JP2937597B2 - Va菌根菌の増殖方法 - Google Patents

Va菌根菌の増殖方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はVA菌根菌の増殖方法に
関し、詳しくはVA菌根菌の感染した植物にリン源とし
て有機リン化合物を施用し、該植物を栽培することによ
りVA菌根菌を増殖させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】VA菌
根菌は、植物の根に共生することにより、根毛の到達で
きないような場所からも可給態のリン酸を吸収し、植物
に供給することによって植物の生長や開花,結実などを
助けたり、耐病性,耐乾燥性などを高める働きがあるこ
とはよく知られている(鈴木達彦、農業および園芸、第
62巻、第8号、930〜937頁、1987年)。
【0003】しかし、リン酸濃度が高いと、VA菌根菌
の増殖が阻害されることがある。そのため、VA菌根菌
の増殖が阻害されず、VA菌根菌や植物に必要十分なリ
ンを与えることのできるリン供給法の開発が望まれてい
る。
【0004】通常、VA菌根菌を増殖させる場合、リン
源としては過リン酸石灰,リン酸水素塩,骨粉,複合化
成肥料などが用いられている。しかし、前記のように、
VA菌根菌は植物のリン吸収を助けるけれども、リンが
VA菌根菌の増殖を阻害することが知られている(小川
眞、作物と土をつなぐ共生微生物、農山漁村文化協
会、185頁、1987年)。そこで、これらの問題を
解決する方法として、リン源として骨粉などの緩効性リ
ン化合物を低濃度で用い、徐々に供給する方法や低濃度
の液肥を常に供給する方法などが考えられる。しかし、
前者は腐敗し易いため、小動物や雑菌の汚染源となり、
好ましくない。また、後者の方法は手間がかかり、実用
的でない。
【0005】VA菌根菌の増殖を阻害しないリン化合物
を使用すれば、一度に多量に供給することができ、手間
が省けるばかりでなく、VA菌根菌の増殖も活発にな
る。本発明は、このような目的に適合するリン化合物を
探し出して、短期間に効率よくVA菌根菌を増殖させる
方法を提供することに特色がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はVA
菌根菌の感染した植物にリン源として有機リン化合物を
施用し、該植物を栽培してVA菌根菌を増殖させること
を特徴とするVA菌根菌の増殖方法に関する。
【0007】VA菌根菌を植物に感染させる方法として
は、例えば播種,挿し芽もしくは苗の移植と同時に該V
A菌根菌を用土と混ぜたり、植穴に該VA菌根菌を入れ
たりする方法が一般的に行われている。その他、既に移
植されている植物の根元に穴をあけ、根の近傍に該VA
菌根菌を入れる方法もある。
【0008】VA菌は土壌中に存在する接合類の一種で
あり、その菌糸が様々の植物の根について菌根を形成
し、両者が共生することが知られている。VA菌根菌と
しては、例えばギガスポラ(Gigaspora)属〔ギガスポラ
・マルガリータ(G.margarita)など〕,アカウロスポラ
(Acaulospora)属〔アカウロスポラ・ラエビス(A.laev
is) など〕,エントロフォスポラ(Entrophospora)属
〔エントロフォスポラ・インフレクエンス(E.infreque
ns) など〕,スクレロシスティス(Sclerocystis) 属
〔スクレロシスティス・ダッシ(S.dussii) など〕,ス
カテロスポラ(Scutellospora)属〔スカテロスポラ・グ
レガリア(S.gregaria)など〕,グロムス(Gromus) 属
〔グロムス・モセアエ(G.mosseae),グロムス・イント
ララディセス(G.intraradicies), グロムス・カレドニ
ウム(G.caledonium),グロムス・ファシキュレータム
(G.fasciculatum) など〕等が知られている。
【0009】これらVA菌根菌は、自然界から集める
(鈴木達彦,VA菌根に関する諸問題5,農業および園
