JP2941571B2 - 高強度耐食性アルミニウム基合金およびその製造方法 - Google Patents

高強度耐食性アルミニウム基合金およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高比強度かつ耐食性に
優れたアルミニウム基合金、特に、非晶質もしくは非晶
質中に微細結晶を分散させた組織を有するアルミニウム
基合金とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のアルミニウム基合金には、Al-
Cu系、Al-Si系、Al-Mg系、Al-Cu-Si系、A
l-Cu-Mg系、Al-Zn-Mg系などの種々の成分系の合
金が知られており、いずれの系のものにおいても軽量で
耐食性に優れていることから、それらの個々の材料特性
に応じて、車両、船舶、航空機などの機械構造部材用と
して、または、建築用外装材、サッシ、屋根葺材、LN
Gタンク用構造材などとして広く使用されている。
【0003】ところが、従来のアルミニウム基合金は、
Fe系の材料に比較して一般に硬度が低く、また耐熱性
も低い欠点がある。また、Cu、MgあるいはZnなどの
元素を添加して強度を高めたもののなかには、耐食性に
欠点を有するものがある。
【0004】一方、近来、アルミニウム基合金を溶湯状
態から急冷凝固させることにより組織の微細化を図り、
機械強度と耐食性の両面で優れさせた特性を発揮させる
試みもなされている。このような背景において、特開平
1ー275732号公報に開示されているように、特定
の組成比のAlMX系(Mは、V、Cr、Mn、Fe、C
o、Ni、Cu、Zrなどの元素を示し、Xは、La、Ce、
Sm、Ndなどの希土類元素、Y、Nb、Ta、Mm(ミッ
シュメタル)などを示す。)の組成であって、組織が非
晶質または非晶質と微細結晶質とからなるアルミニウム
基合金が特許出願されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記特許出願のアルミ
ニウム基合金は、高硬度材料、高強度材料、高電気抵抗
材料、耐摩耗材料、ろう付け材料などとして有用であ
り、結晶化温度近傍における超塑性現象を利用して押出
加工やプレス加工も可能であって、耐熱材料としても優
れているものである。ところが、前記のアルミニウム基
合金は、高価な希土類元素や高活性なYなどの金属元素
を多く含有するために、コスト高になる欠点がある。即
ち、高価な原料を用いる必要があるとともに、高活性で
取り扱いの面で難点のある原料を用いる必要があるため
に、製造設備の規模が大きくなって費用が高くなり、人
件費もかかる問題がある。更に前記組成のアルミニウム
基合金は、耐酸化性、耐食性の面で不足を生じる傾向が
ある。
【0006】本発明は前記事情に鑑みてなされたもので
あり、希土類元素やYなど高活性元素を含まない3元系
の組成とし、低コスト化、低活性化を実現するととも
に、高い引張破断強度を示す高強度であって、硬度も高
く、更に耐食性に優れさせたアルミニウム基合金とその
合金を製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は前
記課題を解決するために、一般式 AlxNiyMz(た
だし、MはCoまたはFeを示す。)で示される3元系の
組成を有し、組成比を示すx,y,zは、原子%でx+y+z
=100、87≦x≦90≦y≦11≦z≦
る関係を満足するとともに、非晶質もしくは非晶質と微
細結晶質との混合組織を主体としてなり、引張破断強度
σ f が813〜1150MPaの範囲 、硬度H v が295
〜380DPNの範囲であることを特徴とする。
【0008】請求項2記載の発明は前記課題を解決する
ために、一般式 AlxNiyMz(ただし、MはCoまた
はFeを示す。)で示される3元系の組成を有し、組成
比を示すx,y,zは、原子%でx+y+z=100、87
x≦90≦y≦11≦z≦なる関係を満足する
とともに、非晶質もしくは非晶質と微細結晶質との混合
組織を主体としてなり、引張破断強度σ f が813〜1
150MPaの範囲 、硬度H v が295〜380DPN
の範囲であるアルミニウム基合金を製造する に際し、3
00〜10000rpmの範囲の一定速度で回転してい
る直径30〜300mmの銅製のロールに前記組成のア
ルミニウム合金の溶湯を噴出して、この溶湯を10 4
10 6 K/sの冷却速度で冷却することで非晶質を得る
ことを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明アルミニウム基合金は、一般式Alx
