JP2937840B2 - 軸受のシール装置 - Google Patents

軸受のシール装置

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JP2937840B2
JP2937840B2 JP34497995A JP34497995A JP2937840B2 JP 2937840 B2 JP2937840 B2 JP 2937840B2 JP 34497995 A JP34497995 A JP 34497995A JP 34497995 A JP34497995 A JP 34497995A JP 2937840 B2 JP2937840 B2 JP 2937840B2
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保 能勢
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固定部材に対して
回転部材を潤滑剤としてのオイルを間に介在させて相対
的に回転可能に支承する軸受において、軸受部に介在す
るオイルが外部に漏れ出ないようにするための軸受のシ
ール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一般のすべり軸受や動圧軸受等、
軸受の潤滑剤としてオイルを用いたものが種々提案され
ている。このような軸受を用いた製品の一例として、図
4に示される軸固定型のHDD(ハードディスク駆動装
置)用モータがある。なおこの図4に示されたモータは
本発明の適用例を表しているが、基本構造としては同様
であるので本図により説明する。このモータでは、フレ
ーム1に固着された固定軸2に、ラジアル軸受3及びス
ラスト軸受5を介してハブ4が回転自在に装着されてい
る。上記スラスト軸受5は、スラスト受板6に対して軸
方向に対向されており、当該スラスト軸受5とスラスト
受板6との間の隙間内に回転潤滑剤としてのオイルが供
給されている。このオイルは、スラスト軸受5の軸受部
に付着され毛管現象によって保持されているものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】モータの回転軸等、軸
受の潤滑剤としてオイルを用いる各種回転機器において
は、常にオイル漏れ対策という課題を有している。特
に、清浄な環境を要求するHDD用モータやレーザービ
ームプリンタ用モータ(LBP用モータ)等に使用する
軸受の場合、オイル漏れは重大な問題になっている。し
かしながら従来の軸受装置では、単に軸受部の隙間にオ
イルを付着させただけのものや、或いは、オイル漏れ対
策としての特別なシール機構を設けたもの等が提案され
てはいるが、これら従来の技術では、例えば動圧軸受に
おいては、潤滑剤としてのオイルの量が少ない場合、動
圧力等の潤滑機能を充分に得ることができない問題を生
じ、一方、オイルの量が多すぎた場合にはオイル漏れが
生じてしまう問題を生じており、オイル漏れ対策の充分
な軸受シール装置は達成されていなかった。また、従来
の技術では、重力、振動、衝撃、遠心力、動圧力、気
圧、温度、その他の圧力等の外力に対しても充分考慮し
た軸受のシール装置とはなっておらず、信頼性に乏しい
という問題もあった。
【0004】本発明は、上記従来技術の軸受シール装置
に対し、 1)注入されたオイルの量が多少変化したり移動したり
しても、それを吸収できるスペースを軸受が有してお
り、しかも、そのスペース内のオイルが安定的に保持さ
れる構造であること、 2)外力(重力、振動衝撃、遠心力、動圧力、気圧、温
度、その他の圧力)を受けたとしても容易にはオイルが
外部に飛び出さない、外力に耐えられる構造であるこ
と、 3)オイルが移動しにくい構造であること、 4)軸受部より外側の出口側のオイル面が安定で漏れ難
くなっていること、 5)オイルが空気と混じりあったりしにくい構造である
こと、上記の各条件を考慮した軸受のシール装置を提案
し、 1)軸受部に常にオイルが保持されていて必要な軸受特
性をを満足すること、 2)オイルが外部に漏れないこと、という効果を有する
軸受のシール装置を提案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、中孔付のスラスト軸受を備えた装置を基本構
造とし、これに対して上記条件を満足させるための内容
を盛り込んだものであって、固定部材と回転部材とを相
対的に回転自在に支承するスラスト軸受がラジアル方向
に延在する円環状の溝部と該溝部に対し相対的に回転自
在に挿入されたスラスト円盤とにより設けられ、上記ス
ラスト軸受は、上記円環状の溝部とスラスト円盤との軸
方向に対向する4面のうちの少なくとも1面に刻設され
た動圧発生用溝とその対向面とにより構成されるスラス
ト軸受部を有し、上記スラスト軸受の上記軸方向対向4
面により形成される2つの隙間の内径側それぞれに外部
側に開口する隙間変化部が設けられ、上記両隙間の一方
の隙間変化部から他方の隙間変化部までオイルが充填さ
れるとともに、上記両隙間における上記隙間変化部とス
ラスト軸受部との間を軸方向に連通させる孔が設けられ
てなる軸受のシール装置であって、前記隙間変化部は、
1)上記軸受部側の隙間変化部内端で該隙間変化部にお
ける最小隙間を有するとともに、上記軸受部とは逆側の
隙間変化部外端で該隙間変化部における最大隙間を有
