JP2937833B2 - 軸受のシール装置 - Google Patents

軸受のシール装置

Info

Publication number
JP2937833B2
JP2937833B2 JP31969795A JP31969795A JP2937833B2 JP 2937833 B2 JP2937833 B2 JP 2937833B2 JP 31969795 A JP31969795 A JP 31969795A JP 31969795 A JP31969795 A JP 31969795A JP 2937833 B2 JP2937833 B2 JP 2937833B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gap
bearing
oil
changing portion
gap changing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP31969795A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08210364A (ja
Inventor
保 能勢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nidec Sankyo Corp
Original Assignee
Nidec Sankyo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nidec Sankyo Corp filed Critical Nidec Sankyo Corp
Priority to JP31969795A priority Critical patent/JP2937833B2/ja
Publication of JPH08210364A publication Critical patent/JPH08210364A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2937833B2 publication Critical patent/JP2937833B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固定部材に対して
回転部材を潤滑材としてのオイルを間に介在させて相対
的に回転可能に支承する軸受において、軸受部に介在す
るオイルが外部に漏れ出ないようにするための軸受のシ
ール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一般のすべり軸受や動圧軸受等、
軸受の潤滑剤としてオイルを用いたものが種々提案され
ている。このような軸受を用いた製品の一例として、図
9に示される軸固定型のHDD(ハードディスク駆動装
置)用モータがある。このモータでは、フレーム1に固
着された固定軸2に、ラジアル軸受3を介してハブ4が
回転自在に装着され、上記固定軸2とラジアル軸受3と
の間には、回転用の潤滑剤としてのオイルが供給されて
いる。このオイルは、ラジアル軸受3の軸受部に付着さ
れ毛管現象によって軸受部内に保持されているものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】モータの回転軸等、軸
受の潤滑剤としてオイルを用いる各種回転機器において
は、常にオイル漏れ対策という課題を有している。特
に、清浄な環境を要求するHDD用モータやレーザービ
ームプリンタ用モータ(LBP用モータ)等に使用する
軸受の場合、オイル漏れは重大な問題になっている。し
かしながら従来の軸受装置では、単に軸受部の隙間にオ
イルを付着させただけのものや、或いは、オイル漏れ対
策としての特別なシール機構を設けたもの等が提案され
てはいるが、これら従来の技術では、例えば動圧軸受に
おいては、潤滑剤としてのオイルの量が少ない場合、動
圧力等の潤滑機能を充分に得ることができない問題を生
じ、一方、オイルの量が多すぎた場合にはオイル漏れが
生じてしまうという問題が生じており、オイル漏れ対策
の充分な軸受シール装置は達成されていなかった。ま
た、従来の技術では、重力、振動、衝撃、遠心力、動圧
力、気圧、温度、その他の圧力等の外力に対しても充分
考慮した軸受のシール装置とはなっておらず、信頼性に
乏しいという問題もあった。
【0004】本発明は、上記従来技術の軸受のシール装
置に対し、 1)注入されたオイルの量が多少変化したり移動したり
しても、それを吸収できるスペースを軸受が有してお
り、しかも、そのスペース内のオイルが安定的に保持さ
れる構造であること、 2)外力(重力、振動、衝撃、遠心力、動圧力、気圧、
温度、その他の圧力)を受けたとしても容易にはオイル
が、外部に飛び出さない、外力に耐えられる構造である
こと、 3)オイルが移動しにくい構造であること、 4)軸受部より外側の出口側のオイル面が安定で漏れ難
くなっていること、 5)オイルが空気と混じりあったりしにくい構造である
こと、 上記の各条件を考慮した軸受のシール装置を提案し、 1)軸受部に常にオイルが保持されていて必要な軸受特
性を満足すること、 2)オイルが外部に漏れないこと、 という効果を有する軸受のシール装置を提案することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、軸受空間の出口を1方向のみとした片袋構造
を基本構造とし、それに上記条件を満足させるための内
容を盛り込んだものであって、回転部材と固定部材との
いずれか一方側に形成された軸が、他方側に形成された
略円筒状の袋部内に挿入され、上記袋部内に設けられた
一対のラジアル軸受部によって上記回転部材と固定部材
とが相対的に回転自在に支承され上記ラジアル軸受部の
軸方向外側に隙間変化部が設けられ、上記袋部内から上
記隙間変化部にかけてオイルが充填されたものであっ
て、上記隙間変化部は、 1)上記ラジアル軸受部側の隙間変化部内端で該隙間変
化部における最小隙間を有するとともに、上記ラジアル
軸受部とは逆側の隙間変化部外端で該隙間変化部におけ
る最大隙間を有し、 2)上記袋部側から見た上記軸に対する上記隙間変化部
の角度を隙間傾斜角としたとき、上記隙間変化部内端か
