JP2941029B2 - 数値制御研削盤 - Google Patents

数値制御研削盤

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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は数値制御研削盤の初品研削加工時の座標系及
び加工データの補正に関するものである。
「従来の技術」 数値制御研削盤による初品研削加工においては、研削
抵抗による工作物(以下ワークという)のたわみによる
加工誤差を除去するため、研削加工時のたわみ量Δx0
事前に確認し座標系を補正する必要がある。このため、
仕上がり径X0より微少量(5/100mm程度)オーバサイズ
で研削を行う。これはたわみ量Δx0の設定間違いによ
り、ワークを加工し過ぎて、無駄ワークを作り出すこと
を防止するためである。
このオーバサイズ量の指定方式としては、本来座標系
の補正手段である 砥石台の前進位置データを補正量分だけ増減して研
削する方式(この場合、座標系全体を補正するためのデ
ータと、たわみ量を補正するためのデータをそれぞれ分
割して持つ) 砥石台座標の原点位置を、補正量分シフトして研削
する方式があり、この2種類の方式のいずれかを用いて
いた。
「発明が解決しようとする課題」 しかしながら、上記の方式では、オーバサイズ研削
時に既に座標系の補正がなされ、座標系全体の補正値が
入力されている場合には、CRT上の現在位置表示からワ
ーク外径実測値を引いた値が前記たわみ量Δx0とはなら
ない。さらに、CRT上の現在位置表示とワーク外径とが
一致しないため、作業者が手動パルス発生器のハンドル
操作により仕上げ研削を行う場合には、補正値を考慮し
ながらハンドル操作を行う必要がある。
また、上記の方式では座標系をシフトしてしまうた
め、工作物の研削位置によるたわみ量の差を絶対量とし
て補正することができないという問題点がある。
本発明は上記した問題点に鑑みてなされたもので、CR
T上の現在位置表示とワーク外径寸法とを一致させるこ
と、及びワークのたわみ量の補正を簡単な操作により行
うことができる数値制御研削盤を提供することを目的と
するものである。
「課題を解決するための手段」 上記目的を達成するための具体的手段として、 主軸軸線回りに回転自在に支持されたワークと、前記
主軸軸線を横切る方向に移動可能に案内された砥石台
と、前記砥石台に軸承され前記主軸軸線と平行な円筒部
研削面を有した砥石車とを備え、前記円筒部研削面を前
記ワークの所定箇所に割り出した後に前記円筒部研削面
のワークに対する径方向位置を制御して前記ワークの研
削加工を行うとともに、前記ワークの径方向における前
記円筒部研削面の現在位置をCRT上に表示するようにし
た多段ワークを研削する数値制御研削盤において、前記
砥石車の円筒部研削面が前記ワークの任意の箇所に接触
している状態におけるCRT上の現在位置表示値とこの時
のワーク外径実測値との差を全段補正値としてワーク座
標系の径方向の現在位置表示値を補正することによりCR
T上の現在位置表示値とワーク外径実測値とを一致させ
る全段補正手段と、前記全段補正手段によりワーク座標
系を補正した後、前記ワークの各段における前記円筒部
研削面の径方向の加工位置データに任意のオーバサイズ
補正値を付加するオーバサイズ補正手段と、前記ワーク
の各段において前記オーバサイズ補正手段により補正さ
れた径方向位置までオーバサイズ研削を行った後のCRT
上の現在位置表示値とワーク外径実測値との差を各段の
たわみ量として入力し、各段における前記円筒部研削面
の径方向の加工位置データをそれぞれ補正する各段補正
手段とを備えたことを特徴とする数値制御研削盤が提供
される。
「作用」 上記数値制御研削盤の作用は以下の通りである。
全段補正手段により全段補正値を入力して記憶手段に
記憶させ、ワーク座標系における砥石車の円筒部研削面
の径方向位置を設定変更する。これにより、熱変位等に
よるワークの径方向位置のずれを補正し、ワーク座標系
におけるCRT上の現在位置表示値とワーク外径実測値と
を一致させる。そして、ワーク座標系を設定変更した後