し、2)上記軸受部側から見た上記隙間変化部の角度を
隙間傾斜角としたとき、上記隙間変化部内端から隙間変
化部部外端にかけての隙間傾斜角が0°以上であり、
3)上記隙間変化部外端は、上記隙間変化部の対向面に
対する隙間が0.8mm以下、かつ隙間傾斜角が45°以
下の位置であり、4)前記軸受部における軸方向クリア
ランスの合計が、200μm以下に設定されているとと
もに、前記スラスト軸受部の総内容量に対する上記隙間
変化部の総内容量が100%以上に設定され、かつ、上
記隙間変化部の総内容量が、上記一方の隙間変化部から
他方の隙間変化部までの総内容量に対して30%以上に
設定され、上記隙間変化部外端の隙間寸法が、隙間変化
部内端の隙間寸法に対して3倍以上に設定された手段を
有している。
【0006】本願発明は、オイルの出口部は2個所ある
が、その2個所の出口部が回転軸心と直交方向の疑似片
袋構造を構成することによって片袋構造の利点を生かす
ようにしている。すなわち、2個所のオイルの出口部に
隙間変化部を設け、両隙間変化部を軸方向に連通させる
孔を設けることにより、オイルの圧力をほぼ同じとし、
これによって片袋構造と同等の作用が得られるとともに
遠心力による圧力が片袋部で全面的に支えられるように
構成している。
【0007】具体的には、円環状の溝部から出口部に位
置する両隙間変化部までオイルを満たした状態とすると
ともに、隙間変化部の隙間を0.8mm以下で、隙間変
化部外端の隙間傾斜角を45°以下という状態としてお
り、これによってオイル内に空気が混入し難くなり、安
定で漏れ難い状態となっている。
【0008】さらに本発明では、円環袋状溝部内容量や
スラスト軸受部の内容量に対して隙間変化部の内容量が
大きく取り、オイル注入量や内部容量のばらつき、回転
等によるスラスト軸受の浮上や発熱を原因とする内容量
の変化、蒸発や内部混入空気によるオイル容量の変化な
どが生じても、軸受部には常にオイルが保持され、また
外部に漏れ出すことはない。
【0009】またさらに本発明では、隙間変化部内端と
外端の隙間比を大きく取り、オイル表面部で仮に空気が
混入することがあっても軸受部の方まで移動することが
なく、さらにその隙間比による圧力差から自然に空気は
出口側に移動し、混入状態が解消される。またその隙間
比から、どの位置でもオイルが安定し易い状態となる。
【0010】また本発明は、上述したように軸受部にお
ける軸方向クリアランスの合計が200μm以下に設定
されており、これによって用途的にスラスト方向への動
きが抑えられるとともに、一番影響の大きい隙間の変化
が抑えられてオイルが良好に保持されるようになってい
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本件発明の具体的実施の形態の説
明に先立ち、まず、本件発明者が研究を重ねた結果到達
した、本件発明を理解する上で必要な発明の基本となる
考え方について開示する。
【0012】軸受内にオイルを保持するという観点に立
って、一般的なラジアル軸受のような、2方向に出口が
ある構造を見た場合、まずオイルは、2つの出口位置で
の毛管吸引圧力のバランスで保持され、その表面位置が
決まることになる。この状態は、2つの圧力バランスで
釣り合っている状態であり、片側から何らかの圧力が加
わると圧力バランスがとれる位置までオイルが移動する
ことになる。例えば、毛管吸引圧力をAとBとすると、
A=Bの位置から(A=B+外部圧力)となる位置まで
オイルが移動し、バランスが取れた状態でオイルの移動
が止まることとなる。
【0013】このように出口が2方向にある構造は、圧
力バランスによって軸受内のオイルの位置が決まるた
め、 1)外力が加わったときには必ずオイルの移動を伴う。
これに対して、オイルが移動しても漏れないためには、
オイル保持のためのスペースが必要となる。またオイル
移動の繰り返しにより、オイル内に空気を混入させてし
まう確率が高い。 2)毛管現象によるオイルの発生圧力(保持圧力)は隙
間の間隔に反比例するが、最小隙間部は通常軸受部の隙
間で規定されてしまうため、オイルの発生圧力(保持圧
力)を高めることには限界がある。
【0014】以上の検討の結果、本願発明の実施の形態
として示す疑似片袋構造(一方側の出口から他方側の出
口までの空間をラジアル方向に延在する円環状の溝部と
該溝部に対し相対的に回転自在に挿入されたスラスト円
盤とにより画成された空間で構成し、ラジアル方向外周
端を塞がれている構造)の軸受のシール装置は、上記出
口が2方向にある構造とは異なり、出口とは反対側を1
気圧の圧力を発生保持している壁と見ることができる構
造であるため次の効果を有する。 1)外力が加わってもオイルが移動しないため、オイル
保持スペースを必要最小限とすることができ、また空気
がオイルに混入する確率が低くなる。 2)1気圧という非常に大きな圧力でオイルを保持して
いることになり、耐外力保持性能を高くすることができ
る。
【0015】では以下に上述した効果を具現化する本発
明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】本発明のシール装置を適用する装置の代表
例として図4に示したHDDモータがあるが、前述した
ように、フレーム1に固着された固定軸2に、ラジアル
軸受3及びスラスト軸受5を介してハブ4が回転自在に
