JP2936072B2 - 劣化した転炉鉄皮の補修方法 - Google Patents
劣化した転炉鉄皮の補修方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、転炉の内面に敷設した耐火煉瓦が溶損、浸
食、亀裂及び一部割損して生ずる大亀裂部の補修方法、
特に溶接による補修方法に関する。
食、亀裂及び一部割損して生ずる大亀裂部の補修方法、
特に溶接による補修方法に関する。
(従来技術) 転炉は、空気、水蒸気、CO2、O2等の酸化性ガスを溶
銑に吹き込み、銑鉄中の不純物を酸化して除去すると共
に不純物の酸化による発熱によって炉内で溶融状態に保
ちつゝ溶鋼を得る製鋼法に使用され、底吹、横吹、上吹
の諸型式の構造が採用されている。
銑に吹き込み、銑鉄中の不純物を酸化して除去すると共
に不純物の酸化による発熱によって炉内で溶融状態に保
ちつゝ溶鋼を得る製鋼法に使用され、底吹、横吹、上吹
の諸型式の構造が採用されている。
そして、転炉の鉄皮内面に酸性、塩基性の耐火煉瓦が
ライニングされている。
ライニングされている。
この転炉は、溶銑量によって種々の大きさがあるが、
長年の操業使用により鉄皮は複雑な熱応力と積算された
各部分の変形、鉄皮母材自体の熱歪脆化や結晶粒の粗大
化による強度低下等の材質的劣化が徐々に進行する。
長年の操業使用により鉄皮は複雑な熱応力と積算された
各部分の変形、鉄皮母材自体の熱歪脆化や結晶粒の粗大
化による強度低下等の材質的劣化が徐々に進行する。
特に、転炉炉体は操業を開始してから、大型転炉にあ
っても5〜10年以上経過すると冷却過程で、転炉の上下
方向に大亀裂が発生することが多くある。
っても5〜10年以上経過すると冷却過程で、転炉の上下
方向に大亀裂が発生することが多くある。
即ち、第5図の模式正面図に示す如く、転炉(1)鉄
皮のトラニオン軸(9)方向側に長さ3m以上の亀裂(1
1)が発生することが過去の使用実績において発明者等
が経験している。
皮のトラニオン軸(9)方向側に長さ3m以上の亀裂(1
1)が発生することが過去の使用実績において発明者等
が経験している。
この亀裂が発生した場合の補修は、従来では溶接の手
段によって突貫工事を施していた。
段によって突貫工事を施していた。
具体的には、初期の頃は転炉(1)内面にライニング
した耐火煉瓦をその儘にし、外面から亀裂部分を除去
し、その後、溶接補修するようにしていた。ところが、
この補修方法では亀裂部を完全に除去することが至難で
あり、これに起因して結果的には完全な補修が行えなか
った。
した耐火煉瓦をその儘にし、外面から亀裂部分を除去
し、その後、溶接補修するようにしていた。ところが、
この補修方法では亀裂部を完全に除去することが至難で
あり、これに起因して結果的には完全な補修が行えなか
った。
前述の方法に変わって採用された補修方法は、発生し
た亀裂部をガウジング除去し、溶接を施した後外面から
裏はつりして裏面溶接を行い、当該溶接部を加熱して溶
接後熱処理を施して補修する方法が実施されていた。
た亀裂部をガウジング除去し、溶接を施した後外面から
裏はつりして裏面溶接を行い、当該溶接部を加熱して溶
接後熱処理を施して補修する方法が実施されていた。
ところが、上述の補修法では再亀裂発生の防止が完全
に行えず、又その補修期間が長期化する等々の事実が見
られた。
に行えず、又その補修期間が長期化する等々の事実が見
られた。
(発明が解決しようとする課題) 従来の転炉炉体の亀裂補修方法としては、前述の通
り、耐火煉瓦の外面から亀裂部分を除去し、その後、溶
接補修する方法や発生した亀裂部をガウジング除去し、
溶接を施した後外面から裏はつりして裏面溶接を行い、