芸,第62巻,第3号,p28〜33,1987年)ほ
か、栄養薄膜培養法(特開昭55−118390号公
報),炭肥料を用いて培養する方法(特開昭60−49
717号公報),器官培養した根を使用する方法(特公
昭62−49037号公報)なとにより増殖させたもの
を用いることができる。なお、グロムス・イントララデ
ィセスは、米国NPI社よりNutri-Link( 商品名)とし
て販売されている。
【0010】一方、VA菌根菌を感染させる植物(宿主
植物)の種類は非常に多く(小川眞、作物と土をつなぐ
共生微生物、農山漁村文化協会、1987年)、例えば
ダイズ,クローバーなどの豆科植物、トウモロコシ,メ
ヒシバ,ソルガム(別名ソルゴー,モロコシ)などのイ
ネ科植物、ナス,トマト,ジャガイモなどのナス科植
物、キウリなどのウリ科植物、サイネリアなどのキク科
植物、ベゴニアなどのシュウカイドウ科植物等が好適な
ものである。
【0011】VA菌根菌を植物へ感染させる場合に用い
る用土(基材)としては、植物が生育し得るものであれ
ばよいが、具体的には土,砂,(焼成)赤玉土,鹿沼
土,ゼオライト,バーミキュライト,(焼成)モンモリ
ロナイト,タルク,(焼成)珪藻土,軽石,腐葉土等を
挙げることができる。
【0012】VA菌根菌を植物へ感染させるために必要
な要因としては、例えば温度を5℃以上、好ましくは
10℃以上に保持すること、土壌のpHを4〜8に調
節すること、土壌中のリン濃度を極力低く保つこと、
殺菌剤や除草剤などによる感染阻害を回避すること等
を挙げることができる。
【0013】本発明では、VA菌根菌の感染した植物を
栽培してVA菌根菌の増殖を図るに当り、有機リン化合
物を該植物に施用して栽培し、VA菌根菌の感染率を高
め、VA菌根菌を効果的に増殖させるものである。ここ
で、有機リン化合物としてはリン脂質,リン酸エステ
ル,リン酸セルロース,核酸,アルキルホスホネート等
を挙げることができ、具体的にはリン脂質としては大豆
レシチンが挙げられ、リン酸エステルとしてはリン酸ト
リメチルエステル,トリエチルホスフェート,トリブチ
ルホスフェート,メチルホスホン酸,プロピルホスホン
酸,ラウリルホスホン酸が挙げられ、核酸としてはDN
A,DNA抽出物,アデノシンモノリン酸,アデノシン
ジリン酸,アデノシントリリン酸が挙げられる。本発明
では、これらを単独で、もしくは2種以上を組合せてリ
ン源として用いる
【0014】リン源の施用方法は、特に制限はなく、例
えば植物の栽培開始時に、植物やVA菌根菌を培養する
ための基材に一括して投入する方法がある。しかし、粉
剤,乳剤,水和剤などの形態で植物の生育と共に複数回
に分けて与えることが好ましい。有機リン化合物は、無
機リン化合物と異なり施用量を多くすることが可能であ
るけれども、多過ぎると利用されず無駄になることがあ
る。それ故、通常は培地(担体を含む培地,土壌,タン
ク培養用培養液等)0.01m2 または1リットル当り
0.1 〜10g、好ましくは0.5〜5gの割合で施用す
る。
【0015】VA菌根菌を植物へ感染させる場合、通常
1植物体に対し10〜1000個のVA菌胞子を植物へ
接種すればよい。VA菌根菌の植物への接種方法や時期
等には制限がなく、施用時期については、例えば宿主植
物の発根前後のいずれであってもよいが、特に種播きや
挿し芽の前処理時、種播きや挿し芽と同時あるいは苗の
移植時などか好適である。また、施用方法としては、V
A菌胞子を用土と混合する、根元に入れる、種子や芽の
下層に層状に施用する、定植時の植え穴の中に入れる等
の方法が好ましい。
【0016】VA菌根菌の宿主である植物の栽培方法と
しては、既知の方法により行えばよく、例えば温度5〜
60℃、好ましくは10〜40℃にて土壌のpHを4〜
9.5、好ましくは4.5〜8の条件で行う。宿主植物の発
根と共に該宿主植物へのVA菌根菌の感染が成立し、V
A菌根菌の感染した植物を栽培すると、宿主植物の生育
に伴いおよそ20〜30日後にVA菌根菌は植物の根に
おいて、盛んに感染が広がり、増殖する。植物の栽培期
