JP2938066B1 - 芯材に木材を入れている金属ロッドとその製造方法 - Google Patents

芯材に木材を入れている金属ロッドとその製造方法

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Abstract

【要約】 【課題】 木材を金属筒や溝型金属にスムーズに圧入し
て、しかも、隙間ができるのを確実に阻止する。 【解決手段】 金属ロッドは、金属筒2の内部に木材1
を芯材として隙間なく挿入している。この金属ロッド
は、圧縮しない状態では金属筒2の内形よりも太い木材
1を、プレスして金属筒2の内形よりも細く圧縮して、
金属筒2に挿入している。さらに、金属筒2に挿入され
た木材1は、加熱され、あるいは、吸水して膨張してい
る。膨張する木材1は、金属筒2の内面に、押圧する状
態で密着して圧入されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、建物の
柱等の建築材に使用される金属ロッドとその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】現在、建物の構造材として、木材と鉄骨
が使用される。構造材を木材とする木造の建物は、鉄骨
の建物に比較すると音や振動が伝達され難い特長があ
る。また、鉄骨のように共鳴することもなく、振動を速
やかに減衰できる特長がある。これに対して、鉄骨の建
物は、木材に比較すると強靱であって地震等に強い性質
がある。また、木材建物に比較してシロアリ等の害が少
ない特長もある。しかしながら、鉄骨の建物は、振動や
共鳴が大きく、木材建物に比較すると快適性が低下する
欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】鉄骨と木材建物の以上
の欠点は、たとえば、鉄骨の内部に木材を芯材として圧
入して解消できる。この金属ロッドは、圧入する木材と
金属筒の両方で、強くなる。さらに、木材が振動を吸収
して、鉄骨のように共鳴しない。さらに、圧入する木材
が断熱性を改善して、表面の結露等を防止する特長があ
る。したがって、この構造の金属ロッドは、鉄骨の強度
と、木造の減衰特性を有し、理想的な建築材となる。
【0004】この構造の金属ロッドは、たとえば、角筒
である金属筒に、木材である角材を圧入して製造され
る。角材は、表面を削って、外形を金属筒の内形に等し
く加工する。角材と金属筒との間に隙間ができると、木
材が金属筒の振動を有効に吸収できなくなる。金属筒と
木材とが一体となって振動しなくなるからである。ま
た、木材と金属筒との隙間を空気が通過して、結露等の
原因となる。したがって、この構造の金属ロッドは、角
材を金属筒の内面に隙間なく密着させることが大切であ
る。角材を金属筒に密着するためには、角材の加工制度
を極めて高くする必要がある。このことは、角材の加工
コストを高くする。
【0005】さらに、角材と金属筒との隙間を少なくす
るために、角材の外形を正確に金属筒の内形に等しくす
ると、角材を金属筒にスムーズに圧入できなくなる。と
くに、角材が長くなると、金属筒への圧入はさらに難し
くなる。角材を金属筒にスムーズに挿入するためには、
角材の外形を、金属筒の内形よりも、たとえば、0.1
〜0.3mm小さくする必要がある。この寸法の角材
は、金属筒にスムーズに圧入できるが、圧入した状態
で、角材を金属筒の内面を押圧する状態で密着できなく
なる。
【0006】さらにまた、外形を金属筒の内形にほぼ等
しくした角材を、金属筒に無理に圧入しても、経時的に
角材と金属筒の隙間ができる。したがって、建物の構造
材に使用して何年も経過すると、角材と金属筒との間に
隙間ができるようになる。それは、角材が次第に痩せて
細くなるからである。
【0007】さらに、建物の構造材には、金属筒のみで
なくて、金属を溝型に成形した溝型金属も使用される。
この溝型金属は、溝部に木材を圧入して、金属筒と同じ
ように使用できる。しかしながら、この金属ロッドも、
金属筒に角材を圧入するものと同じ弊害がある。