当該溶接部を加熱して溶接後熱処理を施して補修する方
法が採用されていたが、補修後の早い時期に補修部分周
辺部に再度亀裂が発生することがしばしば見受けられ
た。
り、耐火煉瓦の外面から亀裂部分を除去し、その後、溶
接補修する方法や発生した亀裂部をガウジング除去し、
溶接を施した後外面から裏はつりして裏面溶接を行い、
当該溶接部を加熱して溶接後熱処理を施して補修する方
法が採用されていたが、補修後の早い時期に補修部分周
辺部に再度亀裂が発生することがしばしば見受けられ
た。
即ち、極端な場合には補修後の表面をグラインダー等
の研削器具によって行う手入れ時や、部分的に加熱して
焼鈍、或いはカラーチェック検査時に補修部の周辺域に
亀裂が発生していた。
の研削器具によって行う手入れ時や、部分的に加熱して
焼鈍、或いはカラーチェック検査時に補修部の周辺域に
亀裂が発生していた。
また、上述のような転炉鉄皮の部分更新や全体更新に
は20日乃至40日の日数が必要と経験的に言われており、
この為、補修期間中は他の転炉で操業しながらの大工事
となるので、作業安全面の確保が困難である上に補修工
事費用が高騰することや確実・完全な補修が行えない等
々の問題を残している。
は20日乃至40日の日数が必要と経験的に言われており、
この為、補修期間中は他の転炉で操業しながらの大工事
となるので、作業安全面の確保が困難である上に補修工
事費用が高騰することや確実・完全な補修が行えない等
々の問題を残している。
本発明は前述の観点に鑑みなされたものであって、そ
の目的とするところは初期の亀裂補修部の近傍に後発す
る第2、第3の亀裂発生が防止できる転炉鉄皮の補修方
法を提供することにある。
の目的とするところは初期の亀裂補修部の近傍に後発す
る第2、第3の亀裂発生が防止できる転炉鉄皮の補修方
法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は、前掲の目的を達成するための補修方法とし
て、転炉内面側鉄皮表面の浸炭による硬化・脆化部分
を、鉄皮大亀裂部を中心とする周辺部の範囲に渡り、グ
ラインダー等の手段で研削除去し、次いで、前記大亀裂
部を完全に切断除去するとともに、切断部を鉄皮の内外
面からの開先取り又はガウジング開先成形して、新設鉄
皮の溶接を行うようにした転炉鉄皮の補修方法と、その
具体的補修方法として劣化周辺部を隅部が鉄皮の厚みの
2〜5倍程度の曲率をもち、且つ一辺が300〜3400mmの
範囲に渡る矩形状に切断除去し、その切断線は上下方向
は天地に水平で、且つ平行に、左右方向は切断部周辺方
向中心と炉体中心を結ぶ中心線に各々平行になる如く、
又溶接開先面取りは切断線撤去跡に嵌入する新設部材周
囲のみとする手段を採用したものである。
て、転炉内面側鉄皮表面の浸炭による硬化・脆化部分
を、鉄皮大亀裂部を中心とする周辺部の範囲に渡り、グ
ラインダー等の手段で研削除去し、次いで、前記大亀裂
部を完全に切断除去するとともに、切断部を鉄皮の内外
面からの開先取り又はガウジング開先成形して、新設鉄
皮の溶接を行うようにした転炉鉄皮の補修方法と、その
具体的補修方法として劣化周辺部を隅部が鉄皮の厚みの
2〜5倍程度の曲率をもち、且つ一辺が300〜3400mmの
範囲に渡る矩形状に切断除去し、その切断線は上下方向
は天地に水平で、且つ平行に、左右方向は切断部周辺方
向中心と炉体中心を結ぶ中心線に各々平行になる如く、
又溶接開先面取りは切断線撤去跡に嵌入する新設部材周
囲のみとする手段を採用したものである。
(作用) 本発明は、前述の通りの内容を採用したが、この補修
方法によれば以下の作用を成す。
方法によれば以下の作用を成す。
即ち、鉄皮表面の劣化部分を完全除去した後補修する