装着されている。上記スラスト軸受5は、スラスト受板
6に対して軸方向に対向されており、当該スラスト軸受
5とスラスト受板6との間の隙間内に回転潤滑剤として
のオイルが供給されている。
【0017】すなわち特に図1及び図4に示されている
ように、上記スラスト軸受5は、ハブ4側に形成された
ラジアル方向に延在する円環袋状の溝部51内に固定軸
2に一体形成されたスラスト円盤52を回転自在に挿入
してなるものであって、これら円環袋状溝部51とスラ
スト円盤52との間の隙間内にオイル7が連続的に充填
されている。そして上記スラスト軸受5において、円環
袋状溝部51とスラスト円盤52とにより対向する4面
のうちの少なくとも1面には動圧発生用溝が通常のよう
に刻設されている。
【0018】また上記スラスト軸受5において、溝部5
1とスラスト円盤52とによる軸方向対向4面により形
成される2つの隙間53,54の小径側(中心側)に
は、固定軸2に沿った外部通路に開口する隙間変化部5
6,56がそれぞれ設けられている。すなわち前記スラ
スト軸受5における各隙間53,54は、スラスト軸受
部57と、当該軸受部57の小径側(中心側)に設けら
れた以下に述べる条件を満足する隙間変化部56と、こ
れら軸受部57と隙間変化部56との間に形成された油
溜め用の小径側内空間部58と、上記隙間変化部56の
小径側に形成された小径側外空間部59と、2つの隙間
53,54どうしを連通する大径側内空間部60と、か
ら構成されている。尚、上記油溜め用の小径側内空間部
58は省略することもできる。
【0019】そして一方の隙間変化部56から他方の隙
間変化部56までオイル7が連続的に満たされていると
ともに、上記小径側内空間部58,58どうしが、中孔
8によって軸方向に繋げられて連通させられている。
【0020】ここで、上記各隙間変化部56,56は、
次のように形成されている。すなわち、各隙間変化部5
6,56では、軸受部57側つまり大径側の最内端を隙
間変化部内端56aとし、出口側つまり小径側の最外端
を隙間変化部外端56bとし、その隙間変化部外端56
bの外側つまり出口側が小径側外空間部59となる。ま
た軸受部57側(奥側)から見た図示水平方向所定位置
における隙間変化部56において形成される隙間が作る
角度αを隙間傾斜角とし、隙間がスラスト円盤52の対
向面と平行であるときをα=0°、外側つまり図示左側
上方に広がっている角度αをプラス、軸受部57側つま
り図示右側上方に広がっている角度αをマイナスとした
場合、上記隙間変化部56における隙間は、隙間変化部
内端56aが一番狭く、隙間変化部外端56bが一番広
く、隙間変化部内端56aから隙間変化部外端56bに
かけての隙間傾斜角αは0°以上に設定してある。隙間
傾斜角αが0°とは、隙間変化部56の一部の領域にお
いて、スラスト円盤52と平行な領域があってもよいこ
とを示す。
【0021】上記隙間変化部内端56aは、軸受部との
間に隙間傾斜角αがマイナスとなる隙間が存在する場合
には、隙間傾斜角αが初めてマイナスとなる隙間の軸方
向最外端を該当することとなる。さらに隙間変化部外端
56bの隙間は0.8mm以下であることが必要であり、
0.8mmを越えた部位は小径側外空間部59に該当する
とともに、隙間が0.8mmである点の隙間傾斜角αが4
5°以上の場合には、0.8mm以下かつ45°以下の条
件を満足する最大隙間部分を隙間変化部外端56bとす
る。
【0022】そして本発明の実施の形態においては、前
記軸受部57における軸方向クリアランスの合計が20
0μm以下に設定されているとともに、スラスト軸受5
の総内容量(軸受部57とスラスト円盤52との間で形
成される容量)に対する隙間変化部56の総内容量(両
隙間変化部内端56a,56aから両隙間変化部外端5
6b,56bまでのスラスト円盤52との間で形成され
る容量)が、100%以上に設定され、また前記隙間変
化部56の総内容量は、軸受部57と小径側内空間部5
8と大径側外空間部60と中孔8の総内容量に対して3
0%以上に設定され、かつ、前記隙間変化部外端56b
の寸法は、隙間変化部内端56aの隙間寸法に対して3
倍以上に設定されている。
【0023】以上の構成を有する本件発明における軸受
のシール装置の作用を説明すると、まず基本構造とし
て、オイルの出口となる隙間変化部56は2個所ある
が、疑似片袋構造を構成することによって片袋構造の利
点を生かすようにしている。具体的には、本実施の形態
は2個所の油溜めとして作用する小径側内空間58どう
しを中孔8で連通させることにより圧力をほぼ同じとす
るとともに、2個所の隙間変化部56,56を半径方向
においてほぼ同じ位置として外部圧力の加わり方をほぼ
同じとしているため、図1におけるラジアル方向外周端
(大径側外空間部60側)を1気圧の圧力を発生保持し
ている壁と見ることができ、ラジアル方向内周側(図示
左側方向)より外周側(図示右側方向)に外力が加わっ
てもオイル7は移動せず、これによって片袋構造と同等
の作用が得られるようにしてある。また上記の構成によ
れば遠心力による圧力が片袋部で全面的に支えられる利
点が得られるようになっている。
【0024】従って、外力が加わることによるオイル移
動を考慮する必要はなく、従って、隙間変化部56によ
るオイル保持用スペースは小さくすることができる。ま
た、外力が加わることによるオイル移動は基本的に生じ