【0008】本発明は、このような欠点を解決すること
を目的に開発されたものである。本発明の重要な目的
は、木材を金属筒や溝型金属にスムーズに圧入して、し
かも、隙間ができるのを確実に阻止できる金属ロッドと
その製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の金属
ロッドは、金属筒2の内部に木材1を芯材として隙間な
く挿入している。この金属ロッドは、圧縮しない状態で
は金属筒2の内形よりも太い木材1を、プレスして金属
筒2の内形よりも細く圧縮して、金属筒2に挿入してい
る。さらに、金属筒2に挿入された木材1は、加熱さ
れ、あるいは、吸水して膨張している。膨張する木材1
は、金属筒2の内面に、押圧する状態で密着している。
【0010】本発明の請求項2の製造方法は、金属筒2
の内部に、木材1を芯材として隙間なく挿入している金
属ロッドを製造する方法である。この製造方法は、圧縮
しない状態では金属筒2の内形よりも太い木材1を、プ
レスして金属筒2の内形よりも細く圧縮する工程と、圧
縮して金属筒2の内形よりも細く加工された木材1を金
属筒2に挿入する工程と、金属筒2に挿入された木材1
を加熱し、あるいは、この木材1に液体を吸水させて膨
張させる工程とからなる。圧縮した後に金属筒2に挿入
された木材1は、膨張して金属筒2の内面に押圧する状
態で密着している。
【0011】本発明の請求項3の金属ロッドは、金属を
溝型に成形している溝型金属3の溝部3Aに、木材1を
芯材として隙間なく嵌入している。木材1は、圧縮しな
い状態では、溝型金属3の溝幅よりも横幅の広いもの
で、プレスして溝幅よりも狭く圧縮して、溝部3Aに入
れられている。溝型金属3に入れられた木材1は、加熱
され、あるいは、吸水して膨張し、溝型金属3の溝部3
Aの両面を押圧する状態で密着している。
【0012】さらに、本発明の請求項4の製造方法は、
金属を溝型に成形している溝型金属3の溝部3Aに、木
材1を芯材として隙間なく嵌入している金属ロッドの製
造方法である。この方法は、圧縮しない状態では、溝型
金属3の溝幅よりも横幅の広い木材1を、プレスして溝
幅よりも狭く圧縮する工程と、溝幅よりも狭く圧縮され
た木材1を溝部3Aに入れる工程と、溝部3Aに入れた
木材1を、加熱し、あるいは、この木材1に液体を吸水
させて膨張させる工程とからなる。溝型金属3の溝部3
Aで膨張した木材1は、溝型金属3の溝部3Aの両面を
押圧する状態で密着している。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明
の技術思想を具体化するための芯材に木材1を入れてい
る金属ロッドとその製造方法を例示するものであって、
本発明は金属ロッドとその製造方法を下記のものに特定
しない。
【0014】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を
理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番
号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決す
るための手段の欄」に示される部材に付記している。た
だ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に
特定するものでは決してない。
【0015】本発明の金属ロッドとその製造方法は、金
属筒あるいは溝型金属の溝部に、圧縮された木材を芯材
として挿入し、この木材を膨張させて、金属筒あるいは
溝型金属の内面を押圧する状態で密着させることを特徴
としている。したがって、本発明は、金属筒と溝型金属
の材質や形状を特定しない。金属筒と溝型金属には、従
来から使用され、また、今後開発される全てのものを使
用できる。
【0016】図1に示す金属ロッドは、金属筒2の内部
に木材1を芯材として隙間なく挿入している。この金属
ロッドは、圧縮された木材1を芯材として挿入し、この
木材1を金属筒2内で膨張させて、金属筒2の内面に、