ので、この補修時の予熱により発生する熱応力や補修溶
接完了時の冷却過程に起こる収縮応力、換言すれば、通
常引張り残留応力として溶接部に残る応力によっても一
切の新規な亀裂は発生しなかった。
ので、この補修時の予熱により発生する熱応力や補修溶
接完了時の冷却過程に起こる収縮応力、換言すれば、通
常引張り残留応力として溶接部に残る応力によっても一
切の新規な亀裂は発生しなかった。
一方、大型転炉は通常5〜8年経過すると鉄皮の劣化
が進行し、炉全体の更新は約10年の期間で実施されてい
るのが現状である。
が進行し、炉全体の更新は約10年の期間で実施されてい
るのが現状である。
これは、鉄皮の内面にライニングする耐火物は、パー
マ煉瓦(MgO系)を内張りした後、準パーマ煉瓦を敷設
するか、又は焼成ドロマイトや不焼成ドロマイト煉瓦又
はマグカーボン煉瓦で耐火張りしたウエア煉瓦を内側に
積み上げて内部を築炉している関係上、煉瓦張り替え
後、1000〜2000チャージ経過すれば、ウエア煉瓦は消耗
・溶損して薄くなり、時として準パーマ煉瓦或いはパー
マ煉瓦が露出し、鉄皮が赤熱して変形亀裂がしばしば生
ずる。
マ煉瓦(MgO系)を内張りした後、準パーマ煉瓦を敷設
するか、又は焼成ドロマイトや不焼成ドロマイト煉瓦又
はマグカーボン煉瓦で耐火張りしたウエア煉瓦を内側に
積み上げて内部を築炉している関係上、煉瓦張り替え
後、1000〜2000チャージ経過すれば、ウエア煉瓦は消耗
・溶損して薄くなり、時として準パーマ煉瓦或いはパー
マ煉瓦が露出し、鉄皮が赤熱して変形亀裂がしばしば生
ずる。
そして、上述の亀裂発生部は一般的に浸炭されている
ことが多く、例えば、C;0.10〜0.15含有量の鋼板でHv;1
30〜140の硬度の鉄皮が局部的に含有量がC;0.5〜1.5、
硬度がHv;350〜450になっていることがある。
ことが多く、例えば、C;0.10〜0.15含有量の鋼板でHv;1
30〜140の硬度の鉄皮が局部的に含有量がC;0.5〜1.5、
硬度がHv;350〜450になっていることがある。
また、亀裂発生部よりトレパンを少量採取して検鏡す
ると、鉄皮表面は結晶粒が若干粗大化しており、圧延組
織が消失し、パーライト組織が少なく、ミクロ単位で脱
炭している場合がある。
ると、鉄皮表面は結晶粒が若干粗大化しており、圧延組
織が消失し、パーライト組織が少なく、ミクロ単位で脱
炭している場合がある。
このような事実に照らし、本発明の補修方法にあって
は亀裂発生部の補修に先立ち、火花試験で亀裂部の周囲
の浸炭調査を先ず行い、次いで、前姿勢型のポータブル
硬度計にて亀裂部の硬化有無調査も必ず実施するように
している。
は亀裂発生部の補修に先立ち、火花試験で亀裂部の周囲
の浸炭調査を先ず行い、次いで、前姿勢型のポータブル
硬度計にて亀裂部の硬化有無調査も必ず実施するように
している。
そして、上記亀裂部の研削範囲を鉄皮板厚の2〜5倍
とした理由は、実験の結果から5倍に相当する範囲をグ
ラインダーにより内面表層部を0.1〜2.0mm研削したとこ
ろ、亀裂部の補修部及び/又はその周辺部に再亀裂発生
の事実が無く、その範囲を超えると工期が長くなるばか
りでなく、操業復旧が遅延し、再亀裂発生の防止精度に
は影響はないとの知見によるものである。
とした理由は、実験の結果から5倍に相当する範囲をグ
ラインダーにより内面表層部を0.1〜2.0mm研削したとこ
ろ、亀裂部の補修部及び/又はその周辺部に再亀裂発生
の事実が無く、その範囲を超えると工期が長くなるばか
りでなく、操業復旧が遅延し、再亀裂発生の防止精度に
は影響はないとの知見によるものである。
一方、研削範囲が鉄皮板厚の2倍以下の場合にあって
は、亀裂部の補修部及び/又はその周辺部に再亀裂発生
