JP2939039B2 - タンディッシュ等に内張りされる施工耐火物の加熱乾燥方法及び装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、取鍋、転炉、タンディ
ッシュ等（本明細書ではこれらを単にタンディッシュ等
という）に内張される施工耐火物の加熱乾燥方法及び装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】タンディッシュ等では、耐火物の溶損に
より定期的に或いは必要に応じて随時、耐火物の張り替
えが行われ、施工を終えたのちには施工耐火物を乾燥さ
せるため、図１に示すようにカバー１を被せた状態でバ
ーナ２をカバー１に設けた孔３ごとに配置し、そのフレ
ーム４を孔３を通して直接施工耐火物５に当てゝ乾燥し
ていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述する従来の加熱方
法では、バーナのフレームの当たる箇所は急加熱されて
温度が急速に上昇する反面、フレームの当たらない箇所
の温度上昇は低く、フレームの当たる箇所と当たらない
箇所では温度差を生じるとともに熱膨張差も生じる。そ
のために不定形耐火物組織が不均一なものとなったり、
表面亀裂、内部亀裂或いは層間亀裂など様々な亀裂が発
生し、耐火物寿命低下の大きな要因となっていた。

【０００４】また、バーナのフレームの当たる箇所の温
度上昇が速過ぎると、不定形耐火物中の水分がスムース
に抜けきれないで水蒸気爆発を起こしたり、施工耐火物
に亀裂が発生する。そのために再施工しなければならな
くなって手間がかゝるほか、耐火物が飛び散るため危険
でもあった。本発明は、局部加熱によって生ずる上記の
問題を解消することを目的としてなされたものである。

【０００５】

【課題の解決手段及び作用】本発明はそのため、タンデ
ィッシュ等内に耐熱性を有し、側面に一ないし複数の孔
を形成した有底の筒体を設置し、バーナのフレームを筒
体内に入れて加熱するようにしたものである。すなわち
本発明は、タンディッシュ等に内張りされる施工耐火物
をバーナにより加熱乾燥する方法において、バーナのフ
レームを耐熱性を有し、側面に一ないし複数の孔を形成
した有底の筒体内に入れて施工耐火物の加熱乾燥を行う
ようにしたものである。

【０００６】本方法を実施するための加熱乾燥装置は、
タンディッシュ等内に設置されて施工耐火物を加熱乾燥
するためのバーナのフレームが入れられ、側面に一ない
し複数の孔を形成した耐熱性の有底の筒体より構成され
る。本発明によれば、バーナで加熱された筒体内の熱気
が孔を通して放散し、筒体からの輻射熱とともに対流に
よりタンディッシュ等内が均一に加熱され、バーナのフ
レームが施工耐火物に直接当たることがない。

【０００７】本発明で用いられる筒体は、管状であって
もよいし、末広がり管状であってもよい。またその断面
形状も通常は円形とされるが、角形、楕円形その他任意
形状であってもよい。筒体に形成される孔は、複数であ
る場合、各孔は均一な大きさの孔であってもよいが、好
ましくは上方に向かって大きさが次第に小さくなるよう
な孔ないしピッチが次第に小さくなるような孔として形
成される。底部に向かって放熱量が多くなるようにする
ことにより、タンディッシュ内の温度分布が均一化され
るようになるからである。

【０００８】筒体にはまた、熱気の放散を促進するため
に内部にエジェクターパイプを引入れ、エジェクターパ
イプから吹出すガスにより筒体内の熱気を孔を通して送
り出すようにするのが望ましい。

【０００９】

【実施例】図２はタンディッシュ１１の施工耐火物であ
る不定形材の母材１２とパーマ材１３を加熱乾燥する方
法について示すもので、タンディッシュカバー１４のバ
ーナ孔１５に対応する箇所にそれぞれ耐熱性を有する有
底の筒管１６を設置したのち、タンディッシュカバー１
４を被せ、ついで各バーナ孔毎に配置したバーナ１７を
点火してバーナフレーム１８を筒管１６内に入れ、筒管
１６を介して施工耐火物を加熱乾燥するようにしたもの
である。

【００１０】筒管１６は、図３に示すように下部側面に
タンディッシュ１１の長手方向を向く角孔１９を左右対
称位置に形成するとともにＴ形のエジェクターパイプ２
１が角孔１９に向けられて底部より突設し、タンディッ
シュ外部よりエアーがガス管２２を通ってエジェクター
パイプ２１に供給され、該パイプより左右に吹出してバ
ーナフレーム１８で熱せられた筒管内の熱気を角孔１９
を通して送り出すようにしている。