Niyz(ただし、Alは アルミニウムを示し、Ni
はニッケルを示し、Mは、Fe(鉄)あるいはCo(コバ
ルト)を示す。)で示される組成を有し、87≦Fe≦
90、5≦Ni≦11、1≦(Co,Fe)≦5なる関
係を満足する。FeとNiとCoあるいはFeとN iと
Feをこれらのような組成範囲とすることで、高い引張
破断強度を示し、高い硬度を示す合金が得られる。
【0010】前記混合組織の微細結晶質とは、アルミニ
ウムの微細結晶相、安定または準安定な金属間化合物
相、もしくは、アルミニウムマトリックスからなる金属
固溶体のうち、少なくとも1つを主体としてなるもので
ある。これらの微細結晶質の結晶粒径は、30〜50nm
程度のものである。
【0011】前記アルミニウム基合金は、前記組成の合
金溶湯を液体急冷法で急冷凝固させて製造することがで
きる。この液体急冷法とは、溶融した合金を急速に冷却
させる方法をいい、例えば、単ロール法、双ロール法、
回転液中紡糸法などが特に有効であり、これらの方法で
は104〜106 K/sec程度の冷却速度が容易に得られ
る。この単ロール法、双ロール法などにより薄帯材料を
製造するには、溶湯を入れた石英管などの収納容器にノ
ズル孔を通して約300〜10000rpmの範囲の一定
速度で回転している直径30〜300mmの例えば銅ある
いは銅製のロールに溶湯を噴出する。これにより、幅が
約1〜300mmで厚さが約5〜500μmの各種薄帯材
料を容易に得ることができる。
【0012】一方、回転液中紡糸法により、細線材料を
製造するには、ノズル孔を通じ、アルゴンガス背圧に
て、約50〜500rpmで回転する中空ドラム内に遠心
力により保持された深さ約1〜10cmの溶液冷媒層中に
溶湯を噴出して細線材料を容易に得ることができる。こ
の際のノズルからの噴出溶湯と冷媒面とのなす角度は、
約60〜90度、噴出溶湯と溶液冷媒面の相対速度比
は、約0.7〜0.9であることが好ましい。また、前記
の方法によらずに、スパッタリング法などの成膜法によ
り前記組成のアルミニウム基合金の薄膜を得ることがで
き、また高圧ガス噴霧法などの各種アトマイズ法やスプ
レー法により溶湯を急冷して前記組成のアルミニウム基
合金粉末を得ることができる。
【0013】得られた急冷アルミニウム基合金が、非晶
質、あるいは非晶質と微細結晶質からなる複合体または
微細結晶質であるかどうかは、通常のX線回折法によっ
て容易に知ることができる。即ち、非晶質の場合は、非
晶質特有のハローパターンを示し、非晶質と微細結晶質
の複合体である場合は、ハローパターンと微細結晶質に
起因する回折ピークの合成された回折パターンを示し、
微細結晶質の場合は、アルミニウム固溶体(α相)およ
び合金組成によって異なる金属間化合物に起因するピー
クの合成回折パターンを示す。これらの非晶質、非晶質
と微細結晶質の複合体、または、微細結晶質は、前述の
単ロール法、双ロール法、回転液中紡糸法、スパッタリ
ング、各種アトマイズ法、スプレー法、メカニカルアロ
イング法などにより得ることができる。また、必要に応
じて適当な製造条件を選択することにより、非晶質と微
細結晶の混相を得ることもできる。
【0014】次に、前記非晶質組織は、加熱すると特定
の温度以上で結晶に分解する(この温度を結晶化温度と
呼ぶ)。この非晶質相の加熱分解を利用することによっ
ても微細結晶質からなるアルミニウム固溶相および合金
組成によって異なる金属間化合物の複合体を得ることが
できる。
【0015】一方、前記組成比において、Alの原子%
を50〜95の範囲に、Niの原子%を0.5〜35の範
囲に、元素Mの原子%を0.5〜20の範囲にそれぞれ
限定したのは、各元素の組成がこれらの範囲から外れる
と、非晶質化しにくくなったり、固溶限を越えた過飽和
固溶体を形成し難くなるために、前記液体急冷法等を利
用した工業的な急冷手段では、本願発明の目的の特性を
持った非晶質、非晶質と微細結晶質との複合体、あるい
は、微細結晶質のアルミニウム基合金を得ることができ
なくなるからである。また、前記組成範囲を外れると、
急冷法によって得られた非晶質相を適当な加熱処理また
は、従来の粉末冶金技術を利用した粉末成形過程の温度
制御により、結晶化させ微結晶質の複合体を得るための
非晶質相を得ることが困難になる。
【0016】なお、Alの原子%は、50〜95の範囲
であるが、これは、Al含有量が50より小さいと著し
く脆化するので好ましくなく、Al含有量が95より大
きいと強度と硬度が低下するので好ましくないからであ