ら隙間変化部外端の隙間傾斜角は0°以上であり、 3)上記隙間変化部外端は、上記軸との隙間が0.8m
m以下、かつ、隙間傾斜角が45゜以下の位置であり、 4)上記隙間変化部の内容量を、上記袋部の内容量に対
して5%以上、かつ上記ラジアル軸受部の内容量に対し
て100%以上に設定するとともに、上記隙間変化部外
端における半径方向隙間が上記隙間変化部内端における
半径方向隙間に対して2倍以上に設定された手段を有し
ている。
【0006】従って本願発明では、 1)隙間変化部の隙間を0.8mm以下で、隙間変化部
外端の隙間傾斜角を45゜以下にしたため、オイル内に
空気が混入し難くくまた安定で漏れ難い状態となり、 2)袋部内容量やラジアル軸受部の内容量に対して、上
記隙間変化部の内容量を大きくとることにより、オイル
注入量や内容容量のばらつき、回転等によるスラスト軸
受の浮上や発熱を原因とする内容量の変化、蒸発や内部
混入空気によるオイル容量の変化などが生じても、軸受
部には常にオイルが保持され、また外部に漏れ出すこと
がなく、 3)上記隙間変化部内端と外端との隙間比を大きく取っ
ているので、オイル表面部で仮に空気が混入することが
あっても、軸受部の方まで移動することがなく、またそ
の隙間比による圧力差から自然に空気は外側に移動し、
混入状態が解消される。またその隙間比からどの位置で
もオイルが安定し易い状態になる。
【0007】
【発明の実施の形態】本件発明の具体的実施の形態の説
明に先立ち、まず、本件発明者が研究を重ねた結果到達
した、本件発明を理解する上で必要な発明の基本となる
考え方について開示する。
【0008】軸受内にオイルを保持するという観点に立
って、一般的なラジアル軸受のような、2方向に出口が
ある構造を考えた場合、まずオイルは、2つの出口位置
での毛管吸引圧力のバランスで保持され、その表面位置
が決まることになる。この状態は、2つの圧力バランス
で釣り合っている状態であり、片側から何らかの圧力が
加わると圧力バランスがとれる位置までオイルが移動す
ることになる。例えば、毛管吸引圧力AとBとすると、
A=Bの位置から(A=B+外部圧力)となる位置まで
オイルが移動し、バランスが取れた状態でオイルの移動
が止まることとなる。
【0009】このように出口が2つある構造は、圧力バ
ランスによって軸受内のオイルの位置が決まるため、 1)外力が加わったときには必ずオイルの移動を伴う。
これに対して、オイルが移動しても漏れないためには、
オイル保持のためのスペースが必要となる。またオイル
移動の繰り返しにより、オイル内に空気を混入させてし
まう確率が高い。 2)毛管現象によるオイルの発生圧力(保持圧力)は隙
間の間隔に反比例するが、最小隙間部は通常軸受部の隙
間で規定されてしまうため、オイルの発生圧力(保持圧
力)を高めることには限度がある。
【0010】以上の検討の結果、本願発明の実施の形態
として示す片袋構造(ほぼ筒形状の一方側が閉塞されて
いる構造のように、2つの出口のうち一方が塞がれてい
る構造)の軸受のシール装置は、上記出口が2つある構
造とは異なり、一方側を1気圧の圧力を発生保持してい
る壁と見ることができる構造であるため次の効果を有す
る。 1)外力が加わってもオイルが移動しないため、オイル
保持スペースを必要最小限とすることができ、また空気
がオイルに混入する確率が低くなる。 2)1気圧という非常に大きな圧力でオイルを保持して
いることになり、耐外力保持性能を高くすることができ
る。
【0011】以下、片袋構造で構成された本発明の軸受
のシール装置をHDD(ハードディスクドライブ装置)
用スピンドルモータに適用した実施の形態を図面に基づ
いて説明する。
【0012】図1に示したHDDスピンドルモータは、
回転中心軸線X−Xより右半分を示した図である。この
スピンドルモータは、ディスク装置に固定されるフレー
ム10に組み付けられた固定部材としてのステータ組2
0と、このステータ組20に対して、図示上側から積層
状に組み付けられた回転部材としてのロータ組30とか
ら概略構成される。このうちステータ組20を構成して
いるステータコア21は、上記フレーム10のほぼ中心
位置に立設されたほぼ円筒状の軸受ホルダー22の外周
部に嵌着されており、当該ステータコア21の突極部に
は巻線23が巻回されている。
【0013】上記軸受ホルダー22の内周部には、一対
のラジアル滑り軸受部24,24を軸方向に所定間隔離
して設けたラジアル軸受が固定されており、それら一対
のラジアル滑り軸受部24,24によって回転軸31が
回転自在に支承されている。上記両ラジアル滑り軸受部
24,24の内周面には、従来公知のラジアル動圧発生
用溝が形成されており、回転軸31の外周面に対して潤
滑剤として介在された軸受オイル15を介して摺動可能
に滑り対面され、上記各ラジアル滑り軸受部24の内周
面と回転軸31の外周面とによってラジアル方向の動圧
滑り面が構成されている。
【0014】上記回転軸31の下端部は、動圧スラスト
軸受により支承されている。この動圧スラスト軸受は、
前記軸受ホルダー22の下端面に形成された開口部を覆
うスラスト受板25を有しており、このスラスト受板2
5の滑り面が上記回転軸31の下端部に対向するととも
に上記滑り面には通常のようにスラスト動圧発生用溝を
有するスラスト軸受部26が形成され、スラスト軸受が
形成されている。そして、このスラスト受板25及び一
対のラジアル滑り軸受部24,24を有するラジアル軸
受と、上記回転軸31との間で、ほぼ円筒状の隙間通路
からなる軸受空間が袋状に形成された袋部40が形成さ
れることになり、当該袋部40の軸受空間内にオイル1
5が充填されることによって上記回転軸31が回転自在
に支承される。
【0015】一方、上記回転軸31の基部(図示上端
部)には、前記ロータ組30を構成するハブ37が上記
回転軸31と一体に回転するように固着されている。こ
のハブ37は、複数の磁気ディスク34を装着するほぼ
円筒形状のクランパー33及びスペーサー33a,33
bを有しているとともに、上記ハブ37に、バックヨー
ク35を介してモータのロータ用駆動マグネット36が
装着されている。上記駆動マグネット36は、環状の形
状をしており、前記ステータコア21の外周端面に対し
て対向するように近接配置されている。
【0016】ところで本発明では、図2に軸受部分のみ