【００１１】本方法によれば、筒管１６から吹出す熱風
と筒管からの輻射熱によりタンディッシュ内は高温の均
一温度の熱気で充満されるようになり、そのため母材１
２やパーマ材１３は、部位による温度差を生ずることな
く均一な加熱乾燥が行われる。図４は、本方法で加熱さ
れたタンディッシュ内の１ストランド側と２ストランド
側の雰囲気温度を熱電対を用いて計測したものである。
因みに図５は、図１に示す従来法で加熱した場合の同箇
所における雰囲気温度を示す。

【００１２】図４及び図５を比較参照すると明らかであ
るように、本方法による方が１ストランド側と２ストラ
ンド側の温度差が少なく、設定昇熱曲線に近似した加熱
が行われるようになる。図６は施工耐火物を本方法によ
って加熱乾燥した場合と、従来法により加熱乾燥した場
合のタンディッシュの耐火物の寿命について示すもの
で、従来法による場合、最小１９６チャージ（ｃｈ）、
最大３００ｃｈ、平均２４２ｃｈであったものが、本方
法による場合、最小２６３ｃｈ、最大３６５ｃｈ、平均
２９５ｃｈに向上した。

【００１３】

【発明の効果】本発明は以上のように構成され、次のよ
うな効果を奏する。請求項１記載の方法及び請求項２記
載の装置によれば、バーナのフレームが直接施工耐火物
に当たるようなことがないうえ、バーナのフレームで加
熱された筒体内の熱気が筒体側面に形成される孔を通し
て放散されるようになり、筒体からの輻射熱とでタンデ
ィッシュ等内が高温の均一温度の熱気で充満されるよう
になるため、施工耐火物を局部加熱することなく均一に
加熱乾燥することができ、したがって部位による熱膨張
差を生じないため、亀裂のない均一な組織の耐火物が得
られ、耐火物の寿命が向上する。

【００１４】請求項３記載の装置のように孔を形成すれ
ば、タンディッシュ等内の温度分布が均一化されるよう
になる。請求項４記載の装置のようなエジェクターパイ
プを設ければ、筒体内の熱気の放散が促進され、タンデ
ィッシュ等内の温度をより均一かつ円滑に上昇させるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 従来法による施工耐火物の加熱乾燥方法を示
す図。

【図２】 本発明による施工耐火物の加熱乾燥方法を示
す図。

【図３】 筒管の拡大断面図。

【図４】 タンディッシュ内の加熱乾燥時における１ス
トランド側と２ストランド側の雰囲気温度を示す図。

【図５】 従来法による場合の同筒所における雰囲気温
度を示す図。

【図６】 本発明と従来法の加熱乾燥方法によって得ら
れたタンディッシュの寿命を示すグラフ。

【符号の説明】

１１・・・タンディッシュ １２・・・母材 １３・・・パーマ材 １４・・・タン ディッシュカバー １５・・・バーナ孔 １６・・・筒管 １７・・・バーナ １８・・・バー ナフレーム １９・・・角孔 ２１・・・エジ ェクターパイプ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B22D 41/02 B22D 11/10 310

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タンディッシュ等に内張りされる施工耐
   火物をバーナにより加熱乾燥する方法において、バーナ
   のフレームを耐熱性を有し、側面に一ないし複数の孔を
   形成した有底の筒体内に入れて施工耐火物の加熱乾燥を
   行うようにしたことを特徴とする方法。
2. 【請求項２】 側面に１ないし複数の孔を有してタンデ
   ィッシュ等内に設置され、施工耐火物を加熱乾燥するた
   めのバーナのフレームが入る耐熱性の有底の筒体よりな
   ることを特徴とするタンディッシュ等に内張りされる施
   工耐火物の加熱乾燥装置。
3. 【請求項３】 孔は上方に向かって大きさが次第に小さ
   くなる孔若しくはピッチが次第に小さくなる孔である請
   求項２記載の加熱乾燥装置。
4. 【請求項４】 筒体内にはガスを吹出すエジェクターパ
   イプが引入れられる請求項２又は３のいづれかの請求項
   に記載の加熱乾燥装置。