の事実が見られたので、2倍以上としたものである。
は、亀裂部の補修部及び/又はその周辺部に再亀裂発生
の事実が見られたので、2倍以上としたものである。
次いで、本発明の具体的補修方法として劣化周辺部を
隅部が鉄皮の厚みの2〜5倍程度の曲率をもち、且つ一
辺が300〜3400mmの範囲に渡る矩形状に切断除去し、そ
の切断線の上下方向は天地に水平又は鉄皮表面に直角
で、且つ平行に、左右方向は切断部円周方向中心と炉体
中心を結ぶ中心線に各々平行になる如く、又溶接開先の
面取りは切断線撤去跡に嵌入する新設部材周囲のみとす
る手段を採用したが、その理由は以下の通りである。
隅部が鉄皮の厚みの2〜5倍程度の曲率をもち、且つ一
辺が300〜3400mmの範囲に渡る矩形状に切断除去し、そ
の切断線の上下方向は天地に水平又は鉄皮表面に直角
で、且つ平行に、左右方向は切断部円周方向中心と炉体
中心を結ぶ中心線に各々平行になる如く、又溶接開先の
面取りは切断線撤去跡に嵌入する新設部材周囲のみとす
る手段を採用したが、その理由は以下の通りである。
即ち、劣化損傷が小さく局部的な亀裂が発生した場合
には、鉄皮板厚の3倍以上の長さを一辺とする切断開口
部にしない時には、補修溶接部の引張残留応力が高くな
り過ぎ、割れが再発することが多く見られたので好まし
くなく、また、一辺が3400mm以上の切断開口部とした場
合、換言すれば、鉄皮周長の1/5以上の切断開口部とす
れば、炉体本体への新部材の取付けが極めて困難とな
り、肌合わせが高精度に実施できない。
には、鉄皮板厚の3倍以上の長さを一辺とする切断開口
部にしない時には、補修溶接部の引張残留応力が高くな
り過ぎ、割れが再発することが多く見られたので好まし
くなく、また、一辺が3400mm以上の切断開口部とした場
合、換言すれば、鉄皮周長の1/5以上の切断開口部とす
れば、炉体本体への新部材の取付けが極めて困難とな
り、肌合わせが高精度に実施できない。
また、切断開口部の隅部を鉄皮の厚みの2〜5倍程度
の曲率に成形したのは、隅部の応力集中が緩和されると
の知見に基づくものであるが、2倍以下の場合には隅部
に割れが発生した事実が見られ、又5倍以上の場合に
は、隅部の応力集中が緩和される点については同効であ
るが、作業性、特に、切断及び溶接時間が長くなり、能
率低下を来すとの知見によるが、最適な範囲としては鉄
皮の厚みの2〜4倍が最適である。
の曲率に成形したのは、隅部の応力集中が緩和されると
の知見に基づくものであるが、2倍以下の場合には隅部
に割れが発生した事実が見られ、又5倍以上の場合に
は、隅部の応力集中が緩和される点については同効であ
るが、作業性、特に、切断及び溶接時間が長くなり、能
率低下を来すとの知見によるが、最適な範囲としては鉄
皮の厚みの2〜4倍が最適である。
更に、切断線の上下方向は天地に水平又は鉄皮表面に
直角で、且つ平行に、左右方向は切断部円周方向中心と
炉体中心を結ぶ中心線に各々平行になる如く、又溶接開
先面取りは切断線撤去跡に嵌入する新設部材周囲のみと
する手段を採用したのは、切断開口部に新鉄皮部材を装
填する為であって、鉄皮の左右方向を直角に切断する通
常の取替法では施工できないとの知見による。
直角で、且つ平行に、左右方向は切断部円周方向中心と
炉体中心を結ぶ中心線に各々平行になる如く、又溶接開
先面取りは切断線撤去跡に嵌入する新設部材周囲のみと
する手段を採用したのは、切断開口部に新鉄皮部材を装
填する為であって、鉄皮の左右方向を直角に切断する通
常の取替法では施工できないとの知見による。
何故ならば、新鉄皮部材の取り込み可能となるように
施工可能とすれば、溶接開先及びルートギャップがきわ
めて大きくなり、補修部の溶接品質が著しく悪化する
他、補修の工期日数が長くなって生産効率が劣化するか
