JP2938603B2

JP2938603B2 - バーナータイル

Info

Publication number: JP2938603B2
Application number: JP8160891A
Authority: JP
Inventors: 聡谷口; 寛治山田
Original assignee: ENU JII KEI KIRUN TETSUKU KK; NIPPON GAISHI KK
Current assignee: ENU JII KEI KIRUN TETSUKU KK; NIPPON GAISHI KK
Priority date: 1991-03-20
Filing date: 1991-03-20
Publication date: 1999-08-23
Anticipated expiration: 2014-08-23
Also published as: JPH04292706A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は例えばトンネル窯の側壁
部に設けられバーナー本体と共にバーナーを構成するバ
ーナータイルに関する。

【０００２】

【従来の技術】トンネル窯などの窯炉に設けられるバー
ナーは、例えば図６に示すように、全体として円筒状の
耐火物からなり内部を燃焼室としたバーナータイル１
と、このバーナータイル１の基端部に取付けられガス，
オイルなどの燃料を一次空気と混合して噴霧するバーナ
ー本体２とから構成される。前記バーナータイル１は、
バーナー本体２の運転に伴い生成された混合気をさらに
二次空気と混合しこれを燃焼させ、燃焼ガス（火炎）を
先端開口部から炉内に向けて噴出するようになってお
り、その内径を先端側ほど径小とすることにより、燃焼
ガスの所定の噴出速度を得るようになっている。

【０００３】従来より、この種のバーナータイル１とし
ては、例えば再結晶ＳｉＣ焼成品からなる円筒状の内筒
部３と、その周囲に設けられるキャスタブル耐火物製の
外筒部４とから構成されたものが供されている。この場
合、内筒部３を耐スポーリング性の良好な焼成品として
いることにより、キャスタブル耐火物から構成される場
合に比べて、熱応力によるクラックや割れの発生を極力
抑制し、長寿命化を図るようにしている。また、もし内
筒部３に割れやクラックが発生しても、全体を二層構造
としていることにより、そのクラックが外周部位まで伸
展することが防止されるのである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のバーナータイル１にあっては、内筒部３を焼成品か
ら構成しているため、バーナータイル１を製造するにあ
たり、キャスタブル耐火物による流し込み成形を行う以
前に、まず内筒部３に対応した焼成品を製造する工程が
必要となるため、製造に手間がかかり、製造コストや納
期面で不利となる問題点があった。

【０００５】製造性を良好とするためには、内筒部３を
もキャスタブル耐火物により構成することが考えられる
が、それでは、熱的な強度に劣ることとなり、早期に割
れなどが発生して寿命が短くなるため、実際の使用に耐
え得るものではなくなってしまう。

【０００６】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、熱的強度に優れ、しかも製造性を向上
させることができるバーナータイルを提供するにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のバーナータイル
は、内筒部及び外筒部を共にキャスタブル耐火物から構
成すると共に、内筒部の先端部分にスリットを形成した
ところに特徴を有するものである。

【０００８】また、外筒部の外形を角筒状に形成すると
共に、内筒部に形成されるスリットを外筒部の対角線方
向を向くようにすれば効果的である。

【０００９】

【作用】上記手段によれば、内筒部にスリットを形成す
ることにより、そのスリット部分において内筒部の熱膨
張，熱収縮を吸収させることができる。従って、内筒部
の一部に熱応力が集中することが抑制され、割れやクラ
ックの発生を極力防止することができる。

【００１０】この場合、スリットは、内筒部のうち最も
高温となる先端部に形成すれば十分であり、他方、内筒
部の強度を確保しまた火漏れを防止する観点からは、ス
リットの形成は先端部のみに止めておくことが望ましい
のである。

【００１１】そして、上記のように形状により熱的強度
を高めることができるので、内筒部の材質面での制約が
緩み、内筒部及び外筒部を共にキャスタブル耐火物から
構成することが可能となる。これにて、焼成品を使用す
る場合に比べ、製造性を大幅に向上させることができ
る。