を模式的に抜き出して示したように、軸方向外側に配置
されたラジアル軸受部24の軸方向外側に、オイル15
の漏れ防止を行いシールをするための隙間変化部50が
設けられている。そしてほぼ円筒状の袋部40となされ
た袋状の軸受空間(スラスト軸受部、ラジアル軸受部及
びその間の空間を含む)に充填された軸受の潤滑剤とし
てのオイル15の液面15aは上記隙間変化部50内に
位置するように設定されている。
【0017】ここで、上記隙間変化部50は、次のよう
に形成されている。すなわち、隙間変化部50では、ラ
ジアル軸受24側の軸方向最内端を隙間変化部内端50
aとし、その隙間変化部内端50aよりラジアル軸受2
4側が袋部40となる。また、隙間変化部50の最外端
が隙間変化部外端50bであり、その隙間変化部外端5
0bより外側が隙間変化部50の外側となる。上記袋部
40側から見た軸方向所定位置における隙間変化部50
において形成される隙間が作る角度αを隙間傾斜角と
し、隙間が回転軸面と平行であるときをα=0゜、外側
に広がっている角度αをプラス、袋部40側に広がって
いる角度αをマイナスとした場合、上記隙間変化部50
における隙間は、隙間変化部内端50aが一番狭く隙間
変化部外端50bが一番広く、隙間変化部内端50aか
ら隙間変化部外端50bにかけての隙間傾斜角αは0゜
以上に設定してある。隙間傾斜角αが0゜とは、隙間変
化部50の一部領域において、回転軸31と平行な領域
があってもよいことを示す。
【0018】上記隙間変化部内端50aは、軸受部との
間に隙間傾斜角αがマイナスとなる隙間が存在する場合
には、隙間傾斜角αが初めてマイナスとなる隙間の軸方
向最外端が該当することとなる。さらに隙間変化部外端
の隙間は0.8mm以下であることが必要であり、0.
8mmを越えた部位は隙間変化部の外側に該当するとと
もに、隙間が0.8mmである点の隙間傾斜角αが45
°以上の場合には、0.8mm以下かつ45°以下の条
件を満足する最大隙間部分を隙間変化部外端50bとす
る。
【0019】そして本発明においては、隙間変化部50
の内容量は(隙間変化部内端50aから隙間変化部外端
50bまでの回転軸31との間で形成される容量)は、
隙間変化部内端50aより内側の袋部40全体の内容量
に対して5%以上に設定され、かつ一対のラジアル軸受
部24,24の2個の内容量(ラジアル軸受部24と回
転軸31との間で形成される容量)に対して100%以
上に設定されているとともに、上記隙間変化部50の外
端50bにおける隙間寸法は、隙間変化部50の内端5
0aにおける隙間寸法に対して2倍以上に設定されてい
る。
【0020】以上の構成を有する本件発明における軸受
のシール装置の作用を図2を参照して説明すると、この
構造の軸受のシール装置は、まず基本構造として、ラジ
アル軸受により形成されるほぼ円筒形状の筒部がスラス
ト受板25により塞がれた袋部40を有する片袋構造を
採用しているため、図2における底部(スラスト受板2
5側)を1気圧の圧力を発生保持している壁と見ること
ができ、上部よりスラスト軸受側に外力が加わってもオ
イル15は移動しない。従って、外力が加わることによ
るオイル移動を考慮する必要はなく、従って、隙間変化
部50によるオイル保持用スペースは小さくすることが
できる。また、外力が加わることによるオイル移動は基
本的に生じないことから、オイル移動による空気の混入
の心配もなく、また1気圧という非常に大きな圧力でオ
イルを保持していることになり耐外力保持性能が高い軸
受のシール装置が得られる。
【0021】また袋部40から隙間変化部50までオイ
ル15を満たした状態とし、隙間変化部50の回転軸3
1との隙間を0.8mm以下で、隙間変化部外端50b
の隙間傾斜角αを45°以下に設定するとともに、隙間
変化部50の外端50bにおける隙間寸法を内端50a
における隙間寸法に対して2倍以上に設定しているの
で、オイル15内に空気が混入し難くなり、安定で漏れ
難い軸受のシール装置となっている。即ち、隙間変化部
内端50aと外端50bの隙間比が大きくなり、隙間傾
斜角αを持たせてあるため、隙間変化部50に位置する
オイル表面部15aで仮に空気が混入することがあって
も、その空気が軸受部にまで移動することがなく、また
上記隙間比による圧力差から自然に空気は外側に移動
し、混入状態が解消される。
【0022】また、既に説明したように、袋部40の内
容量やラジアル軸受部24,24の内容量に対して隙間
変化部50の内容量が大きくなっているため、オイル注
入量や製造時における袋部40の内部容量にばらつきが
あったとしても、また、回転軸31の回転によりスラス
ト軸受面より浮上した場合や回転中の発熱を原因とする
袋部40の内容量の変化があったとしても、更に、蒸発
や内部混入空気によるオイル15の量の変化が生じて
も、軸受部には常にオイル15が保持され、また外部に
漏れ出すことはない。尚、オイル注入量や製造時におけ
る袋部40の内部容量のばらつきを吸収するため、隙間
変化部50の内側にオイル溜め用の溝27を形成しても
よい。
【0023】更にまた本実施の形態においては、軸受空
間を構成する袋部40内に注入するオイル量は、隙間変
化部50の内容量をAとするとき、静止安定時において
隙間変化部の内端50aから0.1Aないし0.9Aの
間の位置となる量に設定されている。
【0024】すなわち基本的には隙間変化部50内にオ
イル表面15aが位置していれば安定的に保持され問題
を生じないが、経時・環境によりオイル量・内容量など
に変化が生じてもオイル不足・オイル漏れをなくすため
には、オイル量(オイル表面15aの位置)を隙間変化
部50内に上記の範囲で充填することによって、通常使
用される環境において充分性能を維持できるものとする
ことができる。
【0025】また、本実施の形態においては、図3に示
すように、隙間変化部50における回転軸31及び隙間
変化部50自体の両面におけるオイル15との接触角θ
1を15゜以上に設定するのが望ましい。隙間変化部5
0内にオイル表面15aが位置するということは、オイ
ル15は、回転軸31及び隙間変化部50自体とある接
触角θ1をもって接することになるので、その接触角θ
1を15゜以上に設定するのである。
【0026】次に、本件発明者が種々の研究の結果、オ
イル15が外部に漏れることを防止する漏れ防止のため