押圧する状態で密着させている。
【0017】金属筒2は、金属製の中空の筒体で、角柱
状に成形されている。ただ、金属筒は、中空の円柱状と
することもできる。金属筒2は、たとえば、鉄、アルミ
ニウム、ステンレス等の金属で製作される。
【0018】芯材として金属筒2に挿入する木材1は、
圧縮しない状態で金属筒2の内形よりも太い木材1を、
プレスして金属筒2の内形よりも細く圧縮している。木
材1は、金属筒2の内形に沿う外形に圧縮成形されて挿
入されている。木材1には、たとえば、スギ、ヒノキ、
マツ、カシ、ラワン、ヒバ、キリ、クスノキなどが使用
できる。さらに、これ等の木材の間伐材を使用して、間
伐材を有効利用することもできる。木材1は、好ましく
は、これ等の木材を、あらかじめ15%程度以下に乾燥
した後に、細く圧縮される。ただ、木材は、乾燥させる
ことなく圧縮することもできる。
【0019】金属筒2に挿入する木材1は、金属筒2の
内形よりも太いものを、3〜30%の割合で圧縮して細
く収縮させている。大きな圧縮率で細く収縮される木材
は、密度を大きくできるので、木材の強度を高めること
ができる。さらに、木材は、圧縮率を大きくすると、金
属筒に挿入して膨張させるときの復元力も大きいので、
金属筒の内面に隙間なく密着して、理想の状態で金属筒
内に充填できる特長がある。
【0020】木材1の圧縮率は、木の種類によって異な
る。たとえば、カシやクスノキ等のように、木目の密な
木材は、圧縮率を小さくし、逆に、スギやキリ等のよう
に木目の粗な木材は、圧縮率を大きくする。これは、圧
縮された木材の復元率に差があるからである。
【0021】さらに、木材1の圧縮率は、金属筒2の厚
さや材質、形状によっても異なる。たとえば、角柱状の
金属筒は、厚さが薄いと、膨張する木材に内側から押圧
されて、金属筒が変形するおそれがある。これに対し
て、円柱状の金属筒は、強度があるので、薄くしても変
形を防止できる。したがって、木材の圧縮率は、これ等
を考慮して最適値に設定する。たとえば、角柱状のアル
ミニウム製金属筒の場合は、アルミニウムの厚さが2m
mの場合、圧縮率を15%以下にする。鉄製の金属筒の
場合は、厚さが4.5mmの場合は、圧縮率を20%以
下にする。円柱状の金属筒の場合は、圧縮率をさらに大
きく30%以下にすることができる。
【0022】金属筒2に挿入する木材1は、たとえば、
金属筒2の内形よりも0.2〜1.0mm小さく圧縮成
形する。細く圧縮成形された木材は、金属筒にスムーズ
に挿入できる特長がある。太目に圧縮成形された木材
は、膨れた状態で確実に金属筒の内面に密着して連結で
きる特長がある。
【0023】木材1は、好ましくは、全周から圧縮して
細くする。木材1をプレスする装置の一例を図2に示
す。この図に示す装置は、木材1を軸方向に移送しなが
ら、外周を圧縮して細く成形している。この装置は、木
材1の進行方向に、所定の間隔で押圧ローラー4を配設
している。
【0024】押圧ローラー4は、図3に示すように、上
下に2個、左右に2個を、軸が平行になるように対向し
て配設している。図に示す押圧ローラー4は円柱状で、
木材1に接する部分を直線状として、圧縮される木材1
を、その断面形状が方形状となるように押圧している。
この構造の押圧ローラー4は、木材1を角柱状に圧縮成
形できる。4個の押圧ローラー4は、互いに対向する押
圧ローラー4が減速モーター(図示せず)で逆方向に回
転されて、図2に示すように、木材1を押圧して細く圧
縮しながら移送している。木材1の進行方向に所定の間
隔で配置される押圧ローラー4は、対向するローラー間
の距離が次第に狭くなるように配設している。この装置
は、移送される木材1を、複数の押圧ローラー4で徐々
に細く圧縮しながら所定の外形に成形している。ローラ
ー間の距離は、圧縮する木材1の圧縮率や成形後の外形
に応じて、最適値となるように種々の変更がなされる。
【0025】ただ、押圧ローラー4は、図4に示すよう
に、中央凹の形状とし、木材1に接する部分を円弧状と
して、圧縮される木材1の断面形状を円形に押圧するこ