【００１２】また、外筒部の外形を角筒状に形成すれ
ば、円筒形の場合に比較して、窯炉への据付け性が向上
する。この場合、外筒部のうち肉厚の薄い部位にクラッ
クが発生する虞があるが、内筒部のスリットを外筒部の
対角線方向を向くように形成すれば、そのスリットとク
ラックとがつながることがなくなり、火漏れを極力防止
することができる。

【００１３】

【実施例】以下本発明を例えばセラミック製品焼成用の
トンネル窯に設けられるバーナーに適用した一実施例に
ついて、図１乃至図３を参照して説明する。尚、本実施
例は請求項２に対応するものである。

【００１４】まず、図３はバーナー１１がトンネル窯の
側壁部１２に取付けられた状態を概略的に示している。
ここで、バーナー１１は、バーナー本体１３と、後述す
るような本実施例に係るバーナータイル１４とから構成
されている。詳しく図示はしないが、バーナー本体１３
は、ガス，オイルなどの燃料を一次空気と混合してノズ
ル１３ａから噴霧するように構成され、バーナータイル
１４の基端部に例えばボルト締めにより取付けられてい
る。

【００１５】前記トンネル窯の側壁部１２は、例えばト
ンネル窯の外郭をなす鉄皮１５の内側に多数個のれんが
を配して構成され、そのうち所定の位置に、炉内側（図
３で右側）に凹部１６が形成され、炉外側にその凹部１
６に連続するバーナー取付部１７が形成されている。本
実施例では、バーナー取付部１７は、トンネル窯の構築
時に矩形状に空間（穴）を確保しておくことにより形成
され、前記バーナー１１は、バーナータイル１４をその
バーナー取付部１７に嵌め込んだ状態で据付けられてい
る。

【００１６】さて、本実施例に係るバーナータイル１４
について、図１及び図２も参照して詳述する。バーナー
タイル１４は、この場合全体として外形が角筒形をなす
筒状をなし、内部を燃焼室とした略円筒状の内筒部１８
と、この内筒部１８の外側に配置された外筒部１９との
二層構造を有して構成されている。そして、バーナータ
イル１４の基端部には、金属製のホルダ２０が被せられ
た如き形態に設けられている。

【００１７】前記内筒部１８は、耐スポーリング性に優
れた例えばアルミナ系のキャスタブル耐火物から略円筒
形状に形成されている。そして、その内径が、基端部側
のバーナー本体１３のノズル１３ａの先端が配置される
部位にて径大とされ、先端部側ほど次第に径小になるよ
うに形成されている。一方、外筒部１９は、強度に優れ
たこれもアルミナ系のキャスタブル耐火物から構成さ
れ、その外径が角筒状に形成されている。また、本実施
例では、内筒部１８と外筒部１９との間に微小な間隙を
形成するようにしている。

【００１８】これら内筒部１８及び外筒部１９の基端部
分には、前記ホルダ２０の内面に固着された複数個のＶ
字形のフックアンカー２１が埋め込まれた形態とされ、
これにて、内筒部１８及び外筒部１９はホルダ２０によ
り保持されるようになっている。また、ホルダ２０には
フランジ部２０ａが一体に設けられ、このフランジ部２
０ａ部分にて前記トンネル窯の鉄皮１５にボルト締めさ
れることにより、バーナータイル１４が前記バーナー取
付部１７部分に固定されるようになっている。さらに、
このホルダ２０には前記バーナー本体１３との接続のた
めの複数本のボルト２２が設けられている。

【００１９】そして、前記内筒部１８の先端部にはこの
場合４本のスリット２３が形成されている。このスリッ
ト２３は、図２に示すように、軸方向には内筒部１８の
先端面から基端側に延び、図１に示すように、径方向に
は外筒部１９の対角線方向を向いて内筒部１８を肉厚方
向に横切るように延びて形成されている。