には、濡れ拡張(はい上がり現象)を防止することが必
要であり、シール部の前後ではオイルを分断させること
が必要であることも知得したので、以下にその内容につ
いて説明する。
【0027】上記のように、濡れ拡張(はい上がり現
象)を防止するためには、多少の環境・条件変化でもオ
イルが濡れ拡張現象が生じない状態を作る必要があり、
そのためには常に(γS <γL +γSL)の条件を満足さ
せる必要がある。
【0028】すなわち、ある固体表面と液体の接触角を
考えたとき、固体表面と液体が平衡を保つ条件は、 γS −γSL=γL cos θ1 ・・・・(ヤングの方程式) である。ここで、 γSL:固体液体界面の界面張力(表面張力) γS :固体の表面張力 γL :液体の表面張力 θ1 :固体と液体の接触角 であり、平衡は上記3つの表面張力のバランスで決ま
る。
【0029】そしてポイントとなるのは上記ヤングの方
程式の(γS −γSL)の値で、固体表面が固体液体界面
に置き変わることにより、エネルギーが 1)下がる(γS >γSL)のか、 2)上がる(γS <γSL)のか、 3)変わらない(γS =γSL)のか、 であり、1)のエネルギーが下がる場合が、濡れた状
態、即ち、固体液体界面を作った方が安定する状態で、
2)3)の場合が、濡れない状態、即ち、固体表面のま
まの方が安定する状態である。
【0030】またγS とγSLの差を埋めるのがγL cos
θ1 であり、固体と液体の接触角θ1 にてバランスをと
っている。すなわち(γS −γSL)が大きくなるほどθ
1 は小さくなり、(γS >γL +γSL)になると、固体
と液体の接触角θ1 =0°になってもバランスがとれな
くなり、固体表面に液体が際限なく広がってしまうこと
になる。固体としてのシャフト面を液体としてのオイル
がはい上がっていく現象がこれで、水の上にオイルを垂
らすとどんどん広がっていってしまう現象と基本的に同
じである。
【0031】上記のシャフト面をオイルがはい上がると
いう問題を考えてみるとき、それは(γS >γL +γS
L)という条件になっているか否かが問題となる。この
式は、エネルギーの式であるから、固体(例えばシャフ
ト)の表面は、固体の表面のみ(γS )でいるよりも、
固体の表面に固体液体界面(γSL)と液体表面(γL )
を新たに作った方が、エネルギーが下がり安定すること
を意味している。従って、このような場合は、いわゆる
固体表面を無くし、新たに固体液体界面と液体表面を作
り、はい上がって行く漏れ拡散は止まらないことを意味
している。
【0032】尚、この問題に外力(重力、振動、衝撃、
遠心力、磁気力、その他の圧力)を加えた場合どうなる
かについては、これらの外力は結果的に圧力という形で
液体表面の曲率を変化させる方向に働くだけであり、平
衡点の関係を変える力はない。従って、これらの力は液
体の表面張力の力で平衡点の位置を移動させようとはす
るが、上記のはい上がり現象の下では無力である。
【0033】このように(γS >γL +γSL)という条
件になっているかぎり、はい上がり(漏れ拡散)現象は
止まらないから、はい上がり現象を止めるためには(γ
S <γL +γSL)という条件に変えることが必要であ
る。具体的には固体表面の表面張力を下げる必要があ
る。(γS <γL +γSL)という条件になれば、上記外
力も液体の表面張力を通して働くようになる。一般に金
属表面は非常に大きな表面張力を持っている。通常は何
層かの皮膜が自然に出来、表面張力をかなり低減してい
るが、それでも表面張力は大きいため、この様な(γS
>γL +γSL)という条件になってしまう場合があり、
はい上がり現象が起きることとなる。
【0034】このため、はい上がり現象を防止するため
の対策としては、 (γS <γL +γSL)という条件にする。 固体表面と液体との実質接触角を出来るだけ大きくす
る。 外力をうまく利用する。 具体的には、上記にそれぞれ対応して、 1)固体表面に金属面が直接表面に出てこないように
し、出来るだけ表面張力の低い材質、例えば撥油剤等で
表面を保護し、(γS <γL +γSL)という条件にす
る。 2)固体表面の表面粗度を小さくして、固体表面と液体
との実質接触角を出来るだけ大きくする。固体表面に隙
間・溝・傷・凹凸などを出来るだけ作らない。表面積が
多くなるほど実質接触角が小さくなるからである。 3)はい上がり現象を引き戻す方向に外力が働くように
工夫する。
【0035】このように固体と液体との接触角θ1 が大
きいほど漏れにくい(保持力が強い)こととなる。その
ためには、隙間変化部50における回転軸31及び隙間
変化部50自体の両面におけるオイル15との接触角θ
1 を15°以上に設定する必要がある。具体的には、プ
ラスチック材などの比較的表面張力の低い材料を液体と
接触する表面に配置すればこれらの条件を満足すること
ができる。このため、隙間変化部50の内壁面を低表面
張力のプラスチック材料から構成しておくと、低表面張
力のプラスチック材料は、オイルの濡れ拡散を生じにく
く毛管現象によるオイル保持にも有効であり特性も安定
で加工性もよいので、実用的な製品を作ることができ
る。このプラスチック材料は、隙間変化部50の内壁面
にコーティングや塗装等の手段を用いて形成することが
できる。また隙間変化部50の内壁面に撥油処理やテフ
ロンコーティングを施すようにしても良い。
【0036】さらに、隙間変化部50における回転軸3
1及び隙間変化部50自体の両面2箇所の接触角θ1 の
差が小さいと漏れ難くなるから、上記両面におけるオイ
ル15との接触角θ1 の差を15゜以下に設定するのが
よい。
【0037】また、固体表面の表面粗度を小さくするた
め、本実施の形態においては、隙間変化部50の内壁面
の表面の面粗度Ra は、0.25μm以下に設定してい
る。隙間変化部50の内壁面に凹凸があると、その凹凸
により毛管現象と同じ状態になる。毛管現象は、オイル
の体積に対してオイル表面が固体と接触する面の比率が
大きいと起こる現象であり、隙間でなく表面に凹凸や溝
などがあっても同じことである。このため、固体と液体
との接触角θ1 <90゜の場合、表面に凹凸や溝などが
あると、その接触角は実質的にはより小さい接触角に変
化し、より濡れ易くなる。従って、隙間変化部50の内
壁面の面粗度Ra を小さく抑えることにより、固体と液