ともできる。この構造の押圧ローラー4は、木材1を円
柱状に圧縮成形できる。この押圧ローラー4は、圧縮す
る木材1の圧縮率や成形後の外形に応じて、ローラー間
の距離と、木材1との接触面の曲率半径を変更する。
【0026】さらに、図示しないが、木材は、4方向か
ら中心に向かって4枚のプレートでプレスして細く圧縮
することもできる。4方向からから中心方向に圧縮され
る木材は、均一に収縮できる特長がある。ただ、木材
は、たとえば、上下をプレートで挟んで左右からプレス
して、全周を圧縮することもできる。この構造は、簡単
な装置でプレスできる特長がある。
【0027】さらに、木材は、圧縮して所定の割合で細
く収縮させた後に、所定の外形に成形することもでき
る。たとえば、木材を円柱状に加工する場合は、プレス
装置で8方向から圧縮して細くした後に、丸棒に削って
成形できる。このように、木材を圧縮した後に所定の形
状に成形する方法は、挿入する木材を、より正確な外形
に成形できる特長がある。
【0028】木材1は、好ましくは、加熱して圧縮す
る。木材1は、たとえば、180〜200℃まで加熱す
る。とくに、乾燥状態でこの温度まで加熱すると、木材
1の含水率を0%近くまで下げることができるので、木
材1を金属筒2内に挿入した状態で、木材1から発生す
る水分に起因するサビの発生を有効に阻止できる特長が
ある。さらに、木材1を加熱して圧縮する方法は、木材
1の内部の虫を死滅させることができると共に、木材1
を割れないように細く圧縮できる特長もある。
【0029】ただ、木材は、加熱しないで圧縮すること
もできる。加熱しないで圧縮と、圧縮工程で木材が割れ
るおそれがある。割れた木材は、曲げ応力が小さくなっ
てしまう欠点がある。しかしながら、本発明は、木材を
単独で構造材として使用するのではなく、金属筒に挿入
して芯材として使用している。したがって、割れた木材
であっても、金属筒内で膨張させることにより、膨れて
金属筒内に密着して充満されるので、金属筒を単独で使
用するよりも、その強度を強くすることができる。
【0030】さらに、本発明は、複数本の細い木材を組
み合わせて、圧縮して細く収縮させた後に、金属筒に挿
入することもできる。この方法は、複数本の木材の接触
面に隙間ができないように圧縮する。さらに、この方法
は、圧縮後の木材の外形を、金属筒の内形よりも0.2
mm〜5mm程度小さくし、金属筒に挿入しやすくす
る。このように、細い木材を集合して圧縮成形し、金属
筒に挿入する方法は、有効利用されずに廃棄されていた
間伐材等を有効利用して、しかも、金属筒を単独で使用
するよりも、その強度を強くできる特長がある。
【0031】金属筒2に挿入した木材1は、加熱し、あ
るいは、液体を吸水させて膨張させている。加熱して膨
張させる方法は、たとえば、木材1を挿入した金属筒2
をヒーター等で120℃に加熱して、金属筒2内の木材
1を膨張させる。膨張する木材1は、金属筒2の内面
に、押圧する状態で密着して金属筒2内に隙間なく充満
される。
【0032】吸水して膨張させる方法は、木材1を挿入
した金属筒2を水に浸して木材1に水を吸収させる。金
属筒2に挿入された木材1は、金属筒2の内形よりも小
さな外形に成形されているので、この隙間から中央部ま
で水分が浸入する。浸入した水分は、木材1の表面から
内部に浸透していく。さらに、好ましくは、木材1に、
防虫、防サビの薬剤を吸収させる。防虫、防サビの薬剤
を吸収した木材1は、シロアリ等の虫が発生したり、金
属筒2が錆びるのを有効に防止できる特長がある。この
ように、水分を吸収した木材1は、金属筒2内で膨張
し、金属筒2の内面を押圧する状態で密着して、金属筒
2内に隙間なく充満される。
【0033】以上の方法は、工場内で金属筒2に木材1
を挿入し、これを加熱し、あるいは吸水させて、木材1
を膨張させている。ただ、圧縮された木材1は、現場で
金属筒2に挿入し、加熱あるいは吸水によって膨張させ
ることもできる。現場で加熱するときは、たとえば、バ
ーナー等で加熱する。現場で吸水するときは、金属筒を
垂直に立てた状態で、上部から水や薬剤を注入する。現