らである。
施工可能とすれば、溶接開先及びルートギャップがきわ
めて大きくなり、補修部の溶接品質が著しく悪化する
他、補修の工期日数が長くなって生産効率が劣化するか
らである。
最後に溶接開先面取りは切断線跡に嵌入する新設鉄皮
部材周囲のみとしたのは、工期工数を最少限に留めると
の配慮からであって、通常は炉体本体と新設鉄皮部材の
双方に溶接開先面を形成するが、本発明では上述の観点
から、炉体本体の開先は切断面を利用し、又新設鉄皮部
材は予め新設鉄皮部材に必要最少限の加工を行うように
するとの理由による。
部材周囲のみとしたのは、工期工数を最少限に留めると
の配慮からであって、通常は炉体本体と新設鉄皮部材の
双方に溶接開先面を形成するが、本発明では上述の観点
から、炉体本体の開先は切断面を利用し、又新設鉄皮部
材は予め新設鉄皮部材に必要最少限の加工を行うように
するとの理由による。
(実施例) 以下、本発明の補修方法に係る一実施例を図面を参照
しながら説明する。
しながら説明する。
先ず、第1図の転炉を示す模式説明図及び第2図の工
程図により本発明補修方法の手順について記述する。
程図により本発明補修方法の手順について記述する。
実施例に適用する転炉としては、直径約5.5m、高さ10
m、容量250t、鉄皮は板厚65mmと70mmとの組合せとして
築炉後10年以上経過し、且つトラニオン軸周辺の縦方向
(垂直方向)に2〜5mの亀裂が発生したものについて補
修を行った。
m、容量250t、鉄皮は板厚65mmと70mmとの組合せとして
築炉後10年以上経過し、且つトラニオン軸周辺の縦方向
(垂直方向)に2〜5mの亀裂が発生したものについて補
修を行った。
尚、図中の符号(1)は転炉全体を表し、(2)は炉
口金物、(3)は炉口フランジ、(4)は炉口円錐部、
(5)は転炉直胴部、(6)は水平リング、(7)は垂
直リング、(8)はトラニオンリング、(10)は炉底、
(11)は鉄皮の亀裂部、(12)は劣化損傷鉄皮切除取替
部を示す。
口金物、(3)は炉口フランジ、(4)は炉口円錐部、
(5)は転炉直胴部、(6)は水平リング、(7)は垂
直リング、(8)はトラニオンリング、(10)は炉底、
(11)は鉄皮の亀裂部、(12)は劣化損傷鉄皮切除取替
部を示す。
以上の条件にある転炉(1)の亀裂部(11)の補修を
行うには、第2図の工程説明図に示す通り、先ず、亀裂
部(11)及びその周辺部の浸炭状況を火花試験で確認
し、確認後グラインダーで研削を行う。
行うには、第2図の工程説明図に示す通り、先ず、亀裂
部(11)及びその周辺部の浸炭状況を火花試験で確認
し、確認後グラインダーで研削を行う。
次いで、研削部の硬度試験を行い、硬化部分を完全に
除去する。
除去する。
その後、鉄皮内部からアークエアガウジングで亀裂部
分(11)を除去し、当該部分を炭酸ガスアーク半自動溶
接手段と被覆アーク溶接手段により溶接する。
分(11)を除去し、当該部分を炭酸ガスアーク半自動溶
接手段と被覆アーク溶接手段により溶接する。
上記溶接の条件は、下記の通りとした。
予熱…80〜120℃、 溶接ワイヤー…MG50T又はMG50、1.2φ、 電流180〜220A、 溶接棒 …極底水素系溶接棒(LB-50A) 4φ=電流180〜220A、 5φ=電流200〜220A、 ピーニング …3層以降実施 溶接仕上げ面…鉄皮と面一にグラインダー手入れを行
う。
う。
本発明の補修方法の概略手順は前述の通りにして行わ
れるが、より詳細には次の如くである。
れるが、より詳細には次の如くである。
第2図乃至第4図に示す通り、亀裂部(11)の取り替
え補修例について説明すると、上述の如く、補修の予備
処理として亀裂部(11)及びその周辺部の浸炭状況を火