体との実質接触角を増加させ、漏れ難くすることができ
る。このように面粗度Ra を0.25μm以下に設定す
ることは回転軸31側にも必要に応じて適用する。
【0038】尚、実際には、固体表面の状態によりオイ
ルの接触角に違いが生じるし、また、一度濡れた面は濡
れていない面より濡れ易くオイルの接触角も小さくな
る。例えば、傾斜し汚れているガラス面を水滴が移動す
るとき、ガラスの先端側における水滴の接触角は大き
く、水滴が移動した後の接触角は小さくなる。また、一
度濡れた面は濡れ易く水滴は同じ所を通って落ちてい
く。これは、ミクロ部分の固体表面の形状の違いや表面
張力の違いによるものである。すなわち、表面に凹凸が
あると、接触角が同じでも固体表面の傾斜との合成で曲
率が大きく変化し、そのためマクロ的にみると接触角が
違った状態でバランスがとれることになる。そして表面
張力にムラがあると全体のオイルが撤退して行っても、
凹面や汚れに囲まれたオイルは移動できずに取り残され
てしまい、再度拡張してきたときはマクロでみて接触角
の大きい状態はとれず、その前に残ったオイルとつなが
ってしまう。その結果、接触角が小さい状態となり、通
り易くなって一度濡れたところを何度も通るようにな
る。
【0039】このような固体表面状態になっていると、
一度何らかの理由で漏れまたはオイル注入時にオイルが
ふれた場合には、その部分は接触角が小さく保持力も小
さくなっており、オイルを通し易くなる。このため軸受
の出口、即ち、隙間変化部から外側にかけては、凹凸
(面粗度)を出来るだけ小さく、汚れ(表面張力のム
ラ)を出来るだけ小さくする必要がある。
【0040】また固体表面に凹凸や表面張力のムラがあ
る時のマクロ(みかけ)の固体と液体との接触角は次の
ようになるといわれている。
【0041】凹凸がある場合には、滑らかな(平らな)
面に対する実際の面の表面積の比率をrとしたとき、マ
クロ(見かけ)の接触角θW (ウエンゼルの接触角と呼
ばれる)は、 cos θW =rcos θ1 (θ1 :ミクロ(真実)の接触
角) ミクロの接触角がθ1 =60°(cos θ=0.5)とか
なり大きい場合でも、凹凸でr=2以上あると、マクロ
の接触角がθW =0°となり、はい上がり現象(濡れ拡
張)が止まらない状態になってしまう。このことから
も、漏れを防ぐには隙間変化部から外側にかけての面粗
度をできるだけ小さく抑え、望ましくは鏡面状態にする
のがよい。
【0042】一方、表面張力にムラがある場合には、異
なる表面張力の複合面と考えられるから、マクロ(見か
け)の接触角θC (カッシーの接触角と呼ばれる)は、 cos θC =A1 cos θ1 +A2 cos θ2 となる。但し、A1 ,A2 :異なる表面張力の占める面
積の比率、θ1 ,θ2 :異なる表面張力のミクロ(真
実)の接触角である。この場合でも、漏れを防ぐには隙
間変化部から外側にかけての面粗度をできるだけ小さく
抑え、望ましくは鏡面状態にするのがよい。
【0043】次に、隙間変化部50の外端50bから当
該隙間変化部50の軸方向長さの1/2以内の位置を基
準位置としたとき、その基準位置から外側にかけての内
壁面が、基準位置から奥側の内壁面より少なくとも15
°以上大きい接触角θ1 を有する材質あるいは処理表面
により形成することも有効である。すなわち、漏れ難く
するには固体と液体との接触角を大きくするのが一つの
方法であるが、何らかの制約条件から全体の接触角を上
げられない場合には、保持に一番必要な部分のみの接触
角を大きくしても効果がある。
【0044】さらにまた、隙間変化部50の大径側、即
ち、外端50bにおける接触角θ1が、小径側、即ち、
内端50aにおける接触角より大きくなるように設定し
ておくことも有効である。すなわち、回転部材の回転時
には、軸受内のオイルにも遠心力が働くため、隙間変化
部50の半径方向大径側の面の方が小径側の面よりオイ
ルの圧力が高くなる。このため、大径側・小径側の面と
も接触角が同じ場合には、大径側の固体とオイル表面と
の接触点位置の方が小径側の固体とオイル表面との接触
点位置より外側となり、漏れ易く空気を混入し易い条件
になってしまう。これに対して、大径側の接触角を大き
くすると、接触点の平衡バランスと圧力差から、大径側
の固体とオイル表面との接触点位置と小径側の固体とオ
イル表面との接触点位置との差が小さくなり、オイル漏
れ・空気の混入に対して有利となる。
【0045】また、本発明の実施の形態においては、ラ
ジアル軸受部24の動圧発生用溝の外端(図において上
端)を、図2に示すようにオイル溜め用の溝27を設け
た場合はそのオイル溜め用の溝27まで、或いは、オイ
ル溜め用の溝27が設けてない場合には隙間変化部50
の内端50aまで延長して形成してもよい。このように
動圧発生用溝を隙間変化部50の内端50aまで延長す
るように構成すれば、ラジアル軸受部24からの隙間傾
斜角αは常にα≧0゜状態となり、オイル注入時などに
空気が混入しにくくなるとともに、混入しても外側へ押
し出す方向の力が加わり、常にオイルを保持し易い状態
に保つことができる。
【0046】また、隙間変化部50を、隙間変化部内端
50aから隙間変化部外端50bに向かって、45°以
下の角度で開く隙間に形成し、更に、隙間変化部50の
外側の隙間傾斜角も45゜以下で延長する。このように
すれば、万が一、オイル15が本来予定した隙間変化部
50の位置より液面が上昇したとしても、隙間変化部5
0の固体表面とオイル15とは安定状態が得られ、オイ
ル15の漏れを防止できる。
【0047】隙間変化部50内における隙間傾斜角α
は、隙間傾斜角αをほぼ一定に形成し、断面が直線状の
内壁面に形成するのが、最も加工が容易な形状であると
ともにどの位置でも隙間傾斜角αがα〉0゜であるた
め、オイルは内側に、空気は外側にという力が常に働い
て安定となり好ましい。
【0048】また、隙間変化部50における平均隙間傾
斜角は、10゜以上に設定するのがよい。外力や相対移
動による隙間の変化などによるオイルの移動15を防ぐ
には、平均で10゜程度以上の隙間傾斜角が必要であ
る。
【0049】尚、隙間変化部50の軸方向区間における
2/3以上を、隙間寸法0.4mm以内の平行隙間(隙
間傾斜角α=0゜)に設定してもよい。このような形状
にすることによって隙間変化部50のスペースが多く取