【００２０】この場合、図２に示すように、スリット２
３の軸方向長さ寸法Ｂは、内筒部１８の軸方向の全体長
さＡの３分の１以下であることが望ましい。また、スリ
ット２３の幅寸法は、１〜３mmとすることが望ましい。
本実施例では、内筒部１８の軸方向の全体長さＡが４７
０mmであるのに対し、スリット２３の深さ寸法Ｂが１５
０mmとされており、また、スリット２３の幅寸法は約２
mmとされている。

【００２１】ここで、このバーナータイル１４の製造方
法について述べる。詳しく図示はしないが、まず、ホル
ダ２０をフックアンカー２１側を上向きにして配置し、
その上面に、内筒部１８の外形形状に対応した円筒状の
第１の成形型を配置する。そして、その第１の成形型内
の中央部に、例えば発泡樹脂（発泡スチロール）等によ
り内筒部１８の内径（燃焼室）形状に形成された中子を
配置する。さらに、スリット２３を対応する部位に、プ
ラスチックあるいは紙製のスリット形成用薄板を配置す
る。この状態で、第１の成形型と中子との間の空間にキ
ャスタブル耐火物を流し込み、乾燥・硬化させる。硬化
後に、第１の成形型を取外し、これにて、ホルダ２０上
に内筒部１８が形成された状態となる。

【００２２】次に、その内筒部１８の外周に例えば紙製
のシートを所定厚さだけ巻き付け、この状態で、外筒部
１９の外形形状に対応した第２の成形型をホルダ２０上
に配置する。そして、シートが巻付けられた内筒部１８
と第２の成形型との間の空間にキャスタブル耐火物を流
し込み、乾燥・硬化させ、硬化後に第２の成形型を取外
す。これにて、バーナータイル１４が構成されるのであ
る。

【００２３】なお、上記した乾燥の工程では、自然乾燥
の後、例えば３００℃での加熱乾燥が行われる。このと
き、プラスチックあるいは紙製の中子，スリット形成用
薄板及びシートは、燃焼または熱分解して消失するよう
になり、以て、燃焼室，スリット２３及び内筒部１８と
外筒部１９との間の間隙が形成されるのである。また、
もしこの乾燥の工程で中子，スリット形成用薄板あるい
はシートの一部が残ったままとなったとしても、バーナ
ー１１の１回目の使用時に燃焼して完全に消失される。

【００２４】このように構成されたバーナータイル１４
は、上述のように、基端部にバーナー本体１３がボルト
２２を介して接続された状態で、トンネル窯の側壁部１
２に据付けられる。バーナー本体１３が運転されると、
前記バーナー本体１３のノズル１３ａから噴出された混
合気が、バーナータイル１４の燃焼室にてさらに二次空
気と混合して燃焼され、その燃焼ガス（火炎）は、燃焼
室の先端側が絞られていることにより所要の速度を得、
バーナータイル１４の先端開口部から炉内に向けて噴出
されるのである。

【００２５】上記構成のバーナータイル１４によれば、
バーナー本体１３の運転に伴い燃焼ガスの高熱によって
内筒部１８が熱膨張を起こすようになっても、内筒部１
８にスリット２３を形成したことにより、そのスリット
２３部分において内筒部１８の熱膨張，熱収縮を吸収さ
せることができる。従って、内筒部１８の一部に熱応力
が集中することが抑制され、内筒部１８の割れやクラッ
クの発生を極力防止することができ、ひいては長寿命化
を図ることができる。

【００２６】この場合、スリット２３は、内筒部１８の
うち最も高温となる先端部に形成されているから、割れ
やクラックの発生を十分に防止することができ、また、
基端側では内筒部１８は一体化されているから、十分な
機械的強度を確保することができ、また火漏れの発生を
極力防止することができるのである。

【００２７】また、特に本実施例では、内筒部１８と外
筒部１９との間にも微小間隙を形成するようにしたの
で、この間隙によっても、内筒部１８の熱膨張・熱収縮
が吸収されるようになり、熱的強度はより一層良好なも
のとなる。