ないことから、オイル移動による空気の混入の心配もな
く、また1気圧という非常に大きな圧力でオイルを保持
していることになり耐外力保持性能が高い軸受のシール
装置が得られる。
【0025】また、軸受部57から両端隙間変化部5
6,56までオイル7を満たした状態とし、隙間変化部
56,56のスラスト円盤52との隙間を0.8mm以下
で、隙間変化部外端56b,56bの隙間傾斜角αを4
5°以下に設定するとともに、隙間変化部56の外端5
6b,56における隙間寸法を内端56a,56におけ
る隙間寸法に対して3倍以上に設定しているので、オイ
ル7内に空気が混入し難くなり、安定で漏れ難い軸受の
シール装置となっている。すなわち隙間変化部内端56
aと外端56bの隙間比が大きくなり、隙間傾斜角αを
持たせてあるため、隙間変化部56に位置するオイル表
面部7aで仮に空気が混入することがあっても、その空
気が軸受部にまで移動することがなく、また上記隙間比
による圧力差から自然に空気は外側に移動し、混入状態
が解消される。
【0026】また既に説明したように、スラスト軸受5
の内容量に対して隙間変化部56,56の内容量が大き
くなっているため、オイル注入量や製造時におけるスラ
スト軸受5の内部容量にばらつきがあったとしても、ま
た、回転体としてのハブ4の回転によりスラスト軸受面
より浮上した場合や回転中の発熱を原因とするスラスト
軸受5の内容量の変化があったとしても、更に、蒸発や
内部混入空気によるオイル7の量の変化が生じても、ス
ラスト軸受5には常にオイル7が保持され、また外部に
漏れ出すことはない。
【0027】また上述したように軸受部57における軸
方向クリアランスの合計が200μm以下に設定されて
いることにより、スラスト方向への動きが抑えられると
ともに、オイルに対する影響の大きい隙間の変化が抑え
られてオイルが良好に保持さるようになる。
【0028】また本発明の実施の形態においては、スラ
スト軸受5内に注入するオイル量は、隙間変化部56の
内容量をAとするとき、静止安定時において隙間変化部
内端56aから、0.1Aないし0.9Aの間の位置と
なる量に設定されている。
【0029】すなわち基本的には、隙間変化部56内に
オイル表面7aが位置していれば安定的に保持され問題
を生じないが、経時・環境によりオイル量・内容量など
に変化が生じてもオイル不足・オイル漏れをなくすため
には、オイル量(オイル表面7aの位置)を隙間変化部
56内に上記の範囲で充填することによって、通常使用
される環境において充分性能を維持できるものとするこ
とができる。
【0030】また、本発明の実施の形態においては、図
5に示すように、両隙間変化部56,56における固定
部材としてのスラスト円盤52とオイル7との接触角θ
1 及び回転部材としての隙間変化部56自体とオイル7
との接触角θ1 をともに15°以上に設定するのが望ま
しい。隙間変化部56内にオイル表面7aが位置すると
いうことは、オイル7は、スラスト円盤52及び隙間変
化部56自体とある接触角θ1 をもって接することにな
るので、その接触角θ1 を15°以上に設定するのであ
る。
【0031】次に、本件発明者が種々の研究の結果、オ
イル7が外部に漏れることを防止する漏れ防止のために
は、濡れ拡張(はい上がり現象)を防止することが必要
であり、シール部の前後ではオイルを分断させることが
必要であることも知得したので、以下にその内容につい
て説明する。
【0032】上記のように、濡れ拡張(はい上がり現
象)を防止するためには、多少の環境・条件変化でもオ
イルが濡れ拡張現象が生じない状態を作る必要があり、
そのためには常に(γS <γL +γSL)の条件を満足さ
せる必要がある。
【0033】すなわちある固体表面と液体の接触角を考
えたとき、固体表面と液体が平衡を保つ条件は、 γS −γSL=γL cos θ1 ・・・・・(ヤングの方程式) である。ここで、 γSL:固体液体界面の界面張力(表面張力) γS :固体の表面張力 γL :液体の表面張力 θ1 :固体と液体の接触角 であり、平衡は上記3つの表面張力のバランスで決ま
る。
【0034】そしてポイントとなるのは上記ヤングの方
程式の(γS −γSL)の値で、固体表面が固体液体界面
に置き変わることにより、エネルギーが 1)下がる(γS >γSL)のか、 2)上がる(γS <γSL)のか、 3)変わらない(γS =γSL)のか、であり、1)のエ
ネルギーが下がる場合が、漏れた状態、すなわち、固体
液体界面を作った方が安定する状態で、2)3)の場合
が、漏れない状態、すなわち、固体表面のままの方が安
定する状態である。
【0035】またγS とγSLの差を埋めているのがγL
cos θ1 であり、固体と液体の接触角θ1 にてバランス
をとっている。すなわち(γS −γSL)が大きくなるほ
どθ1 は小さくなり、(γS >γL +γSL)になると、
固体と液体の接触角θ1 =0°になってもバランスがと
れなくなり、固体表面に液体が際限なく広がってしまう
ことになる。固体としてのシャフト面を液体としてのオ
イルがはい上がっていく現象がこれで、水の上にオイル
を垂らすとどんどん広がっていってしまう現象と基本的
に同じである。
【0036】上記のシャフト面をオイルがはい上がると
いう問題を考えてみるとき、それは(γS >γL +γS
L)という条件になっているか否かが問題となる。この