れることとなり、オイル15のばらつき・変化をより多
く吸収できるとともに、平行隙間部の隙間間隔を小さく
抑えることができ、漏れ難い状態が確保されることにな
る。
【0050】次に、図4に示した実施の形態において
は、隙間変化部50内に隙間51がラジアル方向に設け
ている。このようにラジアル方向に隙間51を設けるこ
とにより、オイル保持のための内容量を増やすことがで
き、特に隙間51の軸方向の巾を、隙間変化部50の外
端50bと回転軸31との間の巾より小さく抑えること
により、隙間51のオイルは確実に保持される。またラ
ジアル方向に形成した隙間51は軸方向に大きな寸法を
とらないため、全体の軸方向寸法が抑えられるととも
に、耐衝撃保持力が有利となる。
【0051】上記隙間51は、既に説明した隙間変化部
50の条件を満足するものであれば、図5及び図6に示
すように、半径方向に溝状の隙間52を軸方向に設ける
か、或いは、孔として形成することも可能である。
【0052】さらに図7に示すように、2つのラジアル
軸受24間とそれぞれのラジアル軸受24の外側とを連
通するオイル15の循環孔53を設けてもよい。ラジア
ル動圧軸受24で発生する動圧力は非常に大きいため、
この動圧力にアンバランスが生ずるとオイル漏れ圧力を
作ってしまうことがある。これに対して、2つのラジア
ル軸受24間とそれぞれのラジアル軸受24の外側とを
循環孔53でつなげることによって、動圧力による圧力
差を解消して漏れ防止をすることができる。また、隙間
変化部50においても片袋構造による保持圧力が有効に
生かされることとなる。
【0053】さらに、図示していないが、隙間変化部5
0からその外側にかけて、軸方向に延在する溝または凸
条を設けてもよい。このように構成すれば、何らかの理
由によりオイル15に空気が混入した場合に、オイル1
5と空気の入れ替えがスムーズにできる状態が作られ、
より確実に空気を外部へ押し出すことができる。溝また
は凸条があると、表面張力によりオイル15はより隙間
の狭い方に、空気はより隙間の広い方に移動してオイル
と空気が分離された状態となるからである。さらにこの
溝または凸条を、軸方向に外部まで形成しておけば、こ
の溝または凸条に沿ってオイル・空気がぶつからず分離
された状態でそれぞれ移動でき、よりスムーズにオイル
と空気の入れ替えをすることができる。
【0054】また、軸受空間内におけるオイルに対する
空気の比率は2%以下に設定することが望まれる。空気
がオイルの内部に混入している場合、空気は気体のため
その体積は、圧力に反比例し、絶対温度に比例する。こ
のため混入する空気の割合をあるレベル以下に抑えない
と気圧・温度の変化によりオイルが漏れたり不足する可
能性がある。この比率を真空注入法などにより2%以下
に抑えると、混入空気も含んだオイル容量は0.5気圧
に下がった場合でも2%以下の増加、60℃上がった場
合でも0.4%以下の増加となり、袋部と隙間変化部5
0の容量比からこれらの変化を十分吸収可能になる。
【0055】次に、図8に示した実施の形態において
は、オイルとして磁性流体15’が使用されているとと
もに、隙間変化部50内に半径方向に着磁されたマグネ
ット53が配置され、回転軸31との間で磁気回路が形
成されている。マグネット53より外側にはシール板5
4が設けられている。上記磁気回路は、隙間変化部50
の内端側が回転軸31との間隔が狭いために強く、一
方、隙間変化部50の外端側では回転軸31との間隔が
広くなっているため弱く設定されているとともに、隙間
変化部50の少なくとも半分以上の区間でほぼ一方向で
一定の磁束密度傾斜の磁界となるように形成されてい
る。
【0056】このような磁気的条件にすること及び隙間
変化部50を既に説明したように構成することにより、
磁性流体15’は隙間変化部50の作用だけでなく磁気
力によっても内部へ向かう圧力を受けてより漏れ難い状
態となる。また磁束密度の傾斜を一定にしておくことに
より、多少磁性流体15’の表面位置15’aが変化し
ても確実にあるレベル以上の磁気力が加わることにな
る。
【0057】
【発明の効果】以上述べたように本発明にかかる軸受の
シール装置によれば、軸受部に常に充分なオイルを保持
することができるとともに、オイルを安定的に保持して
オイルの外部漏れを良好に防止することができ、外力に
も良好に耐えることができ、装置の信頼性を向上させる
ことができる。
【0058】また、本発明では、袋部内容量やラジアル
軸受部,スラスト軸受部の内容量に対して隙間変化部の
内容量が大きく取られているため、オイル注入量のばら
つき、内部容量のばらつき、回転等によるスラスト軸受
の浮上や発熱を原因とする内容量の変化、蒸発や内部混
入空気によるオイル容量の変化などが生じても、軸受部
には常にオイルが保持され、また外部に漏れ出すことも
ない。
【0059】また本発明では、隙間変化部内端と外端の
隙間比が大きく取られているため、オイル表面部で仮に
空気が混入することがあっても軸受部の方まで移動する
ことがなく、さらにその隙間比による圧力差から自然に
空気は外側に移動し、混入状態が解消される。またその
隙間比から、どの位置でもオイルが安定し易い状態とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である軸受のシール装置を
HDDモータに適用した構造を表した半横断面図であ
る。
【図2】本発明の実施の形態である軸受のシール装置を
表した半横断面説明図である。
【図3】図2に示した本発明の軸受のシール装置の要部
を拡大して表した説明図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の軸受のシール装置の
要部を拡大して表した半横断面説明図である。
【図5】本発明の他の実施の形態の軸受のシール装置の
要部を拡大して表した平面説明図である。
【図6】図5に表した軸受のシール装置の半横断面説明
図である。
【図7】本発明の他の実施の形態の軸受のシール装置の
要部を拡大して表した半横断面説明図である。
【図8】本発明の他の実施の形態の軸受のシール装置の
要部を拡大して表した半横断面説明図である。
【図9】従来の軸受装置の構造を表した横断面図であ
る。
【符号の説明】
50 隙間変化部 40 袋部 α 隙間傾斜角