る。また、この範囲内でも87〜90の範囲であれば、
他の添加元素との添加効果も相俟って高い引張破断強度
と硬度が両立する。
【0017】また、前記組成比において、Niの原子%
は、0.5〜35の範囲であるが、これは、Ni含有量が
0.5より小さいと強度と硬度が低下するので好ましく
なく、Ni含有量が35より大きいと金属間化合物が生
成され脆化するので好ましくないからである。また、こ
の範囲内でも5〜11の範囲であれば、他の添加元素と
の添加効果も相俟って高い引張破断強度と硬度が両立す
る。
【0018】更に、前記組成比において、元素Mの原子
%は、0.5〜20の範囲であるが、これは、M含有量
が0.5より小さいと強度と硬度が低下するので好まし
くなく、M含有量が20より大きいと脆化するので好ま
しくないからである。また、この範囲内でも1〜5の範
囲であれば、他の添加元素との添加効果も相俟って高い
引張破断強度と硬度が両立する。元素Mは、他の元素と
共存して非晶質形成能を向上させる効果および非晶質相
の結晶化温度を上昇させる効果も示すが、ここでは非晶
質相の硬度および強度を著しく向上させる効果が重要で
ある。一方、微細結晶を製造する条件下にあっては、微
細結晶相を安定化させる効果を持ち、アルミニウムおよ
び他の添加元素と安定または準安定な金属間化合物を形
成し、アルミニウムマトリックス(α相)中に均一微細
に分散させ、合金の硬度と強度を著しく向上させ、高温
における微細結晶質の粗大化を抑制して耐熱性を付与す
る。
【0019】本発明方法によるアルミニウム合金は、
結晶化温度近傍(結晶化温度±100℃)または微細結
晶相の安定温度領域内の高温域において、超塑性現象を
示すので、容易に押出加工やプレス加工、熱間鍛造等の
加工を行なうことができる。従って、薄帯、線、板状あ
るいは粉末の形態で得られた前記組成のアルミニウム基
合金を前記温度で押出加工、プレス加工、熱間鍛造加工
することで、容易にバルク材を得ることができる。更に
前記組成のアルミニウム基合金は、高度の粘さを有する
ので、180度曲げ可能なものとなる。
【0020】なお、前記非晶質もしくは非晶質と微細結
晶の混合組成の合金には、結晶質合金のような結晶粒
界、偏析等の構造的不均一性や化学的不均一性がなく、
さらにアルミ酸化膜の形成により、不動態化を起こすた
めに高耐食性を示す。また、希土類元素を含んでいる
と、その希土類元素の活性のために合金表面の不動態膜
に不均一性を生じやすく、その部分から内部への腐蝕が
進行する欠点があるが、前記構造の合金にあっては希土
類元素を含んでいないためにその点の問題も解決されて
いる。
【0021】次に前記組成のアルミニウム基合金につい
て、バルク(塊)状の部材を製造する場合について説明
する。本発明に係るアルミニウム基合金は、加熱すると
微細結晶相を析出して結晶化するとともに、アルミニウ
ムマトリックス(α相)を析出し、それ以上の温度に加
熱すると金属間化合物も析出するので、これらの性質を
利用してバルク化を行なうことができる。具体的には、
急冷法により製造した薄帯合金をボールミルにて粉砕
し、真空ホットプレスにより真空下(例えば、10-3
orr)、結晶化温度よりも多少低い温度で(例えば47
0K程度で)圧粉することにより直径数十mm、長さ数十
mmの押出し用ビレットを作成する。このビレットを押出
機のコンテナ内にセットし、結晶化温度よりも若干高い
温度で数十分保持した後、押出加工を行なって丸棒など
の所望の形状の押出材を得ることができる。
【0022】
【実施例】高周波溶解炉により所定の成分組成を有する
溶融合金を製造し、これを図1に示すような先端に小孔
5(孔径:0.2〜0.5mm)を有する石英管1に装入
し、加熱溶解した後、その石英管1を銅製のロール2の
直上に設置し、ロール2を回転数4000rpmで高速回
転させ、石英管1にアルゴンガス圧(0.7kg/cm3)を
かけて石英管1の小孔5から溶湯をロール2の表面に噴
射して急冷することにより急冷凝固させて合金薄帯4を
得た。前記製造条件により図2と図3に示す組成(原子
%)の多数の合金薄帯試料(幅1mm、厚さ20μm)を
作成し、それぞれの試料についてX線回折とTEM(透
過型電子顕微鏡)による観察に付した結果、図2と図3
の組織状態の欄に示すように非晶質(Amorphous)単相
組織、または、金属間化合物もしくは固溶体からなる結
晶組織(Crystalline)、または、非晶質母層中にfcc構
造のアルミニウムが微細結晶粒子となって分散した2相
組織(fcc-Al+Amo)が得られていることが確認され
た。