花試験で確認し、確認後グラインダーで研削を行うと共
に研削部の硬度試験を行た上、硬化部分を完全に除去す
る。
え補修例について説明すると、上述の如く、補修の予備
処理として亀裂部(11)及びその周辺部の浸炭状況を火
花試験で確認し、確認後グラインダーで研削を行うと共
に研削部の硬度試験を行た上、硬化部分を完全に除去す
る。
この補修の予備処理が完了すれば、転炉(1)の亀裂
部(11)を含む周辺鉄皮(1a)を縦方向;約1500mm、横
方向;約2000mmの長方形に粗切断する。
部(11)を含む周辺鉄皮(1a)を縦方向;約1500mm、横
方向;約2000mmの長方形に粗切断する。
但し、この際、第3図I、IIに示す通り、鉄皮本体
(1b)の切断面C1、C2は図示の如く横切断方向には平行
に切断すると共に垂直方向については両切断面C1、C2が
平行(但し、転炉(1)の炉芯Rに対して約15°の面取
りができる)となるように切断する。
(1b)の切断面C1、C2は図示の如く横切断方向には平行
に切断すると共に垂直方向については両切断面C1、C2が
平行(但し、転炉(1)の炉芯Rに対して約15°の面取
りができる)となるように切断する。
次いで、切断面C1、C2の調整を行い、開先の裏面に裏
当金(13)を取着する(第4図I、II参照)。そして、
新設鉄皮(1c)を第4図I、II、IIIに示すような縦方
向;約1500mm、横方向;約2000mmの長方形に粗切断後、
隅部を250mmに成形加工すると共に開先加工を行うが、
その手段はガス切断による。
当金(13)を取着する(第4図I、II参照)。そして、
新設鉄皮(1c)を第4図I、II、IIIに示すような縦方
向;約1500mm、横方向;約2000mmの長方形に粗切断後、
隅部を250mmに成形加工すると共に開先加工を行うが、
その手段はガス切断による。
その際の面取り角は、炉芯Rに対して垂直切断面では
約20°、横切断面では35°の角度で面取り加工を行う。
約20°、横切断面では35°の角度で面取り加工を行う。
以上のようにして新設鉄皮(1c)の面取り開先加工が
終了すれば、目視により溶接前検査を行い、開先不良が
あれば、アークエアガウジング後グラインダー研削によ
って補修する。
終了すれば、目視により溶接前検査を行い、開先不良が
あれば、アークエアガウジング後グラインダー研削によ
って補修する。
このように、開先加工された新設鉄皮(1c)を炉体本
体(1b)に装着し、溶接を行う。
体(1b)に装着し、溶接を行う。
溶接方法は、被覆アーク溶接及び/又は炭酸ガス半自
動溶接を適用し、その溶接条件は、 予熱…100〜150℃、 溶接ワイヤー…MG50T又はMG50、1.2φ、 電流180〜220A、 溶接棒 …極底水素系溶接棒(LB-50A) 4φ=電流180〜220A、 5φ=電流200〜220A、 350〜400℃で1時間乾燥 ピーニング …3層以降実施 積層法 …4人同時に溶接施工 溶接仕上げ面…鉄皮と面一にグラインダー手入れを行
う。
動溶接を適用し、その溶接条件は、 予熱…100〜150℃、 溶接ワイヤー…MG50T又はMG50、1.2φ、 電流180〜220A、 溶接棒 …極底水素系溶接棒(LB-50A) 4φ=電流180〜220A、 5φ=電流200〜220A、 350〜400℃で1時間乾燥 ピーニング …3層以降実施 積層法 …4人同時に溶接施工 溶接仕上げ面…鉄皮と面一にグラインダー手入れを行
う。
として施工した。
溶接が完了すれば、目視による外観検査、例えば、亀
裂、線状欠陥手直し(MT)、M検出レベル2級以上合格
(UT)等の検査を行い、合否を判定する。
裂、線状欠陥手直し(MT)、M検出レベル2級以上合格