場に搬送される木材は、好ましくは、圧縮した状態で、
ビニール等でパックして搬送する。それは、搬送中に木
材が空気中の水分を吸収して膨張するのを防止するため
である。
【0034】本発明の金属ロッドは、以下のようにして
製造される。 [金属筒に木材を挿入している金属ロッドの製造方法] 金属筒2の内形よりも太い木材1を、プレスして金
属筒2の内形よりも細く圧縮する。 金属筒2の内形よりも細く圧縮成形された木材1を
金属筒2に挿入する。 金属筒2に挿入された木材1を加熱し、あるいは、
この木材1に液体をを吸収させて膨張させる。 金属筒2内で膨張する木材1は、金属筒2の内面を
押圧する状態で、内面に隙間なく密着して金属筒2内に
充満される。
【0035】さらに、本発明の金属ロッドは、図5に示
す構造とすることもできる。この金属ロッドは、溝型金
属3の溝部3Aに、圧縮された木材1を嵌入し、この木
材1を溝内で膨張させて、溝型金属3の内面を押圧する
状態で密着させている。
【0036】溝型金属3は、金属柱の軸方向に沿って、
木材1を嵌入できる溝部3Aを設けたものである。溝型
金属3の溝部3Aは、対向する壁面を有し、嵌入されて
膨張する木材1を、これ等の面で挟着して保持してい
る。図に示す溝型金属3は、H字状に成形されたH鋼で
ある。ただ、溝型金属は、溝部を有する全ての形状、た
とえば、みぞ形や、図6に示すように、リップみぞ形等
に成形されたものとすることもできる。溝型金属3も、
鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属で製作される。
【0037】溝型金属3の溝部3Aに嵌入する木材1
は、圧縮しない状態で溝型金属3の溝幅よりも横幅の広
い木材1を、プレスして溝幅よりも狭く圧縮している。
この木材1は、図7に示すように、上下方向からプレス
して溝幅よりも狭く圧縮して溝部3Aに嵌入している。
ただ、木材は、全周からプレスして圧縮することもでき
る。木材1は、溝部3Aに嵌入できる形状、たとえば、
角柱状に成形して嵌入している。この構造の金属ロッド
は、溝部3Aの開口部から、木材1を簡単に嵌入できる
特長がある。
【0038】さらに、この金属ロッドは、図に示すよう
に、溝型金属3に嵌入される木材1を、両側から釘止
め、もしくはネジ止めして所定の位置に仮止めしてい
る。このようにして仮止めされる木材1は、溝型金属の
溝部3Aから外れにくく、木材1を正確な位置で膨張で
きる特長がある。さらに、溝型金属3に嵌入される木材
1は、図示しないが、角柱状に成形した後、コーナー部
を面取り加工して、溝部の奥深くまで挿入できる形状と
することもできる。
【0039】溝型金属3に嵌入した木材1は、加熱さ
れ、あるいは、液体を吸水させて膨張させている。膨張
する木材1は、溝型金属3の溝部3Aの内面を押圧する
状態で密着する。
【0040】溝型金属3に木材1を嵌入する構造の金属
ロッドは、嵌入する木材1の表面が露出しているので、
この部分から水や薬剤を散布して簡単に水分を吸収させ
ることができる特長がある。
【0041】図5に示す金属ロッドは以下のようにして
製造される [溝型金属の溝部に木材を嵌入している金属ロッドの製
造方法] 溝型金属3の溝部3Aの溝幅よりも横幅の広い木材
1を、プレスして溝幅よりも狭く圧縮する。 溝幅よりも狭く圧縮された木材1を溝部3Aに嵌入
する。嵌入された木材1は、釘止め、もしくは、ネジ止
めされて、溝型金属3に仮止めされる。 溝部3Aに嵌入された木材1を、加熱または吸水し
て膨張させる。 溝型金属3の溝部3A内で膨張した木材1は、溝型
金属3の溝部3Aの対向する内面を押圧する状態で、隙
間なく密着して固定される。
【0042】
【発明の効果】本発明の芯材に木材を入れている金属ロ
ッドとその製造方法は、木材を金属筒や溝型金属にスム
ーズに圧入して、しかも、隙間ができるのを確実に阻止
できる特長がある。それは、本発明の金属ロッドとその
製造方法が、圧縮しない状態では金属筒の内形よりも太
い木材を、プレスして金属筒の内形よりも細く圧縮して
金属筒に挿入し、あるいは、溝型金属の溝幅よりも横幅