式は、エネルギーの式であるから、固体(例えばシャフ
ト)の表面は、固体の表面のみ(γS )でいるよりも、
固体の表面に固体液体界面(γSL)と液体表面(γL )
を新たに作った方が、エネルギーが下がり安定すること
を意味している。従って、このような場合は、いわゆる
固体表面を無くし、新たに固体液体界面と液体表面を作
り、はい上がってゆく漏れ拡散は止まらないことを意味
している。
【0037】尚、この問題に、外力(重力、振動衝撃、
遠心力、磁気力、その他の圧力)を加えた場合どうなる
かについては、これらの外力は結果的に圧力という形で
液体表面の曲率を変化させる方向に働くだけであり、平
衡点の関係を変える力はない。従ってこれらの力は、液
体の表面張力の力で平衡点の位置を移動させようとはす
るが、上記のはい上がり現象の下では無力である。
【0038】このように(γS >γL +γSL)という条
件になっているかぎり、はい上がり(漏れ拡散)現象は
止まらないから、はい上がり現象を止めるためには(γ
S <γL +γSL)という条件に変えることが必要であ
る。具体的には固体表面の表面張力を下げる必要があ
る。(γS <γL +γSL)という条件になれば、上記外
力も液体の表面張力を通して働くようになる。一般に金
属表面は非常に大きな表面張力を持っている。通常は何
層かの皮膜が自然に出来、表面張力をかなり低減してい
るが、それでも表面張力は大きいため、この様な(γS
>γL +γSL)条件になってしまう場合があり、はい上
がり現象が起きることとなる。
【0039】このため、はい上がり現象を防止するため
の対策としては、 (γS <γL +γSL)という条件にする。 固体表面と液体との実質接触角を出来るだけ大きくす
る。 外力をうまく利用する。 具体的には、上記にそれぞれ対応して、 1)固体表面に金属面が直接表面に出てこないように
し、出来るだけ表面張力の低い材質、例えば撥油剤等で
表面を保護し、(γS <γL +γSL)という条件にす
る。 2)固体表面の表面粗度を小さくして、固体表面と液体
との実質接触角をできるだけ大きくする。固体表面に隙
間・溝・傷・凹凸などを出来るだけ作らない。表面積が
多くなるほど実質接触角が小さくなるからである。 3)はい上がり現象を引き戻す方向に外力が働くように
工夫する。
【0040】このように固体と液体との接触角θ1 が大
きいほど漏れにくい(保持力が強い)こととなる。その
ためには、両隙間変化部56,56におけるスラスト円
盤52とオイル7との接触角θ1 及び隙間変化部56自
体とオイル7との接触角θ1を15°以上に設定する必
要がある。具体的には、プラスチック材などの比較的表
面張力の低い材料を液体と接触する表面に配置すればこ
れらの条件を満足することができる。
【0041】このため、隙間変化部56,56の内壁面
を低表面張力のプラスチック材料から構成しておくと、
低表面張力のプラスチック材料は、オイルの濡れ拡散を
生じにくく毛管現象によるオイル保持にも有効であり特
性も安定で加工性もよいので、実用的な製品を作ること
ができる。このプラスチック材料は、隙間変化部56,
56の内壁面にコーティングや塗装等の手段を用いて形
成することができる。また隙間変化部56,56の内壁
面に撥油処理やテフロンコーティングを施すようにして
もよい。
【0042】さらに両隙間変化部56,56におけるス
ラスト円盤52に対するオイルの接触角θ1 と隙間変化
部56自体に対するオイルの接触角θ1 との差が小さい
と漏れ難くなるから、この差を15°以下に設定するの
がよい。
【0043】一方、隙間変化部56,56を、軸受方向
に軸受部57側から小径側外空間部59側に向かって4
5°以下の角度で開く隙間に形成し、更に、隙間変化部
56,56の外側の隙間傾斜角も45°以下で延長す
る。このようにすれば、万が一オイル7が本来予定した
隙間変化部56,56の位置より液面が上昇した(図示
左方向へ移動した)としても、隙間変化部56,56の
固体表面とオイル7とは安定状態が得られ、オイル7の
漏れを防止できる。
【0044】また本実施の形態においては、固体表面の
表面粗度を小さくするため、両隙間変化部56,56の
内壁面の面粗度Ra は、0.25μm以下に設定してい
る。両隙間変化部56,56の内壁面に凹凸があると、
その凹凸により毛管現象と同じ状態になる。毛管現象
は、オイルの体積に対してオイル表面が固体と接触する
面の比率が大きいと起こる現象であり、隙間でなく表面
に凹凸や溝などがあっても同じことである。このため、
固体と液体との接触角θ1 <90°の場合、表面に凹凸
や溝などがあると、その接触角は実質的にはより小さい
接触角に変化し、より濡れ易くなる。従って、両隙間変
化部56,56の内周壁の面粗度Ra を小さく抑えるこ
とにより、固体と液体との実質接触角を増加させ、漏れ
難くすることができる。このように面粗度Ra を0.2
5μm以下に設定することはスラスト円盤52側にも必
要に応じて適用する。
【0045】尚、実際には、固体表面の状態によりオイ
ルの接触角に違いが生じるし、また、一度濡れた面は濡
れていない面より濡れ易くオイルの接触角も小さくな
る。例えば、傾斜し汚れているガラス面を水滴が移動す
るとき、ガラスの先端側における水滴の接触角は大き
く、水滴が移動した後の接触角は小さくなる。また、一
度濡れた面は濡れ易く水滴は同じ所を通って落ちてい