【0023】次に、各薄帯試料につき、硬度(Hv)と
引張破断強度(σf:MPa)を測定し、図2と図3に示
す結果を得た。硬度は、微小ビッカース硬度計による測
定値(DPN:Diamond Pyramid Number)である。更
に、各薄帯試料について、コ字状になるように180度
折り曲げて端部どうしを密着させる180度密着曲げ試
験を行なった結果、破断しない程度の延性を示すものを
図2と図3にDucで示し、破断したものをBriで示した。
【0024】図2と図3に示す結果から、原子%で50
≦Al≦95、0.5≦Ni≦35、0.5≦M≦20な
る関係を満足させることによって、耐力が高く、硬度が
高く、曲げにも強く加工が可能なアルミニウム基合金を
得ることができることが明らかになった。
【0025】図2と図3に示す本発明に係る試料におい
ては、通常のアルミニウム基合金がHv:50〜100
DPN程度であるのに対して295380DPNと極
めて高い硬度を示している。次に、引張破断強度(σ
f)に関しては、通常の時効硬化型アルミニウム基合金
(Al-Si-Fe系)の値が、200〜600MPaであ
るのに対し、本発明試料のものは813〜1150の範
囲になり、極めて優れていることが明らかになった。な
お、引張強さに関し、JIS規定の6000系あるいは
7000系のアルミニウム基合金においては、250〜
300MPa程度であり、Fe系の構造用鋼板で400M
Pa程度、Fe系の高張力鋼板で800〜980MPa程
度であることを考慮すると、本発明に係るアルミニウム
合金が極めて優れていることが明らかである。図2と図
3に示す結果から、Al含有量を本発明範囲よりも多い
95原子%とし、Ni含有量を0.3原子%として本発
明範囲よりも少なくしたNo.18、20の試料が引張
破断強度と硬度において本発明試料よりも劣っているこ
とがわかる。また、Al含有量を本発明範囲よりも少な
い75原子%とし、Fe含有量を本発明範囲よりも多い
25原子%としたNo.22の試料は全体が結晶化して
まい、硬度は高いが脆く引張破断強度を測定できない
ことが明らかである。更に、Al含有量が本発明範囲よ
りも多い96原子%であり、Ni含有量が本発明範囲よ
りも少ない2原子%のNo.26の試料は引張破断強度
が小さく硬度も小さ くなった。これらの結果と図2、図
3に示す試験結果を総合して、高い引張破断強度と硬度
を両立させるには、本発明範囲の組成とすることが有効
であることが明らかになった。
【0026】図4はAl87Ni12Mn1なる組成の合金試
料のX線回折図形を示すもので、この図では結晶ピーク
が見られないブロードなパターンとなっていて、合金試
料が非晶質単相構造になっていることを示している。図
5はAl88Ni9Co3なる組成の合金試料のX線回折図形
を示すもので、この図では非晶質相中にナノスケールの
fcc構造の微細なAl粒子が分散した2相構造になって
いることを示している。図中において、(111)、
(200)で示すものは、fcc構造のAlの結晶ピーク
である。
【0027】図6はAl88Ni11Zr1なる組成の合金試
料を0.67k/sの昇温速度で加熱した場合のDSC(示
差走査熱量測定)曲線を示し、図7はAl88Ni11Fe1
なる組成の合金試料を0.67k/sの昇温速度で加熱した
場合のDSC曲線を示すものである。図6と図7から明
らかなように低温側のブロードなピークは、fcc構造の
Al粒子の結晶化ピークを示し、高温側の鋭いピークは
化合物の結晶化ピークを示している。このような2つの
ピークを有することは、適切な温度で焼き入れ等の熱処
理を行なえば、非晶質母相中に分散するAl粒子の体積
分率を制御することができるので、熱処理により機械的
特性を向上できることが明らかである。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るアルミ
ニウム基合金は、AlNiCo、AlNiFeの3元系
の組成を有し、AlとNiとCoを規定の範囲含有して
いるので、高硬度材料、高強度材料、耐食性に富む材料
として有用である。更に、熱処理により機械特性を向上
させることが可能であり、曲げにも強いので機械加工も
できるなどの優れた特性を有する。しかも、Alを87
〜90原子%、Niを5〜11原子%、CoあるいはF
eを1〜5原子%含有させることで、引張破断強度σ f
が813〜1150MPaの範囲、硬度H v が295〜
380DPNの範囲であり高い引張破断強度と優れた硬
度のバランスした優れたアルミニウム基合金を提供でき
る。以上のことから本発明に係るアルミニウム基合金