の広い木材を、プレスして溝幅よりも狭く圧縮して溝型
金属の溝部に入れており、さらに、金属筒や溝型金属に
挿入した木材を、加熱または吸水して膨張させているか
らである。金属筒よりも細く圧縮された木材や、溝型金
属の溝幅よりも狭く圧縮された木材は、金属筒や溝型金
属にスムーズに挿入できるので、長い木材であっても極
めて簡単に挿入できる特長がある。さらに、本発明の金
属ロッドとその製造方法は、挿入された木材を金属筒の
内部や溝型金属の溝内で膨張させているので、木材が金
属筒や溝型金属の内面を押圧する状態で密着して、隙間
ができるのを確実に阻止できる特長がある。しかも、挿
入される木材は、圧縮されているので、経時的に痩せる
ことがなく、長期間にわたって隙間がない状態に保持で
きる特長も実現される。
【0043】さらに、本発明の金属ロッドとその製造方
法は、金属ロッドの強度を強くできる特長がある。それ
は、本発明の金属ロッドとその製造方法が、金属筒の内
部や溝型金属の溝内に芯材として挿入された木材で、金
属筒や溝型金属を補強できるからである。しかも、本発
明の金属ロッドとその製造方法は、金属筒の内部や溝型
金属の溝内に挿入される木材を圧縮しているので、木材
の強度も強くなっており、従来のように、圧縮されない
木材を挿入するのに比較して、金属ロッドの強度をより
強くできる特長がある。
【0044】さらに、本発明の金属ロッドとその製造方
法は、大きく振動したり、共鳴を起こすのを有効に防止
できる特長がある。それは、本発明の金属ロッドとその
製造方法が、挿入された木材を金属筒の内部や溝型金属
の溝内で膨張させて、金属筒や溝型金属の内面に隙間な
く密着させているからである。このように、金属筒や溝
型金属の内面に隙間なく密着する木材は、金属部分から
伝わる振動を吸収するので、従来のように大きく振動し
たり、共鳴することがなく、快適な生活が実現される。
【0045】さらに、本発明の金属ロッドとその製造方
法は、金属筒や溝型金属の内面に木材を隙間なく密着さ
せているので、金属ロッドの断熱性を改善できる特長が
ある。断熱効果を高くできる本発明の金属ロッドとその
製造方法は、快適な生活が実現できると共に、金属表面
の結露等を防止して、金属筒や溝型金属が錆びるのを有
効に防止できる特長もある。
【0046】さらに、本発明の請求項1の金属ロッドと
請求項2の製造方法は、細く圧縮した木材を金属筒の内
部に挿入し、この木材を膨張させて金属筒の内面を押圧
する状態で密着させているので、木材の材質に関わら
ず、いいかえると種々の木材を金属筒内に隙間なく充満
させて、上記の効果をもたらすことができる。すなわ
ち、この金属ロッドとその製造方法は、間伐材等の安価
な木材を有効利用して、内部に木材が隙間なく充満され
た金属ロッドを低コストに多量生産できる特長も備え
る。
【0047】さらに、請求項1の金属ロッドと請求項2
の製造方法は、金属筒の内部に隙間なく木材を挿入して
いるので、木材の外周を金属筒で保護して、シロアリ等
の発生を有効に防止できる特長がある。この金属ロッド
は、長期間にわたって安心して使用できる特長がある。
【0048】さらに、本発明の請求項3の金属ロッドと
請求項4の製造方法は、圧縮しない状態では溝型金属の
溝幅よりも横幅の広い木材を、プレスして溝幅よりも狭
く圧縮して溝部に挿入しているので、溝部の開口部か
ら、木材を簡単に嵌入できる特長がある。さらに、この
金属ロッドとその製造方法は、嵌入された木材の表面が
露出しているので、この部分に水分を散布して、極めて
簡単に水分を吸収させて、木材を膨張させることができ
る特長もある。
【0049】さらに、本発明の請求項3の金属ロッドと
請求項4の製造方法は、嵌入された木材の一部が露出し
ているので、露出する木材の表面を様々な方法で利用で
きる特長も備える。たとえば、建築現場においては、骨
組された金属ロッドの露出する木材の表面に、種々の部
材を、釘やネジ等で簡単に仮止めできる。また、内装作
業で種々のボードを固定する場合においても、通常の釘
やネジを使用して、ボードを貫通させて、表出する木材