く。これは、ミクロ部分の固体表面の形状の違いや表面
張力の違いによるものである。すなわち、表面に凹凸が
あると、接触角が同じでも固体表面の傾斜との合成で曲
率が大きく変化し、そのためマクロ的にみると接触角が
違った状態でバランスがとれることになる。そして表面
張力にムラがあると全体のオイルが撤退して行っても、
凹面や汚れに囲まれたオイルは移動できずに取り残され
てしまい、再度拡張してきたときはマクロでみて接触角
の大きい状態はとれず、その前に残ったオイルとつなが
ってしまう。その結果、接触角が小さい状態となり、通
り易くなって一度濡れたところを何度も通るようにな
る。
【0046】このような固体表面状態になっていると、
一度何らかの理由で濡れまたはオイル注入時にオイルが
ふれた場合には、その部分は接触角が小さく保持力も小
さくなっており、オイルを通し易くなる。このため軸受
の2箇所の出口、すなわち両隙間変化部56,56から
外側にかけては、凹凸(面粗度)を出来るだけ小さく、
汚れ(表面張力のムラ)を出来るだけ小さくする必要が
ある。
【0047】また固体表面に凹凸や表面張力のムラがあ
る時のマクロ(みかけ)の固体と液体との接触角は次の
ようになるといわれている。
【0048】凹凸がある場合には、滑らかな(平らな)
面に対する実際の面の表面積の比率をrとしたとき、マ
クロ(見かけ)の接触角θW (ウエンゼルの接触角と呼
ばれる)は、 cos θW =rcos θ1 (θ1 :ミクロ(真実)の接触角) ミクロの接触角がθ1 =60°(cos θ=0.5)とか
なり大きい場合でも、凹凸でr=2以上あると、マクロ
の接触角がθW =0°となり、はい上がり現象(濡れ拡
張)か止まらない状態になってしまう。このことから
も、漏れを防ぐには隙間変化部から外側にかけての面粗
度をできるだけ小さく抑え、望ましくは鏡面状態にする
のがよい。
【0049】一方、表面張力にムラがある場合には、異
なる表面張力の複合面と考えられるから、マクロ(見か
け)の接触角θC (カッシーの接触角と呼ばれる)は、 cos θC =A1 cos θ1 +A2 cos θ2 となる。但し、A1 ,A2 :異なる表面張力の占める面
積の比率、θ1 ,θ2 :異なる表面張力のミクロ(真
実)の接触角である。この場合でも、漏れを防ぐには両
隙間変化部から外側にかけての面粗度をできるだけ小さ
く抑え、望ましくは鏡面状態にするのがよい。
【0050】次に、両隙間変化部56,56の外端56
b,56bから当該隙間変化部56,56の軸方向長さ
の1/2以内の位置を基準位置としたとき、その基準位
置から外側にかけての内壁面が、基準位置から軸受部5
7側の内壁面より少なくとも15°以上大きい接触角θ
1 を有する材質あるいは処理表面により形成することも
有効である。すなわち、漏れ難くするには固体と液体と
の接触角を大きくするのが一つの方法であるが、何らか
の制約条件から全体の接触角を上げられない場合には、
保持に一番必要な部分のみの接触角を大きくしても効果
がある。
【0051】本発明の軸受のシール装置を用いた軸受装
置においては、軸受部57に形成された動圧発生用溝
が、オイル7に作用するラジアル方向外側への遠心力を
打ち消す方向の動圧力を得るように構成されている。す
なわち遠心力も動圧力も回転し始めて発生する圧力であ
り、お互いに打ち消し合うような構成によって安定を得
ることができる。
【0052】また、本発明の実施の形態においては、ス
ラスト軸受部57の動圧発生用溝の外端(図において左
端)を隙間変化部56の内端56aまで延長して形成し
てもよい。このように動圧発生用溝を隙間変化部の内端
56aまで延長するように構成すれば、スラスト軸受部
57からの隙間傾斜角αは常にα≧0°状態となり、オ
イル注入時などに空気が混入しにくくなるとともに、混
入しても外側へ押し出す方向の力が加わり、常にオイル
を保持しやすい状態に保つことができる。
【0053】さらにまた本発明の実施の形態において
は、隙間変化部56内における隙間傾斜角αは、隙間傾
斜角αを略一定に形成し、断面が直線状の内壁面に形成
するのが、最も加工が容易な形状であるとともにどの位
置でも隙間傾斜角αがα>0°であるため、オイルは内
側に、空気は外側にという力が常に働いて安定となり好
ましい。
【0054】一方、図2及び図3に示されている本発明
の他の実施の形態では、図2の上側における隙間変化部
56に対向するスラスト円盤52に上記の隙間変化部の
条件を満足する隙間56cをアキシャル方向に追加した
ものである。このようにアキシャル方向に隙間56cを
設けることにより、オイル保持のための内容量を増やす
ことができ、特に隙間56cを隙間変化部56の外端幅
より小さく抑えることにより、隙間56cのオイル7が
確実に保持されるようになっている。また、アキシャル
方向の隙間56cはスラスト軸受方向に寸法をとらない
ため、スラスト軸受方向の寸法が抑えられるとともに、
耐衝撃保持力が有利となる。
【0055】尚、このときの上記隙間56cは、両隙間
変化部56の一方側にのみ設けることも可能である。ま
た、図2に併せて図示したように、アキシャル方向の隙
間56dを隙間変化部56に形成してもよいし、孔状に
形成することも可能である。これらの場合も上記の場合
と同様であるが、特に孔の場合には、容量に対する固体
面の比率が増えて毛管現象による発生圧力が倍となるた