(UT)等の検査を行い、合否を判定する。
本発明方法の実施例は、以上の通りであるが、転炉
(1)の炉体本体に発生する亀裂は上述のような亀裂性
状だけでなく、鉄皮板厚面上に当該板を剥離する状態或
いはその方向に発生することが度々ある。
(1)の炉体本体に発生する亀裂は上述のような亀裂性
状だけでなく、鉄皮板厚面上に当該板を剥離する状態或
いはその方向に発生することが度々ある。
このような亀裂に対しては、本発明では当該亀裂部を
事前にアークエアガウージングで除去し、その溝内を延
性に富んだ肉盛溶着金属を形成するように置換し、補修
作業を実施するようにしている。
事前にアークエアガウージングで除去し、その溝内を延
性に富んだ肉盛溶着金属を形成するように置換し、補修
作業を実施するようにしている。
また、転炉の炉体鉄皮が寿命末期の場合には、本発明
の補修方法によって補修部分を順次新設鉄皮に置換する
ように施工すればよい。
の補修方法によって補修部分を順次新設鉄皮に置換する
ように施工すればよい。
(発明の効果) 本発明は前述の通り、鉄皮表面の劣化部分を完全除去
した後溶接により補修するので、この補修時の予熱によ
り発生する熱応力や補修溶接完了時の冷却過程に起こる
収縮応力、換言すれば、通常引張り残留応力として溶接
部に残る応力によっても一切の新規な亀裂は発生せず、
250tクラスの大型転炉の場合では、18〜19年経過しても
健全な状態で操業できた事実が見られた。
した後溶接により補修するので、この補修時の予熱によ
り発生する熱応力や補修溶接完了時の冷却過程に起こる
収縮応力、換言すれば、通常引張り残留応力として溶接
部に残る応力によっても一切の新規な亀裂は発生せず、
250tクラスの大型転炉の場合では、18〜19年経過しても
健全な状態で操業できた事実が見られた。
また、詳細な補修作業にあっても補修部の溶接品質が
良好であり、補修の工期も短くなり、生産効率も向上す
る等々産業上有益な発明である。
良好であり、補修の工期も短くなり、生産効率も向上す
る等々産業上有益な発明である。
第1図は本発明の補修方法を適用する転炉全体を示す模
式正面図、第2図は本発明の補修方法にの工程を示す工
程図、第3図I、II及び第4図I、II、IIIは本発明の
補修方法における鉄皮の溶接開先状態を示す要部拡大断
面図、第5図は一般的な転炉における亀裂発生状態を示
す模式正面図である。 符号の名称は以下の通りである。 (1)……転炉、(2)……炉口金物、(3)……炉口
フランジ、(4)……炉口円錐部、(5)……転炉直胴
部、(6)……水平リング、(7)……垂直リング、
(8)……トラニオンリング、(9)……トラニオン
軸、(10)……炉底、(11)……鉄皮亀裂部、(12)…
…鉄皮切除取替部、(13)……裏当金、(1a)……亀裂
部周辺鉄皮、(1b)……鉄皮本体、(1c)……新設鉄
皮、C1、C2……鉄皮切断面、R……炉芯、
式正面図、第2図は本発明の補修方法にの工程を示す工
程図、第3図I、II及び第4図I、II、IIIは本発明の
補修方法における鉄皮の溶接開先状態を示す要部拡大断
面図、第5図は一般的な転炉における亀裂発生状態を示
す模式正面図である。 符号の名称は以下の通りである。 (1)……転炉、(2)……炉口金物、(3)……炉口
フランジ、(4)……炉口円錐部、(5)……転炉直胴
部、(6)……水平リング、(7)……垂直リング、
(8)……トラニオンリング、(9)……トラニオン
軸、(10)……炉底、(11)……鉄皮亀裂部、(12)…
…鉄皮切除取替部、(13)……裏当金、(1a)……亀裂
部周辺鉄皮、(1b)……鉄皮本体、(1c)……新設鉄