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転部材と固定部材とのいずれか一方側
    に形成された軸が他方側に形成された略円筒状の袋部内
    に挿入され、上記袋部内に設けられた一対のラジアル軸
    受部によって上記回転部材と固定部材とが相対的に回転
    自在に支承され、上記ラジアル軸受部の軸方向外側に隙
    間変化部が設けられ、上記袋部内から上記隙間変化部に
    かけてオイルが充填されてなる軸受のシール装置であっ
    て、 上記隙間変化部は、 1)上記ラジアル軸受部側の隙間変化部内端で該隙間変
    化部における最小隙間を有するとともに、上記ラジアル
    軸受部とは逆側の隙間変化部外端で該隙間変化部におけ
    る最大隙間を有し、 2)上記袋部側から見た上記軸に対する上記隙間変化部
    の角度を隙間傾斜角としたとき、上記隙間変化部内端か
    ら隙間変化部外端の隙間傾斜角は0°以上であり、 3)上記隙間変化部外端は、上記軸との隙間が0.8m
    m以下、かつ、隙間傾斜角が45゜以下の位置であり、 4)上記隙間変化部の内容量を、上記袋部の内容量に対
    して5%以上、かつ上記ラジアル軸受部の内容量に対し
    て100%以上に設定するとともに、上記隙間変化部外
    端における半径方向隙間が上記隙間変化部内端における
    半径方向隙間に対して2倍以上に設定されていることを
    特徴とする軸受のシール装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の軸受のシール装置におい
    て、 袋部内においてラジアル軸受部の両端間を結ぶオイルを
    循環させるためのオイルの循環孔が設けられていること
    を特徴とする軸受のシール装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の軸受のシール装置におい
    て、 隙間変化部からその外側にかけて、軸方向に延在する溝
    が設けられていることを特徴とする軸受のシール装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の軸受のシール装置におい
    て、 隙間変化部内に磁性流体を充填するとともに、該磁性流
    体に対して、隙間変化部内端で強くかつ隙間変化部外端
    で弱く設定され、隙間変化部の少なくとも半分以上の区
    間でほぼ一方向かつ一定の磁束密度傾斜の磁界となるよ
    うに設定された磁気回路が形成されていることを特徴と
    する軸受のシール装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の軸受のシール装置におい
    て、 隙間変化部の軸方向区間における2/3以上が、隙間寸
    法0.4mm以内の平行隙間に設定されていることを特
    徴とする軸受のシール装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の軸受のシール装置におい
    て、 静止安定時におけるオイル量が、隙間変化部の内容量を
    Aとするとき、隙間変化部内端から0.1Aないし0.
    9Aの間の位置となる量に設定されていることを特徴と
    する軸受のシール装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の軸受のシール装置におい
    て、 隙間変化部における回転部材または固定部材とのオイル
    の接触角は15゜以上に設定されていることを特徴とす
    る軸受のシール装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の軸受のシール装置におい
    て、 隙間変化部におけるオイルの回転部材側の接触角と固定
    部材側の接触角との差が、15゜以下に設定されている
    ことを特徴とする軸受のシール装置。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の軸受のシール装置におい
    て、 隙間変化部の内壁面は、低表面張力のプラスチック材料
    から形成されていることを特徴とする軸受のシール装
    置。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の軸受のシール装置にお
    いて、 隙間変化部の内壁面における面粗度Raは、0.25μ
    m以下に設定されていることを特徴とする軸受のシール
    装置。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の軸受のシール装置にお
    いて、 隙間変化部は、隙間変化部内端から隙間変化部外端に向
    かって45゜以下の角度で開くように形成されているこ
    とを特徴とする軸受のシール装置。
  12. 【請求項12】 請求項1記載の軸受のシール装置にお
    いて、 隙間変化部における平均隙間傾斜角は、10゜以上に設
    定されていることを特徴とする軸受のシール装置。
  13. 【請求項13】 請求項1記載の軸受のシール装置にお
    いて、 隙間変化部内における隙間傾斜角はほぼ一定に形成さ
    れ、断面が直線状の内壁面に形成されることを特徴とす
    る軸受のシール装置。
  14. 【請求項14】 請求項1記載の軸受のシール装置にお
    いて、 軸受部に形成した動圧発生用溝の外端が、隙間変化部内
    端まで形成されていることを特徴とする軸受のシール装
    置。
JP31969795A 1994-11-15 1995-11-14 軸受のシール装置 Expired - Lifetime JP2937833B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31969795A JP2937833B2 (ja) 1994-11-15 1995-11-14 軸受のシール装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6-305584 1994-11-15
JP30558494 1994-11-15
JP31969795A JP2937833B2 (ja) 1994-11-15 1995-11-14 軸受のシール装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08210364A JPH08210364A (ja) 1996-08-20
JP2937833B2 true JP2937833B2 (ja) 1999-08-23