【００２８】そして、上記のように形状により熱的強度
を高めることができるので、内筒部１８の材質面での制
約が緩み、内筒部１８及び外筒部１９を共にキャスタブ
ル耐火物から構成することが可能となった。これにて、
バーナータイル１４を製造するにあたっては、キャスタ
ブル耐火物のいわゆる二度打ちにて済ませることがで
き、従来のような内筒部１３に焼成品を使用する場合に
比べ、製造性を大幅に向上させることができ、製造コス
トや納期面での著しいメリットが得られるようになった
のである。

【００２９】さらに、本実施例では、外筒部１９の外形
を角筒状に形成したので、バーナータイルの外形を円筒
形とした場合に比較して、バーナー取付部１７への据付
け性が向上する。而して、外筒部１９の外形を角筒状と
すると、図１に示すように、肉厚の薄い部位にクラック
ｋが発生しやすくなる事情がある。この場合、スリット
２３がそのクラックｋの近傍に位置されていると、それ
らがつながって火漏れを起こす虞があるが、本実施例で
は、スリット２３は、外筒部１９の対角線方向を向くよ
うに形成しているので、そのような火漏れを防止するこ
とができるのである。

【００３０】このように本実施例のバーナータイル１４
によれば、熱的強度に優れ、しかも製造性を向上させる
ことができ、さらに窯炉への据付け性も良好となるとい
う優れた効果を得ることができるものである。

【００３１】図４及び図５は夫々異なる本発明の他の実
施例を示している。図４に示すバーナータイル３１で
は、内筒部３２の先端部に、スリット３３を２本形成す
るようにしている。ここでも、内筒部３２及び外筒部３
４は、共にキャスタブル耐火物から構成されている。ま
た、図５に示すバーナータイル３５では、外筒部３６の
形状をも円筒状に構成し、内筒部３７に縦横方向を向い
ているスリット３８を形成している。ここでも、やは
り、内筒部３７及び外筒部３６を共にキャスタブル耐火
物から構成するようにしている。

【００３２】このような図４及び図５に示す構成でも、
スリット３３及び３８により良好な熱的強度が得られ、
しかも製造性を向上させるという所期の目的を達成する
ことができるものである。

【００３３】その他、本発明は上記各実施例に限定され
るものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更し
て実施することが可能である。

【００３４】

【発明の効果】以上の説明にて明らかなように、本発明
の請求項１のバーナータイルによれば、内筒部及び外筒
部を共にキャスタブル耐火物から構成すると共に、内筒
部の先端部分にスリットを形成したので、熱的強度に優
れ、しかも製造性を向上させることができるという優れ
た効果を奏するものである。

【００３５】また、請求項２のバーナータイルによれ
ば、上記効果に加え、火漏れを防止しつつ窯炉への据付
け性を良好とすることができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すバーナータイルの正面
図

【図２】バーナータイルの縦断側面図

【図３】バーナーの据付状態を示す縦断側面図

【図４】本発明の他の実施例を示す図１相当図

【図５】本発明の異なる他の実施例を示す図１相当図

【図６】従来例を示すバーナーの縦断側面図

【符号の説明】

１１はバーナー、１３はバーナー本体、１４，３１，３
５はバーナータイル、１７はバーナー取付部、１８，３
２，３７は内筒部、１９，３４，３６は外筒部、２０は
ホルダ、２３，３３，３８はスリットを示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F23M 5/00

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】内部を燃焼室とした内筒部とこの内筒部
の外側に配置された外筒部との二層構造を有する全体と
して筒状をなし、基端部に取付けられたバーナー本体の
運転に伴い先端開口部から燃焼ガスを噴出するものであ
って、前記内筒部及び外筒部を共にキャスタブル耐火物
から構成すると共に、前記内筒部の先端部分にスリット
を形成したことを特徴とするバーナータイル。
【請求項２】外筒部の外形が角筒状に形成されている
と共に、内筒部に形成されるスリットは、前記外筒部の
対角線方向を向いていることを特徴とする請求項１記載
のバーナータイル。