に固定できる。とくに、石膏ボード等で内装をしたと
き、特殊なネジを使用することなく、通常の釘やネジを
使用して強固に固定できる。これらは、溝型金属の溝部
に嵌入された木材が、溝部の両面を押圧する状態で隙間
なく密着しており、しかも、この木材は経時的に痩せる
ことがないので、長期間にわたって強固に固定されるか
らである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の金属ロッドの斜視図
【図2】木材を圧縮する装置の一例を示す概略図
【図3】図2に示す装置の押圧ローラーが木材をプレス
する状態を示す断面図
【図4】木材をプレスする押圧ローラーの他の一例を示
す断面図
【図5】本発明の他の実施例の金属ロッドの斜視図
【図6】さらに本発明の他の実施例の金属ロッドの斜視
【図7】図5に示す金属ロッドの溝型金属に木材を圧縮
して嵌入する状態を示す断面図
【符号の説明】
1…木材 2…金属筒 3…溝型金属 3A…溝部 4…押圧ローラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04C 3/00 - 3/46 B27K 5/00 B27M 1/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属筒(2)の内部に木材(1)を芯材として
    隙間なく挿入している金属ロッドにおいて、 圧縮しない状態で金属筒(2)の内形よりも太い木材(1)
    が、プレスして金属筒(2)の内形よりも細く圧縮され、
    圧縮された木材(1)が金属筒(2)に挿入されて、加熱また
    は吸水されて膨張して、金属筒(2)の内面を押圧する状
    態で密着してなる芯材に木材を入れている金属ロッド。
  2. 【請求項2】 金属筒(2)の内部に、木材(1)を芯材とし
    て隙間なく挿入している金属ロッドの製造方法におい
    て、 圧縮しない状態で、金属筒(2)の内形よりも太い木材(1)
    を、プレスして金属筒(2)の内形よりも細く圧縮する工
    程と、圧縮して金属筒(2)の内形よりも細く加工された
    木材(1)を金属筒(2)に挿入する工程と、金属筒(2)に挿
    入された木材(1)を加熱し、あるいは、この木材(1)に液
    体を吸水させて膨張させる工程とからなり、 金属筒(2)内で膨張した木材(1)が、金属筒(2)の内面を
    押圧する状態で密着するようにしてなる芯材に木材を入
    れている金属ロッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 金属を溝型に成形している溝型金属(3)
    の溝部(3A)に、木材(1)を芯材として隙間なく嵌入して
    いる金属ロッドにおいて、 圧縮しない状態で、溝型金属(3)の溝幅よりも横幅の広
    い木材(1)が、プレスして溝幅よりも狭く圧縮され、圧
    縮された木材(1)が溝部(3A)に入れられて、加熱または
    吸水されて膨張して、溝型金属(3)の溝部(3A)の両面を
    押圧する状態で密着してなる芯材に木材を入れている金
    属ロッド。
  4. 【請求項4】 金属を溝型に成形している溝型金属(3)
    の溝部(3A)に、木材(1)を芯材として隙間なく嵌入して
    いる金属ロッドの製造方法において、 圧縮しない状態で、溝型金属(3)の溝幅よりも横幅の広
    い木材(1)を、プレスして溝幅よりも狭く圧縮する工程
    と、溝幅よりも狭く圧縮された木材(1)を溝部(3A)に入
    れる工程と、溝部(3A)に入れた木材(1)を、加熱し、あ
    るいは、この木材(1)に液体を吸水させて膨張させる工
    程とからなり、 溝部(3A)で膨張した木材(1)が、溝型金属(3)の溝部(3A)
    の両面を押圧する状態で密着するようにしてなる芯材に
    木材を入れている金属ロッドの製造方法。
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