は、航空機、車両、船舶などの構造用部材、あるいはエ
ンジン部分の構造用部材、または、建築用外装材、サッ
シ、屋根材として、更には、海水機器用部材、原子炉用
部材などとして広く使用することができる。また、本発
明に係る合金は、前記の優れた材料特性を備える上に、
希土類元素やYなど高活性元素を含まない組成とし、低
コスト化、低活性化を実現することができる。更に、本
発明方法で製造する際に用いる合金組成として先の一般
式で示される3元系の組成式に合致した組成を有してな
るものを用い、300〜10000prmの範囲の一定
速度で回転している直径30〜300mmの銅製のロー
ルに前記組成のアルミニウム合金の溶湯を噴出して、こ
の溶湯を10 4 〜10 6 K/sの冷却速度で冷却すること
で非晶質を確実に得ることができる。以上のことから本
発明方法により製造されたアルミニウム基合金は、航空
機、車両、船舶などの構造用部材、あるいはエンジン部
分の構造用部材、または、建築用外装材、サッシ、屋根
材として、更には、海水機器用部材、原子炉用部材など
として広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明方法により合金を急冷凝固して
薄帯を製造する際に使用した単ロール装置の一例を示す
構成図である。
【図2】図2は得られた合金試料の特性を測定した結果
を示すものである。
【図3】図3は得られた合金試料の特性を測定した結果
を示すものである。
【図4】図4はAl87Ni12Mn1なる組成の合金のX線
回折分析結果を示す図である。
【図5】図5はAl88Ni9Co3なる組成の合金のX線回
折分析結果を示す図である。
【図6】図6はAl88Ni11Zr1なる組成の合金の熱的
特性を示す図である。
【図7】図7はAl88Ni11Fe1なる組成の合金の熱的
特性を示す図である。
【符号の説明】
1 石英管 2 ロール 3 溶湯 4 薄帯 5 ノズル孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増本 健 宮城県仙台市青葉区上杉3丁目8−22 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内無番地 川内住 宅11−806 (72)発明者 堀尾 裕磨 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株 式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−37335(JP,A) 特開 昭59−20442(JP,A) 特開 平3−202431(JP,A) 特開 平3−271347(JP,A) 特開 平1−240632(JP,A) 特開 平3−260038(JP,A) 特開 平1−240631(JP,A) 特開 平5−125499(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 AlxNiyMz (ただし、MはCoまたはFeを示す。)で示される3元
    系の組成を有し、 組成比を示すx,y,zは、原子%でx+y+z=100、
    ≦x≦90≦y≦11≦z≦なる関係を満足
    するとともに、 非晶質もしくは非晶質と微細結晶質との混合組織を主体
    としてなり、引張破断強度σ f が813〜1150MPaの範囲、硬
    度H v が295〜380DPNの範囲である ことを特徴
    とする高強度耐食性アルミニウム基合金。
  2. 【請求項2】 一般式 AlxNiyMz (ただし、MはCoまたはFeを示す。)で示される3元
    系の組成を有し、 組成比を示すx,y,zは、原子%でx+y+z=100、
    ≦x≦90≦y≦11≦z≦なる関係を満足
    するとともに、 非晶質もしくは非晶質と微細結晶質との混合組織を主体
    としてなり、引張破断強度σ f が813〜1150MPaの範囲、硬
    度H v が295〜380DPNの範囲であるアルミニウ
    ム基合金を製造するに際し、 300〜10000rpmの範囲の一定速度で回転して
    いる直径30〜300mmの銅製のロールに前記組成の
    アルミニウム合金の溶湯を噴出して、この溶湯を10 4
    〜10 6 K/sの冷却速度で冷却することで非晶質を得
    ることを特徴とする高強度耐食性アルミニウム基合金の
    製造方法。
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