4V合金に匹敵する静的機械特性および耐食性
を有する材料を製造することができるとともに、Ti−
6Al−4V合金とは異なって生体内での危険性もない
チタン系焼結合金とすることが可能である。
【0019】具体的に述べると、チタンと全率固溶する
ジルコニウムをチタンに添加することにより、チタン基
地を強化することができる。
【0020】また、コバルトあるいは鉄は、チタンと共
析型の状態図をつくり、チタンのβ相安定型元素として
はたらく。
【0021】鉄は、チタン基地中のβ相を固溶強化す
る。コバルトは、高温域においてチタンがβ相であった
部分に微細な析出物を析出させることによる析出強化を
することができる。
【0022】かくして、チタンに、ジルコニウムと、コ
バルトあるいは鉄とを同時に添加した三元素合金とする
と、ジルコニウムおよびコバルトあるいは鉄は互いにチ
タンに対する強化効果を損なうことなく、有効に作用す
るため、互いに少量の添加により、チタン本来の延性を
損なうことなく、その強度および耐食性を強化すること
ができる。
【0023】
【実施例】つぎに本発明の実施例を説明する。試料の組
成としては、Ti−Zr−Fe系について示すと、純T
i、Ti−4重量%Zr、Ti−4重量%Fe、および
Ti−4重量%Zr−4重量%Feの四種類であり、そ
れぞれ上述した原料粉末を秤量し、混合したのち、4t
on/cm2の圧力で圧縮し、圧粉体とした。
【0024】得られた圧粉体を温度1250℃で2時
間、真空焼結し、そののち金属容器に真空封入して、温
度800℃、圧力1000Kgf/cm2で、4時間、
HIP処理した。
【0025】得られた合金から引張り試片を切り出し、
引張り試験および伸び試験を行った結果を図2の表に示
す。
【0026】このように、ジルコニウム、鉄、各々の単
体でも最大引張り強度および伸びについて強化効果はあ
るが、Ti−Zr−Fe系と三元素とすることにより、
さらなる強化が可能であり、最大引張り強度88Kgf
/mm2、伸び10%以上というTi−6Al−4V合
金の強度に十分匹敵する特性が得られた。
【0027】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、チタン系
合金として、チタンにジルコニウム、鉄、コバルトなど
を添加した焼結合金とし、またHIP処理も施すことに
より、Ti−6Al−4V合金の強度に十分匹敵する特
性を有するとともに、生体内用材料としても安全な材料
を製造することができる。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるチタン系焼結合金の製造方法にお
ける製造工程を概略的に示した説明図である。
【図2】本発明の実施例によるTi−Zr−Fe系合金
の最大引張り強度および伸びを示す表である。
【符号の説明】
1 純チタン粉末 2 ジルコニウム粉末 3 コバルト粉末 4 鉄粉末 5 圧粉体 6 焼結体 7 HIP処理体

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンと、 2〜5重量%未満のジルコニウムと、 2〜6重量%の鉄あるいはコバルトとからなる材料によ
    る三元素系のチタン系合金。
  2. 【請求項2】 チタンに、2〜5重量%未満のジルコ
    ニウム、および2〜6重量%の鉄あるいはコバルトの元
    素単体の粉末、あるいはこれら金属相互間の合金粉末を
    所定量混合して圧粉体とする混合圧粉工程と、 この圧粉体を焼結する焼結工程とを有するチタン系焼結
    合金の製造方法。
  3. 【請求項3】 チタンに、2〜5重量%未満のジルコ
    ニウム、および2〜6重量%の鉄あるいはコバルトの元
    素単体の粉末、あるいはこれら金属相互間の合金粉末を
    所定量混合して圧粉体とする混合圧粉工程と、 この圧粉体を焼結して焼結体とする焼結工程と、 この焼結体を熱間静水圧処理するHIP工程とを有する
    チタン系焼結合金の製造方法。
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JPS60224727A (ja) * 1984-04-24 1985-11-09 Haruyuki Kawahara Ti−Zr系焼結合金

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