め、面対向時の隙間に対し孔は半径が対応する。
【0056】また本発明においては、隙間変化部56の
図示水平方向区間における2/3以上を、隙間寸法0.
4mm以内の平行隙間(隙間傾斜角α=0°)に設定して
もよい。このような形状にすることによって、隙間変化
部56のスペースが多く取れることとなり、オイル7の
ばらつき・変化をより多く吸収できるとともに、平行隙
間部の隙間間隔を小さく抑えることができ、漏れ難い状
態が確保されることとなる。
【0057】再び図1に示す実施の形態に戻って、図1
中の破線で示されているように、大径側内空間部60と
小径側内空間部58とを繋げるようにしてオイル循環孔
61が略T字状に設けられてもよい。すなわち内部で発
生する動圧力は非常に大きいため、場合によっては漏れ
圧力を作ってしまうことがある。そして本実施の形態の
ように循環孔61でスラスト軸受部57の両側をつなげ
ることによって圧力差が最小限度に抑えられ、漏れ防止
に有効となる。
【0058】さらにまた本発明においては、図示してい
ないが、隙間変化部56からその外側にかけてラジアル
方向に延在する溝または凸の条が設けられる。このよう
に構成することによって、何らかの理由により空気が混
入した場合に、オイル7と空気の入れ替えがスムーズに
できる状態が作られ、より確実に空気を外部へ押し出す
ことができる。溝または凸の条があると、表面張力によ
りオイル7はより隙間の狭い方に、空気はより隙間の広
い方に移動してオイルと空気が分離された状態となるか
らである。さらにこの溝または凸条を、ラジアル方向に
外部まで形成しておけば、この溝または凸条に沿ってオ
イル・空気がぶつからず分離された状態でそれぞれ移動
でき、よりスムーズにオイルと空気の入れ替えができ
る。
【0059】一方本発明においては、隙間変化部内端5
6aにおけるオイル接触角が45°以下となるように構
成される。すなわち最大保持圧力を発生する最狭ギャッ
プ部の接触角は小さいほうが大きな圧力を発生すること
ができ、45°で約7割であり、この程度までに接触角
を抑える必要がある。
【0060】また本発明においては、隙間変化部56に
おける平均隙間傾斜角は、10°以上に設定するのがよ
い。すなわち外力や相対移動による隙間の変化などによ
るオイル7の移動を防ぐには、平均で10°程度以上の
隙間傾斜角が必要である。
【0061】以上本発明者によってなされた発明を実施
の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施
の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しな
い範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもな
い。例えば、本発明は上述したような軸固定型の装置に
限定されることはなく、回転型の装置にも同様に適用す
ることができ、またモータ以外の軸受を用いたあらゆる
種類の装置に対しても同様に適用することができる。
【0062】
【発明の効果】以上述べたように本発明にかかる軸受の
シール装置によれば、軸受部に常に充分なオイルを保持
することができるとともに、オイルを安定的に保持して
オイルの外部漏れを良好に防止することができ、外力に
も良好に耐えることができ、装置の信頼性を向上させる
ことができる。
【0063】また、本発明では、円環袋状溝部全体の内
容量に対して隙間変化部の内容量が大きく取られている
ため、オイル注入量のばらつき、内部容量のばらつき、
回転等によるスラスト軸受の浮上や発熱を原因とする内
容量の変化、蒸発や内部混入空気によるオイル容量の変
化などが生じても、軸受部には常にオイルが保持され、
また外部に漏れ出すこともない。
【0064】また本発明では、隙間変化部内端と外端の
隙間比が大きく取られているため、オイル表面部で仮に
空気が混入することがあっても軸受部の方まで移動する
ことがなく、さらにその隙間比による圧力差から自然に
空気は外側に移動し、混入状態が解消される。またその
隙間比から、どの位置でもオイルが安定し易い状態とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における軸受装置の要部を
表した半横断面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態における軸受装置の要
部を拡大して表した半横断面説明図である。
【図3】図2に示されている実施の形態における軸受装
置の平面説明図である。
【図4】本発明の実施の形態のシール装置が適用される
装置の代表例を表した横断面図である。
【図5】図1に示されている実施の形態における上側の
隙間変化部を拡大して示した半横断面説明図である。
【符号の説明】
5 ラジアル軸受 56 隙間変化部 57 軸受部 58 小径側内空間部 59 小径側外空間部 60 大径側内空間部

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定部材と回転部材とを相対的に回転自
    在に支承するスラスト軸受がラジアル方向に延在する円
    環状の溝部と該溝部に対し相対的に回転自在に挿入され
    たスラスト円盤とにより設けられ、 上記スラスト軸受は、上記円環状の溝部とスラスト円盤