の初品研削の際、研削抵抗によるワークの各段毎のたわ
み量を求めるため、砥石車の円筒部研削面の各段におけ
る径方向位置データを任意のオーバサイズ補正値で補正
する。
そして、各段毎のオーバサイズ研削後のワーク外径実
測値からCRT上に表示される砥石車の円筒部研削面の径
方向位置データとオーバサイズ補正値とを引いた値を求
め、この値を各段のたわみ量の補正値として各段補正手
段により各段における砥石車の円筒部研削面の径方向位
置データをそれぞれ補正する。この各段補正手段により
補正された径方向位置データによりオーバサイズ研削を
行った後のワーク外径実測値が、前記円筒部研削面の径
方向位置データにオーバサイズ補正値を加えた値と等し
くなったとき、前記各段補正手段が補正した各補正値を
ワークの各段におけるたわみ量として求めることができ
る。
「実施例」 本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
第1図において、10は数値制御研削盤のベッドを示
し、このベッド10上には主軸台11と心押台12を設置した
工作物テーブル13が載置されている。主軸台11と心押台
12との間には工作物が支持され。図略の主軸駆動モータ
に連結された主軸15の回転によって回転駆動されるよう
になっている。主軸台11は工作物テーブル13に対して相
対的にスライド可能に構成されている。尚、14は工作物
テーブル13が原位置に復帰したことを検出するZ軸原点
検出器である。一方、前記ベッド10の後方には、砥石台
17が主軸軸線Osと直交するX軸方向に進退可能に装架さ
れ、この砥石台17はサーボモータ18に連結された図略の
送りねじを介して送り制御されるようになっている。そ
して、砥石台17には、主軸軸線Osと平行な円筒部研削面
Gaと、この円筒部研削面Gaと直交する肩部研削面Gbとを
有するアンギュラ形の砥石車Gが主軸軸線Osに対して斜
めに軸承された砥石軸19を介して回転可能に軸承され、
図略の砥石駆動モータにて回転駆動されるようになって
いる。砥石車Gの先端を示す研削先端点Gpは、X軸の軸
線に対して角度θで斜交する面内に位置している。ま
た、θは砥石軸19と研削面Gaとの成す角で定義される砥
石角でもある。砥石軸19のもう一方の軸端19bには、ス
トレート形の砥石車23が軸承されるようになっている。
そして、砥石台17は軸24を中心として回転できるように
構成され、アンギュラ形の砥石車とストレート形の砥石
車とが交換可能になっている。ストレート形の砥石車23
が装着されたときは、傾斜角θを砥石車Gの円筒部研削
面Gaが主軸軸線Osと平行になるように設定する。尚、前
記ベッド10の後端には、砥石台17が原位置まで後退した
ことを検出するX軸原点検出器21が設置されている。
また、前記心押台12の砥石台17側の測面には、ダイヤ
モンド等から成る修正工具DTがブラケット22を介して取
り付けられ、この修正工具DTを用いて砥石車Gの修正を
行うようになっている。
第2図は、上記構成の研削盤を制御する制御回路を示
し同図において、40は前記サーボモータ16,18をそれぞ
れ駆動する駆動回路41,42へパルスを分配して、ワーク
座標系の新規設定制御、工作物の加工制御、砥石車Gの
修正制御等を行う数値制御装置である。この数値制御装
置40は演算処理装置45、記憶装置Mと演算処理装置45に
接続されたインタフェース46,47によって構成されてい
る。そして、インタフェース46にはデータ書き込み装置
50と、加工の開始等を指令する指令スイッチRCS〜DRS
と、手動パルス発生器51と、原点検出器14,21とが接続
されている。インタフェース47の出力は駆動回路41,42
に接続されている。さらに、データ書き込み装置50には
研削先端点Gpの現在位置表示を行うCRT50aと、後述する
各種補正処理の選択スイッチ(図略)が設けられてい
る。前記記憶装置Mには、砥石車Gの円筒部研削面Ga、
肩部研削面GbのX,Z軸方向AX,AZを記憶する現在位置レジ
スタRX,RZが形成されている。AX,AZは砥石車Gの研削先
端点Gpの位置座標を表している。その他、記憶装置Mに