間中、必要に応じて灌水や他の肥料を施用することもで
きる。
【0017】通常2〜7ヶ月程度経過して宿主植物が十
分に生育したところで、水などの供給を絶ち、暫く放置
すると、VA菌根菌は胞子を形成する。そこで、該胞子
を栽培土壌から分離、回収してVA菌根菌製剤として用
いる。
【0018】
【実施例】以下に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。 実施例1〜4、比較例1〜2 VA菌根菌の培養基材として粒径2〜3mmのドイツ産
ブレー粘土を用い、該ブレー粘土1kgに対し元肥とし
て硫安1g,硫酸カリ(朝日工業製)0.5gを混合し
た。このブレー粘土を1/5000aのワグネルポット
に入れ、深さ4cmの植穴2つにグロムス・ファシキュ
レータム(本菌は工業技術院微生物工業技術研究所で受
託を拒否された。)の胞子100個ずつを入れ、その上
にトウモロコシの種子を1粒ずつ播種した。このポット
45個を用意し、温室にて適宜灌水を行いながら、10
日間栽培した。発芽の揃ったポット35個を選び、5個
を1区として種々のリン源を与えた。すなわち、第1表
に示したノップの栄養液1リットルに対し第2表のホア
グランドの微量元素源10mlを加えた液肥を用い、こ
の液肥に第3表に示したリン源を加えた。
【0019】 第1表 ノップの栄養液 Ca(NO・4HO 1.0g MgSO・7HO 0.25g KHPO 0.25g KNO 0.25g KCl 0.12g FeCl・6HO 0.1mg CuSO・5HO 1.0g NiSO・6HO 1.0g Co(NO・6HO 1.0g 蒸留水 18リットル
【0020】 第2表 ホアグランドの微量金属液 Al(SO 1.0g KI 0.5g KBr 0.5g TiO 1.0g SnCl・2HO 0.5g LiCl 0.5g MnCl・4HO 7.0g HBO 11.0g ZnSO 1.0g 水道水 1リットル
【0021】
【表3】
【0022】播種後105日目より灌水を停止し、さら
に25日間放置した。その後、ポットより基材とトウモ
ロコシを取り出し、根と基材を分けたのち、25℃で通
風乾燥した。次いで、この基材10g当りの胞子数を顕
微鏡下で観察した。結果を第4表に示す。
【表4】
【0023】実施例5〜6、比較例3〜4 実施例1〜4および比較例1〜2においてドイツ産ブレ
ー粘土の代わりに秋田産ゼオライトを用いたこと、宿主
植物としてトウモロコシの代わりにカラスのエンドウの
種子25粒を播種したこと、さらにグロムス・ファシキ
ュレータムの代わりにグロムス・カレドニウム(本菌は
工業技術院微生物工業技術研究所で受託を拒否され
た。)の胞子210個を施用したことおよび液肥には第
5表に示したリン源を加えたこと以外は同様な方法で実
験を行った。結果を第6表に示す。
【0024】
【表5】
【0025】
【表6】
【0026】
【発明の効果】本発明の方法によれば、VA菌根菌の生
育阻害が起き難いため、植物に対するVA菌根菌の感染
率が高く、効率よくVA菌根菌の増殖を図ることができ
る。したがって、本発明の方法はVA菌根菌製剤の製造
に好適であり、農業や園芸などの分野において極めて有
用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 1/14 A01G 7/00 605 BIOSIS(DIALOG) CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 VA菌根菌の感染した植物にリン源とし
    て有機リン化合物を施用し、該植物を栽培してVA菌根
    菌を増殖させることを特徴とするVA菌根菌の増殖方
    法。
  2. 【請求項2】 有機リン化合物が、リン脂質,リン酸エ
    ステル,リン酸セルロース,核酸およびアルキルホスホ
    ネートの中から選ばれた少なくとも1種のものである請
    求項1記載の方法。
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