    との軸方向に対向する4面のうちの少なくとも1面に刻
    設された動圧発生用溝とその対向面とにより構成される
    スラスト軸受部を有し、 上記スラスト軸受の上記軸方向対向4面により形成され
    る2つの隙間の内径側それぞれに外部側に開口する隙間
    変化部が設けられ、上記両隙間の一方の隙間変化部から
    他方の隙間変化部までオイルが充填されるとともに、上
    記両隙間における上記隙間変化部とスラスト軸受部との
    間を軸方向に連通させる孔が設けられてなる軸受のシー
    ル装置であって、前記隙間変化部は、 1)上記軸受部側の隙間変化部内端で該隙間変化部にお
    ける最小隙間を有するとともに、上記軸受部とは逆側の
    隙間変化部外端で該隙間変化部における最大隙間を有
    し、 2)上記軸受部側から見た上記隙間変化部の角度を隙間
    傾斜角としたとき、上記隙間変化部内端から隙間変化部
    部外端にかけての隙間傾斜角は0°以上であり、 3)上記隙間変化部外端は、上記隙間変化部の対向面に
    対する隙間が0.8mm以下、かつ、隙間傾斜角が45°
    以下の位置であり、 4)前記軸受部における軸方向クリアランスの合計が、
    200μm以下に設定されているとともに、前記スラス
    ト軸受部の総内容量に対する上記隙間変化部の総内容量
    が100%以上に設定され、かつ、上記隙間変化部の総
    内容量が、上記一方の隙間変化部から他方の隙間変化部
    までの総内容量に対して30%以上に設定され、上記隙
    間変化部外端の隙間寸法が、隙間変化部内端の隙間寸法
    に対して3倍以上に設定されていることを特徴とする軸
    受のシール装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の軸受のシール装置におい
    て、 静止安定時におけるオイル量が、隙間変化部の内容量を
    Aとするとき、隙間変化部内端から0.1Aないし0.
    9Aの間の位置となる量に設定されていることを特徴と
    する軸受のシール装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の軸受のシール装置におい
    て、 隙間変化部における回転部材又は固定部材とのオイルの
    接触角は15°以上に設定されていることを特徴とする
    軸受のシール装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の軸受のシール装置におい
    て、 隙間変化部における回転部材とオイルとの接触角と、固
    定部材とオイルとの接触角の差が、15°以下に設定さ
    れていることを特徴とする軸受のシール装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の軸受のシール装置におい
    て、 隙間変化部の内壁面は、低表面張力のプラスチック材料
    から形成されていることを特徴とする軸受のシール装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の軸受のシール装置におい
    て、 隙間変化部の内壁面における面粗度Ra は、0.25μ
    m以下に設定されていることを特徴とする軸受のシール
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の軸受のシール装置におい
    て、 軸受部に形成した動圧発生用溝が、オイルに作用する遠
    心力を打ち消す方向の動圧力を得るように構成されてい
    ることを特徴とする軸受のシール装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の軸受のシール装置におい
    て、 軸受部に形成した動圧発生用溝の外端が、隙間変化部内
    端まで形成されていることを特徴とする軸受のシール装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の軸受のシール装置におい
    て、 隙間変化部における2/3以上が、隙間寸法0.4mm以
    内の平行隙間に設定されていることを特徴とする軸受の
    シール装置。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の軸受のシール装置にお
    いて、 隙間変化部は、隙間変化部内端から隙間変化部外端に向
    って45°以下の角度で開くように形成されていること
    を特徴とする軸受のシール装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の軸受のシール装置に
    おいて、 隙間変化部内における隙間傾斜角は略一定に形成され、
    断面が直線状の内壁面に形成されていることを特徴とす
    る軸受のシール装置。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の軸受のシール装置に
    おいて、 隙間変化部における平均隙間傾斜角は、10°以上に設
    定されていることを特徴とする軸受のシール装置。
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