は、加工データエリアMDA,NCプログラムエリアNCPA及び
制御データエリアCDAが設けられており。加工データエ
リアMDAには工作物テーブル13の割り出し位置、加工面
の仕上げ寸法、粗研完了寸法等のデータがデータ書き込
み装置50により書き込まれている。NCプログラムエリア
NCPAには、工作物研削サイクル用のNCプログラムと砥石
修正用のNCプログラムとがデータ書き込み装置50を用い
て書き込まれている。制御データエリアCDAには、座標
系設定処理で使用される制御データが記憶されている。
ここで、第3図を参照して数値制御研削盤の座標系の
補正及びCRTの現在位置表示とワークの外径寸法との関
係について説明する。座標系には、機械座標系X−Zと
ワーク座標系X′−Z′の2種類がある。機械に固有な
点を原点とし、基本となる座標系を機械座標系といい、
ワーク上のある点をプログラム原点としてユーザが任意
に設定(位置記憶)できる座標系をワーク座標系とい
う。X軸についてのCRT上のワーク座標系による現在位
置表示WKxは、工作物の中心を前記プログラム原点とす
れば、工作物の中心と砥石円筒部が一致したとき現在位
置表示「0」と表示される。ワーク座標系現在位置WKx
と機械座標系現在位置MSxとの関係は、第3図に示すよ
うにWKx=MSx−OWKx−OMSxとなる。但しOWKxはワーク座
標系と機械座標系のオフセット、OMSxは現在位置表示の
補正値である。CRT上のワーク座標系による現在位置表
示WKxは、WKx=MSx−OWKx−OMSxとなる。
心押台の移動等によりセンタがずれた場合のワーク座
標系の補正は、以下のように行う。まず、ワークの外径
に砥石の円筒研削面を接触させ軽く研削し、この時の砥
石の前進端位置であるCRT上の現在位置表示WKxを記憶す
る。この状態では熱変位等の機械系を起因とするワーク
の半径方向のずれが補正されていないので、前記記憶し
たWKxとワーク外径実測値とは一致していない。そこ
で、全段補正値として両者の差を求め、これを前記OMSx
に加えて該OMSxを補正すると、ワーク座標系の径方向
(X方向)の補正(以下全段補正という)がなされ、ワ
ーク座標系が新たに設定される。これにより、CRT上の
現在位置表示値とワーク外径実測値とが一致する。
以下、初品研削時において、研削抵抗によるワークの
たわみ量を求めるための、全段補処理、各段補正処理及
びオーバサイズ補正処理について説明する。
第4図は、前記各種補正処理の概略を示したフローチ
ャートである。研削加工されるワークは、第5図に示す
ようにZ軸方向で仕上げ径をC01,C02,C03としたものと
する。
ステップ100でワーク座標系の変更であれば、ステッ
プ101で全段補正値OMSxを入力して、全段補正処理を行
う。これにより、ワーク座標系が設定変更され、熱変位
等による機械系を起因とするX方向のずれが補正され
る。
尚、全段補正値はワーク座標系の設定変更(位置記
憶)以外では、設定不可能である。
続いてステップ102の判断処理により、試し研削の場
合のみステップ103で、オーバサイズ補正値を入力して
オーバサイズ補正処理を行う。オーバサイズ補正処理
は、研削抵抗によるワークの径方向のたわみ量を正確に
求めるために行うものである。前記したように全段補正
によりCRT上の現在位置表示とワーク外径寸法を一致さ
せた後、ワークの仕上げ径寸法C01,C02及びC03に対して
の一律のオーバサイズ補正値A00を入力する。オーバサ
イズ補正量A00を入力して研削加工しても研削位置によ
りたわみ量が異なり、加工後のワークの外径寸法C01,C0
2及びC03の増加分は、オーバサイズ補正量A00とは異な
る。この異なる量をたわみ量D01,D02及びD03として定義
し、ステップ104で、ワークの仕上げ径C01,C02及びC03
に対する補正値として入力する(各段補正)。この場
合、第6図に示すように例えばワークの仕上げ径C01の
部分について、加工位置データをC01+A00+D01として
加工を行った結果、オーバサイズ補正量A00分仕上げ径C
01より大きく加工されていれば、たわみ量として前記補
正値D01が求まる。その他の仕上げ径C02,C03の部分につ