Family

ID=26564366

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31969795A Expired - Lifetime JP2937833B2 (ja) 1994-11-15 1995-11-14 軸受のシール装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2937833B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7121726B2 (en) 2003-11-21 2006-10-17 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Fluid bearing device
US7201516B2 (en) 2003-11-21 2007-04-10 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Fluid bearing device
US7296932B2 (en) 2003-01-20 2007-11-20 Minebea Co. Ltd Fluid dynamic bearing having an acute-angled shaft recess
WO2008140075A1 (ja) * 2007-05-10 2008-11-20 Nidec Corporation 流体動圧軸受およびモータ
US7572059B2 (en) 2005-09-28 2009-08-11 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Fluid circulating hydrodynamic pressure bearings
US7576947B2 (en) 2004-12-10 2009-08-18 Minebea Co., Ltd. Fluid dynamic pressure bearing device, spindle motor provided with fluid dynamic pressure bearing device, and recording disk drive device

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3549367B2 (ja) * 1997-06-10 2004-08-04 日本電産株式会社 動圧流体軸受装置及び電動機
SG92616A1 (en) 1997-09-12 2002-11-19 Matsushita Electric Ind Co Ltd Spindle device having a dynamic-pressure-fluid bearing
JP4541351B2 (ja) * 2001-11-13 2010-09-08 Ntn株式会社 流体軸受装置
JP4700394B2 (ja) 2004-05-12 2011-06-15 ミネベア株式会社 流体動圧軸受、該流体動圧軸受を備えたスピンドルモータ並びに記録ディスク駆動装置
JP4943758B2 (ja) 2005-09-27 2012-05-30 アルファナテクノロジー株式会社 流体軸受装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7296932B2 (en) 2003-01-20 2007-11-20 Minebea Co. Ltd Fluid dynamic bearing having an acute-angled shaft recess
US7121726B2 (en) 2003-11-21 2006-10-17 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Fluid bearing device
US7201516B2 (en) 2003-11-21 2007-04-10 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Fluid bearing device
US7576947B2 (en) 2004-12-10 2009-08-18 Minebea Co., Ltd. Fluid dynamic pressure bearing device, spindle motor provided with fluid dynamic pressure bearing device, and recording disk drive device
US7572059B2 (en) 2005-09-28 2009-08-11 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Fluid circulating hydrodynamic pressure bearings
WO2008140075A1 (ja) * 2007-05-10 2008-11-20 Nidec Corporation 流体動圧軸受およびモータ

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08210364A (ja) 1996-08-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5667309A (en) Bearing seal system
JP3578948B2 (ja) モータ
US8690435B2 (en) Dynamic pressure bearing and spindle motor using the same
US6301074B2 (en) Spindle device having a dynamic-pressure-fluid bearing
US7239477B2 (en) Low profile air-oil hybrid fluid dynamic bearing motor
US6307291B1 (en) Hydraulic dynamic bearing and spindle motor and rotary assembly provided
JP2937833B2 (ja) 軸受のシール装置
US6371650B1 (en) Hydraulic dynamic bearing and spindle motor and rotary assembly provided
US7281852B2 (en) Spool bearing with asymmetric sealing
JPH05202928A (ja) 軸受装置
US8743505B2 (en) Fluid dynamic bearing apparatus with specific minute gap structure with spindle motor and disk drive apparatus including same
US20070188035A1 (en) Motor
WO2003087596A2 (en) Radial capillary seal for fluid dynamic bearing motors
US7284910B2 (en) Capillary seal with flow restrictors
JP2937835B2 (ja) 軸受のシール装置
JP3685426B2 (ja) 動圧流体軸受装置
KR20050005534A (ko) 회전식 샤프트 원뿔형 유체 베어링
JP2008051133A (ja) 軸受ユニットおよびこれを用いたモータ
US8007175B2 (en) Hydrodynamic bearing device, and spindle motor and information apparatus equipped with same
JP2937839B2 (ja) 軸受のシール装置
JP2937840B2 (ja) 軸受のシール装置
JP3549367B2 (ja) 動圧流体軸受装置及び電動機
KR100453332B1 (ko) 유체동압 베어링 모터
JP2004036892A (ja) 動圧軸受、スピンドルモータならびにハードディスクドライブ装置
JPH08166022A (ja) 軸受のシール装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19990525

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080611

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090611

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100611

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100611

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160611

Year of fee payment: 17

EXPY Cancellation because of completion of term