皮、C1、C2……鉄皮切断面、R……炉芯、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−112704(JP,A) 特開 平1−91993(JP,A) 実開 昭61−41464(JP,U) 特公 平6−4888(JP,B2) 特公 昭57−43613(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21C 5/44 F27D 1/16 B23K 31/00
Claims (2)
- 【請求項1】転炉内面側鉄皮表面の浸炭による硬化・脆
化部分を、鉄皮大亀裂部を中心とする周辺部の範囲に渡
り、グラインダー等の手段で研削除去し、次いで、前記
大亀裂部を完全に切断除去するとともに、切断部を鉄皮
の内外面からの開先取り又はガウジング開先成形して、
新設鉄皮の溶接を行うようにしたことを特徴とする劣化
した転炉鉄皮の補修方法。 - 【請求項2】転炉鉄皮や耐火物の局部的な変形、亀裂、
溶損等による劣化鉄皮の補修方法において、劣化周辺部
を隅部が鉄皮の厚みの2〜5倍程度の曲率をもち、且つ
一辺が300〜3400mmの範囲に渡る矩形状に切断除去する
ようにし、その切断線は上下方向は天地に水平又は鉄皮
表面に直角で、且つ平行に、左右方向は切断部円周方向
中心と炉体中心を結ぶ中心線に対して各々平行になる如
く、又溶接開先の面取りは切断線撤去跡に嵌入する新設
部材周囲のみとすることを特徴とする請求項(1)に記
載の劣化した転炉鉄皮の補修方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4898990A JP2936072B2 (ja) | 1990-02-27 | 1990-02-27 | 劣化した転炉鉄皮の補修方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4898990A JP2936072B2 (ja) | 1990-02-27 | 1990-02-27 | 劣化した転炉鉄皮の補修方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03249113A JPH03249113A (ja) | 1991-11-07 |
JP2936072B2 true JP2936072B2 (ja) | 1999-08-23 |
Family
ID=12818639
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4898990A Expired - Fee Related JP2936072B2 (ja) | 1990-02-27 | 1990-02-27 | 劣化した転炉鉄皮の補修方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2936072B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7222282B2 (ja) * | 2019-03-19 | 2023-02-15 | 日本製鉄株式会社 | 転炉炉体鉄皮の補修方法 |
CN113399932A (zh) * | 2021-07-20 | 2021-09-17 | 安徽金寨将军磁业有限公司 | 一种永磁铁氧体湿压磁瓦合金凹模的合金修补方法 |
-
1990
- 1990-02-27 JP JP4898990A patent/JP2936072B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03249113A (ja) | 1991-11-07 |
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