いても同様である。以上により、ワークの各仕上げ径の
部分のたわみ量が求まるから、オーバサイズ補正量A00
=0として加工径を再入力して本加工することにより、
所定の加工径で加工できることになる。
第7図は、上記補正処理に基づく研削サイクルを示し
たフローチャートである。まず、ステップ200〜201で、
テーブル割り出しを行い砥石台に早送り前進を掛ける。
ステップ202では、前記加工位置データC※※+A00+D
※※まで研削送りする。加工位置データは、仕上げ径C0
1の部分ではC01+A00+D01である。研削後はステップ20
3で、砥石台を早送り後退させる。
以上の研削サイクルを繰り返して、仕上げ径C02,C03
の部分の研削を行う。
上記実施例のオーバサイズ補正量を、アンダサイズ補
正量とすることも可能である。
「発明の効果」 本発明は上記構成を有し、座標系のX方向の補正を行
うため目的別に全段補正値、オーバ(アンダ)サイズ補
正値及び各段補正値を入力し、それぞれ独立した補正値
として処理できるようにしたから、CRT上の現在位置表
示値とワーク外径寸法を一致させハンドル操作による手
動研削を作業者が補正値を考慮することなく行うことが
できる。また、初品研削時の研削抵抗によるワークのた
わみ量を簡単な操作で容易に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
添付図面第1図は機械的部分を一具体例として示した本
発明の研削盤をしめす概略の全体構成図、第2図は実施
例装置の制御回路のブロツク図、第3図は機械座標系と
ワーク座標系の関係を示した説明図、第4図は各補正処
理を示すフローチャート、第5図はワークの仕上げ径を
示した平面図、第6図は仕上げ径と各補正値及び加工位
置データとを表にした図、第7図は研削サイクルを示す
フローチャートである。 13……工作物テーブル、17……砥石台、16,18……サー
ボモータ、40……数値制御装置、45……演算処理装置、
50……データ書き込み装置、G……砥石車、Ga……円筒
部研削面、Gp……研削先端点。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B24B 51/00 B24B 49/03 - 49/05 B23Q 15/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主軸軸線回りに回転自在に支持されたワー
    クと、前記主軸軸線を横切る方向に移動可能に案内され
    た砥石台と、前記砥石台に軸承され前記主軸軸線と平行
    な円筒部研削面を有した砥石車とを備え、前記円筒部研
    削面を前記ワークの所定箇所に割り出した後に前記円筒
    部研削面のワークに対する径方向位置を制御して前記ワ
    ークの研削加工を行うとともに、前記ワークの径方向に
    おける前記円筒部研削面の現在位置をCRT上に表示する
    ようにした多段ワークを研削する数値制御研削盤におい
    て、 前記砥石車の円筒部研削面が前記ワークの任意の箇所に
    接触している状態におけるCRT上の現在位置表示値とこ
    の時のワーク外径実測値との差を全段補正値としてワー
    ク座標系の径方向の現在位置表示値を補正することによ
    りCRT上の現在位置表示値とワーク外径実測値とを一致
    させる全段補正手段と、 前記全段補正手段によりワーク座標系を補正した後、前
    記ワークの各段における前記円筒部研削面の径方向の加
    工位置データに任意のオーバサイズ補正値を付加するオ
    ーバサイズ補正手段と、 前記ワークの各段において前記オーバサイズ補正手段に
    より補正された径方向位置までオーバサイズ研削を行っ
    た後のCRT上の現在位置表示値とワーク外径実測値との
    差を各段のたわみ量として入力し、各段における前記円
    筒部研削面の径方向の加工位置データをそれぞれ補正す
    る各段補正手段とを備えたことを特徴とする数値制御研